両津「優勝しろ、榊遊勝。これは命令だ」 (31)




遊勝「いや、しかし……」

両津「しかしもヘチマもあるか。わしがやれと言ったら、お前はやるしかないんだ」

遊勝「だが、新葛飾署の署長の代わりに、署長同士のデュエル大会に出て優勝しろというのは……」

両津「問題は無い。さっきも言っただろ? まずは、デュエルディスクに内蔵された麻酔針で署長を眠らせるんだ」

両津「その後、お前がディスクを遠隔操作して、透明なリアルソリッドビジョンの糸を発生させ、署長をマリオネットにする」

両津「それで署長を通して、お前が大会でデュエルするんだ」

両津「相手はプロでも何でもない、ただの中年親父の警察官だ。プロのお前なら優勝間違い無し。何の問題も無い」





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遊勝「だから、そんな真似はできないと言っている」

両津「なんでだ? 何の問題がある」

遊勝「問題だらけだ」

遊勝「……そもそも、デュエルとはデュエリスト同士のコミュニケーションなんだ。相手は自分に対し、常に真剣に向かい合ってくれているんだ」

遊勝「なのに、そんな風に相手の誠意を踏みにじるような真似、できるわけがないだろう」






両津「なぁに~~? 貴様、よくもそんなことをヌケヌケとーーー」


両津「ーーーいや、いい。わしが話をしにきたのはそんなことじゃない」

遊勝「まだ諦めるつもりは無いのか?」

両津「当たり前だ! 署長が優勝しないと、わしがクビになるんだぞ!」

両津「くっそ~、部長め! 新葛飾署の発言権を高めるためだか何だか知らんが、署長を必ず優勝させろなんて無茶振りしやがって!」






遊勝「……どんな理由があろうと、不正に手を染めるわけにはいかない」

両津「このわしに逆らうのか、遊勝!」

遊勝「そうなる」

両津「わかっているのか! わしは一度、お前に大損害を負わされたこともあるんだぞ!」

遊勝「それは、両さんが勝手に、私と石島のデュエルで博打していただけの話だろう。私には何の責任もない」

遊勝「……そもそも、君とは一度居酒屋で意気投合しただけの仲じゃないか」

遊勝「しかも、君は私に借金もあったはずだ。ならば従う義務は無い」

両津「……そんなこと言って良いのかー?」

遊勝「? どう意味かね?」

両津「自分の家庭を崩壊させたいのか?って言ってんだよ」






遊勝「!?」

両津「遊勝、お前が女子高生を松葉杖代わりにして、身体の感触を楽しんでいたことはわかっている」

両津「それをバラしても良いのかな? んん~~?」

遊勝「……な、なんのことだ? 何を根拠にそんなデタラメをーーー」

両津「お前が融合次元で生徒にしていた連中から聞いた。まったく、世界最高のエンターテイナーが聞いて呆れる」

遊勝「ち、ちがう! あれは当時まだ足が治ってなくて、仕方なくーーー」

両津「ふん、足なんざ、とっくに治ってたんだろ」

両津「その証拠にユーリとかいうガキとのデュエルではぴょんぴょんジャンプしてたそうじゃねえか」

遊勝「そ、それはーーー」

両津「このことを奥さんや子供にバラされたくなければーーーーわかってるな?」

遊勝「う、うううっ、!!」









両津「遊勝、何がお前をそうさせたかは知らん」












両津「だが、家族を投げた時点で、お前の負けだ!」









遊勝「……ほ、ほんの出来心だったんだ!」

遊勝「3年も妻と息子と離れ離れになって、人肌恋しくて、つい……!」

両津「この期に及んで言い訳か。見苦しいぞ」

遊勝「仕方が無かったんだ! あの時は、プログラムもスタンダード次元に置きっ放しで、発散できなくて、それでーーー」

両津「プログラム?」

遊勝「あ、いや、それは、その」



両津(……これは、におう、におうぞ! 金の成るにおいが!)



両津「……詳しく聞かせて貰おうじゃないか」ニヤリ


遊勝「うっ、うう……実はーーーーーー」








部長「おお、両津!」

両津「あっ、部長」

部長「よくやったな、両津。まさか本当に署長を優勝させるとはーーー」

両津「なあに、私にかかれば、そのくらいお茶の子さいさいですよ!」

部長「しかし、眠ったようにデュエルし、そのまま勝つとは……不思議なこともあるものだ」

両津「なに言ってんですか、榊遊矢なんてペンデュラムを創造したんですよ?」

両津「だったら、眠りながらデュエルするくらい、普通にあり得ますって」






部長「ふむ、それもそうだ。とにかく、ご苦労だった。次のデュエルも期待しているぞ」

両津「あれ、デュエル大会はもう終わったんじゃないんですか?」

部長「ああ、今度は、榊遊矢とのデュエルだ。大会ではない」

両津「そりゃまた何で、そんなことに?」

部長「専門家の話によると、署長のデュエルはプロの世界でも通用するらしい。だから榊遊矢とデュエルする許可が降りた」

部長「そのデュエルを他の署に見せつければ、葛飾署の発言権はさらに増すことになるだろう」

両津「ふーん、そうですか」



両津(また遊勝にでも頼むか……あー、面倒くせー)






両津「さて、部長とのよもやま話も終わったことだし、本業に励むとするか」


両津「この時間の客はーーー、ああ、確か、市長候補んところのボンボンだったな」


両津「とりあえず、プログラム送信、っと」ピッ



………………………………………………………………



ピロリーンッ



沢渡「……おおっ、きたきた! プログラム!」


沢渡「くうう~! こづかい3ヶ月ぶん払った甲斐があったってもんだぜ!」


沢渡「よしよし、このプログラムが起動した状態でモンスターを召喚すればーーーーーー」ニヤリ






沢渡「ーーーそういうわけで、《魔界劇団ープリティ・ヒロイン》召喚!」



ぴょこんっ



プリティ『お呼びですか? ご主人様!』キャピッ


沢渡「頼む! 俺と熱いキッスを……!」


プリティ『かしこまりました! ご主人様!』ンー


沢渡「うっほおお!!」






両津(ぐふふ、それにしても遊勝の奴からは良いオモチャを貰った)


両津(そう、このプログラムがあれば、倫理コードを無視できる! つまり、ソリッドビジョンにどんな不埒な命令だって下せるのだ!)


両津(もっとも、使い捨て品で、あまり量は無かったが、わしの手にかかれば量産など容易いことよ!)


両津(しかし、まさか遊勝の奴が、ハゲの会長からこんなものを貰ってやがったとはな。まったく、それならさっさとわしに言えってんだ)


両津(そして、このプログラムを求めるのは、あのボンボンだけではない! 世界中のデュエリストがこぞって欲しがるシロモノだ!)


両津(このプログラムを売り捌けば、億万長者間違い無し! がーっはっはっはっは!)



両津(はははは………さーて、次の客はーーーー)ニンマリ






月影&日影「「《女忍者ヤエ》召喚!」」



ドロンッ



ヤエ『お前たちが拙者の主でござるか?』


月影「そうでござる! そうなのでござる!」

日影「頼むでござる! 拙者たち兄弟に、忍法お色気の術をかけて欲しいのでござる! イチャイチャスフィンクスしたいのでござる!」


ヤエ『それが主たちの望みとあらば……』シュルシュル


月影&日影「「ぬっはあああ!!」」






グレース&グロリア「「《トマボー》召喚!」」



ボンッ



トマボー『何の用だトマ?』


グレース「キャー、遊矢ーーー!」

グロリア「頼む、遊矢! 私たちにお前と握手をーーー」


トマボー『俺は遊矢じゃないトマがーー、女性に恥をかかせるわけにはいかないトマ』ギュッ


グレース「ああああ! 夢にまでみた遊矢の握手ーーー」

グロリア「もっとだ! もっと私たちの身体のいろんな所に握手をーーー!」


トマボー『お楽しみは、これからトマ』キリッ


グレース&グロリア「「あああーーー!!」」




………………………………………………………………




両津「がはは! これでわしも億万長者だー!!」








両津「ーーーなにぃ!? 赤馬零児がプログラムの存在に気づきかけてるだと!?」

月影「その通りでござる。このままでは拙者たちも両津殿も収容所行きでござる。ヤバイでござる」

両津「ぬううっ、ちとハデにやり過ぎか……?」

月影「拙者たち忍者以外に、これ以上プログラムを渡すのはやめた方が良いでござる。他の連中は口が軽いでござる」

両津「むううっ、もっと儲けたいが、捕まっては元も子もないしな……ここらが引き時か」



両津(だが、せめて、もう一花火……!)







両津(……がーっはっは! できたぞー! 特注デュエルディスクが!)



ドドーンッ!



両津(このディスクに内蔵されたプログラムは使い捨てではない完全品だ! つまり、このディスクさえあれば、いつでもどこでも自由にモンスターとムフフなことができるのだ!)


両津(しかも、従来のものと違って、モンスターに命令を下す必要は無い! モンスターが自動的に動いて、『奉仕』してくれるという寸法よ!)


両津(赤馬零児に気づかれる前に、このディスクを100億くらいで売ってやる! そうなりゃ、わしも金持ちの仲間入りだ! がははは!)






中川「おはようございます」

麗子「おはよう」



両津(……しかし、徹夜でディスクを作ったせいか、眠いったらありゃしない)フワアッー


両津(しゃーない。居眠りでもするか)


両津「……ぐがーっ、」







部長「ーーーーーーこら、両津!!」

両津「……!?」パチリッ


両津「……ひ、ひええ、部長!?」


部長「勤務中に居眠りとは何事だ!」

両津「す、すいません、部長! 寝不足でーーー」

部長「黙れ! どうせ徹夜でプラモでも作ってたんだろう! まったく、お前という奴はーーーー」

両津(ううっ、眠いってのに、説教かよ……くそ、まだ眠い……)ウトウト






部長「ーーーいや、いい。いまは説教は後回しだ」


両津「……へ?」


部長「それよりも両津、お前のディスクを貸してくれ」

両津「……はい? なんでまた?」

部長「署長がディスクにお茶をこぼして壊してしまってな。代わりのディスクが必要になったんだ」

部長「そういうわけで、お前の持ってるディスクを貸してくれ」

両津「……ん? ああ、そういうことですか……はい、どうぞ」スッ

部長「悪いな、後で返す」

両津「……きちんとレンタル料金も払ってくださいよ~~? いまなら3万円でーーー」

部長「250円もあれば充分だろう、バカモンが」チャリーンッ






両津「に、250円!?」

部長「そういうわけで、このディスクを署長に渡してくる。ではな」スタスタ



両津(……ったく、何が250円だ! ふざけんねえや! わしのディスクは雑誌の付録じゃねーっつーの!)


両津(……あー、怒ったら余計に眠く……)ウトウト



両津「……とりあえず、もう一度、眠って……ぐごーっ、」






両津「……ふわあっーーっ、」


両津「あー、よく眠った。さて、次はパチンコでも……」



ブーッブーッ



両津「……何の用だ、遊勝?」ピッ

遊勝「大変だ、両さん。ディスクを遠隔操作できないんだ」

両津「ああ? 何を言ってるんだ、お前は?」

遊勝「いや、今日の今の時間は、署長が私の息子とデュエルする予定だろう?」

遊勝「だが、署長のディスクに電源が入ってないみたいなんだ。これでは遠隔操作できない」






両津「電源が入ってない? そりゃ当たり前だ」

遊勝「なぜ?」

両津「なぜもなにも、署長のディスクは壊れてーーー」


両津「ーーーって、ちょっと待て!?」


遊勝「うおっ!? どうした、両さん?」



両津(しまった! 寝ぼけてたせいで、いろいろド忘れしていた!)


両津(そして、さっき部長に渡したディスク、あれはーーーーーー)サアーッ







署長「えっと、その、あの」アセアセ



ニコ「おーっと、これはどうしたことだー!? 屯田署長、デュエル開始から全く動かない!」



署長(いつもなら、急に眠気がきて、いつの間にか勝っているんだが……何で今日に限って眠くならんのだ!?)アセアセ



遊矢「あのー、そろそろ動かないと、失格になりますよ?」



署長「へ?」



遊矢「いや、アクションデュエルには、1分間なにもしないと、失格になるっていうルールがーーー」






署長「そ、そうなのか!?」



遊矢「ええ、なので、いまはとにかく動くことをオススメします」



署長(う、うう~~、こうなったら、仕方ない! 何でも良いから、さっさとデュエルを進めなければ!)


署長(とりあえず、モンスターの召喚からーーー)



署長「……え、えーー、まずはーーーー」





署長「……《戦士ダイ・グレファー》召喚!」










部長「両津のバカはどこだ?! どこにいる!?!」






中川「別次元でデュエル塾を開くそうです!」






これにて終了でござる
読んでくれて感謝でござる




部長「ふむ、それもそうだ。とにかく、ご苦労だった。次のデュエルも期待しているぞ」

両津「あれ、デュエル大会はもう終わったんじゃ?」

部長「ああ、今度は、榊遊矢とのデュエルだ。大会ではない」

両津「そりゃまた何で、そんなことに?」

部長「専門家の話によると、署長のデュエルはプロの世界でも通用するらしい。だから榊遊矢とデュエルする許可が降りた」

部長「そのデュエルを他の署に見せつければ、新葛飾署の発言権はさらに増すことになるだろう」

両津「ふーん、そうですか」



両津(また遊勝にでも頼むか……あー、面倒くせー)



>>10>>29に差し替えます。

部長のセリフの新葛飾署のところに、新ってつけ忘れてた

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