秘密結社鷹の爪 メタルギアライジング 〜スイカより愛を込めて〜 (111)

吉田「どうも皆さんこんばんは。鷹の爪団戦闘主任の島根の吉田です」

吉田「このたびは“秘密結社鷹の爪 メタルギアライジング 〜スイカより愛を込めて〜”
   に目を留めてくださり、まことにありがとうございます」

吉田「本編を始める前に、皆さんに3つお知らせがあります」

吉田「まず一つ目。このSSは『鷹の爪』と『メタルギアライジング』のクロスSSです」

吉田「“ソリッドじゃないのかよ”と思ったそこのあなた。そう、あなたです。
   あなたには島根に古くから伝わる“シャンプーのとき目をつぶると背後が無性に気になる呪い”
   をかけました」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1371899677

吉田「二つ目ですが、このSSは『スネーク「こちらスネーク。鷹の爪団のアジトに到着した」』
   (スネーク「こちらスネーク。鷹の爪団のアジトに到着した」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1364/13644/1364469573.html))
   というSSの続きみたいなものです」

吉田「前作を読むのが面倒という人のためにざっくり説明すると、“僕達は雷電さんの命の恩人”です」

吉田「そして三つ目は、劇場版鷹の爪ではすっかりおなじみになった“バジェットゲージ”」

 ※サンプル↓
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吉田「劇中のいつ、どこで、どのくらいの予算(budget)が使われたか、ひと目でわかります。
   なんだか小難しい機械とか派手な演出があると、予算が減っていきます」

吉田「いつもなら画面右端に常時表示するんですが、今回は表示しっぱなしだと正直邪魔なので、
   予算が変動した時にだけ下の方に表示することにします」

吉田「さて、それでは『秘密結社鷹の爪』、間もなく始まります」


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吉田「この作品は、ご覧のスポンサーの提供で、お送りいたします」


        〜提供〜

   フィリップDEATHホールディングス

—日本 麹町—

吉田「総統、総統! 見てくださいよこれ」

総統「どうしたんじゃ吉田君、そんなに鼻息荒くして」

吉田「さっき商店街の福引に挑戦してみたら、特賞の海外旅行券10万円分を当てちゃいました!」

総統「おお! 流石は我が鷹の爪団の戦闘主任!」

吉田「それでですね、これでパーッと慰安旅行に行くっていうのはどうでしょう」

総統「吉田君、慰安するほど精力的に活動しとらんじゃないか」

吉田「何言ってるんですか。日頃から老体に鞭打ってバイトに励む総統を労うためですよ。
   僕達はあくまで付き添い、おまけみたいなものですから気にしないでください」

総統「うむ、いろいろ言いたい事はあるが……折角の機会じゃし、それもいいかもしれんな」

総統「しかし海外旅行となると、交通費だけでだいぶかかってしまうんじゃないかね」

吉田「安心してください。博士に頼んで、交通費を浮かせてくれるマシンを作ってもらいました」

総統「わしの了解得る前から行く気満々だったんじゃな」

レオナルド「例え地球の裏側だろうが、その身一つでひとっ飛び・・名付けて“出撃DKN(ドカン)!”だ!」ババーン!

総統「土管にパソコンがくっついただけに見えるんじゃが」

レオナルド「このパソコンに目的地を入力して土管に入れば、快適な空の旅が出来るんだ」

総統「それって人間大砲……」

レオナルド「うるせーな、文句言うなら使わせねーぞ!」

総統「ぬぬ……しかし、これ以上の格安航空なんて無いし……」

総統「全員、準備はよいか?」

吉田「ちょっと待ってください。おやつのバナナがリュックに収まらないんです」

総統「バナナはおやつに含まないって言ったはずじゃぞ! 置いていきなさい!」

レオナルド「目的地・・『ヨーロッパで物価の安い国』、と。オラ、準備できたぞ!」

総統「よし、全員乗り込み完了じゃ」

レオナルド「それじゃいくぞ。出撃、ドカンッ!」ポチッ

   ドカァァァァァァンッ!!!

総統「わああぁぁぁぁぁ……!!」ヒューン……

総統「おお凄いぞ! まるで鳥になったようじゃ!」ヒューン!

吉田「私は風! 風になる! ヒャッホー!」ヒューン!

   ビュゥゥゥゥッ!!

レオナルド「やべぇ、突風だ!」

総統「わああぁぁぁぁぁ……!?」ヒュルルルル……

—某国 列車上—

雷電「よくもンマニ首相を……!」

サンダウナー「もうここに用は無い。後は・・任せた、サム」


   …ァァァァアアアアア!!


雷電「悲鳴?」

   ドゴォッ!!

サンダウナー「ぐあっ!?」ゴロゴロゴロ……

総統「ぶべらっ!?」ゴロゴロゴロ……

雷電「なっ!? 人が降って……二人とも転げ落ちていった」

都合によりここで小休止します。
深夜にまたちょっと更新しに来ようと思います

吉田「そーとー!」

雷電「!? お前達は・・どうしてここに!?」

吉田「えーと、どちらさまですか」

雷電「ジャック・・雷電だ」

吉田「ああ、飯がマズイ嫁を持つリア充サイボーグの雷電さんじゃないですか!」

雷電「マズ……ちょっとその覚え方は止めてくれ」

吉田「すみません僕、人の顔を覚えるのは苦手な方なんで」

雷電「だからって嫌な覚え方をしないでくれ」


サム「おいおい・・無視は困るな」


雷電「! ・・お前達、俺の後ろに下がっていろ」チャキッ

サム「やるか……来な」

   斬!

雷電「ば、馬鹿な……」フラッ

サム「これで終わりだ」


   グググ……


サム(何だ? 体が動かない)

菩薩峠「……」ビビビビビ!

サム「……ハハハ。こいつは驚いた。ここはひとまず逃げるが勝ちか」

吉田「あっ、頭上にでっかいヘリが!」

雷電「ま、待て……」ガクッ


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—マヴェリック社—

ボリス「こいつらがお前の話していた“鷹の爪団”か」

雷電「ああ。こう見えて俺の命の恩人だ」

コートニー「あっ、私のパソコンを勝手にいじっちゃダメよ“熊ちゃん”!」

レオナルド「俺は熊じゃねぇ! 噛むぞコノヤロー!」オラオラ!

コートニー「ご、ごめんなさい。‥それにしても、超能力少年や、
      走行中の列車から落ちても平気な人間がいるだなんて。世界には凄い人達がいるものね」

総統「いちおう全身骨折の大怪我なんじゃが……いや、怪我なら雷電さんも、左目と腕が……」

雷電「……問題無い。別のボディに脳を換装すればいいだけだ」

ケヴィン「そりゃそうだろうが‥今のあんた達に必要なのは、休息だ」

ボリス「鷹の爪団も、今日はゆっくり休むといい。後で日本まで送り届けてやろう」

—3週間後 アブハジア—

   [CALL]

ボリス『こちらボリス。周囲の状況はどうだ?』

雷電「敵の姿は無い。このまま一気に石油プラントまで」


   ……ァァァアアアアア!!


雷電「は?」

   ドゴォッ!!

総統「あべしっ!」

吉田「あぁっ、総統が地面に垂直にめり込んだ!」

雷電「お、お前達……どうしてまた……!?」

雷電「前回の旅の仕切り直しをしようとしたが、またも想定外の突風に流されて墜落した、と?」

吉田「心はすっかりジャンボジェットになりきってたのに、何がいけなかったんですかねー」

雷電「……とにかく、紛争地帯の真っ只中にお前達を置き去りにはできない。
   うちの社からの迎えが来るまでは、俺の傍を決して離れるな」

総統「どこもかしこもすっかり荒れ果てておる・・この国で何が起こっているんじゃ」

雷電「テロリストにより街そのものが占拠された。テロリストに武器を与えているのは
   “デスペラード社”‥あんたが列車から突き落とした男が率いるならず者共だ」

総統「争いを再燃させて私腹を肥やすなど‥何という連中じゃ!」

雷電「複雑な国際事情も絡んではいるが、実質的にこのテロを指揮しているのはそいつ等だ」

総統「‥雷電さん。わしらにも出来ることがあれば、遠慮なく言ってくれ」

雷電「しかし、相手は」

総統「戦いのプロ、じゃろう。分かっておるさ。
   ‥しかし、目の前で誰かの血が流れ、どこかでその誰かの家族が泣いているというのに
   何もしないというのは、“人に地球に優しい世界征服”を掲げる鷹の爪団にあるまじき事じゃ」

吉田「‥戦闘主任をさしおいて、総統ばっかりかっこつけないでくださいよ」

雷電「実際の戦闘は、生易しいものじゃないぞ」

総統「危険は重々承知じゃ。‥もしもの事を考えて、菩薩峠君だけでも安全な所へ」

菩薩峠「ぱ ぱ……」ギュッ

雷電(総統の服を掴んで……見上げた心意気だ)

雷電「いいだろう。死なないよう、気を引き締めて付いて来い」

キリが良いので今回はここで切ります。
続きは今日の夕方あたりに更新しようと思います

LQ-84i「指令に無い人間達が居るが‥仲間とあらば、見逃すわけにはいかない」

総統「ううう‥優しく殺して〜、優しく殺して〜」

吉田「許してください! 三回まわって駒込ピペットって叫びますから!」

雷電「おい! さっきの勇猛さはどこへ行った!?」

LQ「すまないが、全員死んでもらう」

総統・吉田「「こまごめピペット! こまごめピペット! こまごめピペット!」」グルグルグル

雷電「もういい下がっていろ!!」

吉田「サイボーグ対AI‥息つく暇もない、激しい戦いだった」

雷電「仲間を囮にして逃げ回った奴がカッコつけるんじゃない」

フィリップ「ううっ……」シクシク

雷電「喋るAIにも驚いたが‥死ぬと増える人間なんて初めて見たぞ」

ドクトル『実に興味深いな。この戦いが終わったら是非とも研究させてほしいものだ』


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—石油プラント—

ミストラル「待っていたわ、“ジャック・ザ・リッパー”」

総統「“切り裂きジャック”?」

ミストラル「あら? 知らないで一緒に行動しているの?
      彼は“リベリアの白い悪魔”とも呼ばれ、恐れられた元少年兵。殺戮の天才よ」

雷電「‥そいつは捨てた名だ」

吉田「雷電さん‥あのミストラルって人、本当にサイボーグなんですか?」

雷電「その筈だが、どうした?」

吉田「見てくださいよ。島根に佇む出雲大社のようにどっしりとした存在感と、
   かつて世界有数の採掘量を誇った石見銀山のような豊かさを兼ね備えた、あのボディ‥
   やばすぎですよヒャッホー!」

ケヴィン『おっ、話が分かるじゃないかMan!』

雷電「……」イラッ

ミストラル「可愛い坊やね。どう? 私の新しい子犬ちゃん(リトルパピー)にならない?」

吉田「ニャーッ!(まずは交換日記からおねがいします!)」

総統「こらー吉田君! わしらは彼女達の暴挙を止める為に来たんじゃぞ!」

ミストラル「止める? それは困るわ。私には“あの人”がくれた目的がある。
      それを邪魔しようというなら‥仕方ないわね」

ミストラル「我が理想の為に、死んでもらう!」

   ブチッ!!
   ガチャン! ガチャンッ……

吉田「黒糖のど飴みたいな機械の腕をちぎって、くっつけた!?」

雷電「仔月光の腕が武器か。奇妙な物を使う」

ミストラル「ふふ‥おいで、坊や」

雷電「あいつは俺がやる。お前達は仔月光を頼む」

総統「あ、あぁ任せ……いやいやコレどうすればいいんじゃ!?」

吉田「任せてください総統!」

総統「おお! 流石は戦闘主任。頼りに」

吉田「いっけーフィリップ達!!」ビシッ

フィリップ「えエっ!?」

吉田「ほら早く行けよ。死んだって復活できるんだから平気だろ」

フィリップ「Noーーーーー!!」

   〜〜〜

総統「仔月光は片付いたものの、フィリップが100人に増えてしまった」

吉田「今度は物置のCMとコラボできますね」

フィリップ「ううっ……」シクシク


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総統「ちょっと見ない間に予算が大幅ダウンしておるぞ!?」

吉田「プラントとかのど飴がいっぱい爆発してますからねー。演出費がかさむんです」

吉田「でも今回のスポンサーはフィリップんとこの会社ですから、心配することないですよ。
   湯水のごとく予算を使ったって、僕がちょっと言えばすぐに用立ててくれますって」

   プルルルル……

フィリップ「ア、携帯が……」

吉田「おいフィリップ、上映中は携帯の電源切っておけよ。ほんとにダメな奴だな」

フィリップ「え、イヤ、ここは作中……」

   プルルルル……

総統「早く電話に出んかバカモン! 相手方を待たせるなんてビジネスマン失格じゃぞ」

フィリップ「あ、じゃア出ます……」

フィリップ「モシモシ、私だ。……何だっテ!? ‥仕方ない、留保分ヲ切り崩して……
      ああ、スグには帰れそうにナイ‥詳しいことガわかり次第、連絡をいれてクレ……」

フィリップ「吉田サーン‥吉田サーン」

吉田「何だよ。女子マネージャーとの合コンの件か?」

フィリップ「あの‥
      この作品のスポンサー‥下ろさせてくだサイ」

総統「ど、どうしたんじゃフィリップ!?」

フィリップ「実ハ‥主力商品を製造してイル島根の出雲工場が、火災で操業停止にナッて‥
      再開のメドがたたないうちハ、スポンサー活動を自粛しないト……」

総統「うーん……こればかりは仕方ないのお」

吉田「ということは、今ある予算で残りの本編を乗り切らないといけないってことですか」

総統「そういう事じゃ。あぁ、終盤でのわしの扱いが目に見える……」

ミストラル「レディよりお金の心配? そんなはした金、私が出してあげるわよ」

吉田「まままマジっすか! マジっすか!」

ミストラル「ええ。貴方達がここから生きて帰れるものならね」

雷電「そうか。だが支払うあんたは居なくなるから、どのみち無理な話だな」

ミストラル「‥私を倒せる気でいるのね……なめるなガキ!!」

雷電(今だ!)

   斬!

ミストラル「う……!」

雷電「これで終」

吉田「ストーーーーーップ!」

雷電「は? いや、あと一撃でとどめ」

吉田「とどめをさしたら、さっきの融資の話が無しになっちゃうじゃないですか!」

雷電「今はそんな事どうでもいいだろう」

吉田「よくないですよ。このままストーリーが進んだら予算が底ついて、
   結局は総統が赤字分を負担する事になるんですから」

総統「えー!? 何でわし一人が負担するの!?」

吉田「年長の人が払うのは当然じゃないですか」

総統「それは先輩が後輩に食事を奢る場合の事であって、今回はせめて皆で少しずつ負担すべきだと」

吉田「それじゃあ総統は、幼い菩薩峠や無職の僕にまで金の無心をするっていうんですか?」

総統「誰もそこまで言っとらんし、そもそも君はもはやニート」

吉田「鬼! 悪魔! 総統!」

総統「鬼や悪魔と同列にされた!?」

雷電「ああもう! 分かったから、そのつまらないいざこざを止めろ!」

ボリス『結局ミストラルは殺さなかったんだな。だが、そのままにはしておけまい』

雷電「その点はレオナルド博士が何とかしてくれた」

レオナルド「液体窒素で凍っちまったボディの代わりに、“こいつ”に脳を入れ替えといたぞ」

仔月光(ミストラル)「何て辱めなの‥いっそ自分で死んで」

レオナルド「そう言うと思って、自殺や殺戮行為はできないよう設定してる」

吉田「さすが博士、天才過ぎぃっ!」

ドクトル『トライポッドに脳を換装するとは‥いやはや、恐るべき技術だ』

コートニー『こんなかわいい物にあの女が入ってるって、不思議な心地だわ』

総統「これが『かわいい』?」

吉田「キモカワってやつですよ。“肝の照り煮みたいに黒光っててカワイイ”」

雷電(さっきのAIといい‥どこかで役に立つかもしれないな)

ドルザエフ『どうした、ミストラル! 応答しろ!!』

雷電「ミストラルはこちらで確保した。大人しく投降しろ。貴様にはもう逃げ場も勝ち目も無い」

ドルザエフ『……はは、誰が投降などするものか! 最期に一泡吹かせてやる!』

雷電「何をする気だ……?」

吉田「あっ、あんな所に変なおじさんが」

雷電「! しまった、自爆する気か!?」


   ドガァァァァァンッ!!!


総統「わあぁぁぁぁ……!!」ヒューン

ボリス『どうした、何があった!?』

雷電「ドルザエフの奴、自爆しやがった‥その爆風で、鷹の爪団の連中がどこかに吹き飛ばされた……」


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〜数日後 メキシコの下水道〜

   [CALL]

ウルフ『雷電。下水道内に人間が居た』

雷電「何? どんな奴だ」

ウルフ『人数は4人。内3人はアブハジアでお前に同行していた男達で、“熊”も一緒だ』

 <オレハクマジャネェー!

ウルフ『ぐはっ!』ドガッ!!

   [OFF]

雷電「まさか……」

雷電「お前達‥爆風で吹き飛ばされたというのに、なぜメキシコに……」

吉田「あの爆風で偶然にも全員がメキシコに飛ばされたんです」

雷電「全員が、偶然に? そもそもここまで飛んでくるなんて、どれだけ軽いんだ」

吉田「金欠で質素倹約を極めちゃったからか、最近は霞が食べれるようになったんです。
   ソースといっしょに吸いこむと意外とおいしいですよ」

雷電「そ、そうか(久しぶりに涙が出そうになった……)」

総統「せっかくだから慰安旅行の仕切り直しをしようと、さっきまでメキシコ観光を
   堪能しておったんじゃが、いつの間にか菩薩峠君が居なくなってしまって……」

雷電「あの血色がブルーベリー色の子供が?」

吉田「またどこかのタンスの中で寝てるんじゃないかと思って
   タンスを探してるんですけど、タンスも菩薩峠も全然見あたらないんです」

ジョージ「子供って……そいつ、もしかしたらヤバイんじゃないかな」

総統「ぼ、菩薩峠君の身に何か起こるというのかね!?」

雷電「‥総統。俺の話を、落ち着いて聞いてくれ」

総統「子供を連れ去った挙句に臓器売買とは、どこまで非情な奴等じゃ!」

雷電「結局また付いてくるんだな」

総統「菩薩峠君だけでなく、多くの子供達の命がかかっておるからな」

雷電「その心意気はいいんだが……
   そういえば、フィリップが一人だけだな。残りの99人はどうした?」

吉田「物置きのCMのオファーがこなかったんで、いらない奴らはお釈迦様に極楽行きにしてもらいました」

雷電「釈迦(ブッダ)? もはや何でもありか……」

ドクトル『ここのサイボーグの警備ログを探すには“踏み台”が要る。
     そうだな‥トライポッド辺りでもあれば、システムに入り込めるんだが』

雷電「‥それなら、ここに適任が居るぞ」

   〜〜〜

ミストラル(私をこんな姿にした挙句に顎で使うなんて……いつかぶち殺してやる)イライラ

   ドカッ

警備兵「うわっ! 何だこのフンコロガシ、フラフラしやがって。このっ!」

   ゲシッ!

ミストラル「……」バチバチッ

   〜〜〜

雷電「シャッターの向こうから大勢の悲鳴が聞こえたから覗いてみれば……」

総統「そこかしこに松崎しげるが転がっておると思ったら、感電した警備兵じゃった」

吉田「きっとミストラルで蹴鞠でもしようとして反撃されたんですよ」

ケヴィン『雷電! さっきの警備ログに映っていた男が誰か分かった!
     スティーブン・アームストロング。アメリカの上院議員だ』

ミストラル「あら‥ばれちゃった」

ケヴィン『アームストロングはデンバーにある最大手PMC、ワールド・マーシャル社の実質的トップだ。
     ここでの悪行もデスペラードの連中に手を汚させ、法の抜け穴をついてやってるってわけだ』

雷電「保安官(マーシャル)と無法者(デスペラード)が手を組んでるのか。全く、いいセンスだな」

総統「そうと分かれば、ここでの悪事の全てを世間に公表してしまえば……」

ボリス『残念だが‥マスコミは、“スポンサー”に都合の悪い事は報道しやしない』

雷電「真実はいつも隠され、弱者はいつも虐げられるってことだ」ギリッ……

総統「……」

雷電「……先を急ごう。今の俺達に出来る事は、子供達の命を守ることだ」

所用によりここで一旦区切ります。
続きは明日の夜になると思います

   [CALL]

コートニー『大変よ雷電! さっきの場所にジョージの姿が無いの!』

雷電「何だって!? ‥くそ、あいつ一人を残した俺の判断ミスだ」

総統「いいや、こっちにも非がある。わし等の内、誰か一人でも残っておれば」

雷電「それじゃ人質が増えただけだ。ウルフを護衛に付けておくべきだったか……」

総統(わし等、全く期待されておらん……)

吉田「総統! 総統!」

総統「何じゃね吉田君……って、これは!」

吉田「研究所の片隅にタンスが! もしかしたらジョージも菩薩峠もこの中に……」

雷電「いや、それは無い」

吉田「ありえない、なんてことはない!」

総統「確かに以前、菩薩峠君がタンスの中で寝ていた事はあったけど‥でもねぇ」

吉田「大丈夫ですよ。何か出てきても、雷電さんが何とかしてくれます」

総統「おお、そうじゃったな。よし、じゃあ“一、ニの、三”で開けるんじゃ」

雷電「ちょっと待て、何が出るというんだ」

総統「いくぞ、いち‥にの‥さん!」

   ガラッ!

クリーチャー「オ゛コ゛オ゛オ゛オ゛!!」ズルルッ!!

総統・吉田「「ぎゃーーーーー!!」」

   〜〜〜

総統「ううう‥怖かったよぉ〜、怖かったよぉ〜」シクシク

雷電「お前達……次に変なモノを出しても助けないからな!」

フィリップ「吉田サーン‥吉田サーン!」

吉田「何だよフィリップ……あぁ、菩薩峠!? こんな所にいたのか!」

雷電「集められた子供達か。ジョージの姿が無いが‥とにかくこのガラスを斬って」

研究員「そこまでだ。ガラスを壊したら、こいつの頭が吹き飛ぶぞ」

ジョージ「うぅ……」

総統「子供に銃を突きつけて人質にするなど……!」

吉田「総統! 菩薩峠のいる部屋に変なガスが吹きこんでます!」

研究員「クロロホルムさ。あのガキ共は助からん。こいつだけでも助けたければ、大人しく投降するんだ」

ジョージ「‥俺のことはいいから‥こいつを斬ってくれ!」

雷電「! ……いいのか‥ジョージ……!」

ジョージ「俺の人生なんか、どうせクソだ……クズを道連れにできるなら、本望だ!!」

総統「馬鹿なことを言うんじゃない!」


雷電「ふ‥ハハハ……! ジョージはああ言ってるぜ……?」


総統「ら、雷電さん……」

菩薩峠「‥ぱ ぱ……」ビビビビビ

   バリィィィィィィンッ!!

研究員「な、何でガラスが勝手に割れて……!?」

ジョージ「今だ! 斬れぇっ!!」


   斬!


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—数日後 日本の麹町—

DF「おい鷹の爪……何で大家しかいねぇんだよ」

房子「デラックスファイターじゃないかい。あいつ等なら、
   わけの分かんない土管みたいなもので空に打ち上げられてったよ」

DF「空に? 何だよそれ超楽しそうじゃねぇか。俺の知らねぇ所で和気藹藹としやがって」

房子「正義の味方が友達感覚で悪の秘密結社んとこに来てどうすんだい」

DF「う、うっせーな、俺の勝手だろ!
   ‥ん? 土管の陰に小さいマシンがあるな……“雷電探知機”?」

房子「アメリカのデンバーって画面に出てるね。それより『雷電』って何だろうねぇ」

DF「魚雷の間違いじゃねーの? あいつ等そーいう間抜けなとこあるからな」

DF「デンバーか……ちょうど暇だし、どうせ家に帰っても誰もいねぇし‥久々に旅行にでも行っちまおうかな」

—デンバー—

ボリス『‥本当に行くのか、雷電』

雷電「俺はもう、うんざりなんだよ。
   組織によって正しい事が捻じ曲げられるのも、それを黙って見ているのも」

総統「‥雷電さん」

雷電「!? ‥本当に神出鬼没だな、鷹の爪団は」

総統「ジョージ君達を助け出した後のあんたは、どこか思いつめた顔をしておった。
   それがどうにも気になってな‥博士に頼んで、あんたを追跡するマシンを作ってもらった」

雷電「お前達は、“人に地球に優しい世界征服”がモットーなんだろう?
   敵とはいえサイボーグを……ジョージすら斬った俺とは、進む道が違う」

総統「確かにあんたは人を斬った。
   じゃが‥わしには、あんたが冷酷な切り裂きジャックとは思えないんじゃ」

総統「子供達のような“弱者”がこれ以上虐げられないよう、戦いに行くんじゃろう?
   その心意気は、わし等が求める世界征服と変わりはない」

総統「下らん国境を取り払って世界をひとつに結び、疑いやいがみ合い、傷つけあうこともなく、
   格差をなくし、誰の子供も自分の子供と同じくらい愛する……」

総統「わしはあんたに共感しておる。だから、わし等もとことん付き合ってやるわい!」

雷電「あんたはの信念は、本当にぶれないんだな」

総統「‥一度だけ、挫けそうになった事はある。
   自分がやっている事も、自分自身すら分からなくなって、いっそ田舎で誰にも干渉せず、
   干渉もされずにひっそり生きるのがいいんじゃないかとすら思った」

総統「そんな時、わしの目を覚ましてくれたのが吉田君じゃ」

総統「“わしごときが世界をどうこうしようなどおこがましい事じゃが、いま世界中で
   不幸になっている人がいるなら、泣いている子供達がいるなら、信念を曲げるな”とな」

総統「信念を曲げなければ‥あんたの一振りの剣でも、救えるものがあるはずじゃ」

雷電「……“活人剣”……」

総統「もしも、人斬りの事実との葛藤があるんなら、“斬れない剣”にしてしまえばいい」

レオナルド「そう言うと思って、用意しておいたぞ。
      “伝説の英雄”の心意気がこもった、“木刀 蛇魂”だ!」

蛇魂「待たせたな」

雷電「! スネーク……!?」

蛇魂「雷電。信じるものは自分で決めろ。そして次の世代に伝えるんだ」

雷電「……」

総統「いきなり自分をまるっきり変えろとは言わんが‥人に地球に優しい剣士も、ありじゃと思うぞ?」

雷電「……『人に地球に優しい』‥何度聞いても、リサイクルの標語みたいだ」

雷電「だが、悪くない」

 —信じるものは自分で決めろ。そして次の世代に伝えるんだ—

雷電(スネーク。この男の、世界征服‥いや、平和のミーム‥俺に守らせてくれ)

—ワールド・マーシャル社前—

サム「サイボーグ達の“心の声”にも動じないか。随分と肝っ玉が据わったな」

モンスーン「それか、そこの愉快な仲間たちの腑抜けたミームに飲まれたか……」

雷電「確かにこいつらの存在自体は腑抜けだが‥
   そこまで言うなら、あんたはさぞかしご立派な意思をお持ちなんだろうな?」

モンスーン「私の自由意志など‥全ては自然の成り行きだ」



吉田「あ、ネコだ」

モンスーン「私とて、自ら進んでこの世界で生きてきたわけではない……」

吉田「総統、見てくださいよ。ネコですよネコ」

総統「おお、かわいらしいのぉ。ほーれほれ、こっちにおいでー」

モンスーン「人の意思は“ミーム”と呼ばれる心の遺伝子によって……」

総統「うーん、なかなか撫でさせてくれん」

吉田「にゃーにゃー? にゃーごろにゃー(島根ちょーいいとこだぜ? 鳥取に近いし)」

モンスーン「風が吹き、雨が降る。愚かな人間が殺しあう。同じ事よ……」

総統「ずるいぞ吉田君! 鳩だけじゃなくネコともおしゃべり出来るなんて!」

吉田「何いってるんですか。メディアの少ない島根では一般的な情報収集法ですよ」ネコナデナデ

総統「わしだってネコの顎のもふもふ撫でたい!」

モンスーン「私の話を聞けぇっ!!」ドスドスッ!!

総統・吉田「「ぎゃーっ!?」」ザクザクッ!!

雷電「お前達はちょっと黙っていてくれ。今からあいつを、二度と立ち上がれない位にバラバラにしてやる」

モンスーン「ハッハッハ‥殺戮のユートピアへようこそ!」

   〜〜〜


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総統「うーむ‥やっぱりボス戦は減っちゃうねぇー」

吉田「ヘリや装甲車をサーターアンダギーみたいにして次々投げてくるせいですよ。
   “食べ物で遊ぶな”って習わなかったんですかねー」

総統「わしはどっちかというとがんもどき似だと思うんじゃが」

フィリップ「かきあげ……」ボソッ

モンスーン「さっきから好き勝手に‥そんなに金が惜しければくれてやる」

吉田「まままマジっすか! マジっすか!?」

モンスーン「但し、貴様等がこのキリングフィールドから生き延びられればの話だ」

雷電(ん? この流れ、デジャヴが……)

   斬!

モンスーン「ぐ……好きにするがいい……!」

雷電「終わr」


吉田「ストーーーーーップ!」


雷電「え‥いや、心配しなくとも木刀だから」

吉田「打撃だから死なないって保障がどこにあるんですか。
   そんなんあったら二時間ドラマの八割はストーリーが破綻しちゃいますよ」

総統「ああ、被害者の死因の大半が“角で頭を打った”だもんねぇ」

吉田「とにかくその人は僕達がすみやかに軟禁(ほご)します」

雷電「文字と読みが食い違ってるぞ」

吉田「やだなぁ、これは島根弁です」

レオナルド「元のボディは雷電がめった打ちにしちまったからな、代わりにこいつに換装しといたぞ」

マトリョーシカ(モンスーン)「こ、殺してやる……」

レオナルド「うるせーな、バラバラつながりでピンと来たんだよ」

総統「『好きにするがいい』と言ったのはそっちじゃろ」プークスクス

菩薩峠「……」ニヤニヤニタニタ

レオナルド「電磁力でひとりでに動けるから、バラして遊んだ後も片付ける手間がいらねぇんだ」

総統「さすが博士、子育てに追われる世のお母さん方への気配りまで搭載されておるとは」

ウルフ「入れ子式の人形の何処に、人間の脳を入れるスペースが……」

雷電「ウルフ。奴等の技術を論理的に考察するだけ時間の無駄だ」

吉田「さっきボリスさんにこれを見せたら『ハマコー!』っておたけびを上げてました」

総統「『ハラショー(素晴らしい)』じゃよ吉田君」

今日はここで終わりにします。
続きは水曜日になるかと思います

—その頃のデラックスファイター—

DF「くそっ、何で鷹の爪団の大家と一緒にデンバー観光しなきゃなんねーんだよ」

房子「あんた腐っても社長なんだから、あたしの分も金使って経済回してりゃいいんだよ」

DF(『舐めまわすよ!』って脅されなけりゃ、誰がこんな産業廃棄物と観光するかってんだ)

房子「誰が産業廃棄物だって!?」

DF「!? おまっ、エスパーかよ!」

房子「何となくそんな事考えてそうな面だと思ったら、案の定考えてやがったね!」

警官「おい、そこで何をしている! ここは避難勧告が出ているんだぞ」

DF「避難勧告? おいおい何があったんだよ」

警官「一市民が知る必要など無い。問題は“お前達が居座っている”という事だ」

DF「居座るどころかついさっき乗り込んだばかりだぜ」

警官「『乗り込む』だと? 貴様、まさか逃亡犯の仲間か」

DF「あ? 今のは言葉のあやとりかちりとりだっけ?とにかくそういう」

警官「詳しく話を聞かせてもらおうじゃないか。ええ?」

—ワールド・マーシャル社 屋上—

サンダウナー「“あの男”は“テクムセ作戦”を実行する‥現行の巡航機では追い付く事は不可能だ」

サンダウナー「そもそもお前達は、生きてここから出る事は叶わん」

雷電「邪魔をするなら押し通るまでだ」

   斬!
   ドカァンッ!!

ボリス『爆発反応装甲か!? 雷電、あの盾を無闇に攻撃するな!』

雷電「ちっ‥空中にはハンマーヘッドのおまけ付きか」

サンダウナー「お前の残虐性を見せてみろ。ジャック!」



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総統「‥予算、最後までもつと思うかね?」

吉田「いやー無理でしょ。ラストまであと2回ボス戦がありますから」

総統「そろそろミストラル達から債権回収してもいいんじゃないかな」

吉田「僕もそう思ったんですけど、二人とも頑として首を縦に振らないんですよね。
   力ずくってのもデラックスファイターと同列になる気がして精神衛生上よくないし」

雷電「あいつ等はまた金の話を……」

サンダウナー「庶民の悲しい性だな。その程度の金で騒ぐなど」

吉田「僕達ほどお金について真剣に悩む秘密結社なんてないですよ。
   お金なさすぎて、こないだなんて爪の垢を煎じてお茶っ葉がわりにしたんですから」

サンダウナー「汚らしい奴等め。そんなに金が欲しいなら恵んでやらんでもない」

吉田「まままマジっすか! マジっすか!?」

サンダウナー「ああ。貴様等がここから生きて出られればの話だがな」

雷電「あっ……」

ボリス『……やはりこうなってしまったか』

地蔵(サンダウナー)「ふざけるな! 何だこの石の像は!!」

レオナルド「うるせーな、瓦礫がそこかしこに落ちてたからだ!」

総統「瓦礫で作られたにしては手触りが‥わしの踵ほどにも硬くないぞ」ツンツン

レオナルド「最近は食い物でも何でもソフトな方がウケがいいからな、表面は人工皮膚にしてみたんだ」

雷電「そいつに聞きたい事がある。“テクムセ作戦”とは何だ。一体何をする気だ?」

サンダウナー「これ以上は話さん」

吉田「言わないってんなら、10秒沈黙するごとに一本ずつつけまつげで植毛するぞ」

サンダウナー「はっ、何だそれは。脅しにもならんな」

吉田「じゃあさっそく植毛‥やべっ、糊がない。漆ならあるんだけどなーいけるかなー漆で」

吉田「大統領を襲おうなんて、何てことを企んでるんですか。アムステルダムって奴は」

雷電「アームストロングだ」

ケヴィン『大統領は地球の裏側に向かってる‥巡航機じゃ追いつかないってのはこの事か』

コートニー『ちょっと待って。確かに“普通の航空機”じゃ無理だけど、宇宙往還機なら追いつけるかもしれないわ』

雷電「その手があったか。よし、さっそく“彼女”と連絡を取ってくれ」

ボリス『了解だ。‥ところで、お前達の足元で「かゆい」と呻いているサンダウナーはどうするんだ』

雷電「重いので置いていく。あとうるさい」

吉田「じゃあついでに賽銭箱もつけて、会社前に置いておきましょう。夢の不労所得!」

総統「賽銭泥棒にしか見えんわい……」

ボリス『“彼女”が協力してくれるそうだ。ソリス社まで急げ、雷電!』

雷電「どこかでバイクでも拝借……そう都合よく有りはしないか」キョロキョロ

吉田「それならいい物がありますよ」

雷電「‥言っておくが、風に流されて不時着するような代物は使わないからな」

吉田「やだなぁ違いますよ。博士ー」

総統「この、妙に立て付けの悪いドアは、もしや……」

レオナルド「おう、更なる改良を施した“シマンネェ ワールドバージョン”だ!」ババーン

総統「これは島根行き専用じゃなかったかね」

レオナルド「バカヤロ、『ワールドバージョン』って言っただろ! 島根以外にだって行けるぞ」

吉田「これで目的地まであっという間」ガチャッ

吉田「あぁっ! 大変です総統!!」

総統「どうしたんじゃ!? まさかまた島根と鳥取を間違えたんじゃ」

吉田「さすが『ワールドバージョン』、島根を軽々と越えちゃいましたよ‥扉の向こうにあるのは‥」

吉田「山口県です!」

雷電「ヤマグチケン?」

コートニー『えっと‥いま調べてみたんだけど、山口県っていうのは日本の地方都市みたい。
      本州の最西端にあって……えっ、フグが名産なの?』

ケヴィン『まさか、あの猛毒を持つフグを食うってのか?』

吉田「そうです。フグを踊り食いしてもピンピンして、バンバン総理大臣を輩出する、恐ろしい所……!」

総統「外国の人に間違った知識を与えちゃダメだって!」

吉田「何度ドアを開け閉めしても錦帯橋が目の前に!」ガチャンバタンガチャンバタンッ!

雷電「これ以上ふざけるようなら置いていくぞ」

レオナルド「しょーがねぇな。じゃあコイツを使うか」

総統「おおっ、これは“夜逃げマシーン”じゃないか! これなら宇宙もひとっ飛びじゃ」

レオナルド「あいにくその機能はメンテナンス中だ。だけど走りならそこらの車の比じゃねーぞ」

夜逃げマシーン「あばぁぁぁぇエンジンが焼けるぅぅぅぅぅぃい痛いよ辛いよぉぉぉぉぉ!!」

雷電「博士‥アクセルを踏み込む度に車が悲鳴をあげるんだが」

レオナルド「夜逃げの陰惨なイメージを再現してんだよ」

   〜〜〜

雷電「とうとう悲鳴すら上げなくなった‥もう少しで着くから持ちこたえろよ」

総統「! 道の真ん中に人影が……」

雷電「ウルフ‥それにアイツは……」

吉田「じぇ‥ジェットストーキング・サム」

雷電「ジェットストリームだ。わざわざ俺を待っていた様だな」

サム「……」

雷電「? おい」

サム「……」

雷電「ウルフ、こいつに一体何があったんだ? まるで燃え尽きたみたいに真っ白になっているぞ」

ウルフ「俺が到着した時には既にこの状態だった。ヴァイタルサインはあるものの、何度呼びかけても応答が無い」

吉田「総統。あんなふうになっちゃった人、前にも見たことある気がするんですけど」

総統「わしもじゃ。しかしそうなると、“あの人”がここにいる事に……」



房子「アンタら! 家賃も払わずこんなとこにいたのかい!!」

総統「やっぱりいたーっ!!」

——
———
—————

DF「はーっはっはっは! バイクさいこー! 音速を超えてやるぜぇー!」ブォンブォン!!

房子「ぬぅすんだぁバァイクーではぁしりぃだすぅ〜っ!」

DF「変にコブシをつけて歌うんじゃねぇよ! せっかく産廃とのツーリングっていう事実を忘れかけてたってのによぉ」

房子「歌詞をはっきり書いちまうと、どこぞの団体が“使用料払え”ってうるさいから仕方ないだろが!
   警官をデラックスボンバーで吹き飛ばした挙句にバイクを盗んだ奴が生意気な口きくんじゃないよ!」

DF「盗んでねーよ、違法駐車されてて避難の妨げになると思ったから移動させてんだよ」

房子「!! ちょっとバイク止めなぁっ!!」

   キィィィィィッ!!

DF「あっぶねぇっ! いきなりハンドル奪ってブレーキかけ……ん? だれだコイツ」

サム「おやおや、ジャックかと思ったんだがなぁ」

サム「俺は人を待ってるだけだ。気にするな」

DF「こんな荒野で人待ちだぁ? まぁ俺には関係ねぇからいいけどよ」

房子「あたしにゃ関係なくないね……」ギラギラ

サム(! こいつ、飢えた獣みたいな目をして、一体何を考)

房子「キャプチャー!」ガバァッ!!

サム「うおっ!?」ドサッ!

DF「こ、このババア早いっ!」

房子「アンド イート!!」

   ブッチュゥゥゥゥゥッ!!

サム「〜〜〜〜〜!!」ジタバタッ

DF「お゛え゛え゛え゛え゛え゛っ!!」ゲボゲボゲボ

—————
———
——

DF「鷹の爪団!! おまえ等のせいでひどいもん見ちまったぞ! 慰謝料払え!!」

総統「わし等のせいってそんな無茶苦茶な」

DF「うるせっ! おまえ等は大家の店子なんだから同じことだろーがデラックスボンバー!!」ビカーッ!

総統「反論くらいさせてーーー!」

   ボカァァァンッ!!

房子「ちょっとアンタ!」

雷電(あ、あの女は‥三日三晩うなされたあの悪夢に出てきた……!?)

房子「あたしのダーリンに気安く近付くんじゃないよ!」シッシッ

総統「大家さん、雷電さんに気付いておらんのか? あれだけ激烈に唇を奪ったというのに」プスプス

吉田「あの時と髪形変わってますし、眼帯がついて下唇はとれちゃってるからわからないんですよ」プスプス

総統「気付かないならそれでいいんじゃが‥その男を『ダーリン』と言ったのは」

房子「べっ、別にこれは浮気なんかじゃないよ!?」

総統「いやそんな心配はしとらんどころか結婚した覚えすらないんじゃが」

房子「仕方なかったのさ……ダーリンを一目見た瞬間、あたしの中の“女”が目覚めちまったんだから……」

一同「お゛ぼ゛ろ゛ろ゛ろ゛っ!!」ゲボゲボゲボ

ウルフ(何だ、この胸に込み上げるものは……これが嫌悪感というものか?)

ウルフ「雷電。勝手を承知で頼むが‥この場はサムを見逃してもらえないか? どこか安全な場所に避難させたい」

雷電「‥好きにしろ。こんな状態では、雪辱も晴らせそうにないしな」

ウルフ「恩に着る」

房子「ちょっと! あたしのダーリンをどこに連れてこうってんだい!?」

総統「大家さん追ってはならん! 奴はもう十分に報いを受けた!!」

房子「報いってなんだい報いって! あたしの純真を何だと思ってんだ!」

吉田「純真どころかもはや呪詛のようです!」

房子「何だって!?」

総統・吉田「「ぎゃーっ!!」」

ウルフ(すまない、総統、吉田‥お前の事は決して忘れやしない)ダッシュ!

—ソリス社—

サニー「この人達が、ハル兄さんとスネークが言っていた“鷹の爪団”?」ジーッ

総統「何やら穴があくほど見つめられておるが‥秘密結社は苦手かな?」

サニー「あっ、そういうのじゃないの! 前にハル兄さんが日本から帰ってきた時、
    ものすごく白髪が増えてたから‥てっきり鷹の爪団に怖いことされたのかと思って」

雷電(‥そういえば、あの時のオタコンもさっきのサムと同じ状態だったな……成る程。
   どういういきさつがあったかは分からないが、女運が無いんだな、オタコンは……)

   〜〜〜

雷電「ウルフ。もう戻ってきたのか」

ウルフ「ああ。お前に協力すると決めた以上、俺は最後までお前に付いて行く。
    サムなら心配は要らない。真っ白から徐々にセピア色に変化するにつれ、意識も取り戻した」

雷電「口に咥えている“それ”は、奴から借りてきたのか?」

ウルフ「‥俺も、ナイフだけでは心許ないと思ってな」

DF「うひょー! この宇宙船すげぇじゃねーか! 来てるな未来!!」

総統「何でお前まで乗り込むんじゃ。大家さんとデンバー観光に戻ってもいいんじゃぞ」

DF「冗談じゃねぇよ。あんなのと一緒にいる位ならおまえ等といた方が1兆億倍マシだ」

吉田「そのわりには、遠足の班決めで余っちゃったけどそのおかげで
   好きな子がいる班から声かけてもらえた小学生男子みたいに嬉しそうだな」

DF「べ、別に嬉しかねーよバーカ!」

サニー『みんな乗り込んだわね。それじゃあ、発射ーっ!』

総統「まだベルト締めてなばばばばば!!」ガタガタガタッ!

   〜〜〜

雷電「到着したな。おい、大丈夫か総統‥機内をピンポン玉の様に跳ね回っていたが」

総統「な、何のこれしき……」

吉田「あぁっ、総統の膝がくの字に曲がってるっ!」

雷電「膝に力が入ってないだけだ。折れたみたいに言うな」


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キリが良いので今日はここまでで終わります。
明日もおそらく更新すると思います

雷電「警備兵も頑丈な奴等ばかり配置している。見つかると面倒だな……」

DF「何だ、あの基地に乗り込もうってのか? よーっしデラ」

総統「待て待て待て! それをやったら一発でバレてしまうじゃろ!?」

DF「何だよ。この大所帯でコソコソ行く方が面倒じゃねぇのか?」

雷電「アンタの言う事も一理ある。‥そこでだ。俺に考えがある」

 [SUB WEAPON : MATORYOSHKA(MONSOON)]カシャンッ

モンスーン「ま、まさか‥止めてく」

雷電「ふんっ!」ブオンッ!!

   ヒュルルルルル……ゴッ!!

警備兵A「何だ? マトリョーシカが……どこから飛んできたんだ?」

モンスーン「ジャックめ、いつか殺してやる……!」

警備兵B「しゃ、喋った!?」

モンスーン「ちっ……こんな姿で死ねるか!」フワッ

警備兵C「浮いた!? 何だこの未確認飛行マトリョーシカは!?」

警備兵A「もしかしたら新手の無人機かもしれない! 逃がすな!」

警備兵C「ぐわっ! こ、このマトリョーシカ、強い……」

警備兵B「各警備兵に告ぐ! 所属不明の無人機を発見、速やかに排除せよ!」

   ワーワー! バタバタバタ……


雷電「……よし。今のうちに行くぞ」

雷電「変だな。斥侯に行ったウルフから応答が無い……」

吉田「あぁっ、あそこを見てください! ウルフがボロボロでたおれてます!」


   ゴゴゴゴゴ……!!!


総統「な‥何じゃこのバカでかいマシンは!?」

ドクトル『メタルギアエクセルサスか。まさかこんな所で実物を見ることになろうとは』


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総統「わー! 残り予算がマス目3つ分に!! まだ登場しただけなのにー!」

 budget : MIN ■■■□□□□□□□□□□□□□□□□□ MAX <ピコーンピコーン!


総統「あああ、警告音がなるってことは、とうとう……」

吉田「ええ、“島根の良心”と呼び声高いと思っている僕ですが、ここは心を鬼にして‥えいっ」

   ボフンッ

そうとう「やっぱりはいけいがてきとうに……って、わしのせりふがぜんぶひらがなに!?」

吉田「無駄な労力をとことんカットしたらそうなりました」

???「何だこのふざけた背景は!?」

雷電「……おい。エクセルサスの中から針金みたいな棒人間が出てきたが‥もしや、あれは」

吉田「スティーブン・アームストロングにきまってるじゃないですか」

ミストラル「あ、あれがあの人……!? 私は認めない‥認めないわ……!」

吉田「認める認めないじゃなくて、予算不足なんですって」

ミストラル「……なら、金さえあれば元通りになるのね?」

吉田「ですね。必要な経費はだいたいこのくらいで……」つ電卓

ミストラル「いいわ、払ってあげる。但し、これであの人が元に戻らなかったらぶち殺すわよ」

吉田「ありがとうございます!」


 budget : MIN ■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□ MAX <チャリーン♪


総統「おお、全部元通りに……わしの台詞もきちんと変換されておるな」

雷電(今、鷹の爪団の薄ら暗い部分を垣間見た気がする)

雷電「お前の計画は失敗だ。大統領は殺させない」

アームストロング「もう遅い。SNSを見ろ、情報弱者め。俺の計画は既に成功を収めた!」

雷電「何?」ネット閲覧中……

アームストロング「どうだ? 今やネット上は、テロリストに対するアメリカ国民の怒りで満ちているだろう」


雷電「えっ」


アームストロング「‥その渋い反応は何だ」

雷電「いや……怒りどころか、ネット上は別の話題でもちきりだが」

アームストロング「馬鹿な‥基地の写真を流して、無反応な筈が無い」


レオナルド「“基地の写真”ってのはコレのことか?」

レオナルド「こんなこともあろうかと、ネット上に予防線を張っておいた。
      俺達にとって不利になる情報が流れたら、そいつが広まる前に、あらかじめ俺が用意しておいた
      データとすり替えるウイルスを流しておいたんだ」

吉田「さすが博士、天才過ぎぃっ!」

雷電「もはや予知能力レベルの危機対策だな」

アームストロング「畜生が……!」

総統「危ない所だったんじゃな……だとすると、今インターネット上に流れている情報は、一体」

吉田「あぁっ! これはヤバイですよ総統!」

総統「何じゃ!? この“折れ線グラフのデータ”がどうヤバイというんじゃ吉田君!」

吉田「これを見て話題にならないわけがないですって……この折れ線グラフは‥」


吉田「コートニーさんの基礎体温表です!!」

一同「何ぃっ!?」

コートニー『えっ嘘でしょ……い、いやーっ!! 何で!? パソコンにこっそり記録してたのに!!』

レオナルド「前にマヴェリックでパソコンを漁ってたら偶然見つけたんだよ」 ※>>17参照

コートニー『何でそれを持ち出すのよっ!!』

吉田「コートニーさんは6日のようですよ」

男性陣「ほ、ほう……」

コートニー『変態! 変態!! もうセーブしてあげないんだから!!』

雷電「あっ、いや、今のは誤解……こ、コートニー!」

アームストロング「興味深い物を見せてもらったが‥俺の計画を台無しにしてくれたのはいただけねぇなぁ……
         お前達全員、このメタルギアで消し炭にしてやろう」

雷電「来るか‥こいつばかりは高周波ブレードで叩き斬るしかなさそうだ」

アームストロング「わが国の為に死ね、ジャック!!」

   〜〜〜

雷電「はぁぁぁぁぁっ!!」


   斬!!


総統「やった! 雷電さんが勝ったぞ!!」

ミストラル「‥ふふ、甘いわよ。坊や達」


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DF「おいおい‥剣を素手で受け止めやがったぞアイツ! ただの上院議員じゃねぇのか!?」

アームストロング「ナマクラが……ふんっ!」

   バキィンッ!!

雷電「馬鹿な……なぜ攻撃が効かない!?」

アームストロング「あらゆる衝撃に対し、一瞬で硬化するナノマシン‥どうだ、便利なものだろう。
         俺がその気になれば、大統領だってぶっ飛ばせるんだ!」

雷電「うぐ!?」ドゴッ!!

アームストロング「俺には夢がある! 個人の闘争を取り戻し、強い奴だけが生き残る世界を作る!
         せこく儲けてる柔なインテリや草食系なんてふざけた連中は、俺がぶっ飛ばしてやる!」

雷電「がはっ……!」ボゴッ!!

アームストロング「古きよきアメリカを、西部開拓時代の混沌を、取り戻す!!」

   ドゴォォォンッ!!

総統「ら、雷電さん!! うぅっ‥見ちゃおれん……!」

アームストロング「どうだ? 俺の演説は」

雷電「‥強い者だけが、生き残る……西部開拓時代の、混沌……」

アームストロング「そうだ。分かってくれたのか」

雷電「……しゃらくせぇっ!!」

雷電「何が古きよきアメリカだ‥弱肉強食の世界だと? そうしたところで、虐げられるのはいつも弱者だ!!」

アームストロング「何を……お前なら分かる筈だぞ“ジャック・ザ・リッパー”!
         力で他の奴等をねじ伏せて生きてきたお前ならな!」

雷電「‥そうだ、俺は、ジャック・ザ・リッパー……」

雷電「活人剣として蛇魂を握っていても‥心の奥では、戦いを‥楽しんでいた……!!」

雷電「だがな、それでも、アンタのイカレた演説なんぞクソくらえだ」

雷電「‥“下らない国境を取り払って世界をひとつに結び、疑いやいがみ合い、傷つけあうこともなく、
   格差をなくし、誰の子供も自分の子供と同じくらい愛する”世界……」

アームストロング「その甘っちょろい理想論がお前の夢だと?」

雷電「こいつは、俺が守るべきものと信じたミームだ。確かに甘っちょろいが‥人に地球に優しいってのも、ありだろう」

ウルフ「雷電!!」

雷電「ウルフ!?」

ウルフ「雷電‥俺はさっき、嘘を吐いた。“コレ”はお前への届け物だ。‥再生、開始」


サム『よお、雷電……』

サム『お前との決闘を、楽しみにしてたが‥このザマだ。情けない。
   今は、お前とアームストロングの戦いを、見届けさせてもらう』

サム『どっちが勝つかは、俺にはどうしようもないが‥どうしてもって時は、こいつを使え。
   少なくとも、お前の剣よりかは斬れるだろうさ』

サム『俺の家宝だ。生きて帰れたら、返しに来い』

サム『あぁ、こいつを使わなくて済んだなら、その時は余計なお世話ってことで、黙っといてくれよ。ウルフ』


雷電「サムの奴‥味な真似を」

吉田「あのー、カッコいいところをまことに恐縮なんですが」


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総統「予算が減ってたの忘れてたー!」

吉田「ということで、それっ」

   ボフンッ

らいでん「な‥なんだこれはーっ!?」

そうとう「あぁっ! らいでんさんが、こうしきさいとのだつりょくけい4こままんがのようなすがたに!?」

サニー『いやーっ!! ジャックが……私のヒーローが……!』

あーむすとろんぐ「ぐわーっ!?」

ミストラル「あの人がまた棒人間に!? 早く何とかしなさい!」

吉田「そんなにいうならサニーと二人でカンパしてくださいよ」つ電卓

サニー『む、無理よそんなお金……権限はある程度もらってるけど、未成年だからお給料高くないし……』

ミストラル「……もうそんな金額は残ってないわ」

吉田「あ、らいでんくん、戦闘どうぞ。効果音はボリスさん達、おねがいします」

らいでん「ら、らいでんくん……や、やぁーっ!」

ケヴィン『やるのかよ! ええーと‥ダダダダッ!(※足音)』

あーむすとろんぐ「は、はぁーっ!」

コートニー『あう‥が、ガチーンッ!(※肉体硬化)』

らいでん「らぁーっ!」 <ケヴィン「ブオンッ(※右ストレート)」

あーむすとろんぐ「ぬっ!?」 <コートニー「ドゴォッ(※クリーンヒット)」

ボリス『何だこの悪趣味な戦いは!!』

吉田「あぁ、お金さえ、お金さえあればいいのに……」

 budget : MIN ■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□ MAX <チャリーン♪


総統「な、何じゃ? 予算が回復した……」

モンスーン「見るに耐えんな」

総統「無事だったのか‥もうすっかり存在を忘れかけておった。それより、どうして今になって」

モンスーン「私をなめるなよ。中の3層目を囮にして逃げ切ったさ」

モンスーン「この戦い、どちらが勝とうが、ジャックが死のうが構いはしない。全ては自然の摂理だ。だが‥
      奴のあの腑抜けた姿を見ろ。あんなのに私は負けたのかと思ったら、腹立たしくなった。それだけだ」

雷電「理由はどうあれ‥助かった。一生あのままだったら、ローズに顔向けできないどころじゃなかった……」

アームストロング「やはり戦いはこうでなくちゃあな‥さぁジャック、俺を倒してみろ!!」

雷電「‥オーケー。この刀で‥少し、遊ばせてもらおう」

雷電「はぁっ!!」

   斬!

アームストロング「ぐっ……!」

雷電「——これで終わりだ!」


   奪!


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総統「終わった……」

ミストラル「‥理想が潰えた……完全に、存在意義が無くなっちゃったわけね」

雷電「お前達はレオナルド博士の被造物だ。お前達の処遇は、鷹の爪団に決める権利がある」

総統「……」

総統(わしの一声が、二人の生き死にを分ける……こいつ等は悪人じゃ‥しかし……)

雷電「‥総統。どうしても辛いのなら、俺が」


フィリップ「アノ……その二人、うちの会社デ引き取ります」

ミストラル「引き取るですって?」

フィリップ「鷹の爪団の“世界征服”は、“全テの人が幸せになる”こと‥ダカラ……」

総統「フィリップ……そうじゃ、それでこそ鷹の爪団」

雷電「例えそれが、無法者であってもか。‥お前達らしい」

総統「じゃが、この二人を雇う余裕はあるのか? スポンサー活動すら自粛しておる最中じゃろう」

フィリップ「さっき、操業再開のメドが立ったと連絡がアリました。もう大丈夫デス」

ミストラル「私は御免だわ。貴方達の下で働く気は無い」

モンスーン「同感だ」

総統「うーん‥この二人の気持ちが変わらんことには無理か……」


吉田「“気持ちを変える”んなら、ピッタリの怪人がいるじゃないですか」

雷電「『怪人』だと?」

吉田「髪の毛かぼさぼさだと自然とやる気もなくなっちゃうって経験、ありませんか?」

雷電「あぁ、サイボーグになる前はそんな事もあったような」

吉田「そこで、“髪型を変えることで気持ちを切り替えられるなら、
   世界征服にぴったりの髪型にできる怪人を作ろう”ってなったことがあるんです」

雷電「……まさか、本当にそんな怪人を生み出したのか?」

吉田「当然じゃないですか。博士の科学力は世界一ィィィ!なんですから」

レオナルド「こいつがその怪人、“カリスマ美容師怪人 キューティクルン”だ!」

怪人「毛先に動きをつければ、どんな難しい注文でも対応できますよ」ババーン

レオナルド「“髪の毛”が無いと意味ねぇからな、二人とも人型のボディを作って、脳を移しといたぞ」

ミストラル・モンスーン((やっと人間になれた……))

総統「さすが博士、仕事が速い」

怪人「さぁ、なんなりと注文を仰ってください。どんな髪型でも再現してみせますよ」

吉田「じゃあそこの人を“失恋から立ち直って『もう恋なんてしない』と仕事に打ち込むキャリアウーマン”に」

ミストラル「くだらない‥髪型で性格が変わるわけが」

   〜〜〜

怪人「全体的に髪の毛を少し梳いて気持ちの軽やかさを出しつつ、毛先を遊ばせて前向きさを表現してみました」

ミストラル「きっと、恋に恋をしていたのね、今までの私は……これからは仕事が恋人!」

モンスーン「誰だ貴様は!? ミストラルがこんなに清清しいわけがない!!」

吉田「疑うんなら、キューティクルンに髪型変えてもらったらいいじゃないですか」

怪人「今度はどんな髪型にしましょう」

吉田「じゃあ“年相応のキャリアと老け顔になった島耕作”」

モンスーン「やめろ!! 分かった、条件を飲もう!」

—数日後—

雷電『そっちの様子はどうだ?』

総統「世界征服に向けてバイトの日々じゃよ」

雷電『もう若くないんだ、無理はするなよ。フィリップの会社の方は大丈夫か?』

総統「あぁもう順調そのものじゃ。ミストラルをCMに起用したら“美し過ぎる元軍人サイボーグ”と話題になったし」

吉田「ヤフーで『ミストラル』って入力した後にスペースを入れると、予測変換に『本物』って出てきますよ」

総統「モンスーンの方は元マフィアということで表立っては働けんが、
   三ヶ国語を話せるほど頭が切れるようで、嫌々ながらも仕事の出来は優秀だそうじゃ」

雷電『ものは使いようだな』

吉田「そういえばジェットストーキングはどうなったんですか?」

雷電『だからジェットストリームだ。あの直後に姿を消して以来行方知れずだが、少なくとも死んではいないだろう』

雷電『いずれ出会うことがあれば、今度こそ雪辱を晴らさせてもらうさ』

総統「“世直しの旅”の方は順調かね?」

雷電『そんな大層なものじゃない。俺はただ、俺の闘争を続けているだけだ』

総統「わしも負けてはおれんな。早く世界征服を実現しないといかん」

雷電『期待はしているんだ。頑張ってくれ、鷹の爪団』

総統「雷電さんも頑張っておるんじゃ。わし等も負けてはおれんぞ吉田君」

吉田「そうですね。そこで英気を養うためにも、今度こそ慰安旅行を成功させましょう」

総統「頑張ろうって言ったそばから何で休むの!? だいたいねー‥」


 budget : MIN ■■■■□□□□□□□□□□□□□□□□ MAX


総統「予算すら赤字ラインに片足つっこんでる状況なのに、旅行なんて無理じゃよ」

吉田「それなら大丈夫ですよ。“とっておき”を最後にとっておいたんですから」

吉田「僕の知り合いの友達の好きな人に、美和子さんって人がいるんですけどね」

総統「あれ、全く関係ない会話になっておらんか?」

吉田「いいから聞いてくださいよ。それでですね、その美和子さんには農家の恋人がいたんですけど、
   美和子さんがムダ毛処理でカミソリ負けしたってのに、恋人は栽培に夢中だったんですよ」

総統「カミソリ負けなら、恋人がそこまで気にすることもないんじゃないかねぇ」

吉田「恋人の肌がぶつぶつのまっかっかなんですよ? 見た目気持ち悪くて気になるのが普通でしょ」

吉田「なのに恋人は栽培中のスイカばっかり見てたから、美和子さんが愛想尽かして別れちゃったそうです」

総統「恋人よりスイカを取ってしまったばかりの悲劇じゃな」

吉田「自分への愛がスイカへの愛に負けちゃあ仕方ないですよ」

吉田「美和子さんからすれば‥


   “スイカより愛を込めて”って気分ですね」



総統「……」

吉田「……」


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 budget : MIN ■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□ MAX <ギュギュギュギューンッ!!


吉田「やったー! サブタイトル回収ボーナス入りました!」

総統「最初からそうすればよかったのにーーーーーー!!」



—to be continued—

—その頃のデラックスファイター—

DF「デンバー旅行の仕切り直しに来たはいいけど、一人旅ってのは、あれだな……
   鷹の爪団に声かけるだけでもすりゃよかったか……」

DF「いやいやいや! なに寂しがってんだ俺! ぜんっぜんさびしくねーし! 一人旅たーのしぃーなぁー!」

DF「なんというか、一人で、静かで、豊かで……ん?」

DF「何でこんなとこに地蔵があんだよ。しかも頭につけまつげ付いてて気持ちわりぃな」

DF「海外でも地蔵にお供えする奴いるんだなー。うまそうなおはぎが……」

   グゥ〜ッ

DF「……」

DF「‥誰も見てねぇよな」

DF「カラスに食い散らかされちゃもったいねぇから、俺がもらってやろーっと」ヒョイッ

サンダウナー「TIA!!」カッ!!

DF「わーーーーーっ!?」



                                     終

ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。
再現率高いと言ってもらえて嬉しいです。
これをupしている最中にもうひとつクロスネタを思いついたので、そっちも書き上げられたらまたスレ立てようかと思います。

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