える「折木さん、好きです」 (18)



奉太郎「ああ、俺も好きだ、千反田」


える「では、お付き合いいたしましょう、折木さん」


奉太郎「そうだな、俺からも頼む。千反田、付き合ってくれ」


える「ふふ、ではこれからよろしくお願いします」


奉太郎「ああ、こちらこそよろしく頼む」



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える「折木さん、この前の期末試験どうでした?」


奉太郎「お前が勉強を見てくれたおかげで、赤点を免れるどころか、クラスでも上位に入れた」


える「そうでしたか。それは良かったです」


奉太郎「お前のおかげだ。本当にありがとう」


える「当然のことをしたまでです。なにせ、私たちはお付き合いをしているのですから」



える「折木さん、今度の文化祭ですが」


奉太郎「そうだな〜。一緒に回るか」


える「はい。古典部の店番はどうしましょう?」


奉太郎「この前、里志と相談して店番のシフトを作っといたよ」


える「なら安心ですね」


奉太郎「ああ」


える「今年は私たちにとって最後の文化祭ですから、悔いが残らないように」


奉太郎「最後くらい楽しんでみるか」



える「折木さん、今度の土曜日に東京へ行きませんか?」


奉太郎「いきなりどうした、千反田」


える「私、東京の大学に行きたいんです」


奉太郎「奇遇だな。俺もそうだ」


える「今度の土曜日に、丁度私の志望校のオープンキャンパスがあるんです」


奉太郎「なるほど、下見といったところか」


える「はい。折木さんもご一緒にどうですか?」


奉太郎「そうだな。行くよ」



奉太郎「千反田、実際の大学を見てどうだった?」


える「ええ、私の思ったとおり、とても良さそうな大学でした」


奉太郎「そうか」


える「はい。私、あの大学に行きます。迷っていましたが、実際に大学に行ってみて、あそこしか無いと確信しました」


奉太郎「そうか。じゃあ、俺も同じ大学に行く」


える「ふふ、折木さんならそう言ってくれるのではないかと思っていました」


奉太郎「これからもお前と離れるつもりはない」


える「ふふ。そう言ってくださって、私はとても嬉しいです」


奉太郎「俺はお前のことが好きだからな」


える「私も折木さんのことが好きです」



える「うっ……。グスッ……」


奉太郎「泣いているのか、千反田」


える「いえ……、と言ったところで、折木さんには嘘が通じないのはわかっています」


奉太郎「なかなかに感動できる卒業式だったな」


える「ええ。私、始まって10分で涙がこぼれてしまって」


奉太郎「いや、7分だった」


える「細かいですね、折木さん」


奉太郎「たまたま時計を見てただけだ」


える「その時にさりげなく、ハンカチを貸してくださいました」


奉太郎「たまたま今日は姉貴に言われてハンカチを持っていただけだ」


える「摩耶花さんや福部さんとは今日でお別れですが」


奉太郎「俺たちは、4月から」


奉太郎・える「同じ大学だ(です)」



える「大学にはいろんなサークルがありますね」


奉太郎「聞いてはいたが、本当にこんなに多いんだな」


える「折木さんはどサークルに入るか決めましたか?」


奉太郎「いや、俺はサークルに入る予定は今のところ無い」


える「ふふ、折木さんらしいですね」


奉太郎「そういうお前は何に入るか決めたのか」


える「はい。『経営戦略研究会』に入ろうかと」


奉太郎「サークルでも勉強するとはお前らしいな」



奉太郎「た、た〜だ〜い〜ま〜」


える「お帰りなさい、折木さん」


奉太郎「ああ、気持ち悪い……」


える「また飲んできたんですか」


奉太郎「まあな〜。先輩が離してくれなくてな〜」


える「去年の今頃は『サークルに入る予定は無い』とおっしゃってたのに」


奉太郎「そんなこと言ったか〜?」


える「とにかく、もう寝てください。明日も授業あるんでしょう?」


奉太郎「明日は休む〜」


える「だめです。私と同棲してるからには、休むことなんてありえませんよ?」


奉太郎「厳しいな〜、千反田は」



奉太郎「バイトを始める?」


える「ええ、小さな事務所の書類整理のお仕事です」


奉太郎「そうか。でも何でまた?」


える「折木さんはバイトをしてらっしゃいますが、私はしていないので」


奉太郎「別に良いじゃないか」


える「いえ、折木さんや両親の仕送りに頼ってばかりでは、私の気が済まないんです」


奉太郎「お前らしいな」


える「はい」



奉太郎「いや、危なかった」


える「ほんと、危なかったですね」


奉太郎「あと一つ単位落としてたら、卒業できなかった」


える「サークルで遊びすぎたんですよ、折木さんは」


奉太郎「フル単のお前に言われては、言い訳のしようがないな」


える「何はともあれ、卒業できて良かったです」


奉太郎「なんとか就職も決まったしな」


える「明日、私は実家に戻ります」


奉太郎「ああ。必ず、迎えに行くからな」


える「ふふ……。ずっと、ずっと、待ってますから……」



奉太郎「俺は幸せ者だ」


える「奇遇ですね。私もです」


奉太郎「思えば、あれから10年か」


える「そうですね。思ったより、長くは感じませんでした」


奉太郎「奇遇だな。俺もだ」


える「こうして、子どもにも恵まれ」


奉太郎「考えてみれば、高校の時、古典部に入らなければ、お前とこうして出会うことは無かった」


える「お姉さんに感謝しなくてはいけませんね」


奉太郎「そうだな。今度姉貴を飲みに誘ってみるかな」






奉太郎「……なあ、える……」


える「……何ですか、奉太郎さん……」
















奉太郎「……える、好きだ……」


える「……私も好きです、奉太郎さん……」












以上です。


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