【ゆゆゆ】結城友奈「東郷美森は平常運転である?」 (22)


PCゲーム、ゆゆゆい、のわゆ、読み切り小説等のネタが多少含まれています
時間軸的には勇者の章1話前後です





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*ある日・三人での部室

乃木園子「わっしー……私眠いんよ……」ウツラウツラ

東郷美森「そのっちが眠そうにしているのはいつものことだけれど、今日は一段と眠そうね?」

園子「昨日は十時間しか、寝てないんよ……」

美森「それは寝過ぎよ、そのっち。九十分周期に睡眠を組み込めていないのと睡眠過剰で眠くなっているのよきっと」

園子「それは言わないお約束だよぉ、わっしー」

結城友奈「……」

友奈「ねぇ、東郷さん。園ちゃんがわっしーって呼んでいる由来は今更だけど聞いても良いのかな?」

美森「もちろん構わないわよ、友奈ちゃん。──私は昔、小学6年生の時分に、鷲尾という親戚筋の養子となったの。その際改めた名前が鷲尾須美になるわ」

園子「当時の勇者は大赦の身内でやっていかなければならなかったからね。名家である鷲尾家はどうしても勇者の素質のあるわっしーが欲しかったんだよ」

友奈「そう、なんだ……。そ、それじゃあ私も東郷さんのことを須美ちゃんって呼んじゃったり、なんて──」

 その時、東郷美森に電流が奔る!
 記憶にないはずの思い出(詳しくは花結いのきらめきをよろしくな!)が須美の頭の中を駆け巡ったのだった!

美森「友奈さん! 今からでぇとに行きましょうか!?」ガバッ

友奈「と、東郷さん……?」

園子「わっしー、ゆーゆに近づき。あと、鼻息荒くてちょっと怖いよ?」

美森「ご、ごめんなさい友奈ちゃん。新鮮な呼ばれ方だったものだからちょっとだけ興奮しちゃった」ハァハァ

友奈「そ、そうなんだ。……ええと、須美ちゃん?」

美森「はい! 友奈さん!! どこまでもお付き合いさせてください!!」クワッ

園子「……人様にお見せできない顔になってんるよ、わっしー……」

 ……うん、須美はこういう奴だったな




*ある日・東郷宅

美森(返ってきた私たちの供物……。だけれど、これは本当に私たちのものなの?)

美森(端的に言えば、自分の肉体で五感のはずなのに"慣れる"のに時間が掛かり過ぎだったように思うのだ)

美森(例えば夏凜ちゃん。彼女の満開時期を考えれば、私の足のように筋力が衰えていることは考えづらく供物返還と共に歩行可能となっていてもおかしくないのではないだろうか?)

美森(もちろん神樹様の行うことを現実の事象と照らし合わせることは無為であるのだけれど違和感はどうしても付きまとう。現に私の記憶だって──)

美森「……はっ!」

 その時、東郷三森は天啓を得た!

美森「もしかしてこれは──"供物返還がちゃ"と言うものなのかしら!?」

美森(返ってきた供物に違和感があるのは、そう! 神樹様が他の子と取り違えてしまったに違いないわ!)

 ガチャって、須美……・
 あと、それだと随分おっちょこちょいな神樹様になってしまうぞ?

美森(足の機能を供物として捧げたのは私、そのっち、夏凜ちゃん、そして──友奈ちゃん!)

美森(つまり、この足の機能は! 友奈ちゃんのものなのかもしれない!!)スリスリ

 ……おめでとう! 須美は脚フェチに進化した!
 と言うかさ、考えてみれば神樹様こそ脚フェチなのかもしれないよな




*ある日・夏凜の家

美森「友奈ちゃんの立ちくらみが心配なの……」

三好夏凜「友奈自身は大したことがないって毎回言っているけど確かに気になるわよね」

美森「あまり考えたくないことなのだけれど、立ちくらみの間、実は樹海化が起きていて、友奈ちゃんが一人でバーテックスと戦っているなんてことを最近考えてしまうの……」

夏凜「そ、それはちょっと飛躍し過ぎじゃない? 第一、そんな大事を秘密にするような子じゃないでしょうよ」

美森「もちろん、私も分かってはいるのだけれど、どうしても考えが頭を過ぎってしまって……」

夏凜「そもそも、私たちの身体って前より疲れやすくなっているわよね? だから、友奈の立ちくらみもその部類じゃないの?」

美森「……やっぱり夏凜ちゃんも自覚していたのね。でもね、夏凜ちゃん! 例えば、友奈ちゃんが過去の世界に行って今も戦っていたりとか、考えたりすることはない?」

夏凜「流石にないわよ! でも、ええと、高嶋友奈だっけ? 園子の家の倉にあった書物に書かれていた先代勇者の名前。あれが友奈本人かもしれないって東郷は思っているってこと?」

美森(そう、二冊目の勇者御記には友奈ちゃんと同じ名前の勇者が居て、そこではきっと仲間の勇者と共に──)プルプル

 あー、ここから少しだけ須美の妄想が入るッス


■■■『高嶋さん。今日は一緒にこのゲームをしましょう』

友奈(アホ毛)『わくわく、どんなゲームかなぁ。何だか可愛い女の子の絵がいっぱい描かれているね、■■ちゃん』

■■■(高嶋さんと二人で恋愛ノベルゲーム……なんて罪深い行為なのかしら! だけど、もう引き返すことなんて出来ないわ!)ドキドキ


美森「そして遊んでいるうちに電子紙芝居に影響されて二人は良い雰囲気になるに違いないわ! それから、それから……っ!? ゆ、許すまじ■■■!!」

夏凜「お、落ち着きなさいって東郷! あと、■ってどう発音している言葉なのよ!?」

 ■■さん、うちの須美がご迷惑をおかけしています




*ある日・部室で二人

犬吠埼樹「えい! ……戦車の逆位置……。あ、あの! 東郷先輩」

美森「なあに、樹ちゃん? ぼたもち食べる?」

樹「あ、はい。ではなくて、もしかして東郷先輩、何かにお悩みですか? ぼたもちは後でいただきます」

美森「……」

美森「……樹ちゃん、私って分かりやすいものなのかしら?」

樹「あ、いえ、タロットの結果なだけなんですが……。でも、本当にお悩みだったんですね。私で良ければ聞きます、お話! ……その、本当に聞くだけになっちゃうかもしれませんけど……」

美森「……ありがとう、樹ちゃん。悩んだら相談だものね。でも、聞いていて愉快な話じゃないし、皆との決め事を少し破ってしまうような話になってしまうのよ」

樹「大丈夫です。私これでも口が堅いんですよ?」ニコッ

美森「……本当に勇者部の未来は安泰ね。あのね、樹ちゃん……」

美森「──私には贖罪が必要なのよ」

樹「ええと、しょくざい……罪を償うって意味でしたか?」

美森「ええ。私は壁を壊してこの世界を終わらせようとした。その事実は例え優しい皆が許してくれても決して消えることはないの」




樹「そんなことありません! 東郷先輩は誰よりも苦しんで、その、想像しかできませんけど辛いなんて言葉では表現できないくらい大変だったはずで、そんな思いをすればきっと私だって──」

美森「……樹ちゃんのその言葉だけで救われる心地よ。ありがとう、樹ちゃんは本当に優しいね」

樹「いいえ、こちらこそありがとうございます。それに、東郷さんはもっと優しいから思い詰めてしまうんだと思います。だから、頼りにはならないと思いますけど、私を頼ってもらえると嬉しいです。もちろん、お姉ちゃんや友奈さん、夏凜さん、園子さんにもです」

美森「……風先輩が樹ちゃんの成長を泣いて喜ぶ気持ちがよく分かるわ。ねぇ、樹ちゃん、抱きしめても良い?」

樹「えぇ!?」

美森「だめ?」

樹「え、え、ええっと……はい、どうぞ」モジモジ

美森「かわいい!」ギュッ

樹「うぅ……何だか恥ずかしいです」ウゥ

美森「……本当に、本当にありがとうね、樹ちゃん……」ポツリ

 ……ああ、そうだ
 辛いときは仲間に、友達に、頼って良いんだよ、須美



美森「それでね、樹ちゃん。迷惑ついでにもう一つ相談しちゃうけれど、私最近皆の脚の美しさに魅了されちゃって目が離せなくて困っているのよ」ジー

樹「……へ?」

 須美の奴、鼻血流しながら樹さんの脚を観てるし!?
 良い話が台無しだよ!




*ある日・犬吠埼家

美森「風先輩」キリッ

犬吠埼風「……どうやら深刻な話のようね。何があったの?」

美森「友奈ちゃんの脚が自分の脚に付いていると思うと夜も眠れなくなると思いませんか?」

風「何言ってんの、あんた?」

美森「風先輩も私たちに返ってきた供物へ違和感を覚えたことはあったはずです」

風「そりゃあ、まぁね。ってやっぱり真剣な話っぽいじゃない。……ああ、良かった。さっき友奈の足とか聞こえたのはアタシの空耳だったのね」

美森「だから、私の脚が友奈ちゃんの脚の機能で興奮します」

風「空耳じゃなかったッ!?」

ガララッ

樹「おはよー、おねーちゃん……」

風「ほい、おそよー」

美森「お邪魔しています、樹ちゃん」

樹「あれ……とうごう、先輩!?」ササッ

風「……なんで東郷を見て一番に自分の足を手で隠すのよ。──ねぇ、不思議よねトーゴー?」

美森「風先輩」キリッ

風「あんたのその真剣な表情に最早嫌な予感しかしないけど、何よ?」

美森「風先輩のおみ足も肉感的で美しいですよ」キリッ

風「……ねぇ、樹。この東郷、病院に連れていなくても大丈夫だと思う?」

樹「ええと、色々な重さから解放されたんだよ、きっと。だから、今はあたたかい目で見守ってあげて」

 うちの須美がほんっとーに! ご迷惑をおかけしています……ッ!!




*ある日・東郷宅

美森「いけないわ、このままでは!」

美森(最近私は皆の脚に気を取られてしまっている。特に友奈ちゃんの脚と自身の脚が顕著だ。このままでは日常生活に支障が出るのも間近だろう。でも、この煩悩を祓うためにはどうすれば良いと言うの……?)

美森(!!)

美森「……あった。たった一つだけ皆の脚から救われる方法があった」

美森「これで皆(の脚)を救うことが出来る!」




*ある日・勇者部部室

園子「ごめんごめん~、もう始まってるー? 掃除当番の途中で寝てしまったんよ~」

夏凜「園子、そんな時に寝る事が出来るのはあなたくらいよね」

園子「わぁ! 褒められたー!」

友奈「良かったね! 夏凜ちゃんはなかなか人を褒めないんだよ」

樹「多分、褒められてはいないんじゃないかな……?」

風「さて、全員揃ったわね? じゃあ十二月期の部会、始めるわよ!」

友奈(秋まで色んな事があったけど、今讃州中学勇者部はこんな風にやたら元気です!)




*保育園でのボランティア後・部室

風「園子もさ、二人共一体どうしたのよ? 友奈は泣き出すし、園子はずっと怖い顔してるしで本当何があったって言うの?」

園子「……よく聞いてね? 今のこの記憶は嘘ってこと」

風「えっ?」

園子「なにかとんでもなく微妙な事が起きていて、それが何だか分からないけど、私達はそれをなかった事にしてる」

友奈「私、思い出した……。勇者部にはもう一人、とても大切な友達がいたんだよ」

友奈「東郷さん! ここに、東郷美森って子がいたんだよ!」

風・樹『!?』サッ

夏凜「あんたたち何脚を隠して──はっ!?」サッ




*夏凜の回想

美森「夏凜ちゃん……(私)もう手遅れだよ……」

夏凜「あんた、何言って!」

美森「夏凜ちゃんの引き締まった足から目を離せないの! どうしても離すことができないの!!」

夏凜「最近足元に感じていた熱っぽい視線って東郷だったの!?」

美森「夏凜ちゃんの脚でこうなんだよ? 友奈ちゃんの脚、私に付いている友奈ちゃんの脚の機能を見るともう自分を抑えることはできないの……」

夏凜「……ごめん。涙を浮かべているところ悪いんだけど、言っている意味が全然分からない」

美森「だからね、私、神樹様のところに行ってくるね」

夏凜「え、え……!? 話の流れが全然見えないけど、神樹様のところに行くって、あんた何する気!?」

美森「……」ニコ

夏凜「とう、ごう? ──東郷っ!!」

夏凜(悲しそうに微笑する東郷とそれを追いかけようとしていた私。多分、これが覚えている東郷との最後の記憶になる)




*時間は戻って部室

夏凜「私なら東郷を止めることができたはずなのに、東郷の言っていることが意味不明すぎて行動が遅れたんだ! ちくしょう!」ドンッ

風「私、部長なのに……また……」

友奈「でも、もう思い出した。何で、何が起こってるの……?」

園子「わっしー。今どこで、何してるの……?」



ガラッ

美森「東郷美森、ただ今帰還しました!」

友奈「東郷さん!?」

園子「わっしー!?」

樹「あ、お帰りなさい」

美森「ただいま、樹ちゃん」

夏凜「あ、あんた今まで何して──」

美森「何のこと夏凜ちゃん?」

夏凜「何のことって……あれ? 何だったかしら?」

友奈「ええと、東郷さんが家庭科室でぼたもちを作ってくれていたんだっけ?」

園子「わっしーのぼたもち美味しいよね~」

樹「私も東郷先輩みたいにお菓子を上手に作れるようになりたいです」

美森「なれるわよ、樹ちゃんなら」ニヤリ

 そして、東郷美森は記憶改変が成功していたことにほくそ笑んだのだった!

 ……はぁ、須美は昔から変なことにも全力全壊で参っちゃうよなぁ……




*東郷美森の真相

夏凜「あんた、どこに行く気?」

美森「どうして止めるの、夏凜ちゃん!」

夏凜「いや、止めてはいないけどさ。そっちは大赦よ? 勇者のお役目から解放された私たちが行ける場所じゃないわ。……って何で私の足元を見てんのよ?」

美森「夏凜ちゃん……私もう手遅れだよ……」

夏凜「え? あんた、何言って!」

美森(今も夏凜ちゃんの脚しか目に入らない。だけど、私は気付いたのだ。これは代償行動。自分の脚、友奈ちゃんの脚の機能を持つ脚に視線を向けないための防衛行動。このままでは大和撫子としての命に係わることは容易に想像がつく)

美森「だからね、私、神樹様のところに行ってくるね」

夏凜「え、え……!? 話の流れが全然見えないけど、神樹様のところに行くって、あんた何する気!?」

美森(私は勇者であり巫女。だから、私には神樹様の声が届いていて──。ごめんなさい、夏凜ちゃん、皆。少しだけさようなら)ニコ

夏凜「とう、ごう? ──東郷っ!!」ピタリ

美森(夏凜ちゃんは動きを止め──樹海化が起きたのだ──私は樹海の中をゆっくりと進んで行った)






美森(そして、私は神樹様に触れ、皆の記憶から居なくなった)





美森(私の目的は神樹様に供物を正しい持ち主へと返して貰うことだった。それが叶えば私の邪念は消え去り、日常生活に戻れると信じていたから)

美森(だけど、現実は残酷だった)

美森(私に戻ってきていた供物は友奈ちゃんのものではなかったのだ。それなのに邪念は未だに健在で消える気配すら見せない)

美森(その驚きと失望は計り知れなかったけれど、幸いにして私は同じ苦悩を共有できる存在と知り合うことが出来た)

美森(そう、神樹様だ)

美森(世間では脚ふぇちと呼ばれる者同士、それはもう語り合った)

美森(正確には言葉ではなかったのだけれど、互いの想いは確かに通じていた)

美森(そのような素晴らしい時を過ごし、私は今日再び勇者部への帰還を果たす)

美森(神樹様の計らいで私が居なかった期間の記憶は補てんされ、いつも通りの日常を取り戻していくはずだ)

美森(何より──)

美森(脚ふぇちである東郷美森を知っている者は、この世で神樹様しか存在しなくなる)

美森(これも神樹様の計らいだ。だから、その気持ちに応えるため国防へますます励もうと心に心に誓った)

美森(そして、私は日常へと戻って行った)


 ……真剣に語っているけどさ、須美
 実際には何から何までギャグでしかないよな、この回想!




*エピローグ・ある日の日常

風「今日は皆でゴミ拾いよー!」

勇者部『おー!!』


~歩道~

風「ほらほら、樹。ここに大物があるわよ~」

樹「ゴミ袋に入るかな……?」

夏凜「待ちなさい、樹! それはプラスチックに見せかけた金属よ! だからこっちの袋に入れなさい」

園子「へいへい、わっしー、ゆーゆ! こっちも部長たちに負けてられないぜぇ! 大物はっけーん! 捕獲します!」

美森「もう、そのっちったら元気なんだから」ジー

友奈「東郷さん凄いねー。一番後ろでゴミの見落としがないかしっかり見てくれているんでしょ?」

美森「え、えぇ! 町は隅々まで綺麗にしなくちゃ!」アタフタ

友奈「よーし! 私も見落とさないようにしっかり探していくぞー!」アシチラ

美森「……」マジマジ

美森(こうして、私は掛け替えのない勇者部での時間を取り戻した。どうか、いつまでもこの日常が続きますように──)ジー



 ……あ、うん。何となく綺麗な締めだとは思うけど、ほどほどにな須美?



                                      おしまい



何で脚フェチ東郷さんになってしまったのだろう?
ほのぼので書いていたのが、書いているうちに……
それはそれとして『結城友奈は勇者である 勇者の章』好評放送中です!
12月に中学生そのっちが追加される『花結いのきらめき』も要チェックだ!

では、またどこかで

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