【安価】京太郎「宇宙からの侵略者?」 (62)



※注意事項
1.恋愛要素はほぼありません。麻雀要素もほぼありません。小ネタのときだけ安価を募集するかもしれません。

2.京太郎含め、男がたくさん出てきます。

3.モブにオリキャラも多少出てくるかも。

4.数年以上温めて発酵してるssです。ここ数年に出てきた一部の設定との祖語は気にしない。細かいことは気にしない。

5.一部のキャラが辛い目に遭うかもしれませんが、私自身は嫌いなキャラはいませんので、寛大な心で御了承下さい。

6.更新頻度は知らない。

7.ss速報の規定は守りましょう。

8.作者は亦野さんを応援しています。

9.作者はフェイタライザーの復活を待望しています。




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【二人、二つ、こころ】

『団体戦、決勝戦終了ぅぅぅぅぅ!!!!』


 一つしかない心臓が、煩く高鳴っている。今までに感じたことがないほどのそれを感じつつ、視線の先に集中していた。


『苛烈な大将戦を制したのは、―――』


 傍らにいる大事な友人たちや、尊敬できる先輩は一体となって感激している。

 皆が眺める先の幼馴染は、呆けたような顔をしていた。

 俺は、ボロボロと涙があふれ出していた。


 涙の由来はわからない。自分がサポートしてきた仲間たちの本願がかなったからか、自分の終ぞ見出せなかった全国という場を友人が制したからか。

 それもあるだろう。しかし、それだけでこの憑き物が落ちていくような爽やかさを説明することはできない。不思議とそう思う。

 ふと気が付くと、部長がこちらを見て優しそうに笑っていた。

 部長も同じように涙で顔を濡らしている。それを可笑しく思ったのかもしれない

 男の涙(?)を見られた。しかたなく部長に冗談の一つでも言ってやろうとしつつ、恥ずかしくて視線はスクリーンのほうを見た。向こうと目が合う。

 ちょうどその時に、それは起こった。



 まず、身を九の字に曲げ、左手で胸を抑えた。

 え。

 そして、それまでの笑い顔のまま、口が不細工に引き攣り、むせる。

 何だ、これは。

 視界が真っ白に、いや、眼球の血管の赤が明滅し、平衡感覚を失って膝をつく。

 耳鳴が、うるさい。

 思考が空回りして、ようやく、苦痛を感じて叫ぼうとする。叫べてるのかどうかもわからない。 

 状況を理解する前に、脳裏に発作という文字が浮かび、すぐに否定する。

 違う、これは。視界に何かが映る。岩が、自分へめがけて、ぶつかり。

 そこで気が付いた。これは棘だ。心臓に茨が、二つ目の心臓に。刺さった。溶けて。一つに―――



「――っ、ちょっと!大丈夫?」

 様子がおかしい自分に、目の前にいた部長が心配そうな顔をしていた。

 その部長の大声に、歓喜していた部員たちも異常に気が付く。

 何とか返答をしようと、息を吸おうとして、吸った。

 そこでようやく、なんともなくなっていることに気が付いた。

「……いえ、すみません。喜びすぎてむせちゃいました」

 困惑しつつ返答をするが、出てきた言葉には違和感がない。自分も本当にそうだったように思える。

 とりあえず、喜びに水を差してしまったことを詫びつつ言うと、皆はちょっと笑うくらいで済ませてくれた。

「はしゃぎすぎだじぇ」

「ふふ、実際に打っていた私たちよりもだなんて、らしいといいますか」

「うるせぇ、来年こそは俺も打つんだ」

「100年……とは言わんが、まだまだそんな風に言える腕には程遠いじゃろうが」

「……」


 そのやり取りで、いつもの雰囲気に戻る。

 部長だけは何も言わず、まだ赤い目を少し探るように細めてこちらを見つめ、部屋の隅へと誘導された。



「むせただけ……のようには見えなかったのだけれど」

 自分もそう思う。夢のように少しずつ感覚は薄れていっているが、印象はしっかりと記憶に刻み込まれている。

 思い返すと、やはり冷や汗が出てくる。もう何ともない、ないのだが。

 それでも、自分に一体何があったのか、その得体の知れなさに少し気分が悪くなってきた。

「やっぱり、顔色悪いじゃない。目の前で見てたからわかるわよ。……疲れてるんでしょうし、少し休んでなさい」

「うーん、でも、咲が帰ってきますし」

「大丈夫よ、咲ならほら、まだボケっとしてるわ」


 見てみるとその通りだった。まだ大将戦が終わってからぼーっとしたまま微動だにしていない。ほかの大将が話しかけてるが、上の空で聞いている。

 なごんで少し気分も安らいだが、お言葉に甘えて外に空気を吸いに行くことにした。


「ついでに飲み物でも買ってきま」

「病人でしょう、余計なことはしなくていいの」


 病人……なのだろうか。優しい部長の言葉に感謝しつつも、その単語が心に残った。



 非常口から外へ出て、深呼吸する。気分はこれで完全に晴れたが、改めてあれは何だったのだろうと考える。

 胸が唐突に痛くなった、というのは紛れもなく発作の症状だ。

 しかし締め付けられるようなものでも、塞がったような感覚でもなく、あれは心臓を刺されたのと同じ感覚だった。

 変な病気じゃなかったらいいが、俺は病気になんてならないはずである。

 考えてもやはり答えは見つからない。そもそも病に詳しくないし、栓のない思考にしかならない。咲が我に返る前に戻ることにした。



 手ぶらで帰るのはどうにも忍びな……変な感じがするので、結局自販機の前まで来てしまった。ついでに自分も買いたかったといえば、部長も許してくれることだろう。

 咲にはお~いお〇、染谷先輩にはデカビタ、優希にはタコス茶でいいとして、和は今日はどの豆の気分かな……部長は変なのが好きだし、この美容によさそうなミルケアというのでいいだろう。


「君、清澄の子だよね」


 唐突に話しかけられて、思わずぎょっとした。

 気が付くと真横に女性が立っていた

 そこに立っていたのは、背丈は自分の胸より下だが、なだらかで自然体な立ち様から年下とは思えない。
 よく似合っている白いドレスを着こなしているのだが、似合わない丸い眼鏡と髪を隠すミット帽が色々台無しにしている。
 首元には赤いリボンがついているのだが、思わず指摘したくなるくらいに曲がっている。その下の胸はとても上品だ。素晴らしい人なのかもしれない。

 下に降りて行ってた視線を顔に戻す。口は人のよさそうに笑っていたが、眼だけはまっすぐにこちらを見ていた。

 不審な目でぶしつけに観察してしまったと反省したが、彼女は慌てた様子もなく告げた。


「私は……麻雀ファンなんだ。今年の女子はすごい人ばかりだったけれど、特にこの大将戦はすごかったね。そして貴方たちの大将の子……」
「え、ええと」


 だらだらとまくしたてられるが、あんまり内容にまとまりがなく頭に入ってこない。




「……あ、ごめんなさい。いろいろ言っても怪しいだろうから、これを」

「はあ」


 名刺をもらう。そこから東京のチームのプロであることは分かったが、アルファベットで書いてある名前は読めなかった。

 なるほどプロか。ならこの奇怪な格好も変装ということだろう。一応は怪しいものじゃないとして警戒をいくらか解いてもいいとして、用件を尋ねる。


「プレゼントがしたいんだ」

「プレゼント?」


 優勝祝い、ということなのだろうか。しかし、表彰式前どころか終わったばかりだ。

 唐突に渡してくるプロなんているのだろうか。やはり怪しい。


「受け取ってくれると、うれしい」

「えーと……」



 返答に困っていると、箱を押し付けられてしまう。片手で抱えられる程度の大きさだったが、中身を感じさせないほど軽かった。

 揺らしてみると、ゴトっとそれなりの大きさのものが一つ動いた気がした。


「じゃあ、お願いします。貴方が先に開けても構いませんから」

「ええ……、えと、ありがとう、ございます?」


 はにかみながら彼女はペコっと頭を下げる。眼鏡と帽子が少しずれたが、慌てて抑えたられてしまった。その代わり揺れた。

 強引な人だ。怪しいのだが、受け取ってしまったのだから仕方がない。そう、免除してやるとかではなく仕方がないのだ。



 そのまま、彼女は踵を返した。思ったよりも健脚で離れていく彼女に、ふと思いついたことを呼びかけた。


「あの!和に、関係がある人ですか?」


 聞いた彼女は、少し体を震わせて足を止め振り向いた。すでに離れてしまっていたために彼女の顔は伺えなかったが、微かなささやきが聞こえた。


「En ga-- ti- de-」

「...og bekla---, Gra----rer me- gje-----else...」


 何と言ったのだろうか。外国語のようで聞き取れなかった。

 返答をしたような調子ではなかったが、悪いことを言ったような感じでもなかった。申し訳なさそうに祝福する、そんな感じの言葉が似合う気がした。




 彼女が立ち去るのを見届けてから、改めてプレゼントとやらに視線を下ろした。

 ひとまず飲み物を買い、エコバックに入れて歩き出す。

 どうしようか。怪しい人からもらったプレゼントだ。危険なもの、例えば拳銃や札束だったら困る。

 そんな大層なものを持ってくるとは思えないが。

 不安を断つためにも、開けるべきなのだろう。

 それでも躊躇っているのは、何やら誘導されている気がしているからだが……



 考え事をしながら歩いていたら、もう控室の前だった。

 中からはもう咲を祝う声が聞こえてくる。咲の返答は聞こえてこないが、きっと恥ずかしがっているのだろう。

 畜生、出遅れてしまったか。わざわざ飲み物なんて買いに出るんじゃなかったか。 

 だが、試合に出た5人だけにしてあげられたと思えば悪くはないかもしれない。要は考えようだ。

 咲にとっても喜びを最初に共有するのはともに歩んできた戦友がいい。






 廊下に座り込んで、ふぅーっと長い溜息をつく。

 この4か月、たったの4か月なのだと、改めてその長さに驚く。

 高校生になり、新たな道を知り、和たちと出会い、咲を勧誘して、麻雀を本格的に楽しめるようになった。

 見る見るうちに向上していく咲達を見て、かつての自分を想起した。

 始めたばかりの自分は到底追いつけなかったが、今思うと大会でさっさと負けたおかげで彼女たちのサポートに専念できたのだ。

 もちろん悔しい。その悔しさから、ひそかに友人と訓練をしたりして。

 それでも、今日の勝利を見れば、悔しさなんてどうでもいいものだった。

 ふと気が付く。あの涙の意味は、きっとそういうことだったのだろう。俺は最初から、咲や和、皆が勝つ姿を見たかったんだ。





 思えば麻雀をやり始めたのなんて大したことのない由縁だが、それが思わぬ大事なことにつながった。何たる奇縁だ。

 部屋の前で一分くらい経過した。もう入ってもいいころだろう。立ち上がろうとして、例のプレゼントを思い出す。

 あの謎のプロが持ってきたプレゼント。もらった名刺を取り出してみてみる。相変わらず名前は読めない。

 プレゼント、ねえ。自分宛なわけがないが、相手も開けてもいいといっていた。たまには、自分から奇縁を引き込もうとしてもいいだろう。

 麻雀から始まった、不思議な世界をつなぐ。

 そうして箱を開き、中を覗き込んで……


「え」


 入っていたのは、たった一つの。

 それを認識したとき、俺の意識は途切れた。





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???「……それで、大会はどうなったんだ、須賀?」


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【清澄高校出身 須賀京太郎】



須賀「そのまま、俺は無傷で血の気を失って倒れているところを直後に発見されました。以上があの大会決勝戦の日の出来事です」

須賀「次に目が覚めた時は翌日、すでに病院でおっさんたちに囲まれてしまっていました」

???「……はあ、もういい」





須賀「いや、本当の話なんですよ。俺があの大会の日で最初の被害者で、そのあとから大量の爆発音が聞こえ始めた」

須賀「らしいです、そうですよね?ハギヨシさん」


             ,..-/:.:.:::.:/.::::..:!:..:.:..:.:\

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           〃//:/:/::/::i::|::::::::i::l:::|::::::::::::..:i
          〃/:/::i:::i::ィ:::/!.:!:::::::|::|:::|:::..i::..:. ..|
           〃/イ./::::|::i:/!::ハ::|::::::|:::!ハ::::|::::::::::|
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【執事出身 萩原】

萩原「ええ、まあその通りです」

須賀「……なんですか、その冷たい目は」

萩原「非常に要領を得ない説明でしたね」

???「ここまで来るのに40分経過したからな」




須賀「手厳しい……数江さんはどう思います?」

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【平滝高校出身 南浦数江】


数江「……そうですね、ええと」

萩原「答えないでいいと思いますよ、本当に」



須賀「まあ冗談は置いておいて、あの日大会で起きたことで俺が知っているのは以上です」

須賀「謎の女性がやってきて、俺が死にかけて、結果咲達は無事でした」

???「最初からそう言えばいいだろう」

須賀「すみません、口下手でして」



須賀「あの日起きたそれ以外、火災とか爆発音など、あとのことは萩原さんのほうが詳しく知っていますよ」

萩原「では、私が」

???「いや、今日はここまでだ。もう時間がない」

数江「? まだ夜までは時間はありますが」

???「そろそろ、局長が来るだろう」




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   |:::::/ヘヽ:/ -、 -r-ミヽ 〈   !
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   \  |     \/,ノ///
    \|       /  ̄´

【シニアプロ出身 局長 南浦聡】

聡「皆、揃っているか?」

数江「……お爺様」

聡「ん、ずっと話してたのか? よろしい、親交を先に深めていてくれて何よりだ」

須賀「はい!」

萩原「……」




数江「……何の要件でしょうか」

???(……数江?)

聡「あー……なに、早速だが働いてもらおうというわけだ」

須賀「ええ……」

聡「ああ、初仕事だな、亦野隊」

       彡゙`゙゙゙゙゙`゙゙゙゙゙`゙゙""""ミ                           
       ミ`             ミ               
      ソ; ;:':;:;:':;:.:.:.:.:.:.:.:..'.;.;.;__ .;; ミ                   
      v: ;;            v ミ         
      |i:;:|             |冫|          
      i! ;| ー---.、   ,____ 、|i |                    
     /    Æエ‣⋯    ’ィt‣ェ  l|:      
     〈 「│ ´           l| )                  
      \       ,         /        「Да-с.」     
        i!     ヽ冫      i!               
    !-_.i!i!|i<    :∸∸∸;    /i-_-_                   
  -_-_-_i!i!i|ii!入        i!i! i!i!i-_-_-_                     
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-_-_-!i!i!i!i!i!i!!i-_!!i!       !i!i!i!i!i!i!-_-_-_-_-_                   
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-_-_-_-_-_!i!i!i!i!i!i!i!i!i-_-_!i!i!i!i!i!i!-_!i!ii!i-_-_-_-_-_                   
 -_-_-_-_-_-_!i!i!i!i!i!i!i!i!-_-_i!i!i!-_i!i!i-_-_-_-_-_-_                   
【白糸台高校出身 亦野誠子】 


亦野「了解です」






亦野「エイリアンどもを、全員釣り上げてみせましょう」












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 --西暦20xx年、地球は未曾有の危機に襲われた


 前年の日本麻雀IH全国大会を襲った事件を機に、世界的な人気スポーツだった麻雀は影を落とした


 その後、続いて中国、フランス、アメリカ、ロシア、ドイツと各地の麻雀大会にて破壊活動が行われ、国際麻雀連盟は麻雀に対するテロの危険性を注意。


 事件の調査が各機関に依頼され、テロの首謀者は殺害された。事件から半年後のことである。再び麻雀業界に平和が訪れたと誰もが思っていた。願っていた。


 ――6月、長野に襲来した『宇宙人』を発端に、世界各地で奇病が発生


 後に大崩壊と呼ばれるこの事態を機に、少年少女の麻雀を楽しむ安寧は失われた


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ここまで
亦野さんと数江ちゃんのAAを京太郎君にプレゼントします
タイトルの安価というのは消し忘れです
次から本編

プロローグ 亦野編① 【はじまり、はじまり -Давным-давно...-】



 ---新たな扉を開けるとき、私の心臓は強く鼓動を打ち、血液は静かに滾っていく。

 扉の向こう側は、未知が広がっている。

 新たな世界が広がるのを目にするのだ。

 希望、罪、幸福、懺悔、人生、そして運命に満ちた世界を。


 亦、私は扉を前にしている。


 入り口には、International Ecology and Spece Organization、その下に国際特殊生態研究所と日本語で書かれている。表向きは研究機関だ。
 
 大層な名前に反し、建物はそれほど大きくない。正面から見える範囲では、白い無機質に見える壁が3フロアの町役場程度である。

 腕時計に視線を落とす。まだ開くには早い。

 私は時が満ちるまで、木々の隙間から見える空を見上げて、この広い世界に感覚を延長していく。



 最初の扉は、涙と疲労した心をもって開かれた。
 私の人生はあの時を経て、ようやく動き出した。


 次の扉は、見知らぬ世界で凍えながら開けられた。
 凍えた精神はあの時から、少しずつ解されてきた。


 始めは、既に扉は開いていた。
 出会い、揶揄われ、交流し、鍛え、吐き、慰められ、打ち負かし、そして教えられた。
 遭うことは未知ばかり。赤子の時からやり直した。

 そして、扉の開け方を知った。
 恐怖し、打ちひしがれ、失い、震え、叫び、握りしめ、殺し、そして学ばされた。
 苦痛も罪もある。取り返せない過ちを学ばされた。


 そして、最後の扉は無力によって閉ざされた。
 だから、私はここにいる。


 学んだからだ。受け入れなければ進めないことを。
 学ばされたからだ。受け入れても学ばなければ意味がないことを。


 ……機は満ちた。私は目を開き、感覚を研ぎ澄ませる。
 中は変わらず気配は伺えない。
 未知の世界。
 そこに一歩近づき、その向こうへと手を伸ばす。

「Можно войти?」


─────────── … ……

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__ __

__



 ……インターホンを押してから、10秒の静寂が流れた。

 しっかり鼓動で数えてから、再び押す。不在を危惧する必要もなく、今度は即座に返答があった。

???『……名前と要件を』

亦野「亦野誠子、ББより派遣されてきました。よろしいでしょうか?」

???『解った、入れ。そのまま進んで突き当りの部屋だ』

亦野「了解」

 扉は目の前で、音もたてずにあっさりと自動で開いた。

 扉の向こうは、幅3mほどの無機質な廊下だった。ひとまず言われた通りの部屋に向かった。

 再度ノックし、返事を聞いて開ける。中は広い執務室だった。正面の安物そうな椅子に、初老の男が少し姿勢を崩して座っている。

 15x18mほどはあるだろう。入口から左には2mほど、右側には10m以上の間がある。建物の角に位置しているのはわかっていたが、ここまで広いのは想定外だった。

 しかし、その広大な部屋に部屋にあるのは、ただ入口から正面中央あたりにある執務机とその横にある小さなボックス、左手の壁に本棚、そして……、

亦野(長物か……?)

 執務机から出口方面へと床で2m程度、漆黒の棒が伸びている。よく目を凝らせば、長さの異なる同様の棒が異なる方向で、デスクの周りに散らばっている。

 そこまで確認したところで、後方でドアが自動で閉まる。さすが研究所、いい設備だ。

 改めて恐らく上司となる男と視線を合わせた。

???「ご足労だった。まァ楽に……椅子がないな。すまん、備品不足だ」

亦野「お気になさらず。苦ではありません」

???「そうだな、長く座っていると体が訛ってしまう。私も倣おう」

 男が立ち上がり、目線をそれに合わせて上げる。デスクの向こうでは判断できなかったが、即座に立ち上がった背丈は自分よりも一回り大きい。さらに、その姿勢は健常な若者に勝るほどに整っていて、緩やかに着ている法被がよく似合っている。

 立ち姿勢を見て確信する。明らかに武道を修めている者の風貌だ。この散らばっている長物は獲物なのだろう。

 一つ、彼の正体に思い当たるものがある。かつての姿とは老化からか幾分変わっているが、その眼には嘗てとそのままの面影が残っていた。


???「さて、早速手続きとしようか。なに、とはいっても左程時間をとらん。ただ、幾つか確認をするだけだ、大事なことはその資料に書いてある」

 資料を手渡され、数分の問答をこなした。

???「……覚えることはここまでだ。頭に叩き込んだか?」

 日本人らしからぬ深く響く声がようやく止まる。抑揚は控えめだが他人を聞き伏せるような力強い話し方に感心した。

 亦野は顎を軽く上げ、次いで腕を45度に曲げ、指先までしっかり伸ばした。

???「そこまで畏まりなさんな。ここは一応研究所だ。上下関係はなあなあで済ませられる……はずだ」

亦野「了解……それはありがたいです」

 日本の敬語にもマナーにも慣れていないので安心である。

???「さて、いきなりだが、お前は私の下で、チームを持ってもらう」

亦野「はい。……私が、いきなり役職ですか?」

 私のような17歳(実年齢)の小娘を、いきなり上につけるというのか。

???「お前のことは奴さんから聞いている。まァ、ここは新規部署だ。人員も極めて若い連中ばっかでな」

???「そもそも、私も去年から幹部会に組み込まれて、今この中部局長になってるわけだ」

亦野「はい」

 はいじゃないが。どうやら人材不足に泣きを見ているようだ。

???「ただし、お前の預かる子らは……少々特殊な奴らだ。手に余るようなら遠慮なく報告してくれ」

亦野「そこは任せてください。私は面倒見がいいほうと高校でも向こうでも言われていました」

???「だといいがなあ……」

 ようやく待っていた書類が受け渡された。受け取りながら軽く目を通す。……通し終わった。

亦野「……資料は以上ですか?」

 名前、年齢、出身。3枚の紙には一人ずつこの三つのみ記載され、顔写真すら空白のままだった。ここまで不備のある履歴書は初めてで、内心呆れる。

???「悪いが、ここはそういう方針だ、……と人事のアイツは言い訳していた」

亦野「いえ、了解です」

 そういう場所とは。

???「そういうこと。まあ、『アレ』からまだ一月程度しか経っていないのもあるだろうがな」

???「まったく、世知辛い世の中だ」

 そこまでで彼は止め、退室を促した。



 しかしまだ一つ聞いていなかったことがある。立ち去る前にそれを問いかける。

亦野「その前に、貴方の名前を伺っても?」

???「ああ、まだ伝えていなかったか。それはすまん」

 彼は細くも筋張った腕を差し出して名乗った。


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【IESO 中部支部局長 兼実働部長 南浦聡(69)】


聡「南浦聡だ。実働部長を務める。これからしばらくよろしく頼む」

亦野「こちらこそ」

 差し出された手を握ると、やはり老体とは思えない力で合わせられた。



 それから、私は指定された部屋に向かい、その間に再び渡された書類に目を通していた。

 ……やはり上司の部屋で目を通したことしか見つけられない。

 というのも、内容が空白だらけである。

 名前、年齢、出身。まさか炙って文字が出るような工作などしてない限りは当たり前だが。すぐに飽きて目を離した。

 ただ、幾つか考える余地はある。大したことではないが。

亦野(いや、大したことではある……のか?)


 一つ、彼らの出身地が共通していること。

 二つ、一人の姓が、上司のそれと一致していること。

 三つ、一人が苗字のみの記載であること。


 ……初見でこれだけしか思うことのない書類も珍しい。これなら判子押すだけの簡単な作業も困りようがない。

 おそらくは試されているのだろう。

 自分の若さからか、前の所属からか、それとも上司である聡か師匠の試練の一環か。
 
 なんにせよ、やることをやるだけ。

 南浦数絵、須賀京太郎、萩原なんちゃらの三名の部下。年齢は全員自分とほぼ変わらず、二人は淡と同じ……一つ下だ。

 南浦聡の言い方も、その出身地からも、一癖も二癖もあるということは容易に想像がつく。

 どんな奴らか楽しみである。

 さあ、亦、扉を開こう。



もうこんな時間やん。月曜日こわい
キリがいいので区切ります。少しずつ進ませる。亦野編は初日と少しだけだからあと少しだし…
このスレは上の4人がメインです。でも今回亦野さんとお祖父ちゃんしか出てない



 指定されていたのはブリーフィングルームとして扱われる第二会議室。

 中は、申し分程度のテーブルに、薄型テレビが置いてある。部屋の奥には小型キッチンがあり、冷蔵庫、食器棚と本棚が廊下側に並んでいる。本棚に近づくと、そこには文庫本から料理本、政治書から漫画まで雑多に入っていた。

 リビングかここは。部屋を間違えたわけではない。騙されたのでない限りはここが会議室である。

 トラップでもしかけられているのか。あそこの鍋を開けたら蟲でも詰まっているのだろうか。火炎放射器でも持ってくるべきだろうか。

亦野「……隠れているのなら、出てこい。私はお前たちの上司だ」

 空しく響いた。

 ここ数時間で誰かが立ち入った形跡はない。

 時刻を確認する。扉の前にたどり着いたのは五分前で、現在は約束の4分前になっている。

 5分前行動はロシアでも、この国でも常識である。彼らはラテン式なのか、それとも長野の常識なのか。


 ショルダーバッグに入れていた本を片手に待つこと数分。どうしてやろうかを考えて飽きてきたところで、ようやく数人が部屋に近づくのを感じた。

 多少急いだ足音が大きくなり、二重扉の前で止まる。亦野は静かに内側の扉を閉めると、同時に向こうから一枚を抜けてくるのを感じた。

 一秒、二秒……呆れて、三秒目を待たずにこちらから扉を開ける。

 向こう側の三人は各々の反応を示した。

 金髪で長身の青年は(やってしまった)という顔をしてプルタブに伸ばしたままの手を止めた。

 執事服で身を包んだ長身の黒髪の男は手を胸に当てて丁寧に会釈し、長い黒髪を後ろで束ねた少女は「申し訳ございません」とすまなそうに言いつつ、90度に腰をきれいに折り曲げた。

 私は彼らに笑顔で応えた。

「Здравствуйте, товарищи! Тогда садитесь туда!」
※Google翻訳:こんにちは、同志! そこに座って!


>>39 ×プルタブ 〇ドアノブ
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 正座させてたっぷり3分ほどの説教をまくしたて、困惑している彼らに謝罪をさせた。

亦野「Так...それで、反省はしたようだし自己紹介といこうか」

 私が日本語を話すと、執事、おそらく萩原以外は安心した様子を見せた。

亦野「私の名は亦野誠子。お前たちの上司となる、よろしく」

 青年改め須賀が驚いた声を上げる。数絵の顔にも動揺が表れていた。

亦野「今度はそちらの番だ」

須賀「あの……質問してもよろしいでしょうか?」

亦野「こちらが名前で呼べないのが不便なんだが?自己紹介を先に済ませてくれ」

須賀「あ、すみません」

 書類から名前は分かっているが、ひとまずは自己紹介から始めるべきだろう。
 まずは須賀が前に出た。

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 _/    イ /   l|  |_,∧_{  :.   ,-|-}-/、 ,  |  {  
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      {〃   r∧ |ィ斧ミ从 、Ⅵ , イ斧ミ、 } /l|  l、r

      /    /{ 从{、 Vzリ  \Ⅵ/ Vzり /イ } / 
       /   //从 l∧\       ,\        | /イ/  
     /  イ'  {/l∧ ∧      、        ,イ/j'            
    ̄ ̄        ー∧         _,     从   
               ヽ 、    ` ¨  ̄   ィ }/   
                 ∧ \       / |/> 
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【IESO 中部局 アルバイト→正社員(平) 須賀京太郎】


「俺は清澄高校2年の須賀京太郎です。ここには一応1年ほど勤務してます」

 適当にお辞儀をしながら言った。いい笑顔であるが、礼儀は身についていない。しかし勤務歴一年と聞いて、眉を顰める。


 続いて二人、今度は美しい礼だ。

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【IESO 中部局 派遣社員 萩原】

萩原「龍門渕財閥から派遣されてきました、萩原です」


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          イ/  . : ,-|‐- 、 Vハ  :|从 . :/ i:∧
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          ゙\ヘゝ`|':;:」      |'; 儿ゝ| ノ  
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             ト;;l|      '     | .::/イ:ノ
            |.:;∧   、 _   | ./:::|′

              |.:::: 介:、      .イ;;|:::|/:|
            .|::::/.:: ;|  > ._.</ |:.|:/|'::|
               /::// |      ヘ |: |:ソ:::>|
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      __ .. -"     |   ヽ   ノ    | ;冫  ` ー- .. __
      ∥        ヽー 、  , 一 /|/      ヽハ
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【IESO 中部局 アルバイト→正社員 南浦数絵】

数絵「白滝高校……いえ、南浦聡の孫の数絵です。今後よろしくお願いします」


 改めて、三人の様子を観察する。


 須賀は、普通のユニクロで売っているようなTシャツにジーパンという軽装、手入れのあまりされてなくて少し硬い、チンピラのようなブロンドヘアーをしているが、人がよさそうに表情をころころと変えている。いい笑顔であるが、礼儀は身についていない。しかし勤務歴一年と聞いて、眉を顰める。

 年齢は16のはずだが、亦野より一回り大きい体躯にしなやかそうな鍛えられた筋肉。肉体的にはなかなかのものだが、彼の軽い態度からは精神的な未熟さが見受けられる。

 とはいえ、あの『大災害』の惨状を見てきただろう相手だ。この態度は気味が悪い。ヘラヘラした奴は諜報員を想起させる。厄介な手合いだ。


 萩原は、先の青年とは対照的に底の見えないポーカーフェイス。明らかに訓練を受けたような余裕のある態度である。こういう相手も面倒だ。

 龍門渕財閥……彼らについて亦野の所属していた組織の持つ情報は、日本一の金融系オリガルヒ、それもたったの40年程度で世界全体に拠点を持つほどの規模であることなど、誰でも仕入れられる表向きの部分くらいである。

 かつて、探りを入れる機会があったが……得られたのはオカルト使いを集めていること、恐らくその者たちからなる私兵を持つことである。そういえば、彼ら龍門渕財閥の本家も故郷が長野だったはずだ。

亦野「萩原といったが、名は?父称でもいいから教えてくれ」

萩原「申し訳ございません。今私が名乗れる名は萩原、或いはハギヨシだけです」

亦野「ふむ……今のところはいいか。萩原と呼ばせてもらう」


 最後の一名は白のセーラー服に身を包んだ少女である。自己紹介でも言っていたが、やはり局長、南浦聡の血縁であった。

 そこで思い出した。あのIHの年、長野大会で南浦の孫娘が現れたと小耳にはさんだ覚えがある。祖父に似ず、清廉潔白で冷静な美少女雀士だが、対局中は熱い意志を露にするなどとマスコミが紹介していた。

 見る限りは確かに普通の物静かで礼儀正しい少女である。緑茶が似合いそうで、尭深と気が合いそうな印象を受ける。


 南浦聡の孫娘ということだが、彼のことも自分は多く知っているわけではない。かつて麻雀のプロであって、前”グランドマスター”世代のトッププロである。彼女らが台頭した時代には突如引退、2年前のIH後に突然のシニア復帰を遂げたことくらいである。

 当時の男性プロとして、やはり相応の判断力とオカルトを持っていたのだろう。現在の局長職はそれが買われてのことなのか、調べることは多い。



亦野「よし、お前たちはそれぞれ須賀、萩原、南浦は局長と被るので数絵と呼ばせてもらおう」

 確認を終えると、質問を受け付けることにした。

須賀「あ、はい」

 間髪入れずに須賀が言った。

須賀「貴方は……二年前のIHの、……白糸台の副将だった亦野さんですか?」

 彼の声ははきはきとしていたが、表情は聞いていいのかどうか迷い気であった。

 今の質問に不備があったかと反芻してみるが、思い当たらない。内心で首をかしげながら答える。
 
亦野「ああ、その通りだ。改めて自己紹介すると、私は白糸台高校出身で、株式会社Большой Болото元所属だよ」

須賀「バリショイ…バレェ?」

 惜しい。

須賀「行方不明と聞いてたのですが……」

亦野「ん……それは大分古い情報かな。今年の五月に帰国してるし、その前にも白糸台には絵葉書を送っていたよ」

 初めは連絡をとれるような状態でなかったために遅れてしまったのだが。そのせいで迷惑をかけていたようだ。それで動揺していたのだろうか。

須賀「そうだったのですか……何はともあれよかった」

亦野「結構大事になってたようで私としてはお恥ずかしいが、まあともかく私はその亦野だ。その件はまた、追々話そう」



亦野「さて、ざっと自己紹介も終えたことだ」

 ゆっくり間を空け話を切り出すと、少し緊張した面持ちで身構えられる。

亦野「まずは親交を深めよう」

 と言いながら、懐からスキットルを取り出す。

萩原「かしこまりました。では、簡単なものをご用意します」

亦野「おお、気が利くな。頼む」

 表情を変えないまま萩原が直ぐに応じる。元執事なだけあってよく配慮ができてるようだ。上司としてはありがたい。

数絵「……はい?」

須賀「あの、その手に持っているものは」

亦野「アルコールだ。」

須賀「いや、ええ……」



数絵「すみません。私と須賀さんは未成年なので飲めま」

亦野「問題ない。ここは国際組織、つまり日本の法律に縛られないな」※縛られます

須賀「はあ、それならまあ……」

数絵「……」

須賀「いや、俺も遠慮しておきますよ。また別の機会に」

亦野「ふむ、まあいいか。要は親交を深めようというだけで、深い意味もないからな」

 目的を言うと、二人も納得したようだ。

萩原「どうぞ」

亦野「お、すまないな。……ん、紅茶にしてくれたのか?」

萩原「ええ、おそらくお二人がお断りするだろうと考えておりまして。勝手ながら紅茶とケーキを用意しておきました」

 なんだこの超絶気が利く人は。


数絵「流石といいますか……」

須賀「ハギヨシさんは相変わらずですね。……それで、何について話しますか?」

亦野「そうだな……『あの日』のことにしようかな」


 三人の顔が強張ったのを感じる。

 特に須賀と萩原の男二人は、俯いたり目を開いたりと激しく動揺している。


数絵「あの、日ですか?」

亦野「ん?」

 まず口を開いたのは数絵だった。

数絵「……いえ、何でもありません」

 しかし、私の表情から何かを読み取ったのかそれ以上続けず、残りの二人の様子を眺めた。

 すでに萩原は立ち直ったようだ。萩原は須賀に目配せするが、須賀はそちらを見ずに懐から何かを取り出す。


 スキットルだった。

須賀「……っ、……っ、ぷはっ!」

数絵「ちょっ」

 美味そうに飲む須賀を数絵は慌てて止めようとするが、すでに手遅れである。

亦野「おっ、須賀も持っていたのか。何飲んだんだ?」

須賀「ええ、気が変わったので。中身は、まあちょっとしたものでした」

須賀「さて、話しましょうか。あの日、」

亦野「じゃあ、あの日、一年前のIHの決勝の話でもしてもらおうか」

 意気込んでいた須賀が固まり、数絵は嘆息した。

萩原「私もまだまだ未熟ですね。すみません、おつまみをご用意し直してきます」

亦野「知っての通り、私はあの日途中でいなくなってね。あの後の事件の流れを詳しくは知らないんだ」

須賀「……分かりました。まずは俺から話しましょう。長い話になりますが」

亦野「ああ、どんどん話してくれ」

 自分も4人分のグラスを取ってきて、中にウォトカを注いだ。

須賀「あの日は、俺の居た清澄高校が全国大会に出場してから……



  ----------ー
ーーーー自分語りタイムーーーー
  -----------

>>19->>24中略


亦野「エイリアンどもを、全員釣り上げてみせましょう」



聡「いや、今回は研究のほうの任務だぞ?」

亦野「……了解です」

 脱力する。

亦野「緊急の任務ではないので?」

聡「人員不足だ。内容は県内に報告があった宇宙人との初接触。危険度的に当たれるのがお前たちだけだ、すまない」

亦野「危険なのにですか」

聡「言っておくが、亦野隊長、お前を試すためではない。言いたいことはわかるな?」

 後方を軽く見る。萩原、数絵、須賀。三人とも真面目な表情で話を聞いている。……須賀の顔はまだ少し赤いが。

 つまるところ本来はこの三人で十分なのだろう。

亦野「了解。対象の位置は?」

聡「渡されているスマートフォンに画像付きで送られて……ないか?」

 スマホを取り出して確認する。後ろの三人のほうも見るが、首を振られる。

聡「まったく、遅れているのか。これだから……位置は甲府、駒ヶ岳麓だ。移動中には届くだろう」

 と同時に、

聡「噂をすれば、だな。歩きながら確認してくれ。行ってこい」

『はい!』

 全員の声が響いた。

 さて、初仕事だ。


須賀「うげ、大分形状が崩れてるなあ」

 須賀が言うように、画像によると対象はドロドロになっており、人型どころか不定形に近い。数絵も須賀と同様顔をしかめていた。

 スマホに表示されている内容は位置に加え、対象の画像と種類の予測、その他簡単な特徴分析だった。

 相手は『エイリアン』で、不定形或いは甲殻類系。推定地球到達日は不明……予測襲来地点は同山。のろのろと人の居るほうへ動いて行っているようだ。

亦野「まあ、宇宙から来た相手なら普通はこういうものじゃないのか?」

萩原「負荷で潰れいたりするものも多いですが、地球に来るだけの強力なオカルトで守られていることもあります」

 かつて宇宙人があり得ないとされていたのは、宇宙の広大さだけが理由ではない。地球という特殊環境に適応できるかも問題である。

 さらには、相手に形がある場合、到達する前に人間によって撃退されることが基本である。今回は後者は何らかの手段で突破したようだ。

須賀「今回の相手は見る限り、大したことはなさそうですね」

数絵「また油断して……油断も無理も禁物ですよ」

 須賀の軽口を数絵がたしなめる。


 私は荷物のためにも先に外に出た。ほかの三人は各々の準備をしている。

 隊員のことも、この機関のとこも色々確かめなければいけないことが山積みなのだが。

 こうなることならそれらを確認すべきだったのだが、まあ元は予定になく初日なので仕方がない。

 なにはともあれ、宇宙人が相手だ。



 振り返ると、建物の向こうから夕日が目に痛いほど照り付ける。

 久しく会っていない先輩の顔が思い返された。首を振って、今は彼方へと追いやる。




萩原「屋上と地下にヘリが用意されていますが、今回は車を使います」

 自動ドアが開いたと見るや否や、横から萩原の声がした。

萩原「車でも間もなくつく距離であり、相手の動きも緩慢なようですので」

亦野「なるほど、運転は?」

萩原「私が。裏に黒のリムジンが止めておりますので、そちらに」

亦野「ああ、私の荷物も裏の車の中だ。早速移動しよう」




 八ヶ岳南部、権現岳。長野と山梨の県境に位置するところにこのIESO中部局がある。

 夕日の方角、つまり西側はすぐ長野県である。

亦野「……」

 ほかの三人にとっては故郷である長野県。ちょうど展望台のようになっているこの地点からの風景は、美しい諏訪の街並みがよく見えたはずだ。

 ……私は目を閉じずに、夕日の向こうを見た。

 奥のほうには茶色の山肌をした飛騨山脈がよく見える。

 間には何もない。

 『大災害』の中心、長野県諏訪市。飛騨山脈、浅間連峰、八ヶ岳に囲まれたこの地には、現在は巨大なクレーターが広がっているのみだった。


今日はここまで。ひとまずの方針は数日毎で2時間くらいずつ上げていきたい
全然進まなくてすまんな。次は雑魚エイリアンとの遭遇
亦野さんと数江さんのAAください…ください…
自分じゃ適当なの一つ作るのでも優に1時間は食うのよー

帰宅したけどもう日付超えてる…
遅れましたが数絵さん誕生日おめでとうございます…
新AAとか用意したかったのですが今回は予め用意していた本編のちょっと前の数絵さんミニエピソードを投下します

数絵編 0【風、火、地】

 私は独り溜息をついた。

 私は、彼を気になっているのでしょうか。

 私は、かれを他の人と特別としているのでしょうか。

 分らない。判らない。理解らない。今日も独り、暗闇に身を預けた。

 ずっとそうしてきた。

 そうすれば、私はただ思考えることができるから。

 母も、父も、それを願っていた。そうなるよう、願っていた。

 故に私は、それしかできない。

 言い訳だとは、知っている。

 唯、私のよ縋が闇にしかないだけ。

 馴染み深い場所がそこというだけ。

 母と父が導いてくれた、残る場所がここというだけ。


 感っている。その全てが、言い訳なだけ。

 足りないから、外に求めただけ。

 二人が去って、残ったのはこの闇だけ。

 生まれて初めて、生まれたことを考えた。

 死に瀕してようやく、死のことを考えた。

 そうして私は、お爺様に出逢った。

 この世界の常識を知った。

 生きることの、楽しみ方を知った。

 こうして私は、彼と出遭った。

 この世界の不条理を識った。 

 生きる上での、失うことを知った。




 私はお爺様の隣にはいられないのだ。

 私は彼の隣にもいられないみたいだ。

 私の隣にいるのは、ただ空気の流れだけです。

 ならば、せめてそれだけは守ろうと思った。

 この可笑しな世界の、周りにあるものくらいは守りたいと思った。

 ここは、私の居る場所です。

 この地は、この火は、この風は、私が守る世界です。


プロローグ亦野編① 後編【同じ巣には二頭は暮らせない】



亦野「須賀が前衛、萩原がそのサポート、数絵が管制役……でいいんだな?」

 飛ばしているというのに非常に快適な キャデラック・リムジンの中で、萩原と須賀は運転席で何やら話しているため、数絵に話しかけて接敵の前に隊員のそれぞれの役割を確認していた。

亦野「なら私はお前の近くで狙撃手でもやっているか」

数絵「狙撃、ですか?」

亦野「ああ、私の今の武器は銃だからな」

 脇に抱えているケースを叩いて見せる。

数絵「……今回の任務は、あくまで研究としての接触ですが」

亦野「『そうはならない』、とはわかってるのだろう?」


 宇宙人、エイリアン、イーバ、特殊生態、妖怪、悪魔、化け物。様々な呼び方はあり、マスコミなんかは一番目を多く使っているが、どれも実態を正確に表したものではない。
 というのも、定義が多種多様であるからだ。今回は宇宙からの襲来と予測されているが、そもそも地球外生命体であるとも限らない。また地球上で発生した敵対生命体も同じように扱われることが多い。
 二番目を広義に解釈すると、一番適している呼び方である。我々が彼らに対してその呼び方を使うのは、基本的に敵対心をもって異質なモノとして考えているからだ。

数絵「ただ、今回はまだ人間を襲ったという報告はないので、……平和的接触ができる可能性は比較的に高いとは言えます」

亦野「話せる状態にあったらいいんだがな。そもそも自壊しそうにも見えるが……」

 この崩れかけている相手が宇宙人だとして、地球に到達してなお生きているのだから、たとえ溶けかけていたとしても回復するだけの力は持っていると思っていいだろう。
 相手が十分に生命のある状態であり、十分な知性を持つ宇宙人だといえるとき、ようやく対話の可能性が出来てくる。しかし、そこからがまた困難である。何せ相手は滅多に言葉も通じない相手である。地球へ到達する目的も、この星を目掛けて来たのかすらも理解ができない。
 ましてや、相手は衰弱してる中、明らかに殺傷能力の高い武器を持つこちらと対話をしなければならないのだ。宇宙人の立場で人間が考えるなら、普通冷静に交渉などできない。
 だからこそ、対話できるような存在は、容易でない相手であるのもまた可能性が高いのである。


駄目だ眠い
次はちゃんと書きためてプロローグ終わらせます
それと数絵ちゃんのAAを作ります。寝る

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