ガヴリール「私がBARのマスターになった」(27)

ガヴリールドロップアウトの世界観を変えたSSです。

ナレーション『ここは「BAR天真」。悩みやストレスを抱えた者、きまぐれで見つけた者たちが気軽に立ち寄る場所である』

『BAR天真』

ガヴリール「ふわぁ~。営業直後とはいえこういう客が入らん時間帯は落ち着いてていいな」

ガチャン♩

ガヴリール「と、言ってたらもう客か。」

ここから一人ずつになります。

最初の客『ヴィーネ』

ガヴリール「いらっしゃい」

ヴィーネ「はぁ~」クター

ガヴリール「お疲れだね。何がいい?」

ヴィーネ「何か適当に出してよ。そうね、何か元気が出るのでいいわ」クター

ガヴリール「じゃあ、これはどう? あらかじめシェイクしておいたから」コトッ

ヴィーネ「これはまた鮮やかな色ね。どれ…」クイッ

ヴィーネ「っ!!!……………美味しい!?///」

ヴィーネ「マスター、これ美味しいわ! というか、疲れが吹き飛んで何だか元気が湧いてきたような」

ガヴリール「そうか」

ヴィーネ「ありがとう。えぇと、いくらかしら?」

ガヴリール「~になります」

ヴィーネ「はい。おつりはいらないわ」スッ

ガヴリール「どうも」

ガチャン♩

ガヴリール「ただの栄養ドリンクを出しただけだから元気にはなるけど、意外と気付かれないもんだな…。」

次の客『サターニャ』

ガヴリール「いらっしゃい」

サターニャ「マスター、今夜はやけ飲みしたいから遠慮なく良いのを用意して頂戴」

ガヴリール「良いのねぇ…。分かった」


ガヴリール「ほい」コトッ

サターニャ「どうも。ふん!」クイッ

ゴクゴクゴク

~30分後~

サターニャ「ふぅ~。マスター、良いヤツ出してくれて感謝よ」ゲフッ

サターニャ「なんだか嫌な事が忘れられそうだわ」ゲフッ

ガヴリール「そうか。なら良かった」

サターニャ「それにしてもこんなに飲んだら、流石に帰れるかが心配ね」ゲフッ

ガヴリール(心配はいらねぇよ。用意したのは全てただの炭酸飲料だからな…。)

三番目の客『ラフィエル』

ラフィエル「初めて来ましたが、良いお店ですね、マスターさん♪」ニコリ

ガヴリール「どうも」

ラフィエル「私、いつもは高級なお店を何軒かはしごしていますが、たまにはこういう平凡な所も悪くないと思いましてね」ニコニコ

ガヴリール「そうですか。(平凡は余計だがな)」

ラフィエル「こちらのお店は何年ほど?」

ガヴリール「私は最近、前のマスターから引き継いだから短いけど、前のマスターは10年近くと言ってたよ」

ラフィエル「ほぉ~、お店自体は10年近くで、マスターさんは前の人から引き継いで最近ですか…。」

ガヴリール「はぁ~」フキフキ

ラフィエル「それにしても、こちらの飲み物気のせいでしょうが、やけに味が変ですね」クビカシゲ

ガヴリール「っ!?」ピクッ

ラフィエル「まぁ、いいでしょう。これも美味しいですから…ね、マスターさん?」ニコリ

ガヴリール「うっ、そ、そうか!」

ガヴリール(注文の物を用意できる自信がないから適当に似てる味を作ったけど、やっぱ味に慣れてる客の舌じゃバレるか…。)

四番目の客『タプリス』

タプリス「マスターさん、疲れた体に何か良いものを用意して貰えませんか?」

ガヴリール「いいよ。これ、どうだ?」コトッ

タプリス「では…」クイッ

タプリス「っ!!……美味しいです///」

タプリス「マスターさん、これは一体?!」

ガヴリール「どういうのかは言えないけど、元気になるのは間違いない飲み物だ」

ガヴリール(まっ、ただの栄養剤だけどな。案外、バレないもんだな、前の客に見抜かれた以外は…。)

タプリス「へぇ~、前のマスターさんが亡くなって急遽こちらのお店を、ですか」

ガヴリール「あぁ」

タプリス「それにしてもBARのマスターというのは、私の今の仕事と比べてカッコいい職業ですよね/////」キラキラ

ガヴリール「そうか? BARのマスターなんてそんなに良くは思わないけど」

タプリス「いえ、私が思うにBARのマスターという職業は疲れたお客さんを癒し、笑顔にするといった良き点があります。ですから、カッコよく立派な職業だと私は思うんです!」

ガヴリール「…………そうか。」

タプリス「よければ、マスターさんのシェイクを見せては貰えませんか?」

ガヴリール「私の、か? 別にいいけど…」

タプリス「ありがとうございます」

ガヴリール「簡単なのしか見せられないけど、ほらよ!」シャカシャカシャカシャカシャカ

タプリス「す、凄いっ、速過ぎますっ!!?///」

ガヴリール「見よう見まねで練習したのだけど、これでいいか?」

タプリス「はい。それにしてもマスターさんはこのような事も出来て、本当にカッコいいです///」キラキラ

ガヴリール(なんだか、後輩が先輩を見るような憧れの眼差しを向けられてるような感覚だな…。)

五番目の客『まち子』

まち子(BARって滅多に入らないから、緊張しちゃうなぁ…)ドキドキ

ガヴリール「ご注文は?」

まち子「あっ!? えぇと…おまかせでお願いします」

ガヴリール「お任せね。ほら……」コトッ

まち子「あっ、頂きます」クイッ

まち子「……美味しい」

ガヴリール「はぁ~」フキフキ

まち子「あ、あのう?」

ガヴリール「んっ?」

まち子「この仕事、長いんですか?」

ガヴリール「いや、最近始めたばっかだな。」

まち子「えっ、最近?」

ガヴリール「そう、最近。それがどうした?」

まち子「あっ、いえ、私と同じだと思って…」

ガヴリール「同じ?」

まち子「はい。実は私も前は別の職種で働いていたんですが、訳あって今は別の職業に…」

ガヴリール「へぇ~。お客も中々大変なんだな」

まち子「ですが、マスターさんが私と同じだと思ったら何だか自信がつきました。」

まち子「ありがとうございます。お互い大変だと思いますが、頑張りましょう」

ガヴリール「あ………あぁ…。」

ガヴリール(今回の客は少々馴れ馴れしいのか、真面目なのか…。)

六番目の客『グラサン』

グラサン「……………」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ガヴリール「注文は?(うわっ、怖そうな客だな…)」

グラサン「~で頼む」

ガヴリール「はい…。」

ガヴリール「どうぞ…」コトッ

グラサン「……………」クイッ

グラサン「っ!!」ガタッ

ガヴリール「っ!?」

グラサン「……………」ジイィィーー

ガヴリール「な、なに!?」

グラサン「美味しかった」ボソッ

ガヴリール「えっ?」

グラサン「美味しかった……おかわりを頼む」ストッ

ガヴリール「あっ、はい」スッ

ガヴリール(見た目はあれだが、中は意外と普通なんだな…この客。)

七番目の客『マスター(喫茶店の)』

マスター「ふぅー」

ガヴリール「はい、どうぞ」コトッ

マスター「あっ、すみません」

マスター「……………」クイッ

マスター「っ!……美味しい!! これ、美味しいですね」

ガヴリール「まっ、一応客の好みに合わせて作ってますので」

マスター「そ、そうですか。(あれ、一応ってなに?)」

マスター「そうですか。前のマスターの引き継ぎで新しいBARのマスターに?」

ガヴリール「あぁ」

マスター「いやぁ、それにしてもマスターって聞くと同業者だと思えて本当に

ガヴリール「同業者?」

マスター「あ、私近所で喫茶店を営んでまして、そこでマスターを…」

ガヴリール「そうっすか」

マスター「えっ?(そうっすか??)」

マスター「と、とにかく一度来て下さい。ぜひ、コーヒーをご馳走n」

ガヴリール「仕事忙しんで、無理ですね」

マスター(えええぇぇーーーーーっ、即答!!?)ガーン

ガヴリール(今回の客はなんだか物腰柔らかくて優しそうだな、何だか…。)

八番目の客『マルティエル』

マルティエル「お嬢様……」ボソッ

ガヴリール(なんか、この客さっきからブツブツ「お嬢様」って言ってるな…)

ガヴリール「はい、おまちどお」コトッ

マルティエル「あっ、これはすみません」ペコリ

マルティエル「………」クイッ

マルティエル「これは、美味しいですね…。」ボソッ

マルティエル「マスター…」

ガヴリール「なんですか?」

マルティエル「こちらの作り方、ぜひお教え願いませんでしょうか?」

ガヴリール「えっ?」

マルティエル「このお味、このお味であればきっとお嬢様もお喜びになられるでしょう!」

ガヴリール「あ、いや、それは困るんだよ(あまり変なもん混ぜて作ったって言ったら100%ヤバいからな)」

マルティエル「お願いします。どうか、この作り方をぜひ!!」

マルティエル「でないと、お嬢様の関心を引けなかったり、お嬢様がお店ばかりをはしごして家に帰らなくなります!」

ガヴリール「っ!?」

ガヴリール(マジかよ…三番目の客が高級な店をはしごばっかしてるって言ってたけど、まさかお嬢様ってあいつなのか!?)

マルティエル「? どうなさいましたか?」

ガヴリール(という事はこいつはメイド、いや執事か? 大変なんだな…。)

最後の客『ゼルエル』

ゼルエル「……………」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ガヴリール(な、なんだ!? まるで他人とは思えない程のこの威圧感は!?)

ゼルエル「マスター」

ガヴリール「は、はい!?」

ゼルエル「~をよろしく頼む」

ガヴリール「はい!!」


ガヴリール「おまたせしました!!」コトッ

ゼルエル「うむ。すまないな」グイッ

ゼルエル「うん……マスター」

ガヴリール「は、はい…」

ゼルエル「美味しいよ」ニコリ

ガヴリール「っ!?(なに、今までの威圧感とは裏腹なこの笑顔は!!?)」

ゼルエル「味と良い、香りと良い、実に私の口に合う!」

ゼルエル「この味、出すのには随分と練習をしたんじゃないのかな?」

ガヴリール「え、えぇ。まぁ、そうですが。」

ゼルエル「努力してこの味を完成させた。うん、実に良い腕を持っているようだねぇ、マスター」

ガヴリール「あ、ありがとうございます」

ゼルエル「美味しいのをありがとう。では、これで失礼するよ」

ガヴリール「ありがとうございました」

ガヴリール(こんなに褒めちぎられたのはいつぶりだろうか…。)

…………………………

ガヴリール「さて、店じまいの時間だ」タッタッタ

パチッ、ガタン、シャー

バタン、ガチャ♩

ガヴリール「ふわぁ~、眠いや。明日も準備があるし、帰ったらもう寝ようと…。」スタスタ


ナレーション『こうして、BAR天真の営業は終了した。明日もまた、客を迎え、憩いの場になるのである』


おしまい

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