唯「バイバイ、さん きゅ~♪」 (132)


けいおんSS + α です。シリアス寄り

キャラが作中で男性と結婚とか、年取ったりしてます。注意



ネタも、題材も、書き出すタイミングも

作中の時系列も何から何までアレだけど、書いてみた


どうか許しておくれ~


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1514732049


【N女子大・寮 唯の部屋】

午前3時21分



唯(20)「ふわぁぁ……」

唯「むにゃむにゃ……」

唯「もう4時か…………」


唯「変な時間に起きちゃった」

唯「このまま寝るのもいいけれど」

唯「なんだか、ココアが飲みたい気分」


唯「……」


唯「よし、コンビニで買ってこよー」


【15分後 コンビニ前】

店員「ありがとうございましたー」

ティコティコティコーン♪


テクテクテク


唯「ふふふ、ホットココアをゲットだぜ!」

唯「さっそく一口!」


唯「……」

唯「うーん、あま~い!」


唯「ふぅ~、沁みるなぁ~」


唯「おー、気づけば、今日は雲ひとつない、スッゴクいい夜空♪」


唯「お星さまが、いつもよりも沢山!」

唯「沈みかけた満月も、みんなキラキラ耀いてる!」


唯「今日は、いいことが起こりそう♪」

唯「ふふふー、何が起きるかなー」


唯(あー、こうして夜の空を眺めていたら、)


唯(この前、みんなで行ったキャンプを思い出したよ!)

唯(あの日の夜は、反対に真っ暗ヤミだったなぁ)




唯(迷子のあずにゃんを見つけに)

唯(みんなで日の暮れた山に入っていったけど)

唯(私たちあずにゃん捜索隊も、森の奥で迷子になっちゃったんだよね)


唯(まさに、ミイラとりになったミイラ!)


唯(ドコに行けばいいか途方に暮れて、小雨も降ってきて)

唯(もう駄目だーっ、死んでしまうー……って絶望してたら)


唯(ムギちゃんがキャンプ地で着けてくれてた、焚き火が遠くからホンノリ見えて)

唯(みんなでそれを目印にして、無事に戻ってこれたんだよねー)


唯(真っ暗を照らす火に、暖かみを感じた一件でした♪)


唯(ムギちゃんにも感謝カンシャ! めでたしめでたし!!)


唯「……」

唯「風が出てきたなぁ」


唯「さ、早く部屋に戻って、もう一眠りしますかっ!」

唯「二度寝、二度寝~♪」




テクテクテク


【寮 1階廊下】

ヒックヒック

唯「ん?」


ヒック、ヒック

唯「……誰かの、泣き声?」


唯「共同トイレから、聞こえる……!」


唯「はっ、そう言えばちょっと前、憂が、」

唯「音楽室で出た、オバケの話をしていた様な……」

ヒックヒック

唯(音楽室に響く水音に、床に落ちた赤いシミ……)

唯(実はその正体は……!)




唯「うぅ、コワイけど……」

ヒック、ヒック……

唯「このトイレから響く泣き声も、気になる……!」


唯「ちょっとだけ、見てみよう……」

唯「もし、ほんとのオバケだったらスグ逃げよ!」


唯「…………」







唯(ポマードポマードポマード!!!)


唯「そーっ」


紬「……ヒック、ヒック」


唯「あれ、何だ。ムギちゃんじゃん」

紬「……ヒック、ヒック」


唯(……泣いてるみたいだけど、どうしたんだろ?)


唯「ム~ギちゃん!」

紬「ゆ、唯ちゃん!」


唯「こんな所でどしたの?」


唯「もしかして、お腹いたい??」

紬「うぅぅ、うぅぅぅ」



唯「えっ!?」

ガバッ!

むぎゅぅぅぅぅぅぅぅ

唯「あわわわわえあわ!?」


唯(い、いきなり抱きつかれた!?)

紬「うぅ……」



唯「ど、どうしたのムギちゃん? 何があったの??」

紬「ごめんね、ごめんね。唯ちゃん、みんな……」

唯「えっ??」


紬「私ね」

紬「妊娠しちゃってるみたい……」








唯「…………」

唯「どぅえええええええええ!??」


5日後

【ムギの部屋 午後10時12分】


澪「それで、病院で検査結果は!?」

律「まちがい、ないんだな!?」

紬「うん。お腹に赤ちゃんがいるって。1ヶ月の」

全員「ぅぉぉぉ……」


幸「おめでとう!ムギちゃん!」

晶「いや、おめでとう……なのか?」

菖「おめでとうだよ、そういうことにしとくの!!」




唯「……」


梓「それでムギ先輩! 相手の方は分かってるんですか!?」

紬「……うん」


律「ち、ちなみに誰なんだ?」

唯「私たちの知ってるヒト?」

澪「っていうか、ムギに彼氏とかが居たとか気づかなかった……」


紬「……ごめんね」

紬「……相手は、一応みんなも知ってるヒト」

梓「だ、誰なんです?」


紬「半年前に、皆でバンドマン同士の合コンに行ったでしょ。その時に来てた、ドラマーの人」


澪「あー、あの合コンで!」

律「えっ、でもあの時は全員が全員に脈なしだったろ?」

紬「う、うん。その時はね」


紬「でも。後日、バイト先で偶然出会って」



みんな「へー」



紬「ライブのチケット貰って、行って見たの」



紬「勢いあって力強くて、でもどこか暖かくて安心できるドラムを叩く人でね」

紬「何だか凄いなって思って、連絡先を交換して……」



紬「そこから一緒にお茶して音楽の話をしたり、」

紬「スタジオでキーボードとドラムのセッションしたり、買い物に行ったり……」

みんな「おぉ……」

唯「……」


紬「なんでもない日に、こっそりあって、二人きりで過ごしたり///」

紬「映画行って、バーでカクテル飲んで、それから、えーと……」



みんな(お、大人だー)


唯「……」


梓「っていうか、彼氏さんができたなら教えて下さいよ!」

澪「そうだよ! 水くさいじゃないか」

紬「ご、ごめん」

律「皆で、ムギと彼氏さんのデート、こっそり尾行したかったのに……!」プンプン

紬「……うぅ、みんなの期待に沿えなかった」



晶・幸・菖(や、デートに付いて来られるとか嫌だよ。私なら彼氏ができたの、内緒にしとく)


唯「……」


唯「それで、ムギちゃんはこの後、どうするの?」



紬「……この子を、生みたい。あの人と、人生を歩みたい」



唯「……」


紬「あの人には話をして、『いいよ。責任とるから』って、言ってくれたんだ」

みんな「おおー!」


紬「……でもね、琴吹家は許してくれそうにないの」

みんな「ええっ!?」


紬「あの人と結婚するのも、この子を生むことも……」


澪「厳格な家だもんな、ムギの実家って」


律「でも、家が反対だとすると、どうすりゃいいんだ?」


紬「……」

唯「……」


紬「夜逃げするの、あの人と二人して」


みんな「えええええええ」


梓「そんな、夜逃げだなんて」

澪「いや、でも、それしかないんじゃないか?」

唯「じゃぁ、大学やバンドはどうするの?」


紬「……どっちも、辞めるわ」

みんな「!」

紬「……ここに居たら、琴吹家に連れ戻されてしまうから」


唯「……」


紬「ごめんね、みんな」

紬「特に、唯ちゃんに澪ちゃんに、りっちゃんに梓ちゃん……!」

紬「勝手なお願いになっちゃうけど、どうか、こんな私を、許して……」


梓「あ、頭をあげてください! ムギ先輩!」


澪「……それで、いいのか。よく考えた上での、答えなんだな」


紬「……うん!」


律「だったら、だいじょうビッ!」

梓「寂しくなりますけど、ムギ先輩の意志を尊重します!」



澪「あぁ。バンドも大学も大切だけど、ムギの人生が、一番だいじだからな!」



紬「……みんな、ありがとう」


澪「それで、夜逃げったって具体的にいつから始めるんだ?」

紬「……今日の、午前零時。日付が変わると同時に、ここを発っていくわ」

律「ちょ、急だな!」

紬「……これ以上遅れると、琴吹家の追跡チームに追い付かれてしまうから」

唯「……」


梓「でもでも、それだともう2時間もありませんよ!」

梓「荷物とか、どうするんですか!?」

紬「……ホントに迷惑かけてばかりだけど、みんな、纏めるの手伝ってくれないかしら」


唯「……」


律「おうとも! 任せとけ親友(マブダチ)よ!」

律「ふふふ~。りっちゃんの旅行収納術を披露する時が来たようだな!」


澪「あぁ。他にも、できることあったら言ってくれ!」

梓「私もお手伝いします」

晶・幸・菖「うんうん!」


唯「…………私は、ヤだ」

澪「ちょ、唯!?」

紬「……唯ちゃん?」




唯「…………」



紬「…………」


唯「勝手だよ、こんなの!」




唯「……ごめんね。ムギちゃん」

律「唯?」

梓「唯センパイ??」




唯「……うまく、言えないケド」

唯「……私は、自分の部屋に戻ってるよ」

紬「……唯ちゃん」


唯「見送りとかも、行かないから」

紬「…………」



唯「じゃあね、バイバイ。さよならムギちゃん」


バタン!!

紬「……唯ちゃん」


晶「行っちゃった」

菖「ちょ、いいのか? 唯のやつアレで?」


律「あー、大丈夫でしょ。唯がいると荷物まとめももたつきそうだし」

澪「見送りとかも、どうせ寂しくなって自分から来るだろうしな」

梓「ですです」

幸「あー、ありそう」



律「よっしゃ、じゃぁちゃちゃっと夜逃げ……いや、駆け落ち応援隊スタートといきますか!」



みんな「おー」


【午後11時51分 N女子大 寮の門前】


ビッビー♪

律「おお、道路の向こう側で待ってる車が、そうだな?」

紬「うん。あの人の車」

澪「しかし、結構時間ギリギリだったな」

梓「はい。荷物まとめ間に合って良かったです」


晶「それじゃムギ、元気で!」

幸「今までありがとう」

菖「体に気をつけて」

紬「恩那組のみんな……」


澪「ムギ、彼氏さんと幸せにな。万一ツラいなら、いつでも戻ってこい!」

紬「澪ちゃん!」


律「梓ならともかく、ムギなら問題ないとは思うが、元気に子を生めよ!」

律「そんで赤ん坊の写真を年賀状にして送ってくれ!!」


梓「律センパイ! セクハラです! まぁ年賀状は私も見てみたいですが……」


紬「ふふふ。りっちゃんに梓ちゃん。そうするわ」



澪「それからコレ、みんなからのカンパ。気持ち程度だが、受け取ってくれ」

紬「……ありがとう。何から何まで、本当にアリガトウ」



澪「……時間だな」


晶「おい、大事なヤツが居ないけど、いいのかよ」

律「や、唯ならそこら辺の木陰にでも居て、こっちを見てるだろ」


ガサゴソ

唯「……」ジー



律「ほら居た」


梓「ほら唯センパイ、こっちに来て!

梓「さぁ、お別れの挨拶ですよ!」

唯「あわわ、引っ張らないでよ、あずにゃん!」

梓「ほら早く!」


唯「わわっ」


ズルッ

ビターン!


澪「…………こけた」

梓「す、すみません」

唯「あいたたた」



紬「ちょっと、唯ちゃん大丈夫?」

唯「うぅ、ムギちゃぁん……」


唯「ムギちゃぁぁん……」

紬「どうしたの? 唯ちゃん?」



唯「いやだ。寂しいよ。どこにも行かないでよ。ムギちゃん!」



紬「……唯ちゃん」


唯「こんなに急にお別れを言われるなんて」


唯「いやだ。嫌だよ。あんなにずーっと一緒だったのに、あんまりだよ!」


紬「……」



唯「ヒッグ、エッグ…………」


唯「うぇえええええぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇ」

紬「ゆ、唯ちゃん」


唯「うぅぅ……」


グシグシッ!

唯「……ねぇ、ムギぢゃん?」

紬「……なぁに?」


唯「ムギちゃんの為に、私ができることって、何かないがなぁ?」

紬「唯ちゃんが、できること……」


唯「私は、大切なムギちゃんのピンチに、大事なお別れの時間に、」

唯「遠くから見てるだけで、何もしてあげられなかった……」


唯「このままお別れするだけとか、辛すぎるからさぁ……」

唯「ここから、私ができることって、ないがなぁ……?」グスッ


紬「唯ちゃん」


唯「できることなら、何でもするから…………!」


紬「じゃぁ、じゃぁね!」

唯「……」

紬「それじゃぁ唯ちゃんは、」

唯「……」





紬「唯ちゃんは、歌い続けてよ!」


唯「歌い、続ける?」

紬「えぇ!」


紬「私ね。唯ちゃんの歌声が大好きなの!」

唯「私の、歌声?」

紬「そっ!」


紬「温かくて、ふわふわしてて、幸せそうに歌う声が響くと」

紬「聴いてる私も、なんだか幸せな気分になってきちゃう、」

紬「そんな唯ちゃんの歌声が、私は大好きで、何度だって聞きたくなるの!」


唯「……」


唯「……い、いやぁ///」テレテレ


紬「……私は、ここでお別れすることになっちゃったけれど」

唯「……ムギちゃん!」


紬「唯ちゃんが歌ってくれるなら、いつの日かきっと、」


紬「それを目印にして、唯ちゃんに、会いにいくから……」

唯「……うん!」


唯「私、歌う。歌い続けるよ」

紬「唯ちゃん……」


唯「ここでお別れだとしても、サヨナラだとしても」

唯「いつかまた、みんなが戻ってこれる、」


唯「この前のキャンプファイヤーみたいな、真っ暗な夜を、遠くまで照らすような」


唯「そんな歌を、そんな歌っていくよ……!」


紬「……すぐには無理だけど」


紬「もし、唯ちゃんの歌声が、この耳に聞こえたなら、」

紬「私はどこにいても、唯ちゃんを抱き締めに飛んで行くわ!」


唯「うん。そんな日が来るのを、待ってる!」

紬「きっと。約束ね!」


「バイバイ」

「また会おうね」


こうしてムギちゃんは、私たちから旅立ちました






けれど、それから今まで、私はムギちゃんに会うことができていません。

そして、『歌い続ける』って約束も、守れていません


……というのも



唯(21)「えっ、海外発の、百年に一度の大不況!?」

唯(21)「どこかに勤めないと、趣味で音楽もできない世の中か……」

唯(21)「うぅ、働かなきゃなのに、就職活動の仕方とか、ゼンゼン分かんないよー」


唯(22)「お、御社の志望動機は……、自己PRは……」

唯(22)「ふぇぇ、またお祈りメールだぁ……」

唯(22)「はぁ、どこにも就職できず、大学を卒業かぁ……」


唯(23)「こんな私でも雇ってくれる会社があった、一生懸命働きます!」

唯(23)「仕事量が多過ぎて、ギー太を弾く暇もないよ……」

唯(23)「ええっ、会社が倒産するかも!? 入ったばっかなのに!」


唯(24)「ま、まさか勤め先が外資系企業に買われるとは」

唯(24)「海外転勤できるなら再雇用……できないならクビ…………」

唯(24)「ここ辞めると就職できる気がしないし、受け入れよう」


唯(25)「今日からここロンドン支社に出向し、お世話になる平沢唯です!よろしくお願いします!」

唯(25)「……まさかこんな形でここに戻ってくるとは」

唯(25)「卒業旅行で来たメンバーとは、今は離ればなれだけど……」


唯(26)「営業成績が『A』! ありがとうございます!」

唯(26)「こう見えても、やれば100点を取れる子なのです!」

唯(26)「はい、これからもロンドンでがんばります!」

唯(26)「……本当は、帰りたいけれど」


唯(27)「メアリー先輩。今までご指導ありがとうございました。お達者で!」

唯(27)「ジョン君は転職かー。新しい職場でも頑張ってね!」

唯(27)「……どうしよう。仕事量は増えてくのに、人は減っていく」


唯(28)「……………………」

唯(28)「はっ!? 寝てたっ!!!」

唯(28)「うー、3日も徹夜なのに、まだ仕事が終わらないよ~」

唯(28)「日本に戻れたはいいけれど、余計に重労働になっちった……」


唯(29)「……つらい、つらいよ。眠れない」

唯(29)「どこまで頑張っても、休める気が、終わりが来る気がしない」


唯(29)「あぁ……」



唯(29)「帰りたい。楽しかった、あの日々に……」


PRRRRR


唯(29)「もしもし? あ、お母さん!」

唯(29)「お見合い? ええっ、私に?? ……うんうん」

唯(29)「そんな、急だよ」




唯(29)「…………うん。でも、お願いしよっかな」



唯(29)「私はもう、ここに居たくはないから……」


こうして、私は結婚し主婦になり、一児の母にもなりました



その後も、色々とあったけど


違うようで同じ、同じようで少しづつ違ってく、繰り返す毎日


家事をこなして、家族の面倒を見て

パートに通い、暇潰しにネットを見て、夜は眠る


レコードみたいに、巡りゆく朝と夜

私のものの筈だった人生は、少しずつ少しずつ、サラサラと世界に溶け込んでいく



何年も何年も、大切な約束を守れずに

若い頃に見てた夢も忘れてしまって

いつかあった私の形が、塩の柱みたいに崩れていって


自分が、かつて何者だったか分からなくなるほどの時間がたって




そうして、今に至ります



ただ生きる。生きるために、今日を、毎日を生きてます


【そして、とある未来】

【午前9時01分】






唯(45)「おーい、朝だよ~」

唯の息子(15)「う~ん……zzz」


唯「ほら、こーちゃん。今日は大事な日なんじゃないの?」

子「うん……? 大事な日…………」ムニャムニャ


子「あ、やべ! 今日はデートじゃん!」

唯「ほら、さっさと起きる!」


子「うわわわ!」


子「っていうか、イマ何時?!」

唯「9時を少し回ったとこ」

子「よかった、セーフ……」ホッ

唯「でもでも、準備があるから余裕はないよ」

唯「まずは顔洗って、ボサボサ頭を整えて、朝ごはんを食べちゃって!」

子「おー」


唯「お、来た来た。遅いよ~!」

子「やー、なかなかセットが決まんなくて」

唯「まったく。この子はモー……」


唯「ホラ、ごはん用意したげたから、さっさとする!」

子「サンキュー、母ちゃん! いただきまーす!」


子「うめー」モグモグ

唯「うふふふ」


唯「ねーねー、こーちゃん?」

子「ん、何?」


唯「今日のデート相手って、確か同じバンドのベース少女ちゃんだっけ?」

子「や、何べん言わすんだよ。同じ部の先輩。3年生で、担当はドラム!」

唯「あー、そっかそっか。そーだった!」




唯「ねーねー。因みにどんなコ? かわいい??」

子「う、うん。めっちゃいい人だし、すっげーカワイイひと、だよ///」

唯「ほほー、いいですなぁ……///」


唯「ねーねー。今日のデートだけどさぁ……」

子「?」

唯「その、母ちゃんも、一緒に同伴しちゃ、ダメかな???」

子「…………絶体ダメ! なにいってんだアンタ!!」


唯「だったら、こっそり尾行しつつ、記念のビデオ撮影とか…………」

子「……カンベンしてくれよ。付いてくんな!」シッシッ

唯「ヴー、けち~」

子「まったく……」


唯「しかしまー、感慨深いなー」

子「えっ、何が?」


唯「私の子も、自分と同じく高校から軽音部入ってバンド組んだとか。やっぱ遺伝だなーって」

子「……まぁ軽音部っていうか、あれだけど」


子「…………なぁ母ちゃん?」

唯「んー?」


子「その、母ちゃんも昔バンドしてたって言うけど、それは本当の話なん?」

唯「ほんとほんと、大マジだよ~」

子「え~」

唯「『え~』とはなにか(怒)」


子「だってさ、母ちゃんがバンドしてた風とか、練習頑張ってた様には思えねーもん」


唯「このー、言うようになったね~」


唯「あれだよ、こー見えても母ちゃんは、若いときは凄腕バンドマンだったのだからっ」エッヘン!

子「……例えば、どのくらい?」

唯「デビュー曲が、ニ○ニコ動画ランキングで1位取ったり!」

子「……えぇぇ」


唯「文化祭のライブでも、母ちゃん達の演奏を聴きに、めちゃめちゃ人が集まったり……」

子「……んん、どのくらい??」

唯「……ご、五十万人くらい、だったと思う!」

子「それは、ウソでしょ?」

唯「…………すみません、これは嘘でした」


唯「やー、でもね。練習とかは毎日やってたんだから!ほんと!!」

子「へー」


唯「放課後に毎日集まって、みんなで一時間くらい……」

子「一時間くらい……?」

唯「……お茶会をしたり!」

子「……お茶会!?」


唯「その後みんなでまた、一時間くらい、お喋りしたり!」

子「お喋り!??」


唯「そんでそんで、それから練習をね、ちょっとやってた!」

子「……」


唯「……あー何か『そこはもっと練習しようよ』とか思ってるでしょ!」

子「……ん、まぁ少し」

唯「ふーんだ!」


唯「いいんだよ。私たちは楽しい一時を過ごせてたんだから!」

子「うん、まぁね。楽しいのが何より」


唯「……ちなみに、こーちゃんはバンドとか、楽しい?」

子「あ、俺? うん。スッゲー、楽しいよ!」


子「先輩も仲間も、みんないい人でさ。ケンカしたりもするけれど」

唯「うんうん」


子「それでも自分のやりたい事に挑戦できて、上手くいって、」

子「でも本当に本当に大事なトコは、思った通りにはならなくて」

唯「ほうほう」


子「大変な事も多いけど、まぁそれでも、あの場所で、あの皆と頑張っていきたいって、思ってる」

唯「おー、いいね~。私とはゼンゼン違うけど、青春そのものだね~」


唯「ふふふ。いいことだよー。そんな素敵な場所と、出会えた人達を、大切にしてね!」

子「……あぁ」

唯「きっと、きっとね!」


唯「自分が望む場所で頑張れたって思い出と、一緒に過ごした仲間との思い出は、」

唯「この先ずっと、自分を支えてくれる、人生の宝物になるから……」

子「……かーちゃん、いいこと言うなぁ」




唯「あー、でも楽しいコトだけじゃ駄目だよ~」

子「うん?」

唯「しっかり勉強もして、将来できたら、お堅い職業に就きなさい!」

子「あぁ、分かってるよ~」


唯「ま、とにかく今日のデート頑張って!」

子「おっと、そろそろ出発の時間だな」



唯「それじゃ、あーゆーれでぃ?」

子「いえっさー!」



唯「服装や髪形!?」

子「バッチリ!」


唯「ハンカチにティッシュ!?」

子「ポケットに!」


唯「デートプランは!?」

子「一週間、練りに練った計画と、そのメモ帳!」サッ

唯「よろしい!」


唯「最後に、お財布と携帯は?」

子「どっちもココに……って、ああヤベー!」

唯「どしたの?」

子「ケータイの充電が、もう10%もない!」


唯「また!? 寝る前に充電しときなさいって言ったじゃん!」

子「ああああ、どーしよー」

唯「まったくモー、この子ったらホント残念系男子なんだから」ヤレヤレ

子「……母ちゃんには言われたくねーよ」


子「まぁいいや。充電なくても問題ないっしょ」


唯「あれ、もう行くの?」


子「あぁ、帰りはあんまり遅くなんねー様にするから!」


唯「はいはい。気をつけてね。いってらっしゃーい!」ノシ

子「行ってきまーす!」ノシ


ガチャッ バタン!

タッタッタッタッタッ♪



唯(ふふふ、楽しそうな足音を鳴らして走ってった♪)

唯(……さてさて)

唯(それじゃ、私も出掛けますか~)


【駅前・待ち合わせ場所】

子(ちょっと、早く来すぎたかな……?)






ガサゴソ

唯(ふふふ、植え込みの陰から、コッソリ観察……)


唯(いやー、あの子には来るなって言われたケド、)

唯(こればっかりは、譲れないなー。デートの様子見!)

唯(……将来、ウチにお嫁にくるコかもしんないし♪)

唯(途中までなら、付いてっても、バチは当たらないよ、ね???)



ガサゴソ

唯(確かデート相手って、いい人でカワイイ、同じ部で3年生の先輩らしいけど)

唯(どんなコだろうなー、楽しみだなー)ワクワク





子「き……緊張する……」ドキドキ


美少女「おまたせ~。待った?」

子「!」





ガサゴソ

唯「ふ、ふおおおおおお!」


子「先輩……その、今日も一段とカワイイっす!」

美少女「そ、そぉ?」


子「今日はよろしくお願いしま~す!」ドゲザー

美少女「あ、や、こちらこそ!」


美少女「男の子と出掛けるなんてあんまりないから、ちょっと服とかも考えちゃったけど」

美少女「よかった~、へへー」クルッ




コソコソ

唯「……」


唯(あ、あの美少女が、デート相手の先輩!?)

唯(ふわっとした金色の長い髪、年上なのに小さくって……!)

唯(なんていうか、こう。お人形さんみたい!メッチャかわいい!!!)


子「オレもいろいろプラン立てました! 頑張りますよ~!!」

子「映画でも、遊園地でも!!」

美少女(張り切ってる……)


子「まずは……映画か……」

美少女(あんまり、寝てないのかな……)


子「えーと、そうすると…………」

美少女(ホント……いつも一生懸命でかわいいなぁ……)クスッ


美少女「一緒ならドコでもいいよ、お任せする!」

子「ハ……ハイッ!」


コソコソ

唯「……」


唯(あ、あんな美少女さんを捕まえられるなんて……)

唯(我が息子ながら、おそろしいコ!)



子「映画、まだ時間ありますね~」

美少女「どうする?」

子「あ、ゲーセン!」




唯(お、移動するみたい)

唯(私もついてこ)コソコソ


J( 'ー`)し「……」





J( 'ー`)し「……」コソコソ


【ゲームセンター】


美少女「UFOキャッチャー、いける?」

子「任せてください!」


ウィーン ウィーン!


ガシャガシャ! ガシッ♪


美少女「お……お……!」

ウィーン……ガタン♪

2人「やったー!」

子「やりました~!」


子「センパイ!どうぞ!!」

美少女「ありがとう! 大事にするね!」


唯(……おお、今のはポイント高いよ)

唯(ぐっじょぶ!)







J( 'ー`)し「……」


J( 'ー`)し b


【洋服屋】

子「センパーイ! このワンピースとかどうすか!?」

美少女「ほほぅ……」


~試着~


ワンピース少女「フムフム、どうかね?」

子「先輩!いいっす!! 」

子「あ、こっちも」


~試着~

ボーイッシュ少女「こんなのは?」

子「先輩いいいっっす!」

子「ああ、アレもいい!」

ボーイッシュ少女「え、まだやるの?」


~試着~

着ぐるみ少女「……」

着ぐるみ少女「なにコレ?」

子「先輩いいいいひゃっっほいいいいい!」




~着替え~

美少女「……あのさ、服着てりゃ何でもよかったのかい?」

子「無くてもいいぐらいっす!」

美少女「それはやだよ……;」

美少女(わかってたけどバカなんだな……この子は…………)


唯(うぅぅ)

唯(バカなコに育てちゃってごめんね、美少女ちゃん)






J(;'ー`)し「……」


子「あ、そうこうしてるウチに映画の時間がマズイ!」

美少女「よし、ならダッシュだ!付いてこい!」

子「はいっ!」

タッタッタッタッタッ♪


唯(私も追跡!)

タッタッタッタッタッ!


J( 'ー`)し「……」

タッタッタッタッタッタ


【映画館、受け付け】


子「えっと、高校生2枚ください!」

スタッフ「はい、こちらになります」

美少女「どうも~」





唯「えっと、さっき息子が、いや高校生カップルが買ったのと、同じ映画のチケットを!」

スタッフ「は、はぁ………」




J( 'ー`)し「あの…………」

スタッフ「???」


~ 上映中 ~



美少女「やー、面白いね~」

子「はいっ、めちゃめちゃ良い映画っす!」



唯(……ふわぁぁ。いけない、難しくて半分くらい寝ちゃってるよ)



J( 'ー`)し「……」ワクワク


【上映後】


子「楽しかった~」

美少女「次は~」



唯(おー、和気あいあいで、いいね~)




J( 'ー`)し「……」






 そうして、2人のデートは進んでいきました


【夕方】



唯(いやー、順調順調!)


子「人、増えてきましたねー」

美少女「……うん」

子「次、楽器屋でもいきます?」

美少女「……」

子「先輩?」



唯(む?)

唯(……この流れは!)


美少女「あのさ」

美少女「キミはさ、3年生であるボクが……」

美少女「引退して部からいなくなったら……寂しい?」

子「そ、」



子「そんなの寂しいに決まってます!」

子「というか、オレは……!」


子「オレは…………!!」

美少女「……」


美少女「ねぇ……どこかでお話ししない?」

子「え」


美少女「何が好き、とか……」



美少女「家族の話とか……」


美少女「どういう風に育ってきた、とか……」



美少女「お互いの知らなかったこととか……」

美少女「いっぱい話そう///」

子「……………………はい!」

コソコソ

唯(ははーん、これは)




唯(…………)




唯(オチたね、これは!)グッ


唯(…………)


唯(……よし、じゃぁ私はもう帰ろうか)



唯(お夕飯の仕度もあるし、)


唯(これ以上2人を追いかけ回すのは、悪いよね)



唯(この後は何事もなく、)


唯(デートの最後に告白して、付き合い始める……)



唯(そんなパターンでしょ、間違いない!)キリッ!


唯(それじゃ、お邪魔な母ちゃんは撤退~!)テクテク


J( 'ー`)し「……」




J( 'ー`)し(……がんばって!)




J( 'ー`)し b


【駅前】



唯(と、帰る前に、ちょっと休憩!)

唯(駅前のベンチに、どっこいしょ!)ドスン♪


唯(いやー、思いの外歩き回ったなー)

唯(若いコはホント元気だわ~)



唯(あのコたち今頃、何してるかなー?)

唯(もう告白とかしちゃってたりして!?)キャー///


唯(ふふふ~)


唯(もし二人が上手くいって、付き合うとか、お嫁にくるとかだったら、大賛成!)


唯(いいコみたいだし、抱き締めたくなるほどカワイイし!)

唯(ほんとにお人形さんみたいだったよね~)

唯(私がこどもの時に一緒に遊んだ、大事なお人形に、ソックリ!)



唯(…………んん?)



唯(待って、私はそういう人形とかは、持ってなかった様な気も?)

唯(あれ、じゃぁ何と勘違いしてるんだろう??)

唯(…………)

唯(金色の、ふわっとした長い髪)



唯(んん。分からないけれど、)

唯(あのコを見てると、なぜだか、懐かしい気分になるんだよね~)

唯(なんでだろ??)


J( 'ー`)し(……)テクテクテク


J( 'ー`)し(……アラ?)




J( 'ー`)し(あそこで座ってる人、昔、どっかで見たような???)


唯(……んん。まぁ、いいや)





唯(きっとこの後、あの二人は平穏なハッピーエンド迎えるんだろうなぁ……)

唯(それで二人、気の合う仲間たちと共に、キラキラした人生を歩んでいく……!)


唯(親元を離れ、自分の行きたい方向へ、自分たちの力で進んでく……!)


唯(そういうのって、いいよね。本当に青春!)


唯(…………)


唯(それに引き換え、大人になったのに、私は散々だなー)



唯(家族サービスはあんまりだけど、家庭を守ろうと仕事熱心な旦那がいてくれるのは、ありがたいことだし

、)

唯(息子の成長してく姿や、いつか家族が増えるかもってのは、ワクワクしちゃうけど……)


唯(それでも私は、私自身は、)


唯(もう、何もできない人間になっちゃった気がするなぁ……)




唯(……この後の人生は、味気ないものになっちゃいそう)


唯(まるで、砂や錆びだらけの、草も生えない不毛な大地を……)


唯(目的もなく、いく宛もなく、乗り物もなく、ゆっくりお婆ちゃんになりながら、)



唯(ただただ、1人裸足で、歩き続けちゃうみたいな)


唯(得意なことも、別にない。好きなことも、できてない……)


唯(家事とかも、そこまで上手くできる訳じゃなし……)

唯(パートのお仕事も、社員さんの言われた指示を聞いてるだけ……)


唯(もし結婚に逃げたりせずに、お仕事を頑張り続けてたり……!)

唯(大学でも、もっと勉強や就職活動をちゃんとしてたり……!!)

唯(バンドとかも、もっともっと一生懸命やり続けてれば…………!!!)




唯(今頃は、アイドルみたいに、キラキラ輝けてる、そんな人生を送れていたかなぁ?)


唯(…………ううん)



唯(いけない、こんな暗いことを考えちゃうのは良くないね!)


唯(そうだ! こういう時は、気分が明るくなって、元気の出る歌を唄っちゃおう!)

唯(鼻唄で! そう、『ふわふわ時間』を!!)



唯(たしか出だしは……えーと)


唯(思い出した! よーし! 久しぶりに歌うぞ~)


唯「 ~ ♪ 」

J( 'ー`)し「!!?」ピクッ







唯「 ~ ♪♪ 」

J( 'ー`)し「!!!!!!」


J( 'ー`)し「あ、あぁ…………!」


唯「~♪」

唯「…………」


唯「…………??」


唯「あれ、2番の出だしはどんなだっけ?」

唯「…………」

唯「もう歌うことも、ギター弾くこともないから、忘れちった……」

唯「とほほほ……」


J( 'ー`)し「うぅぅ、うぅぅぅ」タッタッタッタ!


J( 'ー`)し「唯ちゃん!」


唯「ほえっ!?」


ガバッ!

むぎゅぅぅぅぅぅぅぅ

唯「あわわわわえあわ!?」


唯(い、いきなり見知らぬ人に抱きつかれた!?)

J( 'ー`)し「うぅ……」

唯「ど、どうしたの? アナタ誰? 何があったの??」

J( 'ー`)し「ごめんね、ごめんね。唯ちゃん、ようやく出会えた……」


唯「えっ??」


J( 'ー`)し「あ、これじゃ分からないわよね、変装してるし」

唯「ええっ?」


J( 'ー`)し「こんな姿だけれど……」



J( 'ー`)し「私はムギよ。旧姓、琴吹紬。久しぶりね、唯ちゃん!」


唯「……………………」




唯「どぅええええええええ!!???」


【喫茶店】

紬「それじゃ、再会を記念してかんぱーい!」

唯「か、かんぱーい! カプチーノだけど」


紬「うふふふ~」

唯「…………」


唯「いやー、まさかムギちゃんと会うことになるとは、ビックリだ!」

紬「うんうん、私もビックリ!」


唯「ところで、カーチャン……じゃなくて、ムギちゃんは、さっきまで何してたの?」

紬「あっ、えっと……その、内緒にしてほしいんだけど、」

唯「ふむふむ」

紬「娘が、同じ部の後輩とデートするって言うから、気になってコッソリ追跡を…………///」

唯「…………ほぇ」


紬「相手もちょっと心配なトコあるけど、素敵な男の子で、」

紬「映画見たり、デートもいい雰囲気みたいで一安心だわ~」



唯「…………え、えーと」

唯「ね、ねぇ。ムギちゃん?」

紬「なぁに?」



唯「その娘さんが見た映画って、もしかして、このチケットのヤツ?」

ガサゴソ

紬「あっ、それそれ! 唯ちゃんもこの映画を観に行ってたんだ!」

唯「…………あ、いや、実はね」


唯「その、私も息子が先輩とデートするって言うから、気になって追跡を…………」

紬「へー、そうなんだ。奇遇ね~」



唯「…………」

紬「えっ」


えええええええええええ


唯「ま、まさかさっきの美少女ちゃんが、ムギちゃんの娘とは…………」

紬「そんな、美少女なんて/// ほんと家ではお転婆で困っちゃうもの……///」


紬「それにしても、唯ちゃんがあの素敵な男の子のお母さんだったなんて……凄い運命よね、奇跡みたい!」

唯「まぁ、ちょっとおバカなトコあるけど、いいヤツですよ。自慢の息子です!」エッヘン!

紬「うふふ~」

唯「それに、思わぬ形で、ムギちゃんと引き合わせてくれて、圧倒的感謝!!」

紬「ほんとほんと!」


紬「ね、ねぇ唯ちゃん、最近はどう?」

唯「最近?」

紬「お仕事とか、趣味とか。それにやりたい事とか、ある?」

唯「んーとねー」


唯「お仕事は、近所のお店でパートしてるよ~」

紬「ふんふん」

唯「趣味とかも、家事とかで忙しいし、空いた時間でネット見るくらいかな……」

紬「へー」


唯「そんでね、動画サイトとかで、よくバンドとか個人創作の音楽とか観てるんだけど、」

唯「おなじみの、原点にして頂点みたいな人達だけじゃなく、」

唯「埋もれてるけど、『もっと評価されるべき』みたいな人や曲がたくさんあるんだ~!」

紬「うん……??」


唯「そういうのに、スポットライトを当てるような、まとめサイトとかを作りたいかなーって」

紬「おー……??」


唯「…………まぁでも、私はパソコンとか詳しくないし、既にそういう事してる人やサイトもあるし、」

唯「何より時間もなくて、私じゃできそうにないケド、エヘヘ……」

紬「そっちの方面はよく分からないけれど、いろいろあるみたいね~」


唯「ムギちゃんは? どんな感じ?」

紬「私?」

唯「お仕事とかはしてるの?」

紬「う、うん。ちょっと、会社をしてます……!」


唯「会社してるって、社長さんなの!? す、すごい!!!」

紬「えへへへ////」



唯「流石はムギちゃん、すごい! すごいよムギちゃん!!」


紬「色々と、大変だったんだけど……」

紬「最近ようやく、余裕がでてきたの!」


紬「ねぇ唯ちゃん!」

唯「なぁにムギちゃん?」



紬「さっき歌ってくれて、ありがとね」

紬「歌ってくれたから、唯ちゃんに気づけた。また出会えた!!」


唯「いや、そんな……」




紬「さっぱり連絡取れなかったのに、ここで会えたのも、きっと何かの縁、」

紬「単刀直入に、お願いしたいの!」

唯「……ふぇ?」


紬「昔みたいに、私たちと、りっちゃん、澪ちゃん、梓ちゃんで集まって」

紬「またバンドを、復活できないかしら!!!?」









唯「…………………!!!!!」


それから……

【スーパー】

唯「えっと、今日のごはんは、おかずは~」


唯「……しかし、バンド復活か~」



『他のメンバーとは、ちょくちょく連絡とってたの!』

『みんなバラバラの地方にいて、中々会えないけれど』

『唯ちゃんも含め、もう一回、みんなで集まりたいなって』


唯「…………むむむ」


唯「まさか、この年になって、バンドに誘われるとわ…………」


唯「体力とか、若いときより全然ないし、ギー太も、実家のドコに仕舞ったっけ?」

唯「コードとかも忘れちゃってるぽいし、」

唯「そもそも、今じゃギー太を持ち上げることも、できるかなぁ…………??」


ミクさん『ラララ~♪』

唯「お!」ピクッ



ミクさん『ララララ~♪』

唯「おお、このスーパーのBGM、ミクさんだ!」

ミクさん『ラー♪』




唯「はぁ……ミクさんは凄いよね。私がバンドし始めた頃から、今まで」

唯「みんなから愛されて、ずっとずっと、歌い続けてる!」


唯「……もし、」

唯「もし私もバンド再開させたら、あの頃みたいな人気が、出るかなぁ…………」

唯「ミクさんと同じくらいの、すごい勢いあった……!」



ミクさん『ラーララー♪』



唯「うん」


唯「よし、決めた!」


PRRRR



やっほー、ムギちゃん。唯だよ~


えっと、今日はありがとね。私もムギちゃんに会えてよかった!


それでね、バンドの件なんだけどさ。


うん、またやってみようかなって


えへへへ


そーそー。昔みたいに、甘いケーキを囲んで


みんなでお茶会して、お喋りして、バンドをするの!


もうオバサンで、小皺とかも目立つから、

ピチピチだった頃みたいな、人気はでないだろうけどさ……




それでもまた、みんなで集まって

素敵な演奏が、できたらいいなって


…………うん。うん

そうだよね。そーなんだよ。


やっぱさ、私の場所は、あそこだったと思うんだ~



今はもう、家族もできて、生活するのが大変で


私たちも世の中も、あの頃とは姿が全然違ってて


望んだ場所は、すっごく遠ざかっちゃったけど


それでも、待っててくれるカモしんない人に向けて


私たちを知らない人や、忘れちゃった人にも向けて


何より、私たちが満足できるような演奏を、


上手くいくか分からないけど



そう、もういっかいでもいいから、してみたいなって!


えへへ


もしかすると、またたどり着くには、


おばあちゃんになるまで掛かっちゃうかもだけど……



でもね。また歩んでいくの



自分の足で、自分の意志で

みんなと一緒に、ちょっとずつでも♪


望んだ場所で、私も、好きな歌を歌い続けるために!


それじゃ、今日はありがとう


誘ってくれて、嬉しかったよ



うん、じゃぁ、また会おうね







バイバイ、さん きゅ~♪


あとがき!

・衰退がテーマの某曲を聴いて、思い浮かんだSSだった

・いや、あれで衰退と言われるのなら、けいおん!や、このSS界隈はどうなるんや!? (´;ω;`)


・だいたい、言いたいことは作中に。1作品があっても解決することはなく、インフラとかから変えないと無理


・曲ネタ、音楽系ネタを入れたけど、気づいて欲しいような、スルーして欲しいような……


・けいおんアニメ3期! まだ待ってます!


・大変なことも多いけど、また1年頑張っていきましょう!


・お読み頂き、ありがとうございました!

乙でした
…俺も三期は観たいけど…きららファンタジアにすら居ないからなぁ…

おつした

米津くん……

かつてはミクさんと双璧をなすコンテンツだったのに、時代の流れはオソロシイ
でも、けいおんSSは未だにチョイチョイあるのは救い

愛のこもった作品をありがとう

おつやで
三期来て欲しいよね

レス感謝!

>>127
うぅ…… (´;ω;`)

>>128
おっとそこまでだ!

コスプレとかファンアートとか、チョコチョコあるのも救い

>>129-130
愛というか、焦燥感とか、やるせなさが込もってしまった様な気がします……

>>131
ときどきは単行本とか読み返しながら、ゆるーく待ちたいです

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom