【艦これ】三船「艦娘?」【ロボット残党兵】 (38)

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ーー機械化探偵社

一文字「おーい、三船くんいるかな?」ガンガン

三船「……」

一文字「何だ居るじゃないか。居留守なんて使わないでくれよ」

三船「……どうせまたロクでもない仕事を持ってきたんだろ。やらないから俺は」

一文字「またまた……今日はコーヒーにしてくれ」

三船「……」

一文字「切らしているのかね?」

三船「……」カチャカチャ

一文字「ハハハ……すまんね」

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一文字「うーむ、美味い」ズズズ

三船「……で、なんだ?」

一文字「ん? ああ……これなんだが知ってるか?」スッ

三船「……子供達? いや、こいつは…………確か海軍の機械化人間か……」

一文字「流石三船くんだ。そう、こいつらは海軍の機械化人間……通称艦娘だ。見た事あるのかね?」

三船「…………いや。ただ、装備ーー艤装だったか。それを資料で読んだ事があっただけだ」

三船「それにしても…………」

一文字「見た目だろ? 海軍曰く米軍の……深海棲艦だっけか。あれより人の形を残してるだけ人道的だそうだよ。それが適正にしろ酷い話だが」

三船「……」

一文字「ま、戦後の今となってはどうでも良い事か」

三船「……確か彼女等は全て解体されたんじゃないのか?」

一文字「そんな上手くはいかないさ。彼女等は戦争の亡霊だよ。三船君だって沢山見て来ただろう。あの戦争の亡霊を」

三船「……」

一文字「…っと話がずれたな」

三船「……こいつらに手をかけろと言うんじゃないだろうな?」

一文字「いやいや! ……ただねー、こいつらが私らの土地を数年前から占拠してるんだよー」

三船「俺には関係ない話だ」

一文字「三船君」グイッ

三船「……」

一文字「こちら側も穏便に済ましたいんだ。私等は彼女保護したい。だから説得してくれないかーーーー」

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ーー廃工場


三船「はぁ……」

三船(説得たってどうするんだ……奴らはいつも人任せだ)

三船(仕方ない……とにかく合ってみる他ないか……ん?)

三船(気配が……6、7……多いな)

三船「……争うつもりはない。話をしに来ただけだ」

「日の丸人か……珍しい機械化人間が来たな」

三船「……お前は?」

長門「長門……とかつては呼ばれていた」

三船「長門……戦艦長門か」

三船(随分若い……いや、こいつも俺と同じ戦中を生き抜いて来た奴か)

三船(見た目は当てにならないーー)

???「お客さんですかー?!」ダキッ

三船「うわっ?! な、何だお前は?」

雪風「あ、日の丸人さん初めまして! 雪風は雪風です!」

三船「わ、分かったから離せ!」

雪風「うわー、日の丸人さん懐かしい! 昔はいっぱいいたけど今はいないもんね!」ベタベタ

三船「べ、ベタベタするな」

三船「お、おい何なんだこの子供は」

長門「何って、私と同じ艦娘さ」

雪風「陽炎型駆逐艦8番艦、雪風です!どうぞ、宜しくお願い致しますっ!」

三船「……!」

三船(実際見ると信じられんな……)

三船(こんな子供が戦争を……か)

長門「ふっ、機械化人間の癖に分かりやすい顔をする奴だ」

三船「……む」

長門「…………まあいい。何か用があるんだろう。話くらいは聞いてやろう。中に入れ」

雪風「こっちですよー!」グイグイ

三船「そ、そんな引っ張るな」


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長門「適当に座ってくれ」

三船「……」

三船(結構な数がいるな……)

雪風「ねーねー、日の丸人さん」ベタベタ

三船(これだけの機械化人間……戦力としてはかなりの)

雪風「日の丸人さんって何歳くらいですかー?」ベタベタ

三船(だが、どうやって維持をしてるんだ? メンテナンスは……)

雪風「よく見たら普通の日の丸人さんとは違いますねーかっこいい!」ベタベタ

三船「や、やめろと言ってるだろ! ベタベタするなー!」

雪風「えへへ」

長門「ははは。随分懐かれてるなぁ」

長門「……しかし、えーと、お前ーー」

三船「……三船だ」

長門「三船か。お前……酔狂な奴だな。未だに日の丸人の体を使ってるなんてな」

三船「…………」

長門「ま、私等も人のことは言えんがな……」

長門「もう20年か……時間の経つのは早いものだ」

雪風「光陰矢のごとしですっ」

長門「……そうだな」

三船「……」

長門「……っと。それで何の用なんだ? 大体予想はつくが」

三船「単刀直入に言う。この場所から出て行ってくれないか?」

長門「……それが出来たら、何年もこの場所に居座るわけないと思わないか?」

三船「次の住居は保証する。新しい身分、新しい体も用意する」

長門「ふむ……至れり尽くせりだな」

三船「……」

長門「が、駄目だな。私等はここから動かない」

三船「何故だ?」

長門「……私等が私等であるためだ」

三船「……?」

長門「理解してもらえるとは思わない。理解してもらおうとも思わん……だが譲れない」

三船「……手荒な事はしたくない」

「……」ガタッ

「……」ガタッ

三船「……!」

長門「皆、待つんだ。こいつは……ここで暴れる奴じゃない」

三船「……」

三船「……どうしても駄目か?」

長門「駄目だ」

三船「……」

長門「……」

三船「……ふーっ。分かった。今日は引こう」

長門「ふっ。そうしてくれ」

三船「邪魔したな」

雪風「……ま、また来て下さいね!」

三船「……ああ」

三船(長門か……頑固そうな奴だ)

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雪風「でも珍しいですねー長門さん」

長門「ん?」

雪風「知らない人とお話しするなんて。いつもは叩き切ってるじゃないですか」

長門「日の丸人なんて懐かしくてな……それに、お前も懐いてた事だしな」

雪風「えへへー、だって似てるじゃないですかーあの人に」

長門「……そうかもな」

長門(三船か……変な奴だ)

長門(……三船? 日の丸人で三船か。どっかで聞いたような……)

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ーーおでん屋

森「ほらよ、おでんお待ち」

三船「…………」

森「えらく難しい顔をしてるな……例の仕事か?」

三船「一文字も厄介な仕事を持って来たもんだ………海軍が噛んでるみたいだ」

森「一文字も敵が多いからな。大方嫌がらせの占拠だろう」

三船「如何にかどいてくれないものか……」

少年「隊長、野菜切ったよ」

森「……ま、私はこいつみたいに居つかれた事はあれど追い出すのは経験ないから分からんな」ポンポン

少年「?」

三船「……」

三船「私等が私等であるため……か」

森「?」

三船「奴等が言ってたんだ」

森「ふむ……」

三船「……」

三船「私等が私等であるため……か」

森「?」

三船「奴等が言ってたんだ」

森「ふむ……」

三船「なんだそりゃ」

森「いつまでも日の丸人でいる奴なんかそういない……何か理由がなければ」

森「奴らもその辺りに理由があるんじゃないか?」

三船「……」

森「ま、おでんでも持ってくか。奴等が食うか知らんが」

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ーー数日後


三船「おーい、いるか?」

雪風「あ、日の丸人さん! 今日は!」ガシッ

三船「こ、こら。ひっつくな」

三船「ん……長門はいないのか?」

雪風「長門さんはお出かけしてるよ!」

三船「そうか……」

三船(出直すか……)

雪風「日の丸人さん、雪風と一緒にお話ししましょう!」グイグイ

三船「わっ、わ、わかったから引っ張るな!」

雪風「ーーーーそれで、ですねー!」

三船「あ、ああ」

三船(よく喋る奴だ……)

雪風「……」

雪風「あ、あの……」モジモジ

三船「どうした?」

雪風「日の丸人さんは雪風と友達になってくれますか!」

三船「と、友達?」

三船(なんだ急に)

雪風「だ、ダメですか」

三船「別に良いが」

雪風「ほ、ほんとですか!? ありがとうございます!」

三船「う、うむ」

雪風「ふふ、やっぱり日の丸人さんは司令官に似てますねー」

三船「……司令官?」

雪風「はい! 雪風の、最初のお友達です! 司令官に長門さんに……日の丸人さんは3人目です!」

雪風「司令官は凄い人なんですよ! 私達を作った人なんですから!」

三船「…………」

三船「…………ふむ。その、司令官とやらは今どこにいるんだ?」

雪風「……司令官は死んじゃったんだ」

三船「む……」

雪風「でも悲しくないです! 長門さんが言ってます。雪風達が艦娘でいれば、司令官も私達の中で生き続けるって」

三船「…………」

雪風「だから、雪風は悲しくないんです!」

三船「……そうか」

三船「雪風は……偉いな」

雪風「そうですか……えへへ」

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ーーーー


三船「…………」

長門「三船か……お前も暇人だな」

三船「2人で話がしたい」

長門「む……まあ良いだろう」

長門「説得なら無駄だからな」

三船「……」

三船「…………過去にしがみ付くのは止めろ」

三船「お前を作った人の為にも」

長門「…………ふっ、調べはついてるという事か」

三船「お前の」

長門「お前の気持ちはよく分かる……だろ? ……機械化人間の第一人者よ」

三船「!」

長門「貴様も有名人だったよ。提督の話にもよく出ていた」

長門「いつか会ってみたいと話していたが…………それは叶わなかったな」

三船「…………」

長門「なあ、三船。提督を調べたなら、お前も分かるだろう」

長門「戦時中は散々持ち上げといて、戦後は非道などと言い非難する」

長門「あまつさえは艦娘など無かった事にしようとする……勝手だとは思わないか?」

長門「……提督も、その存在を消された」

長門「私はな、三船。まるで臭い物に蓋をしようとした奴らが許せないんだ」

長門「だから、私はこの姿生き続けてやるんだ。生き続けて主張してやるのさ」

三船「……あの娘らを巻き添えにしてでもか」

長門「あいつらも私も同じさ」

三船「……そうは思わない」

長門「お前に何が分かる」

三船「……なぁ、長門。過去にしがみ付いて生きるはやめるんだ」

長門「ふっ、いつまでも日の丸人でいるおまえがそれを言うか」

三船「…………」

三船「…………」

長門「三船…………どうやら分かってもらえないようだな。貴様を軍刀の錆にはしたくなかったが」チャキッ

三船「……お前とはやりたくない」

長門「何を言っている。自分を貫き通すならこれしかないだろう」

三船「……」

長門「いつだってそうだ。最後に立ってれば良い。それが私らのやり方だ。お前もそうだっただろう」

三船「……」

三船「……やるしかないのか」ジャキッ

長門「そうだ。それで良い」

長門「……」

三船「……」

長門「ふっ!」ヒュッ

三船「……っ」ガキッ

長門「はっ!」

三船「くっ……」

三船(手練れだな……)

長門「真っ二つにしてやるっ」

ーーーー
ーー

長門「せあっ!」

三船「ぐうぅっ」

三船(くっ、どうする。ここで本当に長門を倒して良いのか……)

長門「はぁっ、はぁ……」

三船「…………」

長門「そろそろ……ケリをつけるか」

三船(っ……来る)

長門「はあぁああっ!」ビュッ

三船(速いっ)

三船「っ……う、うおおお」

長門「…………」スッ

三船「?!」

 刹那、長門が笑った。長門の軍刀は三船の左腕を裂きーー三船の拳は長門の心臓を貫いた。


長門「が……がは……」

三船「っ……お、お前」

長門「が、がは……がはがは……さ、流石だな……み……ふね」

三船「お前……今、わざと」

長門「……何の……こと……やら」

三船(心臓を貫いてしまった。これは……助けられない)

長門「……生き残る……のも、考え……ものだ……な」

長門「古い……やつ……は、じぶ……んでは、生き方……を曲げら………んから……な」

三船「……難儀なやつだ」

長門「ふっ……最後ま……で、愛想……ないやつ……め」

長門「みふね、あの子ら……を頼む……長門は……しん……だ。だから……自由に…生きて………くれ…と」

長門「さらば……だ、みふ……ね」

三船「……」

長門「て……いと……く。いま……あなたの……もと…へ」

三船「……長門」

雪風「三船さん。長門さん……」

三船「っ……ゆ、雪風」

雪風「……良いんです。長門さんを殺してくれて、ありがとうございました……」

三船「な、何……」

雪風「ずっと死に場所を探してましたから。自分が生きて居ては、私達が前に進めない……そう考えてたのでしょう」

雪風「だけど自害する程、生き方を変えれない……」

雪風「難儀な……人です」

雪風「……さようなら、長門さん」

三船「……」




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森「で、彼女達は全て解体されて普通の娘に戻ったと」

三船「ああ……」

森「そうか……」

三船「……」

森「その長門って奴、お前ににているな。一度会って見たかったな」

三船「やめとけ。切られるぞ」

森「おっかないな」

三船「……なぁ、森」

森「ん?」

三船「……過去を捨てらなければ、未来へ進めないのか」

森「ん……それは、そうだろう」

三船「…………」

森「ただ……過去がなければ生きられないのも事実だ」

森「だから……割り切るのが大切なんだろう」

三船「……」

森「長門は……それが奴なりの割り切り方だったんだろう」

三船「そうか……」

一文字「やぁ、三船くん! いやー助かったよ! 今回は報酬を弾むからな!」

三船「……」

三船「…………こいつの事は割り切れないな」

一文字「?」

三船(俺も、長門と一緒かもな……)

ーー完ーー

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