コニー「平和だな」 (27)

コニーの一人称のみで語られるお話を考えました(^ ^)



今度も書き置きしてあるのですぐにあげ終わると思います!

少し短いですがよかったら読んでいってください(^ω^)



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では?



銃弾の先に十文字の切れ込みを入れるとだな、

そいつで鹿やイノシシに撃った時にそいつらの腹の中に届くまでに玉の頭が傘みたい開くんだ。





それがハラワタをグズグズにしながら突き抜ける。



腐った腸や苦くて食えたもんじゃない肝やなんかがキメの細かいペーストになるもんで




撃った鹿を担いでいるうちに着ているマントがそいつらの腹の中に負けねぇぐらいグズグズになっちまうんだ。

穴もでけぇからな。
全部垂れちまうんだ。




村に戻るころにはいくらか軽くなってる

死んだ爺ちゃんは酒にどっぷりだったけどな、こういうところにはほんとに抜け目なかったよな。







喉に石鏨でいくつも穴を開けたみたいな声で俺に有益な教えをいくつもひりだしてた。



「コォニー!!よく聞け!
いや、よォく見てなぁ!」




そう言ってガキだった俺にお手製のダム?ダム弾を披露したんだ。


銅に鈍く輝く銃弾の先をペロッと舐めたと思うとな、それを銃に込めて一気に放った。





しかし問題が起きたんだ。




例の十文字の弾が鹿の頭に当たっちまったもんで、それはひどい有様だった。


得意気に俺の手を引いて鹿に近づくとだな、

鹿のガタガタに溶けた細長い歯達を携えた汚ねぇ色した歯茎が飛び出て………




平たく言えば妹に剥かせた芋みたくなっちまってたんだ。

泣きながら帰ったよ。


母ちゃんはな、顎から上を吹っ飛ばされた鹿を担いで得意げに戻ってきたじいちゃんと目を合わせようとしなかった。



この鹿がどんな悲惨な死に方をしたか、その経緯を察してだろう。






俺たちは動物を狩る事で生きている。



そこで是非知って欲しいのがな、


俺たちが鹿や兎を殺して喜ぶのは
そのおかげで、


そいつの肉の分だけ生きながらえる事ができる事を知るからなんだ。

よその連中はとかく混同しかちだがな、俺たちは鹿を[ピーーー]事に純粋に意義や喜びを感じてるわけじゃねぇんだ。



たとえば細く分かれた木の枝の先にりんごがなるみたいに肉と呼ばれる物がぶら下がっていたとするだろう?


たとえば木の実を割った中身の事を世界が肉と呼んでいたとするだろ?


そしたら村の連中は穏やかで無害なベジタリアンとして森の木々達と触れ合い、



リスや小鳥のツレ達と川に出向いて一緒に水を飲む暮らしも選べたさ。



リスも小鳥もマルハゲにされて、そいつらの姿焼きが豆と一緒に皿に盛られるのがこの村の現実だ。

百足やゴキブリが肉と呼ばれていたら、俺の村のやつはみんなそれを食っただろう。

じいちゃんはな、多少冗談が過ぎるタチだったんだ。


人以外の動くものはなんでも撃ちたがった。

何度も目の前の物をみんな殺して、弾だけをすっからかんにして手ブラで帰ってきた。


村の家畜もじいちゃんのおもちゃだ。




村で何か浮いた話があったとしたらそれはじいちゃんのせいだ。


馬舎の馬の内の一頭にベロベロのやつがいたらそれはじいちゃんのせい。


家々の 番犬にプードルみたいな刈り込みが施されていたらそれはじいちゃんのせい。


俺が子どものころ
大人たちが街に出てまで仕入れてきた馬が去勢する時に使う鎮静剤を飲むことになったのもじいちゃんのせいだ。


俺もじいちゃんの中では動物にカテゴライズされていたらしい。



家畜としてだがな。



銃で撃たれたり、何十本もの矢傷を抱えて追い回されることはない。


餌に混ぜて飲ます経口の鎮静剤をじいちゃんはケツから入れた。


「コニー!強くなりたいか!」

動悸がし始めたと思ったら一転、
今度は血圧が下がりまくって視界から赤や緑の色調が一切消えた。


グレーに淀んだ世界の真ん中で
父の馬に乗せられて俺は隣村の獣医にかかった。






人間の子どもも家畜だ。
取るに足らない、家畜。



じいちゃんはな、多分大勢の大人に疎まれてたんだ。




このな、
ここでは「墓」と呼ばれている、このボロ板一枚を地面にぶっ刺したこれにじいちゃんが入る羽目になったのも、じいちゃんのせいだ。

他ならぬじいちゃん自身の。

こんな墓に入る仕打ちを甘んじて受け入れざるを得なかったじいちゃんの生き方の。


俺は今朝妹が摘んできた花を何本か失敬してきた。


そしてその前に手元から二、三本横たわらせた。

この村にじいちゃんはいない。


兵団を抜けて村に帰ってきて驚いたのは生活の勝手が前とだいぶ変わっていたことだ。


銃なんか弾を込めるたびに
銃身と引き金を二つに折らなきゃいけなかったのによ。




今じゃ七発の弾をレバー一つで銃身に代わる代わる押し込めることができる事ができる銃になっている。




玄関を照らす蝋燭は灯油で燃えるランタンに変わり、

みんなポケットがたくさんついた安っぽい作りのベストを羽織って狩りにいくようになった。


畜舎ができた。
豚、鶏。


そいつらのウンコをもらいにバケツを持って訪ねるんだ。




俺はまともだよ?
野菜を作るのに使うんだ。



そのうち銃や弓を撃つことなんて娯楽の一つに格下げだろうな。



的は鹿から木の皿になるんだろうな。村の男たち、器用だから。

母ちゃんはな、
多少腰が悪くなっているが元気だ。



村に帰って早々にだな、
成績が優秀で栄えある
調査兵団入りを果たして
村では到底お目にかかれねぇ早馬に乗ってで壁外に飛び出した話をしたんだ。



「あんた死んだらどうするつもりだったんだい!」だってよ。


変な話だよな。
こうして目の前にいるってのに。



訓練兵入りしたのは母ちゃんがそうしたがったからだ。


母ちゃんは元は村の人間じゃない。父ちゃんが口説き落として連れてきたんだ。



だから母ちゃんが狩りで生きていく生活に馴染むのには時間がいったし、

今でも心の底では

狩りや狩りで使う、銃、弓、
獲物の血を抜くために静脈に切れ込みを入れるためのナイフ、

この辺りの物騒なものを毛嫌いしているところがあるんだ。



だから父ちゃんがナイフの砥ぎ方の手ほどきを受けている時、母ちゃんはこっちに来ようとしなかったんだ。

だから俺には
"全うな"人生を求めた。


母ちゃんが嫌った狩猟民として以外の生き方すべてを指す。





村の連中は街と村を行き来するようになった。



そこで干し肉やなんかの露店を開くんだ。


そうすると貨幣の現金が手に入って村にない珍しいものを買って帰れるって寸法さ。



こないだ珍しいものにお目にかかった。

巨人を狩るのに使っていたブレードを鉈みたいに加工したやつだ。


ひどく切れるもんで
それを買ったやつは村中で引っ張りだこになってたな。



(巨人をたたき切っていたナイフで作られてるんだぜ!こいつぁすげえ代物だ!)


あの時こいつが言葉を選んでいて、
……………それに何かにつけて騒ぎたがるタチの男じゃなかったら。



しばらくの間俺に白羽の矢がたった。


みんなの、新たに生まれた好奇心や知識欲を満たす、優秀な娯楽としてだ。


巨人を殺したの?
………さぁ。



雲の尾を引きながら空飛を飛べる機械を使いこなしてたの?
………さぁ。


壁の上からは何が見えるの?
……さぁ


何なら教えてくれるの?
……さぁ。


じゃあどうしたら教えてくれるの?


………。

…………さぁ。

俺の答えは「さぁ」であり「知らない」であり「言いたくない」だ。



(ちぇ、つまんねぇ野郎だな、いこうぜ。)


付け加える。「黙ってろ」も、だ。



正直いうとさ、もう忘れたい過去になってるのかもしれないな。



いや、そうに違いないんだ。




人間がすごく脆いって
父ちゃんも母ちゃんも知らなかったろ?




人間が一番強くて賢いだなんて、
そう思える世界で暮らしてるからこそ出る言葉だろ?





人は目の前で上下に二つに千切れた人間に何か気の利いた別れをかけてやれるのか?




これでお前とは最後だな、
なんて知ってたら言葉を選んだのか?




俺は巨人を相手にした。



やつら、いとも簡単に人間を狩れちまう畜生だ。

その過程で知った。


俺は巨人を相手にした。



だからこそ、人の生き死になんて些細な事ってのを知ってるんだ。



無論自分もそうだ。すぐに死ぬ。



じいちゃんのあの言葉は本当だった。



「死んだやつがいたらな、それはついてなかったんだ。同じ場で生きたやつがいたらな、それはもっとついてなかったんだ」


じいちゃんの歪んだ死生観からくる小言だと思ってた。



しかし、急に意味めいたものを帯びてくる。




俺に贈った言葉だったのかもな。
俺には生涯拭えぬトラウマだ。




死んじまった方が楽だと思える世界に身を投じていた過去が


今もどんよりと俺の人生に影を落す。


俺はじいちゃんのボロの墓を後にした。



早馬の郵便が村の門付近に手紙を放り投げたのを見た。



近づいて拾い上げる。



俺に宛てたものだ。


野暮な村で暮らす俺へのあてつけかと思うぐらい小綺麗な封筒の馬鹿丁寧に閉じられた封を開ける


宴会の誘い?

104期のか。




あぁ、あいつらか。



…………。
あいつらなら………もしくは…。




うん……………悪くないな。


???????。




待ち望んだその日はすぐにやってきた。


軽い荷造りだな。

兵団の退役式のパレードで着た衣装のズボンがあったな。

靴もそれでいいや。



上は………
擦り切れた肌着じゃ野暮だな。


かといって軍服じゃ浮いちまう。
時代錯誤の軍人崩れに見られちまう。俺にもそれぐらい分かる。




貯金はあるんだ。
宴会の前に早めに街に行って選んでおこう。

荷造りを進めながら思った。
こんなにワクワクするのはいつぶりだろう。



庭にでて、馬舎まで歩く。
乾いた土の塊をブーツが踏み砕く。





馬に跨る。



手綱は俺がなめした皮で作ったものでおろしたてだ。


今日のために新調した。




今はパリッとしてるがすぐになじんでくるさ。



今日会うやつら。



やつらは今後の人生の舵取りを決める指針となってくれるだろう。




そんな希望的観測に頭をいっぱいにして俺は村を出発した。




この村にじいちゃんはいない。



願わくば、
俺をここから救い出してくれ。





ーおしまいー

あっさり終わっちゃいましたねwww


トラウマを抱えたコニーの話でした(^ω^)

この「平和だな」シリーズは書きやすいし、想像に任せて好き放題できるのでしばらく書き続けてみたいと思います。


もしよかったら感想くださいm(__)mそれでは!

読んでくれてありがとう!

兵士をやめたコニーが帰った村で孤独に塞ぎ込んで生きている様子が表現したかったです(^ω^)

ジャンのとは対照的になりました。



明るく能天気な兵士が戦争で気を病んで帰ってくるというドキュメンタリー映画からヒントを得ました!
コニーを抜擢したのは坊主が兵士っぽかったからです(小並感)


また近々次を書くので読んでくれたら嬉しい限りです!みんな本当にありがとう!


こちらもどなたかhtml化の代理依頼をらしていただける方はいらっしゃいませんでしょうか(T_T)

みなさんにお世話になりっぱなしで本当に申し訳ないのですがさっき失敗したばかりなので今度も怖くてorz



オナシャス(震え声)

すみません(T_T)
浮かれてましたm(_ _)m反省します

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