後輩「私実は世界を救う勇者なんですよ」先輩「はいはいエイプリルフール」 (14)

後輩「いやいや本当ですから。ほら、この前とかあのー、この部室爆発するの食い止めましたからね私」

先輩「嘘が雑すぎる」

後輩「小学生の頃とかスライム倒しまくってましたからね」

先輩「スライムか。俺は作ってたな」

後輩「まさか……先輩……魔王の手先……!」

先輩「理科の授業だよ」

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オーーッハイッオーッハイッオー……

後輩「いやぁ運動部も新年度から大変ですねぇ」

先輩「そうだな」

後輩「もう先輩も三年生ですか」

先輩「俺とこのチューバとの付き合いも夏までだな」

後輩「私との付き合いはまだまだ続きますよ」

先輩「卒業したら自然消滅しそうだな」

後輩「先輩のはくじょーものー」

先輩「そういやお前から貰ったチューバのストラップ、スクバに着けてたんだがいつのまにか自然消滅してたんだよな」

後輩「!? 先輩の薄情者!!!!」

後輩「あ、わかりました。エイプリルフールですね。実は普通にスクバに着いてるんでしょう」

先輩「いや、マジでなくした。 すまん」

後輩「…………またガチャで当てます」

先輩「あれガチャだったのか……」

後輩「シリーズもので見かけるたびにやるんですが、何故かなかなかユーフォ当たんないんですよねぇ」

先輩「俺にチューバくれたのぜってぇ外れだったからだろ」

後輩「ぶっちゃけダブりですね。フルートなら5つくらいありますけど、いります?」

先輩「最早低音楽器ですらねぇじゃん」

先輩「そういや俺、彼女できたんだよ」

後輩「えっ。まじですか。部長とかですか? 綺麗ですもんね部長さん。 あっ。私の学年の少女さんとか? あの子、かわいいですよね」

先輩「エイプリルフールだ」

後輩「知ってました。ちなみに付き合うなら誰がいいんですか?」

先輩「部長」

後輩「即答」

先輩「いや別に好きとかじゃないんだけど、憧れの的みたいなところあるじゃん?」

後輩「あぁ、確かに。 あそこまで完璧!って感じだとむしろそうやって気軽に名前を出しやすいのかもしれませんね」

先輩「それな」

後輩「卍」

先輩「無理矢理若者オーラを出そうとするな」

後輩「いや若者ですから。女子同士の話はことあるごとに卍が挟まりますから。 四コママンガ原作のアニメに挟まるタイトルコールくらいのものだと思ってください」

先輩「例えがニッチすぎて卍」

キーンコーンキーンコーン

後輩「あっ。もうお昼ですか。部室戻りましょっか」

先輩「だなー。適当にみんなで合わせて部長やらの話聞いて楽器片付けて帰るか」

後輩「先輩、このあと時間あります?」

先輩「まぁ暇だが」

後輩「じゃあお昼一緒に食べましょうよ。駅前のサイゼで」

先輩「俺はいいけど、俺でいいのか? 女子同士で行ったりとかないのか?」

後輩「先輩ももうすぐ引退ですからねぇ。今のうちにすり寄っていこうかと……」

先輩「すり寄るとか言うなや。あと半年あっからな」

後輩「まぁま、とりあえず決まりです」

後輩「先輩、何にします?」

先輩「ハンバーグ。きのこのやつ」

後輩「りょです」

先輩「新入部員、どんくらい入ってくるだろうなあ」

後輩「うちの吹奏楽、元々人数少ないですからねぇ」

先輩「低音とか他に入ってこないと俺が引退した後、後輩一人になるぞ」

後輩「そんな……私、声高いのに…………」

先輩「そこは関係ないだろ」

後輩「そういえば私、好きな人いるんですよ」

先輩「えっ。まじか。 副部長か? まじめそうだしいいんじゃね? あとは……俺しかいねぇな」

後輩「なんで部活内で完結させようとするんですか……」

先輩「いや俺、後輩のクラスの男子とか知らねぇし。 で、後輩は付き合うなら誰なの?」

後輩「先輩」

先輩「即答照れる」

後輩「先輩も部長じゃなくて私の名前を即答するべきでしたね。だからモテないんですよ」

先輩「うるせぇ」

先輩「男少ないし、そもそも部員が少ないから閉鎖的だなーって思うこともあるし、パートごとの人数で不安になることもあるけど、でも、だからこそ俺は今の吹部が好きなんだよなぁ」

後輩「ベタ褒めしますね。エイプリルフールですか?」

先輩「ちげぇよ」

後輩「冗談です。でも確かに、もっとガチな部活なら私も続いてないかも知れないですね。中学のときの吹部も割と緩かったんで」

先輩「それでも運動部くらい大変だなーって思うときもあるけどな」

後輩「縄跳びとか私は好きですけどね」

先輩「後輩めちゃくちゃ縄跳び上手いよな」

後輩「はやぶさ飛びできますからね」

先輩「俺二重飛びもできないからな……」

後輩「男二人ですけど先輩って副部長さんと仲良いんですか?」

先輩「まぁそこそこかな。ときどきご飯とか行くぜ」

後輩「へぇ……何話すんですか」

先輩「吹部の今後とか……恋ばなとか……」

後輩「恋ばなとかあるんですか!?」

先輩「え? そんなに意外か?」

後輩「いや、副部長さんなんかいつも真面目っぽいので恋愛とか興味なさそうというか……」

先輩「あぁ、確かにな。でもあいつ部長に憧れて吹部に入って、部長に憧れて副部長になってっからな」

後輩「えっマジですか」

先輩「マジマジ」

後輩「それ、気軽に私に言っていいんですか……」

先輩「ダメかもな」

後輩「……エイプリルフールということにしておきます」

先輩「卍」

後輩「あー。もういい時間ですね。そろそろ帰りましょうか」

先輩「おぉ、そうだな。最後にメロンソーダだけ飲むわ」

後輩「りょです。先輩、好きですよね。メロンソーダ」

先輩「コーラも好きだけどな」

後輩「私は炭酸苦手なんでちょっと羨ましいです」

先輩「まぁ、炭酸なんて飲まない方が健康的でいいだろ」

後輩「そういうわけで私は野菜ジュースお願いします」

先輩「先輩にパシリをさせるな」

後輩「今更先輩面しても遅いですよ。もう威厳ないですから」

先輩「今年の新入生に対しては頑張るわ」

後輩「ファイトです」

カランカラン

後輩「ふぃー。じゃあ私は帰って録り溜めたアニメでも観ますかねぇ。それじゃあ、先輩。おつかれさまです」

先輩「おう。そんじゃ。入学式の演奏までもう時間ないし頑張ろうな」

後輩「今日もありがとうございました。 あ、それと先輩」

先輩「ん?」

後輩「エイプリルフールの嘘って、午前中しかついちゃいけないんですよ」

先輩「…………。 じゃあ副部長の件は聞かなかったことにしてくれ」

後輩「ふふっ。わかりました。 それじゃあ、また明日」

先輩「おう、また明日」

後輩「…………むぅ」

読んでくれた人ありがとうございます。

毎年毎年、四月一日のお昼くらいになると「エイプリルフールって嘘ついていいのは午前だけだよ」って知識をひけらかすツイートがタイムラインに流れてくるのでそんな感じのSSを書きました。

ゆきの( Twitter:@429_snowdrop )からのお届けでした。

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