モバP「楓さんにも弱点とかってあるんですか?」 (29)


楓「弱点、ですか」

P「ええ」

楓「その……つまり、どういう事でしょうか」

P「楓さんも巷で『楓さんつよい』『かてない』など言われて久しいですが」

楓「初耳ですね」

P「そういった、正に偶像的なイメージも行き過ぎると良くありませんので」

楓「なるほど」

P「ここは一つ、親しみやすい一面もアピールしていきたいなと」

楓「分かりました」

P「分かって頂けましたか」

楓「そういう名目で、私の事をもっと知りたいんですよね」



P「……」

楓「……」

P「まぁ……」

楓「正直な所も素敵ですよ」

P「どうも」

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P「と、言うかですね」

楓「はい」

P「本当にあるんですか、弱点」

楓「あら。私にも弱点くらいありますよ?」

P「長年の付き合いですが、パッと思い付かないんですよね……」

楓「ふむ」

P「歌は上手いですし、ファンの皆さんとの交流も大切にされますし」

楓「ふむふむ」

P「いつ見てもお洒落ですし、ふとした横顔に思わず見とれちゃいますし」



楓「……」

P「微笑んだ時とか、もう、凄いですし、そもそも綺麗ですし」

楓「……あ、あの」

P「アイドルとしての考え方も……どうかしましたか?」

楓「そういうのは、これ以上は、ちょっと……弱いので」

P「そういうの……?」

楓「ともかく、ダメです」

P「はい」


楓「弱点……弱いもの…………あ」

P「何かありましたか?」

楓「ふふっ……弱いと言えばですね。ワ」

P「あ。楓さんの事ですし、『ワインにはよわいんです』……とか? なんて、はは」



楓「……」

P「楓さん? どうかしましたか?」

楓「いえ……」

P「何だか、すごく傷付いたような顔をされてますが」

楓「何でも……何でも、ありません」


P「じゃあ、例えば……そうですね、ホラーの類ですとか」

楓「ホラー、ですか」

P「ええ。大抵の女性は苦手かと」

楓「うーん……あ」

P「思い当たる節が?」

楓「プロデューサー。試しに怪談を語ってみるのはどうでしょう」

P「ん?」

楓「ほら、私が怖がるかもしれませんよ」

P「ホラーだけに」

楓「……そうです」

P「……意識してなかったんですね」

楓「こほん。ともかく、ものは試しという事で」

P「まぁ、いいんですけどね」

楓「さぁ、どうぞ」

P「ええと……これは、昨年の梅雨に友人が経験した」

楓「きゃあっ」


P「……」

楓「……」

P「楓さん?」

楓「怖いです」

P「まだ何も語っていませんが」

楓「怖くて怖くて、こうして抱き着いていないと震えてしまうんです」

P「……」

楓「……」

P「……」

楓「……よし」



P「楓さん?」

楓「どうかしましたか?」

P「いま、何か呟きませんでした?」

楓「いえ、私は特に……霊的なものかもしれませんね」

P「霊的なもの」

楓「はい。こわいです」

P「……」

楓「……ふふっ」

P「楓さん?」

楓「何ですか、プロデューサー?」

P「苦手なんですよね? おばけ」

楓「はい。か弱い乙女ですから」

ガラスの靴の人?


P「えー、引き剥がすのに二分たっぷり掛かりました」

楓「か弱い乙女ですので」

P「……それで、他にも弱点が?」

楓「そうですね……私、蘭子ちゃんにはめっぽう弱くて」



P「楓さん」

楓「どうかしましたか?」

P「『弱い』の意味合いが若干ズレてきてませんか?」

楓「試してみない事には分かりませんよ」

P「……一理ありますね」

楓「よし」

P「ん?」

楓「いえ」

P「ええと……あ、もしもし蘭子ちゃん? うん。いま大丈夫?」

楓「……」

P「いや、実は頂きもので美味しいチョコレー……え? うん。慌てなくていいよ」

>>8
Yes.


蘭子「甘美なる漆黒の欠片よ」
  (あまーい)

P「それは良かった」

楓「……♪」

蘭子「我が身を童と侮る気か」
  (撫でないで)

楓「ごめんなさい。この手は後でうんと叱っておきますので」

蘭子「うむ……おいしー」

楓「……♪」

P「……」



蘭子「いざ、再び翼を広げるとしよう」
  (じゃあ、戻りますね)

P「うん」

蘭子「我が名を喚ぶならば贄を忘れぬ事ね」
  (またお裾分けしてくれたら嬉しいです)

P「分かった」

蘭子「ばいばい」

楓「ばいばーい」



楓「ふぅ……」

P「満足げですね」

楓「はい。やっぱり蘭子ちゃんには弱いですね」

P「そうですか」


楓「うーん……弱点とは少し違うかもしれませんが」

P「ええ」

楓「アイドルの皆さんを見ているとですね」

P「はい」

楓「もう少し……この辺りに、ボリュームが欲しかったな、と」



P「……」

楓「ほら、やっぱりアイドルには女性らしさも」

P「弱点なんかじゃありません」

楓「……プロデューサー?」

P「確かに野郎は……楓さんには女性ファンも多いですが、その辺りに目が行きがちです」

楓「……」

P「ですが、数字がどうこうではなく……楓さんはすらりとしていて、とても……魅力的です」

楓「……プロデューサー」



楓「そこまで力説されると、少し恥ずかしいです」

P「すみません」


楓「弱点と言えば」

P「はい」

楓「私、確か冷え性だった気もします」

P「冷え性って、気がするとかいった具合のものでしたっけ」

楓「まぁ、細かい事は置いておいて」

P「細かいですかね」

楓「この手も、すっかり冷えているんですよ」

P「なるほど」

楓「どうぞ」



P「……」

楓「どうぞ」

P「……では」

楓「ん」

P「……」

楓「どうですか?」

P「すべすべです」

楓「ありがとうございます」

P「……」

楓「……」

P「……本当に、すべすべです」

楓「ふふっ。プロデューサーの手、あったかいです」


楓「プロデューサー。どうかこのままで、聞いてくれますか」

P「……もちろん」

楓「こうして触れて頂いて、改めて気付いたんです」

P「……」

楓「私、けっこう寂しがり屋なんです。しばらく触れられないと、人肌が恋しくて、恋しくて」

P「……楓さん」

楓「差し伸べてくれた手の温かさに、つい、甘えちゃうんです」



P「……」

楓「……ぁ」

P「……それは、困った弱点ですね」

楓「ふふっ……プロデューサーは、腕の中まであったかいですね」

P「そう、ですか?」

楓「ええ。寂しがり屋の、甘えたがり屋は……こういう人に、めっぽう弱くて」


楓「……」

P「……」

楓「プロデューサー」

P「何ですか、楓さん?」

楓「この弱点だけは、あなただけの、秘密にしてほしいんですけれど」

P「ええ」

楓「実は私、とっても……とっても弱いんです」

P「……何に、ですか?」




「オオカミ」


 ― = ― ≡ ― = ―



「――っや、ぁ……! ダメ……っ!」



「っ、はぁ……っ!」

「そこ、そこは……ぁ!」

「っ、ダメ、ダメって……っく! 楓さん、っ、それ、ばっかじゃ……ないですか」

「ん……ゃ、ダメ、本当に……ほん、っあ、ダメ、っ……!」

「っ! ここも、弱いん……っですか」

「あっ……ん、んんっ……や、っあ!」

「ぅあっ、く……っ! 楓、さんっ……!」

「やっ……それ、ダメ、あぅっ……ん、んっ! ぁ――」


 ― = ― ≡ ― = ―

楓「……ズルいです、プロデューサー」

P「……ズルい?」

楓「ダメって言ってるのに、弱いところばっかり」

P「いや、だって」

楓「だってじゃありません」

P「すみません」

楓「抱き締めてくれたら許します」

P「……では、失礼して」

楓「ふふっ」


楓「……」

P「……」

楓「ところで、プロデューサー」

P「はい」

楓「一つ伺いたいんですが」

P「何でしょう」

楓「プロデューサーにも弱点ってあるんですか?」




「……分かってて訊いてるでしょう――楓さん」

「……ふふっ」


おしまい。


http://i.imgur.com/4bmU6cm.jpg

楓さんつよい かてない

前作とか
高垣楓「結末の顛末」【R-18】
高垣楓「結末の顛末」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1503765052/)
モバP「楓さんも泣いたりするんですか?」
モバP「楓さんも泣いたりするんですか?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1465903923/)


冬コミ遊びに来てくれてありがとね
本年も高垣楓さんをどうぞよろしくお願いします

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