安価でどうでしょう(115)

適当にやってく

201X年 某月某日 深夜 某ホテル

??「くっくっくっ」

ガチャガチャ ガチャっ!

ツカツカツカツカ

??「大泉くん、大泉くん!」ユサユサユサユサ

大泉「うーん?? ……はあっ!!??」ガバッ

??「……」

大泉「………」

大泉「な、なにー…?」

??「あっはっはっはっはっは!!!!」

大泉「……え、ちょっと待って、何、え? 何してんの君、ここで」

??「大泉くん、旅に出ようよ」

大泉「……ふふっ…いやいやいや、なんなのいきなり」

??「ほら、いいから早く行くよ」

大泉「いや、ちょっと待ってよ、行くってなに? なんなの?」

??「なんなの? 君、まだ寝ぼけてるのかい? どうでしょうに決まってるじゃないかあ」

大泉「ふふふふ……。いや、あのね、その、ヒゲとメガネの君とね、その横でカメラ構えてる白い頭を見ればね、そらぁ君、どうでしょうなんだなってことくらいは解るよ。違うんだ、僕が言ってるのはそういうことじゃなくてね、こんな…今、何時だい? こんな、ホテルの部屋までやってきてね、どこに行くんだって聞いてるんだ」

藤村「それを言ったら面白くないだろう?」

大泉「ちょっと待ってくれ、ちょっと待ってくれよ、本当におかしいんじゃないのか、君。これは……なに、君たち、どうやってここに入ってきたの?」

藤村「鍵を使って、堂々と入ってきたさ」

大泉「……ふふっ、あの…え? 僕は…待って…何をどう考えればいいの?」

藤村「とりあえず大泉くん、顔を洗おうよ。人間の一日は顔を洗うところから始まるんだ」

大泉「うるさいよ」

洗顔後!

藤村「さあ、大泉さん。少しは落ち着きましたかな?」

大泉「僕は今ね、考えてるんだ」

藤村「お。それは例えばどのようなことを」

大泉「僕はね、昨日、東京でドラマのロケをやってたんだ」

藤村「そうだね。知ってるよ」

大泉「でね、今日もロケの予定なんだ」

藤村「なるほど」

大泉「明日も、明後日も、しあさってくらいまであるのかな、ロケが」

藤村「あー、大変ですなあ」

大泉「でもねぇ、今、君たちがここにいるだろう? そして、やおら寝起きの人間を捕まえて、『さあ旅に出よう!』と勇ましく言ってくるわけだ」

藤村「あははははっ!」

大泉「こりゃあおかしいよ。そうだろ? 藤村くん、君だって北海道の小さなテレビ局の人間とはいえ、業界人だ。少しはこの業界のことを知ってたらさぁ、今日もロケだ、明日もロケだって張り切ってる人間の寝起きを襲って、『さあ、旅に出よう!』なんてことは言えないよぉ」

藤村「ありえないもの」

大泉「ありえないものぉ。ていうことはどういうことだ? そうだ、ロケっていうのは嘘のスケジュールだったってぇことだ」

藤村「んふふふふふ……」

大泉「いや、もうね、それならそれでいいよ、どうでしょうの横暴さは…いや、どうでしょうっていうか君の横暴さはね、僕は身を持って知ってるよ。今さら驚くようなことじゃないよ。でもね、今の大泉洋はね、あの頃の大泉洋じゃないわけ」

藤村「そうでしょ」

大泉「そうでしょうじゃないよ! 適当に相槌うつんじゃないよ!」

藤村「はははは!」

大泉「あの頃の大泉洋じゃないんだ。僕というタレントに関わる人もいっぱいいるんだよ、何より僕にはね、家族がいるんだぞ! 娘がいるんだ! パパなんだ! え? そんな男のホテルの部屋に侵入してだ、『旅に出るぞ!』『早く行くぞ!』『顔を洗え!』ってさあ、こらあ藤村くん、無茶苦茶にもほどがあるよぉ。横暴なんてもんじゃないぞぉ」

藤村「くっくっくっくっく」

大泉「ちょっとマネージャーに電話させてよ」

藤村「あ、大丈夫だから」

大泉「はあ!?」

藤村「そういうのは大丈夫だから、ほら、行くぞ」

大泉「大丈夫だからじゃないよ! 君、正気なのか!? ぼかぁ、もう、20、30の小僧じゃないんだぞ! 自分の身に何が起こってるのかくらい把握しなきゃいけないんだよ! 君の『大丈夫』くらい信用できないものはないんだよ! もし今日、本当に撮影のスケジュールがあったら僕は現場を飛ばした俳優として語り継がれることになるんだぞ! しかもその理由はだ、正体不明のヒゲに拉致されたって、こんな不名誉なことはないよ!」

大泉「だいたい君これ、どうでしょうって言ったな? ミスターはどこにいるんだよ! おかしいじゃないか、僕にだけだまし討ちみたいなことして、ミスターはどこにいるんだよ! ミスターを出しなさいよ!」

藤村「ミスターはもう、ある場所で待機してもらっています」

大泉「たい…知らないよそんなの! いいから僕に、2、3件でいいから電話をかけさせてくれよ!」

嬉野「2、3件でいいの笑」

大泉「お、なんだ、うれしー、初めて口を開いたかと思ったらいきなり僕をバカにすんのか」

藤村「まあまあまあまあ、そんなに不安ならかけなさいよ」

大泉「当たり前だよ、何考えてんだあんたたち、国が国なら僕に射殺されても文句言えないんだぞ、横暴なんてレベルじゃないよ、更年期障害入ってんじゃないのか」

藤村「おい俺はまだ現役だぞ」

大泉「更年期かどうかと現役かどうかは関係ないだろ、バカじゃないのか、冷静に頭を使うってことがないんだな、だから人さまの宿泊部屋に侵入しても罪悪感のかけらもなくゲラゲラと悪魔のように笑えるんだ」

嬉野「朝から喋るねえ」

大泉「何が喋るねえだよ、こっちは喋ってないとやってらんないんだよ、ただ喋ってるだけじゃないんだよこれは抗議なんだよ、そして携帯電話がないじゃないかあああ!!!」

藤村&嬉野「あっはっはっはっはっはっは!!!!」

大泉「とうとうやってくれたなあ、君たち。これは犯罪だよ、窃盗罪だ。僕は悲しいよ。戦友と言ってもいい君たちを、自らの通報でお縄にかけるなんてことはしたくなかったよ。まあ、通報する手段がないんだけれども」

藤村&嬉野「あっはっはっは!!!」

大泉「何がそんなに笑えるの? 僕は君たちという人間が解らないよ。そんなにおかしいかい? そんな歳にもなって、40過ぎた可愛い後輩が寝起きを襲撃され、やれ旅に出るぞ、やれ顔を洗えと恫喝され、仕事の確認で電話をさせてくれと懇願すれば『大丈夫だ!』の一言で押し切られようとし、挙句の果てには携帯電話を盗まれだ、おろおろとしているところを見て、何をそんなに笑えることがあるんだ」

藤村「いやいやいや、大泉さん、さすが、絶好調ですなあ」

大泉「絶好調ですなあじゃないんだよ! 携帯返しなさいよ! これはもう笑い事じゃすまないよ!」

藤村「まあまあまあまあ、詳しい話は車内でしようよ」

大泉「車内? 車内ってなんだよ!」

藤村「どうでしょうと言えば、レンタカーだろう?」

大泉「やだよ! なんで…なんでレンタカーになんて乗らなきゃいけないんだ! 僕はどこに行くかも知らないんだぞ!」

嬉野「まあまあ、いつものことじゃないの」

大泉「いつものことだから嫌なんだよ! 僕は一体、いつになったらこのどうでしょうの『いつもの』から脱却できるんだよ! 日本アカデミー賞男優賞を取った男だぞ僕は!」

藤村「うるせえないつまでも。携帯返さないぞ」

大泉「おおおお、自白したな? うれしー、今の消すなよ。僕は今、人生の目標が出来たよ。こいつをブタ箱に閉じ込めるんだ。弁護士なんかつけてやんないぞぉ、代わりにやたら苦い野菜やなんかを毎日送りつけてやるからなぁ。君の嫁や娘が哀れに思って甘いもんでも送ってみろ、僕はそれを君の目の前で貪り食ってやるぞ!」

車内!

藤村「さあ、大泉さん、久しぶりのこのアングル、いかがでしょうか」

大泉「僕はもう何も言わないよ…。というか、何がいつものアングルだよ、隣にミスターがいないしさあ、うれしーも久しぶりなもんだから『お?』とか『あれ?』とか『あーここだー、いや、違うなあ』とか無茶苦茶だったじゃないか」

藤村「はっはっは、そうだね」

大泉「で、もういいよ。これはどこに向かってんの。ミスターはどこにいるの」

藤村「鈴井さんには>>13に待機してもらっています」

HTB駐車場

大泉「はあ!?」

藤村「くっくっくっく」

大泉「HTBって、HTBかい?」

藤村「そうです」

大泉「北海道のHTBかい? 札幌の? 北海道テレビ放送?」

藤村「そうだ」

大泉「…え、ここ東京だよね?」キョロキョロ

藤村「そうですね」

大泉「おお焦った、ぼかぁてっきり、寝込みを襲われたどころか寝てる間に札幌まで空輸されたのかと思ったよ」

藤村「そこまではさすがに我々も出来ませんなあ」

大泉「ああそう…それはまあよかったんだけどもさ…え? HTB?」

藤村「なんだい大泉くん、ずいぶんしつこいじゃないか」

大泉「いやだって君…、HTBで待機って…そら……待機っていうよりも待ちぼうけ…」

藤村「あっはっはっはっは!!」

大泉「しかも駐車場でって、軽いいじめの匂いすらするじゃないか! おい藤村、お前、うちの会長になんてことしてんだよ!」

藤村「ご安心ください、大泉さん」

大泉「ああ!?」

藤村「ミスターには今から私が電話し! 大泉を捕まえたぞと! 報告をします」

大泉「お、おおおう……。その話のどこに安心する要素があるのかな?」

藤村「そしてその電話を終わらせたタイミングで! ミスターには>>16に向かってもらいます!」

安価ミス

>>18です

>>1の家(場所は秘匿で)

藤村「ミスターには、一致 書人(いっち かくと)さんの家に向かってもらいます!」

大泉「一致 書人ぉ!? なにそれ、だれ…?」

藤村「そうだね、東京に住む、我々の仲間とでも言おうかな」

大泉「東京…? ミスターはなに? 今から東京にくんのかい?」

藤村「そうだね」

大泉「そうだねって…え? …ふはははは! 本当に意味が解らないよ!? 君たちと一緒に来ればよかったじゃないの!」

藤村「それじゃあ意味がないんだ」

大泉「くっくっくっくっく、い、いいよ、君が意味のあることを本当に考えたのかどうかは疑問だけど、いいよ、聞くよ、聞こうじゃないか」

藤村「大泉くんね、さっき君もね、図らずながらも、こう言ったじゃないか。俺はあの頃の大泉洋ではないぞ、と」

大泉「うん、言ったね」

藤村「その通りだと僕も思うわけ。君は今や、押しも押されぬ国民的スターさ。街へ出れば『あー大泉だ!』『あー洋ちゃん』と」

大泉「うん、そうだね、否定はできないよ」

藤村「そして翻ってHTBだ。どうでしょうだ。大泉くん、どうでしょうは基本的に旅番組だろ?」

大泉「そうだね」

藤村「ここで一つの問題が生まれるんだな。どうでしょうはやっぱり、大泉洋あってこそだよぉ」

大泉「そうかい?」

藤村「その大泉洋がね、やはりこう…街へ出るたびに大騒ぎになったんではほら、番組にならないんだよねぇ」

大泉「あぁ…確かにね、僕もプライベートで街に出るときには気を使うようになったねえ…。こう…僕のあふれ出るオーラっていうのかな」

藤村「うんうん」

大泉「そういうのが皆さんに、ばれちゃうんだねえ」

藤村「オーラっていうか溢れるのはあれだろ、天パだろ」

大泉「おお!??」

藤村「帽子で抑えつけても抑えきれないそのモジャモジャがね…」

大泉「はいはいはいはい、藤村くん…朝っぱらから飛ばすじゃないかぁ…ふっふっふっふっふ…気をつけろよぉ藤村くん、君が今年の大みそか、あったかい家で過ごせるかそれとも刑務所でね…」

藤村「あっはっはっはっはっは!」

大泉「刑務所でゴーヤやピーマンを齧りながら過ごす羽目になるか、その運命は僕が握ってるんだぞぉ」

運命を握る男 大泉

藤村「でね、やっぱりこっちとしてはね、昔みたいにさ、4人で旅をしたいわけさ」

大泉「そうだね」

藤村「でも、現実的に考えて、難しくなってきたというのも解るだろ?」

大泉「解るよ」

藤村「そこでまずは! 旅をする人数を減らそうじゃないかと!」

大泉「……んん!?」

藤村「4人で行動するのは何かと目立つんだよ、解るだろう?」

大泉「まあまあまあ、そうだね」

藤村「そうでしょう。そこで誰を減らすか、だ。大泉くんを減らすのは…」

大泉「そらだめだよ」

藤村「だめだよ、当たり前じゃないか。君あってのどうでしょうだ」

大泉「そうだね。自分で言うのもなんだけど、その自負はあるよ」

藤村「じゃあ他に誰を減らすかだ。うれしーはカメラだ」

大泉「カメラだね。いなきゃそもそも撮影が出来ないね」

藤村「できないよ。しかし、カメラマンとタレントだけっていうのもどうだろう」

大泉「どうだろうね」

藤村「これもだめだよ、ディレクションする人間がいないとテレビ番組として成り立たない」

大泉「……ふふっ」

藤村「となると答えは一つだ」

大泉「……」

藤村「ミスターを減らす! という結論に!」

大泉「あ、あっはっはっはっはっはっはっは!!! き、君、それじゃあ、た、ただ、体のいいリ、リストラじゃないか! あっはっはっはっは!!!!」

藤村「まあまあまあまあ、僕だってそこまで鬼じゃあないんだよ。せっかくの新作どうでしょうだ。最後には皆で笑ってね、そういう画が欲しいじゃない」

大泉「そ、そうだよ、あははは!! き、君、ミスターをなんだと思ってるの!!」

藤村「だからミスターはミスターで、東京まで旅をしてもらおうということだ」

大泉「た、旅って…一人で?」

藤村「当たり前だろう」

大泉「ああっはっはっはっはっはっは!!!!」

藤村「目立たないように数を減らしたのに、あっちでまた人数増やしてどうするのさ」

大泉「はっはっはっはっは!!! え? か、カメラマンは??」

藤村「ないに決まってんだろう。手持ちだ、手持ち」

大泉「ああああっはっはっはっはっはっはっは!!!!!!!!」

ミスターは一人旅

大泉「はあ、はあ、はあ…お腹痛い……、藤村くん、君、いつか刺されるよ」

藤村「よし、じゃあ、電話をしようかな。……もしもし、ミスターかい? うん、うん、大泉くんを捕獲したよ、うん」

大泉「こ、これはスピーカーとかもないのかい?」

嬉野「ないね」

大泉「くっくっくっくっく……じゃ、じゃあ、ミスターがあっちでカメラをまわしてない限り、この電話でのミスターの声がお茶の間に届くことはないんだね」

嬉野「そうだね」

大泉「なんだろ…涙が…」

藤村「よーし、それじゃあミスター、手はずどおり、向かってください。はい。はい、それじゃあまた」

大泉「藤村くん、君は鬼だよ」

藤村「さて大泉くん、僕らも向かうぞぉ」

大泉「僕らはどこに行くのさ」

藤村「>>30

四国

藤村「僕らはこの足で羽田に向かい、そこから四国に飛びます」

大泉「……」

嬉野「ふふっ」

大泉「四国?」

藤村「四国です」

大泉「……いやいやいやいやいや!! バカじゃないのか君!? いやバカだ! 四国!? 四国!!??」

藤村「大泉くん、僕ら、四国に何回行ったかな」

大泉「そんなもん、深夜バスも入れたら数えきれないよ! ていうか数えたくもないよ!」

藤村「そうだね。そして実際、僕らはあまり四国に良い思い出がないね」

大泉「ないよぉ、ぜんぜんないよぉ」

藤村「でもさ、大泉くん。君は八十八か所巡りを何回やった?」

大泉「……3回かな。まあ厳密にいうと1回もしてないんだけど」

藤村「ふふっ、まあそこは置いとこうよ、そうだ大泉くん、君はお遍路さんを3回もまわったんだ。そしてね、君は行くたびにぶうぶう言い、ぼやきにぼやき、おまけには憑いただの憑いてないだのクレームをつけ!」

大泉「いやいやいや」

藤村「しかし現実はどうだい。君はいつしか大スターになって。僕らもどうでしょうが大成功し、今じゃ君なしでイベントに呼ばれる始末だ」

大泉「本当だよ。それは僕も言いたいことあるんだからな」

藤村「お礼参りに行こうよ」

大泉「お礼参り…」

藤村「そうだよ、もともとはね、受験生のためのお遍路だったけどさ、僕ら、かなり良い目にあってるじゃないか」

大泉「……まあまあまあ、そうだね、そういうふうに考えることも出来るね」

藤村「じゅうぶん後利益をいただいたんだよ僕らは! これでお礼を怠るなんざ、人間のすることじゃない!」

大泉「……うん、まあ、言いたいことは解ったけどさ」

藤村「なんだい」

大泉「なにもこんな、ミスターから逃げるようにね、移動しなくてもいいじゃないか。え? というかミスターはなに? 東京にきてどうすんの? その一致さんの家に行ってミスターは何するの?」

藤村「>>36

とりあえず>>1さんのアシかな

大泉「……どうだろう、僕は全然、話についていけないよ」

藤村「なにがだい」

大泉「いや、何がだいじゃないよ、君。一致さんの、アシスタント?」

藤村「そうだよ」

大泉「それをミスターがやるってのかい?」

藤村「そうだ」

大泉「一致さんのアシスタントって具体的には何をやるのさ」

藤村「一致さんは普通のサラリーマンだから、ミスターに出来ることは限られるだろうねえ。家の掃除かなんかじゃないの」

大泉「家の掃除かなんかじゃないのって君、うちの会長をまるで家政婦かなんかのように言うけどね、あれでなかなか凄い人なんだよ? そもそもその一致さんてのはなんなの? 君たち弱みでも握られてるの?」

アナウンス(藤村)「ここで説明しよう。一致さんとは水曜どうでしょうの、まあまあなファンであり、冗談半分で『うちに遊びに来てくださいよ』などと書いた手紙を送ってきた方なのだ。それをディレクター陣が冗談半分に企画会議にあげ、冗談半分に『じゃあミスターにでも遊びに行ってもらうか』と決定したというわけである。その間に大泉は四国お遍路にお礼参りへ。つまりこの企画は、大人数で動かなければならないどうでしょう班のネックを解消し、かつ、ファンサービスもついでに行えるという、一挙両得の企画なのである」


大泉「あんた何を言ってんだまじで! え!? ミスターは何? ファンの家に掃除しに行くだけ!?」

藤村「ファンっていっても、まあまあなファンだからね。熱心なファンだったらそら僕らも危なくてそんなとこにミスターを派遣できないよ。ねえうれしー」

嬉野「そうだね。僕らにも責任てものがあるからね」

大泉「どの口が責任なんて言葉を言うんだよ! しかもミスター本当に一人なんでしょ!? カメラも手持ちで!?」

藤村「何回も言わすんじゃないよ!」

大泉「お、お、お、おかしいよ! いよいよ君たちおかしいよ! これは私刑だよ! わたくしの刑と書いて私刑だよ! リンチだリンチ! 君たちミスターの気持ちを考えたことがあるのか!?」

藤村「ミスター、わりと乗り気だったよね?」

嬉野「うん。いいっすねえってね」

大泉「頼むよ会長…」

札幌 HTB駐車場

鈴井「さあ、というわけで今、藤村さんから電話があり、大泉くんを無事捕まえたということですので、僕はこれから新千歳に向かい、そこから羽田に飛びます」

鈴井「……」

鈴井「楽しみです」

ノリノリなミスター

湾岸首都高

藤村「さあ、僕らも急ぐぞぉ」

大泉「藤村くん」

大泉「なんだい」

大泉「もうとりあえずミスターのことは忘れようじゃないか。いいよもう、彼のことは。そんなことよりだね、君、お礼参りに行くって言うけど、お礼参りってのはその…どういうルートというか…どこに行くつもりだい?」

藤村「い~い~ところに気付くじゃないか~お~いずみく~ん」

アナウンス(藤村)「それではここで説明しよう。四国八十八か所お遍路のお礼参りといっても諸説あるらしく、我々が調べたところ、その定義はどうやら3つに分かれるらしいのである。一つは、最後の寺、88番大窪寺に参り、そこから1番霊山寺に直接戻ること。一つは1番霊山寺もしくは88番大窪寺にお参りした後、その足で和歌山県にある高野山にお参りに行くこと。そしてもう一つは、もう一度、八十八か所すべてをお参りするということなのである。そして我々が出した答えは>>42であった
① 大窪寺から霊山寺に直接戻る
② 最終的に高野山に参る
③ もう一度八十八か所まわる

大泉「…ああそう」

藤村「おや、どうしたの大泉くん。拍子抜けしたような顔をしてるじゃないかぁ」

大泉「え? いや、ああ、まあ、拍子抜けっていうか…まあそうだね。僕はてっきり、もう一度八十八カ所全部まわるぞー! くらいのことを言われるかと思ってたよ」

藤村「バカ言っちゃいけないよー大泉くん-。さっきも言っただろう? 君は国民的スターなんだ。少しでも人目に触れてみろ。そりゃもう大騒ぎだよ。しかもこSNS全盛の時代じゃないの、あっという間に『大泉がお遍路してるぞー!』って拡散するよぉ」

大泉「そうだね。そりゃそうだ」

藤村「ミスターを削っといてそんなリスクを背負ったらさあ、本末転倒じゃないか」

大泉「削っといてっつったな、君」

藤村「いわんや君は忙しい身だよ。八十八カ所も回らすなんてこと、僕は出来ないよ」

大泉「そうかい? ああ良かったよ、君も常識ってやつをやっと学んだんだね」

藤村「大窪寺に参って、そこからビャッと霊山寺に参ってさ、うどんでも食べようよ」

大泉「そうだね。うん、うどんいいね。ところでさあ君たちさ、うどんはいいんだけど、朝ご飯のことをどう考えてるのかな?」

藤村「うん?」

大泉「いや、君たちにね、強引に起こされてね、あれから随分時間がたってるけどさ、僕は言っとくけど水の一滴も口に入れてないんだぞ。君たちはなんかジュースだかコーヒーだかをさっきからガブガブ飲んでるけどさあ」

藤村「ああ…飲み物ね。はいはい……うれしー何かあったけ?」

嬉野「いや、自分の分しかないね」

藤村「ああそう」

大泉「……」

藤村「大泉くん」

大泉「……」

藤村「我慢!」

大泉「いやいやいやいや! 冗談じゃないよ! ええ? 何かい? あんたらディレクター陣は自分のぶんだけ飲み物買っといて、タレントのぶんはないってかい!? そらおかしいよ! いやこれはディレクターとかタレントとかって問題じゃないよ! 人間の格の問題だよ! 飲み物も買ってないってそら君、ちょっと訓練した猿だってもっと気を使えるよ!?」

藤村「あっはっはっはっは!! ごめんごめん!!」

大泉「ごめんごめんじゃないよ! おかしいよ君たちは、人間としておかしいよ! 君たち仕事仲間を何だと思ってるんだ!? 一人はリストラ! 一人は水さえ与えない! 自分たちばっかりガブガブ水分とって! さっき二人してパーキングエリアでおしっこしてきてただろう! チャンスはそこにもあったのに自分たちが出すことばっかり考えて、こっちの補給のことは何にも考えてなかったってか!!」

藤村「あっはっは、ごめんって!」

大泉「冗談じゃないよ、何がお礼参りだよ、君たちみたいのがね、お礼参りしたって四国のほうで願い下げだよ、有り難迷惑だよ。行くな行くな、帰れ帰れ、もう君たちなんて羽田で東京ばな奈でも買ってそのまま札幌に帰れば良いんだよ。うれしー、貸しなさいよ。カメラ貸しなさいよ! ミスターだって一人で戦ってるんだ。僕だって一人で四国に行ってきてやるよ!」

羽田空港 出発ロビー

大泉「……」モグモグモグ

藤村「ごめんねぇ大泉くん、朝早いもんでさあ、コンビニのおにぎりなんかしか買えなくてさあ」

大泉「……」モグモグモグ

藤村「うまいかい?」

大泉「……」モグモグモグ

藤村「幸せかい?」

大泉「……」モグモグモグ ゴクン

藤村「…ぷっ。あ、有り難いかい? クククククッ」

大泉「君、V止まった瞬間に殴ってやるからな」

ANA 羽田→高松空港 機内

大泉「Zzz...」

藤村「クックックックック…」

ANA 新千歳→羽田 機内

鈴井「……」

客室乗務員「お客様」

鈴井「……」

客室乗務員「お客様」

鈴井「ん? あ、はい?」

客室乗務員「離陸直前の撮影はご遠慮下さい」

鈴井「あ、すいません」

鈴井「怒られました」ボソッ

とりあえず今日はこんなところで

高松空港!

藤村「いや~、つきましたなぁ」

大泉「そうだね」

藤村「今からまずは大窪寺に向かいます」

大泉「はいいはい! 行きましょう!」

藤村「じゃあはい、これ」

大泉「……なにこれ」

藤村「なにこれって、見りゃわかるだろう? サイコロだよぉ」

大泉「……嫌だよ」

藤村「さあ今から大泉さんにはこのサイコロを振っていただいてですね」

大泉「いーやーだー!!」

藤村「大窪寺に向かう足を決めてもらいます!」

大泉「何でだよおおお!!! 普通に車で行きゃあいいじゃないか!!!!」

サイコロ! それは運命を定める六面体!

①とってもスムーズ! レンタカー!
②のんびり行こうよ、カブの旅!
③公の男、大泉! 使うは公共交通機関だ!
④お遍路だぞ!? 歩きだ歩き!
⑤風を感じて自転車だ
⑥とりあえず行っとく? 博多へGO!

大泉「明らかにおかしいのが一つ混じってるけど……」

藤村「そうかな」

大泉「おかしいよ! なんで博多へ行かなきゃいけないの!?」

藤村「まあそれもこれもね、大泉さんが6を出さなきゃいいわけだから」

大泉「いやそりゃそうかも知れないけどさ……この歩きっつうのもどうだい」

藤村「えー、ちなみにここから大窪寺までは車で2時間、バスだと3時間弱かかります」

大泉「バカ言ってんじゃないよ! そんな距離歩けるわけないだろう!?」

藤村「まあだからそれもね、大泉さんが4を出さなきゃいいんだから」

大泉「全くもって一寸たりともこっちは納得してないけども……振るしかないんだね!?」

藤村「お! 大泉さん、話が早くて助かるよ」

大泉「こっちは君の手口にもううんざりするくらいやられてきたんだよ。僕がああだこうだ言ったところで君が何か考えを改めることはないからね」

藤村「よく解ってるじゃないかぁ」

大泉「よおし、振るぞお! このサイコロをぉ降ればどうなるものかぁ、案ずるなかれぇ、降れば解る、降れば解るさ! ええい、ままよ!」ポーイ

コロコロ

サイコロ「>>55(>>53の中から選んで下さい)」

大泉「おおおおお!!?」

藤村「あはははははは!!」

大泉「これは…これはいいんじゃないのかい!? カブ…カブだろ? エンジンがついてるじゃないかあ」

藤村「そうだね。これは当たりだよぉ、大泉くん」

大泉「いやー、良かったあああ、博多なんかに行くことになった日には僕の黄金の親指がこの携帯の1と1と0を押すところだったよ~」

藤村「あははははは!!」

藤村「それじゃあこのカブに乗ってもらってね」

大泉「君たちはどうすんの?」

藤村「そりゃあ君、僕たちも君が軽やかに運転するカブに乗せてもらいたいさあ。けどねえ、この国の道交法は、カブの三人乗りは許してないからねえ」

大泉「何言ってんの、君たちもそれぞれで運転すりゃいいじゃないの」

藤村「そりゃダメだよ大泉くん。そんなことをしたら誰がカメラを撮るのさ」

大泉「ハンドルにでもくくりつけときなさいよ」

藤村「そんなクオリティの低い画を視聴者にはお届けできないだろう?」

大泉「な、なにがクオリティだよ、うれしーなんてのはプロのカメラマンですらないじゃないか。今さら画のクオリティだなんだなんてねえ、誰もそんなこと気にしやしないんだよ!」

アナウンス(藤村)「奇跡を見せた大泉が見事、カブを引き当てたことにより、我々は徒歩でのお参りや博多へ無意味なフライトを回避することに成功した。なおも駄々をこねる大泉をカブに乗せ、ディレクター陣はレンタカーへ。こうして我々は、大窪寺へと向かうのだった!」

ブーーン

藤村「大泉くん、聞こえますか?」

大泉「はーい、聞こえますよー」

藤村「いやー、どうだい、うれしー、この画は」

嬉野「いやー、カブの旅ってのは大体、ミスターもいて二台だったろ? あれもたいがい地味だったけどさあ、今日は大泉くん一人だからさあ、ますますこう…」

藤村「地味だねえ」

大泉「そらそうだよ! カブなんて選択肢を用意した時点でこうなることを予想すべきだったんだよ君らは! しかもなんだいこの景色は。走っても走っても田舎じゃないか、何も代わり映えしないね、そんな景色をタレントがカブでただただ走っているってのをよくもまあテレビで流そうとするよ君たちは」

東京 京急線内

鈴井「えー、いま僕は、羽田から、一致さんのご自宅に向けて、電車に乗って向かっています」

鈴井「時間的にラッシュに巻き込まれるかなあと思ったんですが、まだ大丈夫ですね」

鈴井「……」

鈴井「ちょっと寂しくなってきました」

香川県

ブーーーン

大泉「……」

藤村「……」

嬉野「……」

大泉「……」

藤村「大泉くん」

大泉「なんだい」

藤村「ちょっとこう……画も地味でさあ、音もないじゃあこりゃ君、どうにもなんないよ」

大泉「しょうがないだろ。しゃべりたいことなんか特にないんだ」

藤村「鼻歌の一つでも歌ってみないかい?」

大泉「そんな気分じゃないんだよ、こっちはまだ久々のカブに慣れるのに必死なんだから」

藤村「そうかい? たださあ、このまま無言で行くとするだろ?」

大泉「うん」

藤村「そうするとうれしーはカメラを消すよねえ。そりゃしょうがないよ、画にも音にも動きがないもの撮ってたってしょうがないもの」

大泉「そうだね」

藤村「するとどうだい……彼は多分、寝るよ?」

大泉「あっはっはっはっは!!!」

藤村「僕と君は運転中だ、寝るわけにはいかないよぉ、だって」

大泉「死んじゃうもの」

藤村「死んじゃうものぉ。でも彼は違うぞぉ。僕らが運転する中、なんの遠慮もなくぐうぐう寝るぞぉ!」

大泉「あははははは!!」

大泉「そらあ君、地獄だよ」

藤村「地獄だよ」

大泉「僕も君だってさー、ふとおもしろいことを思いつくじゃないか。そんなときに何を喋ったってそれは……」

藤村「あっはっはっは!!」

大泉「カメラに撮られることなく……あはははは!! ただただ君と僕が、お互いを笑わせるだけの、しかもレシーバー越しにだよ? ただただ奇妙なドライブを四国にしにきたってだけになるよ、藤村くん」

藤村「そうだろ?」

大泉「そりゃダメだよ、うれしーを寝かすわけにはいかないぞ!」

藤村「よーし、ここらで一回、休憩するぞー」

大泉「休憩?」

藤村「ミスターと定時連絡をとることになってるんだ」

大泉「おお、おお、ミスターね。危うく忘れるところだったよ。彼は一体東京で何をしてるんだ」

藤村「じゃあここで停まるぞー」

香川 うどん屋

藤村「いやー大泉さん、どれくらい走りましたかなあ」

大泉「2時間くらいは走ったかなあ」

藤村「まだ半分も来てませんからね」

大泉「もうすっかりお昼ですよ」

藤村「さて、それじゃあ鈴井さんに連絡をしてみましょうか……あれ、鈴井さんからメールが来てた……あっはっはっはっは!!」

大泉「なになに、どうしたの」

藤村「えー、1時間半ほど前にですね、鈴井さんからメールが来てまして。僕、運転中だったから気づきませんでしたけど」

大泉「うん、ミスターはなんて?」

藤村「えー、たった一言。『寂しい』」

大泉・藤村&嬉野「あっはっはっはっは!!!」

大泉「そりゃそうだ、そりゃそうだよ藤村くん! かけてあげてよ、電話かけてあげてよミスターに! 東京で孤独な戦いを演じてるんだよ、あの人は!」

藤村「そうだね、かけよう!」


50分前 東京

鈴井「えー、一致さんのお家近くにつきましたー。多分このあたりだと思うんですが……」

鈴井「ちょっとこの辺、入り組んでて解りづらいですねー」

鈴井「えーと、……あ、このマンションだ! つきました!」

鈴井「部屋は2階の……ここだ!」

一致さん宅 発見

鈴井「それではチャイムを鳴らしてみたいと思います」

鈴井「……あれ? いいんだよね、押して」

ここにきて不安になるミスター

鈴井「……念のため一回藤村さんに電話してみます」

--------------------------------------------

鈴井「出ませんでした」


着信に気付きませんでした


鈴井「まあここまで来てうだうだしてても仕方ないんで。押します!」ピンポーン

鈴井「……」

ガチャ

一致「はい。……うわあ、本当にミスターだ」

鈴井「一致さんですか?」

一致「は、はい、一致と申します」

「ミスター来た? ミスター?」ワイワイ

鈴井「誰か他にもいらっしゃるんですか?」

一致「あ、はい。ミスターが来るって言ったら、友達が…」

「「「うおー、ミスターだーーー!!!」」」

一致「いやうるさいってお前ら!」

ミスター 歓待される

一致「すいません、うるさかったら帰しますんで」

鈴井「いやいや、大丈夫ですよ」

一致「でも本当に来ていただけるとは思いませんでした」

鈴井「そうでしょう? しかも僕一人でねえ」

「「「あはははは!!!」」」

一致「鈴井さん、本当に一人なんですか?」

鈴井「一人ですよ、ちょっとありえないですよね。関係者以外の人と今日初めて会って、いかに自分が異常なことをしてるのか改めて気づきました」

鈴井「さて、それじゃ僕は何をすればいいでしょう」

一致「あー、それなんですけどね、藤村さんには電話で『掃除でもしてもらってください』なんて言ってたんですけど」

鈴井「くくくく、本当に言ってたんだ」

言った

一致「でもさすがにそんなことをさせるのは……」

鈴井「いやいや、そのために来たんですから! こき使ってくださいよ!」

「「「ミスターふううう!!!」」」

一致「あ、じゃあ、掃除はまあまあしたんで、こう、今から皆で飯でも食おうかと思うんで、料理を手伝ってもらおうかな、なんて…」

鈴井「そんなんでいいの!? 全然するよう!」

ミスター 料理を手伝う

鈴井「これオーブンに入れればいいのね!?」

一致「そうです」

ミスター さらに手伝う

鈴井「お酒そっちまわってる?」

「「「まわってまーす」」」

ミスター 配膳する

「「「かんぱーい!!!!」

宴会

うどん屋

藤村「……あ、もしもしミスター? ごめんねえ、電話気づかなくて!」

大泉「とりあえずミスターは生きていたようですな」

嬉野「そうだね」

藤村「一致さんの家にはついた? ……ああそう、うん、あー、そうなんだ。そりゃよかったね」

大泉「……」←心配そうな顔

藤村「うん。うん、そうだね。とりあえずはそこにいてもらって。次の定時連絡の時にまたそれは指示するよ」

大泉「……」←険しい顔

藤村「うん、うん? 僕らかい? 四国についたよ、うん。無事だぁ。うん? カブでねぇ。ふっふっふっふっふ…」

大泉「笑ってんじゃねえよヒゲこら」

藤村「よーし、まあ無事なようで何よりでしたよミスター。安心しました。ではまたあとで! はい」

大泉「どうだった、ミスター泣いてなかったかい?」

藤村「いやー、大泉くんねえ」

大泉「うん」

藤村「ミスター、出来上がってた」

大泉「はあ!?」

藤村「なんかねえ、向こうで料理を手伝ったらしく、その料理をいま食べながら飲んでますだって」

大泉「ああそう……」

藤村「楽しそうだったよ」

大泉「……」

藤村「よかったねえ」

大泉「え? なに? ミスターはもう目的地に着いたの?」

藤村「そりゃそうさ、ミスターが出発してから何時間経ってると思ってるんだ」

大泉「いやいやいや、うんまあそりゃそうなんだけどもだ。え? ミスターはこのまま宴会を続けるってかい? 僕がカブで走る間も?」

藤村「そうなるね」

大泉「……」

呆然

大泉「藤村くん…」

藤村「ん?」

大泉「この企画さあ」

藤村「うん」

大泉「ミスター、いるかい?」

藤村「あはははは! 何言ってんの大泉くん! いるよ! そりゃそうだろう? 4人そろってのどうでしょうだ!」

大泉「いや揃ってねえから!」

大泉「しかも君、宴会っつったって、こう言っちゃ悪いけどさ、素人さんとでしょ? しかもカメラは多分固定とかでその辺に置いてさあ。手持ちだとしてもミスターが撮影するんじゃ君、写るのは東京在住のどうでしょうファンなんだろ?」

藤村「ふふふふ、そうだね」

大泉「そら君、ネットが荒れるよぉ」

藤村「あははは! 荒れますか?」

大泉「そりゃそうだよ、君、久々のどうでしょうの新作でだよ? 大泉洋と鈴井貴之が同じ場所にいないってだけでおかしいのに、ミスターに撮影させて素人さん画面に出してたんじゃさあ」

藤村「くくくくく」

大泉「大荒れだよぉ」

大泉「こんな番組を放送するなんてどういうつもりだー! ってなるよ。拡散拡散でねえ」

藤村「炎上炎上で」

大泉「炎上炎上だよ。怖いんだよ藤村くん、昨今の視聴者ってのは。君は知らないだろうけど」

藤村「何言ってんだ、知ってるよ。TV局の人間だ僕は!」

大泉「何がTV局の人間だよ、ろくに他の番組も担当せずに、出勤してすぐに編集室にこもってどうでしょうの古い映像編集するだけの毎日だろう?」

藤村あっはっはっはっは!」

出発

大泉「あああああああ」ブーン

藤村「どうしたの」

大泉「やる気でねえなあ」

藤村「ふふふ、なんでさ、やる気出していこうよ」

大泉「やる気ったって君ね、どうすればいいのかって話だよ。ひたっすら、こうやって信号すらない道を黙々とカブで走ってね、やる気の見せようもないよ」

藤村「そうだね…お、大泉くん、前方からトラックが来たよ」

大泉「なんだよそれ、轢かれてみせろってか」

藤村「そんなこと言うわけないじゃないか。でもね、やっぱこう、タレントとしての矜持というかね、このままでいいのか、カブで走るだけでいいのかってね、思うのならまあ、こう、タレントとしては色々工夫を考えるところだよねえ」

大泉「工夫しろってんならもう僕はこう、君たちの車を蹴りに蹴ってだね」

藤村「いやいやいやいや」

大泉「破壊の限りを尽くして」

藤村「あっはっはっは!」

大泉「君のそのヒゲも全部抜きつくしてだ、血で血を洗う抗争を視聴者に見せつけてやりたいよ」

藤村「やってみろよ。少しでも不穏な動きを見せたらこっちが轢いてやるからな」

大泉「なにをう!?」

藤村「君の死体を引きずって、こう、車に結んでぇ、ずるずると大窪寺まで持ってってやるからなぁ」

脅しあい

大泉「こう…なんだろうね、藤村くん」

藤村「なんだい」

大泉「僕らは今日、お礼参りに行こうってのに」

藤村「あはははは!!」

大泉「こんなに口汚くお互いを罵りあってね、死体をひきずるぞなんて僕でさえひくような言葉をお見舞いしてだ」

藤村「ははははは!」

大泉「それを無表情で嬉野君がカメラにおさえてね、あまつさえそれを放送しようってんだからさあ」

藤村「あっはっはっはっはっは!!」

大泉「それを君、この一連のことを称して『お礼参り』なんて言ったってねえ、こら正気の沙汰じゃないよ」

藤村「そ、そうだね、あははは! き、君の死体を寺まで引きずってって…」

大泉「ははははは!!」

藤村「ありがとうございます!! っつってね。あ、あはははは!!!」

大泉「それを嬉野君が、『いいよぉ、ふじやん、いいよぉ』って言いながら撮るというね」

藤村「あ、あははははは!!!!」

スマスマに出た話

藤村「そういえば君、スマスマに出てたじゃないか」

大泉「あれ。知ってるかい?」

藤村「もちろんだよぉ。樹木希林さんに、随分とぉ、ダメ出しをされてたじゃないかぁ」

大泉「いやいや」

藤村「どうだい」

大泉「何が」

藤村「若干こう、やりにくい共演者だったんじゃあ…」

大泉「何を言うんだよ! 恐ろしいこと言うんじゃないよ!」

藤村「正直に言いなよ」

大泉「いや、正直も何もね? 大先輩だよあの方は!」

嬉野「あぁ、そういえばさぁ」

大泉「なんだいうれしー」

嬉野「スマップなんてのはやっぱり、あの頃からこう…」

大泉「あっはっはっはっは!! 何を言わせようとしてるんだ君は!」

嬉野「なんでだよう、気になるじゃないかぁ」

藤村「あっはっはっはっは!」

大泉「君…君、すごいなあ。仮にもテレビマンだぞ君。今やローカルテレビだから何でもありって時代は終わったんだぞ」

嬉野「そうかい? …ああ、まあ、そうか」

大泉「ああまあそうか!?」

藤村「あはははは!! 嬉野くんは今、思い出したね。テレビの外でこう…」

大泉「どうでしょうをね。見てる気分になってたんだね」

藤村「視聴者代表だから」

大泉「そこを『あ、違うぞ!』っとね。『作り手だったんだ僕は!』と」

藤村「道を踏み外すところをね」

大泉「僕がこう、『違うぞ嬉野くん!』っと」

藤村「はははははは!!」

大泉「ビッ!! とこう、腕を引っ張って」

藤村「そっちじゃない!! と」

大泉「君のいるべきはこっちだ!! と」

東京

「「「「あっはっはっはっは!!!!」」」

大盛り上がり

鈴井「いやあ、こんな楽なロケでいいのかなあ」

「「「あっはっはっはっは!!!!」」」

一致「あ、じゃあ、藤村さんからメールをもらってるんで、それを見てもらっていいですか?」

鈴井「メール?」

一致「ある程度お手伝いをしてもらったらこれを見てもらってくれって言われてたんです」

一致「ええと、あ、これだこれだ。あれ、映像が添付されてる…」ポチ

藤村『ミスター、盛り上がってますか?』

「「「おお! 藤村さんだ!!」」

鈴井「…」

嫌な予感

藤村『この映像を見ているということは、ある程度状況が膠着してるんだね』

鈴井「失礼だなあおい」

藤村『素人さんの家に行き、お手つだいをし、それで本当に終わりだとおもったかい?』

鈴井「!!」

!!

藤村『ミスターにはこれから』

鈴井「…」

藤村『>>94をしてもらいます!!!』

1人サイコロの旅で合流を目指す

このSSは安価に恵まれてて助かります。

続きは明日以降ということで。

藤村『ミスターにはこれから……』

鈴井「……」ドキドキ

藤村『とりあえず僕に電話をかけてもらえるかな? そこで発表します』

鈴井「なんだよもーーー!!! すっげえドキドキするよ!!!」



四国

プルルルル
藤村「おっと、電話だ。大泉くん」

大泉「はいはい?」

藤村「ミスターから電話なんで一旦停まるよー」

車外

藤村「あ、もしもし、鈴井さんですか」

大泉「これはなに? 定期連絡?」

藤村「ああ、映像を。はいはい、見たのね。オーケーです」

大泉「映像?」

藤村「ミスター、やっぱり一人は寂しいよね」

大泉「??」

藤村「そりゃそうだ。一致さんたちと一緒だ。でも忘れちゃいけないよミスター。これはどうでしょうだ」

藤村「どうでしょうっていうのは、鈴井さんと大泉さん揃ってこそだろ?」

大泉「…」←よく解んないけどミスターにひどいことが起こりそうで嬉しい

藤村「だからさ、ミスター。合流しようよ」

大泉「!!」

藤村「どうやって? そう、それが問題だ」

大泉「……」←笑う準備をしている

藤村「ところでミスター。こっちにね、………サイコロがあるんだ」

大泉「あっはっはっはっはっはっは!!!!!」

藤村「ミスター。一人サイコロの旅で、僕らと合流しようよ」

大泉「ああっはっはっはっはっは!!!!!」

藤村「サイコロは大泉くんが振るのさ。インチキ出来ないようにね。そして合流を目指す。こらミスター、感動するよ」

大泉「あ、あっはっはっはっは!! お、おかしいよ、この人本当に頭がおかしいよ!!」

ナレーション(藤村)「ここで説明しよう。この企画の本当の目的に、賢明な視聴者はもうお気づきだろう。そう、この企画は、日本の中でばらばらになった大泉と鈴井両氏が、サイコロという運をつかさどるシステムで、無事、再開を果たしてもらうというものなのである。もちろん大泉はお礼参りをするという目標を達さなければならず、鈴井はそれに追いつく必要性がある。よって、ある程度大泉の行動を把握しているこちらがミスターの行動のイニシアチブをとれるよう、サイコロはこちらで振ることになるのである」

東京

鈴井「……」

呆然

四国

藤村「よーし、それじゃあ早速サイコロの出た目の行先を決めるから、ミスターちょっと待ってくださいよ」

サイコロ!!

①飛行機でとりあえず高松空港へ
②新幹線で新大阪へ
>>102
>>103
⑤飛行機で新千歳へ
⑥深夜バスで博多へ

サイコロの目>>104の書き込んだ時間の秒数下2桁目

kskst

安価ミスってね?
まさかの青森へ逆戻り、高速バスノクターン号

ミスってましたね。

>>107の書き込み時間秒数下2桁目をサイコロの出た目とします。

安価は>>105ので

サイコロ!!

①飛行機でとりあえず高松空港へ
②新幹線で新大阪へ
③まさかの青森へ逆戻り、高速バスノクターン号
④深夜バスキャメル号 鳥取 10時間30分
⑤飛行機で新千歳へ
⑥深夜バスで博多へ

藤村「さあ、こんなところかな」

大泉「やべえのばっかりじゃないか」

藤村「じゃあ大泉くん、このサイコロを」

大泉「ぼ、僕が振るのかい!?」

藤村「そうだ。君の事務所の会長の命運はぁ、君が握ってるんだぁ」

大泉「おおお、それはそれで面白いんだけど、いいんだね? 僕が振るってことで」

藤村「ミスターには、ご了承いただいてるよ」

大泉「解った。振ろうじゃないか」

サイコロを振る

大泉「さあこのわたくしの今から振るサイコロに、遠く東京で固唾を飲んでいる鈴井さんの命運がかかっております、何が出るのか何が出るのか、私としては一刻も早く合流して鈴井さんにこのヒゲへの復讐を果たしていただきたいところ!!」

藤村「あはは!! 早く振れよ!」

大泉「案ずるなかれ、振ればわかる、振ればわかるさ、ええい!!!」ポーーイ!

藤村「うわ、おまえ…」

嬉野「投げすぎだろー」

ヒューーーー

コロ、コロコロコロコロコロ、ポチャン

藤村「おおーい!!!」

大泉「あっはっはっはっは!!!」

藤村「あはははは!!! おい、溝に落ちたぞおい!!」

サイコロ、消失

>>107の書き込み秒数が0だったのでとりあえずサイコロを亡き者にしました

大泉「ああっはっはっはっは!!」

藤村「笑ってる場合じゃないよお前」

大泉「まあいいじゃないの、新しいの出しなさいよ」

藤村「ないよそんなもん!!」

大泉「はあ!? ないって…どうすんだよ!」

藤村「どうすんだよじゃないよ、お前が馬鹿みたいに遠くに投げるからこんなことになるんだろ!?」

大泉「いや、普通もう何個か予備を持ってくるもんだろう!?」

藤村「はあ!? 普通っつったかお前。普通を語る人間がサイコロを溝に落とすんじゃないよ!」

大泉「落ちちゃったもんはもうしょうがないでしょ! いつまでもグダグダ言ってないで善後策を考えなさいよ!」

藤村「善後策ったってお前…新しいの買うしかないだろう」

大泉「新しいの買うって君、この山道のどこにそんな、僕らのニーズを満たしてくれるような店があるってんだい」

藤村「そうだねえ」

大泉「こんなとこでサイコロ買うなんて、野生の獣を狩る方がまだ簡単だよ」

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