【艦これ】山城さんは不幸続き? (16)

山城「不幸だわ……」

提督「……なあ、山城。山城はいつも不幸だって言ってるが、実の所どうなんだ?」

山城「どう、とは?」

提督「君も改二になって、運の方は普通になっただろう?だったら少しくらい幸運な事があったんじゃないかと思ってね」

山城「…………そうね」

提督「あったのかい?」

山城「そういえば、この間買ったアイスが当たったわ」

提督「ほう、小さいが幸運が来たじゃないか」

山城「でも、バルジが増えるかもしれないから、近くに居た睦月にあげたのよ」

提督「うん?」

山城「そうしたら、その話が広まったのか、私が酒保に行くと駆逐艦や海防艦が着いてくるようになったのよ……」

提督「あ~……」

山城「もう酒保でアイスを買えなくなってしまったわ……」

提督「…………あとで皆に言っておこう」

山城「ありがとう。助かるわ。…………不幸だわ……」

提督「運貨筒による改修を優先的に行えるように融通するよ」

山城「……それでどうにかなるかしら……」



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提督「どうだい?とりあえず数値にしたら8程度上がったはずだけど、ちょっとくらい良い事があったんじゃないか?」

山城「そうね、宝くじがあたったわ」

提督「おお、それは良かったね……ってもしかして100円とか?連番で10枚も買えば絶対当たるとかいうオチだった?」

山城「いいえ、なんと一等が当たったのよ」

提督「へ……?いっと……まさか4億?」

山城「だったら良かったのだけどね……。組違いだったのよ」

山城「喜び勇んで銀行に行ったわ。物凄く興奮しながら窓口に行って、受付の人に何言ってるのか分からないくらいパニック寸前になりながら宝くじを渡して、そして……」

提督「そして?」

山城「…………組違いだってことを教えられて大恥かいたのよ……」

提督「……あちゃ~……」

山城「あの受付の人の申し訳なさそうな目。いたたまれなさげにもじもじ動かれたらもう、死にたくなったわ」

提督「察するに余りあるよ……」

山城「確かに嬉しかったわ。宝くじに当たるなんて初めてだったもの。でも、あんなに恥ずかしい思いと少し違うだけで4億円を逃がしたっていう悔しい思いをしたのは……不幸だわ……」

提督「ちなみに組違いだといくらもらえるんだ?」

山城「10万円よ」

提督「……ま、まあ臨時収入としては結構美味しいから良かったじゃないか」

山城「実はこの話には続きがあるのよ」

提督「どんな続き?」

山城「私、入る時にちょっと自動ドアが開くのがもどかしかったから、手で開いちゃったのよ」

提督「艦娘のパワーで?」

山城「艦娘のパワーで」

提督「こ、壊れた?」

山城「片側の装置が作動不良になってしまったみたいで、修理費を請求されたわ」

提督「い、いくらだ?」

山城「3万4000円よ」

提督「あ、一応プラスにはなったんだな」

山城「そうね。でも、ずいぶんケチがついてしまったわ……」

提督「ま、まあ昔の事を考えれば……」

山城「ええ、その通りね。その通りだわ……。でも、不幸だわ……」シュン…

提督「やあ、山城。調子はどうだい?」

山城「そうね、悪く無いわ」

提督「それは良かった。…………ところでその手に持っているのは……」

山城「目ざといわね。そうよ、近くのケーキ屋さんに行って来たのよ」

提督「まさか……チーズケーキか!?」

山城「ええ、あそこのチーズケーキは絶品だもの。行ったら買わない理由がないわ」

提督「そうだよなぁ、美味しいもんなぁ」

山城「濃厚なチーズの味。なのにしっとりふわふわで、口の中にいれただけで溶けてしまうほどの軽い口当たり」

提督「ああぁぁぁ……言わないでくれぇ……」

山城「そうね、私もこれを食べている時は幸せだわ」

提督「……それほど美味しいよなぁ。分かる、分かるよ。……よぉし、こっそり抜け出して……」

山城「止めなさい。責任ある立場の人間とは思えない発言よ」

提督「だってさぁ……。うぅ……チーズケーキ……」

山城「まったく、仕方ないわね。半分あげるわよ」

提督「いいの!?」

山城「日頃お世話になっているしね……。責任者が行方不明なんて自体よりはよっぽどマシだわ」

提督「……悪いとは思うが……美味しい物には勝てない……紅茶の用意してくる!」ダダダ…

山城「まったく……不幸だわ……」

山城「次から独り占め出来なくなったじゃない……」

提督「山城、君に二日間だけだが、休暇を与える」

山城「急に、何かしら」

提督「いや、たまにはのんびりしたいんじゃないかと思って、休暇が取れるよう手配したんだが……嫌だったか?」

山城「嫌ではないわ。嬉しいけれど……提督はどうなのかしら?」

提督「僕かい?僕は、ちょっとやりたいことがあるから休日返上で仕事かな」

山城「……それ、私の抜けた穴を埋めるため?それだったら余計なお世話よ」

提督「いや、これは個人的な仕事というより助っ人かな。ちょっと入用になったから、仕事回してもらったんだよ」

山城「……本当に?」

提督「本当だよ」

山城「…………不幸だわ…………」

提督「え、えっと……ああ、扶桑はちょっと一緒に休暇というわけにはいかなかったんだ、すまない」

山城「それは理解しているわ。さすがに主力戦艦が二人も抜けるのは、ね」

提督「その代わり、時雨とかなら開けられるかな?……うん、スケジュール調整で大丈夫なはずだ。……時雨とは仲が良かったよな?」

山城「ええ、そうね。否定はしないわ」

提督「よし、じゃあふたりでどこかちょっと遠出でもできるように許可証も出そう……っとそういえば……」

山城「どうしたのかしら?」

提督「あったあった。ほら、広報から瑞雲ランドのチケット貰ってたんだ。あと一週間しか期限もないし、こことかどうかな?」

山城「…………遊園地…………?」

提督「……遊園地、嫌いだったか?」

山城「いいえ、まだ行った事がないから分からないわ」

提督「そうか、ならきっと楽しいぞ。行ってみると良い。僕も瑞雲ランドに行ったことは無いけど、ジェットコースターに乗ったことはある。あれは楽しかったなぁ」

山城「…………そう」

提督「…………ホントに嫌なら断ってもいいんだぞ?遠慮してるとか……」

山城「いいえ、遊園地には行ってみたいわ、とっても」

提督「ならいいんだ」

山城「………………不幸だわ……」ぷぅ

山城「提督、ちょっといいかしら」

提督「なんだって……え?」

山城「どうせならお洒落をしなよって時雨から言われたのよ」

提督「それで、その服、二着あるうちのどちらかを僕が選べばいいのか?」

山城「いいえ、参考にするだけよ」

提督「……まあそうだよねぇ……」

山城「こ、このフリルが付いた可愛いっぽいのと///。そ、それからこのシックで落ち着いた感じの服、どちらがいいかしら」

提督「山城もそんな可愛い服持ってたんだな」

山城「こっ、これは扶桑姉さまと時雨が意地悪で……///。私の趣味じゃありませんから///」

山城「二人が提督に聞いて来いって言うから仕方なく聞きに来ただけで、個人的にはこっちの落ち着いた服の方が……」

提督「その、フリルが付いた服が似合うと思う」

山城「こ、こっちですか!?///な、無いです!あり得ないです!///」

提督「そうかな?山城が着ると、良家のお嬢様って感じで似合ってると思うんだが……うん、可愛いと思う」

山城「そっ想像しないでください!」

提督「……無理だよ。だってきっとそれ着た山城、誰もが振り返るほどの美人さんだよ」

山城「あり得ません!絶対ありえませ~ん!!」バタンッダダダ…

山城「……ふっ、不幸だわ///」


提督「おお、時雨か。朝から行くんだな」

時雨「うん、僕も遊園地は初めてだからね。とっても楽しみだよ。提督、ありがとう」

提督「いやいや、こちらこそいつもお世話になってばかりで、ありがとう。……ところで山城は?」

時雨「あ~……山城は提督に顔を合わせたくないんだってさ」

提督「……そうか……」

時雨「そんなにあからさまに気落ちしないでよ、もう」

提督「だって……嫌われたんじゃないかってさぁ……」

時雨「そんな事あるはずないじゃないか。山城だよ?」

提督「でもさぁ……」うじうじ

時雨「ああもう、山城は恥ず……ちょっと事情があって出てこられないだけで、提督によろしくってさ」

提督「そうなの?」

時雨「そうなの!大の大人がいじけない!……それじゃ、行ってくるよ」

提督「あ、ああ。行ってらっしゃい。楽しんできてな」

時雨「うん、ありがとう」パタン

時雨「山城、服見せればよかったのに。せっかく選んでもらったんだからさ」

山城「で、出来るわけないじゃない!あ、あの男があんなこと言うから私はこんな服で人前に……」

時雨「だから、とっても似合ってるよってば」

山城「不幸だわ……あんなこと言われなかったら着なかったのに……」

山城「失礼します」

提督「お帰り、どうだった?」

山城「楽しかったです」

提督「それにしては浮かない顔だね。何かあった?」

山城「お土産です。ジェットコースター、とても楽しかったわ」

提督「だろ?……って何かそんな風に見えないんだが……」

山城「楽しかったから、不幸なんです」

提督「……よく分からないな……やっぱり余計なお節介だった……」

山城「それはあり得ません。とても楽しかったです。きっと、人生で三番目くらいに楽しかったです」

提督「ちなみに一番は?」

山城「扶桑姉さまと一緒に居る時に決まってます」

提督「だよねー……じゃあ二番目は?」

山城「……ふぅ、やっぱり不幸だわ……」

提督「むぅ……」

山城「あ、これは気にしなくていいです。…………鈍感」ボソッ

山城「ああ、そうそう、遊園地でナンパされました」

提督「なんだって!?」

山城「落ち着いてください。全部時雨があしらってくれましたから。時雨が」

提督「そ、そうか。時雨やるなぁ」

山城「ええ、ナイトみたいでカッコよかったわ」

提督「時雨らしいなぁ」

山城「守ってくれてナイトみたいでカッコよかったわ」

提督「そ、そうか」

山城「…………不幸だわ」

提督「なんでっ!?」

山城「…………分からないのね……不幸だわ……」

提督「あー、山城」

山城「なんです、提督」

提督「これはだな、私的な事だし個人的な事だからなんというか今言うのは本来良くないんだがな」

山城「はい」

提督「レ、レベル99になったよな」

山城「ああ、カッコカリですか。分かりました」

提督「サラッと言うんだな」

山城「扶桑姉さまともなさっているじゃないですか。所詮限界突破装備ですよ、あんな物」

提督「そ、そうか。…………その、だな」

山城「早くしてもらえますか?確か指輪を填めるだけですよね」

提督「いや、そうなんだが……そうなんだがな……。そうじゃないというかなんというか……」

山城「要領を得ないですね」

提督「これを……見て欲しいんだ」

山城「指輪……ですね。これがどうかしましたか?」

提督「その、さ。見てて何か気付かない?」

山城「…………石が付いてますね。…………これ…………」

提督「その、さ。最近入用って言ってたろ?」

山城「まさ……か……」

提督「薄給だしさ、そんないいもんじゃないけど。これでも奮発したんだぞ」

山城「あ……」

提督「ケッコンカッコカリじゃなくさ。その、受け取ってもらえますか?」

山城「あ……///あ……///」

提督「どう、かな?」

山城「…………ふ…………」

提督「ふ?」

山城「不幸だわ……」

提督「……そ、そうか……そうだよな……」ずーん

山城「な、何勘違いしてるんですか///」

提督「え、でも渡されて不幸って……」

山城「違います///」

山城「こ、こんなひどい事する鈍感な人に、一生ついていく事になるなんて不幸って意味よ」

47本目のSS以上終了です。最後まで読んでいただきありがとうございました
本当は今流行りの異世界転生をして、初月の初月棒になるSSを予定していましたが、やり過ぎるとR行きになるのでもう少しマイルドにしてから出直してきます

それでは皆様も良い駆逐ライフを~
あ、私は山城に浮気したわけではありません!
艦娘は全員好きだけど特に駆逐艦が好きなだけです!

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