【かぐや様は告らせたい】かぐや「遊園地ラブラブデート大作戦!!!?」早坂「はい」 (93)

石上「会長、この資料出来ましたよ」

白銀「おお、もうできたのか。さすがだな」

石上「いえいえ」

かぐや「……」



藤原「あのー会長、これなんですけど……」

白銀「ん?どれどれ?」

かぐや「……」

かぐや(椅子に座っている会長の正面に立ち、覗き込むように会長を見て、上目遣いで私可愛いアピールですか。本当に卑しい豚)

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白銀「っ」

かぐや(ん? 会長が一瞬視線をそらして……ハッ! まさか!)

藤原「?」

かぐや(藤原さん……見損ないました)

かぐや(この制服のちょっとした隙間から谷間アピールしてくるとは……明日あなたの家がどうなっているか? 楽しみね……)

白銀(四宮がジッと睨んできたから、思わず目をそらしてしまった。俺は何もしていないはずなんだが……)ドキドキ


藤原「ありがとうございます! 助かりました」

白銀「あ、ああ、また何かあったら聞いてくれ」

伊井野「会長、ここなんですが……」

白銀「どうかしたのか?」

かぐや「……」

かぐや(正面から話せばいいのに、わざわざ隣に行って話すとか……)

かぐや(そんなに会長とくっつきたいんですね。残念です。あなたはいい子だと思っていたのに)

伊井野「……あっ、すみません……」

白銀「ん? どうかしたのか?」

伊井野「あっ、いえ、なんでも」


かぐや「…………」ゴゴゴゴゴ

石上(き、今日の四宮先輩、いつも以上に怖い)ガタガタ

かぐや(へ、へぇ……。伊井野さんの指が会長の指に当たりましたね……いいえ、わざと当てたのね……)

かぐや(なるほど伊井野さんはそういう姑息な手を使うんですね。いいでしょういいでしょういいでしょう)

かぐや(あなたがそういう手を使うなら、私も色んな手を使ってあげましょう)

  *  *  *



かぐや「----という事があったんです」

早坂「はぁ……」

かぐや「会長が男性として魅力的なのはわかります」

かぐや「だからと言って、真面目に生徒会活動をしている時に会長の気を引こうとか、頭がおかしいとしか言いようがないわ」

早坂「確かに頭がおかしいかもしれませんね」ジー

かぐや「あっ……でも……ま、まさか……」ワナワナ

早坂「?」

かぐや「ま、まさか早坂も会長の事が好きなんじゃ」

早坂「今の流れでどうしてそうなるんです!?」

かぐや「だって、早坂機嫌悪そうだし」

早坂「えー。機嫌悪くはないですよ。面倒だなーとは思ってましたけど」

かぐや「それに会長は控えめに言っても日本で一番の可能性がありますし。その……早坂が好きになっても……」

早坂「すみません。私の好みのタイプじゃないので」

かぐや「あ、あなた、会長がタイプじゃないって、どうかしてると思うわよ」

早坂「うわぁーい。そろそろ怒ってもいいですか?」

かぐや「コホン。で、何か方法はないかしら?」

早坂「え? どういうことです?」

かぐや「だから、藤原さんと伊井野さんを会長から引き離す方法です」

早坂「はぁ……」

かぐや「そうだわ。ついでに石上くんの対応も考え直しましょう」

かぐや「可愛い後輩だと思っていたのだけれど、彼は最近会長に距離が近すぎます」

かぐや「おかげでここ二日ほど、私は会長とあいさつ以外会話した覚えがありません」

早坂「いや、それはかぐや様から声をかければ」

かぐや「はぁ……。早坂よく考えてみなさい」

早坂「」イラッ

かぐや「もし、私から話かけでもしたら……」


会長『ん? 最近、会話がないからって、自分から話題を振ってきたのか? そうかそうか寂しかったんだな』

かぐや『いや、それはその……』

会長『お可愛い奴め』

かぐや「って、なるに決まってます!」

早坂「寂しいのは事実だから、別にいいのでは?」

かぐや「別に寂しくなんかないわよ!!」


かぐや「そもそも会長は誰にでも優しすぎます! だから言い寄る女が増えて……」

かぐや「……増えて……」

かぐや「……」

早坂「かぐや様?」

かぐや「会長は本当に誰にでも優しく……。私って本当に会長から好かれてるのかしら……。実はただの副会長なだけで……」

かぐや「会長にとって私って別に特別でも何でもないんじゃ……」

早坂「大丈夫ですよ。かぐや様は特別です。ただきっと会長さんも気恥ずかしいだけだと思います」

かぐや「でも、でも、でも。もう二日も会長とあいさつ以外の会話をしていないの……」

早坂「私が見る限り会長さんは初恋なんでしょうね。だからどうしていいかわかってないんですよ」

かぐや「へっ// 初恋!?」


早坂「よかったですね。会長さんの初めては全部かぐや様の物ですよ」

かぐや「も、もうっ。からかわないで! べ、別に嬉しくなんかないわ」

早坂「はいはい。あっ、そういえば、例の物が用意できましたよ」

かぐや「ああ、今週末期限の遊園地のチケットね。ありがとう。これを使って会長と二人で……って、あれ? 5枚あるわよ?」

早坂「いつも2枚だと失敗しているようなので、5枚用意しました」

早坂「みんなで行こうと誘ったらどうです? 遊園地です。二人っきりになるチャンスも多いと思いますよ」

かぐや「……そうね。考えてみます」

  *  *  *



かぐや「というわけで、どうでしょう? 期限が今週末なのですが」

白銀「ちょうどスケジュールは空いている。遊園地なんて小学生以来だから楽しみだ」

かぐや「ふふっ。それはよかったです」


藤原「あっ……その……」

かぐや「どうかしましたか?」

藤原「ごめんなさい。どうしても行けないんです。週末は家族でお父様の所に行く約束があって」

かぐや「え?」

伊井野「その私もすみません。その日は近所のボランティア活動でして、小さい頃からずっと参加しているので……」

かぐや「え?」

石上「僕も大切な用事が……(ゲームの発売日)」

かぐや「え?」

白銀「仕方ない。日付をずらす事にするか?」

かぐや「いえ、このチケットは期限が週末までで」

藤原「そうですよ。せっかくだから二人で行ってきてください!」

白銀「しかし、それはだな……」

藤原「小学生以来なんですよね! この機会を逃すとずっと行けませんよ!」

白銀「まぁ……確かに……」


藤原「ほら、じゃあ行ってきてくださいよ!」

白銀「うーん、そうだな……」

伊井野「そうです。私達の事は気にしないでください」

石上「あっ、僕、お土産はクッキー系がいいです」

伊井野「石上。黙れ」

石上「……」

藤原「ほらほら、そんな事言わずにミコちゃんはどんなお土産がいい? 私はお土産はケーキ系がいいなー」

伊井野「えーと、じゃあ、私はその……藤原先輩と同じでケーキ系で……」

藤原「会長覚えましたか? では、楽しみにしてますから♪」

白銀「あ、ああ……」

白銀「……」

かぐや「……」

白銀「……」

かぐや「……」

白銀「……」

かぐや「……」


白銀(って、四宮と二人っきりで遊園地だとーーーー!!!?)

白銀(ヤバい! ヤバい! ヤバい! ヤバい!!)

白銀(すっごく嬉しいんだがーーーーーーっ!!!)

白銀「……」チラッ
かぐや「……」チラッ


白銀(四宮と目があった!)

白銀(やっばい! やっばい! やっばい! やっばい!!)

白銀(四宮も絶対に意識しているぅーーーー!!)


白銀「……」

かぐや「……」


かぐや(あーーーーーーーーっ//)

かぐや(え? なに? なにが起きたの?)

かぐや(え? なんで? なんで? 会長と二人っきりで遊園地?)

かぐや(べ、別に嬉しくなんかないけど、嬉しすぎて倒れそう!)

  *  *  *



早坂「よかったですね」

かぐや「藤原さんと伊井野さんと石上くんには困ったものです。せっかく誘ってあげたのに」

かぐや「ああ、本当に困った子達」

早坂(昨日はその3人を殺してやると言わんばかりの剣幕だったのに……)

かぐや「それにしても、週末……ふふふっ♪」

早坂「会長とデート楽しみですね」

かぐや「そうね。ふふふふっ♪」

早坂(いつものかぐや様なら否定するのに……)

かぐや「~♪」

早坂(顔、ゆるみきってますよ。かぐや様)




早坂(どうか、かぐや様にとって良き日でありますように----)

今回はここまでになります。
また近いうちに続きを投下します。

  *  *  *


■当日

かぐや「車はここまででいいわ。あとは会長を待つから」

早坂「では、お気をつけて」

かぐや「ええ」




かぐや「……」

かぐや(き、きましたーーーーー)

かぐや(ついにこの日が!)


かぐや(うぅ……)

かぐや(き、緊張してきて吐きそう……)

かぐや(ところで、早坂のおススメのコーデ。何もおかしくないわよね……)

かぐや(か、会長は気に入ってくれるかしら?)

かぐや(……)

■妄想中------

かぐや「会長、この服どうでしょう? 可愛いですか?」

白銀「なんだ、俺と遊びに行くだけなのにそんな気合いが入った格好をして。もしかして俺と二人っきりがそんなに嬉しかったのか?」

白銀「お可愛い奴め」

かぐや「っ~~~~~~//」


■妄想終了----


かぐや(あーーーーーーっ!! 私なんてことを!)

かぐや(スカートも短いし、まるで会長を誘っているメスみたいじゃない!!)

かぐや(こうなったら早坂を呼んで。もっとこう普通の服に!!)

白銀「待たせたか?」

かぐや「か、会長」

白銀「あーその……その服、かわい……に、似合ってるな」

かぐや「ふぇっ……あ、ありがとうございます//」シュー

白銀(よし! 言った! 言ってやったぞ!!!)

白銀(最近の四宮は石上と仲が良い……)

白銀(だから、どうにかして男子力をあげてやろうと、つい焦ってすぐに服装の話をしてしまったが--)

かぐや「//」

白銀(ふふふふふふ。四宮は嬉しそうにしている!)

白銀(成功だ! これはポイント高いな!)

白銀「よし、じゃあ行くか」

かぐや「は、はい」

かぐや(会長が似合ってるって……)


かぐや「//」プシュー


かぐや(よかった。本当によかった。早坂ありがとう)

かぐや「……」

かぐや(でも、会長……)



かぐや(遊園地に制服は正直ないんじゃないかな……と)

  *  *  *


ガタンゴトンガタンゴトン


かぐや「よ、ようやく着きましたね……」

白銀「だ、大丈夫だったか?」

かぐや「……はい。その……まぁ……」

白銀(まさか電車が初めてだったとは……)

白銀(満員電車とは言わないが、人が多い電車はお嬢様にはきつかっただろう)

白銀(ぐっ……。お金を出してでもタクシーにするべきだったか)

 備考:白銀はドケチ

かぐや(た、倒れるかと思いました……)ドキドキ

かぐや(ま、まさか会長とあんなに密着して座ることになるなんて//)ドキドキ

かぐや(会長の顔があんなに近くに……)

かぐや(って、そうじゃない!)

かぐや(これじゃまるで私が会長の事、意識しまくっているみたいじゃない!)

かぐや(確かに一度キスしようとしたせいで、意識……恐怖……いえ、認めましょう。会長を意識している所はあります)


かぐや(ですが、四宮家の家訓の一つ「人を愛すな」を忘れてはダメ!)

かぐや(そう。私は四宮家の娘、四宮かぐや!)

かぐや(私に恋焦がれる男がいたとしても、私が恋焦がれる事なんてあってはいけない!)

かぐや(私はあくまでもほんの少し、ほんの一ミリ、会長を意識しているだけ!)

かぐや(というわけで会長! 帰りの電車では覚悟してください!)

かぐや(私の魅力でメロメロにして差し上げますしょう!)



かぐや「その……帰りもあの電車に乗る事になるのでしょうか?」

白銀「いや、帰りはタクシーを使おう」

かぐや(ええーーーーーーっ!!!)

かぐや(そ、そんな……。もうちょっと会長と一緒に……メロメロ……あぁ……)

白銀(ど、どういう事だ?)

白銀(タクシーと言った後、四宮がガッカリした顔をしているぞ)

白銀(はっ! ま、まさか----)

白銀(俺と一緒にタクシーに乗るのは嫌だと言っているのか?)


白銀(た、確かに最近四宮には話しかけても避けられている節があったし……)

白銀(石上とは仲良さそうだし)

白銀(……)

白銀(仕方がない。帰りは四宮を車の後部座席に。俺は前の助手席に座ることにしよう)

白銀(それが一番の策だ……)


白銀・かぐや「はぁ……」

  *  *  *


キャーキャーガヤガヤ


かぐや「人多いですね」

白銀「ニュースで見たんだが、まだ開店したばかりで人気らしい」

かぐや「なるほど」

かぐや(早坂にもっと人が少ない遊園地を選んで貰うべきでしたね)

白銀「しかし、入場口だけでもこれほど並ぶとは、中はどれだけ人が多いんだ?」

かぐや「会長。あっちの入場口は人が少ないですよ」

白銀「ん?」


スタッフ①「カップルの方はこちらに並んでくださーい」

スタッフ②「オープン記念につき、カップルの方は入場料が無料になりまーす」


白銀「そういえばニュースでやっていたな。カップルは入場料が無料らしい」

白銀「だが遊具……ジェットコースターなどのフリーパスは別料金らしいな」

かぐや「なるほど」

白銀「ところでチケットを貰ってもいいか? チケットを入場口で提出する必要があるからな」

かぐや「わかりました。ちょっと待ってくださいね」

ガサゴソ

かぐや「……」

白銀「ん? どうかしたのか?」

かぐや「……その……チケットを忘れてしまったみたいで……」

白銀(なん……だと!?)


かぐや「ど、どうしましょう。会長のチケットも私が持っていたというのに……」

かぐや「本当にすみません」ペコッ

白銀「気にするな。人間忘れる事くらいある」




白銀(なんてな。またこんなあからさまな仕掛けをしやがって、俺とカップル入場したいんだろ? お可愛いやつめ……)

白銀「……」

白銀(ふむ……。だが、俺はどうするべきだ?)

白銀(四宮は俺とカップル入場を狙っているからと言って、俺から『カップルのふりをするか?』とは言えない)

白銀(もし、そんなことを言ってしまえば)

かぐや『くすっ』

かぐや『お可愛いこと……』

白銀(って、なるに決まっている)


白銀(それとも普通にチケットを買うか?)

白銀(いやそれはNG。NGだ! 今日のデートの為に予算は多めで考えているが、このお金は出来るだけ四宮の為に使いたい!)


白銀(くっ。ここは四宮の出方を見てから考えても遅くはないだろう)

白銀(四宮は----)チラッ

かぐや「……」


かぐや「………………」


かぐや「………………………………」




かぐや(どうしようーーーーーー!!!)

かぐや(早坂のばか! ばか! ばかーーーーーっ!)


 そう……かぐやは本当にチケットを持っていなかったのだった。
 本来チケットが入っているはずの封筒の中には。

早坂『カップル入場だと無料です。お得でよかったですね。ちなみにフリーパス無料券を2枚入れておきます』

 というメモとフリーパスのチケットのみ。


かぐや(会長とカップル入場なんて……できるわけないじゃない!)

かぐや(もし、私がそんな事を言ったら)

白銀『もしかして、俺とカップル入場したいからチケットを忘れたのか?』

白銀『お可愛いやつめ』

かぐや(ってなるに決まってるでしょうが!)

かぐや(そうだ! 私が新しいチケットを買ってくれば!)

かぐや(そうです。そもそも忘れた私が悪いから、頑固な会長だってチケットを受け取ってくれるはず)


かぐや「会長。あの----」

ギュッ

かぐや(え? え? なんで? 会長が私の手首を握って?)

白銀「あっちがカップル入場口だな。あっちに行くぞ」

かぐや「え?」






白銀(俺はバカだ。四宮は真っ青だった。本当にチケット忘れていたのだろう)

白銀(だというのに、俺は『四宮がわざと忘れた』とか考えて……)

白銀(俺は四宮の事を何でもわかっているつもりになっていた)




白銀(----俺は大バカ者だ!!!)

 


スタスタ


かぐや(会長……もしかして、私に気を使ってくれて……)

かぐや(でも、会長。いいんですか? こっちから入場したら……私達……その……)

かぐや(恋仲の関係と思われちゃうんです……)



かぐや(会長は本当にそれでいいのですか?)





かぐや「か、会長。大丈夫です。私がお金を払うからチケットを買いましょう。これは忘れた私の責任です」

白銀「今日は----今日だけは俺とお前はカップルだ。それなら問題ないだろ!」

かぐや「なっ//」カァー

白銀「ほら、こっちに行くぞ」

かぐや「は、はぃ//」

スタッフ③「カップルの方は手を繋いでくださーい」

スタッフ④「入場の際に写真撮影もできますので、お気軽にお声掛けくださーい」



かぐや「あっ、手……」

白銀「ああ、すまん。手首を掴んでて痛かっただろう」

かぐや「え? べ、べつに」

パッ

かぐや(あっ……会長が手を離しちゃった……。別にそのままでもよかったのに……)

ギュウウ

かぐや「っ//」

かぐや(は、はれぇーーーーーー? 恋人繋ぎ!!!?!?)

白銀「よし、これで何も問題ないな」

かぐや(問題ありまくりですよーーーーーー!!!!)

白銀(少し並んでいるな。まぁ、あとは入場するだけだ)


白銀「……」


白銀「…………」


白銀「……………………」



白銀(うあああああああああああああああああ)

白銀(俺は何をやっているんだあああああああ)

白銀(しまった。自分自身への怒りで、完全に我を失っていた)

白銀「……」


白銀『今日は今日だけは俺とお前はカップルだ。それなら問題ないだろ!』


白銀(問題ありまくりだああああ! 誰か俺を殺してくれえええええ!!!)

白銀(と、とりあえず、置いておこう。ま、まずは今の状況だ)


白銀「……」チラッ

かぐや「……//」

白銀(うっ。可愛い)

白銀(じゃなくてだ! どうする! このままカップル入場口で並んだままでいいのか?)

白銀(手が柔らかい。気持ちいい)

白銀(じゃなくて!!)

白銀(四宮の手、すべすべしている。赤くなっている四宮可愛い)

白銀(うおおおお!!! 考えがまとまらんんんんんん!!!)


白銀「……」チラッ

かぐや「……//」

白銀(ヤバい! 四宮を見ると、顔がニヤけそうでヤバい!!!)

かぐや(か、会長。顔が真っ赤ですよ)

かぐや(うぅ……。そんなに意識されると私も……)

かぐや「……//」カァー

かぐや(あぅぅ//)



かぐや「あっ」

白銀「ど、どうかしたのか?」

かぐや「い、いえ、何でもありません」

白銀「そ、そうか。なんでもないならいいんだ」

かぐや(うぅ……手の消毒を忘れてました)

かぐや(私の手汚れたりしてないわよね? 大丈夫よね? こんな事で会長に嫌われたり……)

かぐや「……」チラッ

白銀「……」

かぐや(かっこいい……って、なにこれ!! もうドキドキしないで! 会長に聞こえちゃうから!! お願いだから聞こえないで!)

かぐや(というか、会長の手がいけないの! なんでこう男らしい手なのよ!!!)

かぐや(あーーーっ! もうーーーっ! これもあれも全部早坂のせいなんだから! 早坂のばかーーーっ!!!)

今回はここまでになります。
また近いうちに続き書いていきます。

  *  *  *


藤原「もしもし、あっ、ミコちゃん? 今、電話大丈夫?」

藤原「暇になっちゃいまして……」

藤原「だから、ミコちゃんが時間できたらかぐやさんがいる遊園地に……」


藤原「石上くんも誘って----」



藤原「え? 邪魔? 私達は仲間だから、仲間と一緒の方がかぐやさんも喜んでくれます!」

藤原「だから、遊びに行きましょう!」

  *  *  *



白銀(無事入場できたな……)

かぐや(も、もうだめ……)

白銀(て、手を離すタイミングがわからん……)

かぐや(緊張して死にそう)

白銀(だが、できれば……このまま握っていたい)

かぐや(こんな事なら、自然な手の離し方を柏木さんに聞いておくんでした)



スタッフ「お写真1枚1,000円になりますが、どうですかー?」



かぐや「写真……」

白銀「そういえば、入場前にスタッフの人が写真撮影できますとか言っていたな」

スタッフ「あっ、そこのカップルさん、記念にどうですか?」

白銀「え、えーと……その……」

白銀(すごく欲しい! すごく欲しいが、どうする? せっかくこういう所に来たんだ。今なら自然に----)


かぐや「じゃあ、お願いします」

白銀(なんだとーーーー!!!?)

かぐや(これでお金を払う時に手を離せます)

スタッフ「じゃあ、撮りますねー。はいチーズ」

パシャッ




スタッフ「はい。こちらが引換券です。現像しておきますので、お帰りの際にお声掛けください」

かぐや「わかりました」




白銀(あの四宮が積極的に!? これも遊園地のテンションってやつか?)ドキドキ

かぐや(はぁ……。危なかった……。ドキドキで死んじゃうかと思いました)


白銀「し、写真楽しみだな」

かぐや「そうですね」

かぐや「……」


かぐや「…………」


かぐや「……………………」



かぐや(みゃーーーーーーーーーーーー!!)

かぐや(わ、私何をやったの!!?)

かぐや(写真は家宝にしますけど! じゃなくて! 早坂にバカにされないように隠さなきゃ)

かぐや(あっ、でも生徒手帳に挟んでいつでも見れるように……)

かぐや『これでいつでも会長と一緒にいれる』

かぐや(とかいいじゃないですか!!)



かぐや(って、そうじゃなくて!!)


かぐや(これって絶対に会長から勘違いされたやつでしょう!)

かぐや(もおおおおお!! 私何をやっているのよーーーー!!!)

白銀「四宮?」

かぐや「え?」

白銀「大丈夫か? 顔真っ赤だが熱でもあるんじゃないか?」

かぐや「い、いえ、大丈夫です。ちょっと厚着しすぎたせいみたいで」

白銀「そういわれると2月のわりに今日は暑いよな。俺も暑くて敵わん」

かぐや「ですね。ここまで暑いと困ってしまいます」


露店スタッフ「マフラーや手袋いりませんかー? 今日は特に寒いので、よかったらどうぞー」




白銀「……」

かぐや「……」

白銀「そうだ。フリーパスを買いに行くか」

かぐや「あっ、私、フリーパスのチケットあります」

白銀「そうか。では、フリーパスに交換しに行こう」

  *  *  *



かぐや「へぇー。フリーパスって手首につけるんですね」

白銀「フリーパスの形態も様々だ。このようにバーコードが印刷された時計のようなものを手首につけて、遊具で遊ぶときにスタッフに見せるタイプもある」


白銀「有名なものでは、入場チケットに金額が含まれているものだな。それなら、遊具でいちいちお金を払う必要がない」

白銀「ほかにチャージタイプのカードのような物もある」

かぐや「なるほど、色々あるんですね」

白銀「ああ、機会があったら違う遊園地にも連れて行ってやるさ」

かぐや「え? あっ、はぁ。そうですね」

白銀(あ……あれ!? 普通な反応!?)

白銀(自然な感じで遊びに行く約束ができたと思っていたんだが!?)

 などと考えている白銀。

白銀(もしかして四宮とデートだからと舞い上がっていたのは俺だけだったのか!?)

かぐや(会長がフリーパス着けてくれた。私の手首にフリーパスを巻いてくれた)

かぐや(きっと結婚指輪を想像しながら、私の手首につけてくれたんでしょう)

かぐや(もうっ、会長ったら仕方の無いひと)

かぐや(ふふっ♪)

 かぐやは白銀以上に舞い上がっていた。


かぐや(そうね。結婚式ではこの遊園地で初めて恋人繋ぎをしたエピソードも入れ込んで貰いましょう)

かぐや(チケットを忘れた私を助けてくれたのは会長! その会長の男らしさを皆に伝えてさし上げましょう)

 天才少女かぐやの最高の頭脳の中では、すでに結婚式までのプロットが出来上がりつつあった。
 人それを妄想と言う。

かぐや(あっ、でも、このエピソードは私と会長との秘密にした方が……)

かぐや(……二人だけの秘密。二人だけの共有……)

かぐや(ふふふっ)

白銀「さて、まずはジェットコースターに行くか? 定番だしな」

かぐや「え?」

白銀「もしかして、ジェットコースターは苦手か?」

かぐや「いえ、お恥ずかしい話、私あまり経験がないもので……」

白銀「実を言うと俺もだ。バイトで働いた事はあるんだが、実際に遊んだのは小学生以来だしな」

かぐや「そういえば、前にも言われてましたね」

白銀「ああ。では、ジェットコースターに乗ってみるか?」

かぐや「ええ、お願いします」


かぐや(改めて見てみると、遊園地ってすごいのね)

かぐや(すごく大きいお城。色んな遊具。中に入れる大きなぬいぐるみ。巨大迷路。ヒーローショーまであるわね)

かぐや(バスも走っているわ)

かぐや(きっと藤原さんなら----)

かぐや「……」

かぐや(今度は生徒会のみんなや、早坂と来るのもいいですね)

かぐや(もちろん、初めて行く所は会長と二人っきりがいいですが)

  *  *  *



かぐや「こ、これに乗……乗るんですか?」

白銀「……大丈夫。大丈夫だ。こういう物は確実な安全チェックがされているから、大丈夫だ」

かぐや「そ、そうですよね」

白銀「もしかして四宮は怖いのか? だったら他のに行ってもいいんだぞ?」

かぐや「またまたご冗談を。怖がっているのは会長ではありませんこと? お顔が真っ青ですわよ?」

白銀「くくっ。生徒会で色んな怖い相手と戦ってきた俺が怖いわけないだろう。四宮こそ口調が変だぞ。引き返すなら今のうちだぞ」

かぐや「ふふふふ。四宮家長女たる私がこんな遊びに怖がるなんてそんなそんな」

白銀「いやいや、俺も怖くないからな」

かぐや「ふふふ」

白銀「くくくく」


白銀(いやいやいやいや、立ちながら乗るジェットコースターとか怖いに決まってるだろ!!!!)


白銀(誰だよ! こんな危険なジェットコースター考えたやつ!)

白銀(そもそも四宮も四宮だ! 怖いなら怖いってちゃんと言えよ!!!)

白銀「……」

白銀(だからと言って、俺が怖いって言えば)

かぐや『お可愛いこと……』

白銀(無理無理無理無理!! 遊園地で逃げるとか男として絶対にNGだ!)


白銀「よし! 乗るぞ!」

かぐや「は、はい」



ガタンゴトン



白銀(無理無理無理無理!! 高い高い高い高い!!!)

白銀(しかも、この先に1回転とかあるんだが!!)

白銀「……」

白銀(だ、ダメだ! 気絶するな俺!)

白銀(四宮と遊園地に来れたのに気絶するとかダメすぎる!)

白銀(頑張れ俺! ここは男の見せ所だぞ!)

白銀(そうだ、四宮はどうなんだ? 四宮だって怖いはずだ!)

かぐや「」ニヤニヤ

白銀(笑ってるだとーーーーー!!!?)

かぐや「……」チラッ

白銀「……!!」ヒィィィ

かぐや(ふふっ。会長の顔が可笑しくて、それがまた可愛くて……。一体何に怯えているのかしら?)

 かぐやは白銀しか見えていなかった。
 というか、怖すぎて現実を直視できなくなっていた!


かぐや(あっ、あっちの方で蝶々が飛んでいるわね♪)



ガタン…ゴトン



白銀「ちょ、頂上に来た! お、落ちる! 落ちるぞ!!!」

かぐや「え? 落ちる? どういう事ですか……って、やあああああああああ!!!」

かぐや(無理無理無理無理無理ぃぃぃぃぃぃ!!!)

ギュッ

かぐや「え?」

白銀「おおおおおおおおおおおおおお!」

かぐや(か、会長が手を握ってきた!?)

かぐや「きゃああああああ//」

  *  *  *




白銀「……」

かぐや「……」

白銀「……」

かぐや「……」

白銀「なんだこれ!」

かぐや「……」

白銀「すっごい楽しいな!」

かぐや「そうですね」

白銀「おお! 四宮も面白かったのか!?」

かぐや「ええ、すっごく」

かぐや(お可愛いこと。私が手を握っていたら、安心してジェットコースターに乗れただけだというのに)



白銀「よし! ジェットコースター全制覇するぞ!」

かぐや「はい!」

かぐや(ふふっ、本当に困った人。仕方ありませんからまた手を握ってあげますよ)

かぐや(って、全然握ってくれないんですが!!!)

白銀「今のジェットコースターも面白かったな!」

かぐや(くっ。一番最初に一番怖いのに乗ったせいで、他のが怖くないのか全然手を握ってくれない!)

白銀「さて次は~♪」

かぐや(もっと怖いものはないのかしら? それさえあれば、会長はもっと私を求めて……)



かぐや(怖いもの……そういえば、あれがあるじゃないですか! 怖いものの定番と言えばあれが!)


白銀「むっ。なんだかんだジェットコースターは全部制覇したみたいだな。どうする? 一度休憩でも……」

かぐや「あの建物はなんでしょう? 少し興味があるのですが……」

白銀「あ、あれは……」


 お化け屋敷。
 遊園地と言えばジェットコースターと観覧車に次ぐ、ド定番のアトラクション。
 さらにカップルと言えばお化け屋敷は外せない存在だ。


かぐや(ふふふふ。覚悟してください会長!)

かぐや(積極的にくっついてメロメロにして差し上げましょう!!)

白銀(お、お化け屋敷だと!?)




 お化け怖い!!





 勉学に関しては非常に秀でた白銀であるが、こと非科学的な事(幽霊)に関しては苦手!
 お風呂で目を閉じ髪を洗う時、背後に幽霊がいそうでドキドキするくらいなのである。


白銀(くそっ! 想像はしていた。遊園地と言えばお化け屋敷!)

白銀(だ、だが、今の俺は昔の俺じゃない!)


 そう! 白銀はすでにグロ耐性を持っていた!
 過去に魚を捌きたい白銀は藤原との特訓のさい、スプラッタ映画を見まくる!
 これにより幽霊耐性も克服しているだろうと、いや、していて欲しいと白銀は願っていた!

白銀(大丈夫だ。俺はやれるやれる男だ……)

白銀「……」

白銀(も、もし、気絶でもしてみろ。その時は……)




☆妄想中~~~~~~~~~

お化け「わーおばけだぞー」

白銀「南無阿弥陀仏。南無妙法蓮華経。南無釈迦牟尼仏」ブツブツ

かぐや「……」


白銀「ハッ! べ、別に怖くなんかないからな!」

かぐや「……お可愛いこ……いえ、ドン引きです」


☆妄想終了~~~~~~~~




白銀(うわあああああああああああああああああああああ)

白銀(ダメだ! これは絶対にない! さすがに嫌われる!)

白銀(気合いだ! 気合い! 俺ならやれる!)

かぐや(ふふふふふ。お化け屋敷を出た時は会長が私にメロメロになってるでしょう。会長、お覚悟を!)


白銀「行くぞ! 四宮!」

かぐや「はい!」





スタッフ「お二人どうぞー」

白銀「く、暗いな」

かぐや「そうですね」


かぐや(まずはそっと手を握りましょう)

かぐや「……」


かぐや「…………」


かぐや「……………………」


かぐや(え? 手? わ、私から握るの……?)


 体育倉庫イベントがあって以来、かぐやは自分が思っている以上に白銀の事を意識していた。


かぐや(えっ……あっ……だ、だめ……)

かぐや(ドキドキして……)

かぐや(だ、だめ! 会長に聞こえるからドキドキしないで!)



かぐや(って、そうじゃない! なんで私ドキドキしているのよーーー!!!)

かぐや(そもそもおかしいわ。昔、ゴキブリが出た時は抱きついたりしていたでしょう!!!)

かぐや(なんで、今になって手を握る事すらできなく……)

かぐや(手……)

かぐや(そういえば入場口で手を握って貰えた時は嬉しかった……)

かぐや(もう一回恋人繋ぎが出来れば----)

かぐや(……)


かぐや(ふふっ♪)


かぐや(って、そうじゃない!!!)



かぐや(何を考えているの私!)

かぐや(過去より今! 今を行動しない者には未来なんてないわ!)

かぐや(そう! 今頑張るのよ! 四宮かぐや!)

  *  *  *



■外


白銀「……」

かぐや「……」

白銀(よし! 怖くなかった!)

かぐや(抱きつけなかったーーー!!)


白銀(というか、このお化け屋敷大丈夫か? 怖い要素なんて一つもなかったぞ)

かぐや(うぅ……。まさか手も握れないなんて……)


かぐや「はぁ……」

白銀(むっ。四宮がため息を。そうか、お化け屋敷がつまらなさすぎてため息が出たのか)

白銀(くくくく、仕方あるまい。ここは一つ)

白銀「そろそろお昼の時間だな」

かぐや「そうですね。レストランも多いですようです。ガイドマップによると……」

かぐや「『本場アメリカン』『マグロナルド』『鎌月うどんさん』『ハンバーグびより』『ひまさく喫茶』『和食制作部(仮)』『俺のメガネとラーメンが修羅場すぎる』『竹取喫茶』」


かぐや「などがあるようですね」

かぐや(もちろん全部下調べ済みです)

かぐや(なかでも『本場アメリカン』という場所では数名のカップルが誕生したようですね)

かぐや(そもそも店長の蛇文字という人が恋愛脳らしいですし)

かぐや(きっとそのような店長ならば、カップル用の飲み物など、会長が赤面するような食事が提供される事でしょう)


かぐや(お優しい会長の事ですから、食べたい場所は私に決めさせてくれるはず!)

かぐや(さあ、聞いてください! 『どこで食べたい?』と!)




白銀「ふむ。ではここに行くとしよう。ガイドマップで言うと……F-4あたりに」

かぐや「え?」」

かぐや(あ、あれ? え? か、勝手に決めるんですか!? というか、F-4の近くにあるのって『マグロナルド』?)

かぐや「……」

かぐや(あー、そうですよね。そこって安いですもんねー。もちろん知ってますよー)

かぐや(ドケチだとは思ってましたが、そーですか! そーですか! デートでもケチるんですね!)

かぐや(会長のやり方というのがよくわかりました)

かぐや(ええ、よくわかりましたとも)


白銀「実を言うと、お弁当を作ってきた。四宮が良いというならご馳走したいんだが」

かぐや「食べます♪」ニパー

かぐや(あーもう会長ったらさすがね! デートで彼氏の手作りお弁当とかポイント高いですよ♪)

かぐや(って、誰が彼女なのよ!! もう!! えへへ)

  *  *  *



かぐや「ご馳走様でした」

白銀「気に入って貰えたようで何よりだ」

かぐや「ふふっ、本当に美味しかったですよ。そうです。今度は私が作ってきますね」

白銀「ふむ、それは楽しみだ」

かぐや「ええ、楽しみにしていてくださいね。こう見えても料理には自信があるので」



白銀(ふむ、ふむふむ)

白銀(……)


白銀(よっしゃあああああああああああああああああ!)

白銀(次作ってくるだと!? これはまた二人で遊びに行こうって事でいいんだよな?)

白銀(くくくく、四宮め。ここぞとばかりに誘ってきやがって……)

かぐや「~♪」


白銀「……」

白銀(四宮。美味しそうに食べてくれたな)

白銀(朝早起きして、作ってよかった。本当に……)

かぐや(ようやく私の手作りを会長に食べさせる事ができますね)

かぐや(会長に食べさせたら『すごく上手い! 四宮はいいお嫁さんになるな! ぜひ俺と結婚してくれ!』という事でしょう)

かぐや(まったく会長ったら求婚する前に、付き合ったり段階があるというのに……)

かぐや(……)

かぐや(本当に仕方の無いひと)クスクス


白銀「さて、じゃあ次に行くか」

かぐや「はい」

  *  *  *


■スワンボート

かぐや「さっきまで騒がしかった遊園地が嘘みたいに静かですね」

白銀「湖の真ん中だしな」



白銀「勉強もバイトも忘れて、たまにはこういうゆったりした時間もいいな」

かぐや「ふふっ。そうですね。普段の会長は忙しすぎますから」

  *  *  *


■パットゴルフ

白銀「く、くそぅ」

かぐや「ふふっ」

白銀「下手だからって笑う事ないだろ……」


かぐや「い、いえ。基本何でもできる会長が……お可愛い所もあるんですね」クスッ

白銀「次行くぞ! 次!」

かぐや(あらあら。まあまあ。赤くなってお可愛いこと)

  *  *  *



かぐや(ああ----楽しい)

かぐや(こういうのを幸せって言うんでしょうか?)

かぐや(そうですよね。これが幸せじゃないなら、何が幸せなんでしょう)




かぐや(会長。私、すっごく幸せですよ------)

  *  *  *



■射的

白銀「どうだ!」

かぐや「っ!」

白銀「さっきは負けたが、今回は俺の勝ちのようだな」

かぐや「会長が上手すぎなんですよ」

白銀「そうか」

かぐや「ええ」

白銀(ふぅ……練習しておいてよかった)

 前回の夏休みにかぐやと行きたいデートプランを鬼のように考えていた白銀。
 もちろん、夏祭りにありそうな射的や金魚すくいはなどは練習済み!
 用意周到。それが白銀という男だ。

白銀「ふむ」

かぐや「?」

白銀「射的で取ったストラップ。二つセットになっているようだな。二つあってもいらないな」

かぐや「え? そ、そうですね」

白銀「ほれ、四宮に一つやろう。どうせ二つはいらないしな」

かぐや「え?」

白銀「そ、その……受け取ってくれるか?」

かぐや「……」


白銀「あっ、その……だな」


かぐや「ありがとうございます。大切にしますね」

白銀「あ、ああ。そうしてくれると助かる」


白銀(今、四宮の目に涙が……いや、気のせいか?)

かぐや(会長とお揃いのストラップなんて。私、こんなに幸せでいいのかな……)

かぐや(こんな日がずっと続けばいいのに)

  *  *  *


かぐや(告白)

かぐや(もし、会長が告白してくれたら、こんな日がずっと続くんでしょうか?)

かぐや(……)


かぐや(そうだ! 告白と言ったら!)


白銀「もう夕方か。早いな」

かぐや「会長。最後にあれに乗りたいです」

白銀「ん? 観覧車か」

かぐや「ええ、乗ったことなくて、せっかくなので是非乗ってみたいです」

白銀「よし……行くか」

かぐや(ふふふ、夕焼けに観覧車と言ったら、絶好の告白スポットですよ!)

かぐや(さあ、いつでも告白してください!)

  *  *  *



かぐや(って、何事もなく終わったあああああ!!?)

かぐや(え? なんで!? 今日いい雰囲気だったのに! なんで何も起こらなかったの!?)


白銀(や、やばかった……)

 そうお気づきの読者も多い事であろうが。

白銀(ふぅ、観覧車とか超やばかったな。ジェットコースターで多少耐性がついていてよかった)

 白銀は高い所がとても苦手である。


白銀(四宮が何か考えことをしていて、俯いていてくれたおかげで助かった)

白銀(もし、四宮が声かけてきたら、声が震えていたかもしれんしな)



白銀(……)



白銀(ま、まさか! 四宮も怖かったのか!? そういえばずっと俯いてたし)

白銀(しまった! ちゃんと気にかけてやるべきだった)

白銀「……四宮」

かぐや「はい?」

白銀「時間、まだ大丈夫か?」

かぐや「え?」

白銀「実を言うと、この遊園地。もう少しするとパレードと花火があるんだ。よかったら一緒に見ないか?」

かぐや「そうだったんですね。時間なら大丈夫です」

白銀「そうか。よかった」


白銀(遊園地最後の思い出が、怖かった観覧車とか最悪だしな)

かぐや(なるほど、花火を見ながら告白ですか……なるほどなるほど)ニヤニヤ



白銀「さて、時間つぶしに藤原達へのお土産でも買うとするか」

かぐや「そうですね。買った荷物はコインロッカーに預ける事もできますし」

  *  *  *


■お土産買い物中

かぐや(しかし、花火の時に告白とか、会長も中々気がきいた事をしてきますね)

かぐや(ふふふふふっ)

かぐや(会長が今晩から彼氏……恋人関係に……)

かぐや(えへへへ//)



☆かぐや脳内裁判~~~~~~~~~~~~~~~~~~

かぐや(氷)「あなた何を考えているの? あの白銀御行が告白するなんてする訳ないじゃない。夢を見たらダメよ」キリッ

かぐや「え?た、確かに……。そう言われると、今までも何度も……」

かぐや(アホ)「えーでも、花火を見ながら告白とかロマンチックだと思うんだけどなー」ボケー

かぐや「た、確かに。すっごくいいと思う」


かぐや(氷)「ハァ……。議題を忘れないで、あの白銀御行という男がそう簡単に告白するわけないでしょ?」

かぐや(氷)「今回もそう思わせておいて、何もないパターンよ。あの男に踊らされてはダメ。踊らせてあげなきゃ」

かぐや「その通りだわ! 会長が私に告白するよう仕向けないと!」

かぐや(アホ)「じゃあ、私から告白しちゃおうよ」

かぐや「なんでそうなるのよーーーー!!!」

かぐや(アホ)「だから、告白させるのが無理だったから半年以上すぎたんでしょう?」

かぐや「そ、それは会長が奥手だから」

かぐや(アホ)「だから、私が告白するの!」

かぐや(氷)「ハァ……。それではまるで私達が屈服したみたいじゃない」


かぐや(アホ)「別にいいじゃない」

かぐや「そ、それは……」

かぐや(アホ)「だって、今日楽しかったんだもん! すっごくすっごく楽しかったんだもん!」

かぐや(氷)「ぐっ……」

かぐや(アホ)「告白して付き合っちゃえば、来週の週末だってすっごく楽しくなるんだよ。幸せになるんだよ。何がいけないの?」

かぐや「確かに……。でも、だから、会長が告白すれば全て丸く収まって」

かぐや(氷)「その通りよ。すべては白銀御行から」


かぐや(アホ)「怖いんでしょう?」

かぐや「え?」

かぐや(氷)「っ!」

かぐや(アホ)「私はあなただからわかる。告白して----もし振られたら……って思うと怖いんでしょう?」

かぐや(氷)「……その通りです。告白されるのが大前提ではありますが」

かぐや(氷)「それを置いておいたとしても、自分から告白はリスクが大きすぎます。もし、失敗したら四宮かぐやという人間は崩壊する」


かぐや「……そうね。会長が私を好きって確定したわけじゃないものね……」

かぐや(アホ)「でも大丈夫。きっと会長なら……あの人なら好きって言ってくれるよ」

かぐや「……会長……」


カンカン


かぐや(幼)「みんな静粛に」

かぐや(氷)「裁判長!」

かぐや「裁判長、私、どうすれば……」

かぐや(幼)「会長が私を好きなんて、実際にわからないんだから」

かぐや「わからないなら?」

かぐや(幼)「押し倒して、既成事実を作っちゃえばいいんじゃないかな?」

かぐや「へっ!?」

かぐや(幼)「あの会長なら責任とってくれそうだし。この辺ホテル多いし、リサーチ済みだし」

かぐや(氷)「なっ!」

かぐや(アホ)「そ、それはまだ早いんじゃ//」

かぐや(幼)「ついでに子供作っちゃえばトントン拍子に。そうだ。どうせ9人作るんだから早めに」

かぐや(アホ)「た、確かにそうだけど//」

かぐや(氷)「裁判長っ! 9人という数字は現実味がないわ!」

かぐや「えっ! つっこむ所そこなの!?」


ギャーギャーワーワー


かぐや「もうっーーーーー! 私、どうすればいいのーーーっ!」


☆かぐや脳内裁判終了~~~~~~~~~~~~~~~~

かぐや(そっか。そうですね)

かぐや(私、怖いんです。もし振られたらどうなるか……考えるのが……怖いんです)

かぐや(だから、会長に告白をさせようと……)

かぐや(……)

  *  *  *


■パレード

白銀「すごいな。テレビでは見た事があったが、実物は全然違うな! おっ、ぬいぐるみが手を振っているぞ」

かぐや「ふふっ。会長ったら子供みたいに、はしゃいで」

白銀「し、仕方あるまい。この雰囲気で、はしゃがない人間などいないだろう」

かぐや「そうですね。私も楽しいです」

白銀「だろうだろう」


かぐや(違います)

かぐや(もしこれが『会長と見た』のではなく、『他の人と見た』パレードだったら、これほど楽しかったでしょうか?)

かぐや(会長……。私、会長と一緒だから楽しいんですよ?)


かぐや(……)


かぐや(会長。私、決めました。私----)

  *  *  *


■花火


\ドーンドーン/


かぐや「花火……綺麗……」

白銀「ああ、綺麗だ」

かぐや(うぅ……。ドキドキしてきた……)

かぐや(え? 告白ってこんなに勇気がいるものなの?)

かぐや(今日一番……いいえ、人生において一番ドキドキしているかも……)

かぐや(や、やっぱり告白なんてやめた方が----)






かぐや(逃げたらダメ!!)



かぐや(そうよ! 私は四宮かぐや! 国の盟主とも謳われた四宮家長女なのよ!)

かぐや(逃げたらダメ!!!)

かぐや「会長……。その大切なお話があります」

白銀「ん?」

かぐや(早坂。力を貸して!!)


白銀「そうか。実を言うと、俺も四宮に大切な話があるんだ----」

かぐや(え?)

白銀「ちょうど同時に大切な話とはな」

かぐや(会長。すっごく優しい顔をしている……。も、もしかして、会長も?)

かぐや「……ふふっ。私達、似た者同士なのかもしれませんね」

白銀「まったく困ったことにな」

かぐや「では、会長からどうぞ」

白銀「いや、四宮からいいぞ」


\ドーンドーン/



かぐや「では、同時に言うのはどうでしょう?」

白銀「そうだな」

かぐや(会長も同じ結論に? ……根拠はないけど、たぶんきっとそうなんだと思う……)




かぐや(同じ事を感じて、同じ考えでいてくれて、同じ結論になってくれて……)

かぐや(もしこの想像が本当なんだとしたら----。すごく嬉しいです。嬉しいですよ。会長)

 

\ドーンドーン/



白銀「俺、白銀御行は」
かぐや「私、四宮かぐやは」

かぐや(花火が鳴っているのに……相手の声以外……何も聞こえない)



白銀「四宮かぐやの事が!」
かぐや「白銀御行さんの事が!」

かぐや(あっ、ダメ。頭が真っ白になっていく----)







かぐや・白銀「好----  藤原「かぐやさーん。会長ーーー」」


白銀「へ?」
かぐや「え?」

かぐや(えええええええええええ!!!)


藤原「まったく、ようやく見つけましたよ」

かぐや(……絶許)

藤原「パレードに合わせて入場したのですが、全然みつからなくて! もうどこにいたんですか!」

白銀「いや……そんな事を言われてもな……。ん? あっちにいるのは石上達か?」

藤原「ええ、みんなで来ました。さあ、花火を楽しみましょう!」

かぐや(この女……。もしかして、会長が取られると思ったから邪魔してきたんじゃ)

かぐや(そうです! そうに決まっている! そうじゃないとタイミングが良すぎます!)


藤原「えへへ。かぐやさんと一緒に遊園地。私の夢が叶いました」

かぐや「あなた……、夢は私を笑わせる事じゃなかったの?」

藤原「ダメですよ。常に向上心をもたないと。夢はどんどん増えていくものですよ」

かぐや「……そう」

藤原「なので今度の夢は、かぐやさんと一日中遊園地で遊ぶことです♪」

かぐや「まったく……強欲なのね。あなたは」

藤原「えへへ~」


かぐや(……)

かぐや(正直許したくありませんが、まぁ、許してあげましょう。なぜなら今の私は機嫌がいいんです)

かぐや(……)

かぐや(それに最後は聞こえませんでしたが、会長の気持ちがわかりましたし)

かぐや(ふふっ♪)

白銀「はぁ……。まったく……」

かぐや「会長」

白銀「ん?」

かぐや「また遊びに来ましょうね」

白銀「え?あ、ああ」

かぐや「その時に----先程の続きよろしくお願いしますね」ボソッ

白銀「あっ、あ、ああ」

かぐや(会長、今度は邪魔が入らない所での告白楽しみに待ってますね)


かぐや「では、藤原さん行きましょう」

藤原「はい。実を言うと、とても良い花火スポットをさっき見つけて」

かぐや「いいですね。さっそくそこに行きましょう」

白銀(……)


白銀(…………)


白銀(……………………)


白銀(うわああああああああああああああああああああああああああ!)



白銀(やった!やった! 最後は聞こえなかったが、四宮は『好き』って言ってくれたはず!)

白銀(いや、まぁ、俺に惚れるのは仕方がないが……)

白銀(そうかそうか)

白銀(やはり俺の方針は何も間違っていなかった!)

白銀(雰囲気さえ作れば四宮から告白してくれる!)


 恋人たちの間にも明確な力関係が存在する事を、かぐやと白銀は知っていた!
 そう!恋愛は戦!


白銀(くくく。四宮からの告白楽しみだ)

かぐや(ふふっ。会長からの告白楽しみですね)


 好きになった方……先に告白した方が負けなのである!

■その日の夜


早坂「……え?」

かぐや「というわけなの。ふふふふふ。これで会長が告白してくるのも時間の問題ですね」

早坂「いえ、かぐや様から告白すれば……」

かぐや「何を言っているの。会長に私の気持ちは伝わったのよ」

かぐや「成功するとわかれば告白するに決まってます」

かぐや「さあ、会長! いつでも告白してください!」


早坂「はぁ……」

かぐや「どうかしたの? ため息なんて……」


早坂「いや、バカだなーと思いまして」

かぐや「え!? バカ!? どういう事!?」


早坂「いえ、まぁ、会長さんの事を好きって認めただけ、成長したのかもですね」

かぐや「え!?」

早坂「え? 好きなんでしょ? 会長さんに言ったんですよね?」

かぐや「す、す、す」

早坂「?」


かぐや「好きなんかじゃないからーーーー!!!!」




 本日の勝敗
 両者敗北
 敗因・まるで成長しなかった





       終わり

■おまけ①

スタッフ「こちら入場時に撮影した記念写真になります。はい、二人分ですね」

かぐや「え? あっ、はい」

白銀「そういえば撮ったんだったな」

スタッフ「はい。確かにお渡しましたので」

かぐや「……」

白銀「……」

かぐや(ふふっ。写真の会長ったらこんなに赤くなっていたんですね。お可愛いですよ)クスッ

かぐや(ずっと大切に保管しておきましょう。いえ、家宝ですね。何と言っても会長と念願のツーショットなんですから……)





白銀(夢にまで見た。四宮と二人っきりの写真)

白銀(やばい。やばい! ニヤニヤしそうでヤバい!)

白銀(ここでニヤニヤしたら四宮に誤解される! いや、誤解されるも何も、もう告白まがいな事までしたんだが)

白銀(いや、ダメだ! ここで弱い所は見せられん!)

白銀(うおおおおお! 頑張れ俺! ニヤニヤするな!!)

かぐや「写真大切にしますね」

白銀「ああ、俺もだ」

藤原「どんな写真撮ったんですか? 私にも、私にも見せてください!」


クシャッ

白銀・かぐや「」

藤原「ど、どうしたんですか? 二人とも写真が入った封筒をクシャクシャにして……」

かぐや「え? あ、あの……その……」

白銀「ぴ、ピンボケだ。ちょっとひどくピンボケしてたから、捨てようと思ってな」

藤原「そうなんですか。残念です」


白銀(うっせええええええ! 残念なのはこっちの方だあああああ!!!)

かぐや(うううううううううううううう! せっかくの家宝なのにいいいい!!!)

■おまけ②


かぐや「ふふっ……ふふふっ」ニヤニヤ

早坂(あーあ、また会長さんとお揃いのストラップを嬉しそうに眺めて……)

早坂(……)

早坂(よかったですね。かぐや様にとって良き日であって)



かぐや「~♪」




       本当の本当に終わり

これにて終わりになります。
読んでくれてありがとうございました!
また機会があればよろしくお願いします!

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