【安価】変態眼鏡ちゃんと代り映えのしない学校 (352)



深山(みやま)高校に通う女子生徒を導いて下さい。

常識的な人間として振舞わせるも良し、変人として他人に衝撃を与えるも良し。

日常生活での結果は行動によって変化します。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1534851558



~ルール~

貴方は女子生徒に一日4回”ひらめき”を与える事が出来ます。

ただし、上限を超えると”奇妙な行動”を取るので止めておきましょう。

反応が”18”変化したらエンディング。

奇行が”42”を超えた時点でエンディングです。



足音がだんだんと近づいて来る。

耳を立てて聞いていた私の近くで、それは止まった様だ。


母「起きなさーい」

眼鏡「……ん」モゾモゾ

眼鏡「………朝?」

眼鏡「起きなきゃ。支度して……学校に」

眼鏡「ふぁわ」ムクッ

眼鏡「制服着るのめんどくさいなぁ……」

眼鏡「!」ピコーン


①履いた靴下の色が片方だけ微妙に違う
②眼鏡ちゃんは完璧なので両方ニーソ
③靴下履かないどころかパンツすら履かない主義

↓2



私は黒い布地に少し肉が乗る。

やっぱりニーソはこうでなきゃいけないよと誰かに言われそうな格好だ。


眼鏡「いつも通りニーソで登校してくる」

母「若いって良いわねー」カチャカチャ

眼鏡「お母さんもまだまだ若いよ?」モックモック

母「私はそういうのを着られる年じゃないの」

眼鏡「そう?」

父「着てくれても良いんだぞ」

母「やだーお父さんったら」

眼鏡「……そろそろ行こうかな」

父母「「行ってらっしゃい」」


間に入れる空気じゃ無くなってきたので退散退散。

さっさと学校行ってしまおっと。



びゅうびゅう。

今日はどうやら風が強いみたい。

スカートが今にもめくれ上がってしまいそう。


眼鏡「涼しー」

黒髪「おはよう。眼鏡ちゃん」

眼鏡「おはよ」

黒髪「今日風強いねー」

眼鏡「そだねー」

眼鏡「!」ピコーン


①前を隠そうとして後ろが丸見えになる
②眼鏡ちゃんのスカートは鉄壁なのでめくれない
③むしろ人が居る方向に向かって黒髪のスカートをめくる
④ひらめきは何処かへと霧散した

↓1



黒髪「……それにしても凄いね」

眼鏡「なにが?」

黒髪「私スカート全力で抑えてるのに、眼鏡ちゃんは全然めくれてないよぉ」

眼鏡「実はこれ、仕掛けがあって」

黒髪「えっ?」

眼鏡「内側に重りを仕込んでるんだー」

黒髪「ええっ!?」

眼鏡「今度の休み時間にでも見せたげるよー」


黒髪ちゃんは私の発言に終始驚いていた。

男子に見られたくないならこれぐらいはしないとね。



歴史の授業。

担当の内見先生は寝てる生徒の額にチョークを当てる達人だ。

つまんなくっても寝ないよう気を付けないと。


内見「――であるからして。ここで起きた事件は教科書に載っている訳だ」

眼鏡「……」カクッカクッ

内見「ここは来週のテストに出るからきちんと纏めておくように」

眼鏡「……zzz」

内見「………」

内見「テストに出るから纏めておくように」

眼鏡「……むにゃむにゃ」


①ノートに「テストに出るから纏めておくように」と左手で器用に書く
②眼鏡ちゃんはかしこいので睡眠学習
③眼鏡ちゃんは爺専なのでむしろバッチコイ
④ひらめきとはなんだったのか

↓1



ああ……早く投げて……。

そのチョーク1つで私の眠気は吹っ飛びますから……。


内見「……っせい」シュバッ

眼鏡「…あたっ」スコーン

男子「すげー! 内見また当てたぞ!」

内見「そこ、騒がない」

男子「俺にも教えてよ内見ー!」

内見「教師になるなら教えてやっても良いぞ」

眼鏡「……」サスサス

内見「………」スタスタ ヒョイ

内見「…きちんと家で睡眠を取りなさい」

眼鏡「……はい///」


大人の魅力ぅ。

もう私きゅんきゅんしてそのまま死んじゃいそうです。



体育の授業。

担当の宗篤先生は暑苦しいからあまり好きじゃない。

男子からはムネアツ!ムネアツ!とよく解らない慕われ方をしているが。


宗篤「女子は熱心に取り組んでいたぞ!」

男子「なにー! ムネアツだけずるい俺達にも見せろ!」

宗篤「なら俺に熱意をもっと見せろ!」


金髪「パスパス!」

眼鏡「……ふぁぁ」ボーッ

金髪「眼鏡!」シュッ

眼鏡「わわっ!」バスッ

金髪「フリーだからそのまま決めて!」

眼鏡「!」ピコーン


①びたーんびたーんと下手くそなドリブルしてダンク
②眼鏡ちゃんは運動神経良いので3点シュート
③おっぱいぶるーんぶるーん!
④ひらめきなんてある訳ないじゃないですか

↓2



眼鏡「よーし」

黒髪「止・め・る!」ザザッ

眼鏡「えっ」

黒髪「私はペナルティーエリア外からのシュートを全部止められるんだ!」ダッダッダッ

眼鏡「ええっ!?」

黒髪「かくごー」

眼鏡「あひぃ!」バチィ


黒髪ちゃんがよく解らない事を言いながら突っ込んできた。

後で聞いた話によると、覗きに来ていた男子生徒が腕を振り上げて――


『『『おっぱいぶるーんぶるーん!!』』』


……と言いながらハッスルしていたらしい。

私はどうして覗きに来れたのか不思議で堪らなかった。



体育の授業終了。

着替え途中で私はみんなの下着に注目した。

しろにみずたま、ぺーじゅにくろ、きいろにぴんく。


眼鏡「……」

黒髪「なぁに?」

眼鏡「すごーくえっちな下着穿いてるんだね」

黒髪「そ、そうかな……」

眼鏡「私はどんなのだったかなー」

金髪「……」チラチラ

眼鏡「!」ピコーン


①蛍光緑のレース
②眼鏡ちゃんは清楚なので純白
③紐パンというか紐そのもの
④ひらめきでパンツが変わったら凄いよね

↓2



眼鏡「こんなのだったよ」

金髪「……!」パァァァ

黒髪「ちょっとイメージと違うかも」

眼鏡「どんなイメージよー」

金髪(派手なぱんつだと思ってた)

眼鏡「へくちっ!」

黒髪「大丈夫? 汗で冷えちゃったのかな」

眼鏡「だいじょうぶだいじょうぶ」


妙な視線を感じながら着替えは終った。

部屋には女子しか居ないのに、ヤラしい視線だったのがちょっと気持ち悪い。



学校帰り。

コンビニでも寄ってスゥイーツでも買おうかな。

私は近くのイレブンインターナショナルマートに駆け込んだ。


店員「らっしゃーせー」

眼鏡「んー、新商品あるなー」

眼鏡「でもいつも買ってるこっちは美味しいって解ってるしなぁ」

眼鏡「迷っちゃうかもー」

店員(この子マジかわいすぎww 巨乳女子高生とか最高かよwww)

眼鏡「!」ピコーン


①支払いはクレジットカードで
②眼鏡ちゃんは悪女なので店員さんに奢らせる
③前屈みで商品棚を漁る
④本日5回目のひらめきなので私は自重します

↓2




眼鏡「ん……しょっと」バサッ

店員「ファッ!?」

眼鏡「ん?」クルッ

店員「………」フキフキ

眼鏡「ふんふふーん」フリフリ

店員(なんだこれはたまげたなぁ……鞄のおかげでパンツ丸見えじゃないか)チラッ

眼鏡「あぁーあった」

店員(ちょっと無音カメラでバレない様に撮影しとこ)

店員(監視カメラから死角になるように……っと)パシャ

眼鏡「?」キョロキョロ

店員(うわやっべ! 無音カメラ無音じゃ無くなってるじゃん! クソかよ!)

眼鏡「……よし」

眼鏡「店員さん! これお願いしまーす」スッ


私は棚卸前のぎりぎり商品を値引いて貰って満足。

お会計の時、店員さんの目がやたら泳いでいたのが不思議でした。



お風呂の時間。

入浴剤の良い匂いが浴場に充満してる。

風呂は命の洗濯ねーとか、人間が生み出した文化の極みだよーとか言ってしまいそう。


眼鏡「あー」

眼鏡「おー」

眼鏡「……」

眼鏡「げばー」

眼鏡「!」ピコーン


①おっさんの風呂カラオケみたいなの
②眼鏡ちゃんは透き通る声なので美しい歌
③お歌は止めて自分の身体ですっごい遊ぶよ!
④ひらめきは彼女の思考を徐々に侵食する

↓3 (これ投げたら今日は終り。明日また更新)


眼鏡ちゃんが歌おうとした曲
https://www.youtube.com/watch?v=DMKOrXbOTyU


眼鏡「~~♪」

眼鏡「~~~♪」

母「いつまで入ってるのー」コンコン

眼鏡「あわわわ、ごめんなさーい」

母「お父さん待ってるから早くしなさいね」

眼鏡「解ったー」

眼鏡「……ふぅ、3番まで歌っちゃった」

眼鏡「髪拭こ」ザバァ


自分でもいい声が出せた気がする。

誰かに聞いてもらいたいかも。




1日目終了

反応3

奇行2

??1



朝の通学路。

黒髪ちゃんとお喋りをしてるとこんな話題が出た。


黒髪「朝起きたら何で髪の毛ハネるんだろー?」

眼鏡「たぶん寝相が悪いとかじゃないかなぁ」

黒髪「うつ伏せで寝ると付きにくいらしいけど……」

眼鏡「……」ポヨンポヨン

黒髪「うつ伏せはちょっと寝づらいよねー」

眼鏡「そだねー」

眼鏡「!」ピコーン


①横向きで寝れば多少マシになる
②眼鏡ちゃんは博識なので寝やすい枕を知っています
③もしやおっぱいを枕にすれば寝やすいのでは!?
④いいえ、私はひらめきを遠慮します

↓2



眼鏡「……あれぇ?」

黒髪「どうしたの?」

眼鏡「うーん、何か頭に浮かびかけたんだけど……」

黒髪「そういうのってもどかしいよね」

眼鏡「引っかかるなぁ」

黒髪「学校に着いたら思い出すかもよ?」

眼鏡「うーんそうだね。ささっと行こっか!」


天啓?みたいなのが急に消えちゃった。

まぁ気にする事無いよね。



学校の正門に人だかりが出来ている。

どうやら学年主任の武田が所持品検査をしている様だ。


男子「……」

武田「むっ?」ゴソゴソ

男子「……やばっ」

武田「学校にゲーム機を持ち込むとはいい度胸だな」

男子「ちがっ、俺は……俺はやってないんですぅ!」

武田「これは没収だ。後で職員室に来るように。……次!」

男子「あぁ……やられた……」トボトボ

黒髪「眼鏡ちゃんは大丈夫?」

眼鏡「だいじょうぶい!」ピース

黒髪「なら良いんだけどね」

眼鏡「!」ピコーン


①武田から見えない位置で鞄を学校にぶん投げる
②眼鏡ちゃんは潔癖症なので消毒液を持ち歩いています
③アダルトなグッズの一部を鞄に入れたまま
④ひらめきイヤですかそうですか

↓2



何もやましいことは無い。

私は堂々と見せる事にしました。


武田「……うむ。通ってよろしい」スッ

眼鏡「ありがとうございます」ニコッ

武田(うちの娘もあれぐらい愛嬌があればなぁ……)

武田「次!」

茶髪「へいへーい」


去り際に見た武田先生の顔が遠い目をしていた気がします。

何か悩みでもあるのかな?



全校集会。

校長先生のお話しは、全国のどの学校よりも長いのではないだろうか。


男子「……でさ」

男子「へー」チラッチラッ

眼鏡(退屈だなぁ……)

眼鏡(前の男子、後ろ向いててバレないのかなぁ――)

眼鏡「!」ピコーン


①よく見ると校長先生の髪が浮いてる
②眼鏡ちゃんは狩人なので視線の先が解る
③男子にパンツがギリギリ見えるよう足を組む
④ひらめきません

↓2



眼鏡「んー?」

眼鏡「……」クシクシ

眼鏡「あ」

男子「?」クルッ

男子(あの子も気付いたようだな……)

眼鏡「校長先生ヅラだー」

周囲の生徒「「「ぶふぉっ」」」

黒髪「うん。あれヅラだねー間違いないねー」

校長「………」

教頭「……」ダラダラ

教頭「こ、校長先生のお話は以上です。では解散」


この後、先生方は校長先生にこっぴどく叱られたそうだ。


『どうして会議の時に言ってくれなかったんだ!』

『生徒にヅラがばれたら酷い仇名を付けられてしまうじゃないか!』


担任の奥手先生は疲れた様子でこう言っていた。

『そんなの知るかよ……』 と。



お昼休み。

私はお母さんが作った弁当をほぼ毎日食べている。

購買部では焼きそばパン争奪戦が始まっている頃だろう。


茶髪「あっちゃぁ……」

眼鏡「?」

茶髪「小銭が足りひん。でもしゃーないな」

茶髪「今日は飲みモン無しで我慢するか……」

眼鏡「!」ピコーン


①茶髪さんの近くで財布を落とします
②眼鏡ちゃんはコミュニストなのでお金を渡します
③そこのお姉さん良いバイト紹介するよー
④ひらめきを使いなさい……ヤメテー

↓3



眼鏡「同士茶髪。どうかしましたか?」

茶髪「ど、どうし? ……いやその前に誰だよアンタ!」

眼鏡「申し遅れました、私は眼鏡です。眼鏡ちゃんとお呼び下さい」

茶髪「お、おう」

眼鏡「それで何かお困りなのでは?」

茶髪「あーうん……ちょっとお金が足りなくてさー」

眼鏡「幾ら必要ですか?」ゴソゴソ

茶髪「60円かな――っていや別に出さなくても良いからな!」

眼鏡「困った時はお互い様ですよ」

茶髪「で、でもよぉ……」

眼鏡「遠慮なくコレを使ってください」ニッコリ

茶髪「うぅ……あ、ありがとな! 今度返すから!」タッタッタッ


茶髪さんは困り顔交じりでお礼を言いました。

コミュニストである私としてはとても良い結果を生むことが出来たと判断します。



体育の授業。

宗篤先生が大胸筋を強調させながらスポーツの重要性を説く時間だ。


宗篤「よーしお前ら、400×10本を全力で走り切れ!」

男子達「「「えー」」」

宗篤「終った奴から休憩して良し! スポドリも用意してあるぞ!」

男子達「よっしゃー!! やるぞオラァー!」


眼鏡「はっつー」パタパタ

金髪「……ハァハァ」

眼鏡「ん?」チラッ

金髪「……」フイ

眼鏡「胸に熱気が籠るよー」バフバフ

金髪「ぅへへ……」

眼鏡「んー」

眼鏡「!」ピコーン


①フェイントをかけて振り向く
②眼鏡ちゃんは寛容なので視線を気にしない
③服にタオルを入れて汗を拭く
④ひらめきって知ってるぅ?

↓3



意外っ……! 眼鏡ちゃんは視線をスルー!

金髪ちゃんはそれに合わせて息をどんどん荒くしていく!


金髪「ふーっふーっ」

女子「どうしたの? 金髪さん」

女子「関わんない方が良いよ」

眼鏡「……」ススッ

金髪「!」ガッツポ

眼鏡(許してあげましょう……ここは寛容な精神で……!)

金髪「……」ダダダッ


金髪さんはこの後、授業終了までトイレに籠っていたそうです。

女子の一部が気の毒そうな目でそう言っていました。



体育の授業終了。

私は汗でべたつく体操服を脱ぎ捨てたい衝動に駆られた。


眼鏡「もーやだよー」バタバタ

黒髪「夏は辛いよねぇ」ファサッ

眼鏡「黒髪ちゃんは涼しそうだね……」

黒髪「ううん、そうでもないよぉ」

眼鏡「そうなの?」

黒髪「倒れそうなの我慢してただけだから」バタン

眼鏡「黒髪ちゃん!?」ガビーン

奥手「メディック! メディーック!!」

眼鏡「!」ピコーン


①保健室はなんかヤバそうなのでイヤです
②眼鏡ちゃんは保険委員なので担当します
③保健室は薬品臭いのでイヤです
④ひらめきって凄いよね。序盤中盤終盤隙が無くて……

↓3



奥手「――というか私が連れてきゃ良いじゃんか!」ガッシ

黒髪「あうっ」

奥手「お前ら後は頼んだぞ!」ガラッ ピューッ

女子「奥手先生、名前の割によく動くよね」

女子「ホントだよねー」

眼鏡「……」


手を挙げようと思ったけど、そんな気持ちは何処へやら。

私の中で動きかけた積極性はどこかへと霧散しました。



放課後ティー……ではなく放課後。

私はこの学校では珍しく部活動に所属していない。

やっぱり時間は自分の好きな事をする為に使わないとね。


眼鏡「ふんふふーん」

黒髪「大変な目にあったよぉ」シクシク

眼鏡「だいじょうぶ?」

黒髪「寿命のロウソクが2年縮んだかも……」

眼鏡「何があったの――って聞かない方がいっか」

黒髪「そうしてくれると助かるかな……」

眼鏡「!」ピコーン


①臀部を鷲掴みしてみる
②眼鏡ちゃんは優しいので休める場所を探す
③イレブンインターナショナルマートに誘う
④いでよひらめき!そして願いを叶えたまえ!

↓2



もしかしたら私が思ったより疲れてるのかも。

黒髪ちゃんを早く休ませないと。


眼鏡「ね、ねぇ。黒髪ちゃん」

黒髪「なぁに?」

眼鏡「あそこで休憩しようよ」スッ

黒髪「どこどこー?」チラッ

ホテル編隊「welcome!」ドーン  手前にあるベンチ「わぁい^^」

黒髪「」

眼鏡「どう、かな?」

黒髪「あわわ……」

眼鏡「黒髪ちゃん?」

黒髪「ご、ごめんなさーい」ピューッ

眼鏡「ああっ! 待ってよー!」タッタッタッ


誤解を解くのにとても時間がかかりました。

たぶん期末試験より難しかったです。



お風呂の時間。

入浴剤はバスで浪漫を感じる製品を使用しています。

色んな香りがあって楽しいよね。


眼鏡「はー」

眼鏡「いー」

眼鏡「けー」

眼鏡「……」

眼鏡「いー」

眼鏡「!」ピコーン


①お父さんの風呂カラオケみたいなの
②眼鏡ちゃんは透き通る声なのでやはり美しい歌
③やっぱりお歌は止めて自分の身体ですごい遊ぶよ!
④ひらめきは彼女の思考を徐々に侵食して日常に表れる

↓3 (これ投げたら今日は終り。明日また更新)



2日目終了

反応4

奇行4

??4


眼鏡ちゃんが歌おうとした曲
https://www.youtube.com/watch?v=_qrQWZ1z1w0


眼鏡「~~♪」

眼鏡「~~~♪」

父「おーい。そろそろ出てくれるかなー」ガラガラッ

眼鏡「わわっ、お父さんは入ってこないで!」ヒュン

父「うぐっ」ド゙スッ

眼鏡「直ぐ出るからリビングで待っててよー!」

父「……わ、解った」ガラガラ ピシャリ

眼鏡「……」

眼鏡「ふぅー、驚いた」

眼鏡「長風呂しちゃったかな?」ザバァ


お父さんが近寄って来た事に気付けなかった。

思わず胸に向かって物を投げちゃったから、後で謝らないと。




数日経過。

今日は学校がお休みの日だ。

誰かを誘って出かけてみようかな?


眼鏡「だーれにしーよおーかーな」スッスッ

母「食事中にスマホを弄るのはやめなさい」

眼鏡「よーしこの人にしよ!」

母「まったく……この子ったら」

眼鏡「!」ピコーン


①黒髪ちゃんかと思った? 残念!金髪ちゃんだよ
②眼鏡ちゃんは社交的なので大学生のご友人が居ます
③手が滑ってモブ男子に電話をかける
④ひらめきですか?わたし気になります!

↓3



私は大学生にお友達が居るんです!

どんな人と聞かれたら……長い髪が素敵でカッコイイ人だと思います。


長髪『はい。長髪です』

眼鏡「もしもし? 眼鏡です」

長髪『なんだ眼鏡ちゃんか! どうしたの急に』

眼鏡「いえ、お暇があれば今日どこか気分転換にでも……と」

長髪『ほんとうかい!? いやー奇遇だねぇ!』

眼鏡「え?」

長髪『ちょうど僕も誘おうとしてたんだ。集合場所はどうする?』

眼鏡「銅像前にしましょう」

長髪『おっけー! じゃあ12時に集合ね!』

眼鏡「はい。……では失礼します」プツッ

母「あらあら」

眼鏡「な、なに?」

母「うふふ、何でも無いのよ」


電話を切ると、お母さんが温かい目で私を見ていました。

うーん、なにか勘違いされてるような気がする。



集合場所は公園。

忠犬っぽい銅像が視界の端に映っている。


眼鏡「早く来すぎちゃったかな?」

長髪「……」テクテク

眼鏡「あっ、来た」

眼鏡「こんにちは」ニコニコ

長髪「お待たせー。待った?」

眼鏡「いえいえ、今来た所です」

長髪「そっか。じゃあ行こうよ」

眼鏡「!」ピコーン


①長髪さんのおててをにぎにぎ
②眼鏡ちゃんは用意周到なので雰囲気の良い店に入ります
③ところで君の格好は今どんなものか知ってる?
④ひらめきのご利用は計画的に

↓2



ガラ空きのおててに突撃ー。

にーぎにーぎ。


長髪「ん? どしたの」

眼鏡「えへへ」ニコニコ

長髪「笑顔が眩しいなぁ」

眼鏡「人間は幸せだと笑うそうですよ」

長髪「なるほど。間近で見れる僕は幸せ者だね」ニッ

眼鏡「……///」


胸がどきどきする。

私、顔が赤くなってないかな。



近くの喫茶店。

評判のお店だったので入る事にしました。


長髪「んー」

眼鏡「沢山メニューがあって迷いますね」

長髪「こういうのは直感さ」

眼鏡「ふふっ、長髪さんらしいです」

長髪「よし決めた。店員さーん!」

店員「……お待たせしました。ご注文は?」

長髪「僕はこのナポリタンと麦茶セットを」

長髪「眼鏡ちゃんは?」

眼鏡「!」ピコーン


①そらステーキとコーヒーよ
②眼鏡ちゃんは菜食主義なので野菜料理と豆菓子
③パンケーキ
④ひらめきは誰かの入れ知恵って考えた事ある?

↓2



眼鏡「じゃあこのレアステーキと……食後にコーヒーで」

店員「えっ」

眼鏡「なにか?」ニコニコ

長髪「眼鏡ちゃんはいっぱい食べるんだね?」

眼鏡「食事は大事ですから」フフン

店員「では注文を繰り返します。ナポリタンと麦茶セット、ステーキとコーヒー」

店員「……以上でよろしいでしょうか?」

長髪「はい。お願いします」


注文したのはステーキ。

実を言うと、外でこんな食事をする事は全くありません。

今日だけなんです。今日だけ特別。



ところ変わって植物園。

長髪さんの強い要望でここへやってきました。


眼鏡「竜舌蘭かぁ」

長髪「面白い形してるよね」

眼鏡「これって食べれますか?」

長髪(シロップはともかく、テキーラは飲まないだろうけど……)

長髪「うん。食用可能だよ」

眼鏡「!」ピコーン


①写真を撮る
②眼鏡ちゃんは料理研究家なので後でレシピを調べます
③こっそり竜舌蘭の花茎をもぐ
④ひらめき、えいしょう、ねんじろ!

↓3



これはチャーンス。

長髪さんに私が料理上手な所をアピールすれば好感触かも!


眼鏡「ふむふむ」メモメモ

長髪「勉強熱心なんだね?」

眼鏡「後学のためです!」

長髪「興味を持ってもらえて嬉しいよ」

眼鏡「えへへ……」


年上の人に褒められるのってちょっと良い気分。

こんな見た目だけど、ちゃんと美味しく食べられるのかなぁ。



下着売り場。

どういう訳かこの場所に来てしまいました。

さっきから周囲の視線が私達に集まっている様な気がしてなりません。


長髪「へぇ、今はこういうデザインが流行ってるんだー」

女性「イケメンが下着を漁ってるという事案」

女性「私が彼に犯罪ムーブしそう」

眼鏡(落ち着かないよぉ)モジモジ

長髪「眼鏡ちゃん。これとか似合いそうじゃない?」

眼鏡「す、少し派手だと思います。特に胸の辺りが……」

女性「くっ」

眼鏡「?」チラッ

女性「落ち込むことは無いのー」

女性「……」ズーン

長髪「じゃあ、これならどうだ!」

眼鏡「!」ピコーン


①フロントホック
②眼鏡ちゃんに合うサイズの商品がこのお店にありません
③スポーツタイプ
④99%のひらめきと1%の考察を止める

↓3



眼鏡「これって……」

長髪「型崩れもしにくいし、値段も高くない」

長髪「やっぱりスタンダードタイプが一番良いよね!」

眼鏡「あの」

長髪「眼鏡ちゃんのそれ、もし良かったら僕に見せてくれないかな?」

眼鏡「えっ!?」

長髪「どうしても見たいんだ! ……駄目かな?」

眼鏡「///」


その後はお着換えラッシュ。

シルバニアなファミ……じゃなくて、まるで梨花ちゃま人形になったみたい。

私達は結構長い時間をそこで過ごしました。



夕暮れの帰り道。

あんなにも楽しかった時間が、もう終わってしまう。


眼鏡「……」ショボーン

長髪「どうしたの、元気ないけど?」

眼鏡「また暫く会えなくなると思うと寂しいなぁ……って」

長髪「嬉しい事言ってくれるね」

長髪「でもさ、死んで別れる訳じゃないから大丈夫!」ニッ

眼鏡「長髪さん……」トクン

眼鏡「!」ピコーン


①芋けんぴ
②眼鏡ちゃんも1人の女なので雰囲気を大切にします
③いつから長髪さんが男だと錯覚していた?
④わたしはひらめきさんがだいきらいです

↓3



なんか気持ちが急に冷めた。

私は巷で有名なチョロスケじゃないしそれも当然か。


眼鏡「……」

眼鏡「それじゃあ私帰ります」

長髪「うんうん! じゃあねー」プラプラ

眼鏡「……」スタスタ


何事も無くお家へ帰れました。

ドキドキが何だったのか今では不思議です。



お風呂の時間。

今日の入浴剤はバスをクリーンする製品を使用しています。

ライチカモミールの香り……だってさ。


眼鏡「えー」

眼鏡「がー」

眼鏡「いー」

眼鏡「……」

眼鏡「たー」

眼鏡「!」ピコーン


①再婚前のお父さんを思い出す歌
②眼鏡ちゃんは声域がとぉっても広いですしぃ!
③お歌は止めて自分の身体ですっごい遊ぶよ!
④ひらめきにまるでデメリットが無いと思ったら大間違いだ

↓3 (これ投げたら今日は終り。明日また更新)



3日目終了時点

反応5

奇行7

??6



眼鏡ちゃんが歌おうとした曲
https://www.youtube.com/watch?v=ks3OoQ5RV5M


眼鏡「~~♪」

眼鏡「~~~♪」

母「今日も長風呂ー」カラカラカラ

眼鏡「わっ、お母さん!?」

母「あんまり長いからお母さん待てなかったわぁ」ピシャッ

眼鏡「ご、ごめんなさーい」

母「良いのよー」シャワァァ

眼鏡「……」

眼鏡「ふぅ」ザバァ

母「もう出る?」

眼鏡「うん」


この年でお母さんと一緒に入るのは流石に恥ずかしい。

何も動じてない風を装って、私はお風呂から出た。



月曜がやってきました。

今日は全国の学生や社会人の皆さんが絶望を感じるであろう日ですね。


眼鏡「んっ……はぁ」

父「溜息を吐くと幸せが逃げるぞ?」

眼鏡「どんな幸せが逃げるって言うのー」

父「婚期が遅れる」

眼鏡「……お父さんキラーイ」プイッ

母「あらあら。嫌われちゃった」

父「なっ!」

眼鏡「つーん」

父「悪かった! 父さんが悪かったから、機嫌を直してくれないか?」

眼鏡「!」ピコーン


①絶対許さないしもう結婚式には呼ばない
②眼鏡ちゃんは家族仲が良好なのでこの程度は水に流します
③今度の休みはどこかに連れてって!
④なんか静かですね。頭の中にはひらめきも無いし……

↓3



これで拗れる程の家族仲ではありません。

私はわざとらしく咳ばらいをしてお父さんに向き直りました。


眼鏡「許してあげ――」

父「……」ドキドキ

眼鏡「ませーん!」

父「ノォォ!」

眼鏡「嘘です。許してあげまーす」

父「ありがとう……ありがとう」シクシク

母「一件落着ねー」

眼鏡「……」


他の人が見たら、とんだ茶番だなとか言われちゃいそう。

私はこういう雰囲気が好きなんだけどね。



授業も終ってお昼休み。

午前中は色々あったような気がするけど、時の流れとは早いものです。


茶髪「へへっ」スタタタ

眼鏡(茶髪さんが不敵な笑みを浮かべながらこっちに来ましたね)

眼鏡「これからお昼ですか?」

茶髪「そのつもりやで」

眼鏡「購買に行くなら早い方が良いと思いますよ」

茶髪「やー、その前に借りを返そうと思ってさ」ゴソゴソ

眼鏡「!」ピコーン


①お礼の代わりとして共産主義のすばらしさを伝える
②眼鏡ちゃんは健忘症なので忘れています
③何を言ってるんです? 私が貸したのはこんな端金でしたか?
④キキィィィ……バババババ!(ひらめきの音)

↓2



眼鏡「お金ならいいですよー」

茶髪「なに言ってんだ! 貸し借りはしっかりしないと駄目だろ!?」

眼鏡「では、私と一緒に食事をしませんか?」

茶髪「えっ、そんだけで良いの?」

眼鏡「はい」ニッコリ

茶髪「眼鏡がそう言うなら……」


この後めちゃくちゃプロバガンダした。

茶髪さんはこれで私の同士(お友達)として生まれ変わった筈です。



疲労困憊。

心の中は1歩も動きたくない気持ちでいっぱいです。


眼鏡「もうマヂ無理……ボイコしょ」イジイジ

黒髪「学校終っちゃったから、ボイコットしてもお家帰れないだけだよ?」

眼鏡「……はぁ。黒髪ちゃんおんぶして」

黒髪「わ、私!?」

眼鏡「うん」

黒髪「力全然無いしムリだよお!」

眼鏡「!」ピコーン


①炎のテニスプレーヤーばりの説得
②眼鏡ちゃんは金持ちなのでタクシーで帰ります
③なら金髪さんに頼んでみようかな
④なんだよ………結構ひらめくじゃねぇか……

↓3



こういう時は好意を利用しましょう。

私に対して金髪さんは下心を抱いている筈ですから。


眼鏡「誰かー」

男子「ん?」チラッ

眼鏡「私をおぶって帰ってくれる人募集中でーす!」

男子「「何ィ!?」」バッ

眼鏡「先着1名! 誰か居ませんかー」

男子「お、俺――」ドムッ

金髪「邪魔」ポーイ

金髪「ねぇ、眼鏡」

眼鏡「なんでしょうか。金髪さん」

金髪「アンタが疲れてるんなら、私が背負ってあげなくもないけど」

眼鏡「本当ですか!」

金髪「高くつくよ?」

眼鏡「構いませんお願いします!」

金髪「……っし」ガッツポ

眼鏡(この人ちょろいですね。解りやすいし)


性……成功です。

交わりはしないので安心して下さい。



イレブンインターナショナルマート。

資本金585億、2兆3千億の売上、社員1万人を超える大企業。

国内の店舗は年内に1万4千を超える予定である。


眼鏡「だってさ」スッスッ

金髪「……」ノッシノッシ

黒髪「どうしてそんな事調べてるの?」

眼鏡「ちょっと気になったから」

黒髪「将来有望だね」

眼鏡「という訳で――」

黒髪「えっ」

金髪「進路変更」クルッ

眼鏡「イレブンインターナショナルマート行こ?」

金髪「やっぱりな」ノシノシ

黒髪「脈絡無さすぎだよぉ」

眼鏡「!」ピコーン


①じゃあ近くにある服を高価買取りしてくれるお店に行こう
②眼鏡ちゃんは言葉足らずなので黒髪ちゃんは帰ってしまいました
③好きなお菓子買ってあげるからウチにおいでよ
④見ていろ!ひらめきとはこう使うんだ!

↓3



黒髪ちゃんはこう見えて辛党だ。

新商品の1つを買い与えればついて来るに違いない。


眼鏡「そういえば、ガールビーが辛そうな商品出してたっけー」

黒髪「……」

眼鏡「確か柚子ハバネロ味とかだったかな?」

黒髪「えっ」

眼鏡「期間限定だから売り切れるかもなー」

眼鏡「私と来てくれるなら1袋保証してあげるんだけどなー」

黒髪「ほんと?」

眼鏡「ホントホント。ウチでゆっくり食べようよ」

黒髪「行こ! イレブンインターナショナルマート行こ!」

眼鏡「黒髪ちゃんありがとう!」


実はあのお店、発注する商品の一部に私が関わっているんです。

養ってくれてるお父さんに感謝しなきゃ。



イレブンインターナショナルマート。

私は店の前で金髪さんから降りて、伸びをゆっくりとしました。

店内でも背負われてると変人と思われるからね。


店員「いらっしゃいませー」

黒髪「眼鏡ちゃん。これどう?」スッ

眼鏡「炭酸ミルクサイダーかぁ。あんま美味しくなかったかなー」

黒髪「じゃぁこっちは?」

眼鏡「タコ焼き風チョコボール……アイスなんだよね。コレ」

眼鏡(隣にあるナポリタン味のアイスは見向きもしないんだね……)

金髪(……バナナアイス。眼鏡に食べさせてみたい)

店員(この子達なんか隙が多いわねぇ。こんなので大丈夫かしら)

眼鏡「!」ピコーン


①支払いはクレジットカードで
②眼鏡ちゃんは関係者なのでバックヤードに入ります
③前屈みで商品棚を漁る
④今回はひらめきを自重します

↓3



前と同じような体制で商品を漁る私。

金髪さんが真後ろに付いてくれてるので色々安心です。


金髪「………」ジーッ

眼鏡「んー」サッサッ

黒髪「眼鏡ちゃん?」

眼鏡「あった」

眼鏡「混ぜると伸びるアイスー!」テッテレテッテッテー

店員「!?」

黒髪「うわ懐かしい!」

眼鏡「どうしてかこのコンビニはあるんだよねー」

店員(なんであの子が知ってるのよ……)

眼鏡「買う物はこれで良いかな?」

黒髪「これこれ! 忘れないでね!」グッグッ

眼鏡「だいじょぶだいじょぶ」

眼鏡「店員さんお願いしまーす」


実は辛い商品って喉が焼けるからあまり好きじゃない。

黒髪ちゃんは凄いなぁ。



お友達が家に来るのは久しぶりです。

私は人数分のコップに麦茶を注いで自分の部屋へと持って行きました。


眼鏡「開けて下さいなー」

黒髪「はいはーい」カチャッ

眼鏡「ありがとー」バタン

金髪「……」キョロキョロ

眼鏡「どうしたの?」

金髪「気にしないで」キリッ

黒髪「さぁ食べよう! すぐ食べよう!」バンバン

金髪「焦らなくてもお菓子は逃げないでしょ」

眼鏡「!」ピコーン


①飲み物の1つにわさびを混入させてます
②眼鏡ちゃんは意地悪なので黒髪ちゃんに待てをします
③金髪さんの飲み物にだけ睡眠薬を混入させました
④ひらめき、ひらめきってそれしかねぇのか!

↓3



黒髪「もしゃもしゃ」

眼鏡「沢山食べると危ないよー」

黒髪「……!」ドンドンドン

眼鏡「言わんこっちゃない。ほーら麦茶どうぞ」

黒髪「ングング……ぷはー!」

金髪「そんなに美味しいの?」

黒髪「すっごく美味しいよ! 金髪さんも食べる?」

金髪「じゃあ1枚」パリパリ

眼鏡「……どう?」

金髪「~~~!!」バタバタバタ

黒髪「おっかしいなぁー」


金髪さんの悶え方が尋常じゃない。

常人の味覚では賞味出来る味では無さそうだ。



トランプを使ってマジックを披露する私。

そこそこ盛り上がった所で、変わった質問をされました。


眼鏡「気になる人?」

黒髪「うん。眼鏡ちゃんは誰か居る?」

金髪「……」

眼鏡「!」ピコーン


①年上にそれっぽい人が居る
②眼鏡ちゃんは純情なので顔に出ます
③ショットガンシャッフルからのトランプショット
④ひらめきはどこかへと消えた……

↓2



眼鏡「居る……かも」

金髪「!」パァァ

黒髪「ホント!?」

眼鏡「その、年上の人なんだけどね」

金髪「………」ズーン

黒髪「へぇーそれでそれで?」

眼鏡「恥ずかしいから言ーわない」

黒髪「えー」

金髪「……そろそろ帰る」

黒髪「あっ、私も!」

眼鏡「またのお越しをお待ちしておりまーす」


陽が落ちる前に帰るのは、安全を考えれば当然のこと。

私は2人を途中まで送りました。



お風呂の時間。

ふと思ったんですけど、アヒルのおもちゃって何歳までOKなんでしょう。

私くらいの年齢はまだセーフですよね?


眼鏡「Расц」

眼鏡「ветали」

眼鏡「яблони」

眼鏡「……」

眼鏡「и груши」

眼鏡「!」ピコーン


①可愛い自走式多連装ロケット砲
②眼鏡ちゃんは周りと比べて変わっています
③お歌は止めて自分の身体ですっごい遊ぶよ!
④ひらめきに利点があるとその気になっていたお前の顔はお笑いだったぜ

↓3 (これ投げたら今日は終り。明日また更新)



眼鏡ちゃんが歌おうとした曲
https://www.youtube.com/watch?v=mtAqmVBbDX0

なお②だった場合
https://www.youtube.com/watch?v=T1q_0PXmJOk


眼鏡「~~♪」

眼鏡「~~~♪」

母「……」ジーッ

眼鏡「うわぁ、お母さん居たの!?」バシャァ

母「凄いわねぇ。どんな曲なのかはさっぱり解らないけれど」

眼鏡「ただの民謡だよー」

母「そうなの?」

眼鏡「あっ、そろそろ出るね」

母「悪いわねー催促したみたいで」

眼鏡「ううん。良いの」ザバッ


気配を消して見られてた様です。

お父さんに後で伝わったりしないかなぁ……。



4日目終了時点

反応6

奇行10

??7



近くで私を呼ぶ声が聞こえる。

微睡む意識が徐々に覚醒していった。


眼鏡「……うぅ」モゾモゾ

母「起きた?」

眼鏡「後10分……」

母「三度目は無いわよー」

眼鏡「!」ピコーン


①跳ね起きる
②眼鏡ちゃんは低血圧なので機嫌が悪い
③母が行ったのを確認してから二度寝する
④朝一のひらめきもこれにはお手上げ

↓2



眼鏡「ぬぁぁ!」バッ

母「女の子が出していい声じゃないわよ」

眼鏡「取り繕うのは他人の前だけで十分」

母「同級生が聞いたら卒倒しかねないわねぇ」

眼鏡「お父さんもそうだと思うよ」

母「そうねー」パタパタ

眼鏡「……」グシグシ

眼鏡「着替えよ」シュルシュル パサッ


パジャマを脱ぎ制服を着る。

単純な作業の方が寝起きは心地よい。



学校へ向かう道中。

ふと空を見上げると、電柱に鳥が停まっている事に気付く。


眼鏡「なんだろ」

鳥「……」ジーッ

眼鏡「こっち見てるような気がする……」

鳥「……」バサッ

眼鏡「!」ピコーン


①気持ち悪いので鳥に向かって石を投げる
②眼鏡ちゃんは鳥の名前を冠する胸なので注目を引くのも当然
③手を叩いて大きな音を出す
④ひらめきません

↓2



これはハトさんだからですね。

私の胸を注視してるのは鳩胸だからに違いありません!


眼鏡「ふふん」ブルン

女子「……」

眼鏡「ふんふふーん」ブルンブルン

女子(同じクラスの眼鏡さんが、得意げな顔で胸を突き出してる)

女子(しかも視線の先がハトって……なにこれ?)

眼鏡「ふぅ。学校に行きましょう」


周りに誰かが居たような気がしたけど、たぶん気のせいだよね。

もし居たとしたら、私って凄い変な人に見えたかも。



この学校で一番不便を感じる場所。

それは深山高校の正門。

車が同時に1台しか通れない門の狭さが原因です。


眼鏡「どうして入口を狭く作ったんだろう」

黒髪「……防犯上の理由」

眼鏡「黒髪ちゃん!」

黒髪「おはよう。眼鏡ちゃん」

眼鏡「うん、おはよう。……それで防犯上の理由って?」

黒髪「侵入と逃走における時間稼ぎかな」

眼鏡「それは犯罪者の?」

黒髪「うん。距離を稼ごうと思ったら普通、車を使って逃げようとするよね?」

眼鏡「あー確かに」

黒髪「事前に調べたりしていなければ、ここで足止めを喰らう可能性が高くなる」

黒髪「敷地内は広いのに、入口が狭い理由はそこにあると思うんだ」

眼鏡「!」ピコーン


①ごめんなに言ってるかさっぱりわかんね
②眼鏡ちゃんは犯罪者心理の一部を理解してしまいます
③適当に相槌を打つ
④これにひらめきを足したら犯罪する時使えるんじゃない?

↓3



眼鏡「ごっめーん! なに言ってるかさっぱり解んないやー」

黒髪「ううん気にしてないから。眼鏡ちゃんって頭弱い所あるから仕方ないよ」

眼鏡「………」

黒髪「どうしたの?」

眼鏡「い、いやぁ! なんでもない……よぉ」

黒髪「そう?」


心にダイレクトアタックされました。

結構まじめな話し方だったので余計クるものがあります。



情報処理の時間。

担任の奥手先生は大事な話があると言って授業を中断させました。


女子「真面目な顔してるけど、先生どうしたの」

奥手「あー、今から言う事は冗談では無いと前置きしておく」

男子「なんだなんだぁ?」

奥手「最近は学校周辺で不審者が出没している。その人物についての注意喚起だ」

眼鏡「殺人犯とかだったりしてー」ケラケラ

黒髪「……」

奥手「眼鏡。その通りだ」

眼鏡「へ?」

奥手「服装は紺色のパーカーと黒ズボン。マスクにサングラスで中肉中背」

奥手「一度は警察に身柄を引き渡されたが――」

奥手「その人物はまだ逮捕されておらず、この付近に潜伏中らしい」

奥手「だから今日は複数名で纏まって帰るように。……私からは以上だ」スタスタ

男子「……かなりヤバくね?」

女子「怖いんだけど……」

眼鏡「!」ピコーン


①いい刺激になりそうで楽しみだなぁ
②眼鏡ちゃんは鳥頭なので今の話を綺麗に忘れます
③あははは!ないすじょーくですよーせんせー
④もうひらめきの兆候は出てますよ

↓3



じゅぎょうしゅーりょー。

奥手先生が何か言ってたような気がするけど思い出せないや。

クラスの皆はなんだか顔が暗いし、面倒な事でも押し付けられたのかな?

黒髪ちゃんは黙ってばっかでちょっと怖いから暫く離れておこっと。



お昼休み。

あの時の先生『×××て帰れ』……とか言ってたかも。

ま、いっか。とりあえずお昼ご飯を食べよう。


眼鏡「………」キョロキョロ

男女「ガヤガヤ」

眼鏡「なーんか思ってたより人が居ないなぁ」

眼鏡「!」ピコーン


①茶髪さんと昼食を取ります
②眼鏡ちゃんは周りに気を遣われてるだけで本当はボッチです
③金髪さんでいいや
④今の内にひらめきを必死に使うと良い

↓3



なんだろう。

探しても探しても誰も見つからないや。

しょうがないから今日のお昼は1人で食べる事にしよう。


眼鏡「……」モクモク

眼鏡「あっ、ミートボール」ヒョィ パク

眼鏡「おいし」


女子「眼鏡さん1人ってなんか珍しー」

女子「そういう時もあるんじゃない?」

女子「そっかーそうだよね」


……不名誉な称号は付けられずに済みました。



放課後。

今日は真っ直ぐ帰ろうかな。


眼鏡「む」

金髪「……」ジーッ

眼鏡「ん?」

茶髪「……」スタスタ

眼鏡「あっ」

黒髪「……」コツコツ

眼鏡「!」ピコーン


①金髪さんいっしょにかーえろ
②黒髪ちゃんいっしょにかーえろ
③同士茶髪、共に帰りましょう
④ハズレあるけどひらめいてもいいのよ?

↓3



眼鏡「黒髪ちゃん!」

黒髪「……」チラッ

眼鏡「いっしょにかーえろ!」

黒髪「ごめんね。今日これから予定があるの」

眼鏡「それって……他の誰かと一緒?」

黒髪「ううん」

眼鏡「そ、そっかぁ」

黒髪「また今度誘って?」

眼鏡「うん……じゃ、じゃあね!」


黒髪ちゃんは1人で静かに去って行きました。



黒髪ちゃんに振られた私は1人で寂しく帰っています。

今度っていつ?いつ来るんだろう。


眼鏡「ふぅ」トットットッ

眼鏡(黒髪ちゃん。気になるなぁ……)

眼鏡「……」


①眼鏡ちゃんは幸運だよ
②眼鏡ちゃんは可愛いからすれ違いざまにアプローチを受けるよ
×誰かと一緒に帰ってたなら選べたよ
④ぼーっとしてるけどもう何回ひらめいたんだろうね

↓3



正面から灰色のパーカーを着た方がやってきました。

夏だと言うのに、フードで顔を隠している不思議な方です。


灰服「……」コツッコツッコツ

眼鏡(どうしてポケットに手を入れてるんだろー?)

灰服「失礼」ドスッ

眼鏡「えっ」

眼鏡(何か突き立てられ――)

灰服「可愛いからって調子に乗ってんなよ」グリグリ


その言葉を最後に、私の意識は途切れました。



手足が引き攣る感覚。

どうやら今の私は横に倒れている様です。


眼鏡「うっ、ここは」パチパチ

眼鏡「!」ピコーン


①傍に母が居る
②傍に両親が居る
×この物語ではどうあがいても選べないよ
④退屈だからって何度もひらめいた結果がこれだよ!

↓2



父「母さん! 眼鏡の目が覚めたぞ!」

母「あら大変!」ガシャーン

眼鏡「えっ、なになに」

母「何があったか覚えて無いの?」

眼鏡「うん……」

父「お前は通り魔に襲われたんだ」

眼鏡「通り魔?」

父「そうだ。君の友人が連絡してくれなかったら、今頃どうなっていた事やら……」

眼鏡「……そっかぁ」

母「ところで、病院に1週間拘束されるけど大丈夫?」

眼鏡「勉強はともかくとしてたぶん大丈夫だよー」

父「能天気だな……」

母「欲しい物はある? 明日も見舞いに来るから買っておくわよ」

眼鏡「本が欲しいかな」

母「どんな本?」

眼鏡「んーとねー」


①責任転嫁しまくる女の子の物語
②他者に評価されない劣等生の物語
③博打の強さで全てが決まる学校の物語
④普通の友達の作り方

↓3 (これ投げたら今日は終り。明日また更新)



5日目終了時点

反応9

奇行13

??7


(これは安価範囲に含めず)



母「友達の作り方?」

眼鏡「うん」

母「……そ、そうね。解ったわ」

眼鏡「なんで微妙な顔してるの?」

母「………」ガチャッ

眼鏡「あっ」

眼鏡「別に友達が居ない訳じゃ無いからねー」


お母さんもしかして勘違いしたかも。

私が友達出来ないからって、何か根回ししたりとかしないよね……。



ぶらんぶらーん。

私眼鏡ちゃんは今、ベッドから右腕を出して遊んでいます。


眼鏡「暇だなぁ」

眼鏡「そういや誰かお見舞いに来るって言ってたような……」

眼鏡「………」ポクポクポク

眼鏡「誰だっけ?」チーン


①大学生の友人
②奥手先生
③灰色パーカー来た不審者
④眼鏡ちゃんの親友である黒髪ちゃんですよ

↓3



コンコンコン。

外から病室の扉をたたく音が聞こえてきました。

噂をすれば何とやらですね。


眼鏡「入ってどうぞー」

長髪「失礼します」カチャッ

眼鏡「長髪さん!? どうしたんですか」

長髪「君が刺されたって聞いて……あっ、これお見舞い品ね」スッ

眼鏡「あ、ありがとうございます」ペコリ

長髪「怪我は大丈夫? 痛くない?」

眼鏡「息を吐く時に少し痛みますけど、もうその程度なので大丈夫です」

長髪「そっかぁ……ホント無事で良かった」

眼鏡「!」ピコーン


①これって普通の友人じゃないですよね?そうですよね?
②忙しいかもしれないのに来てくれた事が嬉しい
③誰から聞いたんでしょうか
④ひらめいたからって奇行に直結する訳じゃないです

↓3



眼鏡(あぁ……嬉しいなぁ)

眼鏡(優しい人だって再認識出来て良かった)

眼鏡「ふふっ……」

眼鏡「長髪さん」

長髪「なにかな?」

眼鏡「また今度、遊びましょうね」

長髪「モチロンさ!」


私は長髪さんとの会話で確信したことがあります。

それは、お互いにそれなりの好意を相手に持っている、という事です。



衣服を捲り上げられる感覚。

自分の肌を無造作に撫でる誰かの手。

私はその手に身を委ねきっていた。


眼鏡「んっ」ピクッ

眼鏡「ちょ、ちょっとそこは……」モゾモゾ

眼鏡「……あっ」

女医「君。診察中に妙な声を出すのは止めたまえ」

眼鏡「てへっ」

女医「ふざける元気がそれだけあるなら十分」

眼鏡「と、いうことは?」

女医「退院だ。おめでとう」

眼鏡「やったー!」

女医「まったく、驚異的な回復力と言わざるを得ない」

女医「君を生んだお母さんに感謝するんだな」

眼鏡「!」ピコーン


①実は誤診まみれのヤブ
②眼鏡ちゃんは主人公なので補正がかかってます
③女医は医療関係者が一目置く存在
④あなたのひらめきには1つ欠点がある

↓3



母「娘を治して下さって本当にありがとうございます……!」

父「やはり先生は医師の鏡ですなぁ」

女医「……」ピクッ

母「どうかしましたか?」

女医「いえ」

眼鏡「先生ってーもしかして名前が鏡(かがみ)だったりします?」

女医「だったらどうだと言うんだ」

眼鏡「鏡先生は医師の――」

女医「キミ。もう一度入院しても構わないんだぞ?」

眼鏡「わー先生こわーい」

 



実家に帰還。

久しぶりに戻って来た感覚がする。

無理も無いよね。だって”病院”にずっと居たんだもん。


眼鏡「あー」

眼鏡「なんだろ」

眼鏡「……」モゾモゾ

眼鏡「たぶん生命の危機にあったからかな?」

眼鏡「すっごく自慰がしたい」

眼鏡「!」ピコーン


①好きな人としたいし色々汚れるからしない
②眼鏡ちゃんは変態なので窓全開で自慰に励むよ
③性欲を食欲に変換
④どうして人はひらめくんだろう……

↓2



眼鏡「流石にこういうのはちょっと――」

眼鏡「躊躇われるっていうか、そのぉ……」

眼鏡「日中に女子が励む事じゃ無いよねー」


私が馬鹿な事を呟いていると、部屋の外から響くノックが2回。

この足音はたぶんお母さんだ。きっと。

 



母「起きてるー?」

眼鏡「うぅ……起きてるよー」

母「病院生活で乱れてるんじゃない?」

眼鏡「そんな事ないよー」

母「今から晩御飯作るから手伝ってちょうだい」

眼鏡「病み上がりなんだけど」

母「ほっとくとすぐだらけるでしょ」

眼鏡「バレてるかぁ」


ここでお母さんに反抗するのも何なので、手伝う事にしました。

今日の献立は豆腐の肉団子と栗ごはん。それとひじきの煮物……だってさ。

 



お代わりもして満足満足ぅ。


階段をゆっくりと上って自分の部屋へ――

部屋に入った所で、私は何故か悪寒を感じました。


眼鏡「うっ」ズキズキ

眼鏡「痛、なんで今……」サスサス

眼鏡「!」ピコーン


①窓に目を向ける
②眼鏡ちゃんは臆病なので早く寝ます
③机に置いてあった痛み止めを飲む
④ひらめいて良い時と悪い時があります

↓2
 



眼鏡「……」ブルッ

眼鏡「早ぅ寝よ」

眼鏡「全部消さんと豆球にしとこう」カチカチッ

眼鏡「おやすみなさーい」モゾモゾ


私は出来るだけ視線を外に向けない様に布団を被りました。

これで何かあっても気付かないで済む筈です。

 



眼鏡「ふわぁ」

眼鏡「……」キョロキョロ

眼鏡「何も起きて無い……よね」

母「何かあったの?」

眼鏡「お母さん」

眼鏡「……んーん。なんでもない!」

母「そう? なら早く降りてきなさいよー」

眼鏡「はーい」


その時の私は気づけませんでした。

窓の縁が、結露ではない何かで濡れている事に……。
 



さて、もう何回目でしょう?

通学路の事です。

私は何度此処を通ったのか。誰か当てて見せて下さい。


眼鏡「!」ピコーン

眼鏡「それはですねー。ズ・バ・リ!」

女子「眼鏡さんを久しぶりに見かけたと思ったら」

男子「あれ自問自答してるのかな?」

女子「たぶんそうだと思う……」


①3回
②5廻
③373回
④ひらめいた所で変わる物ってあるんですかね

↓2
 



さんびゃくななじゅうさん。

それが私の通学回数です。

同学年の他の人より若干少ないであろう回数ですね。


眼鏡「数字に表すとなんとも……」

眼鏡「確認も済みましたし、さぁ行きましょう」

男子「……声かけた方が良いかな?」

女子「めんどくさいでしょ。止めときなよ」

男子「うーん」

眼鏡「ふんふふーん♪」スタスタ

 



教室に入って一呼吸。

この乾いた匂いを嗅ぐのも久しぶりだなぁ。


金髪「あっ」ガラッ

眼鏡「ん?」

金髪「ちょ、ちょっと。大丈夫なの? 刺されたって聞いたけど」ズカズカズカ

眼鏡「えーと」

金髪「それにアンタちょっと変わったような……」

眼鏡「!」ピコーン


①ちょっとまだ疼く
②眼鏡ちゃんは無関心なので金髪を無視します
③どこら辺が変わったの?
④誰かを嫌う為にひらめくのもいいぞ

↓2



金髪「どこら辺って……」

金髪「雰囲気? 漂わせてるオーラというかさ」

眼鏡「んーよくわかんにゃいです」

金髪「えぇ……」


金髪さんは私の記憶を確かめるように、何をしたか細かく聞いてきます。

金髪さんは私が返答する度に、何処か引っかかっている様な表情を浮かべました。

 



眼鏡「もしかして顔に小さな傷でも出来たかなぁ」

眼鏡「顔は乙女の命だから大切にしないとね」

眼鏡「ふんふふんふふーん」スタッスタッ

黒髪「……」ヌゥッ

眼鏡「ひっ」

黒髪「おはよう眼鏡ちゃん。昨日はよく眠れた?」ニコォ

眼鏡「な、なーんだ。黒髪ちゃんかーびっくりしたー」

黒髪「……」ニッコニッコ


廊下の角で黒髪ちゃんに遭遇(エンカウント)。

一瞬心臓が止まっ……止まるかもと思いました。

黒髪ちゃんを見て安心している私はおかしいでしょうか。

いや、おかしくなどない!(反語)
 



授業も終ってもうお昼休み。

私は黒髪ちゃんに今の腹具合を伝えています。


眼鏡「お腹減ったぁ……」

黒髪「お腹減ったんだ」

眼鏡「うん。ぺこぺこー」

黒髪「へぇ。ぺこぺこ」

眼鏡「学食も食べようかな」

黒髪「食べちゃえ食べちゃえ」

金髪「……」チラッチラッ

眼鏡(なんかこっち見てる……)

眼鏡「!」ピコーン


①金髪さん”を”誘って昼食を摂る
②眼鏡ちゃんは近視なのでそんなものは見えてません
③黒髪ちゃんから離れて一人で食べる
④ひらめけひらめけ!そして後で後悔しろ!

↓2



眼鏡「あっ」

金髪「……」チラッ

黒髪「どうしたの?」

眼鏡「今日は一人でご飯を食べる日なの忘れてたー」

黒髪「そうなんだ。そんな日が」ジーッ

眼鏡「……」ダラダラ

黒髪「まあいいや。”明日は”一緒に食べようね」

眼鏡「う、うん!」タタタッ

黒髪「……逃げなくても良いのに」ボソッ


やっぱり不自然だったかな。

でも金髪さんが何か言いたげだったのと昨日の事もあるし……。

まあ、明日は一緒に食べるって約束したから大丈夫だよね?
 



課業終了のチャイムが小気味良く耳に響く。

帰宅部の人間なら、今の音でクラウチングスタートを開始している筈だ。


奥手「眼鏡ーちょっと良いか」

眼鏡「えっ、あの……なんですか」

奥手「職員室まで来てくれ」

眼鏡「えー」

奥手「素直でよろしい」ズルズル

眼鏡「素直(連行)とはいったい……」ズサー

 



奥手先生は私が職員室に入るのを待ってからぴしゃりと閉めました。

そんなに聞かれたくない内容なら先に言っておいてほしいものです。


奥手「まずは退院おめでとう」

眼鏡「ありがとう……ございます?」

奥手「自分の受け持っている生徒が無事で本当に良かった」

眼鏡「本音は?」

奥手「仕事をほおってまで葬式には参列したくない」

眼鏡「清々しい屑ですね。それでも教職員ですか?」

奥手「はは。冗談冗談……冗談だよ」

眼鏡「……」

 



奥手「で、お前を呼んだ理由だが……」

奥手「お前実は”刺された相手”に心当たりは無いか?」

眼鏡「人を刺すような知り合いなんか居ませんよ」

奥手「恨みを買ってたりはしないのか?」

眼鏡「!」ピコーン


①沢山の人をハメて来たのでたぶんある
②眼鏡ちゃんは鈍感なので気付いてないだけ
③宗篤先生に対して恨みというか文句はあります
④ひらめきー

↓2



眼鏡「心当たりがなぁいです」

奥手「そうか……そうなのか」

眼鏡「それにもし居たとしても、たぶん言わないですし」

奥手「どうしてだ?」

眼鏡「ここまで来るのに目立ってるからと言えば」

奥手「校内に居るかもしれないから言わないと?」

眼鏡「そうです」

奥手「驚いたな」

眼鏡「何がです?」

奥手「ふざけた言動ばかりかと思っていたが、まともな思考も持ち合わせてるんだな」

眼鏡「……」


真面目な返答をしたのがそんなに意外らしい。

奥手先生は鼻をフンと鳴らして笑った。

馬鹿にされているのだろうか。いや、されていたのか。

 



奥手「だいたいは解った」

奥手「ま、なんだかんだいってお前は妙な行動が多いからな」

眼鏡「先生酷い」

奥手「今日は刺されないように気を付けて帰れよ」

眼鏡「わかってます」

奥手「どうだか。あの日は1人で帰ってたって聞いたぞ?」

眼鏡「!」ピコーン


①ぼ、ぼっちじゃないんですからね!
②眼鏡ちゃんは変人なので友人は居ません
③苦しい所を突かれて何も言い返せない
④ひらめかないのは状況に流されているだけというかなんというか

↓2



眼鏡「ぐっ、くぅ……」ギリギリ

奥手「女子高生がしていい顔じゃないぞ」

眼鏡「覚えてやがれ!」ピュー

奥手「捨て台詞がチンピラのそれだな……」


ざわざわしそうな漫画の登場人物みたいな顔をしてから職員室を去りました。

奥手先生は呆れた表情で私を見ていた気がします。

 



黒髪「先生」ガララッ

奥手「ん? どうした黒髪。お前をココに呼んだ記憶はないが」

黒髪「いえ、こちらの用件があって」

奥手「そうか?」

 



ゴールデンなタイムは何時から何時までなのか。

そんな事を考えつつ私はコンビニの近くまでやって来ました。


眼鏡「イレブンインターナショナルマート」

眼鏡「今日は確かエナジードリンクの新発売だっけ」

眼鏡「風神様と雷神様って商品と馬力ドリンクって名前のエナドリが」

眼鏡「……」

眼鏡「とりあえず見て行こう」ティロロンティロロン ッシャーセ

 



店員(むっ、あの女子高生は何時ぞやの……)

眼鏡「飲料はたしかここら辺にあったような」

父「あれ? 眼鏡じゃないか。どうしてここに?」

眼鏡「パパ!」

店員(パ、パッパ!? もしかしなくてもそういうヤツですか!?)

眼鏡「ちょっと新商品を見に……」

父「なんだお前もか。たぶんこれの事だろうけど、お前は飲まないだろう」スッ

眼鏡「エナドリ!」パァ

店員(良く聞こえないけど、やばい成分が入ってるお薬か何かかな?)

眼鏡「ちょうだい! ちょうだい!!」キラキラ

父「ハッハッハ。お前にはまだ早い」

眼鏡「えー」

店員(……なんかいかがわしい想像しか浮かばん)

 



父「お前はこっちにしておきなさい」ガチャッ バタムッ

眼鏡「ナタデココヨーグルト?」

父「食感が良いらしいぞ」

眼鏡「ペットボトルの入口で詰まって飲み辛そう……」

父「売れなかったら次の発注をしないだけさ」

眼鏡「新商品を積極的に入れてる人は言う事が違うなぁ」

父「ハッハッハ」

店員(おっさんが女子高生に白く濁った液体を渡して笑っとる……)

眼鏡「!」ピコーン


①エナドリは諦めてこっちを買って貰う
②眼鏡ちゃんは裕福なので横にあった1000円のお茶を買います
③父にお小遣いを要求する
④この④ってひらめかない選択肢なんですよー。ご存知です?

↓2



眼鏡「やっぱ喉も乾いてないしいいや」

父「そうか?」

眼鏡「それより一緒に帰ろうよ!」

父「一緒に?」

眼鏡「うんうん」ギュッ

父「そう言われちゃあ仕方ないな……」

眼鏡「外で待ってるね!」タタタッ ティロロンティロロン

 



父「母さんにお土産を買っていこう」

父「……茎わかめとアーモンドチョコでいいかな?」ガサガサ

父「会計お願いします」スッ

店員「はい、お会計739円に……でございまーす」

父「レシートは結構です」

店員「ありがとうございましたー」ティロロンティロロン



店員「あのおっさん妻帯者なのかよ……」ズーン

 



お父さんと仕事先の話をした。

娘さんに嫌われて困ってる上司の相談を受けたとか。

部下のお父さんに聞いて上手く行く事なのかな?


眼鏡「ただいまー」

父「帰ったぞー」

母「あらあら。2人でなんて珍しいわね?」パタパタパタ

眼鏡「コンビニで」チラッ

父「偶然会ってね」

母「そうなの」

父「これ。後で好きな時に食べてくれ」スッ

母「何かしら?」ガサガサ


お母さんは受け取った袋の中を見てにこっと笑った。

たぶんお父さんはお菓子か何かを渡したんだろうと思う。

 



母「今日も料理を手伝って貰おうかしらねー」

眼鏡「丁重に……」

母「お断りはさせないわよー」

眼鏡「えー」

母「文句を言わない。おかず1品増やしたげるから」

眼鏡「へへぇお頭! こき使ってくだせぇ」

母「誰が親方体型だって?」

眼鏡「言うてへん、なんも言うてへん……」カタカタカタ

母「私だってまだ若いんだから」クネクネ

眼鏡「ムチャしやがって……」

(母・ω・) 「は?(威圧)」

眼鏡「ごめんなさ……」ペコ

眼鏡「!」ピコーン


①経産婦とは思えない身体付きだよね
②お母様は美人なので年齢を感じさせません
③この前皺が増えたとか言ってたっけ
④こんなひらめきで神経を削る身にもなってよ!

↓2



眼鏡「……でもさ、この前自分で皺が増えたって言ってたよね?」

母「あーあーあーきこえなーい」

眼鏡「ヒアルロン酸注射でもしようかなとか言ってたのは誰?」

母「ヤメテー」

眼鏡「わたし失礼でもなんでもないじゃん」

母「ごもっともー」

眼鏡「ふふん」


これじゃあまるで小学生のやり取りだ。

お母さんと私の精神年齢は割と近いのかもしれない。

 



お風呂の時間。

両親とお風呂に入るのは何歳で止めるのが普通なのでしょう。

私くらいの年齢は……間違いなくアウトでしょうね


眼鏡「あー」

眼鏡「わー」

眼鏡「きー」

眼鏡「……」

眼鏡「ひかりたつーにーわーかーあめー」

眼鏡「!」ピコーン


①黒髪ちゃんの姿を想起させる歌
②眼鏡ちゃんはいつか見るであろう風景を思い描きます
③お歌の時間にお母さんが乱入してきます
④ひらめきは止めにする

↓3



眼鏡ちゃんが歌おうとした曲
https://www.youtube.com/watch?v=ZZYVjFBzSDk


眼鏡「~~♪」

眼鏡「~~~♪」

眼鏡「ふぅ」

眼鏡「さっぱりさっぱりーそろそろ」ザバ

眼鏡「お風呂上がりにハーゲ……じゃなくてモナカップ食べよ」


歌ってる途中、黒髪ちゃんの微笑む姿が頭に浮かんだ。

あんな顔を見せてくれたのは何時の事だったろうか。

……思い出せないや。



眼鏡「アイスを愛す~」

父「寒い!」

眼鏡「お父さん駄目だよ。暖かい格好しないと」

父「お前のギャグが原因なんだけどなぁ……」

眼鏡「?」パクッ

眼鏡「アイスうまー」パクパク

 



部屋に入って一呼吸。

風呂で温めた身体を冷やさないように早く寝なければ。


眼鏡「今日はさっさと寝るわよー」

眼鏡「足元何も無い!」ビシッ

眼鏡「机に何も無い!」ビシッ

眼鏡「窓は――」チラッ

??「……」

眼鏡「えっ」バッ

眼鏡「……いや、なんか見えた」


①もう一回じっくり見て確認しよう
②眼鏡ちゃんは乱視なのでたまにそういうのが見えます
③問題の先送り
④はいはいひらめきえいしょういのりねんじろー

↓2



眼鏡「ちょっと見てみるか」

眼鏡「……」ズズイ

??「……」バチッバチッ

眼鏡「うわっ」

蝙蝠「キューキュー」バササッ


何か居るのを確認する為に目を凝らすと蝙蝠が居た。

しかも窓に向かってぶつかってるせいか血がねっとりと付いている。

 



眼鏡「……うへぇ」

眼鏡「なんで私の部屋に向かってぶつかって来てる訳?」

眼鏡「嫌なもの見ちゃったなぁ……」シャッ

眼鏡「どっかいったしもう寝よ」バサァ

眼鏡「おやすみなさい」

 



7日目終了時点


反応13(1)

奇行16(2)

??12(3)

 



朝が来たようだ。

身体をゆっくりと起こして伸びをする。

コンディションは……そこそこといった所かな。


眼鏡「昨日は嫌なモノ見ちゃったなぁ……」

眼鏡「蝙蝠って夜中の街灯ぐらいでしか見た事無かったんだけど」

眼鏡「部屋の光が原因なのかな?」

眼鏡「……朝ごはん食べよ」トトトッ

 



何度目だろう。

いつも通ってるこの通学路で考え事をするのは。


眼鏡「自分が自分じゃない感覚があるっていうか」

黒髪「急にどうしたの?」

眼鏡「いやちょっと。こっちの話」

黒髪「そう」

眼鏡「黒髪ちゃんにはたぶん関係ない事だから気にしないで」

黒髪「……」

眼鏡(そもそも私っていつからこんな風に考え事するようになったんだっけ)

 



家庭科の授業

ひとりで出来るもんってどんな番組だったかな?


眼鏡「えいっ」グシャァ

金髪「卵を殻ごとぶち込むのはやめてくれない?」

眼鏡「いつもはこうじゃないんです。いつもはこうじゃないんです……」

金髪「はいはい。言い訳しないで殻取り除いてよね」

眼鏡「かしこまり!」

 



黒髪「……」ザクッザクッ

女子「あ、あの……黒髪さん?」

黒髪「なんですか?」ピタッ

女子「よそ見しながら包丁を扱うのは危ないから止めた方が……」

黒髪「自分の手元なんか見なくても刃物は扱えます」

女子「えぇ……」

女子(別の班の人をじーっと見ながらやってるのは異常ですよぉ)

女子(でもでもこんな事言えないし……)

女子「一応気を付けて下さいね?」

黒髪「はい」ザックザック

 



授業で自分達が作った物はお菓子でした。

卵を沢山使ったパンケーキ。それも色んな味の。


眼鏡「美味しいね」パクパク

金髪「うちの学校って案外緩いわよね」

眼鏡「どこら辺がですか?」

金髪「生徒に冷蔵庫貸してくれて、好きな時に食べて良いってトコ」

眼鏡「そうですかねぇ……」パクッ

金髪「休み時間にパンケーキ食べに来てる私達は普通だと思う?」

眼鏡「……普通じゃないですね」

金髪「でしょ?」

 



さっきとは別の休み時間。

教室に居る私達の耳に涼やかな音色が聞こえてきました。

どうやら音楽室で演奏をしている人物が居るようです。


眼鏡「これ何の音だろ?」

眼鏡「ピアノかな? それとも鉄琴かな?」

金髪「音感がガバ過ぎる」

茶髪「たぶんオルガンやない?」

眼鏡「あっ、これはどうも」

茶髪「眼鏡と会うのもなんか久しぶりな気がするわー」

黒髪「それは気のせいだと思う」

眼鏡「黒髪ちゃん居たんだ」

金髪「……」

黒髪「うん。で、見に行くの?」

眼鏡「どうしようかなー」

眼鏡「!」ピコーン


①みんなで見に行こうよ
②眼鏡ちゃんは好奇心旺盛なので見に行きます
③何かが変わる訳でもないし見に行かない
④誘われてますよひらめくの

↓2



音楽室へ静かに侵入。

綺麗な音色を出している誰かのご尊顔は――


眼鏡「誰もいないんですけど……」

金髪「さっきまでハッキリと聞こえてたのに」

黒髪「……」

茶髪「日の出てる間から心霊現象とか怖いわなぁ」

眼鏡「か、かえろ?」

一同「賛成」 「左におなーじ」 「私はそれでもいいよ」

 



??「……」ヒョコッ

??「みんな帰った」

??「……続き、する」ポロロンポロロン


後日、クラスで幽霊の噂が広がったそうです。

広げたのは外でもない私ですけどね。

 



授業も終って後は帰るだけ。

そう、帰るだけです。


眼鏡「なんか忘れてるような……」チラッ

黒髪「……」

眼鏡「えーっと」キョロキョロ

男子「うん?」

女子「何ですか」

眼鏡「あ、いや……何でも」

眼鏡「……」チラッ

黒髪「^^」

眼鏡「!」ピコーン


①じゃあねー黒髪ちゃーん
②誰かが通りかかるまで目を逸らす
③黒髪ちゃん誰か待ってるの?
④ひらめかないとドラ〇エ式ループが始まります(④を選ぶ意味が無い訳では無い)

↓2



眼鏡「黒髪ちゃん誰か待ってるの?」

黒髪「約束」

眼鏡「え」

黒髪「昨日した。忘れて無いよね?」

眼鏡「あ……ワスレテナイヨー」

黒髪「じゃあ一緒に帰ろ」ガシッ

眼鏡「引き摺るのはやめてくらさい~」ズルズル


私が抵抗しても黒髪ちゃんの腕は全く離れません。

諦めて子猫のように運ばれるとしましょう。

 



景色を眺めながら歩いていると黒髪ちゃんから話を振られた。


黒髪「なんで刺したと思う」

眼鏡「えっ」

黒髪「眼鏡ちゃん刺されたでしょ」

眼鏡「う、うん」

黒髪「何かがあったから刺したとか思ったりしない?」

眼鏡「……」

黒髪「些細な事でもいいの」

眼鏡「……わかんないよ」

黒髪「そう、なんだ」

 



黒髪「眼鏡ちゃん。私ね……好きだよ。眼鏡ちゃんのこと」

黒髪「眼鏡ちゃんが使ってるシャンプーのメーカーとか」

黒髪「どこの入浴剤を使ってるのかを言える位には」

眼鏡「じょ、冗談やめてよ黒髪ちゃんったら~」

黒髪「冗談じゃないよ」

眼鏡「うっ……近い近い!」ススス


思わず距離を取る私と、私に詰め寄る黒髪ちゃん。


眼鏡「あの、あの……急にどうしたの?」

黒髪「確認」ニコ

眼鏡(いったいなんの確認なんですかね……)


目が怖かった。

話の矛先をずらそうと必死になる私を、目の前の彼女は楽しそうに見ています。

 



黒髪「学校卒業しても一緒に居られるかな?」

眼鏡「ど、どうだろうねぇー。進路によるとしか言えないや」

黒髪「眼鏡ちゃんは進学するの? それとも就職?」

眼鏡「どっちでも良いけど、近い所じゃないと嫌だなぁ……」

黒髪「なら人間やめたら? 手助けしてあげるよ」

眼鏡「酷い!」

黒髪「社会に出た人達に失礼な発言だったから」

眼鏡(それでも遠慮がないよね)


さらっと聞き流したけど、人間をやめる手助けって何さ。

わたし、家畜小屋にでも容れられちゃうのかな?

 



家に帰って一息。

分かれ道で黒髪ちゃんが中々帰ろうとしなかったのは何なのかな。

これもそうなんだけど、私を取り巻く環境が急に変化し過ぎている気がする。


眼鏡「遅いモテ期かな?」

眼鏡「前はここまで人に好かれて無かった自覚はあるし……言ってて辛い」

眼鏡「!」ピコーン


①多感な時期の男女は些細な変化でさえも過剰だったりするのよ
②眼鏡ちゃんは時を賭ける少女なので今に全額ベットしてます (誤字にあらず)
③たぶん自分に似たそっくりさんがここに居る(居た)んでしょ
④君はひらめかなくてもいいしひらめくのを止めてもいい
⑤ひらめくという行為そのものを止める

↓2



眼鏡「ま、考えても仕方ないか」

眼鏡「めーしめーしふーろふーろあとは寝るだけー」タタタッ

眼鏡「我ながら酷い歌詞だぁ」


ラッパのマークで演奏されてそうな調子で口ずさみました。

軍隊の方々に申し訳ない気持ちになってしまったのはナイショです。

 



朝が来た。

時計の無機質な音が部屋に響いている。

やっと目を覚ましたかい?って耳元で囁かれたいなぁ。


眼鏡「おかあさーん」カチャカチャ

母「どうしたの?」

眼鏡「同性愛についてどう思いますか?」

父「ぶーっ!?」

眼鏡「お父さんきたない」

父「す、すまん」フキフキ

眼鏡「どう思う?」

母「そうねぇ……愛があれば良いんじゃない?」

眼鏡「ふむふむ」

父「め、眼鏡。それは学校の課題か何かなのか」

眼鏡「そう」

父「ほっ」

眼鏡「――だったら良かったんだけど」

父「」

母「今の時代は同性間でも子供が作れるんですよ。お父さん」

父「…世界は広いな……」ポケーッ

 



小石を蹴って登校。

これは小学生がよくやってるヤツですね。


金髪「なにこの絵面」

眼鏡「ほわーい?」

金髪「石を蹴ろうとしてコケる女子高生が朝の通学路に居たらどう思う?」

眼鏡「ほほえましい」

金髪「子供の教育に悪いの間違いでしょ」

眼鏡「なぜ!?」ガーン

 



学校に着いて真っ先に保健室へ。

転んだ時に出来た擦り傷が思ったより痛かったんです。


女医「君は馬鹿か」

眼鏡「久しぶりに会ってそれはナイですよー」

女医「私以外に理由を話しても、みな同じ反応をすると思うが?」

眼鏡「そんなのぶっちゃけどうでもいいんです!」

女医「……」

眼鏡「どうして学校に先生が居るんです? 前の職場にポイされたんですか?」

女医「失礼な。健康診断の要請があったから来ただけだ」

眼鏡「男子生徒も見るんですか?」

女医「そうだが」

眼鏡「その格好で?」

女医「男子校の学生なら泣いて喜ぶだろう」クイッ

眼鏡「教育に悪いってこういうのなんじゃ……」


鏡先生はお元気そうで何よりです。

正直これを元気って言って良いのかな…?

 



眼鏡「ぷっつんプリンのマネ~」パチン

眼鏡「わーい」ブルンブルルン

金髪「Foooooo~~~~↑」モミモミ

眼鏡「……」

金髪「?」グニィ

眼鏡「触らないで下さるかしら」バチッ

金髪「なんでよ!? 乗ってあげたのに!」

眼鏡「触り方が厭らしいからですぅー」


女子「何アレ……」

女子「小芝居でしょ。早く着替えなよ」

女子「そ、そうね。そうするわ」ガチャッ

 



男子「ロッカーに隠れて遊んでたら出るに出られなくなった……」カタカタカタ

女子「ふぅ」ガチャ

男子「……」

女子「……」クシクシ ジーッ

男子「^^; 」

女子「手だして」

男子「……はい」

女子「死ね」バァンバァンバン

男子「ぶげぇっ!?」


女子生徒にロッカーの扉で手を痛めつけられました。

今日起きた出来事は、終生僕の頭から消える事は無いだろう。

 



黒髪「ねぇ、おっきいよね」

金髪「なんの話?」ジーッ

黒髪「眼鏡ちゃんの胸」

金髪「超でかい」

黒髪「柔らかかった?」

金髪「餅みたいだったわ」

黒髪「自分の最後に言い残したい事は?」

金髪「眼鏡の胸で一生を終えたいだけの人生だった」ペラペラ

黒髪「金髪さんは筋金入りの変態ね」

金髪「はっ」



眼鏡「くしゅっ」

眼鏡「うーん、誰か私の噂をしてるのかな~」ズルズル

女医「次、来たまえ」

眼鏡「はーい」

 



黒髪「前より縮んでた……」

眼鏡「ちゃんと食べてるー?」

黒髪「少し前かな、食べるの控えてたからそれが原因だと思う……」

眼鏡「駄目だよー? ちゃんと食べないとー」

黒髪「優しいね。眼鏡ちゃんは」

眼鏡「ふふん」ドヤァ

眼鏡「!」ピコーン


①黒髪ちゃんだから心配するんだよ
②眼鏡ちゃんは聡明なので黒髪ちゃんの食べてない理由に気付きます
③誰にでも優しいという発想がない
④答えは何処にーひらめきえーいえーいえー

↓2



眼鏡「食べなかった時のメニューって何だった?」

黒髪「ポークステーキとハンバーグ……だったかな」

眼鏡(はいアウト。肉が駄目ってもうそういう事じゃないですかやだー)

眼鏡「今は大丈夫なの?」

黒髪「美味しく食べてます。全部残してないよ」

眼鏡「……」

眼鏡(これ乗り越えちゃったパターンかな)

黒髪「難しい顔してどうしたの?」

眼鏡「あ、いや、なんでもないですぅ」

黒髪「? なんで引いてるの」


私が考えた結果。

黒髪ちゃんは肉を敬遠する何かを体験した。

そして今は大丈夫である。これはその何かを克服したという事。

何気ない顔をしているのは私に要らぬ刺激を与えない為。

……考え過ぎかな。

 



黒髪「やっぱり人間は獣なんだなって思った」

眼鏡「えっとそれはつまり?」

黒髪「お肉は美味しい」

眼鏡「真理だね」

黒髪「眼鏡ちゃんも食べられるときに食べといた方が良いよ」

眼鏡「そうしておきます」


話の落としどころが解らなくなって曖昧な返答をする。

黒髪ちゃんとの距離を置いといた方が良いのかな?

 



男子「今日は何食べるかなー」

男子「食堂でかけうどん。お前は?」

男子「エアー」

男子「……小皿持ってきて良いぞ」

男子「恩に着るぜ」


眼鏡「お弁当を用意できるのって何気に裕福な証なのかな」

金髪「どうかしらね。他より余裕があるって事じゃない?」

眼鏡「そっかぁ……」モクモク


金髪さんは意外と常識人の部類なんだなって。

改めてそう思いました。

 



教室を出ると廊下から大きな声が聞こえてきました。

これはこれは……茶髪さんの声ですね。


茶髪「放せや!」ブンブン

男子「は、話しを聞いてくれるだけで良いんだ!」

茶髪「それにお前なんなん! 今日まで一回も話した事あらへんのに!」バッ

男子「お願いだ! 僕を助けると思って――」

茶髪「無理! 生理的に受け付けん!」

男子「あっ」ドサッ

眼鏡「……」


顔を蒼くした男子生徒が1人ぽつんとその場に残っています。

彼は何を話そうとしたのでしょう。淡い思いの告白だったのでしょうか。

それとも――

 



黒髪「そんな場面を見たんだ」

眼鏡「うん……」

黒髪「眼鏡ちゃんはどうしたかったの?」

眼鏡「いい方向に向かうよう介入したかった」

黒髪「でもさ、それって第三者の力でどうこうなるものなのかな?」

眼鏡「えっ」

 



金髪「…ね、眼鏡」

眼鏡「う、うぅん……」ユサユサ

金髪「やっと起きた。もうお昼休み終わるから」

金髪「まだ眠かったら保健室で寝た方が良いわよ」

眼鏡「……」ポケー

金髪「寝ぼけてるの?」

眼鏡「そうみたいです」

金髪「はぁ……」

 



眼鏡「あっ」

校長「本日はありがとうございました」ペコリ

女医「では私はこれで。失礼します」

女医「……」スタスタ

眼鏡「先生ー」

女医「この声は……」ピタッ

女医「やはり君か」クルッ

眼鏡「もうお帰りですかー」

女医「ああ。私も別に仕事が残っているのでね」

眼鏡「また来ることってあります?」

女医「次に呼ばれる時も医者だったらあるだろう」

眼鏡「!」ピコーン


①そんな短期間で医者を止める人って居るんですか?
②眼鏡ちゃんは失礼なので人をイラつかせるのが得意です
③過去に出来た傷が痛む事って自然ですか?
④ひらめきの代償は彼女と周囲の自制心

↓2



女医「ふむ……」

眼鏡「どうなんです?」

女医「呼吸する時や触った時に痛む。傷が真新しいなら自然な反応だ」

女医「完治した後というのも……なくはない」チラッ

眼鏡「……」

女医「が、君が聞きたいのはそういう事では無さそうだ」

女医「――作業現場で事故を起こして大量に血を流した患者が、完治した後も採血をする時に倒れる事がある」

女医「自身から抜けていく血が、過去に起きた出来事を思い出させるのだろう」

女医「こういった症状を ”PTSD”(心的外傷後ストレス障害) と言う。聞き覚えはあるかね?」

眼鏡「ブラック企業の見学で多少は……」

女医「………なら早い。これを治すにはグループ療法や認知療法などがある」

女医「同じ症状の人間で交流し辛い記憶を共有するグループ療法」

女医「自身の考え方を見直して別の視点で物事を見るように導く認知療法」

眼鏡「あとは……薬による緩和、ですね」

女医「そうだ」

女医「実際は他にもあるが、患者と処置する専門家の双方が意義を理解している必要がある」

眼鏡「??」

女医「君は賢いのかそうでないのか判り辛いな……」

 



女医「つまり、だ」

女医「今の君が精神的苦痛を患っているというのなら、素直に受診をお勧めする」

女医「ストレスが原因で命を絶つ者だって居る。重く見過ぎるという事は無いだろう」

眼鏡「……」

女医「疑問は解消したかね?」

眼鏡「ある程度は……」

女医「なら私は帰るとしよう」スタスタスタ


鏡先生は至極真面目に対応してくれました。

医者であるからこそ、どんな病気に対してもいい加減な事を言いたくないからでしょうか。

彼女は今まで診て貰った中で、最も信頼できるお医者様だと思います。

 



眼鏡「……ただいま」

母「おかえり――ってなんか元気ないわね?」

眼鏡「あぁ、うん……いや、なんでもない」

母「ふーん?」

眼鏡「部屋、戻るね」

母「はいはい」



眼鏡「精神的苦痛かぁ……私ってあの時の事まだ引き摺ってるのかな」

眼鏡「先生の言う通り受診も――」

眼鏡「!」ピコーン


①ま、大丈夫でしょ
②眼鏡ちゃんは神経質なので遠からず発症します
③抵抗あるけど精神科に行こう
④えらんじゃいけないひらめき(選択肢)もあるよ

↓2



眼鏡「先生も言ってた」

眼鏡「人命に関わるなら重く見過ぎる事は無いって」

眼鏡「……行こ」


私は精神科へ受診する事を決めた。

両親にそれとなく伝えたところ、今週末にと提案が出たので承諾する。

二人共あまり驚いた様子では無かったのが、ほんの少し不思議だった。

 



この時点

反応15(2)

奇行16(0)

??14(2)

 



いつもの病院へとやって来た。

人生で数度しか利用して無いので”いつもの”と言えるかは微妙だが。


眼鏡「待合室ってさ、たまに雑誌置いてるけどバラバラだよね」

父「連番じゃないのが気になるか?」

眼鏡「うん」

父「職員さん達の購入頻度によるからなぁ」

父「毎週買ってから読むとは限らないし」

父「読み終えた雑誌をここに置いておこうと思う事も少ない」

父「そうなると必然的に――」

眼鏡「雑誌を手にした人が歯抜けの状態でやきもきする」

父「そういう事だ」

眼鏡「タダ読みしたいです」

父「単行本の方が良くないか?」

眼鏡「収録する際に修正されてたり、カラーページと大ゴマが残念な事になるからやだ」

父「妙なこだわりがあるんだな……」

眼鏡「むしろそういうトコしか無くない?」

父「そういうモンかね」

 



女性「眼鏡さん、眼鏡さーん」

眼鏡「おっと。行かなくては」


お父さんと何気ない話をしていると名前を呼ばれた。

雑誌を元の棚に戻し、医者が待つ部屋へと突入する。

 



眼鏡「ふんぎぎぎぎっ……」プルプル

眼鏡(こ、ここの引き戸やたら重いんですけどぉぉぉぉ!)

眼鏡「……ふぅ」チラッ

迷医「どうぞ。そこの椅子へ」

眼鏡「失礼します」キィッキィッ

眼鏡(保健室にありそうな安っぽい椅子だなぁ……)


迷医「喉は乾いていたりしませんか?」カチャカチャ

眼鏡「んーっと、少し」

迷医「緑茶と紅茶、どちらがお好きで?」

眼鏡「緑茶を濃い目でお願いします」

迷医「別にそちらの分を用意するとは言ってませんよ?」キョトン

眼鏡「え」

迷医「ははは……冗談です。緑茶濃い目ですね?」

眼鏡(なんだこのお医者様は……)


呆気に取られていると白衣を着た女性がてきぱきとお茶を用意してくれた。

目の前に居るこの人の所作を見ると、医者じゃなくてハウスキーパーだとか言われても驚かない。



迷医「美味しいでしょう?」

眼鏡「渋いです」

迷医「お茶の成分が沢山出ている証です」

眼鏡「タンニンですか?」

迷医「? 私は先生と呼ばれる程の者じゃありませんよ」

眼鏡「担任(たんにん)じゃないッ!」

迷医「まあ君にとってはよく知らない人ですし……」

眼鏡「他人(たにん)でもないッッ!」

迷医「リョウコ?」

眼鏡「それは谷(たに)~~ッ!」

迷医「っはは! あはははは!」バンバンバン

眼鏡(なんだこの医者……)


この人が愉快な性格をしている事は解りました。

話が一向に始まらないので、仕方ないですがこちらから振る事にします。

 



眼鏡「私はお茶を飲みに来たんじゃなくって」

迷医「違うの?」

眼鏡「……」

迷医「はぁ、茶が美味いねぇ」ズズ


眼鏡「今日は悩みがあって来たんですぅぅぅぅぅ~~~!」

迷医「通り魔に刺された傷が疼くから診てくれって?」コトッ

眼鏡「! ……はい」

迷医「当時の状況をちょっとずつで良いから教えてくれるかな」

眼鏡「解りました」

眼鏡「私はいつもの放課後――」


ヤブっぽい(暫定)医者に私の記憶に残っている事件を話すと、彼女は意外にも神妙な顔で聞いてくれました。

時折首を縦に動かして続きを促す姿は、何かを確かめている様でもあります。

思い出せずに曖昧な部分はぼかして口にしましたが、その度に彼女は私に質問を加えました。

 



迷医「周囲に目立つ物はありました?」

眼鏡「覚えて無いです」


迷医「通学に使用している靴は学校指定の物ですか?」

眼鏡「学年……というか年度によっては違ったりするそうです」


迷医「IPS細胞をご存知ですか?」

眼鏡「……同性間で子供を作れる~とかは」


迷医「目を覚ましてからの貴女は何回ひらめきましたか?」

眼鏡「えっ……? そんなの数えて無いです」


迷医「自分は”ここに居る”と正しく認識する事が出来ますか?」

眼鏡「よく解りませんが、意識はちゃんとあります」


迷医「変な夢で魘されますか?」

眼鏡「ごくごくたまーに」


迷医「日常で恐怖を感じる事はありますか?」

眼鏡「うーん……ほんの少しだけ」

 



迷医「保護者の方を呼んでくれるかな?」

眼鏡「は、はい?」


迷医「大体解りますた」バーン

父「ホントですか!?」

迷医「例の事件をきっかけに、眼鏡さんが明確に変わったと言える部分があります」

父「それは……?」

迷医「”人気の無い場所”に居る事への抵抗、そして友人や家族に対する”虚勢”です」

眼鏡「……えっ」ポカーン

迷医「理解が追い付いてないようなので、まだ2度目は言いません」

眼鏡「!」ピコーン


①今までふざけていたのは何なんですか!
②眼鏡ちゃんは鈍感なので今の説明ではピンときませんねぇ
③わかりましたから、何をどうすれば良いのか教えて下さい
④ひらめきはちからをためている

↓3

疲れた 今日はここで終了



父「先生」

迷医「ええ。先も言った通り、眼鏡さんは人気の無い場所を潜在的に敬遠しています」

迷医「それなら誰かと行動するのが普通なのですが……」

迷医「自分に危害を加えた者の矛先が、近くに居る方に向かう事を恐れているようです」

迷医「一人で居るのは嫌。だけど他人が傷付く位なら――と」チラッ

眼鏡「……」

迷医「眼鏡さんは心優しい方ですね」

父「自慢の娘です」

迷医「ですがこのまま放置していては、いずれ限界が来るでしょうね」

父「一体どうすれば……」

迷医「不安に思っている事を一つずつ取り除いて行きましょう」

 



迷医「感情のコントロールは思ったよりも難しくありません」

迷医「薬で不安を抑制し、その間に何度も大丈夫だと自分に言い聞かせたり」

迷医「人と何気ない会話を繰り返す事で自然に解消できるからです」

眼鏡「本当ですか?」

迷医「はい。私が保証します」

眼鏡(むしろ不安だな……)


迷医「まずは試しに大元の原因に慣れましょう」

眼鏡「……」

迷医「強く不安を感じた状況を思い出してみてください」

眼鏡「えっ」

迷医「どうぞ」

眼鏡(急すぎるよぉ)

迷医「こういうのは早い方が良いんですよ」

眼鏡(心読んでる? ……よく解んないけど、たぶん”あの時”だよね)

 



灰服『失礼』スッ

眼鏡『?』

灰服『……』グリグリ

眼鏡『っぐ!?』


眼鏡「うっ」サスサス

迷医「大丈夫ですか?」

眼鏡「はい」

迷医「眼鏡さん。辛い所申し訳ありませんが、もう少し深く思い出せますか?」

眼鏡「……やってみます」

 



眼鏡『え、あっ……』バタッ

灰服『可愛いからって調子に乗ってんなよ』ゲシゲシ

眼鏡『や、やめ』

灰服『ちっ』


迷医「――さん。眼鏡さん」

眼鏡「うぅ」

迷医「貴方は誰かに刺された事を覚えていますね?」

眼鏡「…はい」

迷医「それはとても痛くて、怖くて、泣き出したい程に辛かったでしょう」

眼鏡「……」

迷医「ですが、その刺した人物はもう貴方の近くには居ません」

眼鏡「………そんなのまだ」

迷医「大丈夫です。私の目を見て下さい」

眼鏡「?」ジッ


私は言われるがままに彼女の目を見ました。

瞬き少なく私の目を見つめているのにはどんな理由が――

 



迷医「少なくとも今は、周りに居ませんよ」ニコッ

眼鏡「……?」キョロキョロ

父「眼鏡」ニコリ

眼鏡「お父さん……」


迷医「解りましたか?」

眼鏡「一応は……」

迷医ならよし。貴方の傍には貴方を大事に思ってくれる家族が居ます」

眼鏡「……」

迷医「級友でも仲の良い方がいらっしゃるはず。その方達に頼るのはけして恥ではありません」

迷医「悩みがある時はなんとなく話してみるだけでも良いんです」

迷医「いつかまた酷い目に遭うかもしれないなら。そういう事を――」

眼鏡「一人で悩んでちゃ駄目だって事?」

迷医「そう」

眼鏡「でも、それを理屈で解ってても……」

迷医「怖いですか?」

眼鏡「……」フルフル


肯定する意味では無く拒絶の意を込め、力なく首を振りました。

  



迷医「大丈夫です。心の治療とはこういった問答を繰り返すんですよ」

迷医「自分は危害を加えられる状況にある。もしもが起きるかもしれない」

迷医「そんな凝り固まった思考も、一つ一つ解きほぐせば」

迷医「時が過ぎて、何を悩んでいたのかと笑い飛ばす事だって出来ます」

眼鏡「……」


……その時の私は難しい表情をしていたと思います。

最初に感じた頼りなさそうな印象と、饒舌に喋っている今とで気持ち悪さを覚えたからでしょうか。


ああ、そうです。

眉間に皺を寄せて「言いたい事は解る」といった表情をしていました。

 



それから迷医さんに宥め賺されるようにして問答は続きました。

暗示療法……とでも言うのでしょうか。

考えを聞いている内に、自然と不安が和らいだ気がします。


今思えば最初のいい加減な対応も、彼女の持つ手段の一つだったのでしょう。

通院するたび、彼女は私の感情を様々な方法でかき乱し、あるべき姿へ整えてくれました。

ある時は、私を多感な時期の学生である。だから支離滅裂な言動をしたくなる時もあるんだ~と言ったり。

またある時は、麦茶ではなくめんつゆを湯呑に注いで飲ませようとしたり。

そのまたある時は、私の友人のオフと同じ格好で友人と話しているつもりで受け答えをしてと無茶を言われたり。


そうして私は……

 



眼鏡「完ッ全ッ復ッ活ッッッ!!」

父「やっぱり眼鏡は元気が一番だな」

母「お父さんもそう思います?」

父「ああ。ゆたんぽからエアコンに改良された気がするぞ」

眼鏡「ちょっとぉ~! それ、褒めてるんですか~?」



金髪「おかしなぐらい変わったよね。アンタ」

眼鏡「そう?」

金髪「前は挙動不審だったのに、今は堂々としてる」

眼鏡「前の私ってどんだけー」ブンブン

金髪「……やっぱ変わってないかも」

 



茶髪「よぉ! めーがねー」ズイッ

眼鏡「ヨーヨー!」ズズィ

茶髪「一緒にお昼食べへん?」

眼鏡「拒否る道理なーし!」

茶髪「なら戦争(フードファイト)や! 行くぞ、食堂へ!」

眼鏡「イエァ!」

茶髪「ところで前みたいに同士! って言わなくてえんか?」

眼鏡「そんな呼び方してましたっけ」

茶髪「やや、別に呼ばんでえんならええんやけどな」

 



内見「この問題が解けるか?」

眼鏡「はいほいはい……っと」カキカキ ポーイ

内見「……うむ。正解だ」

眼鏡「へへーん」パンパン

内見(前は居眠りしてたのに急に勉強熱心になるとは……)



宗篤「男子は走り終えたぞー! 女子もさっさと済ませろー!」

眼鏡「ボイコットして良いですか」

宗篤「イカーン!」

眼鏡「じゃあ宗篤先生の指導で女子生徒が倒れたって流布しますね」

宗篤「やめろーい!」



男子「持ち物検査あるなんて聞いてないっすよー!」

武田「抜き打ちだからな」

眼鏡「先生おはようございまーす」

武田「うむ。通って良し」

男子「なんで顔パス!?」

武田「信頼の差」

男子「こんなの不平等だぁ~!!」

 



校長「皆さんおはようございます」

眼鏡「また長い話だろうなー」ワーワー

校長「……」

教頭「……」ダラダラ

校長「私からの話は特にありません。そのまま解散して下さい」

眼鏡「やったー」

教頭「ほっ」



店員「オーナー。あのバイトの子止めたんですか?」

父「ああ彼か。彼にはちょっと暇をね」

店員「もしかして有給あげたんですか」

父「たぶんこっちには暫く帰って来れないだろう」

店員「片道切符ですか」

父「さぁ、君も明日から大変になるぞ」

店員「増員して頂けませんかね……」

 



長髪「眼鏡ちゃーん!」

眼鏡「長髪さん」

長髪「ごめん待った?」

眼鏡「いえいえ。今来た所です」


長髪「僕達も大分長い付き合いだね」

眼鏡「もうちょっとで6年ですよ」

長髪「あれからもうそんなにかぁ」

眼鏡「時の流れって早いですね……」


長髪「あ、あのさ」ソワソワ

眼鏡「どうしました?」

長髪「実は……プレゼントがあるんだ。貰ってくれないかな?」スッ

眼鏡「なんでしょう」

長髪「僕も大分生活が安定してきたからさ……その」パカッ

眼鏡「指輪!」パァァッ

長髪「うん。君に受け取って欲しいんだ」

眼鏡「……嬉しい」



黒髪「幸せそうだね。眼鏡ちゃん」

眼鏡「うん。いまの私、人生の頂上に居る気がする」

黒髪「そっか」

眼鏡「祝ってくれる?」

黒髪「素直に呪(いわ)ってあげるよ」

眼鏡「なんか言い方に違和感あったけどありがとう!」

黒髪「……ふふ。本当凄いね」

 



眼鏡「あのあの」

女医「どうしたのかね」

眼鏡「私の意識が無かった頃に誰か来てませんでした?」

女医「居たとしたら?」

眼鏡「教えて下さい」ペッコリン

女医「断る」

眼鏡「どうしてですか?」

女医「その方が君の為だと思ったからだ」

眼鏡「?」


眼鏡「……!」ピコーン


①そうですかなら仕方ないですね
②目線を落とすとそこには診療録(カルテ)があった

↓2



患者の診療結果が纏められた紙が机にある。

そこに記載された情報は私の知らない人物のモノだった。


女医「気付いて……いや、気付かない訳が無いか」


女医「……端的に言おう。君は精神を患っている」

眼鏡「私は至って健康ですよ?」

女医「いつからかは解らないが、君は自分の事を別の誰かだと心の中で偽り始めた」

女医「その対象は羨望を抱くに値したのかは私にとって不明だが――」

女医「君にとって何か特別な部分があったのは間違いない」

眼鏡「私は……私です」

女医「……」

女医「今まで表面にこそあまり出なかったが故に社会的問題を問われる事は無かった」

眼鏡「な、何もしてません」

女医「余程強いストレスに晒されたんだろう。君は偽ろうとした本人に危害を加えた」

眼鏡「止めて下さい!」バッ

女医「………」

眼鏡「誰か知らないけどっ…! 私はそんな事してないです……してないですから!」

女医「……重傷だな」



女医「今の君を見て、残念ながら療養施設に入れる事が決定した」

女医「……これから君は長く苦しい生活を送る事になるだろう」

女医「だがそれは自分のした過ちを見つめ直す期間でもある」

眼鏡「過ち…!? そんな……っ」

女医「抵抗するなとは言わないが、大人しく言う事を聞いてくれ」

眼鏡「拒否権はあって無いようなモノじゃないですか……」

眼鏡「それに、そこは本当に療養する為の施設なんですか」

女医「君の察する通りだ」

眼鏡「……先生。質問してもいいですか」

女医「構わん。最後に聞いてやろう」

眼鏡「私は、私は――」


眼鏡「いったい”誰”だったんですか」

 



女医「家庭環境が複雑だったと聞く」

女医「表面上のやりとりは上手にこなせて容姿も悪くなかったとか」

眼鏡「………」

女医「返答になってないか?」

眼鏡「……はい」

女医「じっくりと考えて結論を出すといい。時間だけはたっぷりある」

眼鏡「嫌な医者ですね」

女医「医者なんて専門じゃなければこんなものさ」

眼鏡「はぁ」

女医「……ゆっくりと眠りたまえ。疲れが取れるぞ」

 



おしまい


使わなかったネタの消化 (なおこれ一つだけ)


狭い路地にあるお店。

巷ではぶるぶるしてそうな名前で呼ばれているそうです。


眼鏡・金髪「……」カランコローン

店主「そこのお嬢さん、ウチは今日が初めてかな?」

眼鏡「!」ピコーン


①初めてなので優しく教えて下さい
②眼鏡ちゃんは常連なので説明要らず
③首を斜めに倒す
④女子高生が服を売る?……ひらめいた!

 


ホントにこれで最後
選択肢の先は書いて無かったけど 安価ついたのもったいないから書いておきます



首を斜めに倒して店主の顔を見ました。

金髪さんはきょろきょろと辺りを見回しています。


店主「その顔じゃ何も知らなそうだね」

金髪「ここは服を取り扱うお店ですか?」

店主「そうだよ。女性が着用する服を手広くね」

金髪「新品の物が少ないように見えますけど」

店主「古着屋でもあるからそこは納得してほしいな」

眼鏡「へー」


私は商品の一つである体操服を手に取って驚いた。

値札の桁が普通の服よりも多い。不思議。

 

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