野崎「VR?」 (19)

御子柴「おう! ついに買っちまった」

佐倉「VRってなんだっけ? 名前はよく聞くけど……」

御子柴「バーチャルリアリティの略。 所謂仮想現実って奴だ」

御子柴「空想の世界がまるで今ここにあるかのような体験ができるんだぜ!!」

御子柴「んで、俺が買ったのは……」

御子柴「好きな人に色んな事を言わせたり動かせたりするVRだ!!」

佐倉「……??」

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野崎「すまない、イマイチピンと来ないんだが……」

御子柴「……まぁこういうのは実際に見てみた方が早いな」

御子柴「野崎、ゲームの準備してくれ」サッ

佐倉「VR持ってきてたの!?」

野崎「あ、ああ」ササッ




野崎「できたぞ」

御子柴「よし、それじゃあ俺の方は……」ゴソゴソ

佐倉「……スマホ?」

御子柴「おう、スマホとゲームを連動させるんだ」

御子柴「んで、スマホの方で写真を選んで……後は……」

御子柴「野崎、ちょっとこれつけろ」

野崎「……!! 確かこの近未来的なゴーグルをつけると飛び出して見えるんだったか?」

御子柴「おう」

御子柴「……おし!! これで……」

野崎「……おお!! これは……」

御子柴「俺の好きな、ガルプリのさやかちゃんだ!!」

野崎「飛び出して見える!!」

佐倉「へぇ~……凄いなぁ……」

御子柴「野崎、コントローラ使ってみろ」

野崎「動かせるのか?」

御子柴「おう」

野崎「……本当だ!! こっちに近づいていく!!」

御子柴「ボタンで色んなアクションもできるんだ」

御子柴「それだけじゃねえぞ」

『こんにちは』

野崎「!!!」

御子柴「喋らせる事もできんだ!!……流石に声までは再現できねぇけどな」

野崎「……驚いた、今のゲームはここまで技術が進んでるんだな」

御子柴「すげぇだろ!? これがあれば……」

御子柴「俺の大好きなあの子やあの子の妄想をリアルに再現できるんだぜ!!」

野崎「……」

佐倉「……」

御子柴「変な目で見てんじゃねえ!!///」

佐倉「……!! ね、ねぇみこりん!! 聞きたい事があるんだけど……」

御子柴「ん? なんだよ?」

佐倉「これって画面に登場させるのって……二次元の人しかダメなの?」

御子柴「いや、そんな事はねぇぞ? スマホに画像があって、切り抜きさえちゃんとすればリアルの人もちゃんと喋らせたり動かせたりできるぜ」

佐倉「……へぇ~」

野崎「佐倉も興味が湧いてきたのか?」

佐倉「え、えーと……少しだけね」

佐倉「……」
















佐倉「買っちゃった……ついに買っちゃった……」

佐倉「みこりんの言ってたVRゲーム!!」

佐倉「説明書は一通り読んだから……後は……野崎くんの画像を……」

佐倉「……」

佐倉「……」

佐倉「ああああああああああ!!! 私ガラケーだから連動できないいいいいいいい!!!」














御子柴「……はぁ!!? 野崎の画像持ってお前ん家に来い!!?」

佐倉『お願いみこりん!! 私達友達でしょ!!?』

御子柴「……つってもよ、今日は新作の発売日で……」

佐倉『こんな事頼めるのはみこりんしかいないの!! お願い、みこりんだけが頼りなの!!』

御子柴「……!!」

御子柴(俺だけが……頼り……)

御子柴「……よく分かってんじゃねえか。 しょうがねえ、来てやるよ」

御子柴「待つのが辛すぎて……死ぬんじゃねえぞ?」

佐倉『ありがとうみこりん!!』

御子柴「///」

御子柴「お邪魔します」

佐倉「いらっしゃい!!」

御子柴「……何気にお前ん家来るの初めてだな」

佐倉「そうだね!!」

御子柴「……」

御子柴(初めて女子の家入んのに全然緊張しねぇ……)

御子柴(俺がそれだけ佐倉を異性として見てねぇって事か……)

佐倉「野崎くんの画像ある!?」

御子柴「ほらよ」

佐倉「おほ~~~~///」

御子柴「ほら、早くやんぞ。 俺もさっさと帰りてえからよ」

佐倉「……みこりん」

御子柴「なんだよ?」

佐倉「写真撮るのあんまり上手くないね」

御子柴「俺もう帰っていいか?」

佐倉「ご、ごめん!! 本当にごめん!!」

御子柴「分かった!! 分かったからしがみつくな!!」

御子柴「……おし、準備できたぞ。 そっちは?」

佐倉「バッチリだよ!!」

御子柴「じゃあ転送すんぞ」









パッ

佐倉「!!!!」

佐倉「の、の……」

佐倉「野崎くんが私の目の前に!!!///」

御子柴「なんか言って欲しい台詞とかあるか?」

佐倉「!! じゃあね……」










『佐倉、ここにベタしてくれ』

佐倉「はい!!///」

『佐倉、お茶いるか?』

佐倉「うん!!///」

『佐倉、セーラー服着ないか?』

佐倉「ごめん、それはちょっと……」

御子柴「……」

御子柴「……なぁ佐倉」

佐倉「?」

御子柴「これ、いつもの光景じゃねえか?」

佐倉「? そうだよ?」

御子柴「あのな……折角なんだからよ……もっと普段じゃできねぇような事言わせろよ」

佐倉「えっと……例えば?」

御子柴「まぁ見てろよ」カタカタ……

『佐倉』

佐倉「!! な、何野崎くん!?」

『今までずっと……言ってなかった事がある』

佐倉「言ってなかった事……?」

『佐倉、俺は……』

『お前が好きだ!!』

佐倉「えーーーーーーーーーー!!!!???///」

『出会った時からずっと……お前の事しか考えられなかったんだ』

佐倉「わ、わわわわ!!!/// 近いよ野崎くん!!」

御子柴「……」ニヤニヤ

『佐倉、俺はもう我慢できない』

佐倉「え、が、我慢!?」

『キス……していいか?』

佐倉「ほわーーーーーーーー!!!?///」ブン!!

ガン!!

御子柴「いってえええええええええ!!!?」

御子柴「佐倉てめぇ!! いきなりゴーグル投げんじゃねえ!!」

佐倉「ご、ごめんみこりん!! でも野崎くんがあんな近づいてあんな事を……」

御子柴「……まぁいいや、これで分かったろ? このゲームの凄さが」

佐倉「うん!!」

御子柴「これ使って告白の練習とかすりゃいいんじゃねえか?」

佐倉「そうだね!!……でもみこりん、一つだけいい?」

御子柴「なんだよ? まさかこれからこれやる度に俺を呼び出すとか……」

佐倉「野崎くんはあんな事言わないよ?」

御子柴「ダメ出しかよ!!」

別の日

野崎「遂に俺もVRを買ったぞ!!」

佐倉「ええっ!!?」

野崎「これであの人と会話ができる!!」

佐倉「!!!」

佐倉(野崎くん……もしかして好きな人が?)















『夢野さん。 今回の展開、負の打ち所がないです。 流石ですね』

野崎「ありがとうございます剣さん!!」

佐倉・御子柴「」

終わり

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