鞠莉「失ワレタモノガタリ」 (93)


曜「ほんとに?」

梨子「ええ」

曜「ありがとう!」

千歌「ありがとう……ありがとー!」バッ

梨子「待って?勘違いしてない?」

曜「えっ?」

梨子「私は曲作りを手伝うって言ったのよ?」

梨子「スクールアイドルにはならない」

千歌「え~」

梨子「そんな時間はないし」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1523935769

曜「そっか……無理は言えないね」

梨子「それじゃあ詞をちょうだい?」

曜「詞?」

千歌「詞?」

梨子「曲の歌詞よ.ないの?」

千歌「うっ……」

曜「……よし!じゃあ今から考えよう!」

梨子「そっか.できたら見せてね」


曜「何言ってるの?梨子ちゃんも一緒に考えるんだよ?」

千歌「そうだよ!」

梨子「えっ私は作曲じゃ……」

曜「いいからいいから!梨子ちゃんの家行っていい?」

梨子「いいけど……」

曜「やったー!早く早く!」タッタッ

千歌「いっくよーー!」タッタッ

梨子「ちょっ!私の家知らないでしょー!」タッタッ


―――――――――――――――

曜「へえ!梨子ちゃんの家って十千万の隣なんだ!」

梨子「十千万?」

曜「旅館だよ!そこの!」

千歌「私の家でもあるよ!」

梨子「ああ,ここ十千万っていうのね」

曜「そうそう!1回くらい―――ワンワン!

曜「ん?」

しいたけ「ワンワン!!」

梨子「きゃあーーーーー!!」ダダダダッ

千歌「しいたけ!」

曜「しいたけじゃん!よしよーし」ナデナデ

しいたけ「ワンワン!」


曜「こらこら,あんまり吠えないの」

千歌「梨子ちゃん怖がってるでしょ?」

曜「……梨子ちゃん何してるの?」

梨子「犬はダメ!私犬は苦手なの!」

曜「え~?しいけは噛んだりしないよ?」

千歌「そうだよ!とっても優しいんだから!」

梨子「それでも無理!無理なの!」

曜「こんなに可愛いのに……」

しいたけ「ワンワン!」

曜「どうしたの~?」

千歌「しいたけ!めっ!」

梨子「すごく吠えてるじゃない~!」

曜「いつもはもっと大人しいんだけどな~」


曜「まあいいや!早く梨子ちゃんの家に入ろ!」

千歌「梨子ちゃんの家楽しみ~!」

梨子「今開けるから,その犬を近づけないでね……」ガチャ

梨子「はい,どうぞ」

曜「はーい!じゃあねしいたけ!」

千歌「美渡姉と志満姉によろしくね!」

しいたけ「ワン!」

ようちか「おじゃましまーす!」

―――――――――――


梨子「ユメノトビラ?」

曜「うん!」

千歌「私はこの曲を聞いてスクールアイドルをやりたいっておもったの」

ユメノトビラー♪

梨子「……いい曲ね」

千歌「でしょ!」

曜「だよね!」

曜「そうだ!試しに梨子ちゃんこれピアノで弾いてみてよ!」

梨子「ええっ?いきなり言われても……」

曜「ちょっとでいいから!お願い!」

千歌「私も聞きたい!」


~~♪~~♪

曜「……すごく綺麗」

千歌「うん……本当に上手」

梨子「ねえ……私どうしたらいいんだろう……」

梨子「何をやっても楽しくなくて……」

千歌「梨子ちゃん……」

曜「……」

曜「やってみない?スクールアイドル」


梨子「ダメよ……」

曜「やってみて,笑顔になれたら」

千歌「変われたら」

ようちか「また弾けばいい」

千歌「諦めることないよ」

梨子「失礼だよ……」

梨子「本気でやろうとしてる人にそんなの……」

曜「みんなを笑顔にするのがスクールアイドルだもん」スッ

千歌「さあ,この手をとって?」

梨子「……」

スッ

―――――――――
――――――
―――


梨子「まさかまだ決めてないなんて」

千歌「梨子ちゃんだって忘れてたじゃん」

曜「ははは……早く決めなきゃね」

曜「制服少女隊とかどう?」

千歌「ないかな」

梨子「ないかな」

曜「ええ~!」

梨子「うーん難しいね」

カキカキ

千歌「あ!あれ!」

曜「ん?」

梨子「どうしたの?」

曜「なんか書いてあるよ」


梨子「えーきゅーあわーず?」

曜「もしかしてアクア?」

千歌「アクア!」

梨子「水ってこと?」

千歌「これグループ名にしようよ!」

曜「いいかもね,グループ名に」

梨子「これを?誰が書いたのかもわからないのに?」

千歌「名前を決めようとしているときに出会ったんだよ!」

曜「なんか良くない?」

梨子「……そうね私もそんな気がする」

千歌「よーし!今日から私たちはAqoursだ!」

―――――――――
――――――
―――


花丸(これでマルの話はおしまい)

花丸(もう夢は叶ったから)

花丸(マルは本の世界に戻るの)

花丸「大丈夫.1人でも」

花丸「……」

花丸「……ばいばい」

ルビィ「ルビィね!」

花丸「ルビィちゃん?」

ルビィ「ルビィね!花丸ちゃんのことずっと見てた!」

ルビィ「ルビィに気を遣ってスクールアイドルやってるんじゃないかって」

ルビィ「ルビィのために無理してるんじゃないかって……心配だったから!」

ルビィ「でも……花丸ちゃん嬉しそうだった!」

花丸「」ハッ


ルビィ「それ見て思ったの!」

ルビィ「花丸ちゃん,ルビィと同じくらいスクールアイドル好きなんだって!」

花丸「マルが……?まさか……」

ルビィ「ルビィね!花丸ちゃんとスクールアイドルできたらってずっと思ってた!」

花丸「それでも,オラには無理ずら」

花丸「体力ないし,向いてないよ……」

ルビィ「……そこに写ってる凛ちゃんも,自分はスクールアイドルに向いてないってずっと思ってたんだよ?」

花丸「……」


梨子「でも好きだった.やってみたいと思った」

梨子「最初はそれでいいと思うけど?」

千歌「」スッ

ルビィ「ルビィ,スクールアイドルがやりたい!」

ルビィ「花丸ちゃんと!」

花丸「……マルにできるかな」

千歌「私だってそうだよ?」

曜「1番大事なのはできるかどうかじゃない,やりたいかどうかだよ!」スッ

花丸「……」スッ

ギュッ

―――――――――
――――――
―――


ようちか「堕天使ヨハネちゃん!」

「スクールアイドルに入りませんか?」

善子「はあ?」

曜「ううん,入ってください!」

千歌「堕天使ヨハネとして!」

善子「何言ってるの?昨日話したでしょ?」

曜「いいんだよ!堕天使で!」

千歌「自分が好きならそれでいいんだよ!」

善子「……ダメよ」タッ

千歌「あっ!」

曜「待って!」タッ


善子「生徒会長にも怒られたでしょ!」タッタッ

曜「それは私たちが悪かったんだよ!」タッタッ

千歌「善子ちゃんはいいんだよ!そのままで!」タッタッ

善子「しつこーーーい!」タッタッ

曜「私ね!μ'sどうしてが伝説を作れたのか」タッタッ

千歌「どうしてスクールアイドルがそこまで繋がってこれたのか」タッタッ

ようちか「考えてみてわかったの!」

善子「も~いい加減にして~」

善子「はあはあ……」


曜「ステージの上で,自分の好きを迷わずに見せることなんだよ!」

曜「だから善子ちゃんは捨てちゃダメなんだよ!」

ようちか「自分が堕天使を好きな限り!」

善子「……いいの?変なこと言うわよ?」

曜「いいよ」

善子「ときどき儀式とかするかもよ」

梨子「それくらい我慢するわ」

善子「リトルデーモンになれって言うかも!」

千歌「それはー……」アハハ

曜「嫌だったら嫌だっていう!」

曜「だから!」スッ

善子「……」

スッ

―――――――――
――――――
―――


鞠莉「そんな……私はそんなことして欲しいなんて1度も……」

ダイヤ「あのまま進めていたらどうなっていたと思うんですの?」

ダイヤ「怪我だけじゃなく,事故になってもおかしくなかった」

鞠莉「でも……」

ルビィ「だから,逃げたわけじゃないって」

曜「でも,その後は?」

千歌「そうだよ,怪我が治ったら続けてもよかったのに」

ダイヤ「心配していたのですわ」

ダイヤ「鞠莉さん,留学の話があるたびに全部断っていたでしょう?」

鞠莉「そんなの当たり前でしょ!!」

ダイヤ「果南さんは思っていたのですわ.このままでは自分たちのせいで鞠莉さんから未来のいろんな可能性が奪われてしまうのではないかと」

鞠莉「まさか……それで……?」

鞠莉「っ」タッ

―――――――――――――――


鞠莉(そんなのわからないよ……)タッタッ

鞠莉(どうしてちゃんと言ってくれなかったの?)タッタッ

鞠莉「ああっ!」ズルッ

バシャッ

鞠莉「……ちゃんと」

鞠莉「……果南」グッ

タッタッタッ



果南「なに?」

鞠莉「思ってることちゃんと話して」

鞠莉「私のことを思うように,私も果南のこと考えているんだから」

鞠莉「将来なんか今はどうでもいいの」

鞠莉「留学?全く興味なかった.当たり前じゃない」

鞠莉「だって……果南が歌えなかったんだよ?」

鞠莉「放っておけるはずない!」

果南「」ハッ

果南「」グッ


パシン!


鞠莉「私が果南を想う気持ちを甘くみないで!」

果南「だったら……素直にそう言ってよ」

果南「ちゃんと言ってよ!」

鞠莉「だよね……」

鞠莉「だから……」ツンツン

果南「っ」

果南「……」スッ


果南「ハグ……しよ?」

―――――――――
――――――
―――


千歌「ふふっ」

曜「ダイヤさんって本当に2人のことが好きなんですね」

ダイヤ「それより,2人のことを頼みましたよ?」

ダイヤ「2人とも繊細ですから」

曜「じゃあ,ダイヤさんもいてくれないと!」

千歌「そうですよ!」

ダイヤ「えっ?」

ダイヤ「私は生徒会長ですわよ?とてもそんな時間は……」

ルビィ「親愛なるお姉ちゃん……ようこそAqoursへ!」スッ

―――――――――
――――――
―――


鞠莉「決勝に進んで,再生数がすごいことになってるって」

梨子「それで?」

ダイヤ「何とか明日の朝まで延ばしてもらいましたわ」

ダイヤ「ただ,日本時間で朝の5時」

ダイヤ「そこまでに100人に達しなければ,募集ページは停止すると」

果南「最後通告ってことね」

千歌「でも,あと3時間だったのが8時間まで延びた」

ルビィ「わあっ!今1人増えた!」

梨子「やっぱり,私たちを見た人が興味持ってくれたのよ」

曜「このまま増えてくれれば……」

―――――――――――――


ルビィ「94人……」

梨子「あと6人……」

梨子「時間は?」

果南「1時間ない」

千歌「お願い!お願いお願いお願い!」

千歌「増えて!」

――――――――――――


果南「おーい!浦の星はいい学校だぞーー!」

曜「絶対後悔させないぞーー!」

千歌「みんな良い子ばっかだぞーー!」

梨子「私がー!保証するーー!」

千歌「保証されちった」テヘ



ルビィ「みんな!来て!」

――――――――――――


曜「あと3人!」

ダイヤ「でも,時間はもう……」

千歌「お願い……お願い!」

曜「98!」

千歌「大丈夫……大丈夫……」

千歌「届く……届く……」












ピロンピロン

曜「100!」


梨子「届いた……届いた!」

ルビィ「やったあ!」

花丸「よかったずら~」ヘナヘナ

善子「私たち……やったのね!」

ダイヤ「やりました……やりましたよ鞠莉さん!」

果南「鞠莉!」

鞠莉「よかった……本当に良かったっ……!」ウルウル

千歌「よかった……これで」

千歌「浦の星は……存続する!!」

―――――――――
――――――
―――


『優勝 Aqours』

千歌「やった……優勝したんだ……!」

曜「優勝!優勝だよ!」

花丸「マルたちが……優勝できるなんて……!」

ルビィ「お姉ちゃん!ルビィたちが優勝だよ!」

ダイヤ「私たちが……ラブライブ優勝……」

梨子「みんな……頑張ってきて本当によかった!」


善子「優勝……」

果南「私たちの夢が……」

鞠莉「あのときの続きが……」

曜「優勝したんだ!Aqoursが!」

曜「私たち――――――














曜「8人が!」



鞠莉「……」

鞠莉「……?」

果南「鞠莉?どうしたの?」

鞠莉「なんか……違和感が……」

ダイヤ「違和感?私たちの優勝がですか?」

鞠莉「違う……と思う……」


善子「じゃあ何なの?」

鞠莉「……ねえ曜?」

曜「なに?」

鞠莉「さっき何て言った?」

曜「さっき?」

鞠莉「ええ,Aqoursがーとか言ってなかった?」

曜「あんまり意識してなかったからなあ」

曜「Aqoursが優勝だよとか?」

鞠莉「違う!その後!」

曜「その後?」

曜「私たち8人が?」


鞠莉「そう,それ……」

鞠莉「何か……何かが違う……」

ルビィ「なにかって?」

花丸「特に変なことはないと思うけど……」

鞠莉「わからない……わからないけど……」

鞠莉「何か大切なものを忘れているような……」







千歌「……良かった」

千歌「統廃合が無くなって……ラブライブで優勝もできて」

千歌「ちゃんと……全部見てたからね?」

千歌「みんな……ありがとう」

―――――――――
――――――
―――


曜「まだ言ってるの?」

鞠莉「何かが引っかかるのよ」

曜「うーん,私にはわかんないなー」

曜「廃校も阻止できたしラブライブも優勝したし」

曜「これ以上のことなんてないと思うけど……」

鞠莉「そうなんだけど……」

ワンワン!

鞠莉「わお!」

しいたけ「ワンワン!」

曜「しいたけ?なんでここに……」


鞠莉「しいたけ?このワンちゃんの名前?」

曜「うん!しいたけっていうの!」

しいたけ「ワンワン!」ポトッ

鞠莉「ん?何か落としたわよ」

曜「これは……みかん?」

鞠莉「みかん?なんでみかんなんか……」

曜「……」

曜「……チカチャン」ボソッ

鞠莉「っ!」


鞠莉「曜!今なんて言ったの?!」ガシッ

曜「あれ……私なんで……」ポロポロ

鞠莉「チカ!チカって言わなかった?!」

曜「わかんない……わかんないけど……」ポロポロ

曜「涙がっ……止まらないっ……!」ボロボロ

鞠莉「そうよ……チカ……チカ……」

鞠莉「曜!行くわよ!」

曜「行くってどこに?」


鞠莉「学校よ!チカの痕跡を探すの!」

曜「チカってなんなの!?」

鞠莉「わかんない!でも居たはずなのよ!」

鞠莉「私たちにとって大切なもの……忘れてはいけないもの……」

鞠莉「他の6人にも連絡して!」

曜「わ,わかった!」

―――――――――
――――――
―――


ゴソゴソ ガチャガチャ

鞠莉「無い……無い……」

鞠莉「生徒名簿には……無い!」

鞠莉「どうして何もないの!」

曜「鞠莉ちゃん,そろそろ教えてよ」

曜「チカってなに?」

鞠莉「あなたが言ったのよ?何も覚えてないの?」

曜「うん……でも懐かしい気がするようなしないような……」

鞠莉「私もまだ確証があるわけじゃないわ.思い出そうとすると頭にモヤがかかってしまうの」

鞠莉「でもたぶん,チカって人がいたはずなの」

曜「チカ……ちかちゃん……」


鞠莉「どう?何か思い出した?」

曜「うーん特には……」

曜「でも,なんか嬉しいような悲しいような……」

曜「その名前を聞くと不思議な気持ちになる」

鞠莉「それはきっと曜の中にもチカの欠片が残っているのよ」

鞠莉「だから,チカの痕跡を探すの手伝って?」

曜「……わかった,私も気になるし」

鞠莉「よし!じゃあ次は部室よ!」

―――――――――
――――――
―――


果南「鞠莉?」

ダイヤ「いったい何の用ですの?」

鞠莉「やっと来た!2人も手伝って!」

梨子「曜ちゃん?」

善子「2人とも何してるのよ」

花丸「わあ……部室が……」

ルビィ「ぐちゃぐちゃだよ……」

曜「みんなも!一緒に探して!」

果南「何を探してるの?」

鞠莉「チカよ!」


梨子「チカ?」

ダイヤ「この部室に地下室なんてありませんわよ?」

鞠莉「そのチカじゃない!」

曜「みんなはチカって聞いて何か思い出さない?」

花丸「チカ……」

ルビィ「チカ……」

善子「チカ……」

果南「……何か引っかかるような」

梨子「うん……どうしてかはわからないけど」


鞠莉「チカは私たちにとって大切だったはずの人よ」

曜「私たちはきっと,その子のことを思い出さなくちゃいけない」

ダイヤ「どうしてそんなことがわかるんですの?」

鞠莉「なんとなくよ」

善子「なんとなくって」

鞠莉「でもわかるでしょ?私の言いたいこと」

果南「まあ……確かに」

曜「だから,一緒にチカちゃんの何かを探してほしいの!お願い!」


ダイヤ「……はあ」

ダイヤ「私はこっちを探しますわね」ゴソゴソ

鞠莉「ダイヤ!」

花丸「じゃあマルはこっち」ガサガサ

ルビィ「ルビィも一緒に探すよ!」ピラピラ

曜「花丸ちゃん!ルビィちゃん!」

果南「そのチカって子の名前を探せばいいの?」ガチャッ

善子「名前とか物とか……なんでもいいんじゃない?」ヨイショ


梨子「あんまり散らかさないでよ?探す効率も落ちるんだから」バサバサ

鞠莉「みんな……!」

果南「2人がそこまで言うんだもん.手伝わないわけにはいかないよ」

梨子「それに,私もこのままじゃモヤモヤするし」

曜「みんな……本当にありがとう!」

花丸「よーし!じゃあ手分けして探すずらー!」

8人「おー!」

――――――――――――


曜「だーーーなんにも見つからない」ボスン

鞠莉「どうしてなんにもないのよー!」ボスン

ダイヤ「……そもそも,痕跡なんて本当にあるんですの?」

鞠莉「そんな!私たちが間違っているっていうの?」

ダイヤ「いえ,そういうことではありません」

ダイヤ「お二人の言う通り,チカという方は居たのかもしれません」

ダイヤ「ですが,本当にここにいる私たちと一緒に居たのかという話です」

曜「……どういうこと?」


ダイヤ「あまりオカルトっぽい話は好きではないのですが」

ダイヤ「今回の場合,大きく分けて2つの可能性が考えられると思うのです」

ダイヤ「1つは私たちの記憶が書き換えられている場合」

ダイヤ「チカさんは私たちとともに廃校を阻止し,ラブライブも優勝した」

ダイヤ「しかし,チカさんの記憶のみが抜け落ちている」

ダイヤ「この場合なら,痕跡も残っているかもしれません」

ダイヤ「2つ目はパラレルワールドの場合」

ダイヤ「チカさんが私たちとともに存在する世界がどこかにあって」

ダイヤ「私たちは何故かその記憶をうっすら保持している」


鞠莉「そんな……それじゃあ」

ダイヤ「ええ,後者の場合ならたとえ記憶があったとしても……」

ダイヤ「チカさんが存在したという事実はこの世界にはないので,痕跡など存在しようもありません」

曜「で,でも!そんなの……」

ダイヤ「はい,どちらかなど私にはわかりません」

ダイヤ「ただ,その可能性も考慮に入れるべきだと言っているのです」

鞠莉「くっ……」


ルビィ「……ねえ」

花丸「どうしたの?ルビィちゃん」

ルビィ「いや,どうしてなのかなって」

善子「なにがよ」

ルビィ「ほら,ラブライブに優勝したとき鞠莉ちゃんが違和感があるって言ってたでしょ?」

ルビィ「でもそれだけだった」

ルビィ「確証なんて何もなかったし,曜ちゃんなんて何も身に覚えがないみたいだった」

ルビィ「でも今は,2人ともチカさんの存在を認めている」

ルビィ「何かきっかけがあったんじゃないかなって」


果南「……たしかに」

梨子「何かあったの?」

曜「……みかん」

花丸「みかん?」

鞠莉「ええ,曜がみかんを見てチカって名前を口にしたの」

鞠莉「その名前がビビッときたの.きっとこれだってね」

善子「でも,どこにみかんなんてあるのよ」

曜「それはしいたけが……」


鞠莉「そうよ!しいたけよ!」

鞠莉「ああ!なんで思いつかなかったのかしら!」

善子「しいたけ?キノコの?」

ダイヤ「それがチカさんと何の関係があるんですの?」

鞠莉「違うわ!しいたけっていうのは十千万の犬の名前よ!」

花丸「十千万って確か旅館の……」

果南「ああ,そっちのしいたけか」

鞠莉「しいたけが持ってきてくれたみかんで曜が思い出したの!」

鞠莉「きっとしいたけはチカのことを覚えているのよ!」


曜「しいたけが私たちに思い出させようとしたってこと?」

ダイヤ「そんな馬鹿な……」

鞠莉「それだけじゃないわ」

鞠莉「みんなに1つ聞きたいんだけど,今しいたけという名前を初めて聞いた人はいる?」

善子「私は今知ったわ」

花丸「マルもずら」

ルビィ「ルビィもです」

ダイヤ「私も初めて聞きましたわ」

梨子「私は前に曜ちゃんに教えてもらったから……」

ようかな「……」

鞠莉「……ビンゴね」


果南「ちょっと鞠莉,説明してよ」

曜「全然わかんないよ……」

鞠莉「曜と果南はしいたけの名前を知っていたのよね?」

曜「うん」

果南「そうだね」

鞠莉「これはかなり珍しいことだと思うの」

花丸「そうなの?」

鞠莉「いくら家が近いといっても,自分には関係がない旅館よ?」

鞠莉「曜なんて家だって離れている」

鞠莉「そんな旅館の犬の名前を知っているなんておかしいと思わない?」

鞠莉「普通に考えて,他人の家の犬の名前なんて知らないでしょ?」


梨子「それは確かに……」

ダイヤ「ですが,たまたまという可能性も」

鞠莉「……ここからは推測なんだけれど」

鞠莉「チカは十千万の娘なんじゃないかしら」

鞠莉「そして,果南と曜はチカとすっごく仲が良かったの」

鞠莉「だからしいたけの名前を知っているのよ」

鞠莉「一応聞くけど,2人はどこでしいたけの名前を知ったか覚えてる?」

曜「それは……」

果南「……思い出せない」


鞠莉「やっぱりね」

鞠莉「鍵は十千万にあるわ」

鞠莉「ここまでの話に異議を唱える人はいる?」

7人「……」

鞠莉「よし,じゃあ十千万に向かいましょう」

ダイヤ「今からですか?」

ルビィ「流石に迷惑なんじゃ……」

鞠莉「……全員で行くのは流石にちょっとあれかもね」

鞠莉「じゃあ私と果南と曜の3人で行くわ」

鞠莉「曜はもし帰れなくなったらうちに泊まっていくといいわ」


曜「わかった!家に連絡するね!」

果南「おっけー」

鞠莉「申し訳ないけど他の5人は家で待っててもらえるかしら」

鞠莉「何かわかったら連絡するわ」

ダイヤ「わかりました」

花丸「気を付けてね?」

善子「無茶するんじゃないわよ」

ルビィ「え,そんなに危ないことなの……?」

梨子「大丈夫だと思うけど念のためね?」

鞠莉「よし!じゃあ行くわよ!」

―――――――――
――――――
―――


ピンポーン

「はーい」

志満「どちらさまで……あら,果南ちゃん曜ちゃん」

果南「こんばんは!」

曜「ひさしぶり!」

志満「いらっしゃい……そちらの子は確かAqoursの?」

鞠莉「初めまして,急に押しかけて申し訳ありません」

鞠莉「私,Aqoursのメンバーの小原鞠莉と申します」

志満「あらあらご丁寧に」

志満「私,十千万の高海志満と申します」

志満「ラブライブ優勝おめでとう,みんなで応援してたわよ?」

鞠莉「ありがとうございます」


志満「それで,何の御用かしら?」

鞠莉「はい,つかぬことを伺いますが,志満さんはチカという名前に覚えはないですか?」

志満「チカ……?うーん,それは女の子の名前かしら?」

鞠莉「私たちはそうだと考えてます」

志満「……どういうこと?」

―――――――――――


志満「なるほどね……」

志満「チカという子がいたはずなのに,私たちはみんなそのことを忘れている」

志満「そしてその子はうちの家族だと」

鞠莉「はい,その通りです」

果南「志満姉信じるの?」

志満「え?嘘なの?」

果南「いや,そうじゃないけど」

曜「そう簡単に納得できる内容でもないと思うんだけど」

志満「確かに突拍子もないことだけど……」

志満「……なんかすんなり受け入れている自分がいるのよね」

志満「どうしてかしら」


鞠莉「それはきっと,志満さんも心のどこかでチカのことを知ってるからかと」

志満「なるほどねえ……」

鞠莉「それでお願いがあるんですけど」

鞠莉「この家の中を調べさせてはいただけないでしょうか」

鞠莉「チカが本当にこの家の子だったなら,その痕跡がどこかにあるかもしれないんです」

志満「……わかった,いいわよ」

曜「ほんと?!」

志満「ええ,ただしお客さんの迷惑にならないようにね?」

果南「ありがとう!」


鞠莉「それと,もう一つ」

鞠莉「客間ではなく家族用のスペースで,空き部屋や物置になってるような部屋はありませんか?」

曜「どうしてそんなことを聞くの?」

鞠莉「チカがこの家に居たのなら,チカの部屋もあったはずでしょ?」

鞠莉「流石に家の形状まで変わってるとは思えないから,その部屋は他の用途に使われてるんじゃないかと思ったの」

果南「なるほど……」


鞠莉「どうですか?」

志満「……1つだけあるわ」

志満「確かに空き部屋になってる部屋が1つある」

鞠莉「ほんとですか?!」

志満「ええ」

志満「そういえばずっと空き部屋になってることに誰も疑問を持たなかったわね……」

鞠莉「きっとそこです!」

鞠莉「案内をお願いしてもいいですか?」

志満「もちろんよ,ついてきて」

――――――――――――――――


志満「ここよ」

鞠莉「この部屋が……」

志満「言っておくけど,本当に物1つ無いからね?」

鞠莉「わかってます」

志満「好きなだけ調べてくれていいから」

志満「もし何かあったら下にいるから呼んでね~」テクテク

鞠莉「ありがとうございます」

鞠莉「……」

鞠莉「……2人とも行くわよ」

ようかな「……うん」

ガララッ


曜「こ,これは……」

果南「ほ,本当に……」

ようかな「何もない!」

鞠莉「だから志満さんもそう言ってたじゃない」

曜「いやそうだけど」

果南「本当に何もないとは」

曜「これじゃあ痕跡も何もないんじゃない?」

鞠莉「それでも探すのよ」

鞠莉「ちょっとしたものでも構わないわ」


曜「はーい……あれ?」

果南「どうしたの?」

曜「いや,その窓から見えるの梨子ちゃんの部屋だよ」

鞠莉「そうなの?隣だったのね」

曜「うん,家が隣なのはわかってたけど,まさか部屋も隣とは」

鞠莉「気になるわね……」

鞠莉「とりあえず手分けして探しましょう」

ようかな「うん!」


―――――――――――――


3人「ない!」

曜「なにもないよ!」

果南「そりゃそうだよ!見た瞬間にわかってたよ!」

鞠莉「うーん……もしかしたらと思ったんだけど……」

果南「ちょっと疲れちゃった.少し寝るね」ゴロン

曜「え~ずるいよ~」

果南「曜も寝たら?」

曜「寝る~」ゴロン

鞠莉「ちょっと2人とも」

果南「少しだけだから」

曜「おやすみ~」


鞠莉「もう……そんなことしてる場合じゃ……」

ようかな「」バッ

鞠莉「きゃっ!」

鞠莉「どうしたのよ2人とも,急に起き上がって」

果南「いや……なんか……」

曜「何かがあったような……」

鞠莉「え?どこに?」

果南「確かこっちの方に……」スタスタ

曜「うん,この辺に……」

鞠莉「なによ……何もないじゃない」

果南「あれー?おかしいなー」


鞠莉「というか2人ともさっき目をつむってたでしょ?」

鞠莉「見つけられるわけないじゃない」

果南「それはそうなんだけどさ」

曜「でも,何かが見えたんだよ」

鞠莉「イミワカンナイ」

鞠莉「目をつむるって,そんなことしても……」スッ

鞠莉「……」

鞠莉「……何かある」


曜「ほら!」

果南「私たちの言った通り!」

鞠莉「あれは何かしら,ぼやけてるけど……光?」テクテク

ゴンッ

鞠莉「いったーーーい!!」

曜「そりゃ目をつむったまま歩いたら危ないよ」

果南「鞠莉のおバカさん」

鞠莉「でも確かに何かあったわ.部屋の角の方ね」

鞠莉「……あれが鍵なのかもしれない」


鞠莉「今度は気を付けて近づきましょう.2人も一緒にね」

曜「うん!」

果南「わかった.くっついて支えあいながら近づこう」

鞠莉「行くわよ」スッ

ようかな「うん」スッ

トコトコ

鞠莉「これは……写真……かしら?」

果南「そうみたいだね.Aqoursが写ってる」

曜「見て……9人いない?」

鞠莉「ほんとね……ぼやけて顔は見えないけど,このオレンジの髪は―――

スーーッ


……

3人「」ハッ

曜「ここ……どこ?」

鞠莉「真っ暗ね……」

鞠莉「ちょっと果南,くっつきすぎよ」

果南「むりむりむり,なんでこんなに真っ暗なの」ハグッ

果南「なのに2人の顔は良く見えるし」ギュー

鞠莉「暗いというより,黒いって感じなのかしら」

曜「真っ黒な空間か,暗いわけじゃないから顔は見えるわけか」

鞠莉「ほら果南,聞いたでしょ?別に怖くないわよ?」

果南「余計に怖いよ!何さ真っ黒な空間って!」ギューーッ

果南「お家帰りたい……」


鞠莉「はあ……じゃあしっかりつかまっててね」

果南「うん……」

曜「ねえ……あそこに誰かいない?」

果南「はぐぅぅぅ!!」

鞠莉「痛い痛い痛い!折れる折れる!!」

曜「あれ……もしかして……」

「……曜ちゃん?」

曜「……千歌ちゃん?」

曜「ぐっがあああああ!!」

曜「頭がっあああ……!」ウズクマリ




曜「……あああ」

曜「思い出した……」

曜「なんで……どうしてこんな大切なことを忘れてたんだろ……」ポロポロ

曜「千歌ちゃん……高海千歌ちゃん……」ポロポロ

曜「私の大切な……大好きな人……!」ボロボロ

「曜ちゃん!」

曜「千歌ちゃん!千歌ちゃん!」ダッ

ダッダッダッ


曜「千歌ちゃん!!」バッ

スカッ

曜「……え?」

曜「どうして……」スカッ

曜「なんで触れないの?!」

「……無理だよ」

曜「なんで……すぐ目の前にいるのに・・・・・・!」

千歌「私は……こっちのものじゃないから」

曜「どういうこと?!わかんないよ!!」

果南「曜!千歌!」タッタッ

千歌「鞠莉ちゃん……果南ちゃん……」


果南「私も思い出したよ」

果南「なんで忘れちゃってたんだろ……千歌のことだけぽっかり」

鞠莉「どうして……なんで私は思い出せないの?」

千歌「……それはね」

「わしが説明しよう」

曜「だれ?!」

鞠莉「どこにいるの?」

「わしはまあ……神のようなものじゃ」

果南「ようなものって……」

「細かいことは気にするな」

「それで,この高海千歌に関する記憶や痕跡のみが存在しない理由じゃったな」

曜「あなたがやったの?!どうしてそんなことを……」


千歌「私が頼んだの」

曜「……どういうこと?」

千歌「……曜ちゃん,スクールアイドル生活はどうだった?」

曜「どうって……」

千歌「曜ちゃんがスクールアイドルを初めて,梨子ちゃんを勧誘して」

千歌「ルビィちゃんと花丸ちゃん,善子ちゃんも加わって」

千歌「3年生も加わって,Aqoursは8人になった」

千歌「みんなの力で統廃合を阻止して,ラブライブにも優勝した」

千歌「……楽しかった?」

曜「楽しかったよ!本当に楽しかった!……でも!」

曜「どうして!千歌ちゃんが近くにいないの?!」


千歌「曜ちゃん果南ちゃん,さっき私のことを思い出したって言ったよね?」

千歌「何を思い出したの?」

曜「それは……」

果南「私と曜と千歌で小さい時から遊んでたこと」

曜「そう!それで中学校までは一緒に居たのに!そこまでは思い出したのに!」

曜「どうして高校からの記憶がないの?!千歌ちゃんがいないことになってるの?!」

千歌「さっき言ったでしょ,私が神様に頼んだの」

曜「どうしてそんなことを……」


千歌「……ほんとはね,Aqoursは9人だったの」

千歌「今の8人に私も入れて,9人でAqoursだった」

曜「……そんな気はしてた」

曜「だって,誰よりも千歌ちゃんがスクールアイドルやりたいって言いそうだもん」

千歌「えへへっバレてたか」

千歌「そう,私が言い出したの」

千歌「私と曜ちゃんからAqoursは始まった」


鞠莉「……そうだったのね」

千歌「基本的にはみんなが知ってる通りだよ?」

千歌「やったライブもイベントも全部同じ」

千歌「でもね,1つだけ違うの……私がいたAqoursはね?」




千歌「統廃合を阻止できなかった」


果南「えっ……」

鞠莉「そんな……」


千歌「私ね?すっごく悔しくて,自分の無力さが憎くて……」

千歌「どうしても諦められなかったの,浦の星が大好きだったから」

千歌「だからね?神様に願ったの」

千歌「統廃合を無くしてください.そのためならなんでもしますって」

「その願いをわしが聞いたのじゃ」

「本当はそんなことできないんじゃが,この者があまりにも真剣だったから見てられなくてな」

「わしは提案した.お前がこの世界に居たという一切の痕跡を消し去ってもいいなら,その願いを叶えようと」


曜「そんな……そんなこと……」

千歌「私は即答した.お願いしますって」

曜「なんで……どうして相談してくれなかったの?!」

曜「そんな大事なこと……」

千歌「ごめんね?でもさ」

千歌「もし相談したら,曜ちゃん絶対止めるでしょ?」

曜「当たり前だよ!!」

千歌「だよね……だから相談できなかった」


千歌「どうしても浦の星を残したかったから」

千歌「みんなには悪いと思ったんだけどね」エヘヘ

「そしてわしは高海千歌の痕跡を消し去り,時を撒き戻したのじゃ」

「スクールアイドルが始まる前までな」

鞠莉「そうか……だから私はチカの記憶が戻らないのね」

鞠莉「この世界はスクールアイドルが始まる前で分岐した世界なのね」

「そういうことじゃ」

「それ以前については痕跡を消しただけだから,何らかのきっかけがあれば記憶は取り戻せる.世界は同じじゃからな」

「だがスクールアイドル開始からは違う」

「そこで世界は分岐した」

「Aqoursは8人となり,統廃合は無くなった」

「そもそも世界が違うのだから,思い出す記憶など存在しないのじゃ」

「なぜか薄っすらと残ってしまった者もおるみたいじゃがの」


曜「そんな……」

千歌「そう,私はこの世界の人間じゃない」

千歌「分岐したといっても元の世界は消去してもらったから,統廃合がある世界も存在しない」

千歌「私の場所はもうないの」

曜「……嫌だ」

千歌「曜ちゃん?」

曜「嫌だ!私はそんなの認めない!」

曜「統廃合なんて知らない!私は……私は……!」

曜「千歌ちゃんより大事なものなんてない!!」

果南「曜……」


曜「神様!お願いします!千歌ちゃんを生き返らせてください!」

曜「私にできることならなんでもします!お願いします!お願いします!」

千歌「無理だよ……そんなことできるわけ……」

「可能じゃよ?」

千歌「えっ?」

曜「本当ですか?!」

「ああ.だが,お前にできることはないがな」

曜「そんな!じゃあどうすれば……」


「簡単なことじゃ.全てを元に戻せばよい」

「いわゆる等価交換じゃからの.高海千歌の一切と引き換えに統廃合の無い世界を作ったのじゃ」

「ならば,この世界と引き換えに元の世界に戻すことはできる」

千歌「そんな!それじゃあ!」

「もちろん統廃合は無くならんの」

千歌「それはダメ!それじゃあ私がやった意味が……」

曜「それでお願いします!元の世界に戻してください!」

千歌「曜ちゃん!ダメだよ!」

曜「お願い千歌ちゃん……他に何もいらないから……」

曜「私の……私のそばに居てよ……」ポロポロ

千歌「曜ちゃん……」


果南「……今回は曜に賛成かな」

千歌「果南ちゃんまで……」

果南「私も千歌に居なくなって欲しくない」

果南「確かに学校がなくなるのは悲しいけど,千歌の方が大切だよ」

鞠莉「……私には記憶がほとんどないのだけど」

鞠莉「それでもわかるわ.あなたが私にとってとても大切な人だったってことが」

鞠莉「きっと他の5人も同じはずよ」

千歌「鞠莉ちゃん……」


「……どうするかの?決めるのはお前じゃ」

千歌「……」

千歌「……私がこんなに想ってもらえてるなんて思わなかった」

千歌「みんなの気持ちを踏みにじるわけにはいかないよね……」

曜「千歌ちゃん……!」

千歌「……本当にいいのかな」

千歌「統廃合を阻止できないんだよ?学校が無くなっちゃうんだよ?」

千歌「私たちの思い出が……無くなっちゃうんだよ?」


曜「無くならないよ」

曜「確かに浦の星で私たちは多くの思い出を作った.あそこがなかったら生れなかったものもたくさんある」

曜「だけど!」

曜「その思い出は私たちの中にずっと残ってる.私たちがいる限り,学校が無くなっても思い出は無くならない」

曜「……千歌ちゃんの中にも思い出は残ってるよ?」

曜「私たちから千歌ちゃんの思い出を奪わないで……」ポロポロ

千歌「……」

千歌「……お願いします」

千歌「元の世界に戻してください」


果南「千歌……!」

千歌「全く,曜ちゃんは私がいないとほんとダメなんだから」

千歌「こんな泣き虫さんを1人にはしておけないよ」

曜「ありがとうっ……!ありがとうっ・・・・・・!」ポロポロ

「本当にいいんじゃな?」

千歌「はい,もう決めました」

千歌「私は統廃合を受け入れ,元の世界に戻ります」

千歌「みんなと一緒に思い出を作り続けます」

「よかろう.この世界と引き換えにおぬしの一切をもとに戻す」

「もちろんこの世界の記憶は無くなるからの」

「ではもう1度スクールアイドル結成前まで時を撒き戻す」

「……強く生きるのじゃぞ――――――


―――――――――
――――――
―――


曜「あと3人!」

ダイヤ「でも,時間はもう……」

千歌「お願い……お願い!」

千歌「98!」

果南「時計は?」

千歌「大丈夫……大丈夫……」

千歌「絶対に届く……大丈夫……」

千歌「届く……届く……届く……」

パッ

千歌「……募集終了」


ダイヤ「時間切れですわ」

千歌「そんな……大丈夫だよ」

千歌「あと1日あれば,ううん半日でいい」

千歌「1時間でもいい!それで……絶対大丈夫って」

ダイヤ「それが約束ですから」

梨子「でもそれだけだったら!」

曜「そうだよ,ずっとじゃなくていいんだよ?」

曜「あと,1日だけ……」

―――――――――
――――――
―――


千歌「私たちの輝きなんてどうでもいい」

千歌「学校を救いたい!」

千歌「みんなと一緒に頑張ってきたここを……」グッ

「じゃあ救ってよ!」

千歌「」ハッ

よしみ「だったら救って!ラブライブに出て」

よいつむ「優勝して!」


曜「みんな……」

千歌「できるならそうしたい!」

千歌「みんなともっともっとあがいて!そして……」

いつき「そして?」

千歌「そして……学校を存続させられたら……」

むつ「それだけが学校を救うってこと?」

むつ「私たちみんなに聞いたよ?」

むつ「千歌たちにどうして欲しいか.どうなったら嬉しいか」

いつき「みんな一緒だった.ラブライブで優勝してほしい!」

いつき「千歌たちのためだけじゃない.私たちのために,学校のために!」

よしみ「この学校の名前を残してきてほしい!」

ダイヤ「学校の……」


むつ「千歌たちしかいないの!千歌たちにしかできないの!」

いつき「浦の星女学院スクールアイドルAqours」

いつき「その名前をラブライブの歴史に,あの舞台に」

いつき「永遠に残してほしい!」

よしみ「Aqoursとともに浦の星女学院の名前を!」

よいつむ「だから……」

生徒たち「輝いて!!」








しいたけ「わん!」


終わり

以上です
読んでくださった方ありがとうございます
もし矛盾とかあったらすみません

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom