【艦これ】 養子になってしまったから (124)

ある日着任してきた提督は30代半ば。
比較的若く背も高く、中々に整った顔立ちをした男性だった。

短く切りそろえられた髪と軍人らしい引き締まった体が特徴的であり
部下には優しく、上司には言うことを言う。
人当たりも良く能力もある

上役として仰ぐには理想的な男性であったと思う。

自然と多くの艦娘は彼に特別な感情を抱いた。
当然のごとく僕も……。

凄いよね
この数の女性集団ほぼ全員から好かれるとか

そうなるようにプログラムされていたのか本人にそれだけの魅力があったのか
今となっては知る術もない。

しかし彼と特別な関係となる子は現れなかった。
彼も艦娘からのアプローチには応じなかった。

なぜなら彼は妻帯者であったからである。

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時雨「提督 お茶が入ったよ」

提督「御苦労さま」

きっかり65度。
彼の好みまで冷ました緑茶を差し出すと提督は笑顔を向けてくれた。

お茶くみから書類作成にスケジュール管理。果ては戦術指揮補佐まで
秘書艦の仕事は多岐に渡る。
鎮守府によっては提督の夜のお世話まで……

……こほん。
とにかく大変な仕事でそれなりに知力も管理能力もある子でなければ勤まらないポジション

旗艦を務めることもあり武力も当然要求される。

なおかつうちの提督は「妻帯者? 一線を越えなければ大丈夫ですさぁ」と
スピーディにアプローチしてくる子から逃げ回っているので選択肢は狭い模様。
特段離婚調停はしていない

そんなこんなで
間違いを起こさないために成熟した女性から距離を置いている。

だからだろうか
僕、時雨は秘書艦のお鉢が回ってくることが多かった うん

最初は夕立や島風も秘書艦を務めることがあったんだけど……

当時の記録を見るとジュースのシミとかね……

あと日報に「楽しかった」とかさぁ……

二人とも戦場では頼りになるのに……

まぁでもおかげで傍に居れることが多かったのは役得かな?

女性扱いされてない風なのが癪だけど

秘書艦が多いメンツを見ると 響ちゃん・霞ちゃん・初霜ちゃん・大鳳さん

う~ん 僕もこの区分?
なんだかなぁ

そりゃ姉妹の中ではさほど育ってないけどなんか悔しい

子供扱いされるほどは幼くはない

提督「おっ そうだそうだ。お茶にはお茶菓子だよな~」

提督「じゃじゃーん 秘蔵のカステーラ♪ 時雨も食べようぜ」

時雨「えっ…その そんな貴重なもの遠慮」

提督「いいからいいから ほらそこ座る」

いきなり肩を掴まれて椅子へと誘導された。

時雨「ひぃうぃっ! そ、そんないきなり触らないで欲しいな…」

提督「ばーかお前 親娘なんだからスキンシップは大事だぞー」

頭をウリウリ撫でられて髪型が崩れた
村雨みたいに熱心に整えたものではないけれど崩すなんて女心を分かっていない人だ

だから言ってやった

時雨「そんなことする提督なんてお父さんじゃないよ」

ってイーってして。

そうなんだよね。

子供扱いもなにも先月から僕は戸籍上彼の娘なんだけど

なぜ僕が彼の娘になったのか

簡単に言うと彼の奥様は子供が産めない体であること
彼が「産めよ増やせよ」の軍戦略を推進すべき立場であること

それに
経済的に裕福である彼が身寄りのない孤児から集められた兵士。駆逐艦達を不憫に思い……
戦後の面倒を見ようと判断。

希望者を引き取ることにしたのが要因である。

当初は

「冗談か」

「何人養う気だ」

「冗談も休み休み言え」

と誇大妄想かと思ったけれど
若くして提督になれるほどの人物

どうやら相当の名家の出であったみたいで
駆逐艦×人数くらいなら養える!
とプレゼンを打ち、人数分の届を用意してきたのには唖然とした。

先祖伝来の山林を手放せば全員大学どころか院まで出せる…

ってよくもまぁそこまでして他人を養おうと思えるものだよ。

もっとも実際の希望者は20人程度だったので山は売らなくてもいい。

全体の2~3割はなんやかんやで帰る場所を整えていたし
性格的に他人の世話になるのは嫌な子もいる。
軍から抜けられない子もいる。
駆逐艦という分類であってももう働ける年齢の子もいる。

むしろよく20人も と言うべきかもしれない。

姉妹だと僕の他に希望したのは夕立くらい

五月雨は最後まで悩んでいたようだが戦後は涼風と一緒に夕張さんが引き取ることに
帰る先もないくせに固辞した山風は江風が引っ張っていく予定

海風や村雨は年齢的に自立してやっていける
……二人とも妹だよね? おかしいな

春雨はなぜか身寄りがいるらしい
白露は提督と仲良しだったのでてっきり希望するものと思ったんだけど……

白露「一番! ナンバーワンになりたいの!」
って言って拒否

僕は色々考えなくてもいいことまで考えたけれど
夕立が「はーい」と元気に答えるのを見て咄嗟に小さく手を上げてしまった

だって付いていかないと負けてしまう気がしたから

視界から消えてしまう気がしたから

そして彼の娘となった

そんなこんなで今に至る

提督「お父さんじゃないだと~」

時雨「いひゃいいひゃい やめてよ、痛いじゃないか」 

イーってした口に指を突っ込まれてさらに広げられ…
恥ずかしい話、少しドキっとした。

提督の指が僕の粘膜を擦ってそんなに強くダメだよ僕たちは親子でそんな

提督「……なに固まってるんだ?」

時雨「な、なんでもないよ」

提督「はよ食べようぜ」

ごまかしも含め。慌ててカステラを頬張る。

モグモグ

モグモグ

!!!!!

ほへぇ~ 甘いよぉ 美味しいよぉ~

凄いねこれ 上流階級の方のカステラって僕らの口に入るようなのとはまるで違う

優しい甘さが口いっぱいに広がっていてそれでいてしつこくない

ふんわりとした触感の中に隠れ潜むザラメの感触がまた…

惚けてしまった

口元からよだれが垂れるほど恍惚としてしまった

気がつくとその惚けた顔をニヤニヤと見ている犯人が

やっちゃった

恥ずかしい…かな

時雨「その…何さ、提督」

提督「そこは『お、お父さんのバカー』って言ってほしい反抗期風に」

提督「はい、リピートアフタミー お、お父さんのバカー!」

時雨「僕だって怒るときは怒るよ」

提督「だから怒ってよ いやぁ娘に怒られるとか夢のシチュエーションだぁ」

「諦めてたんだけどなぁ」
と呟く彼が本当にうれしそうなので怒るに怒れなくなっちゃった。

提督「ずっと子供欲しかったんだよ~」

提督「縁がないものと思ってたからさ~」

提督「こんな可愛い娘ができて余は満足じゃ」ナデナデ

あああ、髪型がさらに崩れるぅう

本当の親子でも僕くらいの子の頭。撫でないと思うのだけど

あとそんなに仲良く会話する話題もないと思う。

提督「そんでさー」

提督「昨日はさ 話してたら弥生が『お父さん』って呼んでくれたんだよ」

時雨「よかったね」

提督「そうだろそうだろ! でさ 慌てて司令官って言いなおすんだけど舌噛んで」

時雨「おやおや」

提督「それを見てた卯月がもーにっこにっこして弥生をイジりだし」

時雨「それはそれは」

ちなみにこの人はどうしようもない親馬鹿になったので話題とか云々ではなく一方的に話してくる傾向が酷い
それもまあ悪くはないのだけれど

僕も基本的に聞く側の人だし

他の秘書艦を務める響・霞・初霜・その他一名は娘という選択肢を選ばず、さすがにそういう話はできないようで
僕が秘書艦となると目をキラッキラして惚気話をしてきて
それはそれで特別なようで結局は悪くない

提督「いいよなー娘 なんか守るべきものができると仕事にも気合が入る」

時雨「それではこの溜まった書類を気合入れて確認お願いできるかい?」

提督「……5時から皐月たちの勉強を見てやる約束をした」

時雨「明日発注分の見積もりなんだけど」

提督は真剣な顔をして立ち上がる

提督「我が娘よ」

そして僕の手を強く握りしめると

提督「君はできる子だと信じている」

……

時雨「はぁ 大丈夫だよ、行ってらっしゃい」

提督「サンキュー♪」

いそいそと立ち去る提督を見送って書類と向き合う

うーん。面倒だなぁ

でもさっきの表情からするとこれでカステラ×5本は堅い
最近言葉に出さなくても考えが通じてしまうから困る。これも娘となった効果だろうか

提督用の良いお茶をいれて、カステラの残りを舐めつつ……おいしぃー!これ
さて仕事処理仕事処理仕事処理

ひいひいふうふうへえへえほぉ

苦節2時間でようやく終わり。

まったく先月まではこんな仕事秘書にやらせなかったのに甘えてるぞ! 提督さん!
と思いながら自然に笑みを浮かべてしまう自分が少し気持ち悪い。

戸籍で『長女』となっていた時も同様の笑みを浮かべてしまった。

白露が女性として告白し、自明の結果になった時も同様だった。
これはどうかと思う。

我ながら嫉妬心が汚らわしい。

でもすごく仲良しだった白露が一線を引かれた今
提督に一番近いのはきっと僕。

子供たちが提督に要望を出す時は僕を通すことが多いし
秘書艦だって今月は一番回数が多い

きっとこれからも…
そう思うと彼の椅子の上で悶えてしまう自分は本当に気持ち悪い。

やっぱり僕も白露の妹なのだろう。
優越感に浸ってしまう
そして一番の座を失いたくないと思ってしまう
一種の中毒

でもなんか幸せ






翌日 カステラは予想を上回る10本だった。

…太っちゃうじゃないか

法律的に養子が何十人も取れるかは知らない

「政治力?」

卯月「カステラおいしかった~ またよろしくだっぴょん‘時雨お姉ちゃん’」

弥生「あの…ごちそうさまでした し、時雨姉さん」

皐月「ありがとね! 時雨姉ちゃん!」

カステラは断腸の思いで我慢。通りすがりの新しくできた義妹たちにあげた
腹回りは譲れない
連日の甘いもの ダメ絶対

それからというもの
遠征班の彼女らとはあまり会話したこともなったのだけれど
懐かれ度が飛躍的に上がった気がする

なんて単純な

というか いつのまに姉呼びするように?

卯月「お兄ちゃんのほうがいいぴょん?」

弥生「時雨…兄さま」

そんな趣味はない

皐月「そうなの? でも自分のこと僕っていうよね?」

君もね

卯月「ぷっぷくぷー 皐月それなんのギャグ~?」

あっ 思考被った

まぁ好かれることは悪い気はしないけど
義姉妹になってすぐにというのは少し抵抗がある
はたから見たら手なづけて地位を固めてるように見えるかもしれない

海軍提督の長女の座を得て、その上他の姉妹を買収して豊かな生活と地位を手に…なんてつもりは毛頭もないけれど
本当に手に入れたいのは他の座なのだけれど
他の人からそう思われるのはちょっとやだな

だから とりあえず一時離脱  

「それでは僕はこれで…」

卯月「え~ もっとお話~」

皐月「ボクらと遊ぼうよ! ふふっ。前から運動神経よさそうって思ってたんだ!」

卯月「うーちゃんお話がいいぴょん」

皐月「ボクはサッカーとかしたいなぁ」

卯月「ねー お話~」

皐月「サッカー」

二人が上目遣いで両足にまとわりついてきた

なにこの可愛い生き物
そんな趣味無いのに抱きしめたくなるじゃないかこの僕をここまで混乱させるとはさすがだね

でもホントに抱きついて頬ずりして引かれたら嫌なのでやらない

欲求に負ける前に逃げ「おお 仲良きことは美しきことだなぁ」

提督「ってか?」

提督「なんだ? お前ら仲良しだっけ? いやぁいいねぇ姉妹仲よしお父さん嬉しい」

提督「時雨~ 妹たちの面倒ちゃんとみてやってくれよ~」

「はい!」

大きな声で返事

さーお話しながらボール遊びでもしようか~
遊びたい子は僕に付いておいで~

弥生「ええ 時雨兄さま」

その設定続いてたの?

提督「うんうん いい娘たちだ」

提督も笑顔 卯月たちも笑顔
どうやらベストの選択ができたようだね!
義妹達に好かれる指揮能力アピール大成功

なんかもう可愛いという言葉を具現化したような義妹を使って点数稼ぎしてる自分が嫌になるけど
でもでも誰も損してないしいいんだよきっと
winwinってやつだよ最近聞かないねこの言葉

その後皆でボール遊びをしたところ提督が腰を痛めて大変なことになった

卯月「お父さんしっかりするぴょーん 立て 立つんだぴょん」

提督「まだ…若い…つもり…だった…のに」ガクッ

弥生「情けない父…です」

皐月「なんか百年の恋も冷める姿だね ダメ父さん」

卯月「せめてもう少しカッコつけてほしい」(真顔)

……

3人ともわかってないなぁ 

この取り繕えなさ
間の抜けたところ
そんなところだってこの人の魅力じゃないか
贔屓目が過ぎるかな?


「とりあえず僕が医務室まで連れて行くよ」
と、妹たちに告げて背負って……

う、うわぁ
改めて肌を触れ合わせると…やはり男女で体の構造が違うことが解る
ゴツゴツしてて大きく固い

頭を軽く振って背中に乗せると…密着しすぎて…ドキドキ バクバク
歩きだすと同姓を背負った時には感じられない筋肉の感覚が意識を呼び起こす
ああ、まずい

心臓の音が聞こえてしまっているだろうか…
と思い彼の顔を見ると
成人男性を背負って走る僕のパワーに驚愕しておりそれどころではないようだった

馬鹿にして
僕にかかればあなたなんて押し倒して拘束することだってできるんだよ

なんせ普段背負っているガンキャノンの重さときたら五月雨涼風の軽装が妬ましくなるほどの

『政治力』

「ほーらカステラだよ 皆で分けてね」

「「「「わーい」」」」

先日の行為に味をしめて餌付けをし始めたところアッと言う間に駆逐艦カースト1位に上り詰めることができた

ちなみに運んだお礼にカステラはもう10本くれた
一度喜んだらそればっかくれるなこの人

しかし秘書艦率1位の女という下地があったとはいえ
僕のようなどちらかというと教室の隅で本を読んでいるようなタイプが1位!

いやはやこれは快挙だね

なんとなく羨望の視線を感じて…… うわぁ気持ち悪いと思いながらにやける

そしてさらににやけてしまうのが

提督「おーい 悪いけどその…お、起こしてくれ」

「はーい」

しばらくの間僕が提督の傍でお世話をする係となったこと

提督の痛めた腰は相当重症だったらしく、明石さんの必殺技。高速修復材を使っても治らず
本人は利くわけないだろとボヤいていたが他に医療関係者もおらず

「提督ちゃーん ご飯だよ はいあーん」

提督「…」

「提督、もしかして嫌だった?」

提督「そんなことはないが…」

今の彼は僕の保護下にある

最近の検索履歴直近3つ
「看病」「進展」 「弱っている時には心細くなる」

「はい あーん」

提督「……」

差し出したスプーンを無言で咥える提督

もう今の付き合いを続けて結構経つもんね
わかるもんね
あなたが恥ずかしがっているの

もうね
なんというかね
たまらん

まさに我が世の春…

提督「ところで今日って秘書艦響の日じゃなかったっけ?」

時雨「ああ 彼女はお使いに行ってるよ」

提督「そうか… ちなみに明日は初霜の日だけれど」

時雨「彼女は遠征に出かけるから明日も僕さ」

提督「霞は最近見ないな どうしてるんだ?」

時雨「彼女も遠征に出かける機会が多いみたいだね」

提督「……3人とも元気だよな?」

時雨「元気だよ?」

単に3人とも看病している僕の姿を見て気を使ってくれただけで政治力を活用して
陰でこっそり解体したとかそんなことはない

本当にない
妄想と実行の間には38度線並の強固な壁があるものさ

そんな末尾に「リン」が付きそうなことやらない

響ちゃんは警戒していたけどあの子どこの修羅場育ちだ

しかしまぁ3人が身を引いてくれたということは

時雨「はい あーん」

時雨「冷めちゃうよ~」

提督「……」モグモグ

時雨「さーて次はお体でもお拭きしませうか」

提督「……あのその」

時雨「さー 脱いで脱いで」

提督「……はい」

とりあえず僕に独占権が生まれたらしい

今の彼は
食事も洗濯もお掃除も僕に頼っきり
なんでそんなことが嬉しいのかは解らないけどわかる

本当にもう毎日が嬉しくて嬉しくて嬉しくて
夢なら覚めないで欲しいな

ガチャ

夕立「提督さーん大丈夫~?」

ああ、夢じゃなかったからすぐ覚めた

うーん。お子様組はカステラで買収もといごにょごにょして遠ざけたけどこの頭の中お子様
外見はお嬢様、肉体は女王様は空気など読まない我が妹よ
僕の幸せを邪魔しないでおくれ

夕立「えーと 大丈夫?」ユサユサ

提督「痛い痛い痛い」

夕立「大丈夫ったら大丈夫~」ユサユサ

提督「痛い痛い痛い」


やはりこいつが最大のライバルか


「解体」「うっかり」「ロック」

※最近の検索履歴直近4~6

……しないからね?

「敵を知り己を知れば」


いつの間にか手に入れた提督の一番近くの座

3人でお菓子が2個あったらスッと姿を消す
意欲の高い人が同組ならMVPは譲ってあげる
提督が誰かと結ばれたならきっと迷惑にならないよう身を引いていただろう
自分はだいたいそういう人

だけれども
一回手に入れたものを渡すというのはまだ自分の手に入っていないものを諦めるのとわけが違うわけで
ありていに言うと

「夕立に負けてなるものか…」ギリギリ

嫉妬期到来

……誰しも来るんだよホントだよ

さて女性として見たときに僕と夕立どちらに魅力があるものか…
よしっ! 本気で! いくよ!

村雨の私物から化粧道具を拝借
春雨のロリロリかわいい私服も拝借
そして鏡を見る
夕立みたいにニッコリ満面笑顔でかわいいポーズ♪

…その引きつった笑顔を見て頭を☆かち割り☆たくなった
慣れないことはよくないね

さて
どちらが上か
こういうのは自分で判断してはいけない
誰か他の人に
おしゃれ系統に暗くない人に
利害関係ない人に


白露「ふむふむ そこでいっちーばーんおしゃれでセンスがよくて美人な白露お姉ちゃんの出番というわけか」

白露「いゃっはっは 照れるなぁ」

そこそこおしゃれで『もう』利害関係ない人だからなのは黙っておく

白露「ではでは順番に採点していってしんぜよう」

白露「まずは顔! はあたしが一番なのは前提として互角かなぁ」

…まぁそうかな?
ほっとした半面ちょっとショックを受けている自分がいた

いやほら夕立は美人だと思うしそれと引き分けるなんて光栄だよほんとだよ

「黙っていれば」美人だと思うし




白露「次におっぱい」

白露「うーん、これは時雨残念賞」

白露「今後の発育に期待します」

君らが駆逐艦離れしているだけさ…
くそぅ
五月雨涼風の軽装と比較したら僕だって立派なほう

白露「そして性格は~」

白露「うーん、これは人それぞれだねー」

白露「勝敗つけるものじゃないよ」

白露「というわけで以上!」

あれっ?2分1敗で負けた?
ちょっとまってこういうのって結局引き分けにしてくれるものじゃ

白露「あのねお姉ちゃん日本の横並び教育に反対なのです!」
白露「やっぱりねー 勝敗はきちんとつけないと!」
……あ、そう

僕も日本のゆとり教育には反対なので
本人希望によりゆとりだらけの白露ちゃん訓練日程をきちんと書き換えてあげた 

秘書艦権限を甘くみないことだねほほほほほ

「父親の威信」

提督「治ったどぁあああああ!」

腰椎捻挫で寝込むこと半月
おめでとう
少し寂しい気もするけれど貴方が嬉しければ僕も嬉しいよ

提督「よし、時雨 腕相撲だ」

「へ?」

提督「怪我をしたときは不覚を取った」

提督「娘に背負われて運ばれる? 何たる失態!」

提督「息子ならいいが娘に腕力で負けるわけにはいかないんだ親父は!!!」

そんな無茶な

提督「介護される年まで強くなればならないと法律で決まっている」

とりあえずこの体育会系脳を鼻で笑っておけばいいのかな?

提督「いいからそこに肘を置け!」


と、言って強引に僕の右手を掴む
ゴツゴツとした軍人の手が僕のほっそりとした華奢な手を荒々しく包み込みバシーン!

勝った

提督「ば、馬鹿な士官学校から負け知らずで腕相撲のうっちゃんと呼ばれたこの俺が…」

提督「もう一戦 頼む!」

ベシッ
時雨ちゃん大勝利!

提督「あと一回 親父の威信をかけ「バゴッ」

勝ったッ!第3部完

提督「三回勝負! 三回勝負だから」

もう既に3連勝していると思う

鍛えてあろうがあるまいが僕らのような改造人間に腕力で勝てる人間はいない
根本的な話。無理なものは無理さ

提督「理屈はいい! 絶対に負けられない戦いがここにある!」
提督「力には技を 食らえ 我が必勝のトップロール!!!!」

ボン!

提督「小よく大を制する合気の力 さぁ和の真髄!」

ドゴッ!

提督「火事場の馬鹿力! 我が潜在能力よ親父の見栄を守ってくれ!

ゴッ!

時雨「えっとまぁとことん付き合うよ はいどうぞ」

色々言いたいことはあるけど普段手を繋ぐ機会なんかそうそうないし
気が済むまでやらせてあげ「もういいです」
…ギブアップかな?

提督「っていうか…もう無理っぽい」

口真似? ホントの意味?

提督「多分手の甲折れたっぽい 痛い痛い痛い」

後者だった

結果
「あーん」ってしてあげる期間が一月くらい伸びた

僕が手を握ろうとすると「ビクッ」と震えるあたり
心の傷は全治にそれ以上相当の年数がかかるよう。

震える彼の姿は……かわいいねっ!
ちょっと性的な興奮を覚えてしまう自分のことはあんまり信用できないと思った。

「呼び方なんてささいなこと」      


夕立「もう時雨だけっぽいよ?」

何が

夕立「提督さんのことお父さんって呼ばないっぽい人」 
       
だから何?


夕立「いや別にっぽい」

どっちだよ

この口癖の時点でこいつとは真剣な話ができないと思う

とりあえずまぁ唐突に何を言い出すのか
なんとなく意味深なので聞き返してみた

時雨「夕立こそお父さん呼びしてなかったと思うけど……何で?」

夕立「親子でも職場上司をお父さん呼びはない」

時雨「あっハイ」

ありゃ。案外真面目な話だったかな?

夕立「夕立もお姉ちゃんとして自覚があるっぽい」

夕立「お父さんって呼ぶのは二人だけの時がいいっぽいよね~」

いえ、まだお父さんなんて呼んだことないけど

なんだよもぉ。そんな話を

白露「なになに~ なんの話~?」

村雨「お父さんよりパパのほうが喜ばれるんじゃないかしら?」

ほら、興味本位満々のが寄って来た

白露「いつの間にか二人ともよその家の子になっちゃってお姉ちゃんさみしい!」

村雨「うふふふっ 村雨お姉ちゃんもさみしい!」

外見はともかく君は僕の妹だろう

白露「長女なんでしょー 率先して言うべきところだよー」

夕立「お父さんでも父さんでも父上でもお父様でもなんでもいいっぽい」

村雨「ダディでもパパでもパパりんでもパピィでも」

白露「そうそう 親父でもファーザーでもおやっさんでもおいでも」

夕立「とりあえず一度呼んでみるのがいいっぽい!」

村雨「ちょっと勇気を出して言ってみよ?」

白露「一回言っちゃえば違和感なくなるかもよー」

夕立&村雨&白露「ほらほら~」

言いたいことはわかる
でも僕は「お父さん」と呼ぶわけにはいかない
彼のことをそういった呼称で認識するわけにはいかない

だって…

3人の口から甘いカステラの匂いがするから

時雨「……買収かい?」

ビクッと体を震わせた音なき音が聞こえるのを感じた
矛盾しているかもしれないがやっぱり分かるんだ
そういった形での身内にはなりたくないのだけれど家族だから分かるお互いのなにか

脇のロッカー
開けたらICレコーダーを握り締めたソレが 「見つけたよ」

提督「いや その あのー なんだ」

時雨「……キミには失望したよ」

提督「時雨にお父さんと呼んでもらいたい 純真が暴走したということで…」

提督「駄目?」


時雨「ありがとう。でもねどうだろう」

時雨「内心いい事を思っていたら相手にとって迷惑な行動は許されるのかな?」

時雨「残念だったね僕はそうは思わない」

提督「じ、自分はただ純粋な父性で」

時雨「不正は見逃せないよ」

提督「話せば解かる」

時雨「分かっているさ そう分かって…」

他の女に貢物をしてまで僕を娘にしたいのかい?

この罰はそうだね? 酸素魚雷とか? うん、入れたいかな?

幸いなことに横を見ると村雨がいいものを持っている

村雨「し、主砲も魚雷もあるんだけど…」

村雨「使う?」

時雨「ありがとう でもまあ、いいさそこまではしない」

提督「ほっ」

見逃したのは「お父さん」って言わなければいけない状況から逃れられたこと
それにホッとしていたから
ではないと思いたい




提督「ところで頼んだら呼んでくれたりするの?」




ふふふ
気持ちを読めているのはこちらだけのようだね空気読めや

ギロリと睨むと村雨が機銃を差し出してきた
そうだね。これなら初めてでも大丈夫かな?

奪われることは想像したことがあるが奪うことは想定外だった



提督「そうだなーなにがいいかなー」

提督「時雨はなんというか 『父さま』って感じかな? どう?」

笑みを浮かべながら提案という名の暴言を吐く彼の顔が歪むまであと数秒

赤く染まる僕の頬を照れだと勘違いしているのだろうね

大丈夫だよ

やさしく

するから

提督「やさしくするのは…俺のほうさ」

時雨「えっ?」

提督「ふっ しょうがないやつだな。こんな物騒なものを持って」

提督「これをどうする気だったんだい?」

提督は僕の頬をまるで愛撫するかのように撫でながら機銃を取り上げた
そして顎を引かせ、僕の唇を上に向かせ…回答を強いる。

時雨「べ、別になにも」

ぺろっ…
時雨「ひゃっ!!」

提督「こんなに汗をかいて この味は…嘘をついている味だな」

時雨「だめだよぉ 夕立たちが見てる」

提督「ふ…そのほうが興奮するんだろ?」

時雨「いけないよ…そんな…あっ」





ふぅ



本日の妄想終わり。
秘書艦を勤めつつ恋にバトルに大忙しな僕のひそかな楽しみ。
実際にこんな展開になることが望ましいけど現実味は薄い

ああ。ちなみに提督の処女は無事だから安心してね


本当は実行するはずだったんだけどできなかった

提督「父さま? 父さん? お父様? なにがいいかなー」
その少年のような笑顔を前にして鉄棒を肛門に差し込むなんてことは

と言ったところで
彼を父を認めるなんてこともできなくて

結局、どう切り抜けたかと言うと

提督ニコニコ
僕はまごまご

どうしようもない状況を見かねたのか

白露「ていやっ」

提督「!!!?」バタリ

白露が提督の股間を蹴り上げて失神させたので場を乗り切れた

白露「ふっふーん 貸し1だよ~」

順調にいけばキミの甥か姪になっていた子が数万は亡くなったねこれは

さて、未来の息子と娘を殺められた僕が取るべき反応は…
提督を抱え、ベッドに寝かしての看病に決まっている
この行動も板についてきたよ

時雨「さーて またまた優しく看病してあげるから」

提督は未だ失神から目覚めない

まったくもう
しょうがないなぁ、提督という立場のくせに病気や怪我で寝てばかり

やさしい僕に頼りっきり

そんなんでどうする気なんだい?

提督の頬を撫でながら剃り残しの感触を楽しむ
そしてその顎を引かせ意識がないことを確認し…

唇を寄せたところ
「○○」と現在戸籍上は僕の母親となっている人の名が呟かれたのでそのまま立ち去って現在自室

略奪に興奮する性癖はないのが残念

そのことについては色々とどうすればいいか考えているうちに頭が痛くなったから
妄想の世界に逃げ込んで事なきを得た

「娘の手料理」

ちゃらちゃちゃちゃちゃちゃ♪

卯月「うーちゃん3分間クッキングの時間だぴょん」

弥生「今日はおと…司令官にお料理を作ります」

皐月「よーしがんばるよ!」

提督「このために前日から飯を抜いておいた!!!」

かわいい妹たちにお料理の監督を頼まれて
お子様に料理とかできるのかな?

でもきっとどんな出来だろうが
たとえ生焼けでも黒こげでもあの人は喜ぶだろうから監督なんて

卯月「今日はボーキの重油揚げと弾薬のソテー♪」

皐月「そして完成したものがこちら」

弥生「…ジュルリ」

皐月「赤城さんの大好物だね!」

提督「」

提督「よーしがんばるよ…」

ほう美味しそうなメニュー
って待て待て待て

ちゃんと人間が食べられるものを作りましょう

卯月「えー うーちゃんお肉より弾薬のほうが美味しいって思うぴょん!」

皐月「ボクは石炭が好きだなぁ」

提督「心配するな 娘たちの好きなものを理解してあげるのも親の勤め」

弥生「いえ…大丈夫です 司令官の好き嫌いは知ってるです」

皐月「いい年して好き嫌いとか… かわいいねぇ」

提督「身をもって実践。これも教育か…」

提督「気合入れて! 頑張れ! 俺!」

死んでしまいます

だからいくら頑張っても埋められないものはあるわけで
「料理は普通の食材に限ること!」

と号令を出すと3人ともしぶしぶ普通の肉で調理開始
このポーキ揚げと弾薬は… ポリポリ

あら美味しい
妹の手料理とか悪くない、っていうかすごい良い もう少しつまみ食いつまみ食い

ポリポリポリ
ポリポリポリ
ボリボリボリ
ボリボリスカッ

おや? つまみ食いの手が空を掴んだしまった全部食べちゃった
ううう、ダイエット中だったのに

そんなことをしていると提督が全速力でどこかに駆け出して行くのが見えた
逃げたのかな?

あの人を逃げさせるなんてなにを作ったあっつあつの鉄鋼焼きとかだろうか
と、厨房に顔を出してみて

そこにあったのは…  燃えるような熱気!!

卯月「凄いぴょん!」

皐月「これがフランベかぁ」

弥生「あああああ焦らないで まままままずはそう 飛鷹さんを連れてくるです」

皐月「連れてきてどうするの?」

弥生「火を以て火を救う」

弥生「より燃えやすいものをぶつければなんとかなるとかなんとか」

卯月「荘子も草葉の陰で泣いてるぴょんねー」

うわぁ火事だぁ

提督「どけどけどけー!!」

ホースを持ってきた提督の放水により火は消し止められた

後に残ったのは…
水浸しの黒こげTボーンステーキ炭化済み

まさか本当に黒こげを出すとは

時雨「残念だけどこれは食べられないね」

皐月「えー ボクら頑張ったのになぁ」

弥生「食べてほしかった…です」

皐月「あ! それならやっぱりさっきのポーキを食べてもらえば」

卯月「あれはもうあげちゃったぴょん」

皐月「残念だよー」

弥生「仕方ない…です」

ションボリとする3人が肩を落として

ここで彼がとる行動はもう予言できるよね。

胃薬はどこにあったかなんてことを思いながら横を見ると

提督「モグモグモグ」

炭に近いほど焦げた肉を頬張る提督の姿が

提督「お、おいしい…ぞ」

なんて辛そうなサムズアップ
これが男気か

卯月「嘘でもうれしいぴょん!」

皐月「わーい ありがとう!」

本当はとめるべきだったのだろうけど
当人の見栄を発揮させてやるのも秘書艦としての勤め

しっかしなんでステーキ焼くだけでこんな火事に…

どんなお酒でフランベしたの?って聞いてみたら

弥生「とっておきのオクタン価MAXハイオクを使って…」

えっ?

弥生「とってもお高いものだから… いっぱい…かけました」

おいおい

提督「なんて…おい…ウゲッ しい…んだ 」

ヤケだ
あれは男気とかじゃなくて単にもう後に引けないだけだ
いまさら止められない

ガソリンまみれの肉を租借する提督
その姿はある意味神々しかった

卯月「具体的にはどう美味しいんだぴょん?」

提督「そうだね 噛み締めた瞬間口いっぱいに広がる刺激と香りがたまらないよ」

提督「ち、ちょっとお水をいただけるかな」

皐月「不凍液?」

提督「あ、甘いのは苦手だから」

皐月「そうなんだー 上物があるのになー」

提督「また今度」

皐月「わかったよ! 今度は一緒にコガブライン飲もうね!」

次は事前に防いであげるよ

そんな感じで多少心配な点はありつつのほほんとした空気が流れている食堂

とても平和な感じ

そこでガラッとドアが開くまでは

赤城「ボーキの重油揚げが余っていると聞いて」

卯月「おー待ってたぴょん うーちゃんたちがもぐもぐするのは弾薬のほうだけぴょん」

皐月「ソテー楽しみだなぁ」

弥生「おと…司令官のために14cm砲の薬莢を使いました…」

卯月「結局なんでも収まるべきところに収まるものだっぴょん お肉は人間の弾薬はうーちゃんのお腹ー」

赤城「そしてボーキはあーちゃんのお腹に収まるわけですね」

卯月「世の中そういうものだっぴょん」

赤城「欲張りませんボーキだけをいただきます」

皐月「あれ? どこに置いたかなぁ?」

やばっ

赤城「ない? まさかもう誰かが…」

赤城「!? 時雨さん? あなたの体からする匂いは」

赤城「謎は全て解けた!!」

一瞬の匂いで犯行を暴く
赤城さんの女子力の前に僕の罪状は暴き出される

赤城「この泥棒猫!!」

いや
でもね
最初から君のものではなく

赤城「そんな理屈は聞いていません 私の気持ちの問題なのです」

赤城「欲しいものは欲しい!!」グー

もうないものをどうしろと

赤城「ボーキを食べた貴様を食べる それすなわちボーキを食べた!」

!?

時雨「…まぁいいさ 僕が譲歩しよう このあたりで手をうって」つ間宮券

赤城「グー」

時雨「足りないのかい? これならボーキ100食分の価値は」つ間宮券×5

赤城「グー」

時雨「そ、そうだ今からボーキを揚げよう よかったね間宮付で得をしたね」

赤城「グー」

時雨「えっ あの だって」

赤城「欲の前では理屈の価値はない」

赤城「へただなあ、時雨くん。駆け引きがへたっぴ……!」

や、食られる!?

皐月「はーい ボーキの排気ガス蒸しだよ~」

弥生「ハイオクで漬けてみたです…」

卯月「やっぱり定番の重油揚げだっぴょーん」

提督「これを食べていいから時雨を開放してくれ!」





赤城「では皆さん 一緒にいただきましょう」ニコニコ

…君変わり身早くない?

赤城「双曲割引です目の前にあると価値が膨れ上がって見えるものおいしそう早く食べましょう」

はぁ

皐月「はいお姉ちゃん あ~ん」

時雨「ありがとう」

卯月「赤城もあ~ん」

赤城「いただきます」モグモグ

弥生「…あ、それは 多分激辛の」

赤城「お~いしぃ~」

卯月「強っ!?」

ボーキを囲んでキャッキャうふふ

提督「……」

一人輪の中に入れず寂しそう

皐月「ほらほら~ 一緒に食べようよ!!」

提督「……それができたら」

まぁそれは無理だよね

ひとりで自作の料理を食べる提督はなんだかとっても寂しそうに見えました。

「秘書艦の毎日」


明石「できました! 艦娘改二技術です!!」

時雨「…? 今の技術とは違うのかい?」

明石「ええ 今回の技術は~ なんと~」

明石「妊娠できるようになります」

時雨「!?」

明石「事前指定の相手と結ばれれば11人の健康で素直な子供を授かります」

時雨「やります!!」

明石「やる? ひっひっひっ ただしやるからには代金をいただくよ」

時雨「有り金全部でも!」

明石「お金じゃない それはお前の大切なもの」

明石「もしお前の願いが成就したならば返してあげる」

明石「でも失敗したときには…」

時雨「その代金って」

明石「それは…」





時雨「…」
なんだ夢か

時刻はまだ日が昇る前…
もうちょっと寝れる…続きが見れるかな?

…ぐぅ





時雨「建造で僕が出たよ これからよろしくね」

提督「あ、はいはい2人目2人目解体解体」

赤城「いらっしゃーい」

赤城「い た だ き ま す」

時雨「えっ」

ぐちゃガブガブぼきっぺきぺき

赤城「ごめんね時雨さん。」

赤城「いいお味ですーー!!」

赤城「溢れるほどに優しくそれでいて力強い
   それは駆逐艦時雨の味 ありがとうこの味忘れません」

時雨「ああ、建造した僕のダブリ艤装がぁ」

赤城の両の手によってちぎり取られた砲身は生け作りに
モーター部分はさっと炙って薬味を添えて
そしてセーラー服は高温の油で丁寧に揚げられモグモグモグ

へ、変態だーーーー!!!

こうして貴重な資源を使った建造物はご飯へと進化したのである。






時雨「…」

時雨「また夢か」

二度寝してしまったなぁ
変な夢だった

その前にもなにか夢を見ていたような気がするのだけれど思い出せない
ああ、夢の儚さよ ってなんか違う

さてじゃあ仕事を始めようか
0500 新しい一日がはじまるね。さて職務をはじめよう。まずは出撃計画作成

0600 今日も一日、僕が提督に時間を……ってあれ? まだ寝てる?
   仕方ない遠征指示と物資配分の仕事は僕が

0700 提督はまだ寝ている 昨日は卯月たちにせがまれて就業後夜中まで花火大会をしたらしい
   今日は戦果集計の日なのになぁ

0800 提督、そろそろ起きよう

0900 起こしたら「や、約束の時間」と飛び出して行った、世間はせわしないね

  提督の仕事は…まぁ

僕がやるしかないよね うん
      
1000~1500 がんばって働いた

1600

提督「ただいま~」

提督「いやー疲れた疲れた」

時雨「お疲れ様」

こっちも肩は凝るわ、目はしぱしぱ。難敵だったよ

時雨「それで? ずいぶんと慌てていたけれど」

慌てっぷりからすると本部での会議かなにかだったのだろうか
ダメだよ ちゃんとスケジュール帳に書いておかないと

提督「今日は夕立と間宮の約束しててさぁ」

おや?

提督「その後色々遊んだから疲れちった」

提督「さーて、これは今晩徹夜…って戦果集計やってある!?」

提督「さすが時雨自慢の娘」

提督「そうだそうだ今日間宮で割引券もらったんだこの後行こう」

おやおやおや?

他の 女と 行った 店で もらった けんで ぼくをさそうの?

1700

仕事はいくらでもある
当日の割り振りは秘書のお仕事。今日は徹夜をして頂く予定
艦娘からのクレーム要望対応
新兵器の開発計画作成
ああ、経費の承認もしてもらわないと

提督は忙しいんだね 僕が手伝えたらいいのに


1900

そろそろ夕食の時間だね
提督は飲み物も口にせず仕事をしている
まぁ僕だって今日はお昼を食べてない

2100
そろそろ夜か
提督は血走った目で
「beerがドライしかないの?」「キリンを入れろ」「プレモルプレモル」「オリオンも頼む」
と言った要望と経費とにらめっこ

2200
無休の事務仕事は5時間くらいが限度だと思うのだけれど
提督の手は止まらない
マイペースにやればいいさどうせ終わるような仕事量じゃないんだから

と、言ったら僕と間宮へ行くと言ったからとか答えられたので罪悪感
今から手伝えば…なんとか

2300
間宮も看板の時間だね
ラストオーダーに滑り込みセーフ

「夕立は何を頼んだの?」って聞くとあんみつと言われたので
それより30円高いフルーツあんみつを注文

閉店時間を考えるとそんなに長くは話せないけれど
軍を率いる司令官。その多忙な職務の間で作ってくれた時間を精一杯楽しまないと

「俺がもっと早くから仕事に取り組んでいれば…」

いいっこなしだよ

「昨日花火した後に枕投げしなければ…」
「今日は間宮の後にカラオケとか行かなければ…」
「明日秋衣装を買いに行く予定がなければ…」

結構エンジョイしてるねぐぬぬ

2500 提督 疲れたね
   そう問いかけるも返事はない。
   戻った後明日の用意をしながら力尽きたようだ。

2600 1000~1500まで提督の仕事をしていた分。自分の仕事を頑張る
   大丈夫大丈夫 体力には自信がある

2700 提督は静かに寝ている
   寝顔を見つめながらだと仕事がはかどるな

2800 提督がふと目を覚まし、僕が仕事をしているのに大慌て
   「仕事じゃないよ 白露型が集まってパーティするから席割りさ」
   と言うと安心した顔をしてまた寝た。
  
   僕は大丈夫。提督は優しいね。

0500 さわやかな朝だ
   今日は夢を見るチャンスが無かった。肌荒れとか大丈夫かな

0900 鬼の形相4時間続け。仕事を終えた提督は皆の秋の服を見に行った
   負担をかけるのも悪いので僕は去年と同じタイプをリクエスト

   もっと計画的に動けばいいのに

1000~1900  お仕事をした

提督には4時間頑張ったら終わる分くらいしか回していないので残りは僕が

地頭は悪くないと思うのだけれども十分に教育を受けていないのでやっぱり書類仕事は時間がかかる
でもやり方を聞くと時間をとらせてしまうし頑張りでなんとか

純粋に役にたちたい気持ちが半分
いつかこの影の努力に気がついてくれて

「ああ、なんて陰日向なく頑張る子なんだ! 時雨様! 結婚して!!!!」
「でも提督には奥様が」
「もうダメだ とまんねぇ 受け入れてくれ!!」
「ダメだよぉ ダメぇ」
 
となることへの期待が半分
うへへへへ 強引にとか憧れる眠いけど頑張ろう

2000 提督が散々悩んだと言って秋衣装を買ってきた \さんま/

僕の努力で作った時間はさんまに化けた 

提督「娘たち全員おそろいだぜ!」


\さんま/\さんま/\さんま/\さんま/\さんま/\さんま/\さんま/\さんま/
\さんま/\さんま/\さんま/\さんま/\さんま/\さんま/\さんま/\さんま/
\さんま/\さんま/\さんま/\さんま/\さんま/\さんま/\さんま/\さんま/


20人程度の娘たち全員に配ったらしい
着てくれたのは卯月だけ
なんて親孝行な子

最近、僕は関係の進展に向け、さらなる努力を始めた
きっかけはとてもささいなこと

仕事を終え
頂いたカステラを頬張りつつ、\さんま/ Tシャツを箪笥底に沈めていた時
「たまには集まろう」という召集のお知らせ
発案者は山城
…珍しいな

そして翌日居酒屋に集まったのは西村艦隊の面々
女3人寄れば姦しいというが7人も寄ると積極的に騒ぐ子がいないとはいえ
それなりにしめやかに古馴染みらしく盛り上がった

平和な楽しい会話だった
扶桑がお花を積みに席を立つまでは

「それで 提督とはどこまでいったのかしら?」
山城がよくわからないことを言い出すまでは

どこまで?
そうだねこないだ間宮までってそういう意味ではないだろう
山城はそういうこと聞くキャラだっけ?

「どこまでやったの?」

やってないよやれてないよ!
おかしいな
僕の知る山城は真面目で少し不幸だけど姉を純粋に思ういい子で

「どこまでヤッたの?」(卑猥な手の動き)
その姉と肉体関係を望んでいるというもともとパンチ効いた性格の人だったね

朝雲と満潮は顔を赤らめて俯いている
もがみんと山雲は不思議顔

「最近の時雨はすっかり綺麗になって…」
「どう見ても○○○してる気がするし…」
「姉さまと×××するときの参考にと…」

駆逐艦に聞くことだろうか?
でもしかしなんだ

「そ、そんな関係に見えるかい?」

山城・朝雲・満潮「見える」

朝雲「違うの?」
満潮「のろけウザイ」
山城「幸せそうな奴は△△△ばいいのに…」

頭に「?」のマークを浮かべてる最上と
脳みそがフリーズ中の山雲を除けば満場一致
夕立を遥かに超えた発育。山城のような大人の女性にもそう見えるということは!?

そこで扶桑が戻ってきたので彼女にも意見を聞きたいところだけれど
山城がこちらを見ている

姉の前ではよい顔をしたいのだろう

扶桑「? 皆顔が赤いのね」
山城「話が盛りあがったのです姉さま」

山雲「あ~ わかった~ 山城さんは××のf○○king■■■~」

脈略もなく動き出したwindowsXPによって
今度は扶桑と山城がフリーズした

扶桑「や、山城? あなた子供の前で何の話を…」
山城「違います姉さま! 山城はただ時雨と提督の△△が気になって」
扶桑「いつのまにそんな関係に…」

そっか…
他人からはそんな風に見えているんだ

山雲「×××は▲▲かな~ 山雲はそういうのはちょっと~」
朝雲「やめなさい!」
扶桑「最近の駆逐艦って…」

頑張るのは今なのかなぁ
確かに冷静に考えると誰よりも距離を縮められているわけだし

山雲「愛し合っていれば~ ●●●となるのは普通だと思うのよ~」
山城「そうです姉さま! それが真理です!」
満潮「…馬鹿しかいない」

そうだよ
今こそ踏み出す勇気を出すときなんだね!

飛び交う淫語
捨て去られる乙女の尊厳
ロマンチックのかけらもない背景の中で決心がついた

最上「ねぇねぇ満潮。結局なんの話なの?」

満潮「こ、この馬鹿!馬鹿!馬鹿っ!」

最上「んもぉなんでボクが怒られるんだよぉ」

最上「ところで注文していい?」

最上「鳳翔さーん 備長炭のコークス添えとウーロン茶」

扶桑「では煮込み練炭と熱燗を」
山城「姉さまと同じもので」
満潮「ベンヂンのオレンジジュース割り」
山雲「山雲は~ 既設のセメダイン」
朝雲「なぁにそれ? 固まってない? えっととりあえずレギュラー満タン」
時雨「緑茶」

鳳翔「おや? 時雨さんはそれだけでよいのですか?」

時雨「うん 大丈夫さ」

今日が本当のスタートだから

夕立「えっと~ 今日はエタノールを嗜んでみるっぽい!」
村雨「あら洒落てる♪ じゃ村雨はLNGかな~ぁ」
白露「いっちばん高いアブガスをください!」

時雨「僕はミルク」

夕立「時雨補給受けないっぽい?」
時雨「ありがとう 大丈夫さ」

まず第一歩目
僕が人間に近づくこと
お風呂と訓練で油を抜き牛乳は臭み消し

村雨「こんなにおーいしぃのに♪」
新規摂取は我慢我慢

白露「ホントにいいの?」
いいんだよ

時雨「その分は夕立にあげるよ はい石炭なんかどうかな?」

夕立「わーい♪」

村雨「石炭~? ちょっと臭うのは困るんですけど~」
白露「ヤバイよー さすがに臭いよー」

夕立「なかなか癖になる味っぽい!」モグモグ

第二歩目はライバルを蹴落とすこと

そして第三歩目は

村雨「あらあら提督が来たわね どなたかお探し?」

提督「えーと時雨に補給の申請期限を聞こうかと」

白露「提督ー 頼りすぎはよくないよー」

提督「あ うん ごめん」

夕立「夕立も頼って欲しいっぽい!」

提督「はいはい 事務仕事ができるようになったらな」

提督「それでいつまでに書類を出せ…ば?」

提督「ってなに 近い近い」

積極的にパーソナルスペースを犯してみること
具体的には三歩下がって後ろを歩いていたところから
三歩前に出てみて
背中にぴっとり


提督「なんでいきなりくっついてくるんだよ!」

時雨「親娘のスキンシップさ」

提督「ばか やめろ」

時雨「もしかして嫌だった?」

建前があれば無碍に断ることができない人なことにも付け込んで

夕立「むーっ 時雨ばっかりくっついてずるいっぽい!!」

提督「お前もやめ うわっ臭っ」

夕立「く? 臭い…?」

提督「あっ違う ごめん つい」

凄い恥ずかしいしお腹はすくし、心は痛むけれども
これが考えついた最善の策

だけどその甲斐あって1月も続けていたら提督の態度も微妙に変化

提督「その…なんで膝の上に乗ってるの?」

時雨「事務のお仕事を教えてくれるって言ったじゃないか」

迷惑心配で遠慮していたお仕事も積極的に教わることにしよう
決心したんだもん

提督「……」モジモジ

おや? どうしたのかな~ もう相当年月禁欲を貫いているはずの提督さん

提督「とりあえずちょっと降りよう なぁ」

時雨「邪魔?」

計算して、結構練習してみた小首かしげポーズ
さてさて効き目は…

両腰を捕まれて強制的に膝から降ろされ
やったねこれ完全に意識してるよきっとそうだ

提督「と、ところでなんかつけてる? 香水とか…」

時雨「ううん なんで?」

提督「いや別に…」

…………

こちらから目をそらす提督
それを尻目に次の事務仕事を教えてもらう時間を決める
皐月との約束があるため提督は出かける時間

ドアが閉まったら最大級のガッツポーズ

この前進は僕の力のたまもの。今までの献身と最近の勇気は実を結びかけている

ありがとう過去の僕
ありがとう今の僕
おめでとう未来の僕

ああ前途がスポットライトで照らされて
まるで見えなかった道がおぼろげだけど見えてきた

そうだよ今まであんなに頑張っていたんだ
報われる時が来たんだよ。やっぱり神様はいたんだね。

うきうき鼻歌を歌いながら本部からの書類をチェック開始
彼の奥様が来月の頭この鎮守府を訪れる旨の通知があって

冷静にあと何日後なのか計算してそれに24をかけて何時間後かを計算して
さらにそれに60をかけたあたりでよくわからなくなって
それからしばらくの記憶はない

次の記憶はその書面を渡した時の提督の嬉しそうな顔で
その後もしばらく記憶がない

「制度改正」

僕らと提督が出会ってから丸4年
小学6年生のお子様だったら高校デビューをしているくらい
中2の荒れた思春期が就職を控えた高校3年生へとなるくらい
高2だったら大学3年目、もうすっかり丸くなった大人予備軍

そんな年月
一緒に居たからすっかり忘れていたんだけれど
指揮官には職場放棄できるような休暇はないから思い出す機会もなかったんだけれど
考えないようにしていたんだけれど

あまりの長期化に色々問題もあったようで
遥か上 お偉いさんは祖国から遠く離れた歯車に油を射す気になったようで

まぁつまり
なんというか
ある日唐突に戦地に家族を呼び寄せることが許可されました

内地からその方が来るまでの一ヶ月ほど

途中で船が沈まないかと願い自己嫌悪で気分が悪くなり
許可が撤去されないかと思い非現実的なことは自覚しており

年月がお互いを他人にしているだろうと
お互いの気持ちなんて冷めているんだよきっとそうだ
と、妄想して心を安定させた

そして予定の日が来て


船が港へと着き
一人の女性が下りてきて
その姿を見つけた時の提督の顔ったら……

ふと周囲を見ると
多くの小さな子は不思議そうに
ある程度成長した子は理解に困惑が混じった表情でその光景を見ていました
そして一部の女性の瞳には諦めの色が

自分はどんな顔をしていたのか
わからないしわかりたくもない

だって最初からそうだってことはわかっていたのにわかってなくて
これからどうなるかはわかっているけどわかりたくなくて
どうすればいいかはわからないけどわかっていて

作り笑顔で挨拶をするくらいがせいぜいで
「とりあえず初日は邪魔しちゃ悪いからね」
とか言ってその場を逃げることにして、布団に潜りこみました

「いい人でよかった」

突然旦那が養子を両手どころか両足の指まで使っても数えられないくらいに作ったら
普通はどうしまするかな?

まぁ怒るよね
「お前はどこの中世の王族だ!」って

僕だったら
どうするかな?


幸いなことに提督の女性を見る目は確かだったよう
彼女は提督と価値観を分かち合える人物で
つまりはそう
いい母親になろうと努力を開始

卯月「やったぁ! おかあさんもできたっぴょん!」

弥生「え あ その よ、よろしく」ギロリ

皐月「目付き悪いけどこの子嫌がってるわけじゃないんだよホントだよ」

夕立「うんうん 不器用なだけっぽい」

お子様たちはすぐに懐い……あれ? なんか混じってる

夕立「えっとなんて呼べば? お母さん? ママ? おふくろ?」

我が最大のライバルは鎧袖一触で尻尾振って…
なんだかその もやもやする

君を仮想敵として色々考えてた僕が惨めじゃないか

なんだよ戦いもしないうちに白旗上げて

どういうつもりなのか聞いてみたら
「家族が増えたら幸せっぽい!」
と力強く答えられてあまりの眩しさが辛かった。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年08月27日 (日) 14:02:22   ID: XvZKReUO

10代の子供の体力は無限だからねw

2 :  SS好きの774さん   2017年08月28日 (月) 01:09:21   ID: cMJ8JLwd

面白い とても好み 期待

3 :  SS好きの774さん   2017年12月27日 (水) 15:06:01   ID: uqxfpU8r

現在121(お母さん・提督嫁さん)登場
さてさてこっからどうなるか

4 :  SS好きの774さん   2021年02月18日 (木) 04:27:11   ID: S:YMdJSs

シグレ オトウサン シグレ オトウサン

カワイイ(心停止)

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