【ガヴドロ】ヴィーネ「また仕送りが減ってる……こうなったら……」 (184)



ヴィーネ「……」ドキドキ


魔界通帳  月乃瀬=ヴィネット=エイプリル様


ヴィーネ「……」ペラッ

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「はあ……」

ヴィーネ「また、仕送り減ってる……」グスン


ヴィーネ「やっぱり、悪いことしないと仕送り額上がらないよね……」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「……こうなったら」

ヴィーネ「悪いことするしかないわね」




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ヴィーネ「しかし、悪いことって何があるのかしら?」ウーン

ヴィーネ「人殺しとかしたくないし……万引きとか? いや、お店の人に迷惑掛かるわね」

ヴィーネ「できれば、被害を最小限に抑えるのがいいよね」

ヴィーネ「うーん……どうしましょうか」


ヴィーネ(そこから私が一晩中考えて、導き出した答えとしては……)

ヴィーネ「そうだ! ガヴ達になにか悪いことしてみましょう!」

ヴィーネ(こんな結論となってしまいました。今、思えばこの時の私はどうかしてたと思います)



ヴィーネ「取りあえず、明日実践してみましょう!」

ヴィーネ「今日は夜遅いから寝ましょうか。悪事は明日考えましょう」パチッ 照明オフ

ヴィーネ「お休みなさい」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「……Zzz」




―翌日 学校―


ヴィーネ「さて……誰に何をしようかしら……」スタスタ

ヴィーネ(なるべく、皆が傷つかないことがいいわね……)

ヴィーネ(いくら仕送りを増やしたいといっても、友達を失いたくないしね)


ヴィーネ「……」トコトコ

ヴィーネ「……ん? あれは……」




サターニャ「私は~恐怖の~大悪魔~♪」フンフン


ヴィーネ「……」

ヴィーネ「最初はサターニャで決まりね!」




ヴィーネ「サターニャ!」タッタッタッ

サターニャ「あら、ヴィネットじゃない! おはよう!」ニコッ

ヴィーネ「おはよう、サターニャ」


ヴィーネ(サターニャには何をしようかしら……)ウーン

ヴィーネ(……)

ヴィーネ(悪口を言ってみましょうか。ただ、フォローを入れながら極力相手を傷つけないようにしましょう)

ヴィーネ(慎重に言葉を選びましょう)




ヴィーネ「ねえ、サターニャ」

サターニャ「? どうしたのよ、ヴィネット。真剣な顔して……?」

ヴィーネ「…………サターニャってお馬鹿よね」

サターニャ「な!? 何言ってんのよ! 失礼ね!」


ヴィーネ(予想通りの反応ね……でも、ここは鬼にして!)

ヴィーネ「うるさいわね! お馬鹿サターニャ!!」

サターニャ「ぐう……よくも言ったわね……!」



ヴィーネ「大体、何よその蝙蝠の髪飾りは! 可愛いと思ってんの?」

サターニャ「こ、これは……お母さまが誕生日に買ってくれたもので……」グスッ

ヴィーネ「似合っていて可愛いわよ! このお馬鹿!」

サターニャ「!! また、馬鹿って言った! 馬鹿っていう方が馬鹿よ!」

ヴィーネ「うっさい! アホーニャ!」

サターニャ「……今日のヴィネットどうしたのよ? 何かあったら相談しなさいよ」

ヴィーネ(やめて! その優しさが辛い!)

ヴィーネ「あんたには関係ないわよ!」



サターニャ「大いに関係あるわ! だって、ヴィネットは私の友達だからね!」

ヴィーネ「!!」

ヴィーネ「……ありがとう」ボソッ

サターニャ「? なんか言った?」

ヴィーネ「ううん、ただの独り言よ」

ヴィーネ(もう悪口は十分言ったからいいよね。これ以上ここに居たら、サターニャの優しさで心が痛むわ……)


ヴィーネ「と、とにかく! これ以上ここに居たくないわ! じゃあね、サターニャ!」タッタッタッ

サターニャ「ちょっと!? ヴィネット!」

サタ―ニャ「……」

サターニャ「……私と一緒には居たくないのかしら」グスッ



―その日の夜―


ヴィーネ「はあ……今日は疲れたわ。サターニャとあの後、話しにくかった……」

ヴィーネ「ガヴ達からも何があったのかと心配されたし……」

ヴィーネ「サターニャには明日謝りましょう」

ヴィーネ「今、気になるのは……仕送りは上がっているかしら?」ペラッ

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「少し上がっているわ!」パアア




―次の日の学校―


ヴィーネ「うーん……サターニャにどうやって謝ろうかしら?」スタスタ

ヴィーネ「ガヴとは時々喧嘩するけど……サターニャとは喧嘩したことあまりないわね」スタスタ

ラフィエル「あら、ヴィーネさん。おはようございます」ペコッ

ヴィーネ「ラフィ、おはよう」クルッ


ヴィーネ「ねえ、ラフィ……サターニャはまだ学校に来てないよね?」

ラフィエル「サターニャさんですか……少し、待ってください」センリガンハツドウ

ヴィーネ「?」

ラフィエル「……まだ家に居ますね。サターニャさんを起こしに行けば良かったですね」ムウ…



ヴィーネ「ああ、千里眼ね。ほんとに便利な能力ね……もしかしてずっとサターニャを見てるの?」

ラフィエル「いえ、千里眼の使い過ぎは体力を消耗しますので、週に5日ぐらいですかね。昨日はまったく使ってないですし」

ヴィーネ「そうなんだ(それでも多いわよ!)」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ(ちょうど二人っきりね……仕送りのためにラフィエルに悪いことしましょう!)

ヴィーネ(ただ、悪口はやめましょう……心が痛むし、ラフィに敵いそうにないしね)

ヴィーネ(うーん、何があるかしら…………そうだ!)ピコーン




ヴィーネ(ラフィには嘘をついてみましょう! そうと決まれば)

ヴィーネ「ねえ、ラフィ。私、実はね……」

ラフィエル「どうしたんですかヴィーネさん?」

ヴィーネ「実は……私はサキュバスだったのよ!」

ラフィエル「……」

ラフィエル「そうなんですか!!」プクク

ヴィーネ(ぐっ……流石にこれは信じてないわね。まあ、私はただの悪魔なんだけど)



ヴィーネ「えーと……あっ、ガヴがネトゲを止めたんだって!」

ラフィエル「そうなんですか。では、ガヴちゃんに聞いてみますねー」ニコニコ

ヴィーネ「じ、実はただの冗談よ!」アセアセ

ラフィエル「はい、知ってますよー」ニコニコ

ヴィーネ(えーとっ、他には……)

ヴィーネ「た、タプちゃんの趣味はガヴの盗撮らしいわよ!」

ラフィエル「そんなことしたら天界に強制送還ですが……いいのですか?」

ヴィーネ「やっぱり今のなしで」




ラフィエル「うふふ……分かっていますよ」

ラフィエル「ヴィーネさんは嘘をつけませんからね」ニコニコ

ヴィーネ「むっ!」カチン

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「そういえばさ。昨日、サターニャに……」

ラフィエル「はい、なんでしょうか?」ニコニコ


ヴィーネ「彼氏ができたわよ」

ラフィエル「………………え?」



ヴィーネ「偶々、放課後にサターニャが、男の人から告白されているところを見てね」

ラフィエル「う、嘘ですよね。それも嘘ですよね!?」

ヴィーネ「残念ながら本当よ。そしたらサターニャはOKしたわ」

ヴィーネ「その後、二人は恋人つなぎでサターニャの家に行って……」

ラフィエル「えっ……えっ……」オロオロ

ヴィーネ「そして……サターニャの家の前に着くと,お互いを見つめあい……」

ラフィエル「はっ……はっ……はっ……」ブルブル

ヴィーネ「サターニャが目を閉じ……男性の顔がゆっくりと近づいていって……お互いの唇が重なった」

ラフィエル「……うっぷ」

ヴィーネ「数秒間のキスを終えた二人は……仲良くサターニャの家に入っていったわ」

ヴィーネ「そこからは私も知らない」



ラフィエル「あはは……あはははははははは……!!」


ラフィエル「あははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!」


ラフィエル「はー……」

ラフィエル「……」

ラフィエル「……やるべきことが見つかりました」

ラフィエル「私の……私だけの……サターニャさん。今すぐに確かめないと!」

ラフィエル「待っていてください愛しのサターニャさん! あなたのラフィエルが必ず……必ず魔の手から救い出します!!」シュン


ヴィーネ「まあ、これも嘘なんだけどね……って、あれラフィ? どこに行ったの?」キョロキョロ






ガヴリール「ふぁぁぁ……ヴィーネ、おはよう」テクテク

ヴィーネ「あ、ガヴおはよう」


ヴィーネ(その日、サターニャとラフィは学校に来ませんでした)




―夜―

ヴィーネ「……」ペラッ

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「仕送りが大幅に増えてる!?!?!?」


こんな感じで各キャラごとに進めていきます
次はタプリスです



―次の日 教室―


ヴィーネ「うーん、なんで仕送り額があんなに増えていたのかしら……」

ヴィーネ「もしかして悪魔として認められたとか!……なんてね」


ガヴリール「おはようヴィーネ」テクテク

ヴィーネ「おはようガヴ」

ガヴリール「あれ? 今日もサターニャ来てないのか」

ヴィーネ「ほんとね……何かあったのかしら? 風邪ひいたとか?」

ガヴリール「ははは……ないない! あの馬鹿が風邪ひくとかありえないよ」



ヴィーネ「そうは言っても心配ね……今日サターニャの家に行ってみようかしら。ガヴも行く?」

ガヴリール「すまんが今日はバイトだから無理だ。それとサターニャの家に行くなら、ラフィエルの家を見に行ってくれ」

ヴィーネ「ガヴも心配なのね」

ガヴリール「別に……そんなつもりじゃないし」プイッ

ヴィーネ「任せて。サターニャの家に行った後にラフィの家に行くつもりだから」

ガヴリール「うん、任せたよヴィーネ」



―放課後―


ヴィーネ「さてと……ガヴもバイトに行ったし、私もサターニャの家に行きますか」ガタッ

ヴィーネ「もしかしたら、体調が悪いのかも知れないから、何か買っていきましょう」スタスタ

ヴィーネ「それと悪口を言ったことも謝らないとね」スタスタ

ヴィーネ「……」スタスタ

ヴィーネ「……ん? あれは……?」


黒奈「……」ボー

ヴィーネ「後輩の黒奈ちゃんね! 何してるのかしら? 声を掛けてみましょう!」スタスタ




ヴィーネ「おーい! 黒奈ちゃーん!」


黒奈「?」クルッ

黒奈「月乃瀬先輩……こんにちは」ペコッ

ヴィーネ「黒奈ちゃんは今何しているの?」

黒奈「千咲を……待っています」

ヴィーネ「タプちゃんを待っているのね。仲良くなって良かったわ!」

黒奈「はい……」コクッ

ヴィーネ(タプちゃんも黒奈ちゃんと友達になってよかった……)

ヴィーネ(……)

ヴィーネ(そうだ! タプちゃんにも何かしましょう!)




ヴィーネ(いくら仕送りが上がってもまた、下がるかもしれないしね)

ヴィーネ(とはいっても……タプちゃんにはどんなことをしましょうか……可愛い後輩だから変なことはしたくないわ……)ウーン

黒奈「月乃瀬先輩……どうしたんですか……?」

ヴィーネ「!」ピコーン

ヴィーネ(良いこと思いついたわ! これなら多分問題ないと思う! そのためにも……)

ヴィーネ「ねえ、黒奈ちゃん……ちょっと、協力してくれるかしら……?」

黒奈「……? なんですか?」




タプリス「うぅ……遅くなってしまいました……まさか、お手伝いがあんなに時間かかるとは思わなかったです」タッタッタッ

タプリス「流石に黒奈さんは帰っていますよね……?」タッタッタッ


黒奈「――――――」

ヴィーネ「――――――」


タプリス「!! 良かったです! まだ、居てくれました!」スタスタ

タプリス「しかし、月乃瀬先輩と黒奈さんの組み合わせは珍しいですね……何を話しているのでしょうか?」

タプリス「……少しだけ聞いてみましょう!」ワクワク

タプリス「そーと、近づいて……」ソローリ




ヴィーネ「黒奈ちゃん最近どうかしら?」

黒奈「はい……順調に事は進んでいます……」

タプリス(? 何を話しているのでしょうか?)ヒョコッ

ヴィーネ「ふふ……それは良かったわ。魔界からの指令も大変よね」

黒奈「そう……ですね」

タプリス(魔界からの指令? い、一体どういうことでしょうか)

ヴィーネ「まあ、順調に進んでいるのならいいわ」

ヴィーネ「舞天高校の全生徒傀儡化計画がね」

タプリス(……)

タプリス(ええええええええええ!?!?!?)

タプリス(傀儡化計画とはなんですか!?)



ヴィーネ「舞天高校を手中に収める……最高に悪魔的行為ね!」

タプリス(ま、まさか月乃瀬先輩がこのようなことを……!)

ヴィーネ「そのためにはガヴリールとラフィエルを、我が物にすることが優先事項……」

ヴィーネ「ラフィエルのほうは同胞サタニキアによって、攻略一歩手前の所まできているわ」

黒奈「月乃瀬先輩のほうは……どうですか?」

ヴィーネ「これを見なさい」ペラッ ガヴの寝顔の写真

黒奈「これは……無様な格好ですね」ニヤァ

ヴィーネ「すでにガヴリールは首輪を繋げられたも同然よ!」

タプリス(く、首輪!? も、もしかしてあの写真は……!)




~~~~~~~~~~


ヴィーネ『ガヴリール、今日も良いプレゼントを持ってきたわよ』

ガヴリール『ヴィーネ……もうやめてください。元の優しいヴィーネに戻ってください』グスッ

ヴィーネ『何を言ってるのかしら? これが本当の私よ』クスッ

ヴィーネ『とりあえず、これを付けなさい』

ガヴリール『はい……って、えっ……///』

ガヴリール『こ、これは……首輪ですか///』



ヴィーネ『そうよ。私のペットとしての証よ』

ガヴリール『うう……恥ずかしいです///』

ヴィーネ『あなたに拒否権はないわ。早くつけないと……』

ガヴリール『!! わ、分かりました! だから……乱暴なことは止めてください……』カチャカチャ

ヴィーネ『ふふ……似合っているわよ』ナデナデ

ガヴリール『うう……///』

ヴィーネ『ついでに写真も撮っておきましょう』パシャパシャ

ガヴリール『ヴィ、ヴィーネ! 写真は撮らないで……!』

ヴィーネ『ヴィーネ? 呼び方が間違っているわよガヴ? 言い直しなさい』

ガヴリール『……ご主人様///』カアア

~~~~~~~~~~~~



タプリス(~~~~~~っ!!)

タプリス(なんて……なんて……羨ましい!!)

タプリス(あっ、間違えました)

タプリス(にくらしい!!)

タプリス(どうにかして天真先輩達を助けないと……!)



ヴィーネ「そして、魔界から新たな指令が下されたわ」

タプリス(ん?)

ヴィーネ「千咲=タプリス=シュガーベルの篭絡よ」


タプリス(えええええええええ!?!?!?)

タプリス(ついに……私も悪魔の餌食に……!)


ヴィーネ「これは黒奈ちゃんに任せたわ。やってくれるよね?」

タプリス(!)



黒奈「……」

黒奈「……ません」

ヴィーネ「? ごめんなさい、聞こえなかったからもう一回言ってもらえるかしら?」

黒奈「それは……できません」

タプリス(!!)

ヴィーネ「あら……それはどうして?」

黒奈「千咲とは……下界で初めての……友達だからです」

タプリス(……)

タプリス(黒奈さん……あなたのこと誤解していました)



ヴィーネ「ふーん……私の命令が聞けないんだ……」

ヴィーネ「そんな子は……お仕置きしないとね!」三叉槍シュン

黒奈「うぅ……」ブルブル


タプリス「!」ダッ

タプリス「だ、駄目です!! 黒奈さんを傷つけないでください!」バッ

黒奈「千咲……?」

ヴィーネ「あら、タプちゃん……ここに居るっていうことは、さっきの話聞いていたのね。まあ、いいわ」

ヴィーネ「先に黒奈ちゃんを始末しましょう!」ジャキッ

タプリス「!!」

タプリス「ぐっ……逃げますよ! 黒奈さん!」ガシッ

黒奈「!!……うん」




タプリス「つ、月乃瀬先輩の悪魔! 変態! サキュバス!」タッタッタッ


ヴィーネ「さ、サキュバス!? なんで!?」ガーン

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「行っちゃった……」

ヴィーネ「まあ、黒奈ちゃんが居るから、タプちゃんに伝えてくれるでしょう」

ヴィーネ「さっきの話は全部ドッキリだってこと」


サターニャの家に行くのはまた後日



~回想~


ヴィーネ「黒奈ちゃんに協力してほしいことは、タプちゃんを“怖がらせる“ことよ」

黒奈「怖がらせる……ですか」

ヴィーネ「そうよ。そのために芝居を打ってみようと思うの。要はドッキリね」

黒奈「……面白そうですね」ニヤァ…

黒奈「それで……どんなドッキリをするんですか……?」

ヴィーネ「そうね……魔界からの指令で学校を掌握するために、悪魔が天使をひれ伏せさせる……っていう設定でどう?」

黒奈「……設定が凝っていますね」

ヴィーネ「まあ、こういうのは楽しまないとね///」

黒奈「では……千咲がこの教室に来たら……始めましょう」

ヴィーネ「ええ、よろしくね♪ 黒奈ちゃん」


~回想終わり~



ヴィーネ(途中からアドリブが多かったけど……十分怖がらせること出来たかしら……?)

ヴィーネ(それより、タプちゃんに嫌われてないよね……)オロオロ

ヴィーネ(まあ……そのへんのフォローは黒奈ちゃんに任せましょう)

ヴィーネ(しかし……)

ヴィーネ(黒奈ちゃんは案外ノリがいいわね)




―タプリスside―


タプリス「はあ……ここまで来れば追っては来ないでしょう……」ゼーハー

黒奈「千咲……」

タプリス「黒奈さんは安心してください。私が必ず守りますから!」

黒奈「うん……それより……」 



     ドッキリ大成功!!



タプリス「しかし……天使のような月乃瀬先輩が、あのようなことをするとは……はっ!? まさか!」

タプリス「月乃瀬先輩は誰かに操られてる!?」




黒奈「千咲」



    ドッキリ大成功!!



タプリス「そうです! それしか考えられません!! しかし、一体誰がそのようなことを……」

黒奈「千咲……こっち見て……」

タプリス「なんですか! 今、情報を整理しているところ……です……」



    ドッキリ大成功!!



タプリス「……」

タプリス「ほええええええええ!?!?」



タプリス「い、一体どこからドッキリなんですか!?」

黒奈「最初から……」

タプリス「」

黒奈「千咲……?」

タプリス「良かった……本当に良かった」グスッ

黒奈「!! 千咲……泣かないで……」オロオロ

タプリス「月乃瀬先輩や胡桃沢先輩と敵対関係にならなくてよかった……」

黒奈「……ごめんなさい」ペコッ





タプリス「もう……今回だけですよ?」エヘヘ

黒奈「うん……それと……」

黒奈「さっきは助けてくれてありがとう……」

タプリス「!! まあ、黒奈さんもドッキリとはいえ私を庇ってくれましたから! これでお相子です!」

黒奈「分かった……」

タプリス「では、帰りましょうか」ギュッ

黒奈「!!……うん」ギュッ



―ヴィーネside―


ヴィーネ「さて、サターニャの家に行きましょう」

ヴィーネ「ちょっと遅くなったから、サターニャの家に行って、必要あれば買い出しに行きましょう」スタスタ


サタニキア邸


ヴィーネ「サターニャ、居るのー?」ピンポーン


………………ガチャッ

サターニャ「こんな時間に誰よ……ってヴィネット!」

ヴィーネ「あっ、サターニャ! なんで学校来なかったのよ! 心配してたわよ!」

サターニャ「ごめんなさい……大事な用があったのよ。明日には行くわ」



ヴィーネ「そう……それなら良かった。そういえば、ラフィも学校に来なかったのよ。何か知ってる」

サタ―ニャ「ラフィ!?」

ヴィーネ(ん? ラフィ?)

ヴィーネ「ラフィについて何か知ってるの?」

サターニャ「いや……知らないわね///」

ヴィーネ「そっか……体調とか悪くないよね?」

サターニャ「大丈夫よ……ありがとね」

ヴィーネ「それなら良かったわ。じゃあ、明日ちゃんと登校するのよ?」

サターニャ「分かったわ。またね、ヴィネット」

ヴィーネ「また明日。サターニャ」




ヴィーネ「サターニャは問題なさそうね……」

ヴィーネ「次はラフィの家に行きましょう」ピロロロロ

ヴィーネ「ん? メッセージ? ラフィからね」カチカチ



『ヴィーネさん。お手間をかけさせてすみません』

『明日は学校に登校しますので心配しないでください』

『ではまた明日学校でお会いしましょう!』



ヴィーネ「……問題なさそうね。ラフィの家には寄らなくていいか」

ヴィーネ「まあ、休んだ理由は明日聞けばいいか」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「そういえば、サターニャって“ラフィエル”って呼んでたよね」

ヴィーネ「うーん…………ま、いっか」スタスタ




―その日の夜―


ヴィーネ「さーて、タプちゃんを『怖がらせる』という悪魔的行為を行ったから、仕送りが増えていると思うわ!」ペラッ

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「むしろ昨日より減ってる!?!?」ガーン


次は試食部かハニエル

一応、オチと話の展開はすでに考えているので問題ないかと思います
多分



―次の日 教室―


ヴィーネ「うーん……なんで仕送り額が減っていたのかしら……」

ヴィーネ「成功したと思ったのに……」


サターニャ「ヴィネット!! おはよう!」スタスタ

ヴィーネ「おはよう、サターニャ」

ヴィーネ「そうだ……サターニャ。二日前にあなたに悪口言ってごめんなさい!」ペコッ

サターニャ「? 何の話よ?」

ヴィーネ「えーとっ……私があなたに悪口言って……傷つけてしまったのを……その……」

サターニャ「……ああ、あれね。別に気にしてないわ」

ヴィーネ「ほ、ほんとに?」

サターニャ「何か理由があったのでしょう? 長い付き合いだから分かるわよ!」

サターニャ「だから、何も聞かないわ!」

ヴィーネ「サターニャ……ありがとう……!」




ガヴリール「おーす……ってサターニャ。なんで学校休んでたんだ? サボりか?」スタスタ

サターニャ「フフーン! 我が宿敵に教えることはないわ!」ドヤァ

ガヴリール「あっそ」イラッ

ヴィーネ「私も気になっていたけど……なんで2日間学校に来なかったの?」

サターニャ「えっ!?」

サターニャ「それは……その……」アタフタ

ラフィエル「うふふ……サターニャさんと私はそれぞれ、天界と魔界から呼び出しに応じてたんですよ」ヒョコッ



サターニャ「ラフィ!? そ、そうよ! ちょっと、野暮用で魔界に行ってたの!」

ガヴリール「私は天界からそんな通知来てないぞ?」

ヴィーネ「私もよ。なんで呼び出されたの?」

サターニャ「そ、それは……」

ラフィエル「すみません。守秘義務なので言えないですね」

サターニャ「そーよ! しゅひ義務だから言えないわ!」

ヴィーネ「そう……」




ガヴリール「なあ、ヴィーネ」ヒソヒソ

ヴィーネ「どうしたの? ガヴ」ヒソヒソ

ガヴリール「こいつらこんなに仲良かった?」ヒソヒソ

ヴィーネ「確かに……サターニャは“ラフィエル”って呼んでたしね」ヒソヒソ

ガヴリール「多分、この二日間でお互いの仲が、進展することがあったんだろうな」ヒソヒソ

ヴィーネ「そうでしょうね」ヒソヒソ

ヴィーネ(まあ、仲良しなのはいいことだけどね)




―放課後 校舎―


ヴィーネ「もう放課後ね……今日は悪いこと出来なかったわ」スタスタ

ヴィーネ「仕送り額を上げる為に、誰かに悪いことしないと……! このままでは生活できないわ」スタスタ

ヴィーネ「ただ、同じ人にするのも気が引けるのよね……」スタスタ

ヴィーネ「誰かいないかしら……?」スタスタ

ヴィーネ「ガヴは今日もバイトだし…………ん? あれは……?」ピタッ



まち子「よいしょっと。ふー、これで荷物整理は終わりかしら。早く、部室に行きましょうか」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ(委員長がいたわ! 周りに誰もいないし、これはチャンスね!)




ヴィーネ(さて……委員長にはどんなことをしましょうか)ウーン

ヴィーネ(なるべく、穏便に済ませたいわね)

ヴィーネ(……ここは魔界『悪事大百科』を使いましょう)ボン!

ヴィーネ(適当にページを捲って、そこに書かれていることを実行しよう)パラパラ

ヴィーネ(ここだ!)ピタッ



『悪事その58 悪魔的性的嫌がらせ(デビルズセクシャルハラスメント)』



ヴィーネ「」

ヴィーネ「変なページ引いちゃった……」ズーン




まち子「さてと……行きますか。今日は何を作るのかしら?」

ヴィーネ(委員長が行っちゃう! こうなったらもうヤケよ!)

ヴィーネ(この項目に書かれてあることをするわ!)ジー ペラペラ

ヴィーネ(…………よし! 作戦開始!)バタン



ヴィーネ「委員長―」タッタッタッ

まち子「? あら、月乃瀬さん。学校にまだ居たのね」クルッ

ヴィーネ「ええ……少し用があってね」

まち子「用事って……私に?」

ヴィーネ「そうよ」

まち子「どんな用事なの? 月乃瀬さ――」ドン!




ヴィーネ「委員長……いや、まち子」ズイッ

まち子「!?」

まち子(壁ドンされてる!? それと……顔が近い///)

ヴィーネ「まち子って……可愛いわね」サラッ

まち子(でも……嫌な気分ではないわね///)ドキドキ

ヴィーネ「もっとあなたの顔を見せてよ」アゴクイ

まち子「ちょっと/// 月乃瀬さんどうしたのよ///(直視できない///)」



ヴィーネ「私はいつも通りよ」クスッ

まち子(いつもの月乃瀬さんはただの変な人よ! 今の月乃瀬さんはサキュバスよ!)


ヴィーネ「それよりも……この後予定はある?」

まち子「えっ……予定って……?」ドキドキ

ヴィーネ「私と……」

ヴィーネ「楽しいことしない?」ボソッ

まち子「~~~っ!」ゾクゾク

まち子「それって……つまり、月乃瀬さんとその……///」モジモジ



ヴィーネ「ふふ……遠慮はしなくていいわよ?」

ヴィーネ(こんな感じ? 悪魔的セクハラっぽいかな?)

まち子「うぅ……///」プイッ


上野「……」ドキドキ

田中「……」ドキドキ


まち子「」




ヴィーネ「まち子……目を逸らさないで」

まち子「いや、その月乃瀬さん……あそこの曲がり角……」

ヴィーネ「? どうしたの?」チラッ


上野「月乃瀬さん大胆ね///」キャー!

田中「まち子を迎えに行ったら……すごい場面に出くわしたね///」キマシタワー!


ヴィーネ「……」

ヴィーネ(!?!?!?!?!?!?!?)




上野・田中「「あっ……」」


ヴィーネ「」

まち子「……///」

上野・田中「「あはは……///」」


ヴィーネ「」ハッ

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「……二人共引っかかったわね!」

まち子「!?」

上野「えっ!? どういうこと月乃瀬さん!」

ヴィーネ「二人を驚かすために委員長と協力して、芝居を打ったのよ!」ヤケクソ





上野・田中・まち子「「「な、なんだってーー!!」」」



田中「あれ? なんでまち子も驚いてるの?」

まち子「!! えーとっ……なんとなくよ!」

上野「そっか、なんとなくか」

田中「なんとなくなら仕方がないね!」

ヴィーネ「そ、そういうことで委員長手伝ってくれてありがとう!」

まち子「う、うん! 面白かったわ!」

ヴィーネ「それじゃあ、また明日ね!」ピューン

上野「あ! 月乃瀬さん今度部室に来てねー! 皆で料理勝負しましょう!」

ヴィーネ「分かったわー!」タッタッタッ




上野「行っちゃったね……」

田中「月乃瀬さんって意外とお茶目なんだね。気が合いそう!」

まち子「……」ボー

上野「じゃあ、部室に行きましょうか」スタスタ

田中「? まち子どうしたの? 行こうよ」

まち子「えっ!? ああ、そうね」



まち子「……」

まち子(はあ……なんかどっと疲れたわね)

まち子(月乃瀬さんの発言は本音だったのかしら? 本音だったら私は……///)

まち子(まあ……考えても仕方ないか)

まち子(しかし……)

まち子(月乃瀬さん綺麗だったな///)カアア




―その日の夜―


ヴィーネ「はあ……今日は恥ずかしかったわ。うまく、誤魔化せたからいいけど」

ヴィーネ「よく考えたら、あれってセクハラじゃないよね……///」バタバタ

ヴィーネ「委員長と明日からどんな顔して会えばいいのよ!」

ヴィーネ「はあ……」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「そういえば……仕送り額はどうなったのかしら」

ヴィーネ「見るのは怖いけど……確かめましょう」ペラッ

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「ちょっとだけ増えてる!!」パアア


次はハニエルをする予定です



ー翌日 学校―


ヴィーネ「うーん、なんで仕送り額が増えてたのかしら? あれで増えるなら、タプちゃんの時はもっと増えてもよかったと思うけど」

ヴィーネ「そもそも、増減の基準が分からないわね。何をしたらいいのか見当もつかない……ん?」


まち子「あっ……月乃瀬さん……お、おはよう」

ヴィーネ「委員長……おはよう。あの……昨日のことは……」

まち子「分かっているわ。何か理由があったのでしょ?」

ヴィーネ「うん……まあ……そうね」

まち子「安心して。月乃瀬さんは変な人だけど、意味もなくあんなことをする人じゃないのは知っているから」

ヴィーネ「!! ありがとう委員長!……えっ? 変な人?」

まち子「それと、上野と田中が料理部に、遊びに来て欲しいって言ってたわよ」

ヴィーネ「……ええ! 必ず行くわ!」




ガヴリール「……」ジー

ヴィーネ「……? あら、ガヴおはよう」

まち子「おはよう天真さん」

ガヴリール「おはよう……二人共随分仲がいいな」


ヴィーネ「色々あったのよ……色々ね」

まち子「そうね……」

ガヴリール「ふーん……まあ、いいや。まち子、ヴィーネを借りていくぞ」ガシッ スタスタ

まち子「ええ、いいわよ」

ヴィーネ「ど、どうしたの? ガヴ」スタスタ




まち子「……」

まち子(今日は月乃瀬さんを見ても何ともないわね……昨日のあの感情は何だったのかしら……?)

まち子(朝起きたら、あの感情がすっぽりと抜け落ちていた。まるで昨日の出来事が何もなかったかのように)

まち子「……」

まち子(まあ、考えても仕方ないか)






ヴィーネ「この先、屋上だけど……そんなに大事な話なの?」スタスタ

ガヴリール「大事な話だな……他の人には聞かれたくないし、誰も居ないところがいい」スタスタ

ヴィーネ「?(いつもより真剣ね)」


―屋上―


ガヴリール「よし……ここでいいか」

ヴィーネ「それで、どんな用事なの?」


ガヴリール「ヴィーネ!」ガシッ

ヴィーネ「な、なによガヴ(えっ…………これってまさか!)」

ガヴリール「明後日の日曜日、私の妹の面倒を見てほしい!」



ヴィーネ「えっーと/// 少し考えさせて……へっ? 妹の面倒?」

ガウリール「そうだ! 明後日に妹のハニエルが下界に遊びに来るんだ!」

ヴィーネ「別にいいけど…………その日、ガヴは何をしているの?」

ガヴリール「バイトだ」

ヴィーネ「……最近、バイトによく入っているわね。何か欲しいものあるの?」

ガヴリール「……買いたいものがあるんだ。今は言えないけど」

ヴィーネ「そう…………分かった! ハニエルちゃんの面倒は私が見るわ!」

ガヴリール「……! ありがとうヴィーネ!」




ヴィーネ「それにしても、ゼルエルさんはよく許してくれたわね」

ガヴリール「……姉さんには理由を言ってくれたら納得してくれた」

ガヴリール「それにヴィーネなら任せてもいいって」

ヴィーネ「そうなんだ……」

ヴィーネ(そこまで買いたいものは大事な物なのかしら?)ウーン

ガヴリール「じゃあ、日曜日の午前中にハニエル連れて、ヴィーネの家に行くから……ハニエルを頼んだ!」

ヴィーネ「分かったわ」





―日曜日 ヴィーネの家の前―


ハニエル「……」モジモジ

ガヴリール「どうしたハニエル? 緊張してんのか?」

ハニエル「うん……ガヴおねえちゃんのお友達でも、悪魔の人と会うのは初めてだから……」

ガヴリール「あーそれなら心配すんな。ヴィーネはどっちかというと天使寄りだから」

ガヴリール「じゃあ、チャイム鳴らすぞ」スッ

ハニエル「うん……」ドキドキ



――ピンポーン



スタスタスタスタ  ガチャ




ヴィーネ「いらっしゃい! ガヴとハニエルちゃん!」

ガヴリール「おっす、ヴィーネ」

ハニエル「こ、こんにちは……」オドオド

ヴィーネ「あなたがハニエルちゃんね! 私は月乃瀬=ヴィネット=エイプリルです。今日はよろしくね!」ニコッ


ハニエル「……! よろしくねヴィーネお姉ちゃん!」

ガヴリール「な? 言ったとおりだろ?」

ハニエル「うん! 天使みたいな人だね!」

ヴィーネ「て、天使……」ガーン

ガヴリール「おー、良かったなハニエル」

ハニエル「うん!」

ヴィーネ「天使……」ズーン




ガヴリール「……それじゃあ、ヴィーネ。ハニエルをお願いします」ペコッ

ヴィーネ「分かったわ!」

ハニエル「ガヴお姉ちゃん! お仕事頑張ってね!」

ガヴリール「ああ、適度に頑張ってくるわ。それと、ヴィーネお姉ちゃんの言うことをちゃんと聞くんだぞ」ナデナデ

ハニエル「うん!」

ガヴリール「夕方にはバイト終わるから、終わった後ヴィーネの家に行くわ」スタスタ

ヴィーネ「分かったわ。いってらっしゃいガヴ」ヒラヒラ

ガヴリール「おう」スタスタ




ヴィーネ「行ったわね……」

ヴィーネ「ねえ、ハニエルちゃん……ガヴは天界でもあんな感じなの?」

ハニエル「そうだよ! ガヴお姉ちゃんはとっても優しいんだよ!」

ヴィーネ「ええ、知っているわ……そんなガヴだから世話を焼きたくなるのよ」

ハニエル「!!」

ハニエル「えへへ……嬉しいな」


ヴィーネ「さてと……ハニエルちゃん、何して遊びましょうか?」

ハニエル「うーん…………天界ではできないことがいいな!」

ヴィーネ「そっか……では町に出かけましょうか」

ハニエル「はい! 今日はお世話になります!」ペコッ

ヴィーネ「ええ! お姉ちゃんに任せてね!」ナデナデ




―商店街―


ヴィーネ「さて……どこに行こうかしら?」トコトコ

ハニエル「ねえ、ヴィーネお姉ちゃん」トコトコ

ヴィーネ「なあに? ハニエルちゃん」

ハニエル「ヴィーネお姉ちゃんは、ガヴお姉ちゃんみたいに働かなくていいの?」

ヴィーネ「そうね……一応、仕送りがあるからそれを充てにしているわ」

ハニエル「そうなんだ……ヴィーネお姉ちゃんは良いことしているの?」

ヴィーネ「あー、私は悪魔だから悪いことすれば、仕送り増えるわね」

ハニエル「!! そうだよね……ヴィーネお姉ちゃんは悪魔だったよね……」



ヴィーネ(あ、あれ……怖がらせたかしら……?)

ハニエル「ヴィーネお姉ちゃんは……」

ヴィーネ「うん?」

ハニエル「ハニエルにひどいことするつもりなの?」ウルウル

ヴィーネ「なんでそうなるの!?」

ハニエル「ひっ! だ、だって……ハニエルにひどいことすればお給料が増えるんでしょ……?」ビクビク

ヴィーネ(成程……そういうことね)

ヴィーネ「心配しないで……ハニエルちゃんに酷いことしないわ!」ナデナデ

ヴィーネ(ハニエルちゃんに悪事を働けば、ゼルエルさんから消されそうだしね)ブルッ

ハニエル「……うん! 分かったよ!」

ヴィーネ(納得してくれて良かった)ホッ



ハニエル「じゃあ……悪魔さんはどうやってお給料をもらっているの?」

ヴィーネ「そうね……基本的に貰える額は固定なのよ」

ヴィーネ「そこから、悪事を働くごとに増えていったり、減ったりするわ」

ヴィーネ「悪事をしたその日に上がったかどうかは、通帳を見ればわかるようになっているのよ。

だから、一日単位でも貰える額が分かるようになっているわ」

ハニエル「……」

ハニエル「うーん……分からない!」

ヴィーネ「そ、そうよね! 説明不足でごめんなさい!」

ハニエル「!! ヴィーネお姉ちゃんが謝る必要はないよ!」

ヴィーネ「……ありがとうハニエルちゃん」

ハニエル「えへへ……あっ! あそこのお店に行ってみたいな!」ビシッ

ヴィーネ「分かったわ!……ん? あの店は」





エンジェル喫茶



ヴィーネ(あの店はガヴが働いている喫茶店ね……! ハニエルちゃん連れてきていいのかしら?)

ハニエル「わーい!」トテトテ カランカラーン

ヴィーネ(あぁ……! ハニエルちゃん入って行っちゃった……)

ヴィーネ(こうなったら……行くしかないわね!)カランカラーン

次回はハニエルと喫茶店
最後にガヴリール



―エンジェル喫茶-


カランカラーン

ハニエル「わあ……!」キョロキョロ

ガヴリール「へい、らっしゃい……なんだハニエルか」

ハニエル「あっ! ガヴお姉ちゃん!」

ヴィーネ「ごめんね、仕事中に来ちゃって……」カランカラーン

ガヴリール「まあ、いいさ。今日も客居ないから、適当なとこに座っていいよ」

ヴィーネ「そうね。ハニエルちゃんこっちに座ろうか」スタスタ

ハニエル「うん!」テクテク




ガヴリール「注文は何にする? それと、ハニエルの分は私が出すわ」

ヴィーネ「へえ……ちゃんとお姉ちゃんらしくしてるのね」クスッ

ガヴリール「うるせえ。さっさと注文しないと勝手に決めるぞ」

ヴィーネ「そうね……お昼ご飯まだだし、ここで食べようか。私はサンドイッチとブレンドコーヒーで」

ハニエル「うーん……オレンジジュースとこのナポリタンで!」

ガヴリール「はいよ。すぐに作るから待ってろ」スタスタ

ヴィーネ「いや、あんたが作るわけではないでしょ!」




10分後


ガヴリール「へい、お待ち。ご注文の料理だ」コトッ

ヴィーネ「ありがとう……あんたの接客態度は相変わらずね」

ガヴリール「褒めても何も出ないぞ」

ヴィーネ「褒めてないわよ」


ハニエル「いただきます!」パクッ

ハニエル「~~っ! 美味しい!!」モグモグ

ガヴリール「良かったなハニエル」

ヴィーネ「私も頂くわ」

ガヴリール「うん、ゆっくりしていけよ」





ヴィーネ「それじゃあ、ガヴまた後でね」カランカラーン

ハニエル「また後でね! ガヴお姉ちゃん!」ノシ

ガヴリール「おう、気を付けてな」


ヴィーネ「さてと……お腹もいっぱいになったし、色々なところを見て回りましょうか」

ハニエル「お願いします!」ペコッ

ヴィーネ「ええ! 任せてね!」


ヴィーネ(その後、二人でゲームセンターに行ったり、洋服を見に行ったりして楽しい時間を送りました)

ヴィーネ(そして、あっという間に時が過ぎて……ハニエルちゃんが天界に帰る時間へとなりました)




―ヴィーネの家―


ハニエル「今日は楽しかった! ありがとうヴィーネお姉ちゃん!」

ヴィーネ「喜んでもらってなによりだわ」

ハニエル「それとね……! 悪魔の人には会ったのは初めてだけど……ヴィーネお姉ちゃんが優しい悪魔で良かった!」


ヴィーネ「……」

ハニエル「? ヴィーネお姉ちゃん?」

ヴィーネ「……ねえ、ハニエルちゃん。私って悪魔に向いてないと思う?」

ハニエル「えっ……私には分からないよ……」


ヴィーネ「……」ハッ

ヴィーネ「ご、ごめんなさい! 変なこと聞いちゃって!」

ハニエル「……お姉ちゃんお悩み事?」




ヴィーネ「………………うん」コクッ


ハニエル「そんな時は誰かに話すといいんだよ!」

ハニエル「よかったら私に話してよ……ヴィーネお姉ちゃんの力になりたい……!」

ヴィーネ「……」

ハニエル「……」ジー

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「くすっ……ガヴと同じで優しいわね。良かったら……悩みを聞いてくれる?」

ハニエル「……うん!」



ヴィーネ「……私は悪魔として中途半端なのよ」

ハニエル「そうなの?」

ヴィーネ「ええ……この一週間で、悪いことしようとしたけどダメだった」

ヴィーネ「結構、頑張っているつもりだったけどね。どうしても、本気になれなくて」アハハ


ハニエル「……」

ハニエル「ヴィーネお姉ちゃん無理してない?」

ヴィーネ「えっ……無理を……?」

ハニエル「うん、別に悪いことしなくてもいいと思うよ」

ヴィーネ「それだと仕送りが……」

ハニエル「お金がないなら、ガヴお姉ちゃんみたいに働けばいいんだよ!」

ハニエル「大事なのは無理してやりたくないことを、やらないことじゃないかな?」



ヴィーネ「…………」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「そうね……ハニエルちゃんの言うとおりだわ」

ヴィーネ「どこかで……無理してたわ。視野が狭くなってたと思う」

ヴィーネ「仕送りが減って生活が厳しくても……やりたくないことはやらない。それでいいじゃない」

ハニエル「ヴィーネお姉ちゃん!」

ヴィーネ「ありがとうハニエルちゃん。私はこれから……自分の意思で決めていくわ!」

ハニエル「うん!」




――ピンポーン


ヴィーネ「! ガヴが帰ってきたわ」ガチャ

ガヴリール「はあ……やっとバイト終わった……」

ヴィーネ「お疲れ様、ガヴ」ニコニコ

ガヴリール「ヴィーネもハニエルと遊んでくれてありがとな……ってなんか嬉しそうだな」

ヴィーネ「えへへ……そう見える?」


ハニエル「ガヴお姉ちゃんお帰りなさい」

ガヴリール「どうだ? 下界は楽しかったか?」

ハニエル「楽しかった!」

ガヴリール「そうか……ちなみにネトゲはもっと面白いぞ」

ヴィーネ「堕落の道を勧めるのはやめなさいよ」

ガヴリール「冗談だって……じゃあ、ハニエル。天界に帰るか」


ハニエル「!」

ハニエル「そうだね……もう帰らないといけないよね……」ショボン

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「また、来れるわよ。その時はいつでも来ていいからね」

ハニエル「……うん!」


ガヴリール「よし、ゲートを開いて……っと」ゲートオープン


ガヴリール「それじゃ、ヴィーネ。また明日学校で」

ヴィーネ「ええ、また明日ね」

ハニエル「ヴィーネお姉ちゃん! 今日はありがとう!」

ヴィーネ「こっちこそありがとね!」

ハニエル「バイバーイ!」シュン




ヴィーネ「……行っちゃった」

ヴィーネ「小さな子に大事なこと教えられたわね……」

ヴィーネ「これからは無理して、悪いことをするのは控えておきましょう」

ヴィーネ「ただ、生活が厳しくなりそうだから、アルバイトでもしようかしら……」




ヴィーネ(ハニエルちゃんが天界に帰った後、無理して悪いことをしないと決めました)

ヴィーネ(仕送りは減りましたが、それでも最低限の生活はできるので、ほっとしています)

ヴィーネ(バイトをする必要はなかったので、学業に専念することができ、またいつも通りの日常に戻れました)

ヴィーネ(しかし……それから一週間経ったとき、私宛に魔界から一通の手紙が届きました)

ヴィーネ(それは……)




―日曜日―


ヴィーネ「ガヴー、ご飯できたわよー」

ガヴリール「おう、すまない。いつも悪いな」

ヴィーネ「悪いと思っているなら、自分でしなさい!」

ガヴリール「そのうちな」

ヴィーネ「もう、ガヴったら……私がいなくなったらどうするのよ?」

ガヴリール「……それは嫌だな」ボソッ

ヴィーネ「? なんか言った?」

ガヴリール「何も言ってない!」



ヴィーネ「そう……まあ、ご飯食べ終わったら帰るわね」

ガヴリール「今日は泊まっていかないのか?」

ヴィーネ「明日、学校があるからね。荷物は家にあるし」

ガヴリール「そうか……分かったよ」

ヴィーネ「ええ、では食べましょうか」

ガヴリール「そうだな」


―――――――――――― 
―――――――― 
―――― 

ヴィーネ「じゃあ、私は帰るわね」

ガヴリール「おう……なあ、ヴィーネ」

ヴィーネ「どうしたの?」

ガヴリール「明後日は予定空いているか?」

ヴィーネ「予定? 空いているわよ?」

ガヴリール「そうか……その日は予定空けといてくれ」

ヴィーネ「? 別にいいけど……なにかするの?」

ガヴリール「それは当日のお楽しみだ」

ヴィーネ「分かった。予定空けとくわ。それじゃあ、また明日」ガチャ

ガヴリール「ああ、また明日な」


―――バタン





ヴィーネ「うーん、明後日は何かあったかな? 今日が10月8日で明後日は10日……」スタスタ

ヴィーネ「あっ……そうだ。私の誕生日だ」スタスタ

ヴィーネ「もしかして……誕生日覚えてくれてたのかな?」スタスタ

ヴィーネ「それだったら嬉しいな……皆は祝ってくれるのかしら?」スタスタ

ヴィーネ「ふふ……当日が楽しみね!」




―ヴィーネの家―


ヴィーネ「さてと、明日の準備をして早く寝ますか」パチッ

ヴィーネ「…………ん? テーブルの上に黒い手紙が置いてあるわね」ヒョイッ

ヴィーネ「これって魔界からの手紙ね。なんて書いてあるのかしら」ペラッ

ヴィーネ「……………………え?」






『悪魔学校より緊急通達』


『下界での活動において、悪魔的行為の不振により、月乃瀬=ヴィネット=エイプリルに命じる』

『今後、一切天使への接触を禁じる』

『これを破った場合は直ちに身柄を拘束し、魔界へ強制送還する』

『また、この通達を誰かに漏らした場合も、同様に処する』

『以上』



ヴィーネ(そこには短い文で、金輪際ガヴ達に関わるなとの通達でした)


今日はここまでです



―翌日 学校―


ヴィーネ「はあ……」

サターニャ「ため息ついてどうしたのよ。元気ないわね」

ヴィーネ「ああ……サターニャか。おはよう」

サターニャ「おはよう。何かあったの?」

ヴィーネ「……何でもないわ(昨日の通知のことは言えない)」



ガヴリール「おーす、ヴィーネ。サターニャ」

ヴィーネ「!!」ビクッ

サターニャ「あんた、今日も来るのが遅いわね」

ガヴリール「は? こっちはネトゲで忙しかったんだよ 文句あるか?」

サターニャ「そんなことは知らないわよ!」



ガヴリール「おい、ヴィーネ。馬鹿はほっといて宿題見せてくれ! 昨日、結局できなかったんだよ!」

サターニャ「馬鹿って言うな!」

ヴィーネ「……」プイッ

ガヴリール「? ヴィーネ?」  キーンコーンカーンコーン


サターニャ「もうすぐ授業が始まるわね。さっさと席に着きなさいガヴリール!」

ガヴリール「あ、ああ……」チラッ

ヴィーネ「……」




ガヴリール「ふぁぁ……ようやく休み時間か……」

ガヴリール「早く宿題をしないと怒られるな。ヴィーネに見せてもらおう」キョロキョロ

ガヴリール「あれ? ヴィーネはどこ行った?」


ラフィエル「ガヴちゃん、どうしました?」ヒョコッ

ガヴリール「……いや、なんでもない」

ラフィエル「そうですか。あっ、明日のことで打ち合わせしたいのですが、よろしいですか?」

ガヴリール「宿題終わってからな」




ガヴリール(あれから、休み時間になるとヴィーネはどこかへ行った)

ガヴリール(途中からヴィーネの後をつけたが、私を見るや否や全速力で逃げられた……)

ガヴリール(考えたくなかったが……もしかして、ヴィーネに避けられてる?)


―――――――――― 
―――――――― 
――――― 


ガヴリール「……というわけなんだ」

サターニャ「ははーん、遂にヴィネットから愛想尽かされたのね!」

ガヴリール「は? そんなわけあるか!」

ラフィエル「ふーむ、あのヴィーネさんがガヴちゃんを避けるとは……」




ガヴリール「だから、次の授業終わったら昼休みだろ? その時にヴィーネに聞いてみようと思う」

ラフィエル「なるほど。皆でヴィーネさんを捕まえて尋問する、ということですね!」

ガヴリール「まあ、それで合っているけど……穏便にな」

ガヴリール「とにかく! 力を貸してくれ!」

サターニャ「しょうがないわね! 後で学食を奢りね!」

ガヴリール「サターニャは来なくていいぞ」

サターニャ「なんでよ!」

ラフィエル「まあまあ、サターニャさん。私も気になるので、一緒にヴィーネさんを捕まえましょう!」



―昼休みー


ヴィーネ(もう昼休みになっちゃった……)

ヴィーネ(今日はガヴ達とは……ううん、今後はガヴ達と一緒に食べられないわね)

ヴィーネ(……誰も居ないところで食べよう。屋上がいいわね)ガタッ

ヴィーネ(はぁ……)スタスタ




ガヴリール「よし、ヴィーネは行ったぞ」

サターニャ「こっちを見向きもせず、弁当箱を持ってどこに行くのかしら?」

ラフィエル「私たちを避けているなら、人目もない場所に行くでしょうね」

サターニャ「つまりトイレね!」

ガヴリール「なんだ、その寂しい奴は……屋上とかだろ」

ラフィエル「それでは、屋上に行ってみましょう!」スタスタ




―屋上―


ヴィーネ(今度からどうしよっかな……一人で食べるのは寂しいし……)

ヴィーネ(それよりもガヴ達と話せないのが、こんなにも辛いなんて……)



ガヴリール「ヴィーネ!!」バン

ヴィーネ「!?」ビクッ

サターニャ「やっぱりここに居たのね! ヴィネット!」

ラフィエル「ヴィーネさん……なにかあったのですか?」


ヴィーネ(ガヴ、ラフィ、サターニャ……)


ガヴリール「ヴィーネは……私のこと嫌いになったのか?」

ヴィーネ「!」



サターニャ「なにかあったなら、私達に話しなさいよ! 友達でしょ!」

ラフィエル「私も気になります。話してみてくれませんか?」

ヴィーネ「……」ギリッ

ヴィーネ「……あんた達には関係ないわよ」

ガヴリール「関係ある!」


ヴィーネ「関係ないわよ!!!!!」




ガヴ・サタ・ラフィ「「「」」」ビクッ






ヴィーネ「お願いだから……天使のあんた達は私ともう関わらないで……」スタスタ

ガヴリール「ど、どういうことだよそれ……」

サターニャ「ちょっと!? どういうことよ!」

ラフィエル「天使というのは……私達のことですか?」



ヴィーネ「そうよ……私はね! 前々から……!」






ヴィーネ「天使が大嫌いなのよ!!」





ガヴリール「…………え?」

サターニャ「ヴィネット……いい加減にしないと怒るわよ」

ラフィエル「……」

ヴィーネ「そういうことだから……さようなら」




ヴィーネ「天真さん、白羽さん」スタスタ




ガヴリール「……!」

ラフィエル「……」

サターニャ「……」




ヴィーネ(……もう後戻りはできない)

ヴィーネ(これでいいのよ……これで)

ヴィーネ(魔界からの命令は絶対……命令違反はどんな目にあうか分からない。それだと私以外にも、迷惑がかかるかもしれない)

ヴィーネ(私の選択は間違っていない)

ヴィーネ(……)


投稿遅れて申し訳ない
日曜日までには終わらせたい



ヴィーネ(その後、誰とも目を合わせず、そそくさと家に帰りました)

ヴィーネ(家に着くと、すぐにベッドに横たわり、色々な感情が頭を駆け巡りました)

ヴィーネ(私の携帯電話には、サターニャからの電話が鳴りやまず、ラインにはガヴやラフィからたくさんのメッセージが届きました)

ヴィーネ(……あんな態度を取ったのに、私を心配してくれる友人達に感謝の気持ちと同時に、心が痛みました)

ヴィーネ(……)

ヴィーネ(私は何をやっているんだろう)




―火曜日 学校―


ヴィーネ「……」

サターニャ「……」スタスタ

ヴィーネ「……」

サターニャ「……おはよう。ヴィネット」

ヴィーネ「!!……うん、おはよう」

サターニャ「……」スタスタ ガタッ

ヴィーネ(サターニャ……ごめんね)




ガヴリール「ヴィーネ」

ヴィーネ「……!」プイッ

ガヴリール「……返答はしなくていい。そのまま聞いてくれ」

ヴィーネ「……」

ガヴリール「今日の放課後、屋上に来てくれ。ヴィーネに伝えたいことがあるんだ」

ヴィーネ「……?」

ガヴリール「それだけだから……待ってる」スタスタ

ヴィーネ「……」

ヴィーネ(伝えたいこと? 何だろう?……行った方がいいかしら)




―放課後 屋上―


ヴィーネ(ガヴの伝えたいことが気になって、結局来ちゃった……)

ヴィーネ(……大丈夫。聞いているだけなら問題ないはず)

ヴィーネ(……)




ガヴリール「よう……ヴィーネ」スタスタ

ヴィーネ「!」

ガヴリール「そのまま、後ろを向いたままでいい……聞いてくれ」

ヴィーネ「……」

ガヴリール「まず、最初に……誕生日おめでとう」

ヴィーネ「……!」



ガヴリール「今日はヴィーネの誕生日だろ? それでな……ヴィーネにプレゼントがあるんだ」

ガヴリール「バイトで稼いで、ネトゲの課金をしないで貯めたお金で買ったんだ……」

ガヴリール「ヴィーネに受け取ってほしい」スッ


ヴィーネ(ガヴからのプレゼント……とっても嬉しいな)

ヴィーネ(でもごめんね……それは受け取れないのよ)


ガヴリール「…………」

ガヴリール「私はさ。ヴィーネが私達天使を無視するのに、何か訳があることは知っている」

ガヴリール「優しいヴィーネのことだ。深い事情があるはずだ」



ヴィーネ「……」

ガヴリール「……それとな、私の気持ちを聞いてほしい。この日に言おうと決めていたんだ」

ヴィーネ「……?」


ガヴリール「……」スーハー グッ

ガヴリール「私はな……ヴィーネのことが」



「ずっと前から好きなんだ」



ヴィーネ「!!」



ヴィーネ(うそ……ガヴは私のことを好きなの……?)

ヴィーネ(ああ……こんな状況じゃなければ嬉しいのに……素直に喜べない)



ガヴリール「もしもさ。無視する原因が私にあるとしたら、言ってくれ。絶対に直すから」

ガヴリール「これ以上……好きな人から嫌われるのは辛いんだ」グスッ

ヴィーネ「……」

ヴィーネ(ごめんねガヴ。あなたに原因はないわ。悪いのは私よ……)



ガヴリール「……」

ヴィーネ「……」

ガヴリール「そうか……分かったよ」

ガヴリール「今まで迷惑かけてごめんな。もう……ヴィーネに心配かけないようにする」グスッ

ガヴリール「これから……自分のことは……自分でするから」ポロポロ


ガヴリール「だから……」




「さようなら、ヴィーネ」





 スタスタスタ    ガチャ  

――――――バタン





ヴィーネ「……」

ヴィーネ(ガヴ泣いてた……私が傷つけたから……)

ヴィーネ(ごめん、ごめんねガヴ……)

ヴィーネ(でも、魔界に送還されたくないのよ)

ヴィーネ(魔界に帰るぐらいなら……皆のそばにいたいよ……)


ヴィーネ「例え……皆から嫌われても」




ヴィーネ(その後、ふらついた足どりのまま家に帰りつきました)

ヴィーネ(何も食べる気が起きず、ただ今日のことについて考えていました)

ヴィーネ(あの時……命令に背いて、ガヴに私の気持ちを伝えていたら……今頃はどうなっていたのだろうと)

ヴィーネ(考えても仕方ないことを考え続けました)

ヴィーネ(やがて、眠りにつき朝がやって来て……)



ヴィーネ(私は初めて学校をずる休みしました)




ヴィーネ「……」

ヴィーネ「はあ……」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「……ガヴ」

ヴィーネ「……」




???「ヴィネット」

ヴィーネ「!」ビクッ

ヴィーネ「だ、誰?」キョロキョロ

???「悪いがこの部屋に、結界をはらせてもらう」シュン


ヴィーネ(!? これは天使の結界。それもかなり強力な結界……)

???「久しぶりだな」

ゼルエル「ヴィネット」

ヴィーネ「ゼ、ゼルエルさん……」

ヴィーネ(そこに居たのはガヴのお姉さんで……神の右腕と呼ばれている天真=ゼルエル=ホワイトさんでした)




ヴィーネ「な、なぜゼルエルさんがここに……?」

ゼルエル「偶然ガヴリールを千里眼で覗いたとき、泣いているガヴリールを見つけてな」

ヴィーネ「!!」

ゼルエル「すぐにガヴリールの家に行き、本人から事情を聞いた」

ヴィーネ「……それでガヴを傷つけた私に、なにかするんですか?」

ゼルエル「何もしないさ。ただ、ヴィネットがなぜガヴリール達を、無視したのか理由を聞きに来た」

ゼルエル「話してくれるか?」


ヴィーネ(そうだった……ゼルエルさんとも関わっちゃいけないよね)プイッ

ゼルエル「……もし、事情を誰かに聞かれたくないなら、心配するな」

ゼルエル「この結界は誰にも感知されない。もちろん、会話を聞き取るなどもってのほかだ」


ゼルエル「だから頼む……訳を話してくれ……!」ペコッ





ヴィーネ「……」

ゼルエル「……」

ヴィーネ「……」

ゼルエル「……」

ヴィーネ「……魔界から」

ゼルエル「……!」

ヴィーネ「今後、天使たちと関わるなとの……命令書が届きました」

ゼルエル「……」

ゼルエル(ん? 昔ならともかく、今の時代にそんなことがあるのか?)


ヴィーネ「本当は皆と一緒にいたいです……でも、違反したら強制的に魔界に送還されて……」



ゼルエル「それは本当に魔界からの手紙か?」

ヴィーネ「はい……机の上にあります」



ゼルエル「すまないが拝見させてもらう」ペラッ

ゼルエル「……」ジー

ゼルエル(なるほどな、理由は分かった。ただ、これはヴィネットにとって重要な試練だ)

ゼルエル(助言だけしかできないな)



ゼルエル「ヴィネット。お前にとって、ガヴリール達はなんだ?」

ヴィーネ「大事な友達です……」



ゼルエル「そうか……では、ガヴリールから告白されてどう思った?」

ヴィーネ「え!? な、なんで知ってるんですか!」

ゼルエル「ガヴリールに聞いた」

ヴィーネ「そ、そうですか」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「告白は……とても嬉しかったです。私もガヴのことを……」ハッ


ヴィーネ「い、今のは忘れてください!」アセアセ

ゼルエル「ふふ……ヴィネットもガヴリールのことが好きなのか」

ヴィーネ「うぅ……///」カアア




ゼルエル「そうだな。私が言えるのはひとつだけだ、ヴィネット」

ゼルエル「自分の気持ちを偽るな」

ヴィーネ「!」

ゼルエル「偽って偽り続けたところで待っているのは後悔だけだ」


ヴィーネ「……そんなことは分かってますよ! でも、ガヴ達と関わったら……」

ゼルエル「ヴィネットは魔界からの命令のほうが、友達よりも大事なのか?」

ヴィーネ「……!」

ゼルエル「どうなんだ、ヴィネット。本当に大事なものはなんだ?」

ヴィーネ「……」




ヴィーネ「……そんなの決まってるじゃないですか!」

ヴィーネ「ガヴ達のほうが大事です!」

ゼルエル「!」




ヴィーネ「でも……命令には背けないです……」

ゼルエル「……」

ゼルエル「私ならもっと周りに頼るな」

ヴィーネ「え……?」

ゼルエル「一人で抱え込もうとするな。ガヴリール達がいるだろ?」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「……はい」

ゼルエル「それとな……ヴィネットが連れて帰られそうになったら、私が全力で助ける」

ゼルエル「必ずな」

ヴィーネ「……ありがとうございます」



ゼルエル「だから、もう迷うな……ああ、それと」


ゼルエル「私の妹を頼んだ」


ヴィーネ「!」

ゼルエル「では、さらばだ」シュン




ヴィーネ「……」


ヴィーネ「…………」チラッ


魔界からの手紙



ヴィーネ「……」スタスタ ガシッ

ヴィーネ「……」ジー

ヴィーネ「……何がガヴ達に関わるな、よ」

ヴィーネ「そんなこと……!」

ヴィーネ「そんなこと私の知ったことではないわ!」ビリビリビリビリ



ヴィーネ「強制送還がなによ! 皆と一緒に居られないほうがよっぽど辛いわよ!」

ヴィーネ「もう私は偽らない。ガヴ達に謝る……謝って許してもらう……!」

ヴィーネ「その前に……ガヴに私の思いを伝える!」


ヴィーネ「開け、ゲートよ!」ゲートオープン

ヴィーネ「行先はガヴの家!」シュン


次でラストです



―ガヴリールの家の玄関―


ヴィーネ(そういえば、今の時間ガヴは家に居るのかしら?)

ヴィーネ(まだ、授業終わってないし家にいないかもしれない)ウーン

ヴィーネ(まあ、その時は気が進まないけど、学校に行きましょう)スタスタ

ヴィーネ(とにかく、謝らなくちゃ……ガヴは居間にいるのかな?)ガチャッ

ヴィーネ(……)




そこで私が見たものは、物が散乱したいつもの部屋ではなく、整理整頓され華やかに飾り付けをされていた部屋だった


壁には大きな文字で『ヴィーネ誕生日あめでとう!』と書かれていた


昨日の誕生日のために……私のために皆がここまでしてくれたことに、感謝と謝罪の気持ちでいっぱいになる


そして、中央にはテーブルの上に突っ伏して寝ているガヴリールの姿


起こさないように細心の注意を払いながら、ガヴの元へ近づく



ヴィーネ(……ガヴ寝てるよね?)

ガヴリール「……」スースー

ヴィーネ「ぐっすり寝てるわね…………ん?」


テーブルの上、ガヴの横に箱が置いてあるのを見つけた


ヴィーネ(気になるわね。何が入っているのかしら……?)パカッ

ヴィーネ(わぁ……! かわいいネックレスね! これってもしかして私へのプレゼント?)


ガヴリール「うーん……」ゴシゴシ

ヴィーネ「!! ガヴ……起こしてしまった?」

ガヴリール(!? ヴィーネがなんでここにいるの!?)



ヴィーネ「あ、あのね……聞いてほしいことがあるの」

ガヴリール「……な、なに?」



ヴィーネ「あなた達にひどいことしてごめんなさい!!」ペコッ

ガヴリール「……へ?」キョトン

ヴィーネ「その……実はね……」


ヴィーネ(その後、ガヴに全部話した……仕送りのこと、そして魔界からの通達のこと……)

ヴィーネ(全部話し終わった後、ガヴは……)

ガヴリール「なんだよ、それ……! ふざけるな!」



ヴィーネ「そ、そうだよね……ごめん」

ガヴリール「ヴィーネに対して怒っているんじゃない! 魔界に対してだ!」

ヴィーネ「えっ?」

ガヴリール「だってそうだろ! 優しい奴に悪いことを、無理やりさせるのは間違っているだろ!」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「ありがとうガヴ……」




ガヴリール「で、これからどうするんだ?」

ヴィーネ「これから?」

ガヴリール「命令に背いたんだ……すぐに魔界からヴィーネをひっ捕らえに悪魔がやって来るだろ?」

ヴィーネ「う、うん……」

ガヴリール「どこに逃げる?」

ヴィーネ「ど、どこに逃げるって……」

ガヴリール「このままヴィーネと離れ離れになりたくない。天界とかどうだ?」

ヴィーネ「流石に入れないわよ!」

ガヴリール「大丈夫。ヴィーネなら私より天使らしいからいけるって」

ヴィーネ「あんまり嬉しくないんだけど!?」

ガヴリール「まあそれはいいとして、サターニャ達を呼ぶぞ。もう学校終わってるだろうから、みんなで話し合おう」プルルルル

ヴィーネ「そうね……お願い」

ヴィーネ(ラフィ達にも事情を説明して謝らないとね……)




―合流後 ヴィーネ説明中―


サタ―ニャ「……」

ラフィエル「……」

ヴィーネ「かくかくしかじかっていうことなの……本当にごめんなさい!」

ガヴリール「それでさ、ラフィの家にヴィーネを匿えないか? 白羽家なら手を出しづらいだろ?」

ラフィエル「いえ、それはいいのですが……」

サタ―ニャ「ヴィネット。それは魔界の試練みたいなものよ」



ヴィーネ・ガヴ「「…………はい?」」



サターニャ「ヴィネットは悪魔的行為をしにくいでしょ? そんな悪魔のために用意された救済処置みたいなものなの」

ヴィーネ「……」

ガウリール「……」



ヴィーネ・ガヴ「「えええええええ!?!?!?」」





ラフィエル「よく考えてみてください。そんな命令するならなぜ、天使と悪魔は一緒の学校に通うことができるでしょうか?」

ヴィーネ「言われてみれば……そうね」

ガヴリール「なんでサターニャは魔界の試練だって、気付かなかったんだよ! この馬鹿!」

サターニャ「そんなものは噂だけでしか聞いたことなかったのよ! 都市伝説と思っていたの!」

サターニャ「後、馬鹿って言うな!」

ヴィーネ「と、都市伝説……」ズーン

ラフィエル「ヴィーネさんは素晴らしい悪魔なんですね!」

ヴィーネ「それ……褒めてる」

ラフィエル「褒めてますよー」ニコニコ





ヴィーネ「じゃあ、魔界送りとかならないよね? 大丈夫だよね?」

サターニャ「ならないわ。あんたはもうちょっと、悪魔的行為について勉強しなさい。その様子だと仕送りのあげ方とか知らないでしょ?」

ヴィーネ「えっ!? 仕送りのあげ方があるの!?」

サターニャ「相手に嫌な思いや恋愛感情を抱かせると、仕送りアップね。その時、相手が抱いた感情は緩和されるわ」

ラフィエル「恋愛感情は悪魔的行為に入るのですか?」

サターニャ「相手の心を手に入れるようなものだからね」

ヴィーネ(ああ、それで仕送りが上がった時があったのか)




ガヴリール「そういえば……もしも、ヴィーネが命令を守っていたらどうなるんだ?」

サターニャ「どうにもならないわね。どちらにせよ仕送りがあがるわ」

ヴィーネ「命令違反でも仕送りあがるの!?」

サターニャ「だって、命令違反だなんて……最高の悪魔的行為じゃない!」

ヴィーネ「……」

ガヴリール「ヴィ、ヴィーネ?」



ヴィーネ「ああああああああああああぁぁぁぁぁ!!!!」



ラフィエル「まあまあ、良かったではないですか♪」

ヴィーネ「そうだけど! そうなんだけど!!」

ガヴリール「なんにせよ……ヴィーネは居なくならないんだな」ホッ



サターニャ「さてと……遅くなったけど、昨日の誕生日会を始めるわよ!」スクッ

ヴィーネ「えっ!? 今からするの!?」

ラフィエル「この後予定があるのですか?」

ヴィーネ「いや、何もないけど……その……してもらうのは悪いし」ゴニョゴニョ

サターニャ「何言ってるの。当たり前じゃない!」

ラフィエル「そうですよ。今までのことは忘れて楽しみましょう!」


ヴィーネ「サターニャ……ラフィ……」ウルウル

ラフィエル「とはいっても料理の材料がありませんね。サターニャさん、買いに行きましょう」

サターニャ「そうね。タプリスも呼んで皆で楽しみましょう! 行くわよラフィ!」タッタッタッ

ラフィエル「あっ、待ってくださいサターニャさん! それでは行ってきます」ペコッ スタスタ 



――――ガチャッ   バタン





ヴィーネ「……」

ガヴリール「……」

ヴィーネ「行ったわね……」

ガヴリール「そうだな……」

ヴィーネ「ねえ、ガヴ」

ガヴリール「なんだ?」

ヴィーネ「ありがとう。私のこと見捨てないでくれて」

ガヴリール「優しいヴィーネがあんなことするはずないからな。見捨てないよ」

ヴィーネ「うん……ありがとう」

ガヴリール「ああ……」



ヴィーネ「……」

ヴィーネ「それと、昨日の屋上のことなんだけど……」

ガヴリール「!! お、おう……」



ヴィーネ「私もね。ガヴのこと好き……」



ガヴリール「!!」

ガヴリール「ほ、ほんとに? 嘘じゃないよな?」

ヴィーネ「嘘じゃないわ。だからね……これからも私と一緒に居てくれる」

ガヴリール「うん……もちろんだ。ずっと、一緒だ……」

ヴィーネ「ありがとうガヴ!」ギュッ

ガヴリール「ああ! これからはずっと一緒だ!」





ヴィーネ(あの後、サターニャ達はタプちゃんや黒奈ちゃんと合流したのち、皆でお祝いをしました)

ヴィーネ(一日遅れの誕生日会だけど……最高の忘れられない一日となりました)

ヴィーネ(そして、誕生日会は終わりサターニャ達はそれぞれ帰路につきました)




ガヴリール「皆帰ったな……どうだ? 楽しかったか?」

ヴィーネ「ええ、楽しかったわ。生きている中で一番楽しかったわね」

ガヴリール「そうか、それはよかった」

ヴィーネ「うん……皆には感謝しかないわね」

ガヴリール「そうだな……」



ヴィーネ「じゃあ、私も帰るわね」

ガヴリール「え!? 泊っていかないのかよ!!」

ヴィーネ「明日も学校よ!? 今日はずる休みしたから明日は行かなきゃ!」

ガヴリール「真面目かよ!」

ヴィーネ「真面目で悪かったわね! もう、帰るわね!」

ガヴリール「分かったよ。じゃあな、ヴィーネ! また明日!」

ヴィーネ「ええ……また明日!」




―ヴィーネの家―


ヴィーネ「はあ……今日は楽しかったな……」

ヴィーネ「帰って明日の準備をして……今日は寝ましょう」ガチャッ

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「……ん? また黒い手紙が来てる!?」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「中身を見るのは怖いけど……内容を確かめないとね……」ペラッ

ヴィーネ「……」ジー

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「……クスッ」


ヴィーネ「さてと、明日も頑張りましょう!」




『悪魔学校より』

『月乃瀬=ヴィネット=エイプリス様へ』


『あなたは魔界の命令よりも友を優先したことにより、下界においての評価が認められました』

『よって、仕送り額の増加を決定しました』

『今後、あなたの下界での活躍を期待しております』


『追伸』

『そして、これからも友を大事に』



      ―完―


終わりです

長い間、お付き合いいただきありがとうございました

それとこちらは過去作です

読んでいただければ幸いです

ガヴリール「嘘の告白?」マルティエル「はい、そうです」
ガヴリール「嘘の告白?」マルティエル「はい、そうです」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1501172187/)


ホントですね
ご指摘ありがとうございます

>>175 ミス

『悪魔学校より』

『月乃瀬=ヴィネット=エイプリル様へ』


『あなたは魔界の命令よりも友を優先したことにより、下界においての評価が認められました』

『よって、仕送り額の増加を決定しました』

『今後、あなたの下界での活躍を期待しております』


『追伸』

『そして、これからも友を大事に』



      ―完―

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