アライさんの脳天をスコープの照準に捉え、静かに引き金を引く4 (1000)

~前スレ~


アライさんの脳天をスコープの照準に捉え、静かに引き金を引く
アライさんの脳天をスコープの照準に捉え、静かに引き金を引く - SSまとめ速報
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アライさんの脳天をスコープの照準に捉え、静かに引き金を引く2
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アライさんの脳天をスコープの照準に捉え、静かに引き金を引く3
アライさんの脳天をスコープの照準に捉え、静かに引き金を引く3 - SSまとめ速報
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~ストーリーの概要~

日本中に巣食う、害獣アライグマのフレンズ。
奴は徒党を組んで日本を襲撃したが、首謀者は捕まった。

残る残党や生き残り達は、果たしてどんな目にあうのか…。

~登場人物~


・俺(♂)
猟師であり、アライさんを仕留めによく山へ行く。
仕留めたアライさんは、保健所へ持っていく他、ジビエ料理店『食獲者』への売却もしている。

・食通の友人(♂)
ジビエ料理店『食獲者』の店主。
アライさんを料理して客に出している。
ネットでは『ショクエモンP』のハンドルネームで支持を集めている。

・大臣(フレンズ)
フレンズ省の大臣。
アライさん駆除活動の資金集めに今日も頭を悩ます。
驚くと体がシュっと細くなる。

・会長(フレンズ)
『特定有害駆除対象フレンズ根絶委員会』の会長。
アライさんを貪り尽くす天敵。
ブラウンP曰く、かつてはこんなんじゃなかったはず、とのこと。

・ブラウンP(フレンズ)
アライさんジビエ料理人の一人。
食通の友人をライバル視している。
恐怖や苦痛、絶望や嗜虐の表情の写真を取るのが趣味らしい。

・清掃員(フレンズ)
アライグマのフレンズ。
ジャパリスタジオ所属の、派遣清掃員。

・キツネ(フレンズ)
清掃員の親友。
アライさんの取り扱いは日本一上手いと評される。

・アライキング・ボス(フレンズ)
国家テロを目論んだアライさんのボス。
現在拘留中であり、裁判を待っている。



首謀者が逮捕され、戦いは終わっただろうか?

否。
街中には、まだ害獣が蔓延っている。

敵はまだ、残っている。

つづく



アライキング・ボスが捕まった後。
部隊からはぐれたり、後から便乗してやってきたアライさん達が、相変わらず街中をぶらついていた。

だが、自衛隊の作戦は第一段階『ゴキブリホイホイ作戦』から、
第二段階『ハエトリグサ作戦』へ移行。

装甲車と歩兵によって都市区画を取り囲み、包囲網を形成。

区画内にうじゃうじゃいるアライさん達は、
歩兵隊や戦闘ヘリや会長&大臣の機関銃によって、ばったばったとなぎ倒されていった。

森へ逃げようとして区画から出ようとしたアライさん達は、
区画を包囲している歩兵や装甲車によって蜂の巣にされた。

この『ハエトリグサ作戦』は、全国各地の自衛隊支部が一斉に行った。

結果、アライさんの暴動はほぼ鎮圧された。

全国で合計8000匹以上のアライさんの市街が街中へ転がったのである。

…その後。
街中に大量に倒れているアライさんの死骸処理作戦が行われた。

~街中~

アライさんの死骸1「」ブゥーンブゥーン

アライさんの死骸2「」ブゥーンブゥーン

作業員1「うわぁ…気持ち悪いですね。そこら中にアライさんの死骸が散らばってて、蠅がたかっています。臭いですね…」ウップ

作業員2「ハエにハエがたかってら…さっさと焼却するぞ」チャキッ

作業員3「火炎放射、開始!」ガチッ

作業員達は、アライさんの死骸へ火炎放射を浴びせる。

アライさんの死骸1「」メラメラ…

アライさんの死骸2「」パチパチ…

死骸はめらめらと燃え、煙を立てていく。

作業員1「燃えカスの回収は後だ!今はできるだけたくさん死骸を見つけて燃やすぞ!」タタッ

作業員2「はい!」タタッ

作業員3「うぅっ…街がそこら中くっせぇ…吐きそうだ…」タタッ

作業員1「あったぞ」タタッ

作業員2「燃やしましょう」

アライさんの死骸3「」

アライさんの死骸4「」

負傷アライさん1「う…待つのだ…アライさんは、生きてるのだぁ…!体が痛くて、動けないだけなのだぁ…!」

負傷アライさん1は、その場から動けないようだ。
傷を押さえたまま縮こまって震えている。

負傷アライさん2「も…もう暴れないから…助けてほしいのだ…」ズルズル

負傷アライさん2は、脚を怪我しているものの、両腕を使って地面を這っている。

作業員1「おい生きてるぞ…どうする?」

作業員2「えぇ…」

負傷アライさん1「い…一生のお願いなのだぁ!」

負傷アライさん2「一生のお願いなのだ!助けてくれたら、何でもするのだ!交尾だってしてやるのだ!だから…」ズルズル

助けた後に刃物渡して「何でもするって言ったろ?」って自害を促したい

作業員1「燃やしましょう」カチッ

作業員2「そうだな」カチッ

火炎放射器のホースから、燃え盛る燃料が放たれる。
火炎は死骸とともに、負傷アライさん達を包み込む。

負傷アライさん1「あぎゃあああああああああああああああ!!!!あづい!!!あづいのだあああああああああああ!」ゴロンゴロン

負傷アライさん1は地面をゴロゴロと転がった。
動けないと言ったのは嘘であろうか。

負傷アライさん2「ぎびゃあああああああああああああっ!だずげでええええええ!ぼすうううう!あ゛ぁああああああ!!!」ゴウウゥゥ

負傷アライさん2も炎に包まれ、ビッタンビッタンと暴れる。

アライさんの死骸3「」メラメラ

アライさんの死骸4「」パチパチ

負傷アライさん1「い…いっしょうの…おねがい…なのだ…だず…げで…」メラメラパチパチ

負傷アライさん2「じにだぐ…ない…やなの…だぁあ…しょじょのまま…しにだぐ…ないのだぁ…」ジュウウゥメラメラ

作業員3「燃えカスは後で回収!次行くぞ」タタッ

作業員1&2「「はい!」」タタッ

負傷アライさん1「だ…ず…げ…」メラメラ

負傷アライさん2「み…すて…ない…で…」パチパチ

負傷アライさん1の一生のお願いは聞き入れられることなく、作業員たちは去っていた。

街中には、火炎放射器を背負った作業員と、レスキュー隊員、救急隊員がひしめき合っていた。

怪我人や逃げ遅れて隠れていた人達が、次々と保護されていく。

市民や警官などの犠牲者たちの骸もまた、搬送されていった。

救急車「ウーウー!」ブオオオォン

怪我人を乗せた救急車は全速力で走行する。

運転手「む!?前方に、何かいます…」

救急隊員「誰だ!人か!?」

負傷アライさん3「はぁ、はぁ…」ヨタヨタ

負傷アライさん4「あ、あれは救急車なのだ!怪我したヒトを運ぶのだ!」

車の前方数十メートル先にいたのは、脚を引きずっているアライさん達だ。

運転手「アライさんがいますよ!どうします!?止まりますか!」ブオオオォン

搬送されている怪我人「はぁ、はぁ…」

救急隊員「…」

負傷アライさん4「丁度よかったのだ!アライさん達も乗せてもらうのだ!」

負傷アライさん3「いい考えなのだ!おーい、救急車!アライさんを助けて手当てするのだぁ!」ワイワイ

負傷アライさん4「アライさんを怪我させたことは許してやるのだ!早くするのだ!」ノダノダ

「のだー!」「のだー!」

運転手「ど、どうします!?迂回して遠回りしますか!?病院到着が10分ほど遅れますが!?」ブオオオォン

救急隊員「…」

救急隊員「

      |二_  _―-、_   |、ヽ_,./ r''‐'´ヽ ヽヽ  |  |
      | i二ニ―---、__, | | | ̄─_ヽヽ、:::::ノミ-| l /  |
     く二二ニ-‐''''''~´  \ヽ`'‐=,´  \/ \ノ  人) |
     |  ノ /  /二三´`ヽヽ l /ヽヽ ヽ /r‐´// |┐
     /‐'´,/ /く \-- ̄`''‐\ ヽく ||ノ、lノ,-'´// |
    ヽ/_///く   :ヽ弋;;;;ッ-、 | |:::::-<::::-=ニ二//  /´
     Y´  .\/ ノ      ̄ ̄::::ノ/ ヽ !弋シフ´/ r‐'
     | /`i、  .V/ ヽ      ::::::lノ  __| ヽ::   | /  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     .l l | ヽ |          :::::../::::: ̄ノ   //  |関係ない
     ヽヽヽ! |            \::::::/   |/  <
      | vヽ |          _,. -''''ヽ-‐、   .|、ヽ  |行け
     /.( (>、_|         !-‐''~´ `~´\!  ./'ノ   \_____
     |/ `-i´ |.          '';;,,,,,,,,,,,,,,,;;''  /|/             _,,、
     |   |  |.           """""   / |          r'''ヽ''´ヽ ヽ!-、
_,. --、 ||||   \               | |          '、 `''''''  _ノ,.--`--┬''ヽ,
    ヽ| 川|    \       ___   / |           `''''''''フヽ´   ヽ,,,,ヽ_ノ__,,
   | |||||      ::::::\  /:::::::::::::::\/ |          _,. -''´-、,.-‐‐''''''''´./ ヽ  ヽ  )
   / | | 川|       ::::::`'''‐------‐''´:  |         /r‐'''''''´/ヽヽ_, イ´    ノ _フ 」

運転手「はいィーーッ!」グイインン

運転手はアクセルを強く踏む。

救急車「ブオオオオオオオオオオォォオオオン」

救急車のエンジンは唸りを上げる。
迂回はしない。一刻も早く多くの怪我人を救うため、こんな所で時間を食ってる余裕はないのである。

救急車は助けを求めるアライさん達へ、速度を上げて突っ込んだ。

負傷アライさん3「ごびゃあああっ!」バァアアンッ

負傷アライさん4「のだあぁっ!!」グシャアアァ

2匹のアライさん達は撥ね飛ばされ、タイヤの下敷きとなった。

負傷アライさん3「」ビグビグバタバタタッタタッビググッ

負傷アライさん4「」バタバタジタバタビググッビグビグ

2匹の負傷は誰にも診てもらうことはないだろう。



焼アライさん1「」ジュウウゥ…

焼アライさん2「」プスプス…

この炭のような、黒ずんだ醜悪なオブジェは何であろうか。

これらは、先程一生のお願いで作業員達に命乞いをしていたアライさん達だ。

火炎放射器で燃やされたことで、身体中の水分がなくなり、重量は半分以下となった。

元のまま搬送するよりも、回収はずいぶん楽である。

回収作業員1「この辺は焼却終わったかな?」スタスタ

回収作業員2「おや、あそこに焼死体があるぞ。うわ、キッモ」スタスタ

回収作業員は、焼アライさんをビニールシートにくるむ。

焼アライさん2「…だ…ず…げ…」

回収作業員1「…今なにか聞こえたか?」

回収作業員2「…聞かなかったことにしよう」ポイッ

ビニールシートへくるまれた焼アライさん達は、トラックの荷台へ積まれ、運ばれていった。

その後、路上は消防車による放水と、スタッフによるブラシがけで清掃されていった。

こうして、2日ほどでアライさんの死骸は片付けられた。

そして、ようやく避難所から人々は帰ることができたのである。


ただし、街角のあちこちで、銃を構えた自衛隊員が警備をしている。

まだ一部のアライさんが街中に潜伏しており、実際に目撃証言も多いためである。

続きはあとで

何か籠とかの罠置いとけば半分くらいは捕まりそう

サーバルキャット:一匹128万円
フェネック:一匹75万円
アライグマ:一匹3000円(捕獲奨励金)

アライグマ250匹=フェネック一匹



その後の社会はどうなったか。

自明である。
全国民の、アライさんに対する関心が…
警戒心が、嫌悪感が、敵対心が増大した。

これまでのアライさんに対する多くの人々の認識は、
『農業へ莫大な悪影響を与えている』
『こいつらのせいで野菜が高くなった』
『よく知らないけど、たくさんいる野生フレンズ』
『ゴミを漁ってた』
『見た目は可愛らしい』
『性格は最悪』
『キチガイどもに捕まって食われている』
『昔漫才師にアライさんがいた』

…など、無関心な者が多かった。

だが、未曾有の災害…アライハザードが起こったあの日から。
市民の間では、スズメバチより遥かに危険な敵として共通認識が出来上がっていた。

多くの人々を殺傷した、憎むべき敵。
一刻も早く絶滅させるべき最悪の害獣と認識された。

そして、アライキング・ボスの素性が明らかとなったことで、
『戸籍持ちのアライさんも、人殺しのクソ害獣である』と、誰もが信じて疑わなくなった。

そんな中…
動画サイトでは、ある動画の再生数が恐ろしい勢いで伸びていた。

数年前に投稿されていた、ショクエモンPのライブキッチンシリーズである。

今までアラ虐動画は、動物虐待やスナッフビデオと同一視されていた。
いくら害獣といえど、それを笑いながら駆除するのは後味が悪いと思われていたのである。

しかし、多くの人々がアライさんを憎むようになったことで、過去に投稿されたアラ虐動画は脚光を浴びることとなった。

憎むべき害獣を残虐に殺傷し、調理してしまう。
そのスカッとする爽快感が若者の間で人気となり、
既に動画投稿を休止していたショクエモンPに対し、復活の要望が高まったのである。

そんな中、あるアラジビ料理動画投稿者が台頭していた。

その男の名は『シャークP』。
かつて数多く存在していたショクエモンフォロワーの中で、唯一長続きしているアラジビシェフである。

3年前のアラジビフェスで、フォアグライを抜き取った後のデブアライさんを、
火炙りにしながら焼き肉にしていたのがこの男だ。

彼を一言で言い表すなら、『ショクエモンPの二番煎じ』。

ギターを掻き鳴らす、激辛スパイスを持ちネタにする等、表面的には個性を出そうとしているものの、
結局はショクエモンPのやったことを真似しているだけなのである。

3年前は、
『没個性』
『料理が美味しくない』
『劣化版ショクエモンP』
など、さんざんな評価を得ていた。

しかし、たとえ劣化版であっても。
彼が現役のライブキッチン動画投稿者であることに変わりはない。

ショクエモンPの代替品…もとい後継者として、彼はそれなりに高い人気を得ていた。

~小学校~

小学校のパソコン室。
男児達は集まり、動画サイトを見ていた。

男児1「あ!シャークPの動画新作出てる!」

男児2「ほんとー!みよーぜみよーぜ!」タタッ

男児3「俺もみるー!」ワイワイ

男児達は、動画を再生する。

シャークP『シャーシャシャシャシャ!こんばんわコバンザメ!シャークPチャンネルへようこそ!』

シャークP『今回はですねー、私シャークP、アライさんスルメ作りに挑戦したいと思いまーす!フゥー!』パチパチパチパチ

男児1~3「フゥー!」パチパチパチパチ

>>料理が美味しくない

草生える

「早速アライさんを探すシャークP。」とテロップが出る。

シャークP『おーい!アライさん出てこーい!』

シャークP『なんて言って出てくるはずはありませんので、ね!罠を仕掛けてみたいと思いまーす!』

ゴミ捨て場に、アライグマトラップを仕掛けるシャークP。

シャークP『ここにカメラを仕掛けて、みまシャーク!』

「深夜2時」とテロップが出る。

アライさん1『いい匂いがするのだ!』コソコソ

アライさん2『街には美味しい食べ物がたくさんあるのだ!』コソコソ

「早速、生ゴミ袋へ寄ってきた害獣2匹!」とテロップが出る。

アライさん1『わはー!この中にお宝があるのだぁ!』ゴソゴソ

アライさん2『食べ物があったのだぁ!』パッ

「生ゴミを食べ物と言い張る勇気…オエッ」と、センスのないテロップが出る。

アライさん1『ん?これは何なのだ?』クンクン

アライさん1は、アライグマトラップの中の匂いを嗅ぐ。

アライさん1『いい匂いがするのだぁ!』

「※中身は賞味期限切れのカレーパン。」とテロップが出る。
賞味期限切れのくだりはただの演出であろう。

アライさん1『お宝はこの中なのだー!』ズボッ

映像が停止し、アライグマトラップの構造を説明する文章が表示される。
画面下には『一時停止推奨』とテロップが出ている。

男児1「なにこれ?」

男児2「飛ばそ飛ばそ。あ、行きすぎた」カチッ

男児3「戻して~!あ、そこまででいいよ」

男児2「ここからね」カチッ

アライさん1『のあっ!?い、痛いのだああぁ!』バタバタ

アライさん2『ど、どうしたのだ!?』

「ヒット!」「ヒット!」「ヒット!」と、何度もやかましく漫画風テロップが表示される。

アライさん1『と、とれないのだああああ!んん~!』ジタバタ

「※手を切り落とせば取れます。」と、物騒なテロップが出た。

男児1~3「アハハハハハハハ」

子供達にはウケているようだ。

アライグマトラップから手を引っこ抜こうと必死になるアライさん1。

アライさん1『痛いのだ…!取れないのだぁ!』グイグイ

アライさん2『て、手伝うのだ!一緒に引っ張るのだ!うぬぬー!』グイーーッ

アライさん1『いだいのだああああああああ!』ジタバタ

「※余計痛いだけです。」とテロップが出る。

男児1~3「アハハハハハハハ」

その後、アライさん達の様子が早送りで映し出される。

「朝5時」とテロップが出る。

アライさん2『あ、朝なのだ!このままじゃ人が来るのだぁ!』

アライさん1『早く助けてほしいのだ…!』

アライさん2『あ、後で来るのだ!』タタッ

アライさん1『のああああぁ!』

「※この後、仲間は帰って来ませんでした。」とテロップが出る。

男児1~3「アハハハハハハハ」

シャークP『朝ですね』

ギターケースを背負い、道に立っているシャークPの姿が映る。
どうやらカメラマンに撮らせているようだ。

シャークP『それでは、罠の様子を見に行ってメガマウス!』ザッザッ

メガマウスとは鮫の種類の一つである。
だが小学校の男児たちには何のことだか通じず、スルーされたようだ。
通じたとしても大して面白いシャレではないが。

シャークP『あ!いました!アライさんです!シャーシャシャシャシャ!』

アライさん1『ひ、ヒトなのだ!た、助けて欲しいのだ!これが取れなくなっちゃったのだ!』

シャークP『そうかいそうかい。それでは…』ゴソゴソ

ギターケースを漁るシャークP。
中から出たのは、ギターではなく。

なんと、釘バットである。
釘バットは集中線で演出され、画面の下には「釘バット!!」と無くても分かるテロップが出る。

駄目出し兼死体蹴り感のあるナレーション好き

アライさん1『な、何なのだ!?それでこの邪魔なのを壊してくれるのか!?』

シャークP『それじゃあ、早速アライさんを狩ろうと思います!』

画面の下には、「※シャークPはアライさん駆除免許を持っています。ホントです」と表示される。

実際に彼は真面目に講習を受けて、特定有害駆除対象フレンズ駆除免許を取得したのである。

動画作り、もといアラジビ料理への彼なりの真剣な姿勢が伺える。

シャークP『ヒャホウ!』ガッ

シャークPはアライさん1に向かっていき、釘バットを振りかざす。

アライさん1『痛っ!痛いのだあああああ!』ドサッ

「大絶叫。」とテロップが出る。

この騒音は近所迷惑かもしれないが、ゴミ捨て場を荒らすアライさんを一匹駆除したことを考えると差し引きではプラスの行いともいえる。

シャークP『シャーク!シャーク!シャーク!』ドガッドガッドガッ

アライさん1『いだいっ!いだいのだぁ!やめるのだぁぁっ!のぎゃあああっ!』

シャークPが釘バットを振り下ろす度に、編集で入れられたコミカルな打撃音が鳴る。
生き物へ暴力を振るっていることの実感が和げられる演出だ。

男児1「いいぞー!」

男児2「やっちゃえシャークP!」

男児3「殺せー!」

男児たちは、まるでヒーローショーの殺陣をみるかのように大盛り上がりである。

シャークP『ゼェッゼェッ…シャーク!ゼェッハァッ…』ドガッドガッドガッ

アライさん1『』グッタリ

カメラは、倒れているアライさんの姿を映す。
アライさんの顔はやたら赤の多いモザイクで覆われており、
「※有料チャンネルではモザイクが外れます。」とテロップが出る。

シャークP『えー、ゼェッ、ハァッ、捕獲、完了と、ゼェッ、いうことでね、運んでいきましょう』ゼェハァ

アライグマトラップを手から外すシーンはカットされた。
まあ映してもつまらないので、妥当な判断といえるだろう。

場面転換し、シャークPのキッチンが映し出される。

シャークP『えー、ではさっそく、アライさんスルメを作って行こうと思います!シャークPのライブキッチンに、目白押し!』

画面の端っこにメジロザメの画像が出てプルプル震え、「シャー!」というエコーがかかった声が流れる。

元々は目白押しとメジロザメをかけたダジャレであり、この画像表示演出はなかった。
しかしあまりにも誰もダジャレに気付いてくれないから、最近使い始めたようだ。
もっとも、大抵の視聴者は映し出されているサメがメジロザメだということにすら気付かないため、依然としてこのダジャレは多くの視聴者に理解されていない。

アライさん1『う、うぅ…』

アライさん1は、両手両足を縛られている。

シャークP『それじゃあ、まずは解体していきまーす』スッ

シャークPは、ハサミでアライさん1の服を切る。

アライさん1『のぁ…アライさんの毛皮がぁ…』

映像には、全裸のアライさんが映し出される。
乳首と局所にはモザイクがかかっており、「※有料チャンネルではモザイクが外れます」とテロップが出ている。

男児1「…」

男児2「…」

男児3「…」

アライさんといえども、腐ってもフレンズ。
その女体は少女そのものである。
男児たちはやや前傾姿勢で、太ももをすり合わせながらパソコンの画面を凝視する。

シャークP『次にですね、このアライさんを、木の板に磔にします!』

シャークPは、極太の釘と金槌を持ってくる。

アライさん1『な…何する気なのだ…い、痛いことはやめるのだぁ!アライさんが可哀想なのだぁ!』

シャークPは、アライさん1を木の板に寝かせる。

そして、その掌に釘を当て…

アライさん1『い、いやなのだ!あぶにないのだ!や、やめ…』

シャークP『シャーークッ!』ガンッガンッ

アライさん1『のぎゃああああああああーーーーーっ!!!』ブシュウゥ

アライさん1の手は、釘によって木の板に打ち付けられた。

男児1~3「アハハハ」

シャークP『シャークッ!』ガンッガンッ

アライさん1『いだいのだああぁっ!う゛ぁああーーーっ!アライさんの足がぁーっ!』

続けて、足も木の板へ釘で打ち付けた。

シャークP『続きまして、いよいよ出番です。シャ~~ク、ノコギリ』ビヨーンビヨーン

シャークPは、ノコギリを映す。
もちろんノコギリザメと掛けている。
アライさん解体道具として無理なく使えて、語感もまあ悪くないため、
シャークPのトレードマークとなっている。

シャークP『これを使って、内臓をジョーズに引きずりだしましょう!』ビヨーンビヨーン

アライさん1『ひ…やだ…やなのだ…おねがいなのだ…やめ…ゆるして…ほしいのだ…』ガクガクブルブル

シャークP『それじゃあ解体していきまーす』スッ

アライさん1『やめるのだぁ!だずげでぇ!アライさん何にも悪いことしてないのだこんなことするのおかしいのだぁ!嫌なのだああああああ!』ガクガク

暴れようとしても、手足は釘で木の板に打ち付けられている上に縛られているため、動かない。

シャークP『レッツ!解体!シャーシャシャシャシャ~!』ザグザグ

アライさん1『のぎゃああああああああーーーーーっ!いだい!ぎひぃいいーーーーーっ!』ブシュウゥ

アライさん1の腹が切り裂かれていく。

シャークP『シャーシャシャシャシャ!!』ザグザグブヂイィ

アライさん1『がぁああああああああーー!ぁあ゛ぁーーーーーーーっ!』

アライさん1の腹から内臓が引きずり出されていく。
内臓にはモザイクがかけられており、画面下に「有料チャ(以下略)」とテロップが出る。
さすがにくどいと自覚しているようだ。

男児1「う…おぉ…」

男児2「…」

男児3「…」

男児たちは大きく目を見開き無言で見ている。

たいていの内臓が引きずり出された。
キッチンは血まみれである。

シャークP『あとは、塩水に漬け込んだ後、天日干しにします』ガシッ

アライさん1は反応がなく、すでに息絶えたようだ。

シャークP『こちら、海水もとい、塩水ですね』チャプン

ビニールプールに塩水が並々入っている。
シャークPは、木の板を上にして、アライさんをビニールプールへ漬け込んだ。

「1時間後」とテロップが出た後、シャークPはアライさんの死骸を天日干しにした。

「2日後」とテロップが出る。

シャークP『できました!こちら、アライさんスルメでーす!』

ジャーン、という効果音が鳴る。
カメラに映し出されたのは、アライさんのミイラ。
まあスルメの作り方に則った以上料理ではあるかもしれないが、お世辞にも食欲をそそらない。

画面に「ミイラ!?」とテロップが出る。
何が!?なのであろうか。正真正銘ミイラであり疑いの余地もない。

男児1~3「アハハハハハハハ」

子供にはウケているようで、何よりである。

シャークP『それでは早速、食べてみたいと思いまーす』

アライさんスルメの、やや肉が残っている腹の部分を切り取り、マヨネーズをつける。

シャークP『いただきまーす、あーん、がぶっ』

シャークPはアライさんスルメを噛む。

シャークP『…』

シャークPは眉間に皺を寄せる。

シャークP『…ンー!固くて噛みきれない!皮膚が…ハァッ、皮膚が固いっ…』ハァハァ

画面下に「固。」とテロップが出る。

男児1~3「アハハハハハハハ」

その後、シャークPはなんとかアライさんスルメを食べる。

シャークP『…』モグモグ

シャークP『…うん、イカでいいわこれ!』

画面下に「結論…スルメを作るならイカにしましょう。」とテロップが出る。

男児1~3「アハハハハハハハ」

動画は終了した。

男児1「あー、今回はイマイチだったね」

男児2「いつもこんなもんだよ?」

男児3「だな!あはははは」

これがシャークPという男だ。
料理の腕も、アラ虐の腕も、動画のセンスも未熟である。

だが、後先考えずバカなことを考え、つっぱしる男。
それがシャークPだ。

ちょっとイタい系であるが、逆にそこが愛されているポイントのようだ。

下校中。
男児たちは、帰り道であるものを見かける。

男児1~3「あ」

アライちゃん1「のだーのだー」ヨチヨチ

アライちゃん2「なのだー」ヨチヨチ

なんと草むらに、アライさんの子供、アライちゃんがいた。

アライちゃん1「おかーしゃん…かえってこないのだー…」ヨチヨチ

アライちゃん2「さがすのだー!」ヨチヨチ

どうやら、母親を探しているらしい。

男児1「…」

男児2「…」

男児3「…」

男児1~3「「「シャークPごっこ、やろうぜ!!!」」」


果たして何をする気なのであろうか…?

それは彼らの子供心の赴くままである。

つづく

これからはネタ溜めのため、若干ペースが遅くなると思います


今までお話では、どのシーンが良かったでしょうか

皆さんのベスト・オブ・アラ虐や気に入ったキャラ等を聞かせてもらえたら幸いです



食通の友人「くさい」モグモグ

突然どうした。

食通の友人「いやぁ…お前が街中で仕留めてくれたアライさん親子を料理して食ってみたんだけどさ。肉がくさい」モグモグ

奴ら、生ゴミなんか食ってるんだとな。
その影響か?

食通の友人「うーん、アライさん共が街に住み着いたのって、数週間前だろ?たったそれだけでこんなに味に悪影響出るもんかな」モグモグ

そんなに違うのか。

食通の友人「ああ。お前も食ってみろよ。全然違うぞ」モグモグ

いらん!
そもそも俺はアライさんなんぞ食ったことはないし、
この先も一生食わん。

食通の友人「それじゃあ違いは分からんだろうな…。特にアライちゃんの方はな…駄目だこりゃ」

そうか…フォアグライには使えないのか?

食通の友人「一度この味になったらなぁ…。客からクレームが来るかもしれん。無理だな」

やはりフォアグライは、森からとってきたアライちゃんに限るってとこか。

食通の友人「保健所からは、街中のアライさんは買い取らないことにするぜ」

じゃあ、また森からとってきてやるよ。
生け捕りでな。

食通の友人「助かるぜ!」



~森~

俺は佐助を連れ、森へ狩りに出掛けた。

あの事件以来、森の中の成体アライさんはずいぶん減った。
奴らが森に残していったアライちゃん達は、自力で食糧を手に入れるのにだいぶ苦労しているようだ。

なんでそんな事、わかるかって?
目の前のアレを見りゃわかる。

痩せアライちゃん1「あぐあぐ…」アグアグ

ミイラアライちゃん1「」ボロボロ

痩せこけたアライちゃん2「うぅ…ゆるしゅのだ、おねーしゃん…」ガジガジ

ミイラアライちゃん2「」カサカサ

餓死してミイラ化したアライちゃんの死骸を、痩せこけたアライちゃんが食っている。

見たところ、餓死した姉妹の死骸を食っているようだ。

…アレは大丈夫なんだろうか?
生ゴミみたいなもん食ってるが。

痩せアライちゃん1「あ…ひとひゃんがいうのあ…」ヨチ…ヨチ…

こっちに来た。

痩せアライちゃん2「ひと…ひゃん…あらいしゃんたちに…ごはん…くらひゃいなのあ…」ヨチ…ヨチ…

そこに飯ならあるだろ。

痩せアライちゃん1「だめなのあ…おいひいおやさい…たべたいのあ…」ヨチ…ヨチ…

痩せアライちゃん2「ひと…しゃん…ひとしゃんなら…たべものいっぱい…あるはずなのあ…くらひゃいなのあ…」ヨチ…ヨチ…

くっ…気持ち悪い。

佐助「フゥーッフゥーッフゥーッフゥーッフゥーッフゥーッフゥーッフゥーッフゥーッフゥーッ」ワナワナ

佐助が眉間に皺を寄せ、目をカッと見開いている。
どうしたのだ?まさかこいつらを食いたいのか?

…だが、一応捕獲する約束だ。

俺は痩せこけた害獣共をつかみ、籠に入れた。

痩せアライちゃん1「えへへ…ひとしゃんが、おいしいものあるとこに…つれへっへくれるのあ…」グウゥー

痩せアライちゃん2「やさしいひとなのあ…」ギュルルー

ふむ…まあ、それで認識は間違ってないな。
たかが2匹じゃ足りん。先へ行こう。

…森にもう成体アライさんはいないのだろうか?
いやいや。まだ1/3ほどいるようだ。

命からがら逃げ帰った奴もいるし、
そもそも戦いに参加していない…
戦いがあったことすら知らない奴もいる。

なぜそんな事がわかるかって?
銃を突き付ければわかるさ。
奴らが命乞いの前に言う言葉を聞けばな。


俺たちは森を進む。
すると、何やら不気味なものを見た。

木の幹の高いところに、穴が空いてる。
その穴へ向かって…

鶏の死骸「」ブラーン

アライさん「今日は美味しい鶏肉が獲れたのだ!チビ達!お家に帰るのだー!」ヨジヨジ

アライちゃん1「なのぁー!」ヨジヨジ

アライちゃん2「なのらー」ヨジヨジ

アライちゃん3「のぁー」ヨジヨジ

アライちゃん4「かえうのあー!」ヨジヨジ

アライちゃん5「おいしいごはんたべうのあー!」ヨジヨジ

…アライさんの親子がよじ登っていく。

俺は即座にエアライフルを構え、巣穴へ向ける。

アライさん「ただいまなのだ!ふははははー!」スポッ

アライちゃん1「たのちいわがやなのだー!」スポッ

アライちゃん2「みんなであしょぶのらー!」スポッ

アライちゃん3「とりさんであそびたいのあ!」スポッ

アライちゃん4「ちゅかれたのぁー」スポッ

アライちゃん5「ごはんにすりゅのあ!」スポッ

…クソが!
一手遅れた。
奴らは巣穴に潜ってしまった。

たとえ生け捕りにできずとも、俺は誓った。
この世からアライさんを根絶やしにすると。
巣穴に潜る前に、奴らを全員仕留めたかったが…。

俺は木の根元あたりに、ナイフで大きな×印をつけておく。
帰りにまた寄ろう。



しばらく進むと、俺たちは奇妙な光景を目の当たりにした。

地面に穴が空いており、その前にアライさんがいる。

アライさん2「ふぅーっ!来るななのだぁ!チビ達に近づくなぁ!」フシャー!

そしてアライさんの前に…

鷹「…」

鷹がいる。

鷹「…」トットッ

鷹がちょっと前に進む。

アライさん2「たあ~!」ブンッ

鷹「っ」バササッ

アライさん2が鷹を引っ掻こうとするが、鷹はそれをかわす。

どうやら鷹が、巣穴の中のガキを狙っているようだ。

鷹は猛禽類。見たところ、かなりのでかさだ。
だが鳥は体重が軽く、筋肉量も多くはない。

成体のアライさんとあの距離で戦っても、勝つことはできないだろう。

どれ、あのクソ害獣を射殺してやるか。
俺はアライさんにエアライフルを向けるが…

佐助「ワオオオンガウゥウルルルウ!」ダダダッ

先に佐助が飛び出した。
おい待てったら!お前はいつも俺の命令を待たずに飛び出すな、佐助ェ!

佐助「グルゥァアアアルルル!」ドゴオォ

アライさん2「のだぁーっ!?」ドサァ

佐助はアライさん2にタックルを浴びせ、地面に押し倒した。

佐助「ガウゥ!」ガブゥブヂィイィ

アライさん2「のぎゃああああああああーーーーーっ!いだい!いだいのだあぁ!やべでぇ!あらいしゃんは、ちびを、ちびをぉ!」ブシュウゥ

佐助はアライさんの頸動脈を噛み千切った。
あいつにしては珍しく、一撃で仕留めにかかったな。

佐助「ガウウゥ!」ガブブヂイィ

アライさん2「ぎびいいいぃいっ!」ブシュウゥ

佐助はアライさんの腹を食い破る。
だからお前のそのパワーはどこから出ているのだ、佐助よ!

鷹「っ…」

鷹はちょっと後退り、佐助を見ている。

佐助「ガウウウゥ」ブヂブヂ

アライさん2「ぐぎぃぃぃっ…」ブシュウゥ

佐助はアライさん2の腹から肝臓を食い千切った。
…おいおい、それ俺が回収するんだぞ。
あまりスプラッターなことにしてくれるな。

佐助「フンッ」ポイッ

鷹「!」

アライさん2の肝臓「」ドチャッ

なんと、佐助は鷹のほうに肝臓を投げた。
おい…どういうつもりだ?

鷹「…」ツンツン

鷹はアライさん2の肝臓を、嘴でつついている。

アライさん2「あぁ…アライさんの…それ…かえす…のだぁ…」ブルブル

鷹「…っ」ガブゥ

鷹は肝臓にかぶりついた。

鷹「キョロルル!」ガブッモグモグ

鷹は、肝臓を食っているようだ。

アライさん2「の…ぁ…」ブルブル

アライさん2が痙攣し始めた。

アライさん2「」ビグビグガクガクバタッバタバタッジタバタ

アライさん2が暴れだす。
意識はあるのだろうか。

鷹「プハー」

鷹は肝臓を食い終わったようだ。

佐助「ガウウゥ!」ブヂィイィ ポイッ ブヂィイィ ポイッ

アライさん2の体の部位「」ドチャッ グチャッ

佐助はアライさんを食い千切って解体し、その部位を鷹のほうに投げた。

鷹「…!」

鷹は、アライさん2の臓物をくわえて、木の上に飛んでいった。

鷹「…」グイッ

よく見ると、鷹は鳥の巣にとまっているようだ。

鳥の雛1「ピィピィ」

鳥の雛2「ピチクリー」

鳥の雛3「チィチィ」

巣には雛が3匹いる。

鷹は雛へアライさん2の臓物を食わせた。

さて、これで巣穴の番人はいなくなったな。

俺は巣穴に耳を近付ける。

「おかーひゃん、とりはおっぱらったのか?」
「とりやっつけたのだ?」
「おけがはないのだ?おかーしゃんがおけがしたらかなしいのだ」

怪我なんてもんじゃねえよ。
さて、あとは巣穴からガキを引きずりだせばOKだな。
また釣竿にスルメをつけて、おびき寄せるか。

こういうときにダックスフンドみたいな小型犬がいるといいんだがな。

佐助「クゥーン」

落ち込むな佐助よ。
お前は優秀で利口な猟犬だ。
俺はさっそく釣竿を用意する…。

鷹「キュロロロ」バッサバッサ

ん?さっきの鷹か。
どうした、またアライさん2の部位を頂きに来たか?

鷹「キュロ!」ズボッ

鷹は巣穴に顔を突っ込んだ。

鷹「キュロアッ」ズイイ

アライちゃん6「のああぁぁ!やなのあぁ!はなすのあぁ!」ジタバタ

鷹は巣穴からアライちゃん6を引きずり出した。

佐助「ワゥ!」

アライちゃん6「おかーしゃん!どこなのぁ、あらいしゃんをたしゅけるのあぁ!」ジタバタ

あの鷹…獲物を横取りする気か。

鷹「ニィッ」ニカッ

鷹「キュロアッ」ポイッ

アライちゃん6「のああぁっ!」ポスッ

佐助「!」

なんと…
鷹は、アライちゃん6を佐助のほうへ投げた。

鷹「キュロロロ!」グイグイ

アライちゃん7「びいいいぃっ!いぢゃいのあぁ、ひっぱうななのらぁ!」ズルズル

鷹は続けてもう一匹、巣穴からアライちゃんを引きずり出し、

鷹「キュロアッ」ポイッ

アライちゃん7「のぁっ!」ポスッ

佐助「グルル…」シッポフリフリ

…また、佐助の方へ投げる。

…なんだ、これは。
こいつら何をしてるんだ!?

アライちゃん6「いたた…ひっ!おおかみなのだぁっ!」

アライちゃん7「けものなのだぁ!こ…こわいのらぁ!」ブルブル

佐助「ガウ!」ハグッ

アライちゃん6「ぴいいいいいぃいぃぃっ!た、たべちゃやなのらああぁっ!」ジタバタ

佐助がアライちゃん6をくわえる。

佐助「ガウ」ポイッ

アライちゃん6「のぁっ!」ポテッ

俺の足元へ投げてきた。
俺はアライちゃん6をつかみ、籠に入れた。

アライちゃん7「びえええええんっ!こあいのらぁぁっ!にげうのあぁぁっ!」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん7が逃げていく。
逃がすかバーカ!俺はアライちゃん7をつかみ、籠に入れる。

アライちゃん7「のぁっ!」ボテッ

どうやら巣穴にはもうガキはいないようだ。
俺達は先へ進もうとするが…

「チィチィ!」

木の上から、鳥の声が聞こえた。

鷹「!?」

声がしたのは、さっきの鳥の巣だ。
そこにいたのは…

鳥の雛1「ピィピィ!」

鳥の雛2「ヂィ!ヂイィ!」

鳥の雛3「ピチチー!」

アライさん1「ふははははー!鳥の巣を見つけたのだ!また鶏肉が手に入るのだ!」ヨジヨジ

さっきの木のアライさんだ!
鳥の巣を狙い、木を登ってやがる。

鷹「!キュロロロ!」バササッ

鷹はアライさん1の方へ飛んでいく。

鷹「キュラァ!」バッサバッサ

鷹はアライさんを威嚇している。

アライさん1「親鳥か!邪魔なのだ!」スッ

アライさん1は、木の枝を持つ。

アライさん1「たぁー!」ブンッ

鷹「キュルォ!?」ガンッ

鷹がアライさん1に殴られた。
あの害獣…鷹を殴るとは、なかなかレベルが高そうだ…!

鷹「キュラァ」ボスッ

鷹は頭を打たれて落下し、木の枝に引っかかる。

アライさん1「ふははははー!これで鶏肉ゲットなのだぁ!」ヨジヨジ

鳥の雛1「ピ、ピイイィ!」

アライさんは、もうすぐ鳥の巣の近くへ到達してしまう。

…させるかよ。
さっきはおめおめと逃がしたが、今度は逃がさんぞクソ害獣。
根絶やしにしてやる。

俺は即座に12連射エアライフルを構え、アライさん目掛けてぶっ放った。

俺のエアライフルはサイレンサーを取り付けてあり、音は一般のエアライフルより小さい。
国内では違法改造だが、特定有害駆除対象フレンズ駆除免許があれば許可されるのである。

アライさん1「ぐびゃ!?のごっごびゃあああ!ぐじぇええっ!」ドガジガブシャアアア

ヒット!
アライさんは木から落下する。

弾丸は、雛のいる木には一発も当たらなかったようだ。

アライさん1「ぶぎゃ!」ドグシャ

アライさんは頭から地面へ落下した。
あれだけの高さから落下したのだ。
もう動くことはないだろう。





アライさん1「」ビグビグガクガクバタッバタバタッジタバタビグビグバタバタ



…動くことはないだろうと思ったが、なんと動いた。
仰向けにひっくり返り、手足をバタバタと動かしてる。

アライさん1「」ジタバタビグビグガクガク

うえ、気味が悪い…。

佐助「ガアアアアウゥ!!!」ダッ

地面に落ちたアライさん1へ、佐助が走っていく。

佐助「ガウ!ガウウゥ!」ハグゥッブヂィイィ

アライさん1「」ブシャアアァ

佐助はまたもや、アライさん1の体を食い千切って解体した。

佐助「ガウ」

アライさん1のバラバラ死体「」グチャ

…気は済んだか我が相棒よ。

俺はアライさんを駆除した証拠として、とりあえずアライさん1の頭を持ってビニール袋へぶちこむ。

行くぞ、佐助。

佐助「ワゥ」ザッザッ

全く…
鷹に肝臓を投げ渡したり、チビを傷つけずにこっちへ寄越したり…。
器用なもんだ。

お前は普段、猪なんか狩るときは並の実力だが…
アライさんを相手にするときだけ、妙に利口になるな。
命令はよく無視するが。

佐助「クゥーン」

いやいや、普段が利口じゃないとは言ってないぞ。
お前は十分利口だぞ、佐助。

鷹「キュロロロー」バッサバッサ

鷹がアライさん1のバラバラ死体へ近寄る。

鷹「キュロアッ」ハグッ バッサバッサ

鷹は肝臓をくわえると、また巣へ飛び立っていった。

鷹「フイ」

鳥の雛1「ピィピィ」ハグハグ

鳥の雛2「チィチィー」ハグハグ

鳥の雛3「ピチチー」モグモグ

鳥の雛達をかっさらおうとしたアライさんは、逆に鳥の餌となった。

俺達は来た道をそのまま戻る。
今日の収穫は4匹か。
籠の中を見てみる。

痩せアライちゃん1「の…あぁ…」ピクピク

痩せアライちゃん2「ご…はん…」ピクピク

アライちゃん6「おかーひゃんはどこなのらぁ!おかーひゃん!」ガシャガシャ

アライちゃん7「たしゅけうのあぁ!あらいしゃんをたしゅけうのあぁ!」ガシャガシャ

うるせぇ!
水に沈めてやろうかこいつら。


やがて俺と佐助は、穴の空いた木のところへ戻ってくる。
根元には×印がついている。

佐助「ガウ!ガウウゥ!ワンワン!」

巣穴から反応はない。
まあ、母親の首はここにある。
放っておいても奴らのうち数匹は餓死することだろう。

放っておこう。
俺達は、後ろを向いてその場を立ち去る。

「のああぁ!?」
「な、なんなのらあぁ!」
「こあいのがきたのだ!ひっ!おがーしゃーん、だじゅげでえぇ!」

…ん?やけに後ろが騒がしいな。

俺達は、後ろを振り向く。

巣穴から、ガサガサと音がする。

アライちゃん1「のあああっ!」ヒュー ボスッ

なんと巣穴からアライちゃん1が落下し、草の上に落っこちた。

アライちゃん1「のぁああああん!いぢゃいのりゃああああ!」ビエエエエエン

そして、さらに。

アライちゃん2「ぴぎっ!」ボスッ

アライちゃん3「のびゃっ!」ボスッ

アライちゃん4「ぴいぃっ!」ボサッ

アライちゃん5「ごぎゃがあああぁっ!?」ドグシャァ

…一匹、岩の上に頭から垂直落下したが。
他は皆、草の上に落下した。

…なんか知らんがチャンスだ!持ってくぞ佐助!

アライちゃん1~4を籠へぶちこんだ。

アライちゃん5「」ビグビグバタバタバタッジタバタ

…こいつも持っていくか?
飢えアライちゃん達の餌にでもなるだろうか。

鷹「キュロロロー」バッサバッサ ガシッ

アライちゃん5「」プラーン

あ。
さっきの鷹がやってきた。

鷹「キュロロロー」バッサバッサ

鷹はくたばりかけてたアライちゃん5を持ち去っていった。

…籠の中は、さらに騒がしくなった。
さっきの4匹に加えて、収穫は8匹。大猟だ。

アライちゃん1「のぁああああん!おちりがいちゃいのらあぁ!」ビエエエエエン

アライちゃん2「おがーしゃーん!びええええん!」ビエエエエエン

アライちゃん3「どごいっぢゃっだのらああぁ!」ビエエエエエン

アライちゃん4「あらいしゃんとあしょぶやくしょくはどうなったのらー!」ビエエエエエン

クソうるせぇな害獣!
そんなに母さんに会いてえなら、会わせてやるよ!
俺はさっき拾ったアライさん1の頭をビニール袋から出し、籠へ入れる。

アライさん1の頭「」ベシャ

アライちゃん1「ひいっっ!」

アライちゃん2「お、おがー…しゃん…!」

アライちゃん3「あたまだけ…なのら…どうしたのだ…?」プルプル

アライちゃん4「あ、うぅ……おきてなのだ…だいしゅきなおかーしゃん…あらいしゃんと、あしょんで…」ブルブル

母親の頭に注目するハエガイジ共。
てめーの母親は、鳥を捕まえようとして、逆に鳥の餌になったよ。
ついでにてめーの妹も一匹な。

アライちゃん1「のだああああああああああん!」ビエエエエエン

アライちゃん2「やなのだああああああああ!」ビエエエエエン

アライちゃん3「ごんなのおがーしゃんじゃないのだあああ!」ビエエエエエン

アライちゃん4「おがーしゃんっ!おがーしゃんっ!おぎうのらあああ!」ビエエエエエン

さらにやかましくなった。
ああー!クソうるせぇなこいつら!

佐助「ガウウウウウウウウウウウ!グルゥァアアアルルル!!」



~フォアグライ加工場~

食通の友人「ヒャーーーーハハハハッハハハ!!!こりゃすげえや大猟だァ!」

8匹は今までなかった記録だな。

食通の友人「まあ、フォアグライはあんまりたくさん作りすぎても困るからな。半分もらって、残り半分はうちの店で買い取るぜ」

ジビエ料理店の方か。
お前の本分だな。

食通の友人「フォアグライは出荷数を絞ってるからな。たくさん作りすぎると単価安くなるわ、餌代はかかるわでロクなことがねえ」

…お前、随分会社経営の方に力入れてるな。
前はハンコ押すだけの役職になるっつってなかったっけ?

食通の友人「それも考えたが…やっぱ、自分でコントロールした方がいいフォアグライが作れるんだよ」

…成る程。
つまりお前は、相変わらず料理人ってわけか。
アライちゃんという食材を、会社というキッチンで調理してるってことか。

食通の友人「まーそんなとこだ。それよりさ、最近新しいサービスを始めたんだ!」

何だ?

食通の友人「アライちゃん育成場の見学コースと、餌やり体験コーナーだ!頭イカれた奴らがワンサカやってきて、アライちゃん達に死ぬほど餌食わせてるぜ!」

…類は友を呼ぶんだな。

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報告書11
~フレンズの成長スピード~

本研究所が設立されてから、まだ8年しか経過していない。
たったそれだけの中で、フレンズの成長に関する研究のデータを得るのは難しい。

だが、動物と交配し、フレンズを出産した方から、フレンズの成長スピードについて話を聞くことができた。

また、実験室ではアライグマのフレンズが、2年で成体になることが実験により判明している。

このことから、1つの仮説が成り立つ。
フレンズは産まれた直後、元となった動物が成体になるのと同じペースで成長する。
人間でいうと少女の姿が成体であり、その後寿命までほとんど姿が老いない。

いまだ寿命を迎えたフレンズを見つけたことはない。
だが、いずれ結論は出るだろう。
本研究所がずっと運営され続ければ、いつか必ず我々の誰かが寿命を迎えるのだから。

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~メモ~

実験2は成功。
ラッキービーストらによる、ジャパリパークシステムは正常に作動。
この牢獄のような楽園に必要な人員は、管理者と2~3名の事務作業員のみだ。

他は全てラッキービーストと、それを統括するマザーコンピューターがやってくれる。
物資購入の領収書に機械の名前が書けない以上、管理者は必要である。

逆にいえば、フレンズ達にピエロ以外の役割はないといえる。

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つづく

ところで今回、前よりアライちゃんの口調をさらにガイジ成分増し増しで書いてみたんですが
今までとどっちがよかったでしょうか?

と思ったけどやっぱ書いてる途中で精神が歪んでいくのを感じて
やめた。長いシリーズ書いてる人スゲーわ

旧アライちゃん「あらいしゃんに、おまかせなのらー!」ヨチヨチヨチヨチ

新アライちゃん「ありゃいしゃんに、おまかしぇなのあー!」ヨチヨチヨチヨチ

こんな感じの違いです

>>346
いいじゃないですか、書いても
需要はいっぱいあります
こっちの世界はきもちいいですよ(Gルート)

街中に住み着き始めたアライさん達。

住人達に怖がられていたが、意外にも人を積極的に攻撃するアライさんは少なかった。

だが、人々に多くの迷惑をかけていることに変わりはない。

~公園前~

ジャグラー「みんな見ててねー、このナイフ!」チャキ

大勢の観客の前で、ジャグラーの少女がナイフを構える。
少女の目の前には、黄色い色が染みた大きな大根の漬け物がある。

ジャグラー「はっ!」サクサク

少女は大根のつけものをナイフで切る。

ジャグラー「この通り、本物のナイフだよ!みててね、これを使って今からすごいことするよー!」ジャララッ

ジャグラーの少女は大量のナイフを取り出す。

少年1「おねーさん大丈夫ー?」

少年2「あぶなくないー?」

青年1「…」(ケータイで録画中)

お年寄り1「怪我しないようにのー」

ジャグラー「はぁっ!」ヒュンヒュンヒュンヒュン

ジャグラーの少女は、5本のナイフを空中で投げ、ジャグリングを始める。

観客達「オォオォ~~ッ!」パチパチパチパチ

ジャグラー「たーのしー!」ヒュンヒュンヒュンヒュン

ジャグラーはさらに、火のついた松明を3本追加する。

合計8本の危険物が、華麗に空中を舞っていた。

少年1「すげーーー!」パチパチパチパチ

女子高生1「インスタ映えするー!」(録画中)

青年1「いいぞー!」ポイッ

ジャグラーの少女が乗る台の前にはシルクハットがある。
青年はおひねりをシルクハットへ投げ入れる。

ジャグラー「たーのしー!」ヒュンヒュン

一歩間違えば大変危険だというのに、ジャグラーの少女はとても楽しそうである。

ジャグラー「はっ!」シュタタタタッ

ジャグラーはナイフ5本を右手で、松明3本を左手でそれぞれまとめてキャッチした。

ジャグラー「どうだった、みんな~!」

観客「すげー!」パチパチパチパチ

少年1「すっごーい!」パチパチパチパチ

青年1「Twitterに投稿しよう」ピローン

女子高生1「インスタ映えする」ピローン

ギーク1「かわいー!」パチパチ

ジャグラー「みんな、これからもジャパリスタジオをよろしくねー!もし楽しんで貰えたら、どうかこちらへそのお気持ちをー♪」スッ

ジャグラーはシルクハットを持ち上げる。

青年1「おひねりか。いいぞー!」ポイッ

青年2「がんばれー!」ポイッ

OL「応援してるよージャパリスタジオ!」ポイッ

ジャグラー「ありがとー!」スポポ

ジャグラーの少女は、あちこちから飛んできたおひねりを器用にシルクハットでキャッチする。

ジャグラー「わーい!」

観客「アンコール!アンコール!」

ジャパリスタジオは、フレンズ達が所属する芸能事務所だ。
このグレーと白の2色の髪をもつ少女もまた、フレンズであるようだ。

ジャグラー「えへへ、いっぱい練習してよかった…。パークの外がこんなに楽しいなんて…。それじゃあ、もう一回いくよー!」

再びジャグラーの少女は再び台に登り、ナイフを取ろうとする。

しかし、そこへ。

アライさん1「楽しそうなのだー!」ドタドタ

アライさん2「アライさんにもやらせるのだー!」ドタドタ

2匹のアライさんがやってきた。

少年1「!?うわぁ、アライさんだあぁ!」

青年1「こっち来るな害獣ー!」

女児「こわいよー!」ウエエエエン

女子高生1「ウケるww」ピローン

観客達は招かれざる客の乱入に大騒ぎである。

アライちゃん1「おかーしゃん、あらいしゃんもやるのあー」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん2「かっこいいのらぁ」ヨチヨチヨチヨチ

続いて、その子供もやってくる。

青年1「ど、どうする!?逃げるか!?」

お年寄り1「逃げるぞー!」ヨタヨタ

女児「うわーん!」タタッ

子供達は逃げていく。
せっかくの路上ライブは台無しだ。

ジャグラー「わ、わわ、アライさん!?ど、どうしよ!」アセアセ

ジャグラーは台の上でパニックになっている。

アライさん1「たあ~!」ダダダッバッ

アライさん1は助走をつけてジャンプし、台の上のジャグラーへタックルした。

ジャグラー「ぎゃああっ!」ドサァ

ジャグラーは台の上から転落してしまう。

アライさん1「さあ見るのだ!このくらい、アライさんにも朝飯前なのだぁ!」スチャ

アライさん2「アライさんもやるのだぁ!」スチャ

アライさん達はナイフを持つ。

アライちゃん1「おかーしゃん、がんばうのあー!」シッポフリフリ

アライちゃん2「ひとしゃん、あらいしゃんたちにもおひねいよこしゅのあー!」ピョンピョン

どうやら金が目当てらしい。
アライさん達も、経済というものが分かってきたのであろうか。
たとえアライさん達であっても、金があれば自販機で飲み物を買うくらいはできるだろう。

青年1「…どうする、見ていくか?」

ギーク1「いやいや無いわ」スタスタ

女子高生1「ウケるw」(録画準備)

青年2「いいぞー!やれやれ!」

プロレスラー「大丈夫かジャグラーのお嬢ちゃん!?」

ジャグラー「うぅ、いたた…」

観客達の多くは逃げていく。
一部、物好きな客だけが残った。
彼らは何を期待しているのであろうか。

アライちゃん2匹は、台の上の母親を、真下から応援している。

アライさん1「いくのだ!たあ~!」バッ

アライさん2「たあ~!」バッ

アライさん達は、ナイフを4本投げる。
アライさん達は投げたナイフへ手を伸ばす。

アライさん1の親指「」ズパァッ

アライさん2の掌「」ザグウゥッ

アライちゃん1の尻尾「」ザスッ

アライちゃん2の頭「」ドズゥッ

アライさん1の親指がナイフで切断され、台の下へボトッと落ちた。

アライさん1「のああああああ!アライさんの指!指がああぁあぁ!」ブシュウウゥ

アライさん2の掌にはナイフが貫通している。

アライさん2「ぐぎいいいぃいっ!いだい、いだいのだああぁ!」ダラダラ

アライちゃん1の尻尾は中ほどでナイフが刺さり、地面に杭打ちされている。

アライちゃん1「ぎびいぃぃっ!びいいぃっ!」ゴロンゴロン

激痛で転げ回り、ナイフのまわりをコンパスのようにぐるぐる回る。
その度に尻尾の傷口は広がっていく。

アライちゃん2「?なんかあたまがひりひりしゅるのぁ…」ガグッビググッビグバタッタッ

アライちゃん2は何が起こったか分かっていないようだ。
その手足の激しい痙攣にさえ気付いていないようだ。

青年2「いいぞー!」ワイワイ

青年3「もっとやれー!」ヒューヒュー

青年4「アンコール!アンコール!」

観客「「アンコール!アンコール!」」

意外にウケているようだ。

ジャグラー「大丈夫!?」トテトテ

先程アライさんのタックルで台から転落したジャグラーは、体を打った痛みがひいたきたようであり、心配してアライさん親子に駆け寄る。

アライさん1「の…のだぁ…!うぅ…!」

アライさん2「アライさんの手があぁ…!」

アライちゃん1「びいいいぃっ!ぎぢぃいいいいいっ!」グルングルン

アライちゃん2「あ、あ、な、なんか、だめなのぁ、きもぢ、わるいのあ」ガグッビググッビグバタッタッ

ジャグラー「ああ、そんなに血が出て…!き、救急車を…!」

アライさん1「たあ~!」タタタッ ドカッ

ジャグラー「きゃああっ!」ドサァ

アライさん1は、心配して駆け寄ってきたジャグラーをタックルで押し倒した。

台の上に、フレンズが1人と2匹乗っている。

アライさん1「見るのだぁ!お前のナイフのせいで、アライさんとチビが怪我したのだ!アライさんが可哀想なのだぁ!」バシィ

ジャグラー「ぎゃふっ!」

マウントをとられたジャグラーは頬をひっぱたかれる。

アライさん2「そうなのだ!アライさんの手にこれが刺さったのだあぁ!すごく痛いのだ!謝るのだぁ!」ドカァ

ジャグラー「ひっ、ごっ、ごめんなさいいぃ!」

アライさん1の下敷きになっているジャグラーは、頭をアライさん2に蹴られる。

青年2「お、おい!やめろクソ害獣!」タタッ

女子高生「さすがにインスタ映えしないわ」タタッ

アライさん1「来たらこれを投げるのだぁ!」ブンブン

アライさん1は、親指が残っている方の手でナイフを振る。

アライさん2「うるさいのだ!アライさんは被害者なのだぁ!だからこの帽子の中のキラキラをよこすのだぁ!」グイッ

アライさん2はナイフが刺さってない方の手で、おひねりの貯まったシルクハットを奪う。

ジャグラー「ああっ!だめ、やめてぇ!」ジタバタ

アライさん1「すごいのだ!これだけあればきっとご馳走食べ放題なのだぁ!」ジャラジャラ

アライさん2匹は、とんとんと後ろから肩を叩かれる。

アライさん1「ん?何なのだ」クルッ

アライさん2「アライさんは今悪を成敗してるとこなのだぁ!」クルッ

プロレスラー「ウラァ!」ガシィッ

アライさん1「のぁっ!?」

アライさん2「何するのだ!離すのだぁ!」ジタバタ

先程やけに大きな存在感があった、観客の一人が、アライさん達のいる高さ1mの台へ上がってきていたのだった。

彼はプロレスラーであった。
プロレスラーはアライさん2匹の頭を両脇へ抱え込む。

プロレスラー「フンヌウウゥ!」グイインッ

アライさん1「のだあぁ!」ブンッ

アライさん2「わあぁっ!?」ブンッ

プロレスラーは、アライさん達を抱え上げ、逆さまに持ち上げる。

台の下には、アライちゃんが2匹いる。

アライちゃん1「ぎいいぃっ!ぴいいぃぃっ!しっぽいちゃいいぃっ!だれか、これとってほしいのああぁ!」ジタバタ

アライちゃん2「の、のぁ、の、のの、なのら、ら」ビグバタッタッバタバタバタッ

プロレスラー「はああぁぁっ!」バッ

プロレスラーはアライさん達の頭を脇へ抱え込んで持ち上げたまま、後ろ向きに台の下へ飛び降りる。

見事な垂直落下式ダブルブレーンバスターだ。

アライさん1の首「」メシャボギィ

アライさん2の首「」グシャボギィ

アライちゃん1のお腹「」ベチャアッブヂドボォ

アライちゃん2の下半身「」ベギャアァボギグシャ

プロレスラーの見事なブレーンバスターは、自身の背中や首を地面に打ち付けず、
落下の衝撃を100%アライさん達の頭部へ与えたようだ。

そして、その頭部がハンマーのように下のアライちゃん達を叩き潰した。

アライちゃん1「ぶぎいぃぃぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」ブシャアアビグビグ

アライちゃん1は口と肛門から大出血している。
内臓が潰れたのだろう。

アライちゃん2「ご…ぶ…」ピクピク

アライちゃん2はほぼ動かない。

プロレスラー「ふぅ。害獣は駆除した」

青年2「Yeahhhhhhhh!!」ヒューヒュー

女子高生「ジャグラーさん大丈夫?良かった、怪我はなさそう」

青年3「アンコール!アンコール!」

青年4「おひねりやるぞー!5千円だぁ!」ポイッ

この悲惨な光景を見て喜んでいる客達は何なのであろうか。
…まあお察しの通り、ショクエモンPの動画を観たり、害獣駆除チャンネルでアライデスゲームTVを観ているような…そういう方々である。

ジャグラー「あ、あ、あわわわわ…」ガクガクブルブル

プロレスラー「ジャグラーのお嬢さん、アライさんを付け上がらせちゃいけないよ。わかったかい?」

ジャグラー「ひゃ、ひゃい…」

ジャグラーは外の世界の常識をひとつ学んだようだ。



~お寺~

お坊さん「最近物騒だのう…」サッサッ

お坊さんが、お寺の床を箒で掃き掃除している。

お坊さん「街にアライさんが出没するらしいが…どこに潜んどるんじゃろ?」サッサッ

床板「」ゴトッ

お坊さん「ん?」

お寺の床板から、何かゴトっと音がする。

床板「」ゴトゴトゴト…

床板の下の音源は、どうやら移動しているようだ。

お坊さん「…なんじゃ?」サッサッ

北側の床板「」ガタッ ゴトゴト…

お坊さん「あっちからも!?」クルッ

南側の床板「」ゴトトッガタタッ

お坊さん「こっちからも!た、たくさんいる…!」

あちこちの床板「」ゴトゴトガタゴトゴトトッ

お坊さん「う、うわあああああああああああああ!!!!!!!?」

お坊さんは寺から逃げ出す。

お坊さんはお寺から外に出た。

お坊さん「このあたりの床下だったと思うが…」

お坊さん「狸でもおるんかの?」キョロキョロ

お坊さんは、お寺の床下を覗いてみた。

この昼下がり、お寺の床下には光がほとんど届かず、真っ暗である。

しかし、わずかに射し込む光によって、その下にあるものの影がたまに揺れ動くのが見える。

薄暗いお寺の床下には…

???1「のだー…のだー…」zzz

???2「すぴー…すぴー…」zzz

???3「むにゃむにゃ…あらいしゃんの…ききなのあ…zzz」スヤスヤ

???4「いもーと!おきるのあ!いっしょにあしょぶのあ!」ペチペチ

???5「むにゃ…おねーしゃ…んむにゅ…おっきすゆのあ…」ムクッ

???6「チビ達、おっぱい飲む時間なのだ」ゴロン

???7「おぱいー」チューチュー

???8「まんまー」チューチュー

???9「キュルルルルル!」カクカクヘコヘコ

???10「ああっ!のぁっ、き、きもちいいのだあぁっ!」ビクビク

???11「近くの木に果物がなってたのだ!食べるのだチビ達!」

???12「おいちーのぁ!むぐむぐ…」シャリシャリ

???13「あまあまなのあー」ムチャムチャ

???14「ん?だれかこっちみてるのだ!」


…たくさんの、たくさんの影がうごめいていた。


お坊さん「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!」

お坊さんは思わず叫んだ。
すると、床下にうごめく影たちは…
こちらの方を向いたようだ。

床下の影達の2つの目が、お坊さんがいる方向から射し込む光を反射して、一斉に光る。

???1「うるさいのだーアライさんのおねむのじゃまするななのだ!」ペタペタペタペタ

???2「だえなのあー?」ヨチヨチヨチヨチ

???3「なんなのあー、あっちいってみうのあー」ヨチヨチヨチヨチ

???4「ごはんー?」ヨチヨチヨチヨチ

???5「チビ達!ここにいるのだ、アライさんが見てくるのだ」ノソノソノソ

2つの光をもった影達は、床下を覗くお坊さんへどんどん近付いてくる。

???6「悪い奴だったらお母さんが追っ払ってやるのだ!」ドタドタドタドタ

???7「ヒトの声なのだ!アライさん達のおうちをとるつもりなのか!?」ドタドタドタドタ

???8「ひとしゃんなのだ?あしょんでしょんでー!いまそっちいくのだ!」ヨチヨチヨチヨチ

???9「いっしょにあそぶのらー!きっとたのしいのらー!いっしょにねずみかりするのらー!」ヨチヨチヨチヨチ

???10「ひとしゃんも、あらいしゃんたちといっしょにねずみつかまえてたべうのだー!」ヨチヨチヨチヨチ

???11「チビ達、奥にいるのだ!おうちの外は危険なのだ!お母さんがあいつをやっつけるのだ!」ゴソゴソゴソゴソ

???12「ついでに果物取ってくるのだ!橙色のまんまるを木から取ってくるのだ!」ノソノソノソノソノソノソ


床下の影達は、手足をせわしく動かして床下を這い、どんどん近付いてくる。

これだけの数に襲われたら、ひとたまりもない。

お坊さん「う、うわあああぁぁ!」タタッ

お坊さんはその場から逃げた。
とにかく逃げた。

柿畑を駆け抜け、竹やぶをガサガサと進む。

しかし、足腰が弱り始める歳。
すぐにバテた。

お坊さんは、竹によりかかりながら、一息ついた。

お坊さん「はぁ…はぁ…」ゼェゼェ

お坊さん「しまった…何も持たずに来てしまった…」

お坊さん「こういうときは…交番に行くべきか…」

お坊さん「…しかし、今寺はどうなっとるんじゃ?見てくるかの」クルッ

お坊さんは後ろを振り向く。



アライちゃん1「おにごっこなのだー!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん2「ひとしゃん、いっしょにあそぶのだー!かりごっこなのだー!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん3「わはー!たのちーのあぁ!」ヨチヨチヨチヨチ

アライしゃん1「おそいのだ!つかまえるのだー!ふはははー!」タッタッタッタッ

アライさん1「せっかくだしアライさんんも遊ぶのだぁ!人間、アライさんを楽しませるのだぁ!」ドタドタ


お坊さん「ぎゃあああああああ追って来てるううぅううぅぅうゥゥ!!!!」

これだけの数に襲われたら、ひとたまりもない。

お坊さん「う、うわあああぁぁ!」タタッ

お坊さんはその場から逃げた。
とにかく逃げた。

柿畑を駆け抜け、竹やぶをガサガサと進む。

しかし、足腰が弱り始める歳。
すぐにバテた。

お坊さんは、竹によりかかりながら、一息ついた。

お坊さん「はぁ…はぁ…」ゼェゼェ

お坊さん「しまった…何も持たずに来てしまった…」

お坊さん「こういうときは…交番に行くべきか…」

お坊さん「…しかし、今寺はどうなっとるんじゃ?見てくるかの」クルッ

お坊さんは後ろを振り向く。



アライちゃん1「おにごっこなのだー!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん2「ひとしゃん、いっしょにあそぶのだー!かりごっこなのだー!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん3「わはー!たのちーのあぁ!」ヨチヨチヨチヨチ

アライしゃん1「おそいのだ!つかまえるのだー!ふはははー!」タッタッタッタッ

アライさん1「せっかくだしアライさんんも遊ぶのだぁ!人間、アライさんを楽しませるのだぁ!」ドタドタ


お坊さん「ぎゃあああああああ追って来てるううぅううぅぅうゥゥ!!!!」

お坊さん「そ、そうじゃ。わしの柿を勝手に取ったのはお前らか!?」タッタッ

お坊さんは最近、勝手に柿がもぎとられている被害に困っているようだ。

アライさん1「柿?橙の果物か?アライさんを泥棒呼ばわりするなんて失礼なのだ!あれは元々アライさんが最初に見つけたのだぁ!」ドタドタ

アライしゃん1「だいだいのくだもの、おいしいのだ!ふはははー!」タタタッ

アライちゃん1「はぁはぁ、つかれたのだ、ちょっとまつのだぁ」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん2「かきどろぼーなのか!?ならつかまえるのだー!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん3「やっつけうのあー!」ヨチヨチヨチヨチ

お坊さん「ひ、ひいぃぃ!ぜはっ、もうだめじゃ、走れん!」ヨタヨタ…

お坊さん「そ、そうじゃ。ゼェ、ハァ、お前ら、少しここで待っておれ。柿より美味いもん持ってきてやるからの」ハァハァ

アライさん1「なんなのだ?」

お坊さん「いい子にして待っておったら、持ってきてやるからの。そこで待っておれ」ハァハァ

アライしゃん1「わかったのだ!ふははー、やっとたちばをわきまえたのだ!」

アライちゃん1「ひー…はー…ようやくおいついた、のだ…」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん2「おいしいのたべるのだー!」ピョンピョン

アライちゃん3「たべうのあー!」



お坊さん「持ってきたぞ、ほれ」ドッサリ

お坊さんは、団子をたくさん持ってきた。

アライさん1「おぉー!甘い匂いがするのだ!」

アライしゃん1「いただきますなのだー!」モグモグ

アライちゃん1「おいしいのだーー!」モグモグ

アライちゃん2「んまいのあー!」モッチャモッチャ

アライちゃん3「とってもあまいのだー!」モグモグ

お坊さん「変な味はせんか?」

アライさん1「しないのだ!とっても甘いのだぁ!」モグモグ

お坊さん「そうか、よかった」

アライさん達は、とても甘い団子を食べた。

アライちゃん1「ぷはー、おなかいっぱいなのだ!」ケフ

アライしゃん1「ひとにもいいとこあるのだー」

アライさん1「ヒトは前にアライさん達に悪いこといっぱいしたのだ、だから謝って贈り物するのは当然なのだ!」

アライちゃん2「んまかったのあー」

アライちゃん3「またたべたいのだ!」

お坊さん「それじゃあ、このお団子、お家に持ってかえって、みんなに1個ずつ分けてやりなさいな。そうすればみんなに尊敬されて、きっとボスになれるじゃろう」

アライさん1「ボス!?なりたいのだ!」ガシッ

アライしゃん1「これから、あらいしゃんたちがむれのぼすなのだー♪」タター

アライちゃん1「なのだー!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん2「あまあまなのあー」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃん3「みんなでたべるのだー!」ヨチヨチヨチヨチ



お坊さんは、お寺に帰ってきた。
アライさん達は、数時間前に床下へ潜っていった。

床板「」ゴソゴソ

床板からは、床下に潜む影がうごめく物音が聞こえる。

お坊さん「…ふぅ。茶でも飲むかの」

お坊さんは、ずずっとお茶を飲む。

床板「」ゴトゴトゴトゴトゴトゴト!!!!!

床板「」ドタドタバタタタッタタタタッタタタッタ!!!

床板「」ドタバタドタドタタタタタタバタタ!!!!!

突然、床下に潜む影の物音が激しくなった。

~床下~

アライさん1「おえええええっ!げえええええええっ!」ゲボゲボ

アライさん2「のあああああ!ぎもぢわるいのだああああああ!」ブリブリブリブリブリブリ

アライちゃん1「の…のだ…」ビググッビグバタッタッ

アライちゃん2「ごぶ…ぇ…」ブクブクバタバタバタッ

アライちゃん3「お…なが…いぢゃい…」ブリブリ

アライしゃん1「ぎびいいぃぃーーーっ!くるじいぃのああぁあ!」ゲボゲボ

アライさん3「」ビクッビクッ

アライちゃん4「」ブクブクブクブク

アライグマ♂「キュ…ルルルルル…」ブリブリゲボゲボ


床下に蠢いていた影の正体は、ほぼ全てがアライさんであった。
一匹だけ雄のアライグマがいた。

アライさん達は、嘔吐し、下痢に襲われ、苦しんでいる。

いったい害獣たちは、どうしたのだろうか?

アライちゃん5「あ…あまい…おだんご…だめ…なのぁ…」ピクピク

アライちゃん6「なん…れ…」ガクッ



成体のアライさん達はいくらかまだもがき苦しんでいるようだが、
アライちゃん達はやがてピクリとも動かなくなった。


お坊さんが用意した甘~いお団子には、変な味はしなかったはずである。

果たして、お坊さんは何をしたのか…

お坊さん「はぁー、茶がうまい」ズズーッ

お坊さん「たまには甘い団子もいいのう」モグモグ

お坊さん「じゃが…甘すぎるのは、それはそれで体に毒だがの…」ズズーッ

お坊さん「例えば…エチレングリコールほどの甘さは…」ズズーッ


お坊さんはいったん逃げ出した後、和菓子屋で甘い団子を買った。

そしてある甘い液体を、団子へたっぷりと混入させたのである。

それは車の不凍結。
強烈な甘さをもつエチレングリコールは、アライちゃん達へ腎不全を発症させた。
アライちゃん達の小さな体には致死量であり、下痢と嘔吐を繰り返しながら地獄の苦しみの中で死んでいったのである。

~床下~

アライさん1「の…あぁ…ぐるじい…のだ…」ブリリリリリリ

アライさん2「ちび…ちび…どこに…いるのだぁぁ…」ブリュブリュ

アライさん3「おげえええええっ!」ゲボゲボ


成体のアライさん達の体格であれば、不凍液の致死量は100ml。
団子に含ませた量では死には至らない。

だが…

…翌日…

アライちゃん1の死骸「」ブーン

アライちゃん2の死骸「」プゥーンプゥーン

下痢便「」プゥーン

ゲロ「」カサカサ

アライさん1「うぅ…きもぢわりゅいのだ…それに物凄く臭いのだ…」

アライさん2「こんなとこにいられないのだ…さよならなのだチビ達…」

アライさん3「どうしてこんなことに…」

アライさん1「そ、そうだ…アライさんが新しいボスなのだ!アライさんに従うのだ…」

アライさん2「…」ジトー

アライさん3「…」ジトー

アライさん1「…な、何なのだ」

アライさん2「どう考えてもお前が持ってきた団子のせいなのだぁ!」ドガッ

アライさん1「のだぁっ!」ベチャアッ

タックルされたアライさん1は下痢便へ顔面から突っ込む。

アライさん3「お前があんなもの!持ってこなかったら!アライさん達はこんな目に合わなかったのだぁ!」ガッガッ

アライさん1「くっ…」ガシッ

アライちゃん1の死骸「」プゥーン

アライさん1は、死後硬直した娘の死骸を掴む。

アライさん3「お前が悪いのだぁ!」ガスッガスッ

アライさん1「あ、アライさんは悪くないのだ!悪い食べ物を持ってきた人間が悪いのだぁ!」ガンッ ガンッ

アライさん1は、娘の死骸で攻撃をガードする。

アライさん2「よくもアライさんの可愛いチビと旦那さんを!」ガシィッ

アライさん1「ぐえぇっ!」

アライさん2は、背後からアライさん1の首を絞める。

アライさん2「お前も!殺してやるのだあああああっ!」ギュウウウウウゥウウ

アライさん1「ぐる…じ…や…やべ…で…!あらい…ざんは…」

アライさん3「くたばるのだあぁ!」ゲシゲシ

アライさん1「おまえたちを…よろごばぜようど…じだだげ…なのだ…わるぐ…ないのだ…だじゅげ…で…」ビクッビクッ

アライさん2「のだああああ!」ギュウウウウウゥウウ

アライさん1「」ブクブク

アライさん2「のだああああ!」ギュウウウウウゥウウ

アライさん1「」ガクッ

アライさん1「」ジョロロロ…

アライさん1はその後起きることは無かった。

アライさん2「もうここはだめなのだ…くさくて住めないのだ…」ノソノソ

アライさん3「どこか他の所へ行くのだ…」ノソノソ

アライさん2&3は、ゲロと下痢便にまみれながら、床下を這って進む。

そして床下から這い出た。

アライさん2「…」

アライさん3「さよならなのだ、ちび達」スタスタ…

生き残ったアライさん達は汚物まみれで悪臭を放ちながら、お寺を去っていった。



~ゴミ捨て場~

アライさん2「久し振りに、まともなご飯を探すのだ」ゴソゴソ

アライさん3「今日は食べ物の袋詰めがここに置かれる日なのだ」ゴソゴソ

アライさん達はゴミ袋を漁り、生ゴミを出している。

アライさん2「美味しそうなのだ!きっとちび達が喜ぶのだ!」ゴソゴソ

アライさん3「もうちび達はいないのだ」ゴソゴソ

アライさん2「…そうだったのだ…」

2匹の害獣は悲しみに暮れる。

アライさん2「ん?何なのだこれ?」

アライさん2は、ゴミ捨て場になにか筒のようなものがたくさん並んでいるのを見つける。

アライさん3「中からいい匂いがするのだぁ!」クンクン

アライさん3は筒の中を嗅ぐ。

アライさん2「きっとお宝なのだ!」ズボォ

アライさん3「取り出すのだぁ!」ズボォ

アライさん達は、筒へ手を突っ込む。

アライさん2「…」

アライさん3「…」


アライさん2&3「「…痛いのだああぁ!手が抜けないのだあぁ!」」ジタバタ

どうやら抜けなくなったらしい。

????1「シャーッシャッシャッシャッシャッシャッ」ザッザッ

????2「…」スタスタ

アライさん2&3「「!?だ、誰なのだ!?」」

アライさん達に、怪しい2人組が近寄ってくる。

シャークP「シャーッシャッシャ、俺様のシャーク・テリトリーに、2匹も獲物が…うっわ、臭っ!めっちゃ臭ッ!」ザッザッ

カメラマン「うわ…めちゃキツイっすね。これ料理できるんすか?」ザッザッ

シャークP「失せたわ~、食欲失せたわ~。でもまあ捕まえた以上狩らなきゃな。一応動画は撮っといて。後でアテレコするわ」ザッザッ

カメラマン「OK」ザッザッ

アライさん2「な…」

アライさん3「何なのだ?助けにきたのか?」

シャークP「シャーッシャッシャ、害獣どもよ、俺様の新兵器を見るがいい~」ガチャガチャ

シャークPは、ギターケースを開ける。

シャークP「これだああァァ!まずは有刺鉄線バット!」スチャ

シャークPがギターケースから取り出したのは、有刺鉄線が巻かれたバット。

アライさん2「!ぶ、武器なのだ!逃げるのだああぁ!」グイグイ

アライさん3「抜けない!抜けないのだああぁ!」ジタバタ

シャークP「そしてこれにオイルを垂らして…着火!」ボウッ

有刺鉄線バットは、めらめらと炎に包まれる。

シャークP「シャーッシャッシャ!見るがいい!これぞ新兵器!」

シャークPは、燃え盛る有刺鉄線バットを上向きに立てて掲げる。

シャークP「その名も!バーニング・ハンマーへッ…熱ッ!」

有刺鉄線バットから、火のついたオイルが垂れてくる。

シャークP「うわ熱ッ!手!手が燃えるッ!あっつッ!」バタバタ

シャークPは手をタオルで包み、火を消す。

アライさん2「あはは、何やってるのだ!バカなのだ!」アハハ

アライさん3「人間にこんなバカな奴がいたのか!面白いのだ!」ゲラゲラ

シャークP「」カチン

シャークP「シャークッ!」ドゴォ

アライさん2「のぎゃっ!?」ドサァ

シャークPは燃え盛るバットでアライさん2を殴り倒す。

シャークP「シャークッ!シャーク!シャーク!…ハァ、ハァッ、シャーク!シャーク!」ガスッ ガスッ

アライさん2「のぎゃああああっ!」

アライさん3「ぐぎゃあああああっ!」

アライさん達は、何度も何度もバットで叩きのめされていく…。



害獣を追っ払ったお坊さんは、障子戸を開けると、廊下の床に腰掛け、地面へ足を伸ばす。

お坊さん「ふぅ~、こうやって外を眺めながら飲む、お茶は…」ゴクゴク

お坊さん「…」

お坊さん「…くっさッ!」ブホオォッ

お坊さん「ゲッホオェッ!ウ~オォェエッ!くっさ!無理じゃ!ウプッ…!」


その後、保険所職員に床下を清掃してもらった。

毒餌は虫やアライさん以外にやったら法律違反ですよ、とたしなめられたそうな。

床下清掃中…

保険所職員1「フゥー、アライさんの死骸清掃はいつもキツいっすね」ゴシゴシ

保険所職員2「だってぱっと見人間とそんな変わんないし…精神すり減るわ」ゴシゴシ

保険所職員3「あれ?そういやいつも、こういう大変な掃除するときは、派遣の清掃員が来なかったっけ?あの帽子とコートつけた、めっちゃ掃除上手い人」ゴシゴシ

保険所職員2「あー、いたね。人の5倍くらい清掃ペースが早い人。凄いよな、憧れるわ。…今日は手伝いに来てくんないのかな?」ゴシゴシ

保険所職員1「あいつはもう来ないよ」ゴシゴシ

保険所職員2「なんで?」ゴシゴシ

保険所職員1「あいつ…フレンズで。アライグマのフレンズだから」ゴシゴシ

保険所職員2「うえっ、マジボケかよ!?俺ら今までゴミパンダと一緒に掃除やってたのか!?最悪だわ…」ゴシゴシ

保険所職員3「戸籍持ちのアライさんって、知能犯のテロリストになるんだろ?もし呼んでたら、今頃俺達も毒団子食わされてたかもな…」ゴシゴシ

保険所職員2「ヒェ~ッ!やべえよやべえよ…!」ゴシゴシ

保険所職員1「安心しろよ、もう呼ばないことにしたから、安全だよ」ゴシゴシ

保険所職員2「ならよかった~」ゴシゴシ

つづく

作者がヘッズだから何も問題はない。いいね?

~ブラウンP宅 キッチン~

ブラウンP「ふんふん、カメラセット完了」カチャッ

アライちゃん「さっそくはじめゆのらぁ!」ヨチヨチヨチヨチ

ブラウンPは、キッチンへ設置されたカメラの録画ボタンを押す。

洗ったばかりのフライパンの上には、アライちゃんが1匹乗っている。


ブラウンP「さあ、みんなに挨拶しようね」

アライちゃん「みなしゃん、こんにちわなのあ!あらいしゃんくっきんぐ、はじめゆのらぁ!」

アライちゃんは、カメラに向かって話しかけている。

ブラウンP「今回は、生放送でお届けするよ。ライブ映像だね」

アライちゃん「らいぶきっちんなのやらぁ!」ワイワイ

ブラウンP「料理を始める前に。アライちゃんがここに来たいきさつを教えてあげられるかな?」

アライちゃん「わかったのだ!あらいしゃんはここにくゆまえ、もりにすんでたのら。でも、あらいしゃんのおかーしゃんがかえってこなくなっちゃったのだ…」

アライちゃん「あらいしゃん、おなかぺこぺこだったのや。それで、もりに、おいしそうなにおいのつつがあったのら。あらいしゃんは、おててをつっこんだのだ」

アライちゃん「そしたら、おててがはしゃまって、ぬけなくなっちゃったのあ!ぶらうんおねーしゃんがたしゅけてくりぇなかったや、あらいしゃんはうえじにしてたのら!」

アライちゃん「ぶらうんおねーしゃんは、あらいしゃんのいのちのおんじんなのだ!きょうはおいしいごはんつくって、おんがえしすゆのら!」キャッキャッ

何ということであろうか。
アライちゃんの口から、「恩返し」などという言葉が出てきた。

ブラウンP「それじゃあ、お着替えしようか」スッ

ブラウンPは、小さなピンクの布を2枚取り出す。

アライちゃん「わかったのだぁ!」ヌギヌギ

アライちゃんはカメラの前で服を脱ぎ、全裸になった。
断っておくが、この映像はネットで生放送されている。
人間の少女が裸体を晒せば即アカウントBANされるであろう。

アライちゃん「ぶらうんおねーしゃん、きさせてなのらぁ!」バンザイ

ブラウンP「はいはい」シュルシュル

ブラウンPは、全裸のアライちゃんの胸と腰に、2つのピンクの布を巻く。

アライちゃん「おきがえ、できたのだぁ!さっそく、おりょーりつくゆのあ!」

ブラウンP「今日のお品書きは?」

アライちゃん「きょうは、ありゃいちゃんぷるー、つくゆのだ!」

ブラウンPは、フライパンの上に材料を置いていく。
皮を剥いたタマネギ。
豆腐。
綿抜き済みのゴーヤ。
そして、卵。

…一般的なゴーヤチャンプルーの材料だが、
肉は入っていないようだ。

ブラウンPは、ミニナイフをアライちゃんに渡す。
ミニナイフは少しくすんでおり、細かい傷がついている。

アライちゃん「これは、あらいしゃんの、おきにいいいないふなのらぁ!」

ブラウンP「お気に入りかい?」

アライちゃん「おきにいいいなのだぁ!」

ブラウンP「そのナイフはね、アライちゃんのお姉さんも、そのまたお姉さんも、ずっと、ずーっと使ってきたものなんだよ」

アライちゃん「?ありゃいしゃんのおねーしゃんは、あらいしゃんがつかまってうときにありゃいしゃんをおいてどっかいっちゃったのあ」

ブラウンP「ああ、皆さん。この子のお姉さんが見たいなら、動画リストのpart12をご覧ください」

アライちゃん「?」

アライちゃん「えーと、まずは、おやさいさんを、きうのだぁ!」ザクザク

ミニナイフは一般のナイフよりずっと小さく、アライちゃんの腕力も人間よりずっと弱い。

アライちゃん「にがうりさんきうのだ!」ザクザク

全身の力を使って、ゴーヤを一生懸命切っていく。

もちろん、そんな必死になって切るもんだから、
カットしたゴーヤの形はとても雑で粗い。

アライちゃん「ぜぇ、はぁ、できたのあ」ゼェハァ

アライちゃんは汗だくである。

アライちゃん「はぁはぁ…おちゅぎは、おとーふさんをきうのだ!」トントン

豆腐は簡単に切れるのだが、なにぶんミニナイフの刃渡りが短い。
結局、豆腐もかなり不揃いで雑に切られた。

アライちゃん「はぁ、はぁ…つぎは、たまねぎさんなのあ…」

アライちゃん「うぅ…ありゃいしゃん、たまねぎきうのやなのあ…」

アライちゃん「おねーしゃん、たまねぎなしじゃだめなのか?」

ブラウンP「どうして私に聞くんだい?君が私に料理を作ってくれるって言ったんだよね。…その料理は、タマネギ無しじゃあ美味しくないよ」

アライちゃん「うぅ!でもあらいしゃん、たまねぎきるのやなのあー!」ジタバタ

ブラウンP「…期待外れだったみたいだね。君にとっての恩返しが、そんな程度でしかないって事がよく分かったよ」クルッ

アライちゃん「う…!」

ブラウンP「…その料理は、君が勝手に食べたら?私はもう、君に期待しないから」

アライちゃん「ぴいぃぃっ!?わ、わかったのだぁ!ありゃいしゃん、がんばってたまねぎきうのらぁ!」ブルブル

アライちゃんは、恐怖に怯えた表情をしている。

アライちゃんのライブキッチンでは、一般的には(既にライブキッチンの時点で一般的ではないが)アライちゃんが恐怖の表情を見せるのは、
暴力を浴びせられることに対して恐れるときのみである。

しかし、このアライちゃんが見せる恐怖の顔は、そういった類ではない。

アライちゃん「だからありゃいしゃんをきらいにならないでほしいのだああっ!」ブルブル

自分を愛してくれる者、自分の成長を見守ってくれる者に…
嫌われ、見捨てられることを恐れている顔である。

特定有害駆除対象フレンズのアライちゃんがこんな表情を見せるのは、きっと世界中どこを探しても、
ブラウンPの前以外にはあり得ないだろう。

ブラウンP「…よしよし、いい子だ。やっぱり君は、ちゃんとできる子だね。偉いよ」ナデナデ

アライちゃん「え、えへへ…」

アライちゃんは優しく撫でられて、安堵の笑みを浮かべている。

一体どうしてブラウンPは、害獣として忌み嫌われる存在のアライちゃんに、こんなに慈愛をもって接することができるのだろうか?

アラ信だからであろうか?
…違う。
アラ信は、アラジビシェフになどなったりしない。

それとも演技がうまいのだろうか?
…それも違う。
そもそも本当に嫌っているのなら、こんな演技自体が不要であろう。


…理由は単純だ。
彼女、ブラウンPは…


アライさんのことを、害獣だと思っていない。



それどころか嫌ってすらいない。

その天真爛漫な振る舞いを愛おしくさえ思っているのである。

ブラウンPにとってアライさんは、人間やフレンズと同じく、生命を全うせんとする尊い生命体一種にすぎないのだ。

だから「害獣」という呼称も、アライキング・ボスのような人格破綻者へ個人的な侮蔑としては言うことがあるが、
アライさんという種族全体に対して見下したり、侮蔑の感情を持ってはいないのである。


嫌悪しておらず愛おしく思っている相手に対してならば、
慈愛をもって接することができるのは当然であろう。

そして、その心理こそが、
ブラウンPがアラジビシェフ達に「なんか違う」と思われる特異性の原因であり、
世界中で信者とすらいえる熱狂的なファンを獲得している原因でもある。



…この際、回りくどい言い方はやめよう。

ブラウンPは、アライさん達を、特定有害駆除対象フレンズとしてではなく…

フレンズとして。

一個人として。

自らの人生を生きる、一人のヒトとして見ているのである。

アライちゃん「うぅ…がんばって…たまねぎ…きうのだ…」ザクザク

アライちゃん「っ…!」ザクザク

アライちゃん「ぴいいぃぃっ!おめめぢゃいのりゃあああっ!ぐすっ、なみだとまらないのだああ!」ビエエエエン

ブラウンP「頑張るんだ!私は君がさっき言ってくれたことを信じているよ。恩返しに、美味しい料理をご馳走してくれるってね」

アライちゃん「うぅ…!ありゃいしゃん、ぐすっ、ぶらうんおねーしゃんのためにがんばうのらぁ!」ザクザク

タマネギは乱雑に切られていく、
パソコン画面に映っている生放送映像のコメント欄には、
「なんか可愛く見えてきた」
「がんばれ」
「これがあの害獣になるのはやだな…」
「さっさと殺せ」
などのコメントが書き込まれている。

火のついていないガスコンロに乗ったフライパンの上で、
アライちゃんはタマネギを切る。

涙が止まらないため、目をつぶりながら、しっちゃかめっちゃかにミニナイフを振っていた。

しかし、その途中で。

アライちゃんの手に、刃が食い込んだ。

アライちゃん「ぎぴいいいっっ!いぢゃいのりゃああっ!」ゴロンゴロン

アライちゃん「びええええんっ!おててきったのだあぁっ!」ビエエエン

ブラウンP「ふふ…」

ブラウンPは痛みでわんわんと泣くアライちゃんの顔を見つめていた。
その口元は歪んでおり、愉悦を感じていることを隠し切れていない。

ブラウンP「大丈夫かい?ほら、手当てしてあげるね」シュルシュル

ブラウンPは心をこめて丁寧に、アライちゃんの手へ粘着テープを巻く。

アライちゃん「えへへ、ありがとーなのらぁ」

冷静に考えれば傷口に粘着テープを巻くなど正気の沙汰ではない。
しかし料理に無駄な血が混ざらなければいいという判断なのであろう。

アライちゃん「おやしゃい、きりおわったのらぁ!」

ゴーヤ、タマネギ、豆腐が切れた。
不揃いでぐちゃぐちゃである。

アライちゃん「つぎは、たまごをわゆのらぁ!」

アライちゃんは、卵を触る。

アライちゃんの身長は、尻尾を含めなければ20センチ程。
つまり人間の1/8である。

卵の大きさは、相対的には人から見たときの8倍の大きさに見えるだろう。

しかもアライちゃんはまだ二本足で立てず、四本足で歩いている段階だ。

目の前の大きな物体を、どうやって割るのだろうか?

アライちゃん「うぬぬ~、たあ~!」ガスガス

アライちゃんは、ミニナイフで殻を打った。
卵の殻は次第に割れ、破片が散らばっていく。
そして。

卵の殻「」パッカーン

アライちゃん「ふはははー!われたのだ!」

卵の中身「」デロデロオォ

アライちゃん「のああっ!」ベチャアッ

卵の白身がこぼれ、アライちゃんにひっついた。

アライちゃん「われたのだ!このたまごをいまからぐちゃぐちゃに…」

アライちゃんは、白身と黄身を混ぜようとする。

ブラウンP「アライちゃん。殻、殻」

アライちゃん「あっ…殻を、ぽいすうのあ!」ポイッ

アライちゃんは、卵の殻をフライパンの外の皿へ捨てる。

アライちゃん「それじゃあ、おたまごをぐちゃぐちゃに…」

アライちゃんは、再び白身と黄身を混ぜようとする。

ブラウンP「アライちゃん。殻の破片、殻の破片」チョイチョイ

乱雑に卵を割ったため、白身の中やフライパンのあちこちに、殻の破片が飛び散っている。

アライちゃん「あっ…うぅ~、いっぱいあってめんどくさいのあ~!」ポイポイ

アライちゃんは、卵の殻を捨て終わった。

アライちゃん「こんどこそ、おたまごをぐちゃぐちゃにすゆのあ!」バッ

アライちゃんは卵の白身と黄身の上にダイブする。

アライちゃん「あはははは!たのちlのあ!」ベチャベチャ

アライちゃんは全身を使って卵をかき混ぜている。
当然、アライちゃんの体も卵まみれになった。

アライちゃん「できたのだ!あとはこれをまじぇまじぇして、しおこしょーふっていためえば、ありゃちゃんぷるーのかんしぇいなのらぁ!」キャッキャッ

アライちゃんは楽しそうだ。

ブラウンP「そうだね」パッパッ

ブラウンPは、フライパンの上の材料へ塩コショウを振りかける。

アライちゃん「ぷしっ!へぷしっ!おねーしゃん、まだあらいしゃんがいうのら!ざいりょーだけにかけなきゃだめなのあ!」プンプン

ブラウンP「そうだね」

アライちゃん「…ありゃいしゃんがじゃまで、へぷちっ、かけられなかったのあ?じゃあ、ありゃいさんどくのあ」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃんは、フライパンから降りようとする。

ブラウンP「いや、まだそのままでいいよ」カチッ シュボッ

アライちゃん「そうなのか?もうざいりょーできたのら」

ブラウンP「まだ肉が仕込みできてないね」

アライちゃん「おにく?そういえばおにくがないのら、おねーしゃんものわすれなのだー!」

ブラウンP「…」

ブラウンP「これからするんだよ」カチッ

ガスコンロ「」バチチチチチチチッボウッ

おお、何ということだろうか。
今ブラウンPは、アライちゃんがフライパン越しに乗るガスコンロへ、強火で着火した。

アライちゃん「そうなのか?それじゃあ、きるおにくだしゅのら!おにく、たべやすくきってあげうのら!」

ブラウンP「いや…もう準備済みだよ」

アライちゃん「?何いってうのだ?どこにもおにくないのら」ガサゴソ

アライちゃんはフライパンの上を見回す。

アライちゃん「…?なんかあったかくなってきたのら…」

一旦ここまで

寝落ち爆睡してました
おかげで目パッチリです

アライちゃん「くんくん…!?お、おねーしゃ、もう、ひ、つけてるのか!?」

ブラウンP「うん、点いているよ」

アライちゃん「まだはやいのだ!あらいしゃん、おりうのだー」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃんは急いでフライパンから脱出しようとする。

ブラウンP「…」ガシッ

アライちゃん「のだっ!?」

しかし、ブラウンPは菜箸でアライちゃんの頭を掴み…

ブラウンP「よいしょ」ポイッ

アライちゃん「のあぁっ!?」ペターン

フライパンの中央へ放り投げた。

アライちゃん「ぶ、ぶらうんおねーしゃん!?な、なんでじゃますゆのだ!?あ、あらいしゃん、はやくおりなきゃやけどしちゃうのだ!」アセアセ

アライちゃん「のだー!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃんは、再びよちよちとフライパン外へ逃れようとするが…

ブラウンP「てい」ベチン

アライちゃん「ぴぃっ!」ペターン

再び、菜箸でアライちゃんをフライパン中央へ放り投げる。

アライちゃん「な、なにすゆのだ!?あ、あちゅくなってきたのあ!おねーしゃん、じゃましないでなのだ!」ヨチヨチヨチヨチ

ブラウンP「…」ベシッ

アライちゃん「ぴぃっ!」ペターン

ブラウンPはサラダ油を垂らして、フライパンの上の材料をかきまぜる。

アライちゃんも同時に端でつっつき、材料とともにかき混ぜている。

アライちゃん「あぢゅいいいいいいっ!」ジュウウウゥウウ

いよいよフライパンの上のサラダ油がジュージューと音をたて始めた。

アライちゃん「あぢゅいのだあああっ!ひっ、だ、だしてなのらあっ!」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチ

アライちゃんは猛ダッシュでフライパンの外へ逃れようとするが。

ブラウンP「よいしょ」ガシッ

ブラウンPはなんと、アライちゃんの首を菜箸で掴み、フライパンへ押し付けた。

アライちゃん「びぎゃああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっっ!!!!!」ジュウウウゥウウ

必死にもがき、暴れ、ふわふわの尻尾をブンブンと振り、脱出しようとするアライちゃん。
だがブラウンPの菜箸の力は緩まず、なおもアライちゃんはフライパンに焼かれる。

ブラウンP「背中の方も焼かないとね」クルッ グイイイイッ

ブラウンPはアライちゃんを仰向けにひっくり返し、背中をフライパンへ押し付けた。

アライちゃん「ぐぎいいいいいいぃぃぃぃぃいぃぃゃああああああああああああ!!!!!!」ジュワアアアアアア

アライちゃん「なんでじゃまあうゆのああああああ!いじめうのあああああ!おねーじゃんはあらいしゃんにやしゃしくしでぐれだのりゃあああ!」ジュワアアアアアア

アライちゃん「ありゃいしゃんわるいこどじだならあやまうのあああ!ごべんなじゃいいい!だじゅげでええ!ゆるじでええええ!」ジュワアアアアアア

この悲惨な光景はネットで生放送されている。
コメント欄は阿鼻叫喚だ。
「Yeahhhhhhhh!」「きたあああ」等の興奮した雄叫びのようなコメント。
「熱そうだ」という冷静なコメント。
「やめたげてえええ」というアライちゃんに同情した者のコメント。
他にも、ブラウンPを称賛するコメント、ブラウンPへの殺害予告に該当するコメント等がたくさん書き込まれている。


ブラウンP「ちょっとインターバルしようか」ヒョイッ

ブラウンPはアライちゃんの尻尾を菜箸で掴んで持ち上げた。
アライちゃんは宙吊りとなる。

アライちゃん「はぁーっ、はぁーっ!あぢゅいよおおおおっ!からだじゅうあぢゅいのだああああっ…!」ビエエエエエン

アライちゃんは大泣きしている。
身体中に負った重度の火傷の痛みによるものだけではない。

自分の母親や姉妹よりも大好きな、ブラウンPに傷つけられたこと。
恩返ししてブラウンPに喜んでもらいたかったのに、その気持ちを踏みにじられ、
死ぬほどの痛みを伴う虐待を浴びせられていること。

心の痛みが、アライちゃんを傷付けていた。

アライちゃん「ごべんなざいごべんなざいごべんなざいごめんなしゃいいっ!わるいごどじだらあやまりゅのだああっ!いいごにずるのらああっ!だがらもういじめないでありゃいしゃんをぎらいにならないでええええっ!」ビエエエエエン

何ということであろうか。
このアライちゃんは、これだけの虐待を受けてもなお、
ブラウンPへ罵声を浴びせず、むしろ謝罪の言葉を投げ掛けている。

これだけの思いやりをもったアライちゃんなら、大きく成長することができればきっと、人々とうまくやっていける社会性を持てるだろう。

…大きく成長することができればの話だが。

ブラウンP「…アライちゃんがここへ来たときのことを、もう一度思い出してごらん?」

アライちゃん「のあっ…!?」ゼェハァ

アライちゃんは、菜箸で尻尾を持ち上げられ、宙吊りになったままブラウンPの言葉を聞いている。

ブラウンP「母親が帰ってこなくなって。食べ物が見つからなくなって。罠にかかったんだったね」

アライちゃん「そ、そうなのだぁ…!ひぐっ…ぐすっ…おねーしゃんは、ありゃいしゃんのいのちのおんじんなのだぁ…!」グスングスン

ブラウンP「あの罠はね、私が仕掛けたんだ」

アライちゃん「のあっ!?」

ブラウンP「どこで引っ掛かるかわからなかったからね。そこらじゅうに罠を仕掛けさせて貰った。今頃、君の姉妹がどこかの罠にひっかかって、飢えているかもしれないねぇ」

アライちゃん「な…なん…で…!」

ブラウンP「それだけじゃない。あの周辺の食べ物を無くしたのも、私だ」

アライちゃん「のああっ!?」

ブラウンP「母親のいない君たちがとれるのは、せいぜい木の実かのろまな虫くらいだろう?虫はともかくとして…」

ブラウンP「あの辺りの木の実は、全部…。全部、私が収穫した」

アライちゃん「のあぁっ…!?」

ブラウンP「食用じゃない木の実はしぶくて、なかなか食べづらかったね」

アライちゃん「ひ、ひっ…!あ、あのへん、きのみが、ぜんぜんなくって…!いもーとが、やせて、うごかなくなって…!」ブルブル

ブラウンP「成る程、妹ちゃんは餓死したのかな?」

アライちゃん「そ、そう、なのだ…!」

ブラウンP「それじゃあつまり、君の妹を殺したのは私っていうことになるな」

アライちゃん「ち…ちがうのだ…なにかのまちがいなのら…」ブルブル

アライちゃん「やさしいぶらうんおねーしゃんが、そんなことするはずないのだ…」

アライちゃん「あのつつも、きっといのししをやっつけうためのものなのだぁ…!ありゃいしゃんをいじめることなんて、ぶらうんおねーしゃんはしないのだぁ…!」ボロボロ

そう思うのも当然であろう。
アライちゃんでなくとも、我々人間であっても。
深い慈愛をもって接してくれたブラウンPが、このような虐待行為をすることなど想像できるはずもない。
ましてや、そのような心理を理解できるはずもない。

ブラウンP「まだ信じられないか…それじゃあ」ガチャッ

ブラウンPは、左手の箸でアライちゃんを掴みながら、キッチンの下から何かを取り出す。

それは鍵であった。
ブラウンPは鍵で床についた鍵穴を回すと、
床板を外し、何かを取り出す。

ブラウンP「これが何だか、分かるかな?」ゴトッ

ブラウンPはキッチンから、巨大な…自分の身長ほどはあろうかという、巨大な瓶を取り出した。

ブラウンP「全ての原因。君の母親が帰ってこなくなったのは…」

瓶の中には、オリーブオイルに浸けられた…
アライさんの死骸があった。

アライさんの首にはロープが絡まっており、舌を出して死んでいる。

アライちゃん「ぴいぃっ!?お…おか…」プルプル

アライちゃん「おかー…しゃ…んっ…!?」ブルブル

ブラウンP「私に捕まって、殺されたからさ」

アライちゃん「や…やなのだ…こんなの…やなのらぁ…!」ブルブル

ブラウンP「ふふ…いい顔だ。ネットで見ている皆も、よく見るといいよ」クルッ

ブラウンPは、アライちゃんをカメラの方へ向ける。

アライちゃん「…ぁあぁあああ~~っ…!わあぁああああーーっ…!」ビエエエエエン

ブラウンP「ようやく分かったかな?私は君たち親子を森で見つけた後、イチジクの苗を買い、庭に植えた。そして森中の木の実や食べれる野草、キノコを収穫した」

ブラウンP「そして、森のあちこちへ例の筒の罠を設置した。この時点ではまだ餌を入れていなかったから、君たちは興味すら示さなかったようだけどね」

ブラウンP「それからは、君たち親子をずっと監視し続けていたよ。食べ物を探し回り、飢えに苦しみ、ナメクジや軽度の毒をもつキノコを食べる君たちの顔をじっくり見させてもらった」

ブラウンP「そして私の庭のイチジクの苗に熟れた実がなった時、君たちの母親が私のイチジクを盗みに来た。…それが、こいつだよ」コンコン

ブラウンPは、瓶をこんこんと叩く。

ブラウンP「あとは、あらかじめ仕掛けた罠の中へ、揚げパンを入れるだけ。君は私の目論見通りに捕まったのさ」

ブラウンP「危機から助けてくれた命の恩人?違うな。そもそもそれらの危機は、すべて君たち親子を狙って私が仕組んだものなんだよ」

アライちゃん「ああ、ぁああ…うああぁあぁ…!」ポロポロ

ブラウンP「君を大事に大事に育て、惜しみ無い愛情を注ぎ込んだのは…」ツカツカ

ブラウンPは、再びアライちゃんをフライパンの上に持ってくる。

ガスコンロを止めていたため、フライパンの熱は冷めかかっている。

ブラウンP「すべては今日、この日に!君のその顔を見るためさ!」ポイッ

アライちゃん「のああっ!」コロン

アライちゃんは再びフライパンの上に落とされる。

ブラウンP「料理再開だ」カチッ

ブラウンPは、再びガスコンロに火をつけた。

アライちゃん「お…おねがいなのだ…ゆ、ゆるして…」ブルブル

ブラウンP「許す?何をだい?」

アライちゃん「ひ、ひいぃぃぃっ!だ、だずげでぇっ…!」ヨチヨチヨチヨチ

アライちゃんは、フライパンの外へ逃げようとするが…

ブラウンP「だから、無駄だって」ベシッ

アライちゃん「のああっ!」ペターン

アライちゃん「あ、ぁああ…!あぢゅ、あぢゅいのだぁ…!」

フライパンは再び熱くなってくる。

ブラウンP「そうだな…もし君が、私に媚びへつらって、可愛いところをアピールして…。私の心を動かせたら、ペットとして生かしてあげよう」

アライちゃん「…!」

ブラウンPは、再び材料をかき混ぜる。

アライちゃん「あ、あやいしゃん!ぶ、ぶらうんおねーしゃんのこと!だ、だいしゅきなのやあぁっ!」

その言葉は真実だろうか。
サラダ油はバチバチと跳ね、ジュージューと音を立てる。

アライちゃん「あ、あぢゅいいいっ!あぢゅいのだあっ!あ、ありゃいしゃん!おねーしゃんの!ぺっとにぃ!そてほしいのりゃあああっ!」

アライちゃんはチラチラとブラウンPの顔をうかがう。

しかしブラウンPは笑っているだけで、一向に助けようとはしない。

アライちゃん「あ、ぁああ、あぢゅい、もうやなのらあぁぁっ!!」ヨチヨチヨチヨチ

全身大火傷のアライちゃんは、再びフライパンの外へ出ようとする。

そこへブラウンPの箸が伸びるが…

アライちゃん「たあ~!」ガシッ

ブラウンP「おっと」

アライちゃんは、箸を掴んだ。

アライちゃん「はぁ、はぁっ、おねーしゃんっ!」ヨジヨジヨジヨジ

アライちゃんはそのまま箸をよじ上り、ブラウンPの左手へと登った。
ブラウンPは左手に熱さを感じる。

アライちゃん「え、えへへ、あ、ありゃいしゃん、お、おねーしゃんのこと、ぺろぺろすうのだら」ペロペロ

アライちゃんは、ブラウンPの左手をぺろぺろと舐める。

アライちゃん「お、おかーしゃんがいってたのだ、ぺろぺろが、だいしゅきの、あかしなのだぁっ」ペロペロ

ブラウンP「^^」

ブラウンPは左手をペロペロされて笑っている。
背中の後ろに隠した右手には、何かの道具を持っている。

※道具の参考画像↓
https://i.imgur.com/K7Y7A90.jpg

アライちゃん「ど、どうなのだ…ありゃいしゃん…かわいいのだ…?」ブルブル

小刻みに震え、涙を流しながら笑顔を浮かべるアライちゃん。
全身の大火傷の痛みをこらえ、必死でブラウンPへ媚びへつらっている。

ブラウンP「ああ…。心を動かされたよ。動かされたよ。可愛すぎて…」

アライちゃん「え、えへへ、よ、よかった、のだ、いつものやさしいぶらうんおねーしゃんに、もどったのだ…」ジュージュー

ブラウンP「食べちゃいたいくらいに、ね」ポイッ

ブラウンPはアライちゃんをフライパンの上に叩き落とす。

アライちゃん「びぎゃああああああああぢゅいいいいいいいいいいいいっ!」ジュワアアアアアア

ブラウンP「ふんっ!」ドズグゥ

そして、右手に握ったラウンドナイフで…
アライちゃんの右足首を叩き切った。

アライちゃん「ぐびゃああああああああああああっ!!」ゴロンゴロン

足首からは大量に出血し、フライパンに注がれてじゅわあと音を立て、蒸発する。
他の材料は端っこに寄せてあるため、血がかかってはいない。

ブラウンP「ふっ!」ドガン

アライちゃん「ぎびいいぃっ!」ブシュウウゥ

今度は尻尾の先端が切られた。

ブラウンP「君は本当に純粋だ」ドガン

アライちゃん「のぎゃああっ!」ブシュウウゥ

尻尾が半分まで切られた。

アライちゃん「ひいいぃっびいいいいぃぃっ」ヨチヨチヨチヨチ

ブラウンP「私が思うに野良アライさんは、害獣としてキャラ付けされてしまっている。親の教育でね」ドガン

アライちゃん「あぎいいぃぃっ!」ブシュウウゥ

右の手首が切断された。

アライちゃん「ああああ!あらいじゃんんのおででがあああああっ!」ジュワアアアアアア

右の手首から流れる出血は、フライパンに熱せられ、乾いた血痕となる。

アライちゃんは右の手首と足首を切断された激痛と、フライパンから伝わる熱さで、苦しみ悶えながら転げ回っている。

アライちゃん「だじゅげでええええ!ごんなのやなのらああああ!!」ヨチ…ヨチ…

アライちゃんは左手と左足を使い、フライパンの外へ出ようとする。
卵をかき混ぜるときに体についた卵黄と卵白は、すでに毛皮にひっついて固まっている。

アライちゃん「ひぃ、はぁ、はあぁ!」ヨジヨジ

アライちゃんは、フライパンの端っこを登っている。
すでに大火傷を追い、まともに動かなくなってきた右手と右足を必死で動かし、体を持ち上げる。

ブラウンP「虐待しやすいようにキャラ付けしたら、それはもう純粋なアライさんじゃない」

ブラウンPは皿を持つと、フライパンの下へ…
ガスコンロの上の、アライちゃんが落下するであろう地点へ置く。

アライちゃん「はぁ、はぁあぁ!あじゅいいい!」グイイイッボテッ

とうとうアライちゃんは、フライパンから脱出することに成功した。
見事、ブラウンPが置いた上に落ちるアライちゃん。

アライちゃん「や、やっと、でられだぁ…!」ゼェハァ

ブラウンP「虐待しやすく…罪悪感を感じづらくチューニングされた、別物だ。」ヒョイッ

ブラウンPは、皿ごとアライちゃんを持ち上げる。

アライちゃん「ひっ…ひいぃっ…!も、もう、やべで…!」ヨチヨチ

アライちゃんは、皿の上から逃れようとする。

ブラウンP「そんな害獣でなく。罪がなく、自分から謝ることもできる。…そんな純粋なアライさんを虐待することこそ」ヒョイッ

アライちゃん「びいいぃいっっ!はなぢでええええええっ!もうあぢゅいのやなのだあああああっ!!」ジタバタ

ブラウンPは、皿から落ちそうになったアライちゃんの首の後ろを、器用に箸で掴む。

ブラウンP「正真正銘、本当のアラ虐だと、私は思うね」グイイイッ

ブラウンPは、野菜が焦げないようにへらでかきまぜた後、それをフライパンの端っこへ寄せる。

そして、持ち上げているアライちゃんの体を少しずつフライパンのへ近づけていく。

アライちゃん「ぴいいぃいぃっやなのだああああああっ!もうやなのあああっ!やべでえええっしんじゃうのあああああっ!」ジタバタ

アライちゃんの動きはだいぶ遅く…不自然になっている。
顔は汗でまみれ、その吐息は熱い。

身体中が焼かれ、筋肉のタンパク質が変質・凝固してきている。
体温はもう生きていられる限界を超え始めており、体温調節ができなくなり始めている。

ブラウンP「なあ、君はどう思う?自分がこんな仕打ちを受けることは、然るべきだと思うかい?」グイイイイッ

アライちゃんの右足の断面が、フライパンに触れ、ジュッと音を立てた。

アライちゃん「ぎびいぃっ!わがんないのだああ!もうわがんないのだああだずげでえぇぇぇ!」ジタバタ

ブラウンP「そう…君は純粋だ。何の罪もなく、虐待される謂れもない」スッ

ブラウンPはアライちゃんを掴む箸を持ち上げる。

アライちゃん「はぁ、はぁぁ!だ、だったら、だ、だじゅげで、い、いいごに、ずるがらああぁ」ウルウルボタボタ

ブラウンP「だからこそ!!!!!」ベチーンッ

アライちゃん「のぎゃあああ!」ジュワアアアアアア

ブラウンPは、アライちゃんをフライパンの上に叩き落とす。

ブラウンP「制裁じゃなく!!!」ガズゥッ

アライちゃん「びぎゃあああっ!」ブシュウウゥ

アライちゃんの左足首を切り落とす。
これでアライちゃんの脚から、両足首がなくなった。

ブラウンP「処刑じゃなく!!!」ドズゥ

アライちゃん「ぐびぃぃいぃぃっ!」ブシュウウゥ

右膝と左膝が、同時に切断される。

ブラウンP「ホンモノの!!」ガスゥ

アライちゃん「ぐぎゃあああああっ!!」ブシュウウゥ

右の太腿が、付け根から切断された。

ブラウンP「吐き気を催す虐待がっ!!!」ザグウゥ

アライちゃん「うぐぎいいいぃぃぃつ!」ブシュウウゥ

左の太腿も、付け根から切断された。

ブラウンP「一片の正義もない虐殺がっ!!!」ドズゥ

アライちゃん「うぐぎゅううぅっ!」ブシュウウゥ

続いて、右腕が切断された。

ブラウンP「この世界で!君にだけはっ!堂々とっ!できるんだっ!」ズグシャアァ

左腕も切断された。

アライちゃん「の…のぁ…あ…ぁ…」ジュワアアアアアア

両腕、両脚を失ったアライちゃん。
もう出血と、胴体を焼かれたダメージで、這うことすらできない。

ブラウンP「最っっっ高ぉおぉおおじゃないかあああああああっ!!!!」ズグシャアァ

アライちゃん「のぎゃああああああーーーーーーーっ!!!」ブッシャアアアァァ

アライちゃんのお尻が、真ん中あたりで横に切断された。

骨盤が砕かれ、腸が飛び出る。

ブラウンP「チャンプルーは!混ぜこぜにした炒め物!うまく!混ぜられるように!細かく!刻まないとねっ!」ズドンッズドンッズドンッ

アライちゃん「び…ぁ…」ブシャグシャドシャ

アライちゃんは、お尻から、上へ、上へと。輪切りにされていく。

ブラウンP「最期だ。なにか言いたいことはあるかい?」

アライちゃん「…あ…りゃい…しゃん…どう…しゅえば…よがった…のぁ…」

ブラウンP「どうすれば良かったか?…これでいいじゃないか」スゥッ

ブラウンP「君は!私の欲求の捌け口として、生まれてきたんだからねぇっ!」ドザグウゥゥッ

アライちゃん「おごぉっ…!」

アライちゃんは、胸のあたりを輪切りにされた。

アライちゃん「」ドチャッ ジュワアアアアアア

それからはもう、一言も喋らなくなった。

そしてアライちゃんの輪切りを十分火を通して炒めた後、
他の皿へ移しておいた野菜などと混ぜてかき混ぜる。

最後に、よく焼けたアライちゃんの頭をと尻尾を、料理へつけ合わせる。

ブラウンP「さあ、みんな。出来たよ」スッ

ブラウンP「アライちゃんプルーの完成だ」コトッ

料理が完成した。
卵、ゴーヤ、玉ねぎの炒め物に、輪切りのアライちゃんの体の部位が混じっている。
そして前にはアライちゃんの頭が、後ろにはアライちゃんの尻尾が盛られており、
「まるまる一匹料理しました」というメッセージが伝わってくる。



ブラウンPは、真っ白なテーブルクロスが敷かれたテーブルの上に料理を置き、
白ワインをグラスへ注ぐ。

ブラウンPは容姿端麗な美女…いや、美少女である。
椅子に座るブラウンPのたたずまいは映画のワンシーンのように美しい。

生放送のコメント欄には、
「ふつくしい…」
「私も食べられたい」
「(結婚しよ)」
「吐き気を催す邪悪」
「Gルート突入」
などのコメントが書き込まれている。

ブラウンP「それでは、頂きます」カチャ

ブラウンPは、行儀よく料理を食べる。

ブラウンPは、スプーンで料理をすくい、口へ運ぶ。
アライちゃんの腰のあたりの輪切りが、愛情をもって育ててくれたブラウンお姉さんの口に入り、噛み砕かれていく。

ブラウンP「うん…ん。いけるね」ゴクッ

ブラウンP「軟骨もコリコリして美味しい。血抜きしてないせいか若干のくさみはあるが、ゴーヤとの組み合わせでそれもおいしく感じられる」モグモグ

そう思うのは肉食獣のフレンズだけだろ、というツッコミを入れたくなるところだが。
料理人としてそれなりの高評価を得ているブラウンPが言うのなら、信憑性はある。

ブラウンP「いい出来だ。アラジビフェスのライブキッチンで、君達にも食べさせてあげたいよ」スッ

ブラウンPは、料理が乗ったスプーンをカメラに向ける。

コメント欄は、
「prprprprprprprprprprpr」
「くいてえええええええ」
「画面が邪魔で食えない」
「僕のために毎日アラジビ料理を作ってください」
「アライちゃん可哀想…」

など、多数のコメントが書き込まれた。

ブラウンPは頭と尻尾まで平らげると、食事を終え、動画の生配信を終了した。

きっと今夜の生放送も、他の動画サイトへ転載され、百万をゆうに超える再生数を稼ぐだろう。

食器を片付け、自室のベッドに腰かけるブラウンP。

ブラウンP「ふぅ…」ギシッ

ブラウンP「…私達アラジビシェフは、特定有害駆除対象フレンズを絶滅させる使命を持っている…」

ブラウンP「…しかし、私は。アライさんというスケープゴート達を絶滅させた後…正気を保てるだろうか」

ブラウンP「周りの人達を誰も傷付けずにいることができるだろうか…」

ブラウンP「…あなたのせいだ、ショクエモンP…」ピッ

ブラウンPは、スマホでショクエモンPのライブキッチン動画を視聴する。

ブラウンP「はぁ、はぁっ…!あなたが、あんなに素敵なライブキッチンを披露して…!私が内に秘めていた、おぞましい欲求に、火を灯したから…っ!」

ブラウンPの息は荒くなり、顔は紅潮している。
瞳はじっとりと濡れ、汗が垂れる。

ブラウンP「んっ…!」

ブラウンPは、動画の視聴を終える。

ブラウンP「はぁ、はぁ…。明日は、久し振りに食獲者でアラジビ料理が振る舞われる日だな…」ハァハァ

ブラウンP「久々に、行ってみようか…。たくさんアライさん料理を食べに行こうか…」

ブラウンP「そうだ…。アライさん、と、いえば…」ゴロン

ブラウンP「…あの戦いから、御手洗さんの傷は癒えただろうか?心配だな…」

ブラウンP「肩や腰をあのクソ害獣に撃ち抜かれて…。神経に後遺症が残っていなければいいが…」

ブラウンPは、アラジビ料理から、大切な読者である友人…
御手洗こと清掃員を連想し、彼女の身を案じた。

ブラウンPは、清掃員へ電話をかけた。

清掃員『もしもし。タイリクさんなのだな…ご無沙汰なのだわ』

ブラウンP「やあ、御手洗さん。傷の調子はどうかな」

清掃員『大分良くなったのだわ。まだ痛みや痺れはあるけど…腕の神経も繋がってきて、もうすぐ完治しそうなのだわ』

ブラウンP「そうか…本当に良かった」

清掃員『あのときは、本当に助かったのだわ。タイリクさんが来てくれなかったら…アライさんか、キツネのどっちかが…きっと死んでいたのだ』

ブラウンP「君こそ、私に連絡をくれてありがとう。君を救えて良かった」

ブラウンP「そうだ、明日のお昼、久し振りに一緒に食事にいかないかい?ご馳走するよ」

清掃員『いいのか?良かったのだ、一緒に行くのだぁ!』

ブラウンP「嬉しそうだね」

清掃員『…キツネ以外の誰かと仲良くするのは、久し振りなのだから』

ブラウンP「あぁ…」

清掃員『どこのお店に行くのかな?』

ブラウンP「そうだな…」

明日の予定は変更。
清掃員を連れていける店を選ぶことにするブラウンP。

間違っても、元々明日行く予定だった店の名前は出せはしない。

ブラウンP「例の喫茶店はどうかな」

清掃員『分かったのだわ。キツネも一緒に来てもらうのだな!』



翌日の昼。

ブラウンPは、自家用車で清掃員とキツネを迎えに行った。
彼女達を乗せて、喫茶店へ向かう。

車から降り、喫茶店へ向かう3人。

そのとき、喫茶店の前を、数匹のアライさん達が横切って行った。

アライさん1「やったのだぁ!お魚ゲットなのだぁ!」ドドドドド

アライさん2「アライさんがとったのだ!アライさんのものなのだぁ!」ドドドドド

アライさん達は、大きな魚を持っている。

アライしゃん1「あらいしゃんも、おさかなはこぶおてつだいするのだ~!」ドタドタドタドタ

魚屋の店主「くぉら~ッ!てめーら!魚返せえええぇ!」ドタドタドタドタ

アライさん1「ふははははー!これはアライさんのお魚なのだ!今更返すも何もないのだ!」ドドドドド

アライさん2「これでお腹をすかせたチビ達に、たっぷり栄養あるものをあげられるのだ!」ドドドドド

どうやらアライさん達が魚泥棒をしたようだ。

ブラウンP「…君達は下がっていてくれ。目を覆っていた方がいい」ザッ

キツネ「う、うん…」ギュー

キツネは目をつぶり、耳を塞ぐ。

清掃員「…あたしも手伝うのだわ」ザッ

ブラウンP「怪我人だろう?任せてくれ」

清掃員「もう怪我は平気なのだわ。体がなまってるからストレッチがしたいのだな」

キツネ「うぅう…」

ブラウンP「無理はするなよ!」ダッ

清掃員「たあ~!」ドタドタドタドタ

ブラウンP達は、魚泥棒を追いかける。

アライさん1「な、なんか来たのだ!」ドタドタドタドタ

アライさん2「逃げるのだあぁ!」ドタドタドタドタ

アライしゃん1「ひぃ、はぁ、はやいのだあ、おいつかれるのだぁ!」ドタドタドタドタ

ブラウンP「そっちは任せた!」バッ

ブラウンPは、アライしゃん1を追い抜く。
前のアライさん2匹を追っていったのだろう。

アライしゃん1「へ?はぁ、はぁ…よかった、敵じゃなかったのだ…」ドタドタドタドタ

清掃員「…」タタタタタタ

アライしゃん1「うお?うしろからべつのあらいしゃんがきたのだ!」タタタタタタ

アライしゃん1「おまえもおさかなほしいのか?みせばんはいないからちゃんすなのだぁ!」タタタタタタ

清掃員「うぬぬ~、どこまでも腐った奴なのだわ…たあ~!ほい!」バッ

アライしゃん1「のだぁ!?」ドサッ

清掃員は、背後からアライしゃん1へタックルをかまし、魚を奪い取る。

アライしゃん1「あ!あらいしゃんのおさかな、たべるななのだぁ!」ジタバタ

清掃員「捕まえたのだ、魚泥棒め!取ったのだぁ!」

アライしゃん1「なにするのだ!あらいしゃんはそんなことしてないのだ!」

清掃員は、コートの内側から折り畳み傘を取り出す。

清掃員「たあ!」ドガァッ

清掃員は、アライしゃん1のこめかみを傘で一発打つ。

アライしゃん1「」ドサッ

アライしゃん1は即座に意識を失った。

清掃員「取り返したのだわ」スッ

魚はまだかじられた形跡はない。

清掃員「…商品は無事…なのかな?」

清掃員「それにしても…帽子とコートで耳と尻尾を隠しても、同族にはバレるのだな…」

ブラウンP「こっちも取り返してきたよ」

ブラウンPは、魚を2つ持ってきた。
さっき追っかけたアライさん達がどうなったか、清掃員は聞かなかった。

ブラウンPの邪悪な劣情の捌け口となり、猟奇的な死体となって転がされたことが想像に難くないからだ。
末路を聞く必要はないし、ブラウンPにそんなことを同族へ答えさせることも酷だろう。

魚屋の店主「はぁ、はぁ!あんた、取り返してくれてありがとう!助かったよ!」 ゼェハァ

ブラウンP「でも、ゴミ漁ってる野良アライさんが触った商品だよ…売れるのだろうか?」

魚屋の店主「だーいじょうぶ、黙って売れば誰も気づきゃしねーよ!ガハハハハ!」

清掃員「お前も相当なワルなのだな」

魚屋の店主「それにしても、クソ。アライさんってのは、何であんなに人に迷惑ばっかかけるんだろうな?それが生き甲斐なのかね?あの害獣どもは」

清掃員「…」

魚屋の店主「ったく…テレビでも言ってたぞ。過去に戸籍取ったアライさんは10匹。うち1匹はテロ実行犯で、1匹は窃盗を繰り返して獄中へ出入りしてる。あと1匹は…よくわからんが、残り7匹は全員行方不明だと」

魚屋の店主「アライさんってのはきっと、フレンズの出来損ないなんだろうな。あー、アライさんだけ死ぬウィルスでもできて、全員死滅しねーかな~」

清掃員「…」



3人のフレンズは、喫茶店へ入る。

~喫茶店~

喫茶店の店主「い、いらっしゃい…。大丈夫ですか?窓の外で、変なもの見えたんですけど…」

ブラウンP「大丈夫だよ」カランカラーン

店主は赤い髪をしたフレンズであった。
頭についた飾り羽のようなパーツから、彼女が鳥類のフレンズであることがわかる。

喫茶店は、個人経営の小さな店であった。
客は他に、2つのテーブルへそれぞれ2人と3人がいる。

3人のフレンズは、紅茶と軽食を注文する。

喫茶店の店主「どうぞ、紅茶です」コトッ

ブラウンP「いただきます」ゴクッ

清掃員「…美味しいのだわ」

キツネ「やあやあ店主さーん、随分上手くなったねぇ」

喫茶店の店主「ふふん、あれから3年以上やってるんですもの。当然ですわ(ドヤァ)」

清掃員「…ほんとに上達したのだわ。店を守ってくれてありがとうなのだな」

喫茶店の店主「…。受け継いだからには、しっかりやらないといけませんわ。お歌でも歌いましょうか?(ドヤァ)」

ブラウンP「それは…客が私達だけのときにお願いしようか」

キツネ「そうだタイリク先生、新作の方はどんな調子です?」

ブラウンP「ああ、大反響だよ!今度のは今までのホラー路線から変えて、ヒーロー物を描いてみたんだ」

清掃員「どんなタイトルなのだろうか?」

ブラウンP「…」

清掃員「ど、どうしたのだわ?教えてくれないのだろうか?」アセアセ

ブラウンP「…ちょっと、教えられないかな…これは」

キツネ「えぇー!先生の新作楽しみにしてるんですよ!」

清掃員「教えて欲しいのだ!」

ブラウンP「…どうしても?」

清掃員「どうしてもなのだ!」





ブラウンP「…『仮面精肉師(マスクド・ブッチャー)ショクエモン』っていうんだけど…」

キツネ「あっ…(察し)」

清掃員「それは…今のご時世…流行りそうなのだな…(遠い目)」







ブラウンP「…す、すまない…」

キツネ「い、いいんです。ブラウンPさん。人々を楽しませるのが先生のお仕事ですから(視線を反らす)」

ブラウンP「な…なんでそっちのハンドルネームを知ってる!?」

清掃員「こないだ雑誌で読んだのだ…。面白かったのだ(視線を反らす)」

ブラウンP「うぅ…だから答えたくなかったのに…」

軽食を食べ終えた後。

清掃員「あっちの作品はどうなのだわ?キッズ探偵ドタバタ君は」

キツネ「あー、あれ大好きです!見せてよ先生~」

ブラウンP「そうだな…タブレットに最新話の原稿が入ってるから…こっそり見せちゃっていいかな」

キツネ「ありがとー」



キツネ「やっぱり先生はすごいねー!」

清掃員「あははははっは!面白いのだぁ!先生は凄いのだぁ!」アハハハハハハ

ブラウンP「そ…そんなに面白いかい?」

清掃員「あははははは!ひー!やばいのだ!アライさん、こんなに笑ったの始めてなのだ!」パサッ

清掃員は笑いすぎてオーバーリアクションをし、帽子が取れてしまう。

キツネ「あ」

客1「おい…あいつ、アライさんだぞ」ガタッ

客2「うわ…あの顔。髪。耳。下品なしゃべり方…アライさんじゃないの!最悪ー!」

客3「うわあああぁ!?て、店主さん!アライさんが店にいるぞ!お、追い出せ!」ヒーヒー

客4「そのコートと帽子は誰から盗んだんだ!?金はどうした!」

客5「け…警察呼ぶか!?」

清掃員「あっ…うぅ…!」

キツネ「…またやってしまったねぇ…」アセアセ

店主「あ、あの、大丈夫ですよ?あの人は常連で、戸籍持ちのアライさんなので…」アセアセ

ブラウンP「て、店主さん!その言い方はまずい!」ガタッ

客1「戸籍持ち!?なおさら最悪じゃねえか!警官が来ても殺されるぞ!」

客2「アライさんが常連!?ひっ…気持ち悪い!こんな店もういられないわ!」

客3「しかも知ってて来させてるなんて…!さてはてめぇアラ信だな!?」

客4「会計しろ!もう帰るから!」

客5「というか同席してるお前らもアラ信か!?ど、どうしよう、俺ら拉致されるのかな…」ガクブル

清掃員「あ…ぁあ…ち、ちがう…違うのだ…アライ…さんは…みんなと…仲良く…したい…のだ…」ガクブル

客1「仲良くだと!人殺しのくせにざっけんじゃねえ!」

ブラウンP「店主さん!お勘定を!カードで!」

店主「は、はい!」シャコン

ブラウンP「みんな、帰るぞ!」タタッ

キツネ「う、うん…。お騒がせしました…」タタッ

清掃員「うぅっ…!うーっ…!」タタッ



~店の外~

清掃員「もう嫌なのだ!こんな耳も!尻尾も!切り落としちゃえばいいのだ!」

キツネ「だ…駄目だよ!前にやったときも、すぐ回復したでしょ!」

ブラウンP「…私がやってるみたいに、自分を人間だと思い込めば、尻尾と耳が消せるのにな」

清掃員「駄目なのだ…やろうと思っても、みんなの蔑む声を思い出して…!やっぱり自分がアライさんだってこと、思い出しちゃうのだぁ!」

ブラウンP「…御手洗さん…」

清掃員「第一…、見た目は誤魔化せなくても、身分証明書でばれるのだ…」

ブラウンP「…」

清掃員「…お仕事が、貰えないのだ…どこにも…」

キツネ「…」

清掃員「…ペパプのライブも、アラジビフェス会場も、保健所の手伝いも。身分証明書を見られただけで拒否されるのだ…」

清掃員「それどころか、最近は…『アライさんを派遣しようとすることが失礼で、信用を損なう』って言われて…、派遣先そのものから自主退社させられたのだ…」

キツネ「…保健所には、私からもかけあってみたけどね。ダメだった。ペパプのみんなも会場のスタッフさん達にお願いしてくれてるけど、ダメみたいで…」

ブラウンP「っ…ジャパリパークは…あの動物園は?あそこの掃除なら…」

清掃員「あそこの掃除はラッキービーストがいるのだ。オーナー以外のフレンズは、見せ物以外の役割を持てないのだ」

ブラウンP「…」

ブラウンP「…いっそ、パークに帰るっていうのは…どうだろうか」

清掃員「駄目なのだ」

ブラウンP「どうして!」

清掃員「タイリクさんは動物園で、ゴキブリやハエ、ハナアブの幼虫が展示されてたら、どう思うのだ?」

ブラウンP「…こんな不快なものを見せるなと、経営者に抗議するかも…」

清掃員「…同じことなのだ。アライさんは、もうそのレベルなのだ。見せ物にさえなれないのだ」

ブラウンP「くっ…うぅ…!」

清掃員「…一応ジャパリスタジオ本部のお部屋を少し掃除させてもらえてるのだ。今はそれで食い繋いでるのだ…」

ブラウンP「そ、それなら、掃除の範囲を広げれば…!」

キツネ「でもアライさんは、今まで派遣の外回りがメインだった。今それをやったら、今度は今までのスタジオの清掃やってた人達が仕事を無くしちゃう。…贔屓するわけにはいかないんだよ…」

ブラウンP「…今の風潮に、私の作品動画が加担しているのかもしれない。編集に、新作の連載中止を…」

清掃員「駄目なのだ。アライさんのせいで、先生や読者のみんなを悲しませたくないのだ」

キツネ「動画はともかく…漫画はお仕事だから…ね」

ブラウンP「だけどっ…!くそっ…」

ブラウンP「あの時、アライキング・ボスを私が殺しておけばよかった…!あのけものプラズムの腕輪も破壊して、ただの野良アライさんの仕業と偽装工作すればよかった…!」ワナワナ

キツネ「…」

清掃員「…アライさんは、自分のせいで皆を不幸に巻き込みたくないのだ…」

清掃員「だから…自分を犠牲にしてまで、アライさんを助けなくていいのだ」

つづく

アライちゃんプルーなのら
https://i.imgur.com/1WnyB2u.jpg

フォアグライさん
https://i.imgur.com/ykF589k.jpg

画像作品ありがとうございます!

>>892
美味しそうですね…チャンプルーのとこだけは。
絶望的な表情がイイです

>>898
MMD作品でしょうか、ありがとうございます!
「もう食べたくないのだ」って感じがひしひしと伝わってきます

~森の中~

アライさん達にとって、最大のお宝は何であろうか?

食糧?
そんなものは畑やゴミ捨て場で採れる。

安住の地?
そんなものはない。
猟師はどんな山奥にでも入ってくる。

最大のお宝は…
雄のアライグマである。

ご存じの通り、アライさん達は雌しか生まれない。
よって、雄のアライグマによる生殖活動が必要だ。

しかし、年々雄のアライグマの数は減っている。
何故か?

…ひとつの理由は、雌のアライグマがアライさん達との食糧争奪競争に負け、飢え死にしつつあるためである。
もう1つは、近年猟師によるアライグマ駆除のペースが早くなっているためである。

雄のアライグマを生むのは雌のアライグマ。

その雌が減ったとなれば、雄のアライグマも減っていくのである。

それを嘆いたのか。最近は…

なんとアライさん達により、雌雄のアライグマの保護が行われていた。

雄と雌のアライグマを発見すると、テリトリーへ監禁。

食糧を与えて、仲間を増やさせるのである。

それだけの事ができるならば農耕もできそうだと思うが…
そっちはムリなようだ。

~アライさんテリトリー~

幼アライグマ♂「キュルルルル」

アライさん1「ああ~可愛いのだ!ボクちゃん、はやく大きくなるのだ!はい、ご飯なのだ」ナデナデ

幼アライグマ♂「パクパク」

アライさん2「可愛いのだ~!アライさんも餌付けするのだ!」

雄のアライグマはみんなのアイドル。
大人気である。

幼アライグマ♀「キュルルルル」

アライさん3「全く…何が悲しくて、雌の世話なんかしなきゃいけないのだ」

アライさん4「雄がホモセックスで殖えてくれれば、お前らなんか要らないのに」

それに対して、雌の扱いはぞんざいである。
まるで生む機械といった扱いだ。

そしてこのテリトリーを管理しているアライさん達は、周りのアライさん達の支配権を握っているようだ。

伊達メガネアライさん「ほら、お前。子供が欲しければ、食糧を寄越すのだ!」

伊達メガネアライさんは、『の』の字が象られた腕輪のついた右手で、他所からきたアライさん2匹を指差す。

アライさん5「はぁ、はぁ…。とってきたのだ!パンなのだ!」ゴソゴソ

アライさん6「たくさんあるのだ!」ゴソゴソ

アライさん達がビニール袋に詰めて持ってきたのは、コンビニで売れ残って廃棄処分されたパン10個であった。
梱包用段ボールを破いて、中身を頂戴してきたらしい。

伊達メガネアライさん「おおー!これはご馳走なのだ!よろしいのだ、交尾させてやるのだ!」

アライさん5「やったのだぁ!」

アライさん6「これでアライさん達にもチビが産まれるのだぁ!」

伊達メガネアライさん「プリンス!ハンサム!こっちに来るのだ!」

腕輪のアライさんがそう言うと、2匹のアライグマがやってきた。

どうやらフレンズは、元となった動物と意志疎通ができるようだ。

アライグマ♂1「キュルル」ノソノソ

アライグマ♂2「キュ~」ノソノソ

アライさん5「き…来たのだ!ああ緊張するのだ…」

アライさん6「もう我慢できないのだ!早くするのだ!」ズイッ

アライさん6はアライグマへ尻を向け、尻尾を上げている。

アライグマ♂1「キュ^~」ノシカカリ

アライグマ♂2「^~」ヘコヘコ

アライさん5「ああー気持ちいいのだあぁ!」

アライさん6「くぅ、たまんないのだぁ!」

あークソ腹が立つ。
スコープの中に見える、あの涎を垂らした顔をブッ飛ばしてやりたい。

佐助「フゥーッフゥーッ」ブルブル

佐助が興奮している。
獲物がたくさんいるからだろうか?

だが、俺は仕事に私情は挟まん。
今、この場で狙うべきは…

あのアライグマ二匹だ。

俺はアライグマの脳天へ、サイレンサー付き12連射式エアライフルの照準を合わせる。

逃がすものか。俺は即座に引き金を引く。
フルオートで6発の弾が連射される。

アライグマ♂1「ギュッ!」ドサッ

アライさん5「のあ?ど、どうしたのだ?」

アライグマ♂1「」ガクガクビグビグググッバタバタタタタッ

アライちゃん5「ひぃっ!?あ、頭から、血が出てるのだぁ!」

伊達メガネアライさん「!?何だって!?こ…これは、弾丸…鉄砲なのだぁ!」

まずは一匹。
もう一匹も逃がすものか!即座に照準を動かす。

アライグマ♂1「」ビグビグググッ

伊達メガネアライさん「あ、あああ、そ、そんな!アライさんの、アライさんの可愛いプリンスがああぁーーっ!」ガクッ

アライグマ♂2「キュ^~」ヘコヘコ

アライさん6「んっ、あっ、あっ」

なんだあの害獣ども!?
仲間がくたばったのに気付いてないのか!?

伊達メガネアライさん「は、ハンサム!逃げ…」

残念。ゲームオーバーだ。
俺は残りの6発を連射した。

アライグマ♂2「ギュッ!」バタッ

伊達メガネアライさん「は、ハンサムうううぅぅっ!」

アライグマ♂2「」ガクガクビグビグググッバタバタタタタッ

伊達メガネアライさん「ひ、ひぃ、ひひひひひひ、あ、アライさんの可愛い子達が、こ、こんな、こんな…」ケタケタ

ナイスヒット。
標的は無事射殺した。

アライさん5「ひ、ひぃーっ!」タタッ

アライさん6「逃げるのだあぁーっ!」タタッ

伊達メガネアライさん「…う、あ、あぁ、そ、そうなのだ。まだダンディーと、子供達がいたのだ」ヨタヨタ

伊達メガネアライさん「守りにいかなきゃなのだ…」フラフラ

そんなにショックだったのだろうか。
伊達メガネアライさんは、ふらふらと森の奥へ行った。

あの奥が繁殖場か!
俺は奴らを静かに追跡する。

佐助「フゥーッフゥーッ」ノソノソ

佐助も、物音を立てないように、慎重に進んでいるようだ。

俺は弾をエアライフルへ込め、奴を追跡する。

そして、湖へ着いた。
…アライグマどもは、いない。

伊達メガネアライさん「そこの人間!アライさんを追ってきたのは分かってるのだ!」

むぅ!?

伊達メガネアライさん「お前だけは、絶対に許さないのだ…!絶対に殺してやるのだ!」

何だ…随分強気だな。
どういうつもりだ?

俺はふと、後ろを振り向いた…



後頭部のすぐ後ろに、こちらへ飛んでくる岩があった。

おわぁっ!?危ねぇ!
俺はなんとか身をよじり、岩を回避する。

アライさん5「かわされたのだ!?惜しかったのだ!」ガサッ

アライさん6「でも今度は外さないのだ!」グイッ

アライさん7「たあー!」ブンッ

アライさん7が、こちらへ岩を投げてくる。
くっ!なんとかかわしたが…
あれが当たったら割とシャレにならねえ!

しかし、なぜだ!こいつら、どうしてこんなに連携がとれている!?
追跡している間、話し声はしなかったはずだ…!

アライグマ♀「キュルルルル」ガサッ

…こいつか!
この雌のアライグマが、アライさん達の間を走り回り、意思伝達を仲介していたのか!

アライグマ♀「キュルルルル…」

…なんだかあの雌アライグマも、俺を睨んでいる気がする。
奴もまた、雄を殺した俺を憎んでいるのだろうか。

今までにはないパターンのアライさんだな

>>945
AKBの配下は統率(って言うのも微妙だが)はされてたが連携はしてなかったしな。

クソが!くらいやがれ!
俺は石を構えるアライさんを射撃する。
こいつらの前でリロードはできない。大切な12発を、シングルで撃つ。

アライさん5「のびゃっ!」ドシャァ

ヒット!しかし…

アライさん6「くらうのだ!」ブンッ

おっと!俺は石をかわす。

アライさん7「今なのだ!」グイイッ

まずい!
今狙われたら…

佐助「ガアアウワウ!」ガバッ

アライさん7「のぎゃああっ!?」ドサッ

佐助ェ!
よくやった!

佐助がお助けェ!

伊達メガネアライさん「たあああああああああああーーーーーーーーーーーーーーっ!」ブンッ

こいつっ…!
俺が後ろに気を取られている間に、ナイフを出して突出して来やがった…!?

俺はギリギリでナイフをかわすが、体当たりを食らってしまった。

ぐぅっ、エアライフルを落としてしまった…!

伊達メガネアライさんは、俺に馬乗りになってくる。

伊達メガネアライさん「のああああーーーっ!アライさんの大事なボーイフレンドを殺したお前は地獄に送ってやるのだああぁっ!」 ブンッ

殺されてたまるか!
俺は伊達メガネアライさんがナイフを握る腕を掴む。

伊達メガネアライさん「ぬうううぐぐぐぐうううう!」ギリギリ

ぐおおっ…体重をかけて、ナイフを押し込んできやがる…!
クソが!アライさんなんぞに腕力で負けてたまるか!
俺は腕を押し返す。

伊達眼鏡がリアル等身のキャリアウーマンみたいなキャラに思えてきた

>>953
ないない それはない(AA略)

「たあーっ!」

「キャウン!」

「やった、当たったのだぁ!おまけの一発なのだぁ!」

「バウウゥ!」

…何だ。
奴ら、俺の佐助に何してやがる!

伊達メガネアライさん「うががああああああーーっ!」グイイイッ

くそっ!こいつ、なんて力だ!
フレンズってのは、こんなに強くなるもんなのか!?

まずい、刺される…!

その時。

伊達メガネアライさん「のぎゃあああっ!?」ドサッ

伊達メガネアライさんが倒れた。
何だ!?

鷹「キュロロロ!」バッサバッサ

…え。
どういうことだ。
なんか、鳥がいるんだけど…

伊達メガネアライさん「ぐっ…うぅうぅ…」ヨロヨロ

伊達メガネアライさんがこめかみから血を流している。

…こいつが突撃したのか!?
だが…どうして!

アライさん6「とどめなのだ!犬を倒すのだ!」グイイッ

アライさん7「くたばるのだ!」グイイッ

佐助「グゥ…ルルウ…」ヨロヨロ



まずい、佐助がやられる!


幼鷹1「ピィー!」ドガァッ

幼鷹2「チィー!」ドガァッ

幼鷹3「ビチグリー!」ドガァッ

アライさん6「ぎゃっ!」グラッ

アライさん7「な、何なのだこいつらあ!やめるのだ!」ブンブン

なんと、幼い鷹がやってきて、アライさん2匹を襲撃した。
どういうことだ!?わ…わからん!!

佐助「グガウウウゥ!」グワッ

アライさん6「のぎゃああっ!」ドサッ

無事でいろよ、佐助…!
俺はエアライフルを拾う。

伊達メガネアライさん「うあああああーーーっ!」ダダッ

悪いな。
鷹が来なければ、お前の勝ちだったよ。

俺はこちらへ突撃してきた伊達メガネアライさんの右膝を撃った。

伊達メガネアライさん「ぎゃああっ!」ドサァ

伊達メガネアライさんは倒れた。

伊達メガネアライさん「く…ううぅっ…」ブルブル

立ち上がらせるか!
俺は左膝を撃ち抜いた。

伊達メガネアライさん「のぎゃああっ!」バタッ

伊達メガネアライさん「ふぅーっ…ふぅーっ…!」

もうこいつは放っておこう。
佐助はどうだ?

アライさん6「の…の…だ…」ピクピク

アライさん7「の…あぁ…」ブシュウウゥ

佐助「フゥー…フゥー…」

なんと…
2匹を仕留めていた。

恐るべし、佐助。



俺は伊達メガネアライさんの足を引っ張り、引きずりながら車へ着いた。

伊達メガネアライさん「…どうして、アライさんを放っておいてくれないのだ…」

ああ?
増えるからだよ。

伊達メガネアライさん「アライさんは、生きてちゃいけないっていうのか…」

そうだよ。
だが、てめーは戸籍持ちみたいだな。
さすがに殺すわけにはいかん。このまま警察に連れていく。

伊達メガネアライさん「…好きにするのだ…アライさんはもう…疲れたのだ…」

ああ、そうかい。
俺はアライさんをトラックの荷台へ乗せると、車を飛ばした。



帰路の途中、俺は車を止めた。
飲み物でも買おうかと思ってだ。

トラックの荷台の奴は、どうしてるか…?
ちょっと気になって、覗いてみた。


…なんと。
奴がいなくなっていた。

バカな。
俺は来た道を引き返した。

すると。



伊達メガネアライさん「」



奴は、路上に血まみれで倒れていた。

…落っこちたのか?
いや…自然に落ちるはずがない。

こいつは…

車から、投身自殺したのだ。

バカな…
生きることへの執念ではこの世の何にも勝るアライさんが、どうして?

…わからねえ。

俺は死体を積み、街へ向かった。

※お詫び

「今回の話つまんないな」と思った読者の方へお詫び申し上げます。

今回の話は、本来は突然変異で産まれたパルコアライちゃんが、
親からの贔屓と姉妹からの虐めを受けながら奮闘するお話でした。


しかし、繁殖シーンを書いてるうちになんか腹が立ってきて、
つい俺さんを呼んでアライグマを撃ち殺させてしまいました。
そのお陰で、俺さんと佐助が傷を負うことになりました。

繁殖してる害獣どもを殺したくなる気持ちを押さえられなかったことを、深くお詫び申し上げます。

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