モリ子「キリザキくん、会いたかったよぉ…」 (16)

フリーゲーム「キリザキ君は」のSS
トゥルーエンド後(Cルート及び、ラストルート編のネタバレ有り)

このSSでは高1だったキリサキくんと、モリ子の数年後の話って事でやります。


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(回想)

キリザキ「これはハンカチ?」

モリ子「うん、キリザキくんから貰ったから。そのお返しだよ。名前は私がいれたの。えへへ」

キリザキ(キリザキと刺繍がされてる)

キリザキ「ありがとう…大切に使うよ」

モリ子「うん」

キリザキ「………」

キリザキ「あのさ、モリ子さん。ずっと言えなかったんだけど、僕じつは…」

キリザキ「っ…」

モリ子(え、泣いてる…?)

キリザキ「ううん、なんでもないんだ。それじゃ…」

モリ子「あ…あのね!」

モリ子「キリザキくんといて楽しかった!手紙とか送ってね!」

モリ子「来るときは教えてね!ミケと待ってるからね!」

(数年後)

モリ子「……」ボーッ

N美「おーいモリ子」

モリ子「……」ボーッ

N美「おいモリ子ってば!」

モリ子「ふぇ?」

N美「なーにボーっとしてんだよ」

モリ子「あ、ごめん」

N美「今度の合コン、来るんだろ?アタシのツレもいるけど」

モリ子「うーん…どうしよう」

N美「……」

N美「これまで何回、パーティー開いては、紹介してきてやってると思ってんだ」

N美「お前の事気に入ってるやつ、何人もいたし、どれも悪い奴らじゃなかったハズだぜ」

モリ子「N美は良いね。大学入って彼氏できて」

N美「まあな。でもその大学生活も残り一年になっちまった」

モリ子「就活めんどうだよねー」

N美「ああ、まったくだ」

N美「……貴重な3年間があっと言う間に過ぎちまったけどよ」

N美「せめて残り一年、悔いのないようにだな、そろそろ彼氏作れ。未だに付き合った事ないってのもだなぁ…」

モリ子「もう合コンはいいや」

モリ子「とりゃ!」

モリ子は、ペンを木に投げつける

N美「……またシャープシェイプか。飽きないねぇな」

モリ子「二人で飲むなら付き合うよ」

N美「あたしと飲んでどうすんのさ」

モリ子「友達だからおかしくないでしょ」

N美「……」

N美「なあ、ずっと聞かなかったけどさ。お前キリザキの事、忘れられないのか?」

モリ子「ほぇ!?///」

モリ子「え、えーと…あの、そ、そんな…」モジモジ

N美「はぁ…転校したって聞いたときは、やけにスッキリした顔してたけど」

N美「未練タラタラじゃねぇか」

モリ子「み、未練って…そんな…あ、あの時は…まあ、別れる前にハンカチも渡せたし」オロオロ

N美(キリザキの野郎、散々、私からお灸を据えてやったってのによお)ギリッ

N美(ちゃっかし、モリ子と会ってやがったのか。まあそんな気はしてたが)

モリ子「……」

モリ子「四年生はしゅーしょくかつどうの年です!!いせーなどに気を使っている暇はないのです!」

N美「あーはいはい」

N美「……」

N美(正直、ここまでモリ子の心を煩わせるとは思わなかった)

N美(ちょっと悪い事したかな、モリ子にも、あのネクラ野郎にも)

モリ子(……キリザキくん、今頃どうしてるんだろ)

モリ子(もう彼女とかいるよね、きっと)

モリ子(……)

モリ子(一回でも良い。少しでも、いまの状況だけでも聞ければ諦めもつくんだけど)

モリ子(会いたいよぉ…キリザキくん)

N美「とりあえず、学食に行こうぜ。カレーカレー!」

モリ子「またカレー?本当にすきだよね」

ガチャガチャ、ドガドガ

N美「ん?何の音だ…って学食工事やってんじゃん」

モリ子「張り紙があるよ…なになに『空調設備の工事のため、学食は三分の一のスペースしか使えません』だって」

ガチャガチャ、ドガドガ

N美「お昼時くらい休憩しろよ…」

モリ子「もう午後の2時過ぎだけどね。食べるの遅くなっちゃったし、しょうがないよ」

N美「ガツガツ…あー学食カレーうめぇ!」

モリ子「ごちそうさま」

N美「……お前、年々、食べる量が減ってね?」

モリ子「え、そう?」

N美「昔はもっとがっつり食ってたのに」

モリ子「あははは、まあ食べ盛りの時期が過ぎただけですよー。きっと」

N美「……」

モリ子「はぁぁ…」

~~~~

モリ子「これからどうする?」

N美「午後は授業無いし、カラオケいくか?」

モリ子「うん!行こ行こ!しゅーかつは後回し!」

N美「へへへ、それでこそモリ子だ」

業者1「おーい!早く脚立もってこいよ!次のエリア行くぞ」

「あ、はひ…」

業者1「声が小さい!!」

「は、はい!!」

モリ子「ひゃああ…厳しそう…」

N美「あーあ、あたしらも来年は、あんな風に厳しくされるのかな」

N美「いまのうち、パーッと遊ぼうぜ!」

モリ子「うん!」

「きゃ、きゃたふ…もってきました…」

業者1「次は工具!なにを使うか分かってんだろ?早く!」

「えーと…まずは脚立を組み立ててから…」ガチャッ

「あ、ごめんなさい。通ります」

N美「あ、さーせん」

モリ子「……」

N美「おい、邪魔になってるぞ。早くどこうぜ」

モリ子「……」

「あの、すいません…工事で、ちょっとこの辺を」

(……ん??)ピタッ

業者1「おい、なにボーっとしてんだ」

リーダー「チンタラしてんな!早くしろ」

モリ子「キリザキくん?」

「ッ!?」ビクッ

業者1「あ、お前の知り合いか?」

リーダー「あー悪いね姉さんたち。うちのキリ」

「違います。人違いです」

モリ子「え」

「きっと勘違いしてる…だけです。あなたの知っている人とは違います」

N美「…………」

N美(でもこのポニーテール…あきらかに)

「で、では…」

モリ子「……」

N美「……ほら、いくぞ」

モリ子(なんか目に力なくて…雰囲気かわっちゃったけど…)

モリ子(でもやっぱり、あの人は…!)

「……」

業者1「本当に知り合いじゃないのか」

「は、はい」ビクッ

業者1「まあ、お前があんな可愛い女の子と仲良かったらびっくりだわな」

「……」

~~~~

キリザキ(モリ子さんと別れ、転校したあと…僕は特にパッとしない高校生活が続いた)

キリザキ(厨二病丸出しのピエロから一転、元の根暗な自分に戻り、殻に閉じこもった)

キリザキ(時はすぎ、高校を卒業)

キリザキ(学力的に進学もできた。でも家の事を考えると、進学なんてできなかった)

キリザキ(不器用で体力もない、そして圧倒的なコミュ障な僕は、いつも上手くいかず、転職を繰り返した)

キリザキ(その後、明らかに不向きとも思える工事業者へ…幸か不幸か採用になってしまう)

キリザキ(現在、勤務してる空調設備会社の、社長や上司たちは、昔気質というか)

キリザキ(今までの職場と違い、かなり厳しい場所だけど、僕の事を見捨てたりもしない)

キリザキ(ありがたくもあるけど、僕の胃が果たして、いつまで持つか)

キリザキ(どうか、妹の美伊が独り立ちするまでは…身も心も無事に保っていてほしい)

キリザキ(僕が引きこもりもせず、がんばっていられるのは、家が貧乏で、大切な妹がいるからだ)

キリザキ(家族さえ幸せならそれで良い)

キリザキ(……モリ子さんとはもう一度、会いたいけど。そんなおこがましいこと)

キリザキ(彼女に会う資格など、僕にはない)

キリザキ(あの頃のキリザキは、もう死んだ)

~~~~

(次の日)

N美「今日の授業も午前中までだ」

N美「今日はモリ子の家にお邪魔して良いか?」

モリ子「うーん、ちょっと用事が」

N美「用事?」

モリ子「うん、ちょっとスネークごっこを」

N美「お、なんだ。CQCでもするのか」

モリ子「ううん、スニーキングミッションだよ」コソソ

~~~

N美「ここは学食…って、まだあの工事終わってないのかよ」

ドドド、ガガガ

モリ子「……」ジッ

N美「お前、まさかあのキリザキもどき、まだ気になってんのか?」

モリ子「もどきじゃないと思うんだけど…」

N美「これじゃストーカーじゃねぇか…」

モリ子「ストーカーじゃないもん、スニーキングミッションだもん!」

キリザキ「……」

リーダー「よし、この部分はお前がやってみろ」

キリザキ「あ、はい」ガチャッ

ガチャ…ガチャガチャ…

キリザキ(緊張で汗が止まらない。早く汗をふきたい)

(2時間後)

キリザキ「ど、どう、どうでしょう」

業者1「うん。ま、コレぐらいはできてもらわんとな」

業者2「次のステップにいけないしな」

キリザキ「あ、ああ、り、ありがとうございます」

リーダー「とりあえず休憩だ。後半作業はお前じゃ手に負えん。見て覚えろ」

キリザキ「は、はい」

キリザキ(だいぶ、汗かいた…)

キリザキ「フゥ…」スッ

モリ子「っ!!!」ガタッ

N美「ん?どうした」

モリ子「あのハンカチ…!!」ダダッ

N美「おい、ちょ、待っ…けっきょく突撃かよ!」

モリ子「あの!」

キリザキ「ッ!」ビクッ

モリ子「やっぱり…キリザキ君だよね!?」

キリザキ「あ、ああ、あなたは昨日の…」

キリザキ「だから、人違いだとあれほど」

モリ子「そのハンカチ、私が渡した物だよね?」

キリザキ「あ…」

バナナの柄にクリーム色。
そして刺繍が施されたそのハンカチを、キリザキは手にしていた。

モリ子「キリザキくん」ツーッ

モリ子「会いたかったよぉ…」ボロボロ

キリザキ「いや、違う。これは…そう、親戚の…」

モリ子「会いたかったよぉ!!」ダキッ

キリザキ「っ!?」

モリ子はその小さな体で、キリザキを抱きつく
彼の作業着を涙で濡らしながら

キリザキ「ち、違う…」

キリザキ「君の知っているキリザキ君は、もういない…」

モリ子「え…どういう事…?」ボロボロ

キリザキ「と、とにかく、人違い…です…」バッ

両手で強引にモリ子を引きはがし、背を向け走り出す

モリ子「ちょっと…待ってよ!」

キリザキ「違う、僕は君の知ってる人じゃない!」ダダッ

N美「あ、おい!くそ…モリ子、追いかけねぇと…」

N美「待てモリ子!落ち着けって!」ダダッ

工事業者「」ポカーン

今日はここまでです
このゲームをやった事ある人がどれだけいるか分からないけど勢いで書いた

出来るだけ早く更新したい

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