P・黒井「デュエル!!」 (122)

黒井「ええい!この仕事は我が961プロのものだと言っておるだろうが!」

P「何言ってるんですか!こっちだって長らくアプローチを掛けてきた仕事なんだ!テレビ出演がかかってるんだ!」

律子「そうですよ!負けないでください、プロデューサー!」

テレビ局「すみません……こちらの不手際で、こんなことになってしまって……」

テレビ局「でも、765や961だなんて、紛らわしく事務所名に数字を入れたりするのも悪いですよ。だからこんな間違いだって……」

P・黒井「なんだって!!?」

テレビ局「ひい!」

高木「待ちたまえ。話は聞かせてもらったよ」


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P・律子「社長!」

黒井「高木……!」

高木「こういうときは、公正を期し、後腐れのないよう、勝負をして決着をつけようではないか」

黒井「勝負だと……?」

律子「いったい、どんな勝負で決着をつけるんです、社長?」


高木「それはもちろん……」



高木「カードバトルで決着をつけようではないか!」

律子「ええ!?なんで!?」

高木「もしこちらが負ければ、潔くこの件から身を引こう。プロデューサーくん、頼めるかね?」

P「わかりました!」

律子「ええ!?」

黒井「クク、望むところだ」

律子「望むところなの!?」

P「事務所で待ってるアイドルたちのためにも、社長の期待に応えるためにも、全力で臨みます!!」

黒井「ふん!おもしろい!!ほえ面をかかせてやる!!」

律子「え?え?話についていけてないの私だけ?」

高木「もちろん、使用するカードは『アイマスカードバトル』だ」

律子「もちろんってなんですか!?そんなカードゲーム、聞いたこと……!」

P「オレはもちろん、『765デッキ』で行きます!」

律子「ええ!?」

黒井「くくく、まさかよりにもよって『アイマス』を選ぶとはな!わが『961デッキ』できさまたちを粉々に打ち砕いてくれるわ!!」

P「みんな、オレに力を貸してくれ!!」

律子(ええ――――……)

高木「よし、両者、位置についたな。ジャッジは私が勤める」

律子「ジャッジってなんです!?」

P「いつ始めてもいいですよ、社長」

黒井「フン、早く始めろ」

律子「始まっちゃった……」

一般人A「おい!みろ!アイマスカードバトルやってるぜ!」

一般人B「マジかよ!こりゃ見逃せないな!」

一般人C「ああ、オレだ。今、アイマスカードバトルをやり始めてるヤツらが……」

律子「か、観客が集まってきてる……!?」


高木「フフ、そうか、律子くんは『アイマスカードバトル』は初めてだったか。
   キミのことだから、とっくに知っているものだとばかり思っていたよ」

律子「す、すみません、まさかそんなに有名なものだったとは、私としたことが、不覚でした
……というか、この超展開にもついていけてないんですけど」

高木「ならば、キミも知っておくといい。この先のアイドル業界を生き残るためには、
『アイマスカードバトル』は必須となるだろうからね」

律子「そこまで!?」


黒井「いつまで話をしている!さっさとはじめろ!!」

高木「では……開始!!」

P・黒井「デュエル!!」

律子(始まった……)

P「オレの先行!!ドロー!!」

P(よし、出だしの手札の構成は悪くない!!まずは!)


P「オレは手札から『天海春香』をデビュー!!」


\ブーン/\バシュウ!/

春香「うー、わっほい!」
『天海春香』

\トゥイーウン!/
能力 1500


律子「は、春香がカードになってる……」

律子「ていうか、その腕につけてる機械は何ですか!?プロデューサー!?」

P「そしてさらに、オレは衣装カード『バイタルサンフラワー』を『天海春香』に装備!!」

律子(む、無視された……)

P「これにより、『春香』の能力は500アップし……」

P「さらに『春香』個人の能力が発動!!春香はアイドル衣装を身に着けることで、さらに能力を500アップさせることができる!!」


『バイタルサンフラワー』
衣装カード
アイドルカードに装備させることで、能力を発動する
装備したアイドルの能力を500ポイントアップする


『天海春香・バイタルサンフラワー装備』


\ティロリロリロリロ……ティテン!/
能力 2500

高木「ほう!1ターン目からいきなり能力2500のアイドルをデビューさせるとは!さすがプロデューサーくんだ!!」

P「お褒めの言葉、ありがとうございます!」

律子「初めて見るから、2500が高い数値なのかわからないけど、社長の言葉から察するに、強いみたいね」

P「そして、楽屋にカードを一枚ふせます!」

P「先行側は、一ターン目はLIVEを開催することができない!」

P「ターン・エンドです!!」

黒井「くくく……!」

P「!?」

律子「笑ってる……?」

黒井「まさか、まさか……!この程度で褒め言葉だと……?この程度で、一ターン目を終了するだと……?この程度で……」



黒井「私に勝負を 仕 掛 け て く る だ と !!?」



黒井「これが……笑わずにはおれようかァ!!」

P「なんだと!?」

黒井「『アイマス』だけに限らず、カードバトルにおいて……1ターンにどれだけのことができるのか?」

黒井「それによって、そいつの実力は知れるというもの!!」

黒井「たった一人のアイドルをデビューさせたくらいで得意顔とはっ!どうやらこの勝負、私が勝つことはもはや決定事項のようだ!!」

P「く……!そこまで言うならっ! みせていただきましょうか!あなたの力!」

黒井「言われずとも! エンド宣言をしたことを、存分に後悔させてやる!!」

黒井「くく、運も、私に味方をしてくれているらしい!!」ニヤリ!

P「なに!?」

黒井「私は手札から『【漆黒のアイドル】星井美希』をデビュー!!」



美希「なのー!」

『【漆黒のアイドル】星井美希』

能力 1800


P「美希……!!」

律子「な、何で美希のカードが961プロ側に!?」

黒井「クク、星井美希は765プロだけの専売特許ではないのさ!
  765プロなどという弱小事務所より、彼女を輝かせられることを証明してやろう!!」

黒井「私は、衣装カード『ビヨンド・ザ・スターズ』を『美希ちゃん』に装備!!」

黒井「この瞬間、『美希ちゃん』の特殊能力が発動!!」

黒井「『【漆黒のアイドル】星井美希』は、『ビヨンド・ザ・スターズ』を装備された場合……!」

黒井「山札から『我那覇響』、『四条貴音』の名を持つカードを、ステージに一枚ずつ特殊デビューさせることができる!!」

P「なんだって!!?」

黒井「出てきなさい!我が妖精たちよ!!」


響「だぞー!」

『【漆黒のアイドル】我那覇響』

能力 1700


貴音「しじょ……」

『【漆黒のアイドル】四条貴音』

能力1900


P「響……! 貴音……!」

P「そして美希……! この三人、まさか!!?」

黒井「くく、無能で愚鈍なきさまにもわかったようだな、彼女たち3人が揃うことが、何を意味するのかを!!」

黒井「期待に応えてやろう!そのまさかだ!『【漆黒のアイドル】シリーズ』の3人が揃ったとき……発動する特殊能力!」

黒井「この三人でユニットを組むことで……!」

黒井「山札からアイドルユニット『プロジェクト・フェアリー』を特殊デビュー!!」


ユニット『プロジェクト・フェアリー』


能力 7500

ドン☆

高木「な!?」

P「もうユニットを組むとは……!」

律子「能力7500!?春香より圧倒的に高い!!」

黒井「くくく……わははは!!これが、戦術というものだ!!」

高木「黒井……!さすがだと言っておこうか……!」

黒井「さあ、我が妖精『フェアリー』よ!そこの雑魚アイドルに格の違いを思い知らせてやれ!!」




LIVEバトル!!


『プロジェクト・フェアリー』

能力 7500

VS

『天海春香・バイタルサンフラワー装備』

能力 2500





黒井「くらえ!!『プロジェクト・フェアリー』のアピール!!」



黒井「『オーバーマスター』!!!」



高木「まずい!!能力2500の『春香くん』では、攻撃力7500の『フェアリー』に太刀打ちできず、黒井に5000ポイント与えてしまう!!」

律子「な、なんです!?」

高木「このカードゲームは、互いに1万ポイント稼ぐことで勝利となる……!
ポイントを稼ぐためには、ライブを開催して相手の能力値を上回らなければならない!
つまりはこのままではマズイということだ!!」

律子「そんな!何とかしてください!プロデューサー!!」

P「もちろんだ、律子!伏せカード、オープン!!」

P「コミュカード『転倒』!!」


『転倒』

相手がアピール宣言をしたときに発動!アピールした相手アイドルを転倒させ、アピールを一度だけ無効にできる!
余談だが、このカードの絵は天海春香が転倒する瞬間を描いている!!


黒井「ちっ!伏せカードは『転倒』か!」

黒井「相手のアピールを一度だけ無効にすることのできるカード……こざかしい!!」

P「そのとおり。説明ありがとうございます」

高木「ふう、なんとか危機は脱したか……」

黒井「くくく……何を安心した顔をしているのだ?」

黒井「私のターンは終わっていない……そして、『プロジェクト・フェアリー』の行動も!」

P「なに!?『フェアリー』はこのターン、もう攻撃できないはずだ!」

高木「特殊能力か!」

黒井「そのとおり……『フェアリー』の特殊能力……それはっ!」

黒井「『フェアリー』でアピール宣言をした場合……アピールの成功、失敗に関わらず、相手は山札の一番上からカードを一枚、引退させなくてはならない!」

黒井「さあ、カードを一枚捨てろッ!!」

P「くっ!なんて抜け目のない攻撃なんだ……!」

P「こ、これは……!(『千早』のカード……!)」

黒井「わははははは!!どうやら、良いカードを捨てなくてはならないようだな!?お前の苦々しそうな顔、実に愉快だ!!」

P「くっ!」

黒井「ふん、だが、『天海春香』を葬ることができなかったのは実に残念だ
しかし、一瞬だけ寿命が延びただけのこと……次のターンに確実に葬ってくれる」

黒井「さて、私は楽屋にカードを一枚ふせ……」

黒井「そして、ターンエンドだ」

P「オレのターン!ドロー!」

P「オレは手札から、『双海亜美』をデビュー!!」


亜美「とかー!」

『双海亜美』

能力 1300

P「そして、『亜美』の特殊能力を発動!」

P「『双海亜美』のデビューに成功した場合、プロデューサーの任意で、手札、デッキ、引退場のいずれかから、
『双海真美』の名を持つカードを一枚特殊デビューさせることができる!!」




真美「ちー!」

『双海真美』

能力 1300




黒井「ふん、雑魚アイドルを増やしたところで……!」

P(もし、さっきの千早がいれば……)

P(『春香』、『千早』、『亜美』、『真美』によるカルテットユニット、『カラフルデイズ』をデビューさせることができ……)

P(『カラフルデイズ』の能力は8700……『フェアリー』を十分倒すことが可能だった!!)

P(今更言っても仕方がないが……!)

P(だが、春香と亜美と真美がいればトリオユニット、『亜真美春香』を組むこともできる……)

P(しかし、能力は6700……フェアリーには太刀打ちできない……)

P(この後の衣装カードやコミュ・イベントカードを待つか、それとも……)

P(……く、今はまだフェアリーに対抗できるカードはない……ん?)

P(……いや、まてよ……このカードは……!よしっ!)

P「オレは手札から『秋月律子』をデビューさせる!」

律子「ちょっとぉ!?私のカードまであるんですかぁ!?」

高木「もちろんだ!」

律子「もちろんじゃありませんよ!なに勝手に作ってるんですかぁ!!」

P「何言ってるんだ!律子だって765プロの仲間じゃないか!」

律子「そういう事言ってるんじゃありませんよぉ!!」




律子「めっ!」

『秋月律子』

能力 1850





律子「は、恥ずかしい……」

P「そして、『天海春香』『双海亜美』『双海真美』の三人でトリオユニットを組みます!」

P「行ってこい!トリオユニット『亜真美春香』!!」


『亜真美春香』

能力 6700


P「そして、手札からカードを一枚楽屋にセットして……ターンエンドです!!」

黒井「く、ククク……ふははは!!!」

P「む」

高木「今度は何を笑っておるのだ?黒井よ」

黒井「ククク……それはもちろん……高木、貴様の人を見る目のなさをよなァ……」

高木「何ぃ……?」

黒井「こんなザコプロデューサーしか雇うことしかできない765プロという愚かさよ」

律子「な、何がおかしいって言うんです!?」

黒井「おかしい?おかしいさ。このプロデューサーは駆け引きというものがまるでわかっておらぬのだからなぁ……」

黒井「そんな伏せカードを一枚置いたからと言って、駆け引きにつながると思っている、計略の浅ましさよ」

黒井「あからさまな伏せカードに、太刀打ちのできない雑魚カードを出すなどと……!」

黒井「罠を張ってますと言っているのと同じだろうが!!」

黒井「だが、それはおそらく攻撃に反応して発動する罠カードではないと推察する」

黒井「なぜならもし罠カードだった場合、私の伏せカードが罠カードを破壊するイベントカードだった場合、
罠カードは無効化されると同時にそこのユニットを組んでいないアイドルカードは無防備となり、
反撃を食らって大ダメージを受けることになるからな!」

黒井「であるならば、アイドルカードを一体だすというリスクを冒した理由は、
どちらかが能力を底上げして『フェアリー』の能力を上回ることができるカードがあるからだろう!」

黒井「あてが外れたな、クズが!その程度で私が攻撃の手を緩めると思ったか!!」

黒井「伏せカードオープン!」

黒井「『解散宣言』!!」


『解散宣言』
相手ユニットカードを解散させることができる
余談だが、このカードには春香と伊織の言い争いを雪歩が止めようとしている様が描かれている

黒井「ふはははは!!どうだ!?ユニットを解散させられたら、残るはザコのみ!能力をあげてもフェアリーに勝る術はあるまい!!」

P「……!」

『天海春香』
能力1500

『双海亜美』
能力1300

『双海真美』
能力1300

『秋月律子』
能力1850

黒井「そして『フェアリー』の攻撃対象は『双海真美』!貴様だ!!」

黒井「知っているぞ!『天海春香』、『双海亜美』、『秋月律子』で組めるユニットはあるまい!」

黒井「次のターンになってもユニットは組めず、『フェアリー』に対抗する術はない!」

黒井「ふはははははは!!どうだ!これが戦術というものだ!!」

P「……」

LIVEバトル!!

『プロジェクト・フェアリー』
能力7500


VS


『双海真美』
能力1300


黒井「くたばれ!雑魚事務所にふさわしい雑魚アイドルがぁ!」

黒井「『フェアリー』のアピール!!」



黒井「『オーバーマスター』!!」




『双海真美』「うわあああああああああああああ!!」


『双海真美』、引退!!


黒井「ふ、無能な自分のプロデューサーを恨むがいい……ターンエンド……」

P「……黒井社長、見事だといっておきましょうか」

黒井「ふん、貴様に褒められても……」

P「あなたの言うとおり、この伏せカードはユニットの能力を底上げするカードです」

黒井「ふはは!認めたか!」

P「だが……」

P「オレも、あなたの伏せカードが『解散宣言』だと見抜いていた!!」

黒井「なに!?」

P「そして!だからこそオレは何もしなかった!!」

律子「え!?なぜ!?」

高木「プロデューサーくん……!」

P「その答えを今!お教えしましょう!」

P「黒井社長、あなたがターンエンド宣言をしたこの瞬間、『亜美』の特殊能力が発動する!」

黒井「なに!?」

P「ステージ上に存在した『双海真美』が引退した場合……」

P「そのターンの終了時に、引退した『双海真美』をステージ上に特殊デビューさせることができる!」




『双海真美』「ふう」 
能力1300



『亜美』「『真美』、おっかえりーん!」

『真美』「ただいまー!」

黒井「なんだと!?」

P「ふふ、どうです?黒井社長。二人の絆を!ちなみにこの能力は、『真美』にも備わっています」

P「彼女たちは1ターンに二人同時に引退させなくては、永遠にステージ上に存在し続けることができるんだ!」

黒井「ググ……こざかしい!」

P「そして……黒井社長、ここはあなたの戦術眼を、見事だと褒めておきましょう……しかし!」

P「亜美と真美の絆の力を計算に入れていなかった事が敗因だということを、思い知らせてあげます!!」

P「オレのターン、再びユニット『亜真美春香』を組み……!」

P「そして、伏せカードオープン!!」

P「コミュカード、『ハイタッチ』!!」


『ハイタッチ』

場に出ているアイドルカードを選び、その能力数値分を任意のアイドル及びユニットカードの能力数値に上乗せできる
なお、このカードには一人称視点でやよいとハイタッチしている姿が描かれている!!

P「『ハイタッチ』の効果で、『秋月律子』の能力数値分、ユニット『亜真美春香』の能力をアップする!!」

黒井「ぐ……」

高木「おお……!黒井は確かにプロデューサーくんの戦略を見抜いていたが……!」
亜美くんと真美くんの二人の絆が、黒井の目論みを上回ったのか!すばらしい!!」

P「その通りです!」

律子(ただのカードの効果でしょうに……)

LIVEバトル!!

『亜真美春香』
能力6700+1850(『ハイタッチ』による『秋月律子』の能力譲渡効果)=8550


VS


『プロジェクト・フェアリー』
能力7500


P「『亜真美春香』のアピール!!」

「『GO MY WAY!!』」


『プロジェクト・フェアリー』、引退!!


高木「おお!」グッ!

律子「や、やった!!」

高木「ユニットカードを引退に追い込み、形成は逆転だ!」

黒井「ちいいいいいいい!!」

とりあえず今日はここまで

プロデューサーの2ターン目に亜美と律子をデビューさせてるけど
1ターンに1人とかっていう制限はないのかな?

律子「すみません、社長、とっても良いところなのに申し訳ありませんが、ちょっとよろしいですか?」

高木「なんだね?」

律子「あそこでデュエルを観戦している人が>>40って言ってるんですが、どうなんでしょうか?」

高木「ははあ、なるほど、そういうことか。よし、疑問にお答えしよう」

高木「それはだね、律子くん、キミのカードの特殊能力によるものだよ!」

律子「え、私の?」

高木「うむ、『アイマスカードバトル』は、
特殊デビュー以外では1ターンに1人しかアイドルをデビューさせることはできないというルールだ」

高木「だが『律子くん』のカードの固有の特殊能力で、その例から漏れることができるのだ」

高木「つまり、『律子くん』以外のアイドルをすでにデビューさせていても、
『律子くん』をデビューさせることができる能力なのだ」

律子「なるほど」

高木「見ての通り、1ターンに二人一気に出せれば、単純に戦力を増やすことができるし、
  『アイマスカードバトル』においてはユニットを組むのは重要なため、その時間が短縮されれば、
戦略の幅が広がるので、キミのカード能力は、大変便利な能力と言えるだろう」

律子「あ、ありがとうございます……なんだか、ちょっと照れますね」

高木「けっして!プロデューサーくんが将棋で2歩を指すような、
ゲームルールの常識を忘れてゲームを進行したとか、
指摘されてから間違いに気づき、間違いを正すためにキミの能力を今考えたとか、
そんなアホみたいな事というわけではないのだよ!ワ―ハッハッハッハッハ!!」

律子「は、はあ……(今、そんなに笑う必要あるのかな……)」

P(ちなみに1ターンにデビューできるアイドルが一人って制限があるなら、
>>25の千早がいれば2ターン目に『カラフルデイズ』をデビューできるってオレの思考はおかしくねえ?って話だが、
それはもちろん、手札に千早を特殊デビューできるイベントカードがあったからなんだぜ!)

律子(プ、プロデューサー、この人、直接脳内に……)

黒井「ふん、話は終わったか!?」

高木「ああ、大丈夫だ。続けてくれたまえ」

黒井「きさまに言われるまでもない!」

黒井(ふん、765プロが優勢だと?バカめ!きさまらはすでに術中にはまっているとも知らずに……
すぐに思い知らせてくれる!!)

黒井「その証拠がこれだ!!」

P「なに!?」

黒井「『フェアリー』を引退させられたこの瞬間、このカードを手札から発動させてもらう!!」

黒井「『スキャンダル』!!」


『スキャンダル』

アイドルカード、もしくはユニットカードが引退させられた場合に発動できる
それらにまつわるアイドルカードを敵味方関係なくデッキ、手札から引退させる
ちなみにこのカードには、目から光が消えている尾崎玲子が暗い部屋の奥で力なく座りこんで沈んでいる様が描かれている


黒井「くくく、今貴様は『フェアリー』を引退させた!つまりこのカードの効果により、貴様も!
デッキ、もしくは手札から『フェアリー』に関わる『我那覇響』『四条貴音』『星井美希』を引退させなければならない!」

P「なんだと!?」

高木「黒井め、な、なんという凶悪なカードを……!」

P「くそぉ、961プロの『フェアリー』を退けたのはいいが、うちのアイドルたちまで引退するハメになるとは……」

黒井(まだまだあ……きさまのデッキを破壊しつくしてやるぞ……!)

黒井(我が『961デッキ』の恐ろしさはこれからだ!)

P「くそぉ!大切な仲間である『響』を!『貴音』を!『美希』を!良いように利用するなんて!!」

P「『律子』!仇をとるぞ!」

律子「ええ!?は、はい」

P「よし!今、黒井社長の場にカードは一枚もない!!」

黒井「ちッ!」

LIVEバトル!!


『秋月律子』
能力1850


VS


黒井社長
プレイヤー(プロデューサー)のため、能力なし


P「『律子』!ダイレクトアピールだ!!」


P「『いっぱいいっぱい』!!」


黒井「ぐおお!!」

律子「ダイレクトアピール?」

高木「うむ、他で言うダイレクトアタックのことだよ」

高木「よし、律子くんの能力分そのまま、アピールポイントを溜めることができたぞ!」

黒井「ぬぐぐ……おのれ!」

P「オレはカードを一枚ふせて……ターン・エンドです!」

高木「さて、ではちょうどいいからここで一度ジャッジらしく二人の状況をまとめてみよう」



高木「今現在、プロデューサーくんの場には

・ステージ上

ユニットカード『亜真美春香』能力6700

アイドルカード『秋月律子』能力1850

・楽屋

伏せカード1枚


アピールポイント2900

となっている」

高木「続いて、黒井の場には

・ステージ上

なし

・楽屋

なし

アピールポイント6200

となっている」

律子「このアピールポイントっていうのを、先に1万ポイント溜められれば勝ちなんですよね?」

高木「うむ、その通りだ」

高木「ポイントだけを見れば、今は圧倒的に黒井優勢だが……」

律子「プロデューサーの場には1ユニット、そしてアイドルが一人いる。
   けれど黒井社長側にはカードはすべて0。
   戦力的にはプロデューサーが優勢ってことですね!」

高木「うむ!さすが律子くんだ。理解が早くて助かるよ!」

律子「ありがとうございます」

高木「さて、では続きだ。黒井のターンだ」

黒井「私のターン!ドロー!!」

黒井(調子に乗っていられるのも今の内だ……すぐに絶望に突き落としてくれる!!)

黒井「私はアイドルカード、『御手洗翔太』をデビュー!!」


『翔太』「ふふ……」

『御手洗翔太』
能力1400

黒井「『御手洗翔太』のデビューに成功したこの瞬間、特殊能力発動!」

黒井「デッキから一枚イベントカードを選び、手札に加えることができる」

P(イベントカードサーチ能力か!厄介な……)

黒井「そして……ククク、サーチしたこのカードをすぐ使う!!」

黒井「きさまの言う絆というものが、いかに無意味なものかを証明してやる!!

黒井「『仲間割れ』!!」


『仲間割れ』

相手ユニットカードがステージにあるとき、ユニットを解散させ、さらにそのユニットから1人アイドルを引退させる
ちなみにこのカードの絵にはフェアリーの三人が沈んだ表情で楽屋にいる様子が描かれている
響はドアから外に出ようとし、貴音は窓から空を見上げ、美希は鏡を見つめている

黒井「対象ユニットは『亜真美春香』、そして引退させるのは『天海春香』!!貴様だ!!」


『天海春香』、引退!!


P「そ、そんな!『春香』!!」

高木「しかもユニットを解散させられてしまったか……!
   まだ3対1、こちらの方が有利だが……」

律子「あの社長のことですもの、油断はできません……」

黒井「さて、このままアピールしてもいいが……」

黒井(『秋月律子』には能力数値の都合上返り討ちに合う……)

黒井(となれば『双海姉妹』のどちらかだが、能力数値はたったの100有利なだけ……)

黒井(さらにヤツには伏せカードもある……)

黒井(……ここでリスクをおかし、最悪、戦力を減らすのはおもしろくない……それに……)

黒井(……ついに来た、このカードもあるしな)

黒井「私はカードを2枚楽屋にふせ、ターンエンドだ!!」

高木「今回はなにもしてこなかったか……」

律子「私……紛らわしいな、『秋月律子』は『御手洗翔太』では倒せないし、
   『亜美』も『真美』も倒したところで、二人の能力ですぐに戻ってきてしまうのがオチ……」

律子「プロデューサーの場には伏せカードもありますし、リスクをおかさない方が得策でしょうね」

黒井「!(忌々しい、今の考えを765プロごときに見透かされるとは……)」

黒井(だが……クク、このカードは見通せるかな……?クク……)

P(さて……カードもたくさん使ってしまったし、そろそろ手札不足に陥ってしまうな、このままだと……)

P(なにか手札が少なくとも有用なカードか、オレも手札補充カードが引ければいいんだが……)

P「オレのターン!ドロー!」


P「!」

P(……へへ、さすがだな、来てほしいと思った矢先のこのタイミングでよく来てくれた)

P(当然よ!って言うかもな、おまえなら!)

P「オレは、手札から『水瀬伊織』をデビュー!」


『伊織』「きっ!」

能力1800


P「『伊織』のデビューに成功した場合、特殊能力が発動する!
デッキからカードを2枚引くことができる!!」

黒井「ち、カードドロー効果か……!」

律子「カード引いただけで不機嫌になってますね?」

高木「うむ、カードゲームにおいて、カードドロー効果はとても優秀な能力だからね。
   それは『アイマスカードバトル』においても例外ではない」

P「よし!!いいカードが引けたぞ!」

P「そしてオレはさらに手札からイベントカード、『3千円の思い出』を発動!!」


『3千円の思い出』

カードを3枚ドローし、それがアイドルカードなら山札に戻してシャッフルし、それ以外なら手札に加える。

ちなみにこのカードの絵には、
かつて初めてもらったギャラが3000円だった事に怒り心頭だった伊織が、その悔しさをバネに努力し、
高ランクアイドルになり、使わずに飾っておいた3000円を感慨深げに見ている様が描かれている。

余談だが、伊織ファンの必需品として名高いカードの一つ
伊織ファンでなくともカード性能が高いため手に入れたがる人間は多く、デッキに入れる人間が多いが、
その過程でこのカードは絵のクオリティが非常に高く、
それによって伊織に興味を持ち、そのままファンになる人間が後を絶たないらしい
カード性能・絵のクオリティどちらも兼ね備えている上、
初期に生産されたカードパック以外には封入されておらず、
入手レア度が大高騰したため、カードショップやオークションで高値で取引されている

P(3枚引いて……よし、2枚はイベントカード!もう1枚は……『雪歩』か!)

P(残念ながらアイドルカードは手札に加えることはできない……山札にシャッフルして戻す。
  ごめんよ、『雪歩』。出番がくるまで待っててくれ)

P(『伊織』の特殊能力で、2枚ドローした時……引けたカードの一枚は『3千円の思い出』!)

P(そしてもう一枚は衣装カード『パレス・オブ・ドラゴン』!!)


『パレス・オブ・ドラゴン』
衣装カード
『水瀬伊織』、『三浦あずさ』、『双海亜美』のうちどれか一人に装備させたとき、
『竜宮小町』を組むための残りのアイドルを特殊デビューできる


P(やったぞ……!『竜宮小町』をデビューさせれば……形勢はさらに有利になる!!)


黒井「……」

P「オレは手札から、衣装カード『パレス・オブ・ドラゴン』を『水瀬伊織』に装備!!」

P「この瞬間、特殊能力が発動し……」

P「『三浦あずさ』さんをデッキから特殊デビュー!!」


『あずさ』「あらー」

『三浦あずさ』
能力1650

P「そして!!」

P「『水瀬伊織』、『三浦あずさ』、『双海亜美』の3人がステージにそろったため、
  アイドルユニット!『竜宮小町』を特殊デビュー!!」


『竜宮小町』
能力 7500

黒井「でたな、『竜宮小町』め……!」


P「このユニットはオレのデッキの、切り札の一つだ!!」

P「さらに!」

P「『竜宮小町』の特殊能力を発動!」

P「『竜宮小町』は1ターンに1度、カードをドローできる!!」

P(お、『真』のカード!)

黒井「ふん!好き勝手にさせるか!!」

黒井「伏せカードオープン!『裏取引』!!」


『裏取引』
相手がユニットカードをデビューさせたとき、自ステージにアイドルカードがある場合に発動できる。
自ステージにいるアイドルカードに関係するアイドルをユニットカードと共に手札、デッキから手に入れそのまま特殊デビューできる。
ちなみにこのカードの絵には黒い影二つが山吹色のお菓子を手に持ちながら何かの商談をしている様が描かれている


P「『裏取引』か……!」

黒井「ふははは!喜ぶがいい、貴様の趣向に乗っ取ってやる!
切り札勝負といこうではないか!私が呼び出す『翔太』のユニットはもちろん!」

黒井「いでよ、『Jupiter』!!」


『Jupiter』
能力6500

P「く、ユニット対決に持ち込むとは!」

高木「やるな、黒井!ユニット同士、それもトリオユニット同士なら、形勢は五部と五部になったも同然!!
  何が起こるかわからんぞ!!」

黒井「『Jupiter』がデビューしたこの瞬間、特殊能力が発動する!」

黒井「相手の手札を一枚選び、引退させる能力だ……」

P「くっ!」

黒井「きさまの一番右のカードを捨てろ!」

P「なに!?(一番右は『真』のカードじゃないか……!)」

黒井「ふはははは、きさま、顔に出やすいタイプだな、また有用なカードだったかい?」

P「……!(くそっ!)」

黒井(ククク……だから貴様は無能なんだよ、765プロのプロデューサー)

黒井(ずっと見ていたが、コイツは次に出すカードをあらかじめ右に寄せる癖がある……)

黒井(逆に、出さないカードは左の方へ……)

黒井(あの手の動きを見るに、今捨てたカードは狙い通り、アイドルカードだろう)

黒井(今捨てたカードを、引いた瞬間に初めは右の方へコイツは寄せていた……
   そして、次に引いたカードを右に寄せてそのカードはすぐに場にだし、使用した……)

黒井(イベントカードであればすぐに使用はできなくとも、伏せればよいのだから、手札においておく必要はない)

黒井(ここから導き出される結論は、すぐにでも出したいカードだが、
    伏せることができないカードであり、かつ、出すために何か理由があるカード……つまり……)

黒井(このターンですでにアイドルカードを出しているため、出すことのできないアイドルカード、というわけだ。ククク……)

P(黒井社長の伏せカード……なんなのか気になるな……)

P(今までのを鑑みるに、厄介なカードには違いなさそうだが、罠か、それとも……)

黒井(……ふ、ククク…)

黒井「……765プロのプロデューサーよ」

P「!……なんです?」

黒井「今現在、『Jupiter』は『竜宮小町』に能力数値で負けている……
   当然、このままアピールをされれば『Jupiter』の敗北は必至、そこで……」

P「!(仕掛けてくるか?)」

黒井「『Jupiter』第2の能力を発動させてもらう」

P(『Jupiter』第2の能力!?)

黒井「それは……プロデューサーの任意で、手札からカードを1枚引退させることで、
   LIVEバトル時、能力数値を2000ポイントアップする!!」

P「なに!!」

高木「と言うことは、『Jupiter』の能力数値は……!8500!!」

律子「そんな!『竜宮小町』が負けてしまっているじゃないですか!!」

黒井「ククク……!どうだ!」

P「ククク……」

律子「ええ!?プロデューサー!?」

高木「まるで黒井のような笑い方を……」

黒井「きさま何を笑っている!私を愚弄する気か!」

P「フフ、失礼……私はなにぶん、まだまだ若輩者ですので、
  アイドル業界の大先輩である黒井社長にその態度を勉強させていただいた、というところですよ……」

黒井「き、きさまあ……」

P「そしてもう一つあなたに習い……こちらも『竜宮小町』のもう一つの特殊能力を発動します!!」

黒井「なに!!」

高木「おお!対抗策があるのか!!」

P「ステージ上にいる『秋月律子』をアイドルカードではなく、
  衣装カードとして『竜宮小町』に装備することで!!」

P「『竜宮小町』の能力数値は12000ポイントにアップし……相手アイドルおよびユニットの特殊効果を受けなくなる!!」

黒井「なにい!!?」

律子「おお、切り札というだけあって、けっこうすごいじゃないですか!」

高木「うむ、これでちょっとやそっとでは対抗されなくなった!いけるぞ!」

P「いくぞ!LIVEバトル!!」

LIVEバトル!!


『竜宮小町』

能力12000


VS


『Jupiter』

能力8500


P「『竜宮小町』のアピール!!」


P「『SMOKY THRILL』!!」

黒井「く、ククク……うわ――――――ははははははは!!!」

P「!?」

黒井「愚かさ、ここに極まったな、765プロの弱小プロデューサーよ……」

P「なに!?」

黒井「きさま、どこまで私の手のひらの上で踊れば気が済むのだ?くくく……ここまで上手くいったのは初めてだ!!」

P「なにを……」

黒井「きさま、なぜこの伏せカードを警戒しないのだ?」

P(伏せカード!)

黒井「理由はわかる……というより、私が警戒をとくように誘導したのだからなあ」

黒井「『Jupiter』をデビューし、能力数値で『竜宮小町』に下回る状況を見たとき、きさまとてこの伏せカードがなにか、初めは警戒しただろうさ。
   『竜宮小町』に対抗するためのカードではないか、とな
    だが、私は『竜宮小町』の対抗策に、『Jupiter』の能力数値上昇の能力のみで対抗してみせた」

P「……」

黒井「きさまは思ったはずだ。能力数値で上回ってきたのだから、あの伏せカードは『竜宮小町』への対抗手段ではない、と」

黒井「もし1枚で対抗できるカードなら、わざわざ手札を捨ててまで能力をあげる必要はない、とな」

P「!(読まれている……)」

黒井「その証拠に貴様は、まんまと罠にかかり、『Jupiter』の能力数値でさらに上回るという対抗手段で対応してきた……」

黒井「だが……」ペラ…

高木「黒井、きさま、そのカードは!」

黒井「きさまの想定通りさ、高木ィ!アピール宣言をした事を後悔しろぉ!!」


黒井「伏せカード、オープン!!」




黒井「イベントカード!『9,18事件』!!」




P「う!?」

高木「ああッ!!」


『9.18事件』

相手がアピール宣言をしたとき発動できる
ステージ上の指定したユニット以外のすべてのユニットを引退させる。
このカードで引退させられたユニットに関わるアイドルは
あらゆるカードの効果でステージ上に戻すことはできない
なお、このカードの絵には『9.18』とだけ書かれている

黒井「そうだ。ステージ上にいるアイドルユニットを一枚指定し、それ以外を引退させる……
   ククク、このカードの効果で引退させられたカードは二度とステージには上がれんがなあ!」

黒井「選ぶユニットはもちろん我が『Jupiter』。
  『竜宮小町』の『水瀬伊織』、『双海亜美』、『三浦あずさ』はステージ上から消え去り……二度とステージ上には戻れない!!」

黒井「たとえ、そこのこざかしい『双海真美』の能力でも、な」

P「く、さらにいえば、『竜宮小町』の衣装カード扱いにした『律子』は、
  ユニットが引退すると『律子』まで引退させられてしまう!なんてこった!!」

『亜美』「う、うわああああああああああ!!」

『真美』「あ、亜美――――――――!!」

黒井「クク、すぐにきさまも妹の後を追わせてやる!……ハ―ッハッハッハ!!」

P「そ、そんな……!」

高木「まさか、黒井、おまえは!?」

黒井「そうだ!誘導していたんだよぉ!『竜宮小町』のデビューをなあ!」

P「そうか……!そのために他のアイドルカードを執拗に……!!」

律子「これが『961デッキ』の真の目的……!」

律子「手札やデッキのカードを捨てさせていき、身動きを封じる……!
そして、動きがとりづらくなった相手にターゲットの切り札を出させ、
切り札をピンポイントに封じるカードを用意する、封殺戦法!」

高木「と、いうことは、黒井の戦術は、『フェアリー』のときから……!
   つまり、初めから今の今まで計算されていたということか!」

P「オレは、まんまと黒井社長の手の平の上で踊らされていたということか……!!」

黒井「どうだ、ええ!?戦術を誘導され……切り札を上から潰される絶望を!!」

黒井「ハ―――――――――ッハッハッハ!!!」

P(お、オレになす術はない……)

P「カードを一枚ふせて……」

P「た、ターンエンド……」

黒井「私のターン……ドロ―!!」

黒井「ククク……!どうした、さっきまでの威勢はァ!!」

P「くっ……!」

高木「ぷ、プロデューサーくん!気をしっかり持つんだ!!」

律子「頑張ってください!プロデューサー!!」


黒井「さあ、妹の後を追え!!」

LIVEバトル!!


『Jupiter』
能力8500


VS


『双海真美』
能力1300


高木「いかん!このまま『Jupiter』のアピールを通しては、負けてしまうぞ!プロデューサーくん!!」

律子「プロデューサー!!」

黒井「『Jupiter』のアピール!!」



黒井「『Alice or Guilty』!!」



『双海真美』、引退!!



律子「ああ!?」

高木「い、いや、見るんだ!」

P「伏せカード、『充電期間』……」


『充電期間』
バトルによって引退させられたアイドルがいる場合に発動する
そのバトルによって発生したアピールポイントを0にする
ちなみにこのカードの絵には、765プロの面々が仕事がないため事務所でヒマにしている様子が描かれている


黒井「ふん、命を一瞬つなぐことにずいぶん必死だな、きさま……
   まるで虫だな、まさに地を這うウジムシだ。
   もう、何をしても無駄だというのにな……」

P「く……」

P(確かに、オレのデッキにはもう対抗できるアイドルカードはほとんどない……
  デッキから引くことさえも、もう難しいかもしれない……)

P(さらにいうなら、たとえデビューできても、能力8500の『Jupiter』を引退させることは……)

P(オレは……負けるのか……)

P「……」

 



「「「あきらめないで(ください)!プロデューサー(さん)!」」」



P「!」

P「今の声は……」

律子「は?」

「プロデューサー!」

「プロデューサーさん!」

「兄ちゃん!」

P「聞こえる……聞こえるぞ!みんなの声が!!」

律子「いや聞こえませんよ、みんな事務所のはずですよ?」

P「みんなの声援が、オレにははっきり聞こえる!!」

律子「ええ……」

高木「プロデューサーくん、キミにも聞こえたか、デッキの声が!!」

律子「ありませんよそんなの!」

P「律子はがんばって、ダーリン!とまで言ってくれてる!!」

律子「誰が言うかあ!!」

P「!」

P「そうだ……アイドルたちは今までだって、ずっとオレを信じつづけてきてくれたんだ……!」

P「頼りなかったオレを信じて、前だけを見つめて進んでくれた!」

P「そうやって、765プロは一歩ずつ進んできたんだ!!」

P「みんなのアイドル生命つきるその時まで!オレは、みんなの……765プロのプロデューサーであり続けるんだ!!」

P「そのオレが真っ先にあきらめてどうするんだ!!」

律子「なんか勝手に復活してますね……」

高木「プロデューサーくん!!」

黒井「ハッ!何をほざこうが今さらぁ!

P「オレはもう絶対に諦めない!!行きますよ、黒井社長!!」

黒井「おもしろい!もう絶望という闇に堕ちていくしかないということを、思い知るがいい!!」

P「デッキよ……!いや、765プロよ!今一度、世界を照らす光となれ!!」

P「ドローカード!!」

P(こ、このカードはッ!!)

P「そ、そうか、その手があったんだ!!」

P「オレは手札から!」

P「コミュカード『歌のお姉さんとの約束』を発動!!」

黒井「なに!?」


『歌のお姉さんとの約束』

このカードをアイドルカード能力500の『天海春香』として扱う
『天海春香・トークン』をステージ上にデビューさせることができる
『天海春香』にしか使用できないカードも使用できる

なお、このカードにはかつて春香が「歌のお姉さん」と呼ぶ女性と一緒に公園で歌を歌った、
春香にとってとても大切な思い出を思い出し、ライブに望むステージ上の春香の姿が描かれている

余談だが、天海春香を語る上で欠かせないカードなので、
デッキコンセプト的に不必要であっても天海春香ファンならデッキに必ず1枚入れたがるカードの一つ。
ラジオで春香がこのカードを持っていることを口にした翌日、ファンが全国のカードショップに殺到した。
レア度が高いわけでもないためどこでも1枚50円で取引されていたこのカードが、
どこのカードショップからも姿を消し、買い取り価格が大幅に高騰したため、
ニュースにまでなった事がある。
また、後日行われた春香のサイン会でこのカードにサインを求めるファンが続出したらしい

P「このカードは、能力500で『天海春香』と同じに扱う『天海春香・トークン』をステージ上にデビューさせることができる!!」


『春香・トークン』「ヴァイ!」
能力500


黒井「ハン、そんな雑魚カード、今更だしたからどうだというのだ?」

P「みんなで築き上げてきた想い……!輝き……!それが765プロなんだ!!」

P「そして、これがその輝きを指し示すカードだッ!!」

高木「む!!あのカードはッ!」

P「イベントカード『受け継がれゆく765の意志』!!」


『受け継がれゆく765の意志』
引退した765プロアイドル一人につき、能力数値+1000ポイントを
ステージ上のアイドルに上乗せする

なお、このカードの絵柄には765プロの13人が描かれており、
その絵柄は見る角度によってさまざまな絵に変わり、
今までの765プロの歩んだ歴史を振り返るような楽しみ方もできるし、
ファンによって変わる、765プロに初めて関わった思い出深い絵柄を見て感慨にふけることもできると、
絵のクオリティもさることながら、絵のギミックもとても凝っている為、非常に人気が高く、
『アイマスカードバトル』をプレイしない人でも観賞用に持つ人は多いカード


P「このカードは、引退した765プロアイドル1人につき1000ポイント、
  ステージ上のアイドルの能力数値をアップできる!!」

黒井「な、なんだとぉ!?」

P「引退している765プロアイドルは14人!!
つまり、『春香・トークン』の能力は14000ポイントアップする!!」

高木「おお!黒井のやってきたアイドルカードを執拗に引退に追い込むということが、
まさかこんな結果を生むとは!!
これなら『Jupiter』も倒せる!!大逆転だ!!」

律子「え?でも14人??」

黒井「きさまあ!!ふざけるなよ!!14人だと!?
   貴様の事務所のアイドルの所属人数は13人だろうが!
たとえ全員引退に追い込んだとしても、一人多いこともわからんのかあ!!」

P「……わかっていないのはあなたの方ですよ、黒井社長」

黒井「なに!!?」

P「あなたがオレたちに勝つためにやった行為の……報いを受けるときです!」

黒井「報いだと……いったい、何が……!」

P「見えませんか……『春香・トークン』に集まる、みんなの意志が!!」

『【漆黒のアイドル】我那覇響』「……」

『【漆黒のアイドル】四条貴音』「……」

『【漆黒のアイドル】星井美希』「……」

バン☆


黒井「な、なにぃい!あ、あれはあ~!」

P「そう……、あなたがオレたちの戦術を潰すために使い、引退に追い込んだ……『フェアリー』だ!!」

P「あの『フェアリー』の三人は765と961、両方の属性を併せ持つ……
  だからその意志ももちろんこのカードの対象に含まれる……」

P「だから『春香・トークン』に上乗せされるポイントは、引退している11人+3人で14人……
  14000ポイント!!」

黒井「!!」

LIVEバトル!!


『春香・トークン』
能力500+(『受け継がれゆく765の意志』の効果)14000=14500


VS


『Jupiter』
能力8500


P「いくぞ!『春香・トークン』のアピール!!」


P「『私はアイドル』!!」


『Jupiter』、引退!!

黒井「ぐおおおおおおおおお!!」

高木「や、やった!!『Jupiter』を倒した!!」

律子「これでプロデューサーのアピールポイントは8600!!あとちょっとです!!」

黒井「ふん、勝った気になるなよ、弱小事務所が!」

黒井「きさまのところにある雑魚カードなど、すぐに瞬殺して……!」

P「黒井社長」

黒井「なんだ!」

P「思えば、今回の戦い(オーディション)の多くを、
  あなたはイベントカードやコミュカードにこだわり、戦って(プロデュースして)いた……」

P「切り札である、『Jupiter』でさえも……切り札勝負と言いながら、あなたは彼らではなく、
  イベントカードで『竜宮小町』に勝利した」

黒井「それがなんだ。勝つために、より勝率の高い方を選ぶ。当然であろう」

P「……あなたのデッキには、アイドルを信用していないあなたの特徴が良く出ている」

P「アイドルを信用せず、イベントカードでばかり戦っているあなたに、デッキは答えるかな」

黒井「バカめ!そこの雑魚カードを一瞬で葬るアイドルカードはまだあるわ!」

黒井「きさまの言うとおり、アイドルカードは私のデッキに少ないが、
   その代わりイベントカードでのアイドルカードサーチ能力を持つイベントカードだって大量に入れてある!
   アイドルカードを引くのは時間の問題だろう!」

黒井「対して貴様は11人のアイドルを引退させられ、後は残すところそこの雑魚カードとたった二人のみ!」

黒井「さらに言えば、『受け継がれゆく765の意志』は今のバトルで効力を失い、
   元の能力値に戻ったそこの雑魚のアピールでは3ターンもの猶予が私にはできる!」

黒井「残りのアイドルを引くことのできない確率はきさまのほうが高い!!」

黒井「勝機があるのは私の方だ!マヌケめ!!」

P「……なら引いてみてください」

黒井「な!?」

P「デッキは答えてあなたの元にアイドルは来るでしょう」

P「あなたが、本当に自社のアイドルを信頼しているのなら!!」

黒井「くぉのお!舐め腐りおって!!」

黒井「私のターン!ドローカードォ!!」

黒井「……」

P「……」

高木「……」

律子「……」

黒井(ぐぬうううう!!ス、『スキャンダル』のカード……!!)

黒井「ぐううううううううううう!……た、ターンエンド……」


高木「……ふう!」

律子「……ほ、良かった……でも、あと2ターンで本当に……」

P「……大丈夫だよ、律子」

律子「え?」

P「これが、ファイナルターンさ」

律子「え……」

P「765プロのみんなはオレの信頼に応えてくれる!!」

P「そしてオレはそんなみんなの信頼に応えてきた!!」

P「それが、オレたち765プロの強さなんだ!!」

P「いくぞ!!」

P「ドローカード!!」

P「……」

黒井「……」

高木「……」

律子「……」

P「……またせたな、そしてよく来てくれた!!」


P「存分におまえの笑顔を!歌を!みんなに届けてくれ!!


P「手札から『高槻やよい』をデビュー!!」


やよい「うっうー!!」
『高槻やよい』
能力1450



黒井「ぬ、ぬぁんだってぇええええええええええええ!!!?」

高木「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」グッ!!!

律子「す、すごい!!本当に引き当てるなんて!!」

黒井「き、貴様イカサマしたな―――!!?こんなに都合よく引けるわけがない――!!」

P「黒井社長」

黒井「ぬ!?」

P「……やよいがいつも身に着けてるポシェットの名前は、べろちょろって言うんですよ」

黒井「そ、それがどうした!?」

P「やよいが長年使い続けて、ボロボロになっていたのを、春香が直してあげた……
  姉妹のような二人の絆を象徴する、とても大切なものなんだ!!」

P「だからデッキを引いたときにわかりましたよ。
  やよいが春香のピンチに駆けつけたって。
  だから今、オレの手札に来てくれたんだって!!」

P「だからこのドローは必然なんだ!!」

P「黒井社長!!あなたに『フェアリー』の!『Jupiter』の!
  そして今デッキにいるらしいあなたの961プロのアイドルが、どんなアイドルなのか!どんな気持ちか!あなたにわかるか!!」

黒井「……!!」

P「それがわからないあなたに、オレは!765プロは!!負けない!!!」

黒井「ぐうううううううう!!」

『春香・トークン』「一緒に歌お!やよい!」

『やよい』「うっうー!!もちろんです!春香さん!
     いつもよりも元気百倍で、頑張りまーす!!」


黒井「ば、バカな……こんなバカな……私の戦術は完璧だったのだ……!」

黒井「こ、こんな……765プロごときにぃ―――――――――!!」

P「『やよい』!『春香・トークン』!未来を照らす光となれ!!」


P「ファイナルアピール!!締めはもちろんこの曲!!」


P「『THE IDOLM@STER』!!」


黒井「うわああああああああ!!!」

高木「アピールが成功!!そしてこの瞬間、プロデューサーくんのアピールポイントは10000ポイントに到達!!」

P「オレの……オレたち765プロの勝利だッ!!」

黒井「ぐわあああああああ!!!」

高木「うむ!」グッ!

律子「す、すごい!!本当に勝っちゃった!!」

黒井「ば、バカな、そんなバカなあああああああああ!!!」

黒井「クソォ!そんな仕事いらぬわ!さっさと社に帰り、961プロにふさわしい仕事を手に入れてやる!」

黒井「アデュー!テレビ出演一つにも必死な弱小事務所め!!」

スタスタスタ……

律子「帰っちゃった……」

高木「うわははは、良くやってくれたな、プロデューサーくん!お手柄だぞ!」

P「はい、ありがとうございます!
さっそくテレビ出演だって、みんなに教えてやらないと!喜ぶぞー!」

律子「やりましたね、プロデューサー!」

P「ああ、律子のおかげだよ。律子の声援がなければきっと負けていた。ありがとうな」

律子「そ、そうですか……」

律子「……って、どんだけ白熱してるんですか!大の大人がカードゲームで!」

律子「いや私もやった!とか言っちゃいましたけど!」

高木「いやはや、大人だって、カードゲームにはまるものだよ?」

高木「大事なのは、何事も楽しむ心だよ、律子くん」

律子「仕事の取り合いをカードゲームでする世界がどこにあるっていうんですかー!!」

高木「この世界だよ?」

律子「ウソですよ絶対に――――――!!!」



P「みんなも、デュエルしようぜ!!」

終わり

終わりです。
見てくれた人ありがとう

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年04月05日 (木) 23:20:51   ID: C2P4K7Ng

765ssをありがとう! 素直に面白い!!

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