【安価】カツオ「え!?“出張!なんでも鑑定団”がこの町に来るんだって!?」2 (74)

未完だった物の続きです。磯野家の出張なんでも鑑定団の出演は終わりました。
それほど長くないので先に↓を読むことをお勧めします。

【安価】カツオ「え!?“出張!なんでも鑑定団”がこの町に来るんだって!?」
【安価】カツオ「え!?“出張!なんでも鑑定団”がこの町に来るんだって!?」 - SSまとめ速報
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https://www.youtube.com/watch?v=WFyTqdxT4CI



♪ タイーヤ マルゼン         \ タイヤコウカーン  / ♪ ホイール マルゼン
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.   `ー´ ゴロゴロ

今田耕司「依頼人の登場です」

パチパチパチパチ パチパチパチパチ

堀川「……」ペコリ

吉田真由子「東京都からお越しの堀川くんです」

堀川「こんにちは」

今田耕司「こんにちは」

今田耕司「出張鑑定団からまさかのスタジオ、本当にたまにですけどありますよねこのパターン」

今田耕司「でもよう考えたらあそこにクリスタルスカル鑑定出来る人いませんでしたし、当たり前っちゃ当り前ですけどね」

今田耕司「さすがの中島先生でも大昔のマヤ人がいい仕事しとるかどうか分からんでしょ」

\HAHAHAHAHA/

銀河万丈『オーパーツ、場違いな工芸品』

銀河万丈『時代や場所にそぐわない過去の遺物をオーパーツと呼ぶ』

銀河万丈『考古学というよりもオカルト的にロストテクノロジーの根拠として』

銀河万丈『あるいは大昔に高度な文明を持つ地球外生命体との接触があったことの根拠として語られ』

銀河万丈『工芸品でないピラミッドやナスカの地上絵もその大規模な創造によってオーパーツとされるなど、種類は多岐にわたる』

銀河万丈『例えば有名どころでいうとインドの錆びない鉄柱、ギリシャ・アンティキラ島の歯車式機械』

銀河万丈『日本の遮光器土偶は宇宙服を模しているのではないかといったにわかには信じがたいものまで』

銀河万丈『実際のところ識者から反論されたり捏造、勘違いも多いのがオーパーツであるが、オカルトマニアたちの間で話のタネは尽きない』

銀河万丈『改めて依頼品を見てみよう』

銀河万丈『お宝は古代マヤ文明のクリスタルスカル』

銀河万丈『おそらく水晶髑髏は最も有名なオーパーツと言っても過言ではないだろう。しかしその分ニセモノも多い』

銀河万丈『現在数十個が存在を確認されており、そのほとんどがマヤ、アステカ、インカといった中南米の考古遺物』

銀河万丈『依頼者の自宅倉庫に眠っていたクリスタルスカルがどうやって日本へ渡って来たかは謎である』

銀河万丈『見たところ髑髏に継ぎ目はなく、一個の水晶から削り出したという点はマヤのスカルと合致する』

銀河万丈『果たして鑑定やいかに』

鑑定中
https://www.youtube.com/watch?v=3ivomNHcWwI


 クリスタルスカル

中島誠之助「……」ジロジロジロジロ

今田耕司「あれっ?中島先生や!」

中島誠之助「ええ、わたくしはこう見えて古代マヤ人のシャレコウベも守備範囲です」

\HAHAHAHA/

堀川「あのー……石坂浩二さんは喋らないんですか……?」

今田耕司「あそこおったのにわざわざスタジオ持ってくるって、本物の可能性すごい上がってるよ堀川くん!」

堀川「石坂さんはどう思いますか?」

今田耕司「中島先生、最近は3Dプリンターにもお詳しいみたいで、ホンマもう怖いもん無しですね!」

堀川「石坂さん――」

今田耕司「さあ本人評価額、あっちの会場では20万円でしたけど、こっちのスタジオに来て堀川くんの気持ちも変わったと思います」

今田耕司「堀川くん、ズバリお幾らでしょう?」

堀川「……」


堀川「……じゃあ↓2でお願いします」

堀川「……じゃあ2,000万でお願いします」

今田耕司「に、二千万!?また大きく出たな~」

今田耕司「いいよ堀川くん!子供らしく夢があって!」

堀川「石坂さ――」

今田耕司「では2,000万円でいってみましょう。オープンザプライス!」


イチ

ジュウ

ヒャク

セン






コンマ1桁
1~9→ ×一億円
0→ 0円

↓2

マン

ジュウマン

ヒャクマン

センマン

イチオク

200,000,000円 カシャン

\え~~~~~~~~~~/


今田耕司「二億円!!」

\わ~~~~~~~~~~/

今田耕司「えーーーーーっ!?二億円もすんのこれ!?!?」

今田耕司「やったね堀川くん!夢があるよ夢が!」

堀川「はい……」

中島誠之助「いや~、いい仕事してますね~」

中島誠之助「古代マヤ文明の水晶髑髏というのは全部で13個あって、これは紛れもなくそのうちの一つ!」

中島誠之助「違いは表面を拡大して見るとわかるんです」

中島誠之助「後代の捏造品だと回転研磨機でクリスタルを削るもんだからどうしても細かな一方向の傷が出来る」

中島誠之助「本物は手作業でもって、ゆっくりゆっくり地道に長い時間をかけて水晶を削り出していくんですね」

中島誠之助「これほど精巧なクリスタルスカルはあたくしも初めてです」

中島誠之助「まさにオーパーツ!素晴らしい!」

堀川「ありがとうございます」

今田耕司「13個集めると本当に世界が滅亡するんですか?」

中島誠之助「それはやってみないと分かりませんねえ」

今田耕司「まあ、そりゃそうか」

中島誠之助「まだ若いですから是非とも残りの12個をお探しになってください」

堀川「はい!探してみます!」

\HAHAHAHAHAHAHAHA/

銀河万丈『ところ変わって出張鑑定in桜新町』

銀河万丈『続いては出版社に勤める波野さん』

松尾坂内「最近は出版業界も結構大変だって聞きますけれども」

ノリスケ「いえ、僕が担当してる作家先生が優秀なんで編集の僕がほとんど仕事しないでもいいくらいなんです」

ノリスケ「それよりも締め切りをちゃんと守って欲しいですよ」

\HAHAHAHAHA/

松尾坂内「あー、締め切りねえ~」

銀河万丈『これまで気の向くままに生きてきたが今では幸せな家庭を築き、公私ともに充実している』

銀河万丈『またしても自分に運が回ってきたと思っており……』

ノリスケ「ここまでの鑑定結果がニセモノ、ニセモノ、スタジオへだったじゃないですか」

ノリスケ「そろそろドカンと高額な本物が出てきてもいい頃合いですよね?」

松尾坂内「こうやって勘ぐる人いつもいるんですよ」

\HAHAHAHAHA/

銀河万丈『お宝は↓1の書状である』


※歴史上の人物名

銀河万丈『お宝は豊臣秀吉の書状である』

銀河万丈『会社の上司が歴史物を担当しており、取材先で偶然見つけたこの書簡を出産祝いに貰った』

銀河万丈『初めはなんて紙切れを寄越すんだと呆れたがよくよく見るとそこには誰もが知る有名な武将の名が』

ノリスケ「見てくださいここ。ちょっと汚いですけど」

松尾坂内「え?どこですか?」

ノリスケ「ここです」

ノリスケ・松尾坂内「「 豊 臣 秀 吉 」」

松尾坂内「おお!読める読める!秀吉だ!」

\パチパチパチパチ パチパチパチパチ/

銀河万丈『本人評価額は堂々の↓2 万円!』

銀河万丈『本人評価額は堂々の500万円!』

銀河万丈『どれだけ価値があるのか見当もつかないが、その達筆具合からして絶対本物』

銀河万丈『もしも高額なら売り払いずっと欲しかった自家用車を買いたい』

銀河万丈『果たして結果は~?』

ジャカジャン!


〔鑑〕↓2

×500万円
〔鑑〕1,000円


ノリスケ「やったーーーーー!」

松尾坂内・女性アシ「1,000円!」

銀河万丈『う~~~ん、残念~~~~~!』

ノリスケ「あれ?「万」が無い!?!?」

\HAHAHAHAHAHAHAHA/

田中「確かに差出人の所に豊臣秀吉と書いてあることは間違いありません」

田中「問題は手紙の中身なんですけど、例えば↓1なんかの名前が出てるんですね」

田中「時代がめちゃくちゃです」

田中大「問題は手紙の中身なんですけど、例えば山本五十六なんかの名前が出てるんですね」

田中大「時代がめちゃくちゃです」

ノリスケ「山本五十六ってあの軍人の!?」

田中大「はい」

\HAHAHAHAHAHA/

松尾坂内「あ、本当だ。ここに五十六……山本五十六ってありますね」

田中大「何故このようなものを作ったのかそもそも謎ですよね、ハハハ」

松尾坂内「そうですよ、豊臣秀吉と山本五十六って」

松尾坂内「先生も笑っちゃってるじゃないですか!」

\HAHAHAHAHAHA/

田中大「でも書いてあることはね、結構面白いんですよこれ」

田中大「“誰がモンキーやねん。だったら海軍軍人のお前は海猿ではないか”といった内容が書かれています」

\HAHAHAHAHAHA/

松尾坂内「だから言ったじゃないですか、鑑定の順番なんて関係ないんですって」

ノリスケ「何なんですかこの町は!さっきからニセモノばっかり!」

\HAHAHAHAHAHAHAHA/

銀河万丈『最後は奥さんの尻に敷かれているという穴子さん』

穴子「↓1」

銀河万丈『最後は奥さんの尻に敷かれているという穴子さん』

穴子「最近趣味で一木造りの仏像を彫ってるんですよ」

松尾坂内「は~、凄いご趣味ですね~」

穴子「鑿に日頃の鬱憤を込めて木材へ打ち付けると、ひと時の安らぎが得られるんです」

松尾坂内「大丈夫ですか?なんかお疲れになってるんじゃないですか?」

\HAHAHAHA/

銀河万丈『だが“仏作って魂入れず”ともいうくらいで、このままではいけないと思い立ち……』

穴子「仏像の世界に新たな風を吹き込むべく、ネットオークションで参考になりそうなものを色々探しました」

穴子「いやー、本当に苦労しましたよ」

銀河万丈『お宝は↓2である』


※玩具系

銀河万丈『お宝は不気味な腹話術人形、↓1と↓2のソフビ人形の3点』

松尾坂内「いや、本当に不気味ですね~」

銀河万丈『お宝は不気味な腹話術人形、マジンガーZとバルタン星人のソフビ人形の3点』

松尾坂内「いや、本当に不気味ですね~」

松尾坂内「これが仏像作りの役に立つとは思えませんよ?」

穴子「実は仏像彫刻は家内に言われて始めたんです」

銀河万丈『こちらが穴子さんの奥さん』

穴子夫人「飲みに行ったり麻雀ばっかりしてないで新しい趣味でも見つけろって言ったんです」

穴子夫人「でもまだ小さいお地蔵様を一体作っただけでネットオークションにハマってしまって」

松尾坂内「オークションにはいくら使ったんですか?」

穴子「そ、それは本当の値段のことですか?」

松尾坂内「もちろんもちろん。当たり前じゃないですか!」

穴子「妻の前では言えません……」

\HAHAHAHA/

銀河万丈『実をいうと仏像作りの趣味はとっくにやめてしまい、今ではレトロ玩具を集めるのに没頭している』

銀河万丈『マジンガーZとウルトラマンのソフビは子供のころに欲しくて欲しくてたまらなかった』

銀河万丈『腹話術人形に思い入れはないが、不気味ないでたちを一目見て気に入った』

銀河万丈『本人評価額は買った時と同じく↓1 万円』

銀河万丈『本人評価額は買った時と同じく10万円』

穴子「本当に欲しくて欲しくて何度も頼み込んで家内に許可をもらいました」

穴子「そのためには一回仏像を経由するしかなかったんです……」

\HAHAHAHAHA/

銀河万丈『自分でもみっともないほど歯切れが悪いと思うが、要するにそれだけ妻が怖いということ』

銀河万丈『今日は万に一つの奇跡を信じたい』

銀河万丈『果たして結果は~?』

ジャカジャン!


〔鑑〕↓1

×10万円
〔鑑〕80万円

松尾坂内・女性アシ「80万円!!!!!」

銀河万丈『これはすごい~~~~~!』

穴子「ぶるああああああああああ」

\パチパチパチパチ パチパチパチパチ/

北原「一番高いのが腹話術人形で70万」

北原「これは18世紀アメリカ製のもので通称チャーリーマッカーシー人形というんです」

北原「口、目玉、首を片手で操るんですけど、不気味に見せるために装飾も多くてこれを持つと結構重いんじゃないかと思います」

北原「そのせいか保存状態も良くて今でもちゃんと動きますね」

北原「マジンガーZのソフビが9万円」

北原「黒一色でマジンガーZの配色は無視してるんですけど逆にレアです」

北原「実はこれ作中の装甲材質・超合金Zをソフビで再現するために塗装前という設定で出されました」

北原「バルタン星人は1万円」

北原「これは割かし残ってるんですけど、ウルトラマン好きなら持ってて間違いありませんね」

穴子「いやー、よかったです!ありがとうございます!」

松尾坂内「これでもうちょっと集めても怒られなくて済みそうですね」

穴子「はい」

\パチパチパチパチ パチパチパチパチ/


銀河万丈『出張鑑定in桜新町はこれにて無事閉幕』

銀河万丈『鑑定団は日本全国どこでも出張いたしまーす!』

冨永みーな『続いては、東京都世田谷区から』

冨永みーな『次なる依頼人は、近所の公園を愛犬のハチと一緒に散歩するこの方』

冨永みーな『伊佐坂難物さん60歳。仕事で行き詰まると、こうして気分転換するそうです』

伊佐坂「実はわたし物書きなんですが、こう見えて恋愛小説を書いています」

伊佐坂「筆が進まないときは、お隣から聞こえる音に耳を澄ませたりするのもいいですよ」

冨永みーな『賑やかなご近所なんですね』

冨永みーな『ところで、お宝は何ですか?』

伊佐坂「浪人生の息子が遊ぶ金欲しさにフリーマーケットで私のコレクションを勝手に売ってしまったんです」

伊佐坂「これを機に骨董の趣味はもうやめろと家族から言われます。私がやめる筋合いが一体どこにあるんですか」

伊佐坂「フリマで奇跡的に売れ残った一番のお気に入りで私の審美眼を証明したいと思い依頼した次第です」

伊佐坂「鑑定のほど、よろしくお願いします」

冨永みーな『一体どんなお宝か?スタジオで拝見しましょう!』

今田耕司「依頼人の登場です」

\パチパチパチパチ パチパチパチパチ/

伊佐坂「……」ペコリ

吉田真由子「東京都からお越しの伊佐坂難物さんです」

伊佐坂「よろしくお願いします」

今田耕司「よろしくお願いします」

今田耕司「あ、あちらご家族ですか」


お軽「……」

甚六「……」

ウキエ「……」

今田耕司「また綺麗な娘さんですね~」

ウキエ「いえいえ……」

今田耕司「今高校生? やっぱりかわいいですか娘さんは?」

伊佐坂「ええ。家内の若いころによく似てます」

今田耕司「ねえ、奥様もお上品な感じで」

お軽「いえいえ……」

今田耕司「反応まで似てるわ」

\HAHAHAHA/

今田耕司「あっ!そしてこっちが例のフリマのドラ息子!」

甚六「……」ヘコヘコ

\HAHAHAHAHA/

今田耕司「よし、今日持ってきたお宝以外のお父さんのコレクションいくらで売れた?もう正直に言おう」

甚六「埴輪を3万円とか、脇差を500円とかです……」ハハハ

今田耕司「脇差が500円!? 500円なんて小学生の小遣いでも買えるやん!」

今田耕司「こんな安く叩き売られてたの知ってました?」

伊佐坂「いいえ。今知りました」

伊佐坂「でもあの脇差は無銘の民芸品みたいなもんだったんで、まあ500円でも妥当ですかね」

今田耕司「なんやねんこの親子~、分からんわ~」

\HAHAHAHAHA/

今田耕司「お宝はこちらです」

チャラララン

 有田焼


伊佐坂「有田焼の大皿です」

今田耕司「ほう、有田焼ですか。これは幾らで買った物なんですか?」

伊佐坂「骨董屋で500万円です」

今田耕司「なるほど500万円。結構しましたね」

今田耕司「息子、これいくらで売ろうとした?」

甚六「5万です」

\HAHAHAHA/

今田耕司「息子は5万言うてますけどお父さんは一番気に入ってた有田焼」

今田耕司「これ三匹ほど描かれてるのは何や、動物ですかね?」


↓1 何の図柄か

伊佐坂「おそらく鳳凰なんじゃないかなと思います」

今田耕司「あー、鳳凰かー」

今田耕司「僕も最初から鳳凰だと思ってました」

\HAHAHAHAHA/

銀河万丈『有田焼。伊万里焼とも聞き馴染みある日本初の磁器の始まりは今から400年前』

銀河万丈『豊臣秀吉朝鮮出兵の際、佐賀藩主・鍋島直茂が朝鮮半島から職人を連れて帰った』

銀河万丈『その中の一人、陶工・李参平が良質な陶石を求め旅を続け、有田の地へと行き着くのである』

銀河万丈『江戸・明治期にはヨーロッパへ向け伊万里港から出荷されたことを理由に“伊万里”の名で親しまれた』

銀河万丈『東洋の美しい磁器に匹敵するようなものをつくれ。かの名窯マイセンも女王よりこの命を受けて開かれたほど』

銀河万丈『有田地区の製品を「有田焼」、伊万里地区の製品を「伊万里焼」と呼び分けるようになったのは近代以降』

銀河万丈『船に変わって鉄道が輸送の主力となってからのことである』

 ・
 ・
《中略》
 ・
 ・

銀河万丈『改めて依頼品を見てみよう』

銀河万丈『初期伊万里の大皿である』

銀河万丈『有田・伊万里焼の中でも古いものを古伊万里。さらに最初期のものを初期伊万里と呼ぶ』

銀河万丈『左右、そして上部に飛ぶような図柄は伝説上の鳥・鳳凰』

銀河万丈『なぜ三匹かというと鳳は雄鳥を凰は雌鳥を表し、鳳凰は雌雄同体という説がある』

銀河万丈『また、皿の下側には職人の指跡が残っている』

銀河万丈『その理由は初期の焼き方が後の物に比べて未熟だったため』

銀河万丈『中期以降は一度素焼きにするのに対し、初期は生土のまま釉薬へ浸す』

銀河万丈『跡が残らないよう縁を支えて引き上げるのが普通なのだが、これが生土だとどうしても割れてしまう』

銀河万丈『この指跡からは未熟ながらも懸命に焼き物へ挑む職人の姿が見て取れるだろう』

銀河万丈『果たして鑑定やいかに』

鑑定中
https://www.youtube.com/watch?v=3ivomNHcWwI


 有田焼

中島誠之助「……」ジロジロ










今田耕司「さあ、ご本人の評価額ですけれども。お幾らくらいでしょう?」

伊佐坂「500万円で」

今田耕司「買った時と同じ500万ですね。もしもっと高かったらどうします?」

伊佐坂「将来、娘に受け継いでもらえたらなと考えてます」

今田耕司「なるほど、息子さんじゃなくて娘さんに。そりゃそうですよ」

今田耕司「親父が500万や言うてんの、あの息子5万で売ろうとしたんですから!」

甚六「……」ニヤニヤ

\HAHAHAHA/

今田耕司「では500万円でいってみましょう。オープンザプライス!」


イチ

ジュウ

ヒャク

セン






コンマ2桁×100万円 ↓1~3の中から一番高い金額

マン

ジュウマン

ヒャクマン

センマン

31,000,000円 カシャン


今田耕司「3,100万円!!」

\お~~~~~~~~~~/

伊佐坂「どうもありがとうございます」

伊佐坂「100万で1が出た時はヒヤッとしました」

今田耕司「これ3,100万!?おい息子!!」

甚六「……」ニヤニヤ

\HAHAHAHAHA/

中島誠之助「これは紛れもなく初期伊万里の染付、本物でございます」

中島誠之助「有田・伊万里が生まれて間もない頃の染付は数が非常に少ないんです」

中島誠之助「古伊万里は外国で「オールドイマリ」なんて呼ばれ方をされてまして、コレクターも大勢いるもんだから必然的に値段が高くなるんですね」

今田耕司「なるほど」

中島誠之助「有田・伊万里は古伊万里、柿右衛門、鍋島の三つに大別されるんですが」

中島誠之助「これは柿右衛門以前の古伊万里。それも最初期の初期伊万里」

中島誠之助「初期はたっぷりの釉薬で以って厚ぼったく染め付ける」

中島誠之助「さらに皿の形も中心へ向かって厚く作られている」

中島誠之助「初期はとにかく割れやすい。割れないように割れないように、指の跡もその証ですね」

中島誠之助「吹墨で三匹の鳳凰の図柄も素朴と絢爛を併せ持っていて味わい深いですねえ~」

中島誠之助「型紙を置いてその上から青を吹きかけると、こういう白抜きになった輪郭が浮かび上がるんです」

中島誠之助「これを5万で売りに出して買い手がつかないってのは殆ど奇跡と言っていい」

中島誠之助「これからまた大切になすってください」

伊佐坂「はい。ありがとうございます」

今田耕司「3,100万ですよ!3,100万!」

今田耕司「くれぐれも勝手に売られないように」

伊佐坂「はい。気をつけます」

\HAHAHAHAHAHA/

今田耕司「いやー、これをフリーマーケットで5万円で売ってたって、考えただけでもゾッとするわホンマ」

今田耕司「これフリマに来てたお客さん今テレビの前で絶対後悔してますよ!」

今田耕司「後悔しすぎて500円の脇差で切腹せんとええんですけどねえ」

\HAHAHAHAHAHAHAHA/

今田耕司「ええもん見せてもらいました。またこれからもコレクション増やしていってください」

伊佐坂「こちらこそ今日はどうもありがとうございました」

\パチパチパチパチ パチパチパチパチ/

銀河万丈『依頼人大募集!』

銀河万丈『お宝鑑定希望の方、お宝を売りたい方は、お宝の写真とエピソードを添えてご覧の宛先までどしどしご応募ください』

銀河万丈『お待ちしてまーす!』


今田耕司「では鑑定団また来週です。さよなら」


―終―












カツオ「お父さん――」

波平「カツオ、何も言うな……」

――床の間

フネ「え?じゃあ伊佐坂先生の有田焼を5万円で買わなかったのはお父さんなんですか?」

波平「うむ……」


サザエ「あのー、入ってもよろしいでしょうか……」

マスオ「失礼します」

波平「どうしたんだ、二人ともかしこまって」

サザエ「これをお返しに参りました……」

マスオ「お義父さんが大切にしてた柿右衛門の大皿です」

サザエ「本当は傷ひとつつけてません……」

波平「なに!?!?!?!?!?」

ワカメ「こんな時間に大声出してどうしたの?」

カツオ「やめてよ。今日はただでさえ良い夢見れそうにないのに」

タラオ「パパー」


フネ「あなた、もう夜も遅いですから」

波平「ん、んん……すまん……」

マスオ「あー、タラちゃんも起きちゃったのかい?」

マスオ「サザエ、この際だから皆の前で話した方が良いんじゃないかな」

サザエ「それもそうね」

サザエ「あれはテレビ用の作り話よ。ああ言った方が面白いと思って」

フネ「まあ」

サザエ「どうしても欲しいバッグがあって質屋に入れちゃったの」

波平「呆れた奴だ」

マスオ「すみません。僕の給料日前だったもので……」

サザエ「でもちゃんと返済してこの通りお皿は取り戻しました」

カツオ「本当はあんな青銅器じゃなくてこっちの柿右衛門を鑑定団に出すはずだったのに!」

サザエ「ごめんなさい」

ワカメ「それでお姉ちゃん、藻屑さんのお皿は質屋で幾らになったの?」

サザエ「えーっとねえ――」

波平「サザエ、言わんでよろしい」

サザエ「え?」

波平「この皿は磯野家で代々受け継いできた大切な家宝だ」

波平「鑑定士なんぞに価値を決められる筋合いはない」

マスオ「お義父さんのおっしゃる通りです」

サザエ「そうね。たとえ価値が有ろうと無かろうと、このお皿は我が家で大切にしていきましょう」

カツオ「そんなあ……明日学校でみんなになんて言えばいいのさ……」

フネ「カツオ、我が家で大事にしていけばこの大皿はいずれあなたの物になるのよ」

カツオ「え?ホントに!?」

波平「左様」

カツオ「わーい!やったー!」

波平「まったく現金な奴め」

ワカメ「きっと藻屑さんも天国で喜んでるわね」



タマ「……」トコトコトコ

タラオ「タマも起きたです」

タマ「にゃ~」

サザエ「あら?タマがお仏壇に向かって鳴いているわ!」

カツオ「きっとお供え物のおはぎが食べたいんだよ」

カツオ「柿右衛門の大皿でタマにも1個あげたら?」

波平「バカモノ」

カツオ「も~、冗談だよ~……」

磯野家「ハハハハハハハハハハハハハハハハ」


磯野藻屑「……」 (^-^)




おわり

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