勇者「うわっ!!」ガバッ (8)
小さな洞窟
魔法使い「ど、どしたの!?」ビクッ
勇者「あ・・・、ごめん・・何か悪夢見てたわ・・」
戦士「どしたぁ!勇者ぁ!!!敵の城目前に怖気づいたか!?ガッハッハッハ」フンヌッフンヌッ
僧侶「勇者様、大丈夫ですか?あまり無理をせずもう一晩、ここで休んでいかれても・・」オドオドッ
勇者「心配かけて、ごめんな!俺なら大丈夫!」
魔法使い「それならいいけど・・・」
戦士「早く魔物狩りしてぇぜぇ!」フンヌッフンハッ
僧侶「ところで、どんな夢を見ていらしたのですか?」
勇者「ん・・」
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勇者「馬鹿げた話だけだよ?」
僧侶「お聞きいたしますよ」
魔法使い「勇者が見る悪夢って凄い気になる!」
戦士「俺にも聞かせろぉぉ!!!!」フンハッフンハッ
魔法使い「火炎魔法ッ!!!」ピロリロ
戦士「ギャアアアアアアアアアアアア」ボォォォッ
魔法使い「話聞かせてっ!」
勇者「あぁ・・・」
戦士「」チーンッ
勇者「俺がいた「世界」では俺達は物語の中の登場人物だったんだ」
勇者「そこでは「俺」は削る何かを持って色んな敵を擦って倒してたんだ・・」
魔法使い「何それ・・・勇者、あんた・・削りたい衝動でもあったの?」
僧侶「まぁまぁ・・魔法使いさん、とりあえず話を聞きましょう」
勇者「そして俺は「伝説の装備」を持って魔王を倒した」
勇者「そこで物語は一度終わり、新しい「世界」に移動したんだ」
僧侶「勇者様の仰っている「世界」とはどういう意味なのでしょうか?」
勇者「その、何て言うんだろうか・・俺達を創造した神による別の創造された世界・・かな」
僧侶「何だか夢といっても馬鹿に出来ない話ですね・・」
魔法使い「でも私達の勇者は削る物とか持ってないし、所詮夢じゃないの?」
僧侶「いえ、それは別世界の勇者様であって、この世界では勇者様は平凡な勇者様なのでは?」
勇者「まぁ・・夢だ、気にしたら負けさ」
勇者「とりあえず僧侶、戦士に蘇生魔法かけてあげてくれ」
僧侶「あっ!忘れてました・・すぐかけます!」ピロリロ
戦士「しゃぁぁおらぁぁ!勇者ぁぁ!俺にも話せえ!!」フンハッフンハッ
魔法使い「火炎魔法ッ!」ピロリロ
戦士「ギャアアアアアアアアア」ボォォォ
勇者「これまた、蘇生魔法かけないと駄目そうだな・・・」
勇者「とりあえず皆、眠ろう。朝になったら出発だ」
魔法使い「はいはい~おやすみ」
僧侶「おやすみなさい」
戦士「」チーン
早朝
魔法使い「キャアアアアアアアアアアアア!!!」
勇者「どした!?ッ」シャキンッ
魔法使い「あ・・ごめん。戦士の死体だった」
僧侶「あっ!すぐに蘇生魔法を!!」ピロリロ
勇者「戦士も丈夫だよな・・」
魔王城正門前
勇者「ついにここまで来たな」
魔法使い「そうね・・」
戦士「狩りの時間じゃぁぁあああ!!」シャオラッシャオラッ
僧侶「気をしっかり引き締めて挑みましょう!」
ギィィィガタガタガタ
ブォォォォォン
勇者「・・・どうやら敵も俺らを迎え入れてくれるらしいな」ピキピキッ
魔法使い「っ!?すごい魔翌力が・・・何なのこれ・・・」
僧侶「くっ・・・」
戦士「こいつはすげぇな!!ハッハッハ」
魔王城内
側近「ギヤァアァア!」バタリッ
魔法使い「意外と、部下は弱いのね・・」
僧侶「もしかしたら魔族も戦力が残りわずかなのかもしれませんね・・」
戦士「どしたぁああああ!こんなもんんかぁああ!!!」
勇者「・・・」
勇者「あった・・・ここが最後の扉だ」
魔法使い「絶対、勝って帰りましょ!」
僧侶「はい!!」
戦士「いくぞぉぉぉぉ!!!!」
ギィィィ
魔王「よくぞ来た勇者よ」スリスリスリ
勇者「ッ!?その持っている物は!!!」
魔法使い「え?え?何どしたの?」
魔王「おぉ・・?これか・・遠い昔から愛用してる磨き紙でな」スリスリスリスリ
勇者「俺が夢で見た物とそっくりだ・・・」
魔王「そうか・・・流石は勇者だな」スリスリスリ
勇者「ど、どういう意味だ?」
魔王「気にするな・・これも創造主の粋な計らいだ」
魔王「さて・・我が剣もよく磨かれ素晴らしい物になった」ボロボロ
魔法使い「はぁ!?なにそれ!そんなボロボロの剣で何ができるのよ!」
戦士「何だかよく分からないがいくぜぇええええええええ!!!!」シャキンッ
タッタッタッ
ジュバッ
戦士「ガッ・・」バタリッ
魔王「ふっはっはっは!どうだこの剣の力は、痛いだろう?」
僧侶「戦士さん!!!」
魔法使い「戦士・・っ!!極大火炎魔法!!!」
魔王「ヤスリシールドッッ!!!」スリスリスリスリスリ
魔法使い「え・・・?摩擦で私の火を相殺した・・・・?」
魔王「秘技・・・・」
勇者「魔法使い!!!!避けろぉぉぉ!!!!」タッタッタッ
魔王「摩擦虐砲(アツイーテ)!!!」
ドゴォォォォォオンッ
勇者&魔法使い「ウアアアアアアアアアアアアッ」ボォォォォッ
魔王「貴様らではワシを倒す事はできぬ・・」
僧侶「」ガクガクブルブルッ ブシャァァァ
魔王「ワシもかつては勇者と呼ばれ・・国の英雄であった」
魔王「しかし、この削り紙の呪いで不死になり、いつしか肉体は朽ち果てた」
魔王「気がつけば、魔族の王となり、君臨する事になるとはな・・」
僧侶「い、いやぁ!!死にたくないっ!!!」
タッタッタッ
ギィィバタンッ
魔王「哀れな娘だ・・」
シュタッ
バーサーカー「やるじゃねぇか魔王!!!がっはっはっは」
東の魔女「さすが元勇者ね!!現役バリバリね!!!」
闇の神官「皆さんも見てらっしゃったんですね?」
バーサーカー「そりゃぁ!我らが魔王様が勇者倒すんだぜ?ガッハッハ」
魔王「まったく、貴様等め・・・」スリスリスリ
魔王「すぐさま、出陣の準備だ・・奴等人間供を根絶やしにするぞ・・」ボォォォ
仲間3人「アイアイサーッ!」
闇の神官「ところで、魔王様・・こちらの倒れている三人はどうなされるんですか?」
魔王「あぁ・・・それはな」
エピローグ
地下牢
勇者「ん・・・ここは?・・」
魔法使い「勇者も起きたんだ・・」スリスリスリスリ
戦士「よぉ・・勇者・・」スリスリスリスリ
勇者「お前ら何をやっ・・・て・・・」スリスリスリスリ
勇者「身体が勝手に・・・!?」スリスリスリスリ
魔王「これで全員目が覚めたか」
勇者「ま、魔王!!!これはどういうことだ!!」スリスリスリスリ
魔王「はっはっは!なぁに貴様らにその削りの技術を教えて」
魔王「魔族として人間界に攻め入ってもらおうと思ってな」
魔王「せいぜい擦り続けるがいいハッハッハ!!」
ギィィバタンッ
勇者「くそぉぉぉおおおおおおおおお!!!!」スリスリスリスリ
勇者「ぜってぇ!!お前だけは倒す!!!!覚えてろぉぉぉ!!!!」スリスリスリスリ
かくして世界は魔王によって
滅ぼされた。後に残ったのは
ボロボロに削られた剣と
「止めてくれ」と声をあげる
若者三名の声だけであった。
完
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