ジャギ「極悪の華……か」 (202)

199X年、世界は核の炎に包まれた


「き、きさま使ったな!? 北斗神拳奥義、醒鋭孔を!!!!」


海は涸れ、地は裂け、あらゆる生命体が絶滅したかに見えた


「貴様には地獄すら生ぬるい……!」


だが、人類は死滅していなかった


「貴様の命は、あと一年だ」


僅かな水と食料を奪い合い、


「ジャギ、己の罪深さを噛み締めるがいい」


暴力が支配する世界に人々は生きていた

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1376049065

『……ジャギ』

「ん……」

『ジャギ』

「その声は……ケンシロウか」

『貴様の身体は、次の一撃でこの世から消え失せる』

「ほざきやが……っ!? なに!? 身体が……動かねえ!」


『この一撃は、貴様によって全てを失った俺の……』


「や、やめ……!」



『この俺の怒りだ!!!!』

――――ピキーンッ――――



ジャギ「いぎゃあああああああっ!? いでっ!? いでぇぇぇぇぇ!!」ビクッビクッ


「……お、おじさん?」

ジャギ「いぎぃぃ……ぐ……っ、うう……?」

タキ「だ、大丈夫?」

ジャギ「な、なんだテメ」


――ピキーンッ――


ジャギ「うぎゃあああああ!?」ビクッビクッ

タキ「わ、わ、たいへんだ! ど、どうしよう!」

ジャギ「っぎ……ぐくく………」ブルブル

ジャギ(これは間違いなく、北斗神拳奥義……醒鋭孔! そうだ、俺はケンシロウに醒鋭孔を突かれて……)

タキ「……おじさん? おじさん病気なの?」

ジャギ(おのれケンシロウ! 絶対に、絶対に許さんぞ……!)

タキ「ねえってば」トン


――ピキーンッ――


ジャギ「じゃぎぎぎぎぎぎぎィィィィ!?」ビクッビクッ

タキ「うわわわわ!?」ビクッ

ジャギ「いひ!? いひぃぃぃぃぃ!!」ガクガク

タキ「ごっ、ごめんなさい!」

ジャギ「~ッ!! この糞ガキ!! よっぽど死にてえらしいな!!」ギラッ

タキ「ひ、ひいい!!」

ジャギ「八つ裂きにして」


――ピキーンッ――


ジャギ「ぐぎゃああああああああ!!!!」ビクッビクッ

タキ「あわわわわわ、た、たいへんだ! たいへんなことになった!」

…………


ジャギ「ひぃ……ひぃぃ…………」ブルブル

タキ「痛いの、おさまった?」

ジャギ(だ、駄目だ……攻撃はおろか、拳を握る事もままならねぇ!)

ジャギ(かろうじて歩けはするが、こんな状態でケンシロウに出くわしたりしたら……)

ジャギ「……おい」

タキ「! な、なに?」

ジャギ「…………俺はこの通り、病気なんだ。もはや旅を続ける事もままならん」

タキ「う、うん。なんとなくわかるよ」

ジャギ「坊主、もし近くの集落を知っていたら案内してくれないか? 今の俺には療養が必要だ……」

タキ「ぼ、ぼくの村でよかったら……」

ジャギ「……そこは水や食料はあるのか?」

タキ「……少しなら」


ジャギ(少し、か。まぁ、仕方ねえ)


ジャギ「早速案内してくれ」

タキ「う、うん」

~トヨの村~


「おかーさーん!」


トヨ「! この声は、タキ!」

タキ「おかーさーん!」タタタタ

トヨ「タキ! どこに行ってたの!?」

タキ「それよりお母さん、砂漠で病気の人を見つけたんだ!」

トヨ「病気?」

タキ「ほら、あそこ!」



ジャギ「……」ヨタヨタ



トヨ「!?」

トヨ「タキ! あ、あれは悪党よ!」

タキ「悪党!?」

トヨ「あの凶悪な格好、間違いなく悪党よ!」



ジャギ「……警戒されているか。当然だろうな。まぁ、ババア一人ぐらいどうとでも……」



タキ「で、でも病気で……」

トヨ「それも私達を油断させる演技よ!」

トヨ「止まりなさい悪党!」チャキッ



ジャギ「!? ライフルだと!? 待っ、や、やめてくれ!」

トヨ「子供達には指一本ふれさせないよ!」ギリッ

ジャギ「待ってくれ! そんなの当たったら死んじまう!」

トヨ「死にたくなければさっさとこの村から離れなさい」グッ

ジャギ「……ぐうッ! こ、このままでは……」

トヨ「…………」ググッ

ジャギ「……き、聞いてくれ! 俺は確かに悪党だ! 山ほど悪事もはたらいた!」

ジャギ「だが、俺は今、痛覚がむき出しになる病に冒されているんだ! もはや凶器を持つことも、拳を握ることもままならない!」

トヨ「やっぱり悪党じゃないか! そんな奴の言う事、信用できないね!」

ジャギ「こ、これが……」ブル…ッ


ジャギ「これが……その証拠だーッ!!!!」ズグッ


トヨ「なにを……」



――――ピキーンッ――――



トヨ「!?」

ジャギ「アがが……ッ!? ガが――――」ビリビリビリビリ


ドサッ

ジャギ「」ビクッビクッ

トヨ「……」ソー…

トンッ

ジャギ「――っ、っ」ビクンッビクンッ

タキ「白目剥いてる……」

トヨ「タキ、後ろにいなさい。気を失ったフリかもしれない」チャキッ

タキ「……もし本当に病気だったら、どうするの?」

トヨ「……タキ、この男に水や食料を分ける余裕は、私達には無いんだよ。バットも、食い扶持を減らす為に出ていってしまったろう」

タキ「……」

トヨ「……」


トヨ「……一晩」

タキ「……え」

トヨ「一晩だけ泊めて、明日になったら出て行ってもらおう」

タキ「……うん」




――1日目、トヨの村――



…………

ジャギ「っぐ……こ……ここは……」

トヨ「気が付いたかい」

ジャギ「…………誰、だ」

タキ「ぼくのお母さんだよ。ここは僕らの家さ」

ジャギ「お前は確か…………タキ」

タキ「うん」

トヨ「どうやら病気ってのは本当らしいね」

ジャギ「信じるのか?」

トヨ「タキを人質に取るチャンスはいくらでもあったし、失神したフリをしてライフルを奪う事もできたろうに、本当に今の今まで寝ていたんだ。いい加減、警戒するのも疲れてしまったよ」

トヨ「私はトヨ。この村で子供達の育ての親をしている」

ジャギ「……こいつら全員か?」

トヨ「みんな私のかわいい子供さ」

ジャギ「あんた、相当なお人好しだな」

トヨ「お人好しじゃなきゃ、お前さんを一晩泊めようなんて思わないだろうね」

ジャギ「……待て、一晩だと?」

トヨ「一晩だよ。生憎、見ての通り大家族でね、家計は火の車さ」

タキ「ごめんね、おじさん」

ジャギ「……」


ジャギ(……チッ)

ジャギ(醒鋭孔さえ突かれてなければこんな村……)

ジャギ(クソッ)


ジャギ「……わかった。一晩だけでも有り難い」

トヨ「ん、すまないね」

ジャギ「ただ、こっから一番近い集落を教えてもらいたい。明日出て行くのはいいが、アテもなく荒野をさまようのは勘弁だ」

トヨ「そうだねぇ、ここから東にいった所に村があったんだが……」

ジャギ「だが、なんだ」

トヨ「暴漢達に占領されて、今は立ち入る事ができない。あの村には水もあるというのに……」

ジャギ「水か。この村は無事みてぇだが、水は出ないのか?」

トヨ「随分前に井戸が涸れてね、それ以来人は去る一方さ。新しい井戸も掘ってはみたが、大きな岩盤に当たってね……女子供ではもうどうしようもなかったよ」

ジャギ「そりゃあついてねぇな」

トヨ「せめて男達が残っていれば、ねぇ……力を合わせれば、きっといつか……」

ジャギ「アンタらの貧窮具合は嫌ってほどわかった。いずれにせよ、ここにゃ長居できねえみたいだな」

「お母さん、おなかすいた」

「ぼくもー」

トヨ「ああ、そうだね。そろそろ晩御飯にしようか」




ジャギ(コップ一杯の水に、豆の缶詰めを山分け、か……)


タキ「お母さん……」

トヨ「さ、母さんの事はいいから、みんな先に食べなさい」

「やー、お母さんもいっしょがいい」

トヨ「あらあら、嬉しいねぇ」


ジャギ「……ふん」

……

ジャギ「これが新しい井戸ってやつか」


ジャギ(……岩盤にぶち当たってるな。確かにこりゃあ、あのババア一人じゃ一生かかっても無理だろうな)

ジャギ(それどころか、野郎が大勢いても何年かかるかわかったもんじゃない。この村は、終わりだ)


タキ「ジャギさーん!」タタタ

ジャギ「……なんだ」

タキ「ジャギさんは、明日また旅に出るんだよね」

ジャギ「あのババアが出てけって言うからな」

タキ「ぼくもいっしょに行っていいかな?」

ジャギ「あぁ?」

タキ「この井戸、大きな石のせいで掘れないでしょ? だから、男の人をいっぱい連れてきて、穴をあけてもらおうと思って」

ジャギ「馬鹿か。何年かかると思ってんだ」

タキ「でも、なんとかしないと……お母さん、もうずっとお水飲んでないんだ」

ジャギ「……」



ジャギ「一宿一飯の礼に教えてやるけどな、この井戸は成就しねぇよ」

タキ「……え」

ジャギ「まず岩盤に穴をあける道具がねえ。それを使う男手もねえ。男手を雇う報酬も、養うだけの蓄えもねえ」

ジャギ「それに、この岩盤の下に水がある保証もねえ。ただ掘りゃいいってもんじゃねーんだよ、水源ってのは」

タキ「…………っ」


タタタタ…


ジャギ「……」


ジャギ「イライラさせやがるぜ」

ジャギ「イライラだ? くっ……なぜ俺様が我慢なぞせねばならんのだ! 俺は誰だ? 北斗神拳伝承者、ジャギ様だ!」

ジャギ「欲しいものは奪う! 刃向かう奴は[ピーーー]! それを可能にする力が俺様にはあった!」

ジャギ「そう、全ては奴が……ケンシロウの所為だ! 奴さえいなけりゃ――」



――ジャギ


ジャギ「!」ビクッ


――お前の命は、あと1年だ


ジャギ「げ、幻聴……なっ!?」


ジャギ「あれは、死兆星!?」

ジャギ「ば、馬鹿な……!?」


残された時間、己の罪深さを噛み締めるがいい――


ジャギ「…………」



俺は、死ぬのか……?

むき出しの痛覚に包まれたまま、無法の荒野をさまよい、


暴漢の襲撃で死ぬか、砂漠で野垂れ死ぬか

あるいは、無為の放浪の末、1年後に死ぬか……


ジャギ(この俺が死ぬか……)


ジャギ「ケンシロウの拳法で……!!」

あ、完全にサガ忘れてました

申し訳

ジャギ「醒鋭孔ごときで、この、俺様が……秘孔封じを怖れると……思ったか!!」グッ

グアッ

ジャギ「見くびるな! ケンシロウ!!」ズグッ



――――ピキーンッ――――



ジャギ「ギギ……ッがぎギききィぃッ!!!?」ビリビリビリビリ

ジャギ「アあぁッッ……!!!! がカカカカっ、っ、っ……!!」ガクガクガク


プシッ、ブシャッ――


ジャギ「――――! ――――!」ビクンッビクンッ



――――ピキーンッ――――



ジャギ「……ぁ」ガクンッ



ドサッ



『己の罪深さを噛み締めるがいい』

またあの忌々しい声が聞こえてきた

馬鹿め!

俺様がケンシロウごときの指図を受けると思ったか!

そう

たかがケンシロウごときに、俺様が負ける筈がない

そうだ

要は勝てばいい

勝てばいいんだ、何を使おうが

例え、拳法勝負で勝てなくても、凶器を使おうが暗器を使おうが、勝てばいい

北斗神拳で勝てなくても、南斗聖拳で勝てばいい


――勝てばいい。それが全てだ――


ジャギ「…………」ムク


タキ「あ! 気が付いた!」

トヨ「心配させるんじゃないよ! 血まみれで倒れてるアンタを見た時は死んでるかと思ったよ!」

ジャギ「……だ」

タキ「え、なに?」

ジャギ「村作りだ」

トヨ「なにを、急に」

ジャギ「村を再建するぞ」



「この一面の荒野を俺様の国にしてやる」


次回から、ジャギ様がせっせと荒野を耕します

多分

では、おやすみなさい




――二日目、井戸――



ジャギ「まずは井戸を貫通させる準備をしてもらう。ガキ共、とにかく石を集めて敷き詰めるんだ」

ジャギ「核の炎に焼かれた土は脆くて保湿性が悪い。せっかく水が出ても悪戯に消費するだけだ。だからこその水槽だ。崩れないように石を組んで水槽を作れ」

ジャギ「俺はその間に隣の村のモヒカン共をぶっ飛ばし、水と食料を奪ってくる。戻ってくるまでに水槽を完成させろ。いいな」

トヨ「そんな無茶な! ただでさえ満足に食べれていないのにそんな重労働……」

ジャギ「じゃあ、このまま干からびるか? 待っていても水は出ないし、まして食料なんか手に入らないぜ」

トヨ「……」

タキ「お母さん、やろうよ。ぼくらも、お母さんの力になりたいんだ」

トヨ「タキ……」

ジャギ「そうだぞガキ共。てめぇらが頑張る程、『お母さん』は楽になるんだ」


「……ぼくもやる!」

「わたしも!」

トヨ「みんな……」


ジャギ「ヤワな水槽を作るんじゃねぇぞ! もし崩れたりしたら食料も水もナシだからな」

続きはまた夜に

…………

グビッ、グビッ、グビッ

モヒカン「ぶはぁ~」

モヒカン「お前、よく飽きねえな。俺ぁもう水は飲み飽きたぜ」

モヒカン「そりゃあ俺だって水よか酒の方がいいけどよ、無ぇもんは仕方ねーしな」

モヒカン「バーには『ウォリアーズ』が入り浸ってるからな……」

モヒカン「たまには水以外も腹に入れねーと力出ねえぜ」


「だったら砂なんてのはどうだ?」


モヒカン「なんだ……ぶべっ!?」ドカッ


――――ズザーッ

ジャギ「俺の奢りだ。遠慮せず腹一杯くらいやがれ」バキバキッ

モヒカン「な、なんだてめぇは!?」

ジャギ「俺か?」スッ

モヒカン「!? 胸に七つの傷!?」

モヒカン「お前、まさか『KING』や『GOLAN』を一人で壊滅させた……!」

ジャギ「……違う。そいつは俺じゃない」



ジャギ「そいつは俺の弟……憎き仇敵ケンシロウだ!!」クワッ



モヒカン「あのバケモンの兄だと……!?」

モヒカン「もしかして、そのケンシロウって奴より強いのか……?」

ジャギ「……なに!?」

ガァシッ

モヒカン「いぎっ!?」グイッ


ジャギ「兄より優れた弟など存在しねぇ!!」

グアッ

モヒカン「だ、だぢげ……」

ブゥゥンッ


「あああああああっ!?」


……ドサァッ


ジャギ「……」ザッ

モヒカン「あ、わわわ」ヘタ…

モヒカン「あのバケモンに兄弟が……」

ジャギ「……」ザッ

モヒカン「た、助けてくれ!」

モヒカン「み、水ならやる! あ、アンタもこの水場を狙ってたクチだろ!?」

ジャギ「……水だぁ?」バキバキッ

モヒカン「しししし食料も、す、少しならある!」ドサッ

モヒカン「お願いだから見逃してくれ! 頼む!」

ジャギ「……」チラ


ジャギ「なんだこれは」

モヒカン「ひっ」

ジャギ「たったこれっぽっちか!?」

モヒカン「ほ、本当にこれしかないんだ!」

ジャギ「たったこれだけで命を買おうとは、安い命だな」

モヒカン「今の時代、食料は貴重なんだ! アンタだってよく知ってる筈だ!」

ジャギ「あ?」

モヒカン「ひ!?」ビクッ




ジャギ「そうだ、今の時代、食料は貴重。あまりに貴重すぎる。お前らもよーく分かってるみてぇだな」

モヒカン「……そ、そう! こんだけ状態のいいパンなんか滅多に手に入らねえ!」

ジャギ「じゃあ、作ろうぜ」ポン




モヒカン「……は?」

ジャギ「無ぇから作るんだよ。簡単な話じゃねーか」

モヒカン「……え、と」

モヒカン「まさか、俺らが?」

ジャギ「お前らしかいねぇだろ。ガタイもいいし、土ほっくり返すのにピッタリだろうが」

モヒカン「アンタ、正気か?」

ジャギ「……何か言ったか?」

モヒカン「い、いえ!」



ジャギ「……確かに、この死んだ大地を耕すのは並大抵の事じゃねぇ。大抵の奴はそんな発想すら浮かばねーだろう」

ジャギ「だがな、より強化な戦力……軍、王国を築くには、まず食料問題を解決しなければならねぇ」

ジャギ「無ぇから作るんだよ。簡単な話じゃねーか」

モヒカン「……え、と」

モヒカン「まさか、俺らが?」

ジャギ「お前らしかいねぇだろ。ガタイもいいし、土ほっくり返すのにピッタリだろうが」

モヒカン「アンタ、正気か?」

ジャギ「……何か言ったか?」

モヒカン「い、いえ!」



ジャギ「……確かに、この死んだ大地を耕すのは並大抵の事じゃねぇ。大抵の奴はそんな発想すら浮かばねーだろう」

ジャギ「だがな、より強力な戦力……軍、王国を築くには、まず食料問題を解決しなければならねぇ」

モヒカン「より強力な戦力……?」

ジャギ「そうだ。俺はこの通り一人でも強いが、一人でできる事には限度がある。せっかく村や街を占領しても、多方面からの攻撃を一人で守るなんてできやしない」

ジャギ「いくら強くても、向こうで食糧庫、こっちで居住区、なんて事になったら、たまんねぇわけだ」

モヒカン「……確かに」

ジャギ「逆を言えば、強い奴一人が占領しているような場所はそうやって戦力を削る事もできる。メシがなきゃあ戦えねぇからな」

モヒカン「だがよ、そうは言っても畑耕して実がなるまで相当時間がかかるぜ? そんな気長な事やってたら飢え死にしちまう」

ジャギ「確かに、農業するには時間も手間も根気もいる。この死んだ大地なら尚更だ」

ジャギ「だがな、俺やお前ら悪漢が略奪できる食糧にも限度がある。違うか?」

モヒカン「ぐ……」

ジャギ「最初の苦節だけ堪えて、いずれ農民を取り込み、兵を募り集落を吸収し、勢力を拡大していく。お前らは最古参としてアタマを張る。どうだ、悪くない話だろ」

モヒカン「…………」

ジャギ「当面の食糧はこの水場をエサに、ノコノコやってきた賊から奪えばいい」

モヒカン「し、しかし、そんなにうまくは……」

ジャギ「何を諦める必要がある? 何を迷う事がある奪いとれ!」

ジャギ「今だってお前らはそうやってここでハイエナをやってきたんだろうが! それに少しの手間、未来への投資が加わるだけだ!」



ジャギ「食糧、資源、人材! 今を耐えた奴が微笑む時代なんだ!」



モヒカン「……! わ、わかった! アンタの話にのろう!」

続きはまた明日です
おやすみなさい

………………

「タキー、そっち押さえて」

タキ「わかった」


「おいおいなんだ、全然進んでねぇじゃねえか」


タキ「あ、ジャギさま」

ジャギ「俺が戻るまでに完成させろって言ったろうが」

タキ「ご、ごめん……」

トヨ「無茶を言うんじゃないよ。こんな小さい子供ばかりで……」

ジャギ「……」


ジャギ「まぁいい。ガキ共、メシにするぞ。たらふく食ったらまた働いてもらうからな」

「ごはん……?」

「やったー! ごはんだ!」

ジャギ「ガキ共、食いながら聞け。組み石の作業をやって、お前らも闇雲に積めばいいもんじゃねぇと学んだ筈だ」

ジャギ「石を積むには大小様々の石を満遍なく敷き詰め組み上げる必要がある。俺は一切手を貸さねえ。しっかり身体で覚えろ」

「そ、そんな……」

「井戸ができる前に死んじゃうよ……」

トヨ「あんまり無茶を言うんじゃないよ! こんなにボロボロになっているのに、まだ働かせる気かい!」

ジャギ「弱音を吐くな甘ったれ。いいか、いずれこの技術はここに集落を作るのに必要になる。お前らはその先駆けとなり、知恵と技を身に付け、いずれやってくる移住者の指導をするんだ」

タキ「この村に移住者が……?」

ジャギ「隣村の連中を懐柔してきた。いずれはここでの開拓事業に従事させるし、連中からの支援で当面の食糧難は回避できる」

トヨ「隣村って、あの悪党共が支配している水場かい!?」

ジャギ「ああ、飴と鞭で従わせた。裏切りはしないだろうが、井戸の完成が遅れれば見限られるかもしれんな」


ジャギ「いいかガキ共! お前らの頑張り次第で大人の労働力が手に入る! だが失敗すれば、水と食糧の支援が打ち切られるだろう!」

ジャギ「働け! 明日の朝からまた石組みだ! もとは井戸だったものをバラしたんだ! 組めないとは言わせねぇぞ!」




――三日目、オアシス――



……

ジャギ「ほう、なかなか手つきが良くなってきたじゃねえか」

「…………」

「……うう」

ジャギ「やはり子供は飲み込みが早い。メシがかかっていれば尚更だ」

トヨ「も、もうやめておくれ……このままじゃ、本当に死んじまうよ……」

ジャギ「フフフ……死ぬだと? 人間この程度では死なん」

ジャギ「死ぬ程疲れていようが、身体は生を求める。生命とはそうやって鍛えるんだ」

タキ「うう…………ぁ」グラッ

ドサッ

「タキ……?」

「タキ! おい、しっかり!」

トヨ「タキ!?」タタタッ


トヨ「タキ! しっかりして! タキ!」

ジャギ「あまり揺らすな。かえって悪くなる」

トヨ「子供達をこき使っておいて、どの口が言うんだい!!」

ジャギ「俺は死に関してはプロだ。黙って言う事を聞け……」スッ


ジャギ「熱中症だな。水を与えて日陰で休ませろ。他のガキも一旦休憩だ」

……

「……タキ」

「ねぇ……タキは大丈夫なの?」

トヨ「大丈夫。しばらく休めばよくなるよ」

「もう、僕やだよ……」

「私も……もう動けない……」

「う……ううぅ…………」

ジャギ「……」



ジャギ「ひとつ、お前らの意見を聞かせてくれ」

ジャギ「簡単な質問だ。この作業を続けるか否か、だ」

ジャギ「お前らは働き、俺は約束通り水と食糧を集めてきた。労働力確保の見通しも立てた。いずれはここら一帯を畑にする計画も考えている。間違いなく困難を極めるがな」

ジャギ「お前らも、今まで体感した事がないほどの疲労に支配されているだろうが、安定した食糧と水には変えられないとは思わないか?」

ジャギ「思い出してみろ。豆一缶と僅かな水を皆で分け合う生活……モヒカンに怯える毎日を」

「…………」

「……グスッ」

ジャギ「俺は困難を強いるが、その困難に見合う明日を約束しよう。もし困難に耐えきったなら、お前らは平和だったころのように暮らせるだろう」

ジャギ「勿論、信じる信じないはお前ら次第だ。どちらか選べ」

ジャギ「無理強いはしない。もし、この作業をやめたいと言うなら俺は去ろう。その水と食糧で好きに生きるがいい」

トヨ「…………」



「ぼくは……たたかいます!」



トヨ「タキ……!」

タキ「僕は決めたんだ……お母さんに…………水を……」クラッ

トヨ「タキ! わかった、わかったから!」ギュ

ジャギ「ほう…………ガキのくせに骨があるようだな」

ジャギ「お前らはどうだ? やはり、もう労働は嫌か」

「…………」

「……もう、石を運ぶのは嫌だよ……」

「嫌だけど…………ごはん食べれないのはもっとやだ」

「悪党に襲われるのもいや……」

ジャギ「そうだろう!そうだろう! やはりメシは食いたいよな! 水も好きなだけ飲みたいよな!」


ジャギ「だったら俺についてこい! モヒカンどもなど、このジャギ様の敵ではないわッ!!」

つづきはまた明日です
みなさまおやすみなさい

ジャギ「フフフ……これで納得がいったろう。お前らが悩もうと状況はかわらん。俺の計画通りしっかり働きゃあ、いずれ安定した食糧にありつけるんだ。わかったな」

トヨ「あんたは……一体何が目的なの?」

ジャギ「村を作ると言ったろう。俺はその為にお前らを利用する。それだけだ」

トヨ「あんたは悪党なんだろ。誠実に村作りなんかする悪党が、どこにいるんだい」

ジャギ「悪党でも飯は喰わねばならん。それも毎日だ。食糧を巻き上げるのは容易いが、毎日毎日巻き上げるのは難しい。何せ食糧には限りがある」

ジャギ「見ろ、一面の荒野だ。どこ探したって自然の食材なんかねぇ。今地上にある食糧は、シェルターにあった僅かな食糧だけだ」

ジャギ「もう一度言うが、奪うのは簡単だ。だが、雑魚共が必ず食糧をもってるとは限らねえし、いずれその食糧も奪えなくなる」

ジャギ「だったら、ここに腰を据えて農業やった方が賢いじゃねぇか」

「そうなの?」

ジャギ「賢いは言い過ぎだが、俺はそう決めた」

トヨ「…………」

ジャギ「信用しろとは言わねぇ。お前らも俺を利用すればいい。それと」



ジャギ「真の悪党は無駄な事はしねえ。俺は無駄が大嫌ぇなんだ」

……

ジャギ「……スゥ、ハー……」

ジャギ「……」…スッ



――ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ



ジャギ「ハー……ッ」スッ

「……すげぇ」

「あっという間に壁が!」

タキ「ジャギさま、手伝わないって言ってたのに」

ジャギ「……お前らに任せてたらいつまで経っても完成しねぇだろうが」パンパン

ジャギ「それより、休憩中に覗き見たぁ……まだ働き足りねえようだな」

「!」

「や、やすんでくる!」

ジャギ「……チョロチョロしやがって。さて」カキッカキッ

タキ「なにするの?」

ジャギ「あ? おめぇもあっち行ってろ」

タキ「……」

ジャギ「……」


ジャギ(チッ、調子狂うぜ)

ジャギ(……「破壊」には二つの手段がある)

ジャギ「……」カキッカキッ

ジャギ(俺が志した北斗神拳。内部からの破壊を極意とする、裏。そして――)



―― 南 斗 邪 狼 撃 ――



タキ「!? えっ!?」

ジャギ「南斗聖拳。こんな使い方をする事になるとは思わなかったぜ」ズ…

ビキ……

ジャギ「ん?」


ブシャアアアアァァァァッ


ジャギ「ばわっ!? ぶば!?」バシャァァ

ジャギ「思ったより勢いが……ぶへっ」ベチャ

タキ「おーいみんな! 水だ! 水が出たよ!」


「水……!?」

「わ! 本当に水が出てる!」

トヨ「水って、一体どうやって……」

タキ「ジャギさまが、こう……石に手をズブって入れたら、石にヒビが」

ジャギ「拳法だ。言ったろう、俺は強いと……やっと収まってきたな」

ジャギ「あとは放っておきゃあ水がたまる。次は農地の準備だ。死んだ土を全部捨てて、土を交換するぞ」





「ジャッカル、新しく水源を引き当てた村があるそうです」

「……戦力は」

「ガキとババア、それと妙な格好をした男一人ですぜ」

「…………フ」



ジャッカル「野郎ども! 我々のオアシスが見つかった!」



迫りくるジャッカルの魔の手!?
みたいなところでまた次回




――四日目、悪党――



……


ジャッカル「奴らの動きはどうだ」

「ガキもババアも総出で土いじりしてるぜ、ジャッカル」

「奴ら、こんな所で畑を作ろうとしてるみてぇだ」

ジャッカル「あの仮面野郎は」

「奴も一緒だ。地面ほっくりかえしてるだけで、目立った動きはねぇ」

ジャッカル「……」



ジャッカル(あの仮面野郎、恐怖でガキ共を使っていたんじゃねぇのか……?)

ジャッカル(…………臭うな)



ジャッカル「……」

「どうするジャッカル、やっちまうか?」

ジャッカル「夜まで待つぞ。引き続き見張っておけ」

ザクッ、ザクッ、ザクッ

ジャギ「ふー…………おーい、ガキ共! 一旦休憩だ!」

「きゅうけい?」

「やったぁー」

「僕もうヘトヘトだよ~」

「ねえ、水は飲んでもいい?」

ジャギ「ああ、好きなぐらい飲め。ただし、飲み過ぎて動けなくなったなんて事が無いようにな」

「やったー!」

トヨ「……まさか、本当に水が出る日が来るなんてね」

ジャギ「なんだ、信じてなかったのか」

トヨ「…………信じていた。そう言い切りたいけどね、心のどこかで諦めていた気もするよ」

ジャギ「フン、タダで水を飲めると思うなよ。これから貴様らには死ぬまでこの村の開拓をしてもらう。どこへも逃げられんぞ」

トヨ「……」

ジャギ「わかったらテメェも水でも飲んでこい。休憩が終わったら俺は隣の水場へ行ってくる」

トヨ「今からだと、戻るのは夜明けになるんじゃないかい?」

ジャギ「そうなるな。せっかく出た水だ。ちゃんと見張っておけよ」



ジャギ「おいテメェら! いつまで水飲んでんだ! 休憩は終わりだ!」

…………

「ジャッカル、仮面野郎がオアシスから離れていきやす」

ジャッカル「なに……?」

「特にエモノらしいものは持ってやせん。丸腰だ」

ジャッカル「……」



ジャッカル「フォックス、後をつけろ」

フォックス「はっ」

ホーク「ジャッカル、ちょっと慎重すぎんじゃねぇか?」

ジャッカル「…………」


バキィッ


ホーク「ぶっ!?」ドサッ

グリッ

ホーク「ぐぁ……!?」

ジャッカル「世の中には『狩る側』と『狩られる側』がいる。お前はどっちだ?」

ホーク「か……狩る側…………」

ジャッカル「さっきまではそうだったかも知れないな。だが今のお前は『狩られる側』だ」グリッ

ホーク「があぁ!?」

ジャッカル「わかったか。気付いた時には優位性は既に失われている。死にたくなけりゃオイタは控えるんだな」

動き出したジャッカル一味。次回、激突!?

今回はここまでです
また次回

……ブロロロ


ジャッカル「戻ってきたか」

「ジャッカル、仮面野郎は真っ直ぐ向こうのオアシスに向かってます」

ジャッカル「オアシスだと? 向こうは武装した連中が占領してる筈……水が無いわけでもないのに何故……」

「ヤツが周囲を警戒している様子はありやせん。命令通り、フォックスが尾行を継続してやす」

ジャッカル「…………」


ジャッカル(あの仮面野郎は手ぶらだった。手ぶらでこの荒野を歩くことがどれだけ危険か、ガキでも判断がつく)

ジャッカル(…………だが、ある程度短い距離の移動、「隣の安全な集落」へなら……まだわからなくもない)

ジャッカル「ヤツは向こうのオアシスの連中と手を組んでる可能性がある。いや、連中が寄越した勢力拡大の先兵と読んで間違いないねぇ!」

「じゃあ、あの村を襲えば、向こうの連中が……」

ジャッカル「ああ。だが連中にはアシがねぇ。例え連中が手強くとも、バイクで逃げりゃあ関係ねえ」

ジャッカル「それに連中がこっちに援軍を寄越しても、今度は向こうがガラ空きだ。そうやって薄い方を襲ってりゃあ俺達は負けない」

「おお……!」

「流石ジャッカル!」

ジャッカル「2、3回襲撃と撤退を繰り返せば、連中はどちらかのオアシスを放棄する。俺達は晴れて念願のオアシスを手に入れるわけだ」

ジャッカル「行くぞ! オアシスは目の前だ!」

「タキ~、ちょっと休憩しようよ~」

タキ「だめだよ。ジャギ様が戻ってきたら怒られるよ」

「ねー、おかあさん。あたし疲れたよ」

トヨ「そうさねぇ……」


ブロロロ…


トヨ「……ん?」


ブロロロロロロロロロロ

ブルンブルンッッ

ブロロロロウンッ

バウンッバウンッバウンッ

ブロンッブロンッ


「お、おかあさん!」

「あ、悪党だ!」

トヨ「みんな! 隠れるんだよ!」

タキ「お、おかあさん……」

トヨ「大丈夫。おかあさんがこのライフルで悪党を追い払ってやるからね」




トヨ「!? た、弾が無い!」

トヨ「そ、そんな!? まさか……ジャギが」


「よう、バアさん。みんなでかくれんぼかい?」

トヨ「あ、あぁ……」

ジャッカル「フフフ……」ニヤ

ジャッカル「おおっと、随分物騒なモン持ってるじゃねぇか」ザッザッ

トヨ「く、来るんじゃないよ!」ブンッ

バシッ

ジャッカル「もっとも、弾がなけりゃあ意味ねぇがな」グイッ

トヨ「ああっ!?」バッ

ジャッカル「フフ……いい村じゃねぇか。最近水が湧いたそうだし、ありゃあ畑でも作ってんのか? ご苦労なこった」

トヨ「あ、あんた達の狙いは……水かい!?」

ジャッカル「ああ、そうとも! 俺はそこいらのモヒカンと違って殺しを楽しむ趣味はねぇ。もっとも、ライフルぶっ放してくるような相手なら別だけどな」

ジャッカル「俺の狙いは水源の確保。それさえ達成できれば、バアさん達がいくら土いじりしていようが構わねえ」



「ほう? そりゃ本当だろうな」



ジャッカル「!? 誰だ!」

ジャギ「おまえら、今帰ったぞ」

タキ「! ジャギ様!」

ジャッカル「て、てめぇ、何故ここに……!?」

ジャギ「途中で親切なハゲ野郎がバイクを貸してくれてな。思ったより早く帰ってこれたぜ」

ジャッカル「フォックスの野郎、しくじったな!? 野郎共! 早くこいつを始末しろ!」

「ジャッカル! それが……」

「身体が……動かねえんだ!」

ジャッカル「なに!?」

ジャギ「そう焦るな。ゆっくり話し合おうぜ」

ジャッカル「……ッ」

ジャギ「そう怖い顔をするな。俺はなにもてめぇらを脅そうなんざ思ってない」

ジャッカル「なに……?」

ジャギ「取引だ。俺はお前らに水を提供する。お前らは労働力を提供する。どうだ?」

ジャッカル「……俺達に土いじりをしろと?」

ジャギ「嫌ならどこへなり行くがいい。だが知っての通り、この時代にも様々な勢力が生まれつつある」

ジャギ「お前らがうまいこと立ち回って村をひとつふたつ占拠したとて、いずれ拳王軍のような大規模勢力の手が迫ってくるだろう」

ジャギ「そうしたらどうだ、また根無し草だ。お前らはその時が来てからまた居場所を探すのか? その時は今よりずっと空いてる水場なんか少なくなってるだろうな」

ジャッカル「……ぐ」

果たしてジャギ様はジャッカルを引き込めるのか
次回も引き続きジャッカルとの交渉をお届けします

間があいてすみませんでした

ジャギ「なあ、そんな堅く考えるな。お互い悪党だ。俺はお前らを利用し、お前らは俺を利用する。それでお互い幸せじゃねぇか。なあ?」

ジャッカル「…………」


ジャッカル(……確かに、こいつの言う事も一理ある)

ジャッカル(だが、この男、信用できるのか……?)

ジャッカル(何を仕掛けたかわからねぇが、駒共は全員身動きを封じられている。その気になれば、すぐにでも皆殺しにできるよう手を打ってるに違いねぇ……)

ジャッカル(……だが、俺を力でねじ伏せる素振りは今のところ見せていない)


ジャッカル(……本気で選ばせるつもりか?)

ジャッカル「…………」

ジャッカル(わからねぇ……仮面で顔を隠している所為か、奴が何を考えているのか……)

ジャッカル「…………ッ!?」ビクッ



――――ギラッ――――



ジャッカル(う……っ!?)


ジャッカル(違う……! 奴は……選択肢なんか最初から用意していねぇ!)

ジャギ「ようやく気付いたか」ニッ

ジャッカル「屈しろというのか!! このジャッカルに!!」ギリッ

ジャッカル「わかったかだと……!? ふざけやがって!」

ジャギ「ふざけてなんかいねぇよ。これでノコノコ交渉に出ようとするマヌケだったらその場でテメェを殺し、モヒカンだけ使うつもりだった」

ジャッカル「……クソがッ!」ドゴッ

「ど、どうしたんだお頭……」

ジャッカル「俺達ぁはハメられたんだよ! 奴はとっくに俺達がここを狙っている事に気付いていた! 泳がされていたんだ!」

ジャッカル「あたかも気付いていないかのように、だがどこか違和感のある振る舞いで、俺達がいつハメられた事に気付くか試していたんだ……」

ジャッカル「そうして俺達はノコノコやってきた……こいつの術中にはまってな……ッ!」

ジャギ「ジャッカル、だったか。お前は実に『使えそう』だ。慎重すぎず、大胆すぎず、賢すぎず、間抜けすぎず、思い通りに動かせそうだ」

ジャッカル「悪党が……ッ!」

ジャギ「悪党同士の間に打算以外はいらねえ筈だ」

ジャッカル「…………」

ジャギ「ジャッカル、跪け」



ジャッカル「それしか、てめぇは選択肢を用意してねぇんだな?」




ジャッカル「だがな! 俺ぁてめぇの下につく気なんかこれっぽっちもねぇよ!!」グアッ

ジャッカル「これがなんだか分かるか!? ダイナマイトだ!! こいつが爆発すりゃこんな建物軽く吹き飛ばせるんだぞ!」

タキ「ダイナマイト!?」

トヨ「馬鹿な真似はよしな! そ、そんな事したらアンタも粉微塵だよ!」

ジャッカル「黙ってろババア! いいか!? 俺がここを出るまで動くんじゃねぇぞ!」

ジャッカル「てめぇもだ! わかったな仮面野郎!」

ジャギ「……」


ツカ、ツカ、ツカ


トヨ「ジャギ!?」

ジャッカル「なっ!? てめぇ! とまらねぇか!」

ジャッカル「わかってんのかてめぇ! 死にたくなかったら」


――――ピキーンッ――――


ジャッカル「はへっ!?」ビクッ

ジャギ「ん? どうした。出て行くんじゃねえのか」

ジャッカル「か、身体が!? ま、まさかお前、北斗……」ググ…

ジャギ「そうとも。俺は北斗神拳伝承者、ジャギ様だ!」

ジャッカル「!? ま、待て、悪かった。俺の負けだ。い、命だけは……」

ジャギ「おいおい、顔色が悪いぜ」グイッ

ジャッカル「ムガッ」



ジャギ「煙草でもふかして落ち着けよ」シュボッ



ジャッカル「~~~~!!!!」

ジャギ「安心しろ、冗談だ」パチンッ

ジャッカル「」ドタッ

ジャギ「気絶しやがった。肝の小せぇ野郎だ」グリッ


ジャギ「おいババア!」ブンッ

ドサッ

トヨ「なんだいこれは…………食糧じゃないか!」

「ほしにくだ!」

「いっぱいある!」

ジャギ「それでたんまり料理を作れ。新しい戦力を歓迎するんだ」

四日目にしてジャッカル一味を吸収したジャギ様

果たして明日は何が起こるのか

次回、五日目。ご期待下さい

アミバ(後ろ向きに歩くのを止めれたァワバ!)
ファルコ(致死の秘孔を滅殺して回避)
ラオウ(突きが浅くて回避)

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