【仮面ライダー555】草加「俺は必ず聖杯を手に入れてみせる!」 (130)

【弓道場にて】


草加「どういうことかな? 君が後輩に手を出したっていうのは…」

慎二「うるさいな! ちょっと何でもできるからって、偉そうにするなよ!」

美綴「ちょっと慎二!」

草加「…まあ、いい。今日は君が掃除当番だ。しっかりやってくれよな」

慎二「…」チッ


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美綴「——ということがあったわけよ」

士郎「へぇ、それじゃ草加の奴、珍しく怒ったんだ」

美綴「でもアイツの事だし、あんたと同じくらい草加を目の敵にしてるからねぇ。そのうち一悶着ありそうな気がするわ」

士郎「いくら慎二でも、草加に喧嘩売るほど馬鹿じゃないだろ」

美綴「だといいんだけど…」


【その夜、間桐の屋敷】


ガッシャン

慎二「おぃ、気をつけろよ全く!」

桜「すっ、すみません…」カチャ カチャ

慎二「飯は!? まだなのかよ!」

桜「ごめんなさい、これ終わったらすぐ準備しますから…」

慎二(くそッ! 草加の奴め、いつもいつも僕の邪魔ばかりしやがって…!)ガシガシ


【冬木教会】


草加「……」ジャラ

言峰「ほぅ、こんな夜中に何の御用かな?」

草加「…誰だ」

言峰「ここの神父だよ。君は何か、人には言えないモノを隠し持っているようだな」

草加「黙れ! 人を見透かしたことを言うな! お前に何がわかる!」

言峰「いやはや、これは失敬。だが、こういうのに興味はないか? どんな願いでも叶う、万能の願望器を手にすることができると…」

草加「何…?」



【運命の夜、校舎】


士郎「何なんだアレ、どう見ても普通じゃないだろ…」ハァハァ

ランサー「よぉ」

士郎「!?」キッ


ヒュンッ


ランサー(何…!? 今の動きは…)

士郎「ぐッ…」ゼェゼェ

士郎(だ、ダメだ…このままじゃ殺られる…!)キィィン

ランサー「…坊主、お前——」



凛「伏せて!!」ドンッ ドンッ

ランサー「チッ!」

士郎「と、遠坂…?」

凛(アーチャー、ランサーを追って! 私もすぐに追いつく)

アーチャー(了解した)

凛「ちょっと貴方、大丈夫!?」

士郎「…ッ!!」ダッ

凛「えっ、ちょ、待ちなさい!」


【衛宮邸】


士郎「…危なかったな」

士郎(それにしても、何だったんだアレは…)

士郎「!!」ビクッ


ドスンッ


士郎「ぐあッ!」

ランサー「今度は確実に仕留めさせてもらうぜ」

士郎「お前は…」

ランサー「さぁ、立てよ。少しは楽しませてくれるんだろ?」ジャキッ


バキンッ


士郎「がッ!!」ドサッ

ランサー「詰みだ。今のは割と驚かされたぜ、坊主」

士郎(なんだって、こんな事に…)

ランサー「しかし、わからねェな。機転は利くのに魔術は空っきしときた。もしかしたら、お前が七人目だったのかもな」

士郎「…」ギリッ

ランサー「だが、それもどうでもいいことだ。ここで終わりだ、坊主」

士郎(こんな…こんなところで——)


キィィン


士郎「…死んでたまるかァッ!!」カッ


ランサー「七人目のサーヴァントだと!?」


ガキンッ


士郎(な、何だ…?)

セイバー「サーヴァント《セイバー》、召喚に従い参上した」

士郎「お、俺は一体…」

セイバー「問おう。貴方が、私のマスターか?」


ランサー「ったく、いいところで邪魔が入りすぎなんだよなぁ」

セイバー「はあッ!」ガキンッ

ランサー「その剣捌き、さすがにセイバーってことでいいよな?」

セイバー「そういう貴方は、ランサーのサーヴァント」

ランサー「お互い顔見知ったとこで悪いが、今日のところは退かせてもらうぜ。ウチのマスターは臆病でね。あまり派手にやるな、だとよ」サッ

セイバー「逃げる気か、ランサー!」

ランサー「追ってくるなら構わんぞ。ただしその時は、決死の覚悟を抱いて来い」

士郎「おい、お前は… 」

セイバー「お怪我はありませんか、マスター」

士郎「何がどうなってんだ。さっきのアイツは?」

セイバー「ランサーなら逃げ仰せたようです。ですが、また別の気配が…!」シュンッ

士郎「お、おい! どこ行くんだ!」



セイバー「たあッ!!」ブオンッ

アーチャー「ぬゥッ…!」

士郎「やめろ、セイバー!」ビキィン

セイバー「ばっ…何をするのです!?」グググ

士郎「何もいきなり殺すことはないだろう! それに、こっちは何の説明もしてもらってないんだからな」

凜「…ふぅん。そういう事だったのね」

士郎「え…遠阪?」

凜「ちょっとお話いいかしら、衛宮君」


士郎「マスター登録って、教会にそんなところが…」

凜「ええ。胡散臭い神父がいてね、今回の聖杯戦争の監督役やってるのよ。あんまり会いたくはないんだけど」

士郎「ん…? おい、教会から誰か出てくるぞ」

凜「本当だ。こんな夜中に、誰かしら」

士郎「…もしかしてあいつ、草加か?」


草加「ん…?」

士郎「草加じゃないか。どうしたんだこんな時間に」

草加「そう言う君こそ、何だってこんな夜中にふらつき回っている?」

士郎「あぁ、いや、それは…」

草加「ガールフレンドと遊ぶのもいいが、こういう時間まで連れ回すのは感心しないな」

凜「ばっ…!」

士郎「違うんだ! これにはちょっとした訳が…」

草加「何でもいいさ。ただ、あまり夜更かしはしておかないことだ。ここも、最近は物騒だからね」


【冬木教会】


言峰「これで七人すべて揃った。ようこそ、新たなるマスター。君を歓迎しよう」

士郎「…」

言峰「どうした? まだ何か言いたいことでもあるのか?」

士郎「…本当に、その聖杯とやらを使えば、どんな願いでも叶うのか?」

言峰「無論だ。君は、聖杯には興味がないと言ったが、あれは本心ではあるまい」

士郎「…!」

言峰「現に今、君はマスターとしての資格を持ち、受け入れ、戦おうとしている。本当はあるのだろう? 内に秘めたる強い願望が」

凛「…?」



セイバー「終わりましたか、シロウ」

士郎「ああ。俺はこれからお前のマスターとして戦う。改めてよろしくな、セイバー」

セイバー「ええ。私もこれから、貴方の剣となり戦うことを誓います」

士郎「…」

セイバー「どうしたのです?」

士郎「いや…何でもない。もう帰ろう。さすがに冷えてきたしな」




凛「じゃあ、ここでお別れね」

士郎「ありがとう。世話になったな」

凛「お礼なんていいから。それよりも、ここからは私たちは敵同士よ。あまり馴れ馴れしくするもんじゃないわ」

士郎「そんな、俺は遠坂と敵対するつもりなんて…」

凛「貴方はもうマスターなのよ。それくらいの覚悟はしておきなさい」

士郎「…わかった。ただ、遠坂とはなるべく戦いたくないな」




イリヤ「ねぇ、お話はもう終わった?」


士郎「? 誰だ、あの子…」

凛「あれは…!」

イリヤ「なら、もう始めちゃっていいかな?」

バーサーカー「…」グルルル

士郎「お、おい…何なんだありゃ…」

セイバー「——シロウ、下がって」

イリヤ「いいよ。やっちゃえ、バーサーカー」



ドンッ


バーサーカー「■■■■■————!!」バゴッ

セイバー「くッ!」ミシッ

士郎「セイバー!」

凛「間違いない、あのサーヴァント…バーサーカーね!」

士郎「バーサーカーだって?」

凛「セイバー一人でどうにかなる相手じゃないわ。アーチャー!」

アーチャー(言われずとも、準備はできている)シュッ



バーサーカー「■■■■■■————!」グォォ

セイバー「はぁッ!!」ブンッ


ギンッ、ガキンッ


セイバー「あぐッ!」ズザァッ

士郎「セイバー!!」

セイバー(くっ…強い!)


ドゴンッ


バーサーカー「■■■■■■————!?」グラッ

アーチャー(手応えがまるで感じられん…)チッ



イリヤ「そろそろ終わりにしよっか。ねぇ? バーサーカー」

バーサーカー「■■■■■■————!!」ダンッ

セイバー「はあぁッ!!」


バキィンッ


セイバー「がぁッ!!」ガクン

士郎「危ない、セイバー!!」ダッ


ブシュゥ


士郎「」ドサッ

セイバー「…し、シロウ——!!」]



俺は、死んだのか。

燃える瓦礫の下敷きになったときと同じだ。体の熱が、少しずつ冷めていくこの感覚。

でも…これは“死”じゃない。

そうだ、俺はまだ…。



士郎「——ッ!!」ゴフッ

セイバー「シロウ! しっかりして!!」

凛「バカ! 何だってあんな真似を…!?」

士郎(だ、ダメだ…。遠坂やセイバーの前で、それをやったら…)

イリヤ「…何だか飽きちゃった。帰ろう、バーサーカー」

バーサーカー「…」ズシン



【衛宮邸】


士郎「う…ここは?」

セイバー「目が覚めましたか。シロウ」

士郎「セイバー…! それに、遠坂は——」

セイバー「シロウ、落ち着いて。貴方はあれから、丸二日も眠っていたのですから」

士郎「二日も…?」ズキ

士郎(…確か、セイバーを庇ったのか、俺…)



セイバー「シロウ。お目覚めのところ、こんな事を言うのもなんですが…」

士郎「…?」

セイバー「くれぐれも、あのような行動は二度としないでもらいたい」

士郎「…それって、俺がセイバーを庇ったことか?」

セイバー「貴方はマスターです。マスターである貴方がサーヴァントを庇って傷を負うなど、あってはならないことだ」

士郎「待ってくれ。俺はただ、お前が危なかったから助けようと…」

セイバー「その行為が余計だというのです。マスターに死なれては、サーヴァントである私は戦うことすらできなくなる」

士郎「余計…って、そんな言い方ないだろ…」

セイバー「…申し訳ありません。ですが、これだけは覚えておいてください。貴方を守るのが私の役目なのですから」

士郎「…わかったよ。俺も無茶はしないようにするから」



士郎「共闘?」

凜「ええ。正直、バーサーカーの実力は私の想像を遥かに上回ってた。そこで当面の間、私と貴方であのバーサーカーを倒すために協力し合いましょうってこと」

士郎「俺は構わない…というか、むしろ喜ぶべきところだな、遠坂がついてくれるんなら。セイバーはどうだ?」

セイバー「私も、凜の意見に賛成です。ここは協力し、バーサーカーを倒すために力を合わせるべきかと」

凜「決まりね。それじゃあ、今後は連絡を取り合って行動しましょう。あと、学校ではあまり派手に動きたくないから、できれば放課後に」



――三日後



士郎「また、生徒が犠牲に?」

凜「ええ。こんなの普通じゃない、きっとサーヴァントの仕業よ」

士郎「他のマスターが、サーヴァントに人間を襲わせているってのか…」

凜「ここまで派手に魂喰いさせるなんて、許せるわけないわ。絶対に炙り出してやるんだから」



草加「やあ、衛宮君。ちょっといいかな」

士郎「草加。どうしたんだ?」

草加「慎二君が、しばらく部活に顔を出してないんだ。もしかしたら君なら、心当たりがあるかもしれないと思ってね」

士郎「慎二が…?」

草加「彼のことだ。どうせサボりだろうとは思っているんだが…」

士郎「…すまない。放課後のあいつが何をしてるかまではわからないな。ただ、確かに今日は登校してたぞ」

草加「そうか…。ありがとう、邪魔をして悪かった」スタスタ

凛「…普段から思ってはいたんだけど、彼って何かイヤな感じがするのよね」

士郎「そうか? まあ、近寄りがたい気はするけどな」



【日没前、校内】


凛「もうほとんど生徒も下校したことだし、そろそろ手分けして校内を探しましょう。衛宮君は1階をお願い」

士郎「ああ。道場と体育館の周りも回ってみるよ」

凛「それと、一人で無茶しないこと。身の危険を感じたらすぐにセイバーを呼びなさい。私もできる限り追いつくようにするから。いい?」

士郎「わ、わかったよ。困ったら助けを呼ぶさ」

凛「それじゃ、行動開始よ。気を付けてね」



【弓道場】


士郎「道場には誰かいる…はずないよな?」ガラッ

草加「……」キュッ キュッ

士郎「あいつは…草加?」

草加「ン…誰だ?」

士郎「ああ、俺だよ。草加」

草加「なんだ、衛宮君か。こんな時間に何の用かな?」


士郎「えぇと…その、掃除だ、掃除。道場の掃除をしようと思って」

草加「掃除なら、たった今俺がやったところだ」

士郎「え? 何も部長のお前がそんなことやらなくても…」

草加「たまにはこれくらいやっておかないとね。それに、俺から言わせれば部外者の君がそこまでやる必要はないと思うな」

士郎「あ、ああ…そうだな」

草加「俺の用は済んだ。鍵を閉めるから、君も早く帰った方がいい」

士郎「わ…わかった。じゃあな」


【日没後、運動場】


士郎「どうだった? 遠坂」

凛「気配のようなものは感じ取ったけど、見つからなかったわ。そっちはどうだったの?」

士郎「俺も手掛かりになるものは見つからなかった。道場に残っていた草加と会ったぐらいだ」

凛「草加君が? まだ学校にいたの?」

士郎「ああ。でも、もうここにはいないと思うぜ。鍵閉めて帰るって言ってたしな」



【校内管理室】


草加「…全く、こんな遅くに何をやっているんだ俺は」ガチャッ


スゥ


草加「…?」


ヒュッ


草加「ッ!?」ガッシャン



ライダー「…」ジャラリ



草加「な、何なんだアイツは…!?」


慎二「やぁ、草加」

草加「その声…慎二か!?」

慎二「ダメじゃないか。こんな時間に残っていちゃ」ククッ

草加「お前…一体何のつもりだ!」

慎二「場所変えようぜ。屋上に来なよ」


草加「慎二ィ!」バタン

慎二「待ってたよ、草加」

草加「お前…何を考えてる!?」

慎二「何人か襲わせてみたけど、サーヴァントってのは凄いなぁ。あんな簡単に人が死ぬんだぜ?」

草加「貴様…!」

慎二「で、そろそろお前の出番ってワケ。前々から思ってたんだ。お前、邪魔なんだよね」

草加「ッ…!!」ギリッ

慎二「いいよ、ライダー。そいつ喰っちゃって」



ライダー「…」ジャラリ

草加(…なるほど。あの男が言っていたことは、こういう事だったのか…)

草加「俺だけならまだしも、お前は関係のない人間を巻き込んだ…」チャッ


[9][1][3]

[ENTER]ピピッ


草加「その罪は許されない…!」


『Standing By』


草加「変身!」カチッ


『Complete』


カイザ「…フン」クイッ



士郎「…? 何だ?」

凛「どうしたの?」

士郎「いや、さっきあそこが光ったように見えたんだが…」

凛「あそこ…って、校舎の屋上!?」

士郎「まただ、何か起こってるぞ!」

凛「…っ、行くわよ!」



ギンッ、ガキンッ


カイザ「はッ!」ブオンッ

ライダー(まさか、これほどとは…!)スタッ

慎二「な、何してるんだライダー! 早くやっちまえよそんな奴!」

ライダー(今のマスターでは、満足に戦えない…)チッ

カイザ「…」ジャコッ


『Ready』


ライダー(次で終わらせる…!)ビュオッ

カイザ「…」ピッ


『Exceed Charge』


バシュッ


慎二「ぐわぁっ!!」ビリビリ

ライダー「!?(狙いは私じゃない…?)」

カイザ「……とァッ!!」ダッ


ズバァッ!!


慎二「」シュゥゥ

カイザ「フ…」チャキ

ライダー「…!」


ピピッ、シュゥン


草加「…」カチッ

ライダー「…どういうつもりです?」

草加「俺の狙いは、最初から間桐慎二だった。一番弱い奴から始末した方が確実だからな」

ライダー「貴方は、一体…」

草加「さて…彼がいなくなったことで、君の主はどうなるのかな?」

ライダー「…(桜に戻るはず…)」



草加「そこで提案なんだが、こういうのはどうかな? 俺のサーヴァントとして戦うというのは」

ライダー「!」

草加「俺も用があるんだ、その聖杯とやらに」

ライダー(聖杯に?)

草加「間桐慎二と、その妹の桜についてはある程度知っている。君のマスターは本来、彼じゃないはずだ」

ライダー(この男、どこまで知っている…?)ジャリ

草加「すぐに決めろとは言わないさ。ただ、俺は桜が所属するクラブの部長をやっててね。彼女は少なからず、俺を頼りにしている所もある」

ライダー「…何が言いたいのですか」

草加「よく考えるといい。君と、今の彼女にとって何が一番良い選択かをね」




バタン!!


士郎「どこだ!?」

凜「衛宮君、あそこ!」

士郎「ッ! おい! 大丈夫か!?」

草加「…ん?」

士郎「おぃ……って、草加?」

凜「なっ、なんで貴方が、こんなとこにいるのよ?」


草加「さぁね。俺も、気になって来たんだ。でも、何が起こったのかさっぱりだ」

士郎「そ、そうなのか…」

草加「あるとすれば、そこに積もった灰くらいかな」

士郎「え?」

凜「…本当だわ。でも、何か燃やした跡があるわけじゃないし…」サラサラ



士郎「草加…本当に何も見てないのか?」

草加「…良くないな。いきなり人を疑うのは」

士郎「あぁ、いや、そういうわけじゃ…」

草加「何でもいいけど、言葉には気を付けた方がいいよ。君の為にもね」ポン

士郎「あ、あぁ…」

草加「さて、俺は帰るよ。君たちも、あまり長居はしないことだ」


――翌朝


セイバー「先輩、朝ご飯出来上がりました」

士郎「おぅ。ありがとう。んじゃ、いただきます」ズズ

セイバー「いただきます」

大河「…」


ブッ


セイバー「シロウ?」

士郎「熱ッ!!」ゴホゴホ

桜「え!? そんな、ちゃんと温くしといたんですが…」

大河「引っかかったなー! 士郎のいない間に、味噌汁をすり替えておいたのだ!」

士郎「あんたなぁ…俺が猫舌だってことわかってるだろ」

桜「あの…良かったら私のと交換しましょうか?」

士郎「いや、流石にそれは…口つけちゃったから冷まして飲むさ」フー フー



大河「そうだ! コレ、士郎に渡そうと思ってたのよ」ゴトッ

士郎「何だ? 随分とゴツいケースだな」

大河「覚えてる? 士郎が小さい時さ、よくこれで遊んでたのよねー。俺は正義の味方、“仮面ライダー”だ! って言いながらね」

士郎「! ちょっ、おい…!」

桜「先輩にも、そんな時期があったんですね…」

士郎「だっ、大体、何でこのタイミングで持ってきたんだよ?」

大河「いやさ、部屋を掃除してたら出てきちゃって。私が持ってるのもなんだから、士郎に返そうと思ったわけだ!」




大河「じゃ、学校遅刻しないようにねー!」ブロロロ

士郎「全く、朝から体力使った気がする…」

セイバー「シロウ、その玩具というのは…」

士郎「なんだ、気になるのか? ただのおもちゃだぞ」

セイバー「ですが、あんな丈夫な物に入れてあるということは、よほど大事にされていたのでしょう?」

士郎「…開けてみるか」



ガチャリ



セイバー「これが…」ジャラリ

士郎「変身ベルトってやつだ。本当に変身できるわけじゃないのに、やけに夢中になってた」

セイバー「シロウ、これは?」ゴトッ

士郎「ああ、それは携帯電話だ。これをベルトにセットすると、変身できるという設定なんだよな」

セイバー(この時代の玩具は、随分と変わっているのですね…)

士郎「もういいだろ、物置にしまっておくよ」


【学校】


士郎「え? 慎二か?」

美綴「そう。あんた、何か知らない?」

士郎「昨日は学校来てたけど…てか、昨日も草加に同じこと訊かれたぞ」

美綴「えっ、そうなの? 昨日、弓道場に顔出してないのは知ってたけど…」

士郎「桜は? あいつなら兄貴のことだし、知ってんじゃないか」

美綴「それが、桜ちゃんも知らないって言うのよ。家にも帰ってないって」

士郎「そうなのか…」

美綴「慎二だけじゃないんだけどね。この街で行方不明の人って、他にも報道されてるし。ホント、物騒で嫌だわ」


【放課後、教室】



凛「慎二、あいつが…」

士郎「もしかしたら、ここ最近出てる行方知らずの人の内に入ってるかもしれない」

凛「だとしたら、サーヴァントの餌食にされた可能性もあるわ」

士郎「何とかして見つけ出さないと…」

凛「何か手掛かりが欲しいわ。例えば、草加君にもう一度聞いてみるとか」

士郎「あいつに? 昨日のことでだいぶ嫌われた気が…」

凛「だったら、私から聞いてみてもいいわよ。あまり好かないけど」


【弓道場】


草加「それで、何の用かな」

凛「単刀直入に聞くわ。昨日の夜、学校で何してたのか教えて頂戴」

草加「…道場の掃除をしてたんだよ。それで、帰ろうと思ったら屋上が騒がしそうだったから、見に行ってみたのさ。何もわからなかったけどね」

凛「何も見てないっていうのは、本当よね?」

草加「ああ。もしかして君まで、俺のことを疑うとは…」

凛「ごめんなさい。でも、どうしても気になるのよ。生徒が行方不明になったり、普通じゃないことが起きてるから」

草加「そういうことなら、最初からそう言ってくれればいい。むしろ、君たちに協力してもいいかな?」

凛「協力?」

草加「俺も、学校の人間が消えていくのは気味が悪い。それに慎二君は、ウチの部員だ。部長としても、彼の行方を気にはかけているからね」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2019年07月15日 (月) 00:45:07   ID: lMLOMXN_

続きはないのか

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