モバP「楓さんも焦ったりするんですか?」 (25)


楓「焦ったり、ですか」

P「ええ。楓さんって、こう、いつも余裕があるじゃないですか」

楓「特にそういう心持ちではないんですけども」

P「それで、そういえば焦っている姿を見た事が無いなぁ、と」

楓「なるほど」

P「どうなんですか、実際?」



楓「獺祭?」

P「言ってません」

楓「あら、失礼」


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楓「そうですね。言われてみれば……あまり焦る方ではないかもしれません」

P「最近、焦った憶えなんかは」

楓「えぇと……すぐには、思い当たりませんね」

P「なるほど。やはりと言いますか」

楓「私だって、焦る時は焦りますよ?」

P「それがイメージしにくくて……どんな状況なら焦るんですか?」

楓「どんな……」

P「ええ」

楓「……」

P「……」



楓「……火事?」

P「火事、ですか」


楓「しっくりきませんか?」

P「まぁ……楓さんの場合、なんか落ち着いて対処しそうな気がするんですよ」

楓「一応、初期消火くらいは習いましたけど」

P「非常ベル鳴らして排煙装置起動して秋ならついでに芋でも焼き始めそうな感じが」

楓「藍子ちゃんじゃないんですから」

P「そういや去年消防署長から感謝状もらってましたっけ」

楓「おかげでイメージポスターのお仕事が来たんですよね」



P「ダメだ、高森さんの話をするだけで流れがゆるふわに」

楓「タカモリ効果と言うそうです」

P「ともかくとしましょう、それは」

楓「じゃあ、そういうプロデューサーこそ、焦ったりするんですか?」

P「俺ですか? しょっちゅう焦ってばっかですよ」



楓「焼酎?」

P「言ってません」

楓「これは失礼を」


楓「すると……例えば、最近焦った事と言えば」

P「んー、最近だと……あ」

楓「ありました?」

P「俺が焦ったと言うか、周りから焦らされてると言うべきか」

楓「ふむふむ」

P「つい先々週に見合いをさせられまして」



楓「…………お見合い、」

P「はい。まだいいって何度も何度も言ってるのに親がしつこくて」

楓「……」

P「断りきれずに会う羽目になっちゃいまして」

楓「……」

P「そしたら相手の方も同じような立場だったらしくて、結局雑談……」

楓「……」

P「……あの、楓さん?」




楓「ピョ、ポロデューサー」


P「……え、あ、はい? 俺……ですか?」

楓「その、そんなに、そんな、焦ることないと思いますよ」

P「あ、ええ、そうですよね? まだそんな歳でもないですよね?」

楓「はい、ええ。そんなに心配しなくても大丈夫です」

P「うんうん」

楓「いつも通り真面目にお仕事していれば、きっと、素敵な女性が現れますよ」

P「ははは。そう上手くいけば尚素晴らしいんですが」

楓「きっと、きっとそうなりますよ」

P「楓さんは本当に優し……っと失礼……はい、シンデレラガールズプロダクションの──」

楓「……」




楓「……」


 ― = ― ≡ ― = ―


楓「お疲れ様でした。お先に失礼します」

P「あ、はい。お疲れ様でしたー……」



P「……」

肇「どうしたんですか? 難しいお顔をして」

P「あ、お疲れ肇。いや、近ごろ楓さんの様子が妙だなと思って」

肇「妙?」

P「どうもここ一ヶ月くらい、仕事上がりに飲みに行ってる様子が無いんだ。すぐ帰ってさ」

肇「…………あっ……そうですね。妙だと思います」



P「今、ちょっと間が空かなかったか?」

肇「気のせいかと」

P「俺、何か楓さんから避けられるような事しちゃったかな……」

肇「いえそれは絶対無いですね」

P「急に語勢を強めてどうした肇」

肇「いえ」

P「いや今……おっと、その楓さんから電話だ。はい、もしもし」

肇「……」

P「え? 仕事の話? 珍しいで……いえ、いや、別に……え? 料理?」


 ― = ― ≡ ― = ―

司会『──まずは「お嫁さんにしたいアイドル」ランキング赤丸急上昇中! 高垣楓さん!』

楓「こんばんはー」

司会『お酒のアテなら得意そうなイメージはありましたが……』

楓「普通のお料理だってバッチリですよ。クックック……」



P「……」



司会『さぁ! 続いては』

響子「負けません」

司会『おおっと食い気味なまでの熱気ぃ! ご存知、五十嵐──』



P「……どうして突然料理に目覚めたんだろう」



司会『出たー! 隠し味じゃない方のお酒だぁ──』


 ― = ― ≡ ― = ―

P「どうしてだと思う?」

肇「このかぼちゃプリン頼んでもいいですか?」

P「うん」

肇「すみません、これをお一つお願いします」



P「それで、肇はどう思う?」

肇「同じ質問、楓さん本人にはしてみましたか?」

P「笑ってごまかされた」

肇「可愛かったですか?」

P「すごかった」

肇「すみません、クルミのキャラメリゼを一つ」



P「で、どうして急に料理に目覚めたんだと思う?」

肇「結婚したいお相手でも出来たのではないでしょうか」


P「  」

肇「プロデューサーさん? 大丈夫ですか?」

P「  」

肇「ジャケットがコーヒーですごい事になっていますが」

P「  」

肇「あ、すみません。このクリームあんみつを一つ」



P「  」


 ― = ― ≡ ― = ―


蘭子「魔力の流れを悪戯に乱すとは」
  (撫でないでってば)

楓「ごめんなさい、この手がいけないんです」

蘭子「ちゃんと叱って」

楓「はい。後ほどしっかり……あら。プロデューサーからメッセージが」



 【っ結婚するうんですか・】



蘭子「……???」

楓「……」

蘭子「禁呪を秘めしスクロールか……?」
  (何これ。どういうこと?)

楓「うーん……とりあえず、返信はしておきましょう」




 【うん。末永くよろしくお願いします】


 ― = ― ≡ ― = ―

楓「懐かしいですね」

P「人生で一番焦ってたなぁ……あの瞬間は」

楓「でも、そのお蔭でこうして一緒に過ごせるんですから」

P「まぁ、結果オーライと言うか」

楓「ふふ」



P「……そういえば」

楓「はい」

P「俺、結局楓の焦ってるところ見られてない気が」

楓「まぁ、いいじゃありませんか」

P「うーん……」

楓「……ただ、実を言うと今、けっこう焦らされてるんですよね」

P「え?」

楓「最近、親が『早く孫の顔が見たい』って、何度も何度もしつこくて」



P「……」




P「……」



 「……」

 「まだ結婚して一年も経ってませんし、そんなに焦らなくても、ねぇ?」

 「……」

 「第一まだ……あの、あなた?」
 
 「……」

 「えっと……あれ? あの、こういうのって、こう、勢いだけじゃなくて、雰囲、んっ」



 「……」

 「んっ……んぅ……ぷは、ちょっと、待っ、ぁ……っあ、」

 「……っ」

 「やっ、あ! 待って、まだ、んぅ……! あっ……焦らな、ひゃ、っぁ──」



おしまい。


http://i.imgur.com/VHuW5oL.jpg
http://i.imgur.com/f6eENUH.jpg

お酒が欲しくなるおかずばかり作ってくれる嫁垣楓さんとかいいと思う

前作とか
藤原肇「ただ静かに、あなたのそばで」 ( 藤原肇「ただ静かに、あなたのそばで」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525434796/) )
モバP「楓さんにも弱点とかってあるんですか?」 ( モバP「楓さんにも弱点とかってあるんですか?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1514911047/) )


ちなみに微課金ですが一日一限ガシャでフェス芳乃ちゃんが遊びに来てくれました
でもフェスを信じ過ぎてはいけない 決して


おしまい。


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お酒が欲しくなるおかずばかり作ってくれる嫁垣楓さんとかいいと思う

前作とか
藤原肇「ただ静かに、あなたのそばで」 ( 藤原肇「ただ静かに、あなたのそばで」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525434796/) )
モバP「楓さんにも弱点とかってあるんですか?」 ( モバP「楓さんにも弱点とかってあるんですか?」 - SSまとめ速報
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ちなみに微課金ですが一日一限ガシャでフェス芳乃ちゃんが遊びに来てくれました
でもフェスを信じ過ぎてはいけない 決して

ワォ二重投稿

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