幼馴染「にじゅういちぐらむ」 (31)

幼馴染「……」ボー

女「幼馴染ちゃん大丈夫? なんだかテンション低いけど」

幼馴染「うん、まぁいつものことでしょ」

女「まぁいつもそんなもんか」

幼馴染「……男君。次いつ話せるかなぁ」ボソッ

女「男君って、幼馴染ちゃんの中学時代好きな人だっけ?」

幼馴染「はうっ!?  こ……こえ、出てた?」

女「ていうか、声には出してないつもりだったの?」

幼馴染「うぅ……」

女「バイト先知ってるんでしょ、行ってきたら?」

幼馴染「そ……それは違うと言いますか、ほら。すとーかーみたいでよくないと思う」

女「えー……ほら、私もついていくからさ」

…………

幼馴染「……」ソワソワ

幼馴染「……」キョロキョロ

女「挙動不審!」ペシッ

幼馴染「あうっ」

女「控え室ガン見し過ぎだっつーの! マジモンのストーカーかあんたは」

幼馴染「……」グィッ

女「うぷっ! きゅ、急に首絞めないでぇ」

幼馴染「……」ズルズル

…………

女「はぁっ、はぁっ。どうしたのよ急に店外まで引っ張ってきて、今更びびったの」

幼馴染「男君のバイト先でデカい声出さないでよ、ばかぁ!」パチーン

女「痛っ!」

幼馴染「嫌われた、男君にきっと嫌われた。女ちゃんのせいで、コンビニで大声でストーカーストーカー連呼するような奴だって思われた」ブツブツ

女「アンタどんなけマイナス思考!?」

幼馴染「女ちゃん、一人でもう一回見てきて」

女「人の顔殴っといてアンタ……」

幼馴染「さっきのことは不問にしてあげないでもないから早く。はりーあっぷ」

女「そんなふてぶてしいキャラだっけアンタ?」

幼馴染「……」ジトー

女「わ、わかったわかった。わかりましたって」

幼馴染「なるべく自然にお願い。何も買わないで出ると怪しいから、何か買ってでてきて。お金なら私が出すから」

女「そんなことないと思うけどなぁ……」

…………

女「買ってきたよー……あれ、どこ行った?」

女「まさかあのチビ貧乳ノータリン、この私を置いてけぼりにしやがった?」

パチーン

女「ぶったな! 二度もぶったな!」

幼馴染「女ちゃん、私をそんな風に見てたの?」

女「冗談冗談、それよりなんだその格好?」

幼馴染「これで男君のコンビニに入っても大丈夫。このマスクと帽子とサングラスが私を守ってくれるはず」

女「お、おう。それどこで買ったの?」

幼馴染「あっちのスーパーで」

女「店員さんドン引きしてたでしょう?」

幼馴染「大丈夫。カモフラージュに鋏を3つ買っておいた」カシャカシャ

女「完全に不審者の装備じゃん」

女「カモフラージュどころかそれトドメだよ。ガノンも真っ二つだよ」

幼馴染「そんなことないと思うけどな」

女「ありまくるわよ」

幼馴染「なに? 女ちゃん、そんなに私のことをチビ貧乳ノータリン呼ばわりしたいの?」カシャカシャ

女「ノータリンってひらがなで書くと可愛いわよね。のーたりんっ。ほら、萌えキャラみたいでしょ?」

幼馴染「ない」カシャカシャ

女「……大丈夫だって。チビも貧乳も需要あるし、男は多少頭が緩い女の方が好きだから、うん」

幼馴染「で、その、男君いた?」

女「いたわよ。どうするの? また突撃する?」


幼馴染「うん」コクッ

女「でも、その格好止めた方がいいんじゃあ……」

幼馴染「だめ?」

女「うん。私がバイトなら店内のカラーボール全部投げるかな」

幼馴染「男君にされるなら、ありかな。えへへ……」

女「…………」

幼馴染「どうしたの?」

女「どん引きしてるの」

…………

後輩「最近、ここのコンビニすいてますねー先輩」

男「そうだな。こっちとしては楽だけど、店長はどう思ってるんだか」

後輩「なんでもこの近くに不審者が出るとかの噂が立ってて……」

男「そっか。帰る頃には真っ暗だし、お前みたいに可愛い娘は危ないんじゃないか?」

後輩「そっ、そんなことないですよー! ほら私、彼氏とかできたことないタイプですしー」チラ

男「今日、駅までは一緒に帰ろう。危ないだろ?」

後輩「先輩方向違うじゃないですか、いいんですか?」


幼馴染「……なに、アイツ」

女「さ、さあ」

幼馴染「……」カシャカシャ

女「店内で鋏出さないで、頼むから」

幼馴染「…………」ツカツカ

女「ちょ、ちょっとアンタなにする気?」

男「それで……」

後輩「もー先輩ってば……」


幼馴染「すいません」

男「あ、いらっしゃいませ」

後輩「いらっしゃいませー」

幼馴染「エロ本三冊ください」バシッ

後輩「……」

男「……お客さん、えっと、制服着てますよね?」

幼馴染「……」

男「……いえ、なんでもありません。1170円になります」

…………

幼馴染「ふふ……空気ぶち壊してやった」

女「アンタやっぱりバカでしょ?」

幼馴染「この本どうしよう。あの女が自転車通勤だったら籠に入れておいてやるのに」

女「知らないわよ。持って帰って熟読してなさい」

幼馴染「女ちゃん、いる?」

女「いっ、いらないわよそんなの」

幼馴染「……途中で捨てようかな」

女「あっ。す、捨てるならちょうだい」
幼馴染「……」

女「なによその目は。いや、ほら、私兄貴いるし。兄貴にエロ本渡したら五百円ぐらいにはなるし」

幼馴染「あ、そうだ。返品してくる」

女「アンタ本当に最低だな」

…………

幼馴染「ふふっ。ふふふふ」

女「ど、どうしたの? そんな不気味な笑みを携えて」

幼馴染「並べて表紙上にして返品しますって言った時の、あの女の顔……フフフ」

女「アンタ、本当に最低ね」

幼馴染「しかも、返品の仕方よくわからなかったらしくて、先輩である男君を呼ぼうにも気まずくて呼びづらかったのか、ずっとおろおろしてて……」

幼馴染「状況察した男君がきた時の気まずさ……フフフ。ざまーみろ」

女「アンタそれ、正体バレたらどうする気?」

幼馴染「それより、男君格好良かったでしょ? ね? ね?」

女「ま、まあそれなりには」

幼馴染「あげないからね」

女「アンタのでもないけどな」

幼馴染「でも、そーしそーあいだから」

女「そ、そうなの?」

幼馴染「うん」

女「……根拠は?」

幼馴染「ほら、私に優しかったし、結構昔から仲良かったし」

女「……さっきの様子見るからに、誰にでも優しそうだけど」

幼馴染「そこはまぁ、当事者同士にしかわからない愛のニュアンスがあると言いますか……」

女(だ、だめだ。これ完全に勘違いパターンだ)

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