陽炎「霞のカレーの」不知火「カスミックス」 (73)


よくある二次創作、第十四駆逐隊解体後の話

なお、霞の出番は少ない模様

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~呉鎮守府 駆逐艦寮 第一次士官室~


陽炎「霞のカレーって美味しいじゃない?」

霰「はい」

不知火「何です、また藪からスティックな」

陽炎「なんであんなに美味しいのかな」

霰「愛情が詰まってる」

不知火「愛情だけであんなに美味しくなるのなら、陽炎が作るカレーも美味しくないとおかしい、と言うことになるのでは」

霰「母性愛」

陽炎「でもだったら、潮の作るカレーからも同じ味がしないと変だよ」

霰「潮のは、友愛」

陽炎「曙宛のは違うって」

霰「あれは純愛、プラトニック・ラブ」

不知火「待ってください、あの二人一線超えたのですか」

陽炎「何言ってるの?この前の未確認型との決戦の時」

霰「二人の愛は改二の域に達した」

不知火「不知火がハブられた多号作戦改の時点でかなりお熱い空気だったとは霞と伊14から聞いていましたが」

霰「その時はまだ改だった」

陽炎「ごめんね、あれはどうしても潜水艦が必要だったんだけど、曙に睨まれた上那智さんにも一杯奢られちゃってさぁ」

不知火「那智さんに奢られてしまったら逆らえませんね」

陽炎「足柄さんには主砲突きつけられたけどね」

霰「だから霞は強制だったの?」

陽炎「そうそう、まあ後ですっごい美味しいビーフシチューの素くれたから、まあいっかってさ」

不知火「それでこの前の休日、陽炎の作ったボルシチが美味しかったのですね。いえいつも美味しいのですけど」

霰「不知火もお世辞を覚えた」

陽炎「そんなことないよ、いつも美味しいでしょ?」

霰「皐月の方が幾分かマシ」

陽炎「皐月って油引いて塩コショウで味付けて炒めればなんでも食べられると思ってるよね」

霰「ご飯と食べるなら美味しいけど」

不知火「陽炎は塩が濃すぎなのです」

霰「ビールのつまみなら無しではない」

不知火「無しでは無いでは無いです、健康に悪いです」

陽炎「そんなに濃いかなぁ」

霰「お塩より問題なのは煮物の時、お砂糖の使い方が壊滅的に下手なこと」

陽炎「そう?」

霰「そう」

不知火「不知火は嫌いではありません」

陽炎「流石は不知火!お煎餅あげるね!あーん」

不知火「いただきます」ボリボリ

霰「甘味はみりんで出すものって、長月が教えてくれたのに」

陽炎「えーでもさー、みりんよりもお砂糖の方が早く甘くなるじゃない?値段的にはさ」

霰「砂糖とみりんは味が違う」
陽炎「そんなに?」

霰「例えるならコーラとサイダー位」

不知火「それ同じ味では」

陽炎「そうか、そんなに違ったのか」

不知火「どうして砂糖とみりんの味の違いが分からないのですか!?」

霰「出汁の取り方にも問題がある……昆布は暖め過ぎるとエグみが出るから、水から取って、60℃前後で取り出して、それから鰹節って教えたのに守ってない」

陽炎「えー変わんないよ」

霰「潮と陽炎が作ったお味噌汁は明らかに味が違う」

陽炎「そ、そうかなぁ……」

不知火「どうしてコーラとサイダーの違いが分かるのですか!?」

雪風「はいはい!霞さんのお話しですか、陽炎姉さん不知火姉さん!」

陽炎「うん、そうそう」

霰「霰は?」

雪風「霞さんのお話なら霰さんは黙っていないはずですね!」

霰「許そう」

不知火「雪風が霞の話を振るのは不自然です、どこから聞いていたのですか?」

雪風「不知火姉さんがカスミックスと言った辺りからです」

不知火「そのような発言をした覚えは無いのですが」

霰「不知火」

不知火「はい」

霰「改二になったら見えるものもある」

陽炎「うんうん」

不知火「雪風は改二ではないのでは、と不知火は訝しみます」

霰「雪風は天才だから」

陽炎「雪風は天才だしね」

雪風「雪風は天才らしいです」

不知火「雪風は天才でしたね……」

陽炎「で、霞のカレーってすっごく美味しいじゃない?」

雪風「はい!あの鳳翔さんですら負けを認める味ですから!」

不知火「そう言えばそんなお話をしていましたね」

霰「なんて言うか、強烈に美味しいカレーって感じ」

陽炎「そそ、そんで第18駆逐隊は今週の任務も遠征も中止して霞のカレーの秘密を探ります」

不知火「え」

霰「え」

雪風「はいはい!雪風もお手伝いします!」

陽炎「雪風はあたしの代わりに長波と甲型駆逐艦運用演習よろしくね」

雪風「不幸です……」

不知火「陽炎は秘書艦の仕事が有るのでは」

陽炎「最上さんに代わってもらいました」

霰「司令官がかわいそう」

陽炎「なんで?」

不知火「不知火も司令官に同情します」

陽炎「ま、いいや。じゃ、霞のカレーの秘密、聞き込みから行ってみよー!」

雪風「雪風も時間までお供します!」

霰「許そう」

雪風「幸運の女神のキスがありますように」

~~


浜風「え?霞さんのカレーの秘密ですか?」

陽炎「そうそう、霞のカレーって美味しいじゃない?」

磯風「分かるぞ、あれはたまらなく旨い」

谷風「浜風のカレーは顔面へのフックって感じだけどよ」

浦風「霞のカレーは鳩尾へのアッパーカットじゃけんの」

陽炎「分かる分かる、装甲無視の固定ダメージ感あるよね」

不知火「分かりません」

浜風「しかし、霞さんのカレーがなぜあれほど美味しいのかは……」

陽炎「やっぱ霞が持ってる、カレーへの並々ならない執念が成すのかな」

磯風「あの人、沈むならカレールーの中へ轟沈したいと常日頃から言っていたからな」

不知火「言ってましたね」

霰「言ってた?」

不知火「陽炎が第14駆逐隊を結成したあたりからの口癖です」

陽炎「何それ生で聞きたい」

浦風「なんだかんだで寂しかったんじゃねぇ」

陽炎「んー、悪いことをしてしまったのかなぁ」

谷風「陽炎姉さんは悪くねえさ、大体提督が悪いよ、提督が」

陽炎「そうだよね、提督が悪いよね」

不知火「そうですね、悪いのは提督です」

霰「はい」

雪風「その通りです」

~~


吹雪「え、カスミックス?」

陽炎「そう、カスミックスの手がかりを求めてるの」

綾波「うーん、心当たりはありませんねぇ」

不知火「改二の子は話が早いですね」

霰「乙改や丁改ではまだ足りなかった」

吹雪「カスミックスとは少し違いますけど、昔に観艦式の時」

綾波「あ、水雷戦隊対抗カレー大会!」

雪風「あー、あの時優勝したのは二水戦でしたね」

吹雪「私達、レシピ記載不良で失格になっちゃって」

陽炎「つまりその時のレシピにヒントが!?」

霰「その時、霞とのコンビは……確か荒潮」

陽炎「横須賀八駆の!」

雪風「事件が一気に進みましたね!」

綾波「それより!その時のリべちゃんの」

吹雪「そうそう、レベリベ☆カレー!」

陽炎「え、なにそれ!どんなん?」

不知火「レーベさんとリべさんのコンビであったことが辛うじてうかがえる名前ですね」

吹雪「すっごいんだよ、カットフルーツをカレーライスの上からばら撒いちゃうの」

陽炎「何それ美味しそう!」

不知火「嘘ですよね!?」

綾波「その上から生クリームもかけちゃって!」

不知火「作ったのはカレーですよね、パフェではなく」

吹雪「それでね、食べたらこれがすっごく美味しいの!」

綾波「カレーもスパイス控えめ塩味強めで、フルーツとの相性もばっちりだったんですよぉ」

陽炎「あ~良いなぁ、食べてみたいなぁ」

不知火「不知火も興味が湧いてきました」

吹雪「だけどあのカレー、予算オーバーで審査対象外になっちゃったんですよね」

綾波「本当にもったいなかったですよねぇ」

霰「美味しかった、あれ」

陽炎「ラグジュアリィってことでしょー、良いなぁそういうセンス」

雪風「それであの、カスミックスは」

吹雪「あ、あそこにお願いするのはどうです?」

陽炎「あそこ?」

綾波「目安箱です、鎮守府目安箱」

陽炎「無い」

不知火「ありえません」

雪風「ある筈がありません」

霰「あり得ない」

吹雪「なんか、想像以上に敵視されてますね」

陽炎「あのね、決してあたしの出番がないからではないんだけどね」

吹雪「はい、決して陽炎ちゃんの出番が無いからではないんですね」

不知火「はい、決して出番が無いからではありません」

陽炎「三隈さんが料理で困ったときに磯風を派遣したり」

綾波「え」

陽炎「初風が怖がってるのに無意味な派遣で問題を拗らせたり」

吹雪「善意であった可能性は」

陽炎「初風は「摩耶さんが来てくれた」以上は語らず。摩耶さんは「なんの役にも立てず、邪魔をした」って言ってた」

吹雪「成程」

霰「霞も……大淀さんに防災頭巾を強いられていた」

陽炎「あと、これは清霜からなんだけど、コンタクトレンズに慣れるために箸でハエを捕まえる訓練をしたりね」

綾波「うわぁ」

不知火「弥生さんに変な鉢巻きでボケを強要したり」

吹雪「えぇ……」

雪風「野分さんからの情報ですが、舞風さんに3時間以上『神戸牛の舞』を強要したとか」

綾波「こ、神戸牛……?」

陽炎「焼き芋を報酬に秋雲のモデルをさせたり」

雪風「あ、後!天龍さんに四つ葉のクローバーを探させたりしてました!」

吹雪「……?」

綾波「……はい?」

霰「あと『朝』ってつくからって理由だけで艦娘を派遣したり」

吹雪「成程、決して陽炎ちゃんの出番が無いから敵視してるわけでは無いんですね」

陽炎「その通り、決っっして!あたしの出番が無いから敵視しているわけでは無いんだ」

不知火「その通りです、決して出番が無いから穿った見方をしているわけではありません」

霰「はい」

雪風「お話しありがとうございました!雪風たちは昔のレシピを漁ってみます!」

吹雪「うん、頑張ってね」

~秘書艦室~


陽炎「失礼します」

最上「あれ陽炎?どうしたの?」

陽炎「昔の資料を漁らせてください」

最上「うん、どうぞ」


~~


陽炎「と言う訳で情報を得てきました」

不知火「はい」

陽炎「このローリエと言う葉っぱが鍵なのではないでしょうか」

雪風「ローリエにはお肉を美味しくする効果が有ります!」

霰「はい、では作ってみましょう」


~数時間後~


陽炎「う~ん」

不知火「確かにこれは美味しい」

霰「美味しい、おいしいけど」

雪風「やはり霞さんのカレーには及びませんね」

陽炎「使い方は合ってるよね」

不知火「お肉と共に熱を通して香りを加え、うまみを引き出す」

霰「やっぱり、何か違う秘密がある」

陽炎「うーん、よし!最近霞と一週間ほど作戦活動に従事した子に聞こう!」

~横須賀鎮守府 訓練海域~


曙「艦隊、単縦陣!目標正面、雷撃訓練行くから、夕雲!」

夕雲「はい!巻雲、風雲、浜波、続いて!」


ウー ウー ウー


巻雲「え、この音?」

曙「全艦停止、機関落として!……緊急のサイレン?何が……?」

『せーの、ぱんぱかぱーん!第七駆逐隊の曙ちゃん、第七駆逐隊の曙ちゃんへ、緊急の連絡が入っています。今すぐに秘書艦室へ来るように、以上です!』

曙「……はあ?」

風雲「潮さんからですか?」

曙「んな訳ないでしょ、アイツはあたしの邪魔になることしないの」

浜波(ご馳走様……)

『もし五分以内に来れなかったら、私の事「お姉ちゃん」って呼んでね!』

曙「夕雲後よろしくッ!!」

夕雲「ご武運をッ!」

巻雲「は、速い……!」

風雲「通常の三倍は出ている……!」

浜波(正体不明のショータイム……うふふ)

取り敢えずここまでっしゅ!

カスミックスの正体は皆で考えるっしゅ!

更新します

~~


ドタドタドタ  ズザザザァーッ!!


曙「な、何用よこのクソ秘書艦!」

愛宕「あーん、4分42秒……もう少しだったのにぃ」クネクネ

曙「だから何用だって聞いてんのよ、このクソ巨乳!」

愛宕「曙ちゃん宛にお電話よ~、はい」

曙「あん?」

陽炎『もしもし』

曙「え、は?陽炎!?」

陽炎『元気してた?』

曙「え、いや、そりゃ……元気だけど。あ、潮もね」

陽炎『夕雲達は?』

曙「まあ相変わらずよ。浜波はちょっと、無口すぎるのが不安だけど」

陽炎『そりゃ良かった!あ、ね、叢雲は?』

曙「相変わらずよ、たま~に人の訓練にちょっかいかけに来るくらいね」

陽炎『こっちも相変わらずでさぁ、清霜は戦艦になるって聞かないし、朝霜は霞にべったりだし』

曙「アイツなんだかんだで面倒見良いのよね」

陽炎『あたしだって一生懸命面倒見てるんですけど!』

曙「あんたなんてまだまだよ、そもそも脳みそまで筋肉じゃない」

陽炎『皐月のせいだよ』

曙「そういえば皐月のやつ改二になったわよ」

陽炎『あ、嘘会ったの!?あたしまだ見てないのに!』

曙「あのねぇ、改装は横須賀でやるの!アンタと違って優等生なら、そりゃ皐月の改二も、霰の改二だって見てるわよ」

陽炎『なんであたしの時は居なかったのよ!』

曙「遠征なんだから仕方ないでしょ」

陽炎『遠征なかったら会いに来てくれた?』

曙「い、行くわけないでしょ!?このバカ!」

陽炎『ん?あ、不知火も曙とお話ししたいの?はい、じゃ変わるね』

曙「はあ?」

不知火『不知火です』

曙「え、何よ」

不知火『実は霞のカレーに使われているとされる隠し味、通称カスミックスについてお話を伺いたかったのです』

曙「はあ?そんな話、どこにもなかったんだけど?」

不知火『なので不知火が代わりました』

曙「ああ、そりゃ正解ね」

不知火『なにか心当たりはございませんでしょうか』

曙「霞のカレーか……確か水雷戦隊対抗カレー大会の時の、雷のレシピを使ってるはずなんだけど」

不知火『え、雷のレシピですk(ヌイッ!?』

陽炎『それ本当!?』

曙「う、うん、まあ……でも」

陽炎『雷って六駆の雷よね!三日月の聞き間違いじゃないよね!?』

曙「あの、そうなんだけど」

陽炎『分かった!詳しい話を聞きに行くわ!新幹線で行くから!今夜の予定空けさせといて!じゃね!』

曙「あ、ちょっと!待って、待って陽炎、ねえ!……切られた」

愛宕「曙ちゃん、雷ちゃんって……」

曙「どうしよう、陽炎が会いに来ちゃう」

愛宕「今からでも呉に連絡を入れておくわ、秘書艦が昼寝でもしてなければ間に合うはずよ。大丈夫」

曙「お願いします……失礼しました」

~横須賀鎮守府 第一次士官室~


曙「……」

漣「おや?テンション低めっすね」

朧「だって見て、今日の晩御飯。大豆たっぷりのナポリスープ、冷ややっこ、納豆、豆腐の味噌汁、付け合わせのひじきにたっぷりの大豆、止めには大豆の入った雑穀米」

漣「熱い大豆推しktkr」

夕雲「呼び出しから戻った後からテンション低めでした……一体何が……?」

巻雲「もしかして鎮守府調査隊のお役立ちが」

風雲「絶対来ない」

浜波(お豆嫌い……)

漣「どうみても潮が居ないからなんだよなぁ」

曙「それは関係ないから」

朧「潮、どれくらいで帰ってくるかな」

漣「2-4の羅針盤ガチャで詰んでるからまだかかるとか言ってたっぽい」

ガチャ


陽炎「お邪魔します!こんばんは、お久しぶり、初めまして!この中に第六駆t」

曙「おりゃあああっ!!」

陽炎「ごふっ!?」

不知火「陽炎!?」

曙「良いからアンタもこっち来い!」

霰「んちゃ」


バタン  ザワザワ


「何あの人」「ヤバいやつだ」「バカリボンさんへの熱いリスペクト」


漣「あ、あれは特型夜戦空手の一つ『一一式 紫電掌』!」

朧「また強烈でマイナーな技を」

夕雲「夜戦空手…?」

巻雲「巻雲達は訓練期間短縮の影響で習わなかった奴ですね」

風雲「艦娘に陸戦を教える必要は……」

浜波(鍛えられたカラテ=ジツは強い)

漣(ま、地雷踏みに行くのが見え見えっぽかったしね)

不知火「成程、事情は察しました」

霰「ごめん、居なくなったのは電だと思ってた」

曙「一番容赦無い事を……」

陽炎「知らなかった事とは言え、ごめん」

曙「雷が『居なくなった』こと、気にしてる奴まだ多いんだから」

陽炎「なんて言うので納得するかぁッ!!」

曙「何ですって!?むしろ感謝されなきゃいけないわよ!!」


ポコスカ ポコスカ


陽炎「大体折り返しで電話するとか、他に方法が有るでしょうが!!」

曙「したわよ愛宕さんが!」

陽炎「人のせいにするなんて!!」

曙「とっとと飛び出すから捕まえられなかったのよ!」

陽炎「あたしだけ悪いみたいじゃない!!」

曙「そりゃそうよ!この脳筋じゃじゃ馬突撃娘!」

陽炎「あ、あんですってー!!こ、この……ち、ちび!ちんちくりん!!」

曙「あんたなんかデカいのは声と態度とそのクソリボンだけでしょうが!!」

陽炎「女の子がクソとか言うな!」

曙「うんこリボン!!」

陽炎「ごふっ(中破)」

霰「陽炎、弱い」

不知火(おそらく最上さんが寝ぼけて電話を取ったために起きた連絡不良です)


不知火(……しかしなんでしょう、この違和感……私たちは何かを見落としている?)

陽炎「痛ったぁい……とにかく、霞のカレーがなんで美味しいのかを探ってるのよ」

曙「とにかくとか言われても……」

不知火「ともあれ勝利条件は整っています。明日、愛宕さんに当時のレシピの記録を見せて貰えばいいのです」

不知火(見落としがあるとして、レシピを見れれば問題はありません)

陽炎「そうよね、そうしましょ」

霰「はい」

曙「外出許可とか取ってるなら寮の空き部屋、適当に使って寝なさいよ」

陽炎「はーい、あ、鳳翔さんのところで晩御飯食べるんだけどさ、一緒に行かない?」

曙「良いわよ、あたしもう食べたし」

陽炎「えーそんなぁ……」

曙「明日は休みだからランチね、ランチ」

陽炎「……じゃあ、間を取ってこうしよう」

曙「うん?」

陽炎「鳳翔さんのところで一緒に晩御飯を食べる」

曙「……」

不知火「どこの間を取ったのですか?」

霰「お邪魔しました、ご歓談をお楽しみください」

曙「あ、うん」

陽炎「え、そんなぁ!ちょっと、二人とも!冗談やってるときじゃないでしょ!」

不知火「一番艦がご無礼を」

陽炎「だってさ、曙なんだよ?」

霰「(無言の腹パン)」

陽炎「ごふっ」

曙「お土産に鳳翔さんの今川焼、買って来といてよ」

不知火「了解しました」

ここまでっしゅ

お疲れさまっしゅ

潮と霞はサム救出の為に出番が少ないっしゅ

再開するっしゅ!


~後日 早朝~


曙「ふう、今日はあまり温かくなりそうにないわね」

曙「……あれ?出る前には無かった人影?」

曙「……」

陽炎「あげぼおの~、ぼのぉ~」グデン

不知火「あ~、おはようございますぅ……」グデン

曙「人の部屋の前で何やってるの」

陽炎「飲み過ぎたぁ……」

曙「今4時50分で、もうすぐ総員起こしって知ってる?」

不知火「隼鷹さんと朝風さんに鉢合わせたのが運の尽きでした」

陽炎「しっかひ、さっすがあたしの曙ぉ、休みの日でも早朝の自主トレは欠かさないぃ」

不知火「うちもあんさんの不知火です」ギュウ

曙「地が出てんぞおい」

陽炎「あ・け・ぼ・の・も」

曙「はいはい、部屋入って良いから寝なさいな」

陽炎「愛の巣へと失礼しますぅ」

不知火「……あの、二段ベッドの下が荷物で埋まってるのですが」

曙「気を付けて梯子を登りなよ」

陽炎「お邪魔しますぅ、あー潮の幻、あたしをぬくめてぇ」

不知火「なんか、なんか、あの、気になる匂いが」

曙「やっぱり出てけッ!!」

~第一次士官室 朝食後~


霰「二人のお部屋にうちの子がお邪魔しています」

漣「ん、まあ良いんだけど」

朧「今川焼おいしいから許すよ」

曙「ったく、あのクソ馬鹿ども」

霰「お昼にはたたき起こすので」

夕雲「やはり秘書艦の業務は過酷なのですね」

巻雲「たまの休みは全てを忘れる程に飲まなければやっていられないほどのストレスが……」


風雲「あまり適当なこと言うと流石に怒られるのでは」

浜波(一番怒られそうなこと言ってる)

霰「許そう」

浜波「え、あ、あ、あの、あ、あ、霰さん……?」

霰「改二になれば見えるものがある」

浜波「え……え?」

夕雲「それでは、私たちは遠征が有りますので」

漣「ノシ」

朧「気を付けてね」

巻雲「今度は先に連絡下さいね!」

霰「はい」

曙(潮のやつ、やたら上手いけど……まさか見てる?)

漣(潮に漣の邪な思考を読まれている可能性が微レ存?)

朧(今朝の梅干し、美味しくなかったな)

~午後一時半 秘書艦室~


愛宕「ごめんね、陽炎ちゃん。すぐに折り返したのだけども……」

不知火「いえ、ある意味予定調和です」

陽炎「それで、お姉ちゃん!資料を漁ってもいい?」

愛宕「モチのロンよ、可愛い妹の頼みだもの!」

陽炎「ありがとう、お姉ちゃん!」

不知火(これで解決するはず……なのに何故でしょう、釈然としません)


~~


陽炎「あたしたちはこれでカスミックスの秘密が分かると思っていた」

陽炎「しかし判明することは無かった」

陽炎「何を言っているか分からないとは思うけど、あたしもだから」

漣「お酒抜けてないんでねー?」

陽炎「海の女はお酒強いの!」

曙「ま、あの狂信的なカレー中毒者の事だものね。簡単な訳ないわよ」

不知火「カレーなら毎日三食でも行けると豪語し、休日を全国カレー巡りに使うほどですから。ちなみにおすすめは護衛艦いせかあきづきのカレーと言ってました」

霰「いせは食べれる機会の多さ的にも、行けるなら是非」

漣「誰宛の発言ですかねそれ」

霰「みんな宛」


朧「多号作戦改の時はおよそ一週間の作戦予想時間に対し、十日分のカレーの材料を持ちこんで大発を二つ使用不能にしたとか」

陽炎「出撃の前、改二乙にさせてくれってめっちゃ頼まれたからね」

不知火「あの時担いでいった大発にカレーの材料がぎっしりだった訳ですね」

漣「それでも一週間で終わらせたんだから、これは執念かも分らんね」

曙「言っておくけど本当に毎日カレー出てきたからね、三食ともよ!信じられる!?」

霰「でも美味しかったから食べれたでしょ?」

曙「そうなのよね、日毎に風味を変えて、付け合わせも変えて……グリーンカレーが出てきた日には引っ叩いてやうかと」

漣「カレー全一狙ってる可能性が微レ存」

朧「宿泊用の護衛艦のキッチンの様子が気になる所」

陽炎「足柄さんなら乗組員に主砲突きつけて脅すくらい平気でするけどね、多分」

不知火「まあ、霞の我儘が通ったのは本人の人徳によるところも有るでしょうが」

曙「けど、何が何でも『美味い』って言わせる気なのは分かったわ……あれはもう航空戦艦さん達の瑞雲に匹敵する勢い」

漣「師匠寝ましょう」

不知火「不知火も多号作戦改に参加したかったです」

陽炎「むしろあたしが行きたかった……けど、那智さんと足柄さんには勝てない」

霰「それに霞のカレー作りに立ち会っているのなら、曙も何か気が付いてるはず」

漣「噂のカスミックスktkr」

曙「そう言われても……変化球カレーも多かったし」

朧「ビーフカレーやインドカレーが出てくる時があったはず、その時のことを」

曙「うーん……そりゃ、一番おいしいと思ったのはビーフカレーだったけど……変わったことをしているようには見えなかったし」

不知火「……となれば、他に霞と親交の深い人物を当たってみますか?」

陽炎「まあ、それについてはすでに心当たりがいるのよね」

霰「何故財布の確認を」

漣「アイツら、なんか買わなきゃ協力しないとか普通に言い出すからねぇ」

朧「第八商会の存在が駆逐艦寮のマフィア化を促進していると思う」

曙「あれ、なんか制限かけるべきよ」

陽炎「お世話になってると何も言えない」

曙「おいコラクソ秘書」


~第八駆逐隊の部屋~


大潮「こんにちは!どうされましたか陽炎さん!」

陽炎「あ、朝潮か荒潮居る?」

不知火(なるほど、荒潮さんがいましたか)

荒潮「あーちゃんは潮さんや霞さんと一緒に、大本営からの依頼で出撃中ですねぇ」

陽炎「そっかー、そうだよねぇ……ところでカスミックスについて聞きたいんだけど」

荒潮「カスミックス?……カスミックスねぇ、荒潮は分かりませんけどぉ、知ってそうな人の心当たりがぁ……あったりぃ、なかったりぃ?」

不知火(改二だから話が早いですね。早い上で露骨ですね。流石に横須賀鎮守府の闇市を取り仕切っているだけあります)

大潮「それよりですね、今度こんなものを入荷してみたんですよ!」

陽炎「これは……?」

大潮「人をダメにする抱き枕です!」

陽炎「あぁ~……これはダメになるぅ~」

不知火(あ、暗に露骨に買わせに来ている…!)

陽炎「よし、一つ買いかな!呉鎮の……」

大潮「いつものところですか?」

陽炎「いや、あたしの部屋に直でいいや」

大潮「了解しました」

不知火(『いつものところ』には何を送っているのでしょう)

荒潮「まあ~心当たりぃ?はあるんです、けどぉ、今ちょぉっと話しかけづらいのでぇ、何か手土産があった方が、お話のきっかけを作りやすいかなぁ……って、思いますねぇ」

陽炎「成程ねぇ、何なら喜ぶかな?」

不知火(露骨な……)

荒潮「今、気持ちが落ち込み気味なので、美味しいチョコレートとかだと元気出してくれるかしら?」

大潮「四人分くらい用意しておくといいと思いますよ!色々と」

不知火(食物の持ち込みは規制が厳しい筈なのですが……)

大潮「三越さんのやつなので安心、安全、健全ですよ!」

不知火「っ…!」

大潮「改二になると見えるものもあります!」


~駆逐艦寮 裏庭~


陽炎「で、指定された座標はここなんだけど」

不知火「支持された時間より少し早いみたいですからね」

不知火(しかし他の人を呼ばない方が良い、と言うのは一体……)

叢雲「アンタ達何してるの?」

陽炎「叢雲!叢雲だ!叢雲ぉ!!」モフモフモフモフ

叢雲「落ち着きが無いのね、それで艦隊の指揮が務まるの?」

不知火「不知火たちはカスミックスを追いかけていて……それで、荒潮の指示でここにいます」

叢雲「カスミックス……あぁ、そう言う事か」

不知火(改二になると何が見えるのでしょう)

叢雲「ま、色々ね」

不知火「……」

ここまでで、お疲れ様っしゅ


次回、荒潮が指定した待ち人は叢雲ではなく……?

再開します

叢雲「ま、喰わされたわね。アンタ達」

陽炎「え!荒潮に!?」

叢雲「ま、どっちかと言うと意趣返しだと思うけど……どうでも良いけど離れなさい陽炎、酸素魚雷を喰らわせるわよ」

陽炎「人をダメにする抱き枕みたいな抱き心地ぃ」

不知火「意趣返しって、それはどういう……」

電「あ……叢雲ちゃん、と陽炎さん達、こんにちは」

叢雲「毎日飽きずに良くやるわね」

電「ここは業者さんも手を出しませんから」

不知火(……)

叢雲「だから褒めたの、あんた達はこっち、ベンチで私にそのチョコを寄越しなさい」

陽炎「はーい」

不知火(曙が殴りかかって来たの、伊達では無かったようです)

~~

叢雲「で、そこで水やりしてる電がカスミックス……雷のレシピの未記載部分への手がかりね」

陽炎「あの、なんかその、申しづらいのですが……」

叢雲「目が死んでること?雑草に水やってること?」

陽炎「どっちもかなぁ……」

叢雲「私の同期で唯一の生き残りだった……もうじき引退することになると思うから、あんまり気にしないでやってね」

不知火「荒潮はこうなる事を分かって、嫌がらせのつもりだった訳ですか」

叢雲「仲間の事は引きずらないのが伝統だし、暗黙の了解だけど……ま、全員が割り切ってるわけじゃないって事よ」

陽炎「……」

叢雲「時津風や白雪の事、聞いてるけどね。全員そうできたら、秘書艦に手当つかなくなるわよ」

不知火「あの作戦は鎮守府の総意では……ましてや、陽炎の望んだものではありません」

叢雲「そりゃ知ってるわよ。そもそも雪風と白雪を投入して、瑞鶴さんまで控えさてた訳だし」

不知火「ならば陽炎への狼藉は筋違いです」

陽炎「良いよ……あれは摩耶さんが命令無視で先行しなかったら、本当に間に合わなかったし」

叢雲「荒潮の事だから、そこまで含めて……手がかり半分、腹いせ半分って所ね」

不知火「……裏庭、綺麗な花が咲くと良いですね」

叢雲「咲かないわよ、あそこにあるのはほとんどただの雑草だもの」

不知火「…………」

陽炎「草むしりとかしようか、霞も良くやってるし……」

叢雲「勝手に手を出すとあの子に怒られるわよ」

陽炎「はい……」

叢雲「ま、荒潮の腹いせも済んだところで、残りの半分の話ね。初霜と、聞けるのなら榛名さんに聞くと良いわよ」

陽炎「初霜と榛名さん?」

不知火「何故なのです?」

叢雲「聞いたことあるでしょ?『地獄金剛鬼榛名、羅刹霧島夜叉比叡、寄るな山城鬼より怖い』って。あれは霞達の世代がリンガで訓練してた時、うちのじいさんが作った詩なの」

陽炎「霞の昔を知る人間に聞くって事ね!了解!」

不知火(当時の艦娘で代変わりをせず残っているのが三人だけ……と言う事でもありますが)

陽炎「あー、残りのチョコあげる、三人分くらいあるから!じゃあね」

叢雲「こんなに食べれないわよ……全く」

~夕方 鳳翔さんのお店~


陽炎「そんな訳であたし達は明朝、佐世保へ向けて出発します!」

曙「なんかまた随分急ね」

霰「横須賀にだって急に来た」

不知火「流れと言えば流れです」

曙「って言うか、そもそも霞に聞けば良くない?」

陽炎「えー、それじゃつまんないじゃん」

不知火「……」

曙「面白いとかの問題?」

霰「あの子が素直に答えるのかと言うと」

曙「……それはあるか」

陽炎「それに皐月と長月に会うのも久しぶりだし!」

曙「ま、それは楽しみにしてくれてるんじゃない?あたしと同じで」

陽炎「曙ーッ!」

曙「はいはい、椅子から落ちないでね」

不知火(曙、なんだかキャラが変わってますね……)

霰「幾度の夜戦(本番)を超えたから、だと思う」

不知火「!?」

霰「意識の広がりから、見えるモノや世界が、少しずつカタチを変えていけた……って事」

霰「夜戦(本番)なんてとっかかり。大事なのは、広がりがあるって気づくこと」

不知火「……改二になって見えたものですか?」

霰「どっちだと思う?」

不知火「……どっち、とは」

陽炎「あ、佐世保のお土産何が良い?」

曙「あんたが消えた後の静寂だけで充分よ」

陽炎「陽炎型ネームシップの名が泣くわ……もぅ(大破)」

霰「陽炎、弱い」

不知火(陽炎は改二になっても、何も変わりませんね)

~佐世保鎮守府 午前十時頃~


陽炎「あー!飛行機ならあっという間だねぇ!」

不知火「タクシーを使いすぐさまに鎮守府へ来たわけですが」

霰「演習海域が盛り上がってる」

陽炎「どれどれー……長波じゃん!んえで、駆逐艦の対抗戦か、盛り上がるよねぇ」

不知火「僚艦は雪風と夕雲型ですね。相手は睦月型のようですが、もう三対一になってます」

霰「性能差は残酷」

陽炎「あれ、なんで雪風がいるのよ?」

霰「なんでだと思う?」

陽炎「なんでかしら」

不知火「疲れてますか?」

陽炎「そうかな」

不知火「……」

霰「あ、雪風達が負けた」

陽炎「嘘ぉッ!?」

~~


長波「あー、負けちまったなぁ」

高波「高波の力不足です……」

雪風「うぅ……あと一歩力及ばず……」

皐月「言ったでしょ、睦月型は世界一の艦なんだって」

長月「いやいや、あの状況から逆転B勝利出来るのは皐月だけだ」

三日月「最初に卯月がやられたときは勝てないと思いました」

卯月「うーちゃんだってたまにはミスるぴょん」

水無月「いつもじゃない?」

朝霜「しかしさすがは皐月さんだぜ、あそこからひっくり返しちまうかんな」

皐月「へへ、ちょっと本気出しちゃった」

朝霜「ちぇ、今日は勝てるかと思ったのにな」

長波「マジで手も足も出せずに三連で大破取られたからなぁ」

皐月「雪風には勝ちたいって思ってんだんだ、ごめんね」

望月「マジ、最初から本気出しといてよねー」

長月「それじゃ全員訓練にならないだろう」

清霜「もうちょっとで逃げ切りだったのに……」

長波「先輩ですら大破取られてるんだからしゃーないって」

長月「ほら、帰るまでが訓練だぞ!艦隊帰還だ」

高波「あれ?桟橋に人が居るかもです」

陽炎「皐月!皐月だ!皐月改二だ!何あれ超かわいい!!」

長月「あの人影……霰!それに陽炎か!!」

長波「えぇ!?なんで!?」

雪風「不幸です」

朝霜「雪風が不幸って相当じゃんか」

三日月「呉の秘書艦さんが用事もないのに来たの?」

望月「あれ?用事があるから代わりに雪風が来たんでしょ?」

水無月「頭うーちゃんなんでしょ」

卯月「場合によっては怒るぴょん」

皐月「ありがとー!陽炎の改二も可愛いねっ!再開記念で腕立てするー?」

陽炎「腕立ていらなーい!」

皐月「じゃ、ホッペにチューしてあげる!」

不知火「認められません」

陽炎「やったー!反対のホッペに長月もね!」

長月「酸素魚雷を喰らわしてやろうか」

雪風「顔面にお願いします、眉間に、思いっきり」

不知火「いえ鼻っ面で、ぶち抜いてください」

長月「どうしたお前ら」

霰「霞も曙も居ないから、陽炎の振り回しが止まらない」

長月「雪風を見れば納得できるな……」

取り敢えずここまでっしゅ

先に言い訳しますが筆者は雪風の事好きです

おはようございます、再開します

~佐世保鎮守府 第一次士官室~


長月「さて、後片付けも一通り終わらせて」

皐月「カスミックスの話も聞いて……」

陽炎「まあ、そんなわけであたしたちは初霜と榛名さんに会いたいわけなの」

長月「初霜は水上機基地建設に出向いているから、帰ってくるのは早朝だが……」

皐月「榛名さんは今、よみずいランドに出向いてるんだから……」

陽炎「……あ!?」

霰「そういえば、そんなイベントあった」

不知火「だから曙が瑞雲がどうのと言っていたのですね」

陽炎「あー!なんであたしはよみずいに行かず佐世保来ちゃったのー!?」

雪風「それ雪風が一番言いたいです」

長波「え、つか、陽炎さん……マジでカレーの為に予定全部投げたんすか……?」

高波「それはちょっと異常かもです」

陽炎「だって霞のカレーだよ!?」

朝霜「霞さんのカレーなら仕方ない」

清霜「そうだよ、霞ちゃんのカレーだよ?」

長波「面白全部で言ってるよな、それ?」

朝霜「はあ?面白全部は長波の頭だろ?」

長波「はあ?」

長月「話の流れを崩すようで申し訳ないのだが、霞のカレーってそんなにうまいか?」

皐月「確かに美味しいけど、特別な工夫は無いと思うんだけど」

不知火「あり得ません、霞のカレーには何らかの秘密が必ず有ります。でなければあれほどの美味しさにはなりません」

高波「んー……舞鶴でおねだりして作って貰ったこと、有りましたけど」

長波「美味かったけど……そんな特別美味かったかって言われるとねぇ」

陽炎「え、ちょっとそれはあり得ないわよ!」

朝霜「はあ!?舌腐ってんのかよ!?」

長波「誰の味方だおい!」

清霜「霞ちゃんの味方!」

高波「えぇ……」

雪風「あーはいはい、喧嘩はお外でどうぞ」

長波「了解です。全艦、長波に続け!」

朝霜「やってやんよ!」

高波「バトルでドキドキします……?」

清霜「ピカピカピカリンってね!」

皐月「って、本当に外行くんだ……」

陽炎「長波達はそういう所素直だからね」

不知火「喧嘩しないという発想は無いんですね」

雪風「駆逐艦娘(おんな)ですからね」

長月「しかし申し訳ないが、やはり長波に同感だぞ、私は」

陽炎「ちょっと長月!何言ってんのよ!」

霰「それはおかしい……あれは一度食べれば特別美味しいって分かる」

皐月「皆が言うんだから、それは美味しいんだろうけど。でもそうだとすると、ボク達には本気じゃないカレーを出したって事?」

陽炎「んむむ……霞がそんなことするわけは、無いと思うんだけど……」

皐月「んー……陽炎、何か急いでない?」

陽炎「そ、そんな事無いわよ」

皐月「本当かな?」

陽炎「本当だったら、ていうか、何を急ぐのよ」

皐月「えー?だって……ねー、不知火?」

不知火「え……そう、ですね……」

霰「……」

皐月「あれ?」

陽炎「うん?」

長月「まあともかく、食事にしないか?せっかく休みを合わせたんだ、良い店に行こう」

陽炎「やったー!おいしい所?」

長月「当然だろう、叩くだけの大口だと言っておく!」

~数時間後 第一次士官室~


陽炎「いやー、本当に美味しかった!」

長月「そうだろう、そうだろう」

霰「たまには……ああ言うの、食べたいね」

皐月「でしょ?」

雪風「お腹いっぱいです!けど、雪風がおじゃまして良かったのでしょうか?」

長月「邪魔だなんてとんでもない」

皐月「そうそう、一緒に訓練もしたし。まあ、甲型駆逐艦運用演習で陽炎が来るって聞いてたから、雪風が来たのはショックだったけど」

陽炎「あ……」

不知火「やっと思い出しましたか」

長月「おいおい、レイテの作戦でボケたのか?」

雪風「雪風に何か落ち度でも」

霰「怖い目つき、姉妹艦の悪い所を真似したに違いない」

不知火「こんなに怖い目つきの者は陽炎型で見たことありませんが」

雪風「そうでしょうね」

陽炎「うん、こんなに怖い子は居ない」

長月「そうだな、それが可愛いって言ってたものな」

皐月「あはは、雪風が悪いとかじゃなくてね。ボクと長月のお休みの予定は崩れちゃうのかなぁって」

霰「予定?」

皐月「麻雀しよ!この前、司令官が全自動雀卓を買ってくれたんだ!」

不知火(オヤジみたいな事を……)

霰「不知火がどう思ってるか知らないけど、皐月は元十四駆どころか睦月型最年長」

不知火「え……」

皐月「現実突きつけるのやめて、ボク泣くよ?絶対泣くよ?すぐ泣くよ?良いの?気まずいよ?」

~~


ジャララララ チャ チャッ


霰「長月が親」

長月「何故こうなった……」

皐月「久しぶりにあった戦友と、たまの休みを麻雀に使うなんて雰囲気が出るじゃない。朝になったら初霜を迎える必要もあるんだしさ」

陽炎「あ、皐月のそれチー」

雪風「陽炎姉さん、雪風の欲しい牌をお願いします」

陽炎「これだ!」

雪風「嫌いです」

長月「む、ではこれを捨てて……」

霰「えっ」

長月「……なら、こちらを」

霰「えっ」

長月「嫌がらせか!」

霰「そう」

長月「ぐ……これだ!」

皐月「あはは、長月も大変だね」

不知火「皐月、それは……」

陽炎「貰ったわ!チーよ!」

皐月「あら」

長月「アイツ一通で人の親番を潰す気か」

皐月「あ、それでさ、陽炎」

陽炎「何?点十円だから、本気で行くわよ」

雪風「容赦ありませんね」

長月「待て、レート高くないか!?」

霰「犯罪の温床だ」

不知火「駆逐艦寮では今更です」

皐月「いや、カレーの事、何をそんなに慌ててるのさって話」

陽炎「だから慌てるとか無いったら」

雪風「慌ててないのに雪風のこと忘れてましたか」

長月「重症だな」

皐月「ほんとだよ、らしくないって」

陽炎「動揺させようたって無駄、ツモ!」

霰「鳴きの一通、ドラ無し」

不知火「お安いですね」

霰「テンポアドバンテージは大事」

霰(四方の風より怖いもの……雪の風がどう荒れるかは、分からないから)

取り敢えずここまでっしゅ


霰「ごちそうさま(さんまの缶詰を食べ終える)」

陽炎「悪いわね!(最後の設計図は)貰ったわ!」

霞「ああ、もう!バカばっかり!実戦あるのみよ!やるわ!(おにぎりを作る)」

不知火「……不知火に何か落ち度でも?」


って感じで絶望してるのウチだけではないはず

おはようございます、更新します

皐月「へー、慌ててないなら、霞が帰って来てから聞けばいいのに」

陽炎「それは……ダメなの、霞を驚かせるんだから」

雪風「まあ、初霜が知っているというのですから」

陽炎「その中、ポン」

長月「ぐ、特急券を持っていたか!」

陽炎「まあ、驚かせる為にちょっと早めに動きたかったのは本当だけど」

雪風「それにしたって、少し雑な動きだと思いますけど。考え無しです」

陽炎「雪風の八ソー、ポン」

長月「おい二人で麻雀するな」

陽炎「……悪かったわよ、迷惑かけて」

雪風「別にいいですよー、です。それカンします」

霰「不貞腐れてる……良くない部下」

皐月「めくるよー、えい……あ」

不知火「それ難しいですよ、普通に捲りましょう」

皐月「決まるとかっこいいのになー」

雪風「雪風だって不満は溜まります」

長月「ちょっと待て、いきなりドラ4ってどういうことだ!?」

不知火「たった一鳴きで手を化けさせてくるとは……」

霰「怒りがにじみ出ている」

長月「むむ、ここはこれで様子見を……」

霰「えっ」

長月「怖くなってくるからやめてくれ」

皐月「ふーん、ボクには隠し事があるように見えるけどねぇ……リーチ」

長月「待て、待て!なんだこのスピード!?」

霰「遅れてる」

長月「誰の味方だおい」

霰「そんな口調だから長波の口が悪くなった」

長月「ぐっ……」

不知火(長月、やられっぱなしですね…)

陽炎「なによ、陽炎に何か落ち度でも」

雪風「落ち度以外有りません」

長月「なんだこれ……もう降りるべきか……?」

霰「降りれるの?皐月の手、分かるの?」

長月「ぐ、うぅ……安パイの筈だ……これで」

霰「えっ」

長月「お前なぁ!」

皐月「心配しなくて大丈夫だよ、ほらツモ!」

陽炎「むう……」

雪風「良くない風が吹いていますね」

皐月「でもって裏も……ほら乗った!」

霰「リーチ、一発、タンヤオ、ドラドラで五飜。四千オール」

不知火「いきなり差を付けましたね」

不知火(まさか雪風が押されるとは……これが改二の力なのでしょうか……)

霰(そんなわけないって言っても聞かなそう)

皐月「さあてそろそろ、余裕のなさそうな陽炎から取っちゃおうかな」

陽炎「上等よ、あたしが容易く堕ちる女だと思わないことね」

雪風「どうでしょうか」

長月「見てろよ、派手に巻き返してやる」

皐月「さてさて、ドラも握って好調な滑り出し!」

陽炎「ふふん、ドラごときで大きく出ても無駄よ」

雪風「……」

長月「うーむ……」

不知火(スイッチが入った?……無言が怖い)

チャカチャ
 

不知火「鳴かずに回りますね」

霰「誰かが三元牌を握りつぶしてる……いや、睨み合ってる」

不知火「雪風が持ってます、發ですね」

霰「あとは……多分、皐月」

不知火「ここからは雪風の手だけは見えますが」

霰「勘」

不知火(この戦いって長月がもの凄く不利なのでは……)

皐月「んっふっふー」

陽炎「ふむ……」

雪風「いただきます、ポンです」

長月「ん、そう動くのか」

皐月「さ、鳴くかな?」

陽炎「あら、陽炎にくれるの?チーよ」

雪風「うー……」

不知火(雪風の大型完成よりも陽炎に安く上がらせるつもりでしょうか……この二人、容赦がありません)

長月「よしこれだ!」

霰「えっ」

長月「騙されないぞ!そこからじゃ雪風の手しか見えないだろう!」

雪風「ポンします」

長月「……」

霰「あーあ」

長月「ぐぅ……」

不知火(霰、楽しそうですね)

皐月「それじゃ、リーチ」

霰「皐月強い」

皐月「来てるときは攻めないとね」

陽炎「う……むぅ……」

雪風「は、早いです……」

長月「ノっているな、皐月め……ここはこれだ」

霰「えっ」

長月「う……っ!」

皐月「あはは、大丈夫だよ」



不知火(しかし誰かが和了をすることは無く、静かに流局となったのです)

皐月「うーん残念」

陽炎「テンパイ、一応ね」

長月「同じくだ」

雪風「ノーテンです」

皐月「白々しいなあ」

不知火(雪風の手は緑一色テンパイ……皐月の和了を握りつぶしたことを隠しますか)


~~


皐月「そういえば思ったんだけどさ」

陽炎「何?霞の話?」

皐月「それポン、曙に聞くよりもさ、潮に聞いた方が良くない?」

不知火(初手で東をポン……来てますね)

陽炎「でも潮は南西海域で作戦中だしねぇ」

雪風「中々に苦戦しているらしいですね」

長月「だが初霜の持ってくるレシピだけで解決するとは限らないだろう」

皐月「横須賀や呉でレシピ見ても分らなかったんでしょ?」

陽炎「うっ……それを言われると……」

雪風「大丈夫ですよ、初霜ですから」

長月「誰かに潮と代わってもえば良いだろ、緊急の用事とか言いつけて」

皐月「潮なら多号作戦改の時、霞の調理を直接手伝う場面だってあったろうに」

霰「その後の遊撃作戦や、機動部隊での決戦にも霞や初霜と参加していた」

不知火「多号作戦改の後は隊を離れた曙よりも、霞と共に行動した時間が長いのですね」

陽炎「あのねぇ、潮と代われる腕の子なんて中々いないの」

雪風「潮さんに並ぶ練度の方なんて、それこそ曙さんや皐月さん位です」

霰「許そう……けど火力の差もあって、皐月が代われるかと言うと」

不知火「吹雪さん達は新人の面倒を見たりで都合がつきませんでしたし」

長月「潮に並ぶ…なんならそれ以上の練度を持ってて、特型改二並みの火力が有る者の心当たりならあるぞ。しかもそいつは明日休みの予定と来ている」

皐月「ボクも、目の前にいる」

陽炎「う、うーん……」

雪風「知らない子ですね、ぜひご尊顔を拝観したいものです」

霰「鏡、持ってくる?」

雪風「衝動的に叩き割りそうなので遠慮したいです」

長月「良いじゃないか、もう一度休みがずれるくらい」

皐月「そうそ、さっきの中華料理屋さん美味しかったでしょ?」

陽炎「いや、けど……」

雪風「雪風、ここ三ヶ月ほどお休み無かったんですけど」

長月「陽炎、お前……」

皐月「えぇ……」

霰「霰もずっと無かった」

陽炎「だ、だってぇ」

雪風「ぶーぶーです」

長月「ふむ、だがちょうど良かろう」

雪風「え」

皐月「そうだね、ここから一日二日連勤が増えても誤差だよね」

陽炎「ま、まあ……そりゃ」

雪風「 」

不知火「こ、これが噂の十四駆仕込み……!」

霰「心意気(強制)ってやつ」

長月「ちなみにそれはロンだ、悪いな雪風」

雪風「不幸です……」

霰「平和一盃口ドラドラ、四飜直撃で七千七百」

長月「艦娘麻雀は三十符固定なのがな……」

皐月「ほとんどロンで決まるし、待ち手で揉めるからねぇ。ローカルルールが多すぎだよ」

陽炎「百飜の役とか存在自体がギャグなのもあるし……さあいよいよ、あたしの出番ね!」


不知火「雪風が刺されましたね、色々と」

霰「雪風が刺されるのは珍しくない、あの子の強さは引きの良さ」

霰「呉の駆逐艦娘なら対雪風の動きを守ることで互角以上に戦える」

霰「色々さされるのはいつも通り『助兵衛の雪風、吞兵衛の時雨』と並び称されているくらいだから」

不知火「何を挿されたらその様な呼び名がつくのですか……」

霰「ちなみに実際はどっちも助兵衛で吞兵衛」

不知火(その内そこに曙と潮が加わるのでしょうか……)

霰「徹底的に雪風対策をしても勝てるから、雪風は強い」

不知火「急に話を戻されて焦りましたが、成程です」


霰(多分浜風達が教えたからだけど、皐月と長月は雪風対策の動きが出来てる……)

霰(この状態で最適戦術を全員が選択し続けたなら、一番不利なのは雪風)

霰(『選択し続けたら』だけど)

今回はここまでっしゅ


霰「お願い、死なないで陽炎。あなたが今ここで倒れたら、霞のカレーの秘密はどうなっちゃうの?」

霰「点棒はまだ残っている、ここを耐えれば、雪風に勝てるんだから」

霰「次回、陽炎死す デュエルスタンバイ」

霰「……お疲れ様」

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