【がっこうぐらし】安価ぐらしDAY1【生き延びよう!】 (642)


がっこうぐらしの世界を安価を駆使して生き残ろう!というスレ
主人公はオリジナルでキャラメイキングあとは基本的に既存キャラを使う予定ではあるけど
必要だったら適度にオリジナルも含めて使っていく(モブは出るかもしれない)

安価の内容は基本的には選択肢制とコンマの判定
場面によっては自由度を増した安価も使う

ステータスは以下6種
「体力」「精神」「力」「敏捷」「知力」「器用」「感染」

・体力
 所謂HPと同義で0になったら死亡転生
・精神
 高いほど冷静に行動できますが、下がるに連れて行動にファンブル判定が付加されたり
 フレンドリファイアをしでかす場合によっては体力より大事なステータス
・力
 戦闘能力防御併用(防御は力×0.75)
・敏捷
 素早さ。早ければピンチでも逃げ出せる
 結構重要なステータス
・知力
 行動をひらめいたりするかどうかに関わるステータス
 これが低いと武器を手に入れても全うな使い方が出来ない可能性もある
・器用
 器用さ、武器性能をより強く発揮したり、ゴミみたいなアイテムを上手く扱えたりするかもしれないステータス
・感染
 要するにデバフ
 これが一定以上になると感染しきって「ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ー」
 薬等があれば、回復できるかもしれないので諦めるのは早い

まずは主人公のキャラメイキングからですね
とりあえずは性別を


1.男(体力、力補正)
2.女(精神、敏捷補正)

↓1

性別.女
続いて年齢12(中1)~24(教師.大学)の範疇で


↓1

女(24)

1.大学生
2.教師(巡ヶ丘学院高校)


↓1

女(24) 大学生
部活動経験

1.運動部(体力.力.敏捷補正)
2.文芸部(精神.知力.器用補正)
3.帰宅部(体力.敏捷.器用補正)

↓1

女(24) 大学生
文芸部
では、ステータス判定(コンマ二桁)


体力
↓1

精神
↓2


↓3

敏捷
↓4

知力
↓1
器用
↓2

ステータス集計結果

女(24) 大学生
文芸部

体力14(×3)42
精神54(×2)108
力29 (×1)29
敏捷75 (×1.5)112
知力07(×1.5)10
器用17(×1.5)25
感染00


精神2 敏捷1 知力1 器用1 補正

名前を決めます

主人公の名前

↓1


髪色
↓1
瞳色
↓2
身長(150~170)
↓3
スタイル(所謂バスト部分 大きいか小さいか)
↓4

完成

スミス・Wasshoi・アリス(24) 大学生
文芸部

身長・152
体重・普通
 髪・白/銀
 瞳・緑
スタイル・大(敏捷補正適度調整)

体力【42】
精神【108】
筋力【29】
敏捷【112】
知力【10】
器用【25】
感染【00】

性格
両親はどちらも外国人だが、
日本に憧れがある家柄のせいでいつの間にかミドルネームにおかしなものが紛れ込んでいる
本人は余り好んでおらず、基本的に「アリス」と名乗るが
名前を知る日本での友人は「わっしー」と呼ぶことが多い
勉強嫌いで留年経験があり、親に働くか大学かを強制され大学選択
しかしもちろんそこでも留年しているためまだ就学中である
高校時代は文芸部に所属していたが、運動部のスカウトを受けるくらいには運動タイプであるのだが
体力がないため長く走ることはできない
親のすねかじり(じっかぐらしニート)に加え大学留年で鍛えた精神力は並外れており
ゾンビに出会おうと、スプラッタな場面に出くわそうとまず取り乱すことはない

追加
アビリティ

【鋼の精神】
どのような状況下においても決して行動を鈍らせることはなく
脅しや脅迫と言った人間による敵対行為にも屈することもない

開始地点を選択

1.巡ヶ丘学院高校
2.ショッピングモール
3.大学
4.自宅

↓1

DAY1・プロローグ
ルート・自宅

上記設定で開始します

質問、体力が0になったら死亡転生っていうのはどういう意味?
新しくキャラを作るの?それとも同じキャラでコンテニュー?

出先ID変動
>>40
死亡時にどちらかを選んで貰う形になります


アリス「はぁ……」

午後からも講義はあるけれど、行く気力なんて毛頭湧かずため息をつく
午後の講義以前に午前の講義を欠席済みの身としては午後だからといって
行動する気になるわけではないのだ
もっとも大学なんて本当は行きたくなかったし……

アリス「……はぁ」

ため息をつくと幸せが逃げると言うものがあるけれど
私はそうは思わない
だって幸せじゃないからため息をつくのだから
幸せさんが隣にいれば余分な空気も生まれることはないし

アリス「さて……?」

午前の講義を欠席する言い訳にしていた巡ヶ丘近郊での事件がなにやら騒がしく報道され始め
外では轟くような悲鳴やクラクションが鳴り響く

アリス「怪獣でも出たの……?」

野次馬をするようなチャラい性分ではないけれど
騒がしさゆえ少し気になってしまう


1.携帯を弄る
2.テレビを見る
3.窓から外を見る
4.外に出て見る

↓1


取り敢えず枕元の携帯を手にとってSNSをチェックする
こういうときはミーハーな野次馬先輩方がこぞって情報をあげてくれる為
自分で動く必要は皆無なのである

もちろん、そこにはデマもあるだろうけど
そのときはそのときだ
緊急時はテレビ以上に役立つのがSNS

アリス「……うん?」

巡ヶ丘で見ていくと、なにやら気になる情報が出て来て思わず見入る
歩く死体、ゾンビ、化け物、リアルバイハ
三角さんが来るぞー等

アリス「……デマ?」


アリス「……画像もあるのね」

阿鼻叫喚なSNS
漫画のような光景はまるでコラ画像で
けれどそれは悪戯というにはあまりにも情報源が多かった

それも、疎らに点在しているのではなくほぼそれで埋め尽くされ……

どこかで大きな爆発音が轟く

アリス「んっ」

家が地震のように揺れて携帯の電波が不安定に乱れ、
差し込んであるはずの充電器からの電力が消えた

アリス「んー……」

幸い引きこもっていたから充電は満タンだけど
下手すると使えなくなるかも……
いや、家のブレーカーのせいかな?


1.ブレーカーを見に行く
2.SNS続行
3.窓から様子を見る
4.何か武器を探す

↓1

武器を探そう!

↓1で判定
コンマ右(09なら9)の数武器発見
左側が武器の強さ

見つけたもの一覧


1.木製の箒
2.エアガン(玉はない)
3.折れた包丁
4.スタッズの凄い靴
5.ビニール傘
6.サッカーボール(ただし空気はない)
7.お金(900円)
8.焦げ付いたフライパン


アリス「ゾンビがいるなら武器よね」

とはいえ、ろくなものがない
父が放置したグッズとか母が使えなくした調理器具……

調理器具……?

アリス「ショッピングモールだ」

大規模な事件が起こる少し前にお母さんは使えなくなった調理器具を新調すると出掛けたのだ

携帯に連絡は一つもない
すでに被害にあった可能性と携帯を壊した可能性
下手に連絡できない状況
色んな可能性が出て来た

そして、私がやるべきことも


ドンッドンッ!

アリス「……お母さんなら鍵は持ってる」

玄関の扉を強く叩く音がして見に行くと、
呼び掛ける声さえないストーカーのようなノックが響いて

アリス「?」

続くように携帯が震えてお父さんからのメールが届く

アリス「えっと……無事か。お母さんと家を出るな?」

ごめん、お母さんはいないよ
心の中で言葉を返して、しつこい訪問者と
携帯の交互を見る


1.母が居ない件をメールする(バッテリー3消費)
2.武器を持ってベランダから外へ
3.母に電話(バッテリー5消費)
4.その他の自由な行動

↓1

持って行く武器

1.木製の箒
2.エアガン(玉はない)
3.折れた包丁
4.スタッズの凄い靴
5.ビニール傘
6.サッカーボール(ただし空気はない)
7.お金(900円)
8.焦げ付いたフライパン
9.食料(100 1人1日分)

↓1と↓2

一つずつの計2つ


アリス「とりあえず武器は必要……あと、食料?」


家がいつまでも安全圏とは限らない

むしろこうやって来訪者がある今、取り囲まれるよりも先に逃げ出しておいた方が良いような気がする

そして逃げ出すなら食料。これは絶対に必要なもの

これがないなら逃げ出す意味さえなくなる

生きるために餓死するなんて、意味わからないものね


キッチンで適当に賞味期限の遠い食品や飲み物を一日分(筋力の限界)を詰めて

さび付いたフライパンを手に取る

見つけた武器になりそうなものの中

一番耐久がありそうで防具にもなるフライパン


アリス「頼りにしてるからね」


母親が愛用し……さび付いて捨てられる寸前だった

もう少しだけ頑張ってと、願いを込めて取っ手を握り、ベランダから外を覗く


アリス「あちこちで煙が上がってる」


これでさっきの画像や情報がコラやデマというのは聊か難しい

お母さんが無事かどうかわからない

でも、まずはショッピングモールに行くべきだと思う

けど……怠惰の限りを尽くさせてくれた愛校、巡ヶ丘学園は大丈夫だろうか

一応は避難所になっていたはず

すでに避難してきている可能性もある


アリス「ゾンビは……」



アリスはあたりを見渡す


ゾンビは……【判定!!】


↓1


1.2.3【無し】 4.5.6【1人】 7.8【2人】 9【3人】 0.ゾロ【自転車入手】


判定【1:ゾンビ無し】

アリス「良かった、居ないわね」

遠くの方に目を向ければちらほらとゾンビらしき歩き方をする人影はあるけれど
取り合えず近くにゾンビの姿はない

体力に自信はないけれど、逃げる足の速さなら自信はある
とはいえ絶対に逃げられる保証もないのが今の状況

私は体力も筋力も自信がない
戦闘になったら逃げるが吉だし、この先ずっと戦いを避けるなんて言うのは無理だと思う
ならどうするか

アリス「誰かと合流したい」

お母さんは私よりは戦力になるだろうけど力があるわけじゃない
お父さんはまず合流は不可能
なら友達? この状況で連絡も取り合えないようなら無事である可能性は……
それにそもそも、私って留年のし過ぎで……いや……待って

アリス「巡ヶ丘学園に慈がいるわ」

元同級生ではあるけれど、諸事情……というか私の留年で
遠く離れてしまった佐倉慈という女の子
今は巡ヶ丘学園の教師になったって話を聞いたし
その立場だからか、たまに会うことだってある

お互い、色々と悩みはあるから

アリス「お母さんか、慈か……とるべきは」

1.お母さん(ショッピングモール)

2.慈(巡ヶ丘学園)

↓1


アリス「学園に行くしかないわね」

お母さんか友人。普通の人なら肉親である母親を取るだろうけど私は違う
だって、お母さんは女でもしっかりした出来た人だもの
そうなるように私が育てた
私がニートになったおかげだから、感謝して貰おう

それと比べて慈はおっちょこちょい
生徒に【めぐねぇ】と呼ばれる事で悩んだりなんだりして
そっちの方が心配
留年して、学年が変わって、別々の繋がりも作れたはずなのに
私との繋がりを断ち切らずにいてくれた人

アリス「……慈、弱いくせに無茶するから」

ふっと息をついて学園がある方向へと足を向ける
他の教師が守ってくれているならそれでいい
でも、学校だから
子供がたくさんいるから
絶対に安全でいられるとは限らないから

アリス「学園までは歩きだと少し時間がかかるかな」

走っていけば、多少は早く着くことが出来る


1.歩いていく(遭遇判定5回)
2.走っていく(遭遇判定2回 体力消費10)

↓1

走って学校に向かうのが決定したところで今日は終了で
これでめぐねぇ生存確定するとは限らない

また明日


アリス「……」

ひとまず物陰に隠れて学園までの道のりを思い出す
みんなが通うよりも長く通った巡ヶ丘学園
そこまでの最短距離、建物の構造
変わりがなければ誰よりも早くたどり着く自信が私にはある

アリス「ここをまっすぐ……次を右」

緊張感はない、落ち着いている
こんな化け物が歩く町で、現実だと分かっていながら

アリス「……今行くわ、慈」

そんな自分に笑みを浮かべて呟く
流石、慈が【鋼の精神】と称賛するだけはあるなと

アリス「さて!」

背中にリュック、右手にフライパン
ゾンビ映画では少し不格好で、けれど現実感のある感覚を覚えながら
私は全速力で駆け出した


遭遇判定↓1

1.2.3【無し】 4.5【1人】 6.7【2人】 8.9【3人】 0【4人】

【9判定:3人!】
【鋼の精神:精神及び行動に影響無し】


アリス「おっと」

道角を曲がった瞬間、ゾンビ3人の姿が見えて足を止める
濁った呻き声を漏らしながら歩く姿はまるで
死に場所を、殺してくれる人を探し求めているようにも見える

アリス「……」

初戦闘
心許ない武器と人数差
ゾンビの能力もわからない現状で多勢に無勢は避けるべきだ

アリス「頑張れば抜けられるけど」


1.駆け抜ける(体力15消費 32/42)
2.戦う(体力32 力29+5)
3.ルート変更(遭遇判定+1)

↓1


アリス「生き急ぎすぎてる……かしら?」

自分がしようとしていること、それを考えて思う
何もかもが分からない、ゾンビタウンと化しようとしているこの町で
所謂ステータスが不明の敵3人と戦うのは
無謀だろうか、無茶だろうか、死ににいくようなものだろうか
考えて、笑う

アリス「ここで死ぬなら、私はそれまでってことよ」

ここまで自由に生きてきた、やりたいことを優先し
やるべきことをそっちのけの親不孝でクズといわれるべき人生を歩んできた
だったらここでも、やりたいこと、やろうと思ったことをやっていけばいい
阻まれるのなら、倒れるのなら、死ぬのなら

アリス「私はそれでもいいのよ。だって、元の世界に帰れる事なんて望んでいないんだから」

フライパンの底を内向きに持ち、一番手前のゾンビを見つめる
映画や漫画におけるゾンビは、能力が向上しているものから、特に変化のないものまで多種多様
目が見えず聴覚が鋭敏だとか、目が見えて耳が聞こえて問題ないゾンビもいる
では、あれはどうか?まだ不明
試すことができるような道具は今、手元にない

アリス「女が1人、男が2人の3人。まずは手前の女」

ぐっとフライパンの持ち手を握って、駆け出す

【戦闘パート突入!】
ゾンビの能力はほぼ一定で、「男」「女」「子供」「動物」で多少の調節がされます
ステータスは基礎で場合によって増減
今回は初期戦闘なので基礎の状態

【戦闘計算】
与えるダメージは筋力+武器+判定-筋力(0.75倍)
この判定でぞろ目が出るとクリティカルで強ダメになります

受けるダメージは筋力-筋力(0.75倍)-防具(または武器:武器は0.5倍)
このときに判定が入り、ファンブルすると感染確定
ダメージが大きいと感染判定が戦闘後に行われます


とりあえずこんな感じです


アリスのターン!
→通常攻撃!!
筋力29+武器5=34

↓1コンマの右側利用

【判定2 普通】
→34+2=36ダメージ!!
→ゾンビは倒しきれていない!


アリス「ふっ!」

大きく振りかぶったフライパンは女性だっただろうゾンビの顔面にめり込んで叩き払ったけれど
ゾンビは体を仰け反らせて転倒しただけでまだ動きは止まらない
まだ、生きている

アイス「いった……」

それなのに、私の手といえばプルプルと震えてしまう
元々力があると思っていたわけではないけれど
思った以上に人の頭蓋骨は固くて、重くて
フライパンの衝突と共に走った痺れに少し驚く

しかし、立ち止まってはいられない
ゾンビはまだ2.5人(転倒1)
正直に言えば勝てる気はしないけれど、でもそれでもいいのだと心は決まった

アリス「それに……今後戦う必要あるかもしれないから」

フライパンで殴った音に気づいたのか
ゾンビ残り2人の目が私へと向けられて近付いてくる
今度は男のゾンビ――


【回避判定!】
→アリス敏捷112


↓1コンマ


0110:押し倒される
1130:1人回避、1人ヒット
3170:回避
7180:1人回避、1人ヒット
8100:回避

【判定26:ヒット! 8ダメージ】


アリス「!」

右か左か、向かってくる2人のゾンビを見据え
どうするべきかどう動くべきかを、考えて
左側のゾンビが僅かに早く動いているのに気づき、身を屈めて脇をすり抜け、
軸足に力を込めて――

グイッっと、足が引っ張られた

アリス「このっ」

叩き払ったゾンビの手だった
それはすぐに蹴り飛ばしたが、その隙が最悪だった
耳元で呻く声、感じる腐敗臭
とっさに動かしたフライパンがベコリと嫌な音を立て、体に接触

アリス「きゃぁっ!」

圧倒的な力差に押しのけられた私の体は容易く突き飛ばされ、壁にぶつかる
押しつぶされた肺から空気が逃げて咳き込み、口元を拭う

アリス「けほっ」

まだゾンビは全員生存
私は頑張った……つもりだけど、全然だ
このまま頑張るべきか、逃げるべきか


【アリス:体力24/32】

1.全力逃走(体力20消費 学園へ)
2.続行


↓1


アリス「ここは逃げるしかないわね……悔しいけど」

戦力も何も整っていない現状
逃げるのが一番の選択だというのは誰でもわかることだ
突き飛ばされたことが幸いして距離が開いているうちに、全速力で駆け出す
響く足音につられてか、周囲のゾンビの目が向く

アリス「……?」

まさか、音に反応するだけ?
それとも目も見えているけど、音の方が反応する?

【疑問:ゾンビの習性】

アリス「今は急がなきゃ」

考えそうになった頭を振って、
体力の限りを尽くしてゾンビの合間を縫って学園めがけてかけていく
学園と遠くない実家
そこで暮らしていたこと、そこにいたこと
その幸運に感謝して、私は学園へと向かった



→巡ヶ丘学園編

【巡ヶ丘学園】
【アリス:体力04/42】


アリス「はぁ…はぁ……」

全力で駆け抜けてきたお陰でゾンビから逃げ切ることは出来たけど
その分体力的には限界が来ていて、見つからなそうな木陰で一息ついて座り込む

そこらにゾンビの姿は見えるから油断は出来ないけど
今のところ見つかる心配はない

アリス「…………」

落ち着いたところで学園を見上げる
校舎は所々窓ガラスが割れていて、グランドには大きな騒ぎがあったことを知らせるように部活で使う用具が雑に転がって
そこら中に赤い血だまりがある
一見大分昔の廃墟のようだけど……朝はまだ普通だった

アリス「慈は……無事?」

見渡す限り、グランドに慈のゾンビは居ない
なら学園内にいるかもしれない
あるいは、まだ人間か


1.駐車場へ
2.学園内部へ
3.少し休む(体力5%回復)

↓1

【巡ヶ丘学園】
【アリス:体力04/42】→【アリス:体力06/42】
【夕方】→【夜】



アリス「……ふぅ」

夜になると、まるで田舎の光景のように、あたりが真っ暗になっていく
どこの家にも電気が付くことはなくて、街そのものが死んでしまったように。
そして、彼らが鳴く。あるいは、泣く

時間が経つにつれてゾンビの数は目減りしていき、
今はもう数えられるくらいに減ってきているけれど、
それでも、彼らの声はするのだ

それに紛れるようにして学園内から物音がする
足音か、声か、何かの無機物の音か

アリス「ずっと見てたけど、慈は外には出てこなかった」

車の方は見ていないから、すでにいない可能性もあるけど……
いや、あの子は教師
それも馬鹿なほどに優しい、子供のような教師
だったら学校に残ってるはず
生存者を救おうと頑張って、無茶するはず

アリス「もしも慈が化け物になっていたら、私が必ず殺してあげる」

生存者を自分が敵となって襲うなんて
慈の心が堪えられるはずが無いから
優しく、全うに、誰かのためになれる生き方をして来たあの子の最期が、
化け物に穢されていいはずが無いから

アリス「それにしても……おなかすいた」

食事を取りたいけどゾンビが匂いにつられない保障が無いし
外での食事は空腹感よりも危機感が勝る
食事さえ取れれば、疲労感も多少取れるけど……



1.生徒玄関から学園内へ(携帯のライト使用 消費10)
2.窓の割れた教室から中へ(携帯のライト使用 消費10)
3.木に登って一夜を明かす(体力回復20%)
4.電話をかけてみる(消費5 レス判定 2.8.0 なら成功)


↓1


アリス「生徒玄関は広いけど、その分ゾンビの出入りも激しそうね……」

月の僅かな明かりを頼りに校舎を観察
ゾンビを刺激しないように慎重な足取りで
窓の割れた教室から中に入っていく

アリス「っ」

窓枠から中へと入り床を踏むとパキリと硝子が砕ける
まだ事件が起きてから一日も経過していない現状、窓が割れている教室や廊下等
殆どの場所がこの状態と見て間違いない
にも拘らず、電気が通っていないからか暗黒の世界と化している校舎内

ポケットから携帯を取り出してバッテリーをチェック

アリス「95%……使わないときは電源を切っておくべきね」

通信状態はもう圏外になっており、少なくとも電話用の回線は死んだと見ていいだろう
でも、今必要なのはそれじゃない
両親への連絡も出来ない微かな不安を振り払うようにため息一つ
機能からライトを選んで教室を照らす

そして――

アリス「ん……想像はしてたけど」

いたるところに飛び散る赤黒い液体、飛び散った肉片や、倒れ虫の集る死体
まさしく地獄を体現して見せた教室
ほんの少し衝撃的ではあったけれど、この世界なら仕方がないと切り捨て、見渡す
どこかに生存者が隠れている様子はないし、ゾンビがいる様子も無い


1.教室を出て廊下へ(1階の探索)
2.教室を出て2階へ(2階の探索or3階)
3.死体を調べる(判定で武器や情報)


↓1

↓1(探索判定:次回から選択安価に併設)

12 生徒手帳 3 鋏 4 凹んだ金属バッド 56筆記用具 78 無し  90 ゾンビ 


アリス「死んだら私もこうなるのよね」

冷たい肌、固くなった肉
女装趣味が無ければ女生徒であるはずの遺体の体は、
生前の努力を全て無駄にしてしまっていて
『生きている間に死に物狂いで努力しても、死ねば空っぽ。だから私は頑張るのが嫌です』
何かの読書感想文でそんな提出をしたのを思い出して、苦笑する

アリス「遺体をあさりながら笑うって、人が見たら……ん?」

大体胸元辺りをあさると、固い手帳のようなものを見つけた
巡ヶ丘学園高校の生徒手帳だ。しかも1年生ではなく2年生
後輩に会いに来たのか逃げてきたのかは定かじゃないけど……
結局生き延びることはできなかったのだ

アリス「……残念。貴女の人生はここで終わり」

苦しみにもがいて呻いた表情
見開かれた瞼を閉じて、生徒手帳を開く
一般の生徒ということもあって
今回の事件に関する情報は何も手に入らなかった

アリス「……」

一人でいることが心細いということは無いし寧ろ気が楽でいい
だけど、戦闘で勝てないのは辛いのよね
逃げることが出来るといっても
今はもう全速力なんて無理
こういう状況でさらに取り囲まれたりしたら、死ぬしかない
そんなのは、少しつまらない
もちろん、今の状況が楽しいのかといえばそうでもないけれど

そもそも……私はなぜ、生きようとしているのだろうか

【疑問:アリスの生きる理由】



アリス「……そろそろ、動くのも気だるくなってきたわね」

安全圏ではないけど、教室に入れたし、
戸締りをすれば何とか一日くらいなら過ごすことはできる
死体はあるけど、背に腹は変えられないし動かないだけマシだと思うべきだ

寝て過ごした半日
そこからの全力活動で私の体は疲労困憊で
いつもなら布団に入っておやすみなさいをしている状態だ

廊下にもまだうろついているゾンビはいるし、
こんな状態で飛び出すのは……危険だろう

アリス「でも、もう1階上に上がっておきたい気もする」

巡ヶ丘学園は3階まであって、プラス1で屋上がある
職員室は1階には無いから、慈が一番行くと思われる職員室は上階
それに、上の階に行けば行くほど安全になるといってもいいと思う

アリス「でも……疲れたわ」


1.無理にでも移動(体力10%回復 朝の行動不可 安全性+)
2.今日はもう休んでおく(30%回復)


↓1


アリス「はぁ……んっ」

ため息をつきながらぐっと気をこめてフライパンの持ち手を握り、
机を支えに死ながら立ち上がって
僅かにふらつく足に気を付けつつ扉をゆっくり開ける

携帯のバッテリー(85%)をチェックして、頭の中で校内図を思い浮かべる
どういけば最短距離か
今の私には長い距離を歩く気力はない

アリス「神様は私を救う? ねぇ、どう思う?慈」

まるで僧侶にでもなったかのような装いをすることがある慈の笑顔に問う
もちろんそれは記憶の中の話だ

アリス「さぁ、私に世界を見せて」

祈るように囁き、携帯のライトで廊下を照らす


遭遇判定↓1

1.2.3.9【無し】 4.5.6【1人】 7.8【2人】 0【生存者?:ゾロなら…】

追加判定↓1
奇数:男
偶数:女

ゾロ目なら…


「うっう……」

アリス「……あら、ゾンビかと思ったわ」

「たす…け」

呻き声に加えて覚束ない足取りで近づいてきた影に振り上げていたフライパンを下げて携帯のライトを真っ直ぐ向ける

真っ赤に汚れた制服を着た男の子は怪我をしている左腕を抑え、酷く疲れきった表情を私に見せて、手を伸ばしてきた

ゾンビ映画における負傷は死と同義
その状況を前にして、私の心はぶれることはなかった
他人だから?

アリス「助けてほしいの?」

「た…す…」


1.フライパンで頭を殴る(判定1.4.6.9成功)
2.手を取る
3.君は助からないよ。ゾンビにやられたらワクチン無しには助からない

↓1

「た、す……け」

アリス「…………」

彼に私はどんな風に見えているのだろうか
小学生の頃、母親譲りの白髪のおかげで私は良く天使と言われたけれど
この子の目に、私は光とともに現れた天使のように見えているのだろうか
だとしたら、私は失望させることになるかもしれない

アリス「君は助からないよ。ゾンビにやられたらワクチンなしには助からない」

「……! ……ぁ……」

アリス「私が君の目にどう映っているのか知らないけれど。少なくとも、君を救うことのできる人間じゃない」

非情だろうか、冷酷だろうか
そう思う心とは裏腹に言葉は彼を責めるように流れ出していく
伸びていた血まみれの手が止まって私を見つめる瞳に涙が浮かぶ

ゾンビに怪我を負わされたこと
その瞬間を思い出したのか、男の子は目を見開いて傷口を強く握りしめる
開いた傷口、あふれ出る血、漂う鉄臭さと腐敗臭
普通の女の子だったら、逃げ出すかな

アリス「幸い、君はまだ人間。望むなら君を人間のままでいさせてあげることも厭わないよ」

「…………」


アリス「とはいっても、生憎私が持ってるのはフライパンしかないからね。すごく痛いけれど」

「……ばけ……もの……みた……いだ」

アリス「……そっか」

男の子はかろうじて紡ぐことのできる声で、私への印象を口にする
化け物みたいだ。って
死と絶望が渦巻いている状況で余裕を見せていて
他人とはいえ人の死を目前にして自分のくだらない言葉に笑うことが出来てしまう

それを化け物以外の言い方があるのか
慈ならきっと、そんなことないわ。と言ってくれると思う
慈ならきっと、私と違って男の子を救おうとすると思う

ゆっくりと目を瞑って、息を吐く
別に緊張はしてないけど、ただ何となく
そうしてみれば人間らしい覚悟のようなものが見せられるのかなと思った

アリス「き」

「あ゛ぅ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

もう一度声をかけようとした瞬間に項垂れた男の子が呻き声を上げて頭を振る
ごつん。ごつんっと壁に頭がぶつかって鈍い音がする
もう限界なのだろう……だから、言ったのに

アリス「限界、だね」

「あ゛あぁぁ……うぅぅ……た、す……け……」

男の子はまだなりかけの、人間の瞳から涙を流して私に手を伸ばす
求めてる救いは、何なのだろう
ゾンビ化の回避?それとも、人間としての最期?
だけど私は……非力だ


1.フライパンで殴る(1.4.8.0.成功)
2.上の階に急ぐ

↓1

アリス「かなり、痛いからね」

宣言してから 動きの鈍い少年の頭頂部目がけて、フライパンを振り下ろす
ゴンッっという強い衝撃音
腕に響く振動と、ゾンビとはまだ違う男の子の苦しそうな呻き声

――失敗した

すぐにそう気づいた
男の子は倒れ込んでぴくぴくと痙攣し、
どこからともなくゾンビたちの呻き声が聞こえ、距離を詰めてくる
暗闇の中から走ってこないだけましだけど、
それでもこの狭い通路で囲まれるのは得策じゃない

アリス「力がなくてごめんね」

「あ゛が……う゛ぅ゛」

頭蓋を割り切れず、額から血を流す駄犬にとどまった男の子は呻き、もがいて頭を抱える
痛そうで苦しそうで辛そうで
でも、非力な私の力では男の子を殺してあげるほどの威力には程遠い

アリス「…………」

チラッとフライパンを見る
焦げ付いて、すぐに壊れてしまいそうなフライパン
我が家でブラック企業顔負けの重労働を強いられてきた可哀想な調理器具

今の私が持つ最後の武器
これが壊れるくらいに全力でやれば、絶命させられるかもしれない
武器が無くなるのは不安だけど

アリス「君が痛いのは、私のせいよね」


1.全力でぶん殴る(武器破壊確定)
2.通常殴打(1.5.7 成功)
3.今回は見送る(2階へ)

↓1

アリス「……ごめんね。また会いに来るわ」

その時には、きっと
その時には必ず私が殺してあげるからと、倒れ込んだ男の子に告げて駆け出す
後ろからまた、助けてと声がする
けれど私は振り返らない
彼の願いを今の私が叶えてあげることは出来ないから

アリス「……」

少しだけ、罪悪感というものを感じた
けれど、ほんの少しだけ
前を向けば、違う目的を見つければ消えてしまうような
そんなちっぽけな罪悪感だ
私がいた1-B、そのすぐ隣のAクラスのさらに隣
2階への階段を駆け上がってすぐに携帯の明かりで周囲を照らす

携帯バッテリー(70%)

アリス「ここまで来ると、少しは楽になるかな」

ゾンビは階段を登るのが得意ではないのか、
1階のように普通に廊下を歩いているなんていうことはなくて
とりあえず一息つく

アリス「……あ」

次の瞬間にはふらりと体が揺れて、壁に左肩がぶつかって痛みが走る
走り続けて、戦って、ほとんど休みらしい休みを取れなかった私の体はもう、
歩くのすら限界なほどで、仕方がなくすぐ横の3-Aの教室を覗き、ゾンビがいない(大惨事ではあるけど)ことを確認して
意味はともかく施錠を施して、比較的綺麗な床に座り込む

アリス「 もう疲れたわ」

慈に会いにここまで来たけれど、まだゾンビになった慈の姿は見ていない
生きてるのか死んでるのか何も分からない状況
そのあと先を考えるような気力もなくて
私は下りていく瞼に抵抗せずに目を瞑る

アリス「慈……」

きっと生きている
貴女は優しい人だから。生きているべき人だから
そんな思いを胸に抱きながら、私は眠るのではなく……気を失った


【DAY1 巡ヶ丘学園編 クリア?】

【疑問:ゾンビの修正】
【疑問:アリスの生きる意味】
【約束:男子生徒の介錯】

まずは【DAY1】お疲れ様でした
【DAY2】は通知通り疲弊しきったアリスは朝の行動を行えませんので昼からとなります


・アリス
他人に関しては殆ど無関心を貫くが
関わってくる相手には一応相手をする
冷酷で無感情に思われやすいが、そんなことはなく慈と話しているときなどは良く笑ったりする
メンタルは強靭で何事にも動じないがそれは単に世界そのものを自分とは無関係と異次元的理論があるためでそれゆえに生き方は自由で我が道を突き進む

【DAY2 巡ヶ丘学園高校2階:3-A】
【アリス:体力:18/42】
【疲弊により昼スタート】


アリス「ん……」

ゴンッゴンッという鈍い音で目を覚ます
学校によくある壁上に設置された時計はもうすでにお昼の時間を指していて
自分がどれほど疲弊していたのかを自覚する
その間にも扉にぶつかる音は続き、教室の扉の大きな窓枠には頭を打ち付けるゾンビの姿が見えた

アリス「あ……失敗しちゃったわね」

昨日の疲れで気絶するように眠ってしまったせいで
学園内に侵入してきた、あるいは元々いたゾンビが教室に入ろうとしているのに全く気付かなかったのね
1階だったらもっとたくさん集まられていたのかと思うと
無理にでも2階に上がって来ていたのは正解……かな

アリス「壊れそうなフライパン片手にゾンビに勝てるのかと言えば……無理ね」

学園までの道のり、学園に来てから
いずれもゾンビとの遭遇はあったし、逃げずに立ち向かおうとしてみたけれど
残念ながら倒しきるまで行くことは出来なかった
つまり非力なせいで武器が心許ない状態では全くもって歯が立たないと言うことになる

アリス「まともに休めたわけじゃないから、まだ体力も全快には程遠いし」

さてどうするべきかしら
逃げるならとりあえず、ゾンビがいる左ではなく右の扉よね
校内図的には……3-B側
向こうにも階段はあるから、上手く良ければ真ん中から行くより早く職員室にたどり着くことが出来るけど……


1.とりあえず周囲の状況把握
2.右の扉から脱出
3.あえてゾンビを招き入れる

↓1

【各判定:1-7 普通 8.9成功 0失敗】
【各判定:1-3 無し 4-7遭遇 8-9遭遇中 0大成功】

【右から脱出 判定:6:遭遇】

アリス「悪いけど、君たちの相手をする気はないわ」

左側の出入り口の扉を叩くゾンビを無視して、右側の扉から勢いよく飛び出す
振り返れば群がるゾンビ、扉を開けた音のせいか何人かの目が私へと向いて
そして、そのゾンビ達に背を向けた瞬間、あんまり見たくないものが見えた

「あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛……」

アリス「私に死ねと言いたいの? そんなに、私を殺したいのかしら」

後門のゾンビ、前門のゾンビ
狭い廊下で、私はゾンビに囲まれることになったのだ
ただ、幸いにも前門のゾンビは後門と違って単体で
何とか頑張れば、気に抜けられるはずだ

そもそも、今の私に全力疾走できるほどの余力はない
限界を超えて力を使えばまた気絶するのは必須
なら、戦うしかない……?

アリス「君は、もう少し頑張れるかな?」

握りしめたフライパンの、少しへこんでしまった底を撫でて
砕け散りそうな持ち手の部分を指でなぞる
新品ならまだまだいける。攻撃力だってきっとあった
でも、これは我が家の相棒。ゆえにもう限界が近い

アリス「君が私を守りたいなら、守ってくれるのなら。御願いね。でも……」

別に無理にとは言わないよ。と、呟きながら笑う
この追い詰められた状況で笑うのはやっぱりおかしいのかもしれない
でも、別にいいやと思うのだ
死ぬなら死ぬで、それは運命のようなものだと私は思うから
それが私の限界だっていうことだから

アリス「ちょっとだけ頑張ろうか」

1.右から
2.左から
3.真正面から

↓1

【力29+敏捷112 コンマ70以下成功 ぞろ目クリティカル】
【各判定コンマ右側:1-7 回避 8.9命中 0噛みつき(左奇数) 0カウンター(左偶数)】 

【左から:判定:88:クリティカル】


アリス「ここらでちょっと……頑張らなきゃね」

右手に持つフライパンに力を込めて、一息つく
研ぎ澄まされていく感覚にゾンビの声が割り込んでくるけれど
それさえも気にせずに踏み込む足に力を込めていく

靴底のゴムがズリズリと擦れていくにつれて体が前傾姿勢へと傾いていくのを感じながら
それを手伝うように身をかがめて右腕を左側へと待機させて身構える

「あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛」

アリス「耳障りね……君たちは」

少しずつ近づいてくる彼らの声を背中に受けながら
もう少し、もう少しだけと踏み込む力を蓄えて……蹴り出す

アリス「少しだけ……頑張ってね」

一気に距離の詰まったゾンビの左側に飛び退いて
狭い通路ゆえに接触しかけた壁を足蹴にする
普通ならここまでする必要はないとは思う
けれど私には力がない私には一撃で頭を破壊するような腕力も武器もない
ならどするか

アリス「ふっ!」

ぐるりと半周分の勢いを上乗せし、全力で振り抜 いたフライパンは ゾンビの後頭部を強打
打ち飛ばされた頭は壁に衝突して鈍く痛々しい音を響かせる
ズルズルと崩れていくゾンビのぶつかった後には、グロテスクな赤黒い肉片がこびりつく

アリス「……お疲れ様」

ビキリと壊音を鳴らしたフライパンは根元からひび割れてころりと落ち
高い金属音を響かせてカラカラと群がるゾンビの 方へと転がって
ぐわぐわんと、まるで誘うかのようにその場で終息をへと向かっていく

アリス「ありがとう、君は私の英雄よ」

【喪失:武器のフライパンが壊れました】

フライパンがゾンビの気を引いてくれている間に
廊下を駆けて資料室の斜め向かいにある階段から3階へと向かった

【巡ヶ丘学園:3階】

アリス「あら」

階段を上ってすぐに曲がった先には机を一生懸命に組み上げたと思われるバリケードがくみ上げられていた
もっとも、まだ完成と呼ぶには程遠く脆そうで
大量のゾンビに襲撃などされれば脆く崩れ去ってしまうだろう
とはいっても、現状でくみ上げられるのはこの程度なのかなと少しだけバリケードを押してみる
思ったよりは頑丈そうで、弱い力では問題なかった 

アリス「さて……」

机といすの隙間からバリケードの奥を覗く
今は人がいない廊下だけど、バリケードの中に人はいるはずだ。
それも、生存者が
とはいってもその生存者の中の誰かがゾンビになる寸前とかだったりしたら
見事な袋のネズミというものになりかねないのだけど

アリス「とりあえず」


1.声をかける
2.バリケードをよじ登る
3.慈の名前を呼ぶ

↓1


アリス「慈、慈はいる?」

とりあえず目的の慈の名前を呼ぶと
少し離れた物理室か物理準備室から人影がゆっくりと出てきた
最初はゾンビかと警戒したけれど
歩き方は普通に人間で、しっかりとした意識を保った目が私を見る

「……誰だ?」

アリス「あら、学生さん……よね?」

「…………」

濃紺色の髪をツインテールに結び、スコップを片手に持って身構える学生は
私の質問には答えずに警戒を解かないままで
そのすぐあとから、見慣れている人物が走り寄ってきた

慈「恵飛須沢さん、待って!」

「めぐねぇ? 知り合いか?」

慈「ええ……」

見覚えのあるシスターのような紫系統の服に、十字架のネックレス
明るい桃色の髪、白いリボン

慈「アリスさん。よね?」

慌ててきたのだろう
息を切らしている慈は伺うように隙間から私を見て、私も見返す
少なくとも、ゾンビになっていることはないらしい
そう分かって、自分が安心したのがすぐに分かった

アリス「……良く生き残れてるね。慈」

慈「アリスさん……」

アリス「私は怪我をしていないし、とりあえずそっちに行っていいかな」

「一応……見させてもらうけどいいなら」

アリス「疑うのはもっともだわ。好きにして」

恵飛須沢と呼ばれた女の子にお伺いを立てて
許可と言えないような許可を貰ってからバリケードを乗り越えて慈たちと合流する
嬉しそうに安心した表情を見せる慈の一方、恵飛須沢と呼ばれた子からの警戒心はまだ強く感じた


【慈:胡桃:由紀:悠里との合流に成功しました】

胡桃「………」

アリス「生存者はこれだけ?」

慈「アリスさんが下で見かけてないなら……」

アリス「そっか」

慈の浮かない表情から目を背けて、室内を見渡す 
まだ腰を据えていない仮の休憩室には生生活用品と呼べるようなものは一切なくて
昨日の着の身着のままと言った様子

生存者は私を除いて4人
私が目的としていた学園の教師、佐倉慈
私を強く警戒していた運動部の恵飛須沢胡桃
園芸部に所属していて、運よく屋上にいたという若狭悠里
慈と一緒に屋上に来ていたおかげで助かった丈槍由紀
それがこの学園の生き残り 

胡桃「問題なさそうだ」

私の体をチェックしていた女の子は警戒心の抜けきらない声で言うと
ふぅっとため息をついて私と慈を見比べる

胡桃「めぐねぇ、知り合い……なんだよな?」

慈「アリスさんは少し大人びてるから年上に見られがちだけど、私の同級生なの」

アリス「私がというより、慈が下に見られてるのよ」

慈「うぅ……」

アリス「とにかく貴女が無事でよかったわ。慈」


1.ゾンビになってたら、殺さなくちゃいけなかったから
2.これからどうするつもりなの?
3.スミス・アリス。両親は外国人だけど、生まれたときから日本で生活してきたから、言葉とかちゃんと分るわよ
4.慈は今回のこれ……何かわかる?

↓1

アリス「……ふむ」

生存者のうち3人はただの学生で、一人が教師
大人だからと言って知っているとは限らないけど

アリス「慈は今回のこれ……何かわかる?」 

慈「…………」

慈は悲しそうに眼を伏せるだけで口を閉じ、首を横に振る
解ってた。慈がこんなことについて何かを知っているはずがないって
それでも、私よりは多くを見ていた慈なら
私よりも社会を経験した慈ならと、少しだけ期待していた

……なんて、ね

アリス「だよね。私も何が何だかさっぱりなんだ。君たちも……さすがに分かるわけがないよね」

胡桃「……」

悠里「……」

由紀「……」

黙り込む生徒3人にそれぞれ目を向けてから また慈へと目を向ける
昨日いきなり日常が崩壊して、みんなの精神状態はまだよくなって来てるとは言い難いと思う
だけど、私にはみんなをどうにかするような力はないし、そんな性分でもない
ここは、慈に頑張ってもらうしかないけど……。

慈「……」

今はまだ、頼り切れる状況じゃなさそうね
仕方がない……優しい子だから。すごく、傷つき続けているだろうから

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) 昼の部②】
【アリス:体力:18/42  状態:疲れ気味】

アリス「……」

当初の目的だった慈とは無事に合流することが出来たけど
そのあとのことを考えていたわけじゃないし
私はこの後、どうしようか……
折角合流したのだから、慈たちと行動はしていたいわよね

それにしても、まだ疲れが抜けてない
戦闘の影響か、右手も少し痛いし
昨日だって気絶しただけで休めたとは言い難いから

さて、どうしようかしら

1.休ませてもらう
2.胡桃と話す
3.由紀と話す
4.悠里と話す
5.慈と話す
6.全員、これからについて

↓1

【6判定:1-3.問題なし 4.7.由紀 5.8.悠里 6.9.胡桃 0.ファンブル】

アリス「慈、申し訳ないけど休ませてもらっていい?」

慈「良いけど……布団とかがないの。大丈夫?」

アリス「うん、それは覚悟してるから」

室内をみる限り、そんな優良とまではいかなくても
可を貰えるような設備が整っていないことは明白だった

胡桃「大丈夫なのか?」

慈「大きな怪我はしてなかったから、おかしくなっちゃう心配はないと思うわ」

由紀「……」

アリス「心配しなくても、疲れたから寝るだけよ。君達に会うまで、私は外で頑張ってきたんだから」

胡桃「別に、そんな心配はしてないけど」

何かを言いたげにするスコップの子
膝を抱えたままの帽子の子
中で一番落ち着いて見える子は、黙って私を見る
そこにはどこか不安を感じるものがあったけれど
私は気にせずに、リュックを枕にして横になる

アリス「私が必要になったら声をかけてもいいよ」

胡桃「戦える……のか?」

アリス「……zzzz」

胡桃「早っ!?」

慈「アリスさんはそう言う人なの。悪い人じゃ、ないんだけどね」

胡桃「そっか……とりあえず、めぐねえ。バリケードの補強と物資調達に行こう」

慈「そうね……丈槍さんと若狭さんはここで待機していてね?」

悠里「……解りました」

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) 夕方の部】
【アリス:体力:30/42  状態:普通】


他キャラがいる為、イベントの有無を判定

0.1 悠里
2.3 胡桃
4.5 由紀
6.7 慈
 8 悠里
 9 慈

↓1


【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) 夕方の部】

由紀「……zzz」

ふと目が覚めると、すぐ隣で帽子の子が寝息を立てていて
一応起こさないようにと周りを見てみると、この子以外の誰も居なくなっていた

アリス「んっ」

固い床で寝てしまった痛みを解すように体を伸ばして息を殺す
廊下の少し離れたところから鈍い音と誰かの声……多分、慈以外の女性徒のどちらかの声がする
窓の外を見れば日が暮れた夕方
大分疲れはとれたように感じるけれど、まだ万全とは言い難い
やっぱり、ちゃんとしたところで休むべきだ

アリス「それにしても……君は私への警戒心が足りないわ」

どんな人間かもわからないのに
すぐそばで無防備に眠って、なぜだか手を握っている
誰かの隣にいる、誰かがいる
そう言う安心感が欲しかったのかもしれないけれど

アリス「まったく、慈は厄介な拾い物をしたわね。子供のお守なんて……」

あぁ、でもそれが先生というものなのかな
それが、佐倉慈という人間だったよね
私にはちょっと、良く分からない考えだ
私にとって、他人は他人でしかないから

アリス「そんなことを言ったら、慈は怒るかな? 優しい声で。あんな怒っていない声で」

さて、二度寝するのはさすがに部外者として失礼にあたるだろう
とりあえずは、武器を探すべきかな
物理準備室、それなりの鈍器があればいいけれど


↓1 コンマの大きさ=武器能力(ぞろ目は再安価で自由安価による武器取得)

【判定:32:そんなに強くない武器】

アリス「こんなものか」

殆どの実験道具は騒動のせいか壊れてしまっていて
まともに武器として使えそうなものは木で作られた長方形の箱のようなもの
いたるところに数字が書かれていて、実験道具ではあるのだろうけど
私にはどんな用途のものなのか分からない
強度も多少は持ちそうだけど、さほど長くは使えなそうな感じだ

アリス「もっといい武器…あのスコップとか、予備があれば嬉しいけど」

スコップならうまく使えば首を切り落とすこともできるはず
それなら、一撃が決定打
昨日仕留め損ねた男の子だって殺してあげることが出来るに違いない

由紀「アリス……さん……?」

アリス「少し騒がしくしちゃったかな?」

由紀「……どこか、行くの?」

不安そうな表情
やっぱり、誰かと一緒に居たいんだろう
あるいは、誰かにいて欲しいのだ
自分一人ではこの状況でどうにもできなくて死んでしまうかもしれないから

――多分だけど
私には精神鑑定なんて力もないし、憶測になるくらいは許して欲しいところだ


1.少し道具を探しただけよ。心配しないで

2 .私も少し外に出るわ。君はここに居なさい

3.外に出るのよ? 君はどうする?

4.……昨日、何があったのか話してくれるかな?


↓1


【4判定:0.5.8 のみ】


アリス「はぁ……」

ため息をつく、ただただ面倒くさいから
子供と戯れるような趣味はないし
誰かに頼られてあげるような性分でもないけれど
こうなってしまったら、仕方がない

アリス「私は外に出るわ。君はここに居なさい」

由紀「で、でもっ……外、はっ」

アリス「危険なものが歩いてる。けど、そこに慈たちがいるんだから。仕方がない」

由紀「……」

アリス「あのスコップの子が頑張ってくれたから、慈は無事なんでしょう? だったら、私はその借りを返してあげなくちゃならない」

殺すことに抵抗があるわけじゃない
でも、唯一私の本当の友人足り得る慈を守ってくれたことに感謝はすべきだ
であれば、その負担を少しでも軽減してあげるべきだろう

私のような人間ならともかく、ごくありふれた普通の女の子だったのなら
ゾンビになったとはいえ、それを殺すと言うのは精神的に大きなストレスになりかねない。と、思うし

アリス「君は怖いんでしょう? だったらここにいると良い。大丈夫、別に間違ってないわ。それが普通なのよ」

由紀「だ、けど……けどっ」

アリス「手遅れになる前に行くわね。何か話がしたいのなら、また後できて頂戴。話くらいなら聞いてあげるわ」

泣きそうだったから。 そんな面倒ごと、泣き虫の相手は御免だとその部屋から足早に出ていく
私は冷たい人間だろうか
でも、私にとって帽子の子はその他大勢にすぎない
だからごめんね。君の相手はしていられない

【アリス:体力:30/42  状態:普通】


胡桃「りーさん、下がれ!」

悠里「で、でもっ」

胡桃「あたしがやる!」

慈「恵飛須沢さんっ!」

ツインテールの子が、スコップを振るう
鈍い音、赤黒い飛沫が壁に付着し彼女を汚す
外側から見ていると、とても薄気味悪くて
普通の女の子、あの帽子の子ならトラウマになりかねないなと思う
いや……あの子だけでは、ないかな

アリス「慈」

慈「アリスさん……良かった。起きれたのね」

アリス「そんなに熟睡してたかしら」

悠里「全く目を覚ましそうには……あ、あのっ」

アリス「ん?」

口を挟んできた細目の子が私の後ろを見て
気づいたように慌てて口を開く

悠里「あの子は……」

アリス「帽子の子は置いてきたわ。見せられないでしょ?」

そう言うと、細目の子は俯いてしまって
スコップの子も気まずそうにかちゃりと金属音を立てる

胡桃「…………」 

アリス「…………」

少し気になった
だからと言って関わる気は毛頭ないけれど
暇なときには触れてみるべきかもしれない
スコップの子がなぜ、こんなにも戦うことが出来るのか 
反応を見るに望んでこうなったわけではなさそうだ

慈「とりあえず……戻りましょうか」

慈の指示だ


1.従う
2.従わない

↓1

【2判定 1.7.悠里 5.8胡桃】

アリス「解った、そうしよう」

慈の願うような視線を向けられて、仕方がなく承諾する
私としては武器を探しに行ったり、
もう少しマシな寝具を手に入れたかったけれど
慈が言うなら、仕方がない

アリス「慈がリーダーだから」

慈「そんなっ、リーダーだなんて」

アリス「私と慈が同級生でも、学園の知識は先生である慈の方が上よ」

慈「………」

アリス「ね?」

少し明るめの口調で肯定を求めると 慈は少し困り顔を浮かべながらため息をつく
私はそんな困らせるようなことを言ったつもりはないけど
慈にとっては、そうだったらしい

慈「相変わらずでなんだか安心するわ。アリスさん」

アリス「それは良かった」

何もわかってないけれど
とりあえずそう答えて、ほかの二人と一緒に物理準備室へと戻った

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) 夕方の部②】
【アリス:体力:30/42  状態:普通】 

さて、暇になってしまった

何とか取り戻した区画である物理実験準備室から私が上がってきた階段
そこまでは一応の安全圏と言えるけれど
それ以外の区画はすべてアウト

当日は確か早めに帰れる日だったはずだけど
それでも部活も相まって人は多かっただろうし、3階 には職員室まである
誰かが真っ先に向かうであろう場所
要するに、かなりの危険区域
夜でもいないわけじゃないと言うのが、聊か面倒だ

アリス「………」

この際だ、誰かと交流を深めてみるのも悪くはないかも知れない
慈はこれから最低限二人一組だと言っていたし
常に慈と一緒に行動すると言うのも難しいと思う

慈の代役に誰かがなるかもしれないし
それでなくても、誰かを加えた三人一組になる可能性もあるから


1.由紀
2.悠里
3.胡桃
4.慈
5.何もしない

↓1

【5判定:1.9由紀 3.0胡桃 5.2悠里 7.4慈 6.8無】

そしたら投下ここまで続きは明日
疑問ですが普通に○○室とか出してますが巡ヶ丘学園の校内図は把握できてます?
3巻を持ってないと多分解らないけど

一応解放区画等あるので簡易な校内図です
赤塗りが未解放区画
原作では放送室が休憩室?(周辺機器的に)
アニメでは資料室が休憩室
現状では資料室前が階段、放送室が未解放なので
物理準備室を仮眠室としています


http://i.imgur.com/ckgiD1i.png

【お話:丈槍由紀】


アリス「随分と暗い顔をしてるわね」

由紀「……」

帽子の子は私が初めて会った時からだけど
随分と陰気な顔をしている
もちろんこんな状況下に置かれ楽しんでいられたら
それはそれで気が狂っているということになるし
さっきも言ったことだけど、これが普通だ

アリス「少し、お話でもどうかしら」

由紀「話……?」

アリス「ええ。君にだって私にぶつけたいものがあるだろうし」

そう言ってみると、帽子の子は光の無い目を向けてくる
全くもって似合わない目だ


1.丈槍由紀について
2.アリスについて
3.この状況について
4.普通であること

↓1

【会話:丈槍由紀について】


アリス「君は、えっと……」

由紀「……由紀、丈槍由紀です」

名前がぱっと出てこないでいると、帽子の子は表情も変えることなく
私に向かって自分の名前を呟く
覇気も何もない、痛々しい声だった


アリス「あぁ、そう。そうだったね」

由紀「……」

アリス「わざとじゃないのよ。私は人の名前とか覚えるの全然得意じゃないから」

どうせ短い付き合いなのだから
別に覚える必要なんて無いと思っているのが本当のところだった
名前を呼ぶのなんてめったに無くて、適当な言葉をくっつければ相手は自分に対してだと思ってくれる
だからこそ、慈は私にとって特別に値するんだろうと思うわけで。


アリス「だから要するに、少し君の話が聞いてみたいのよ。もちろん、無理にとは言わないけど」

由紀「私は……特に、話すようなことなんてないんです」

か細い声で漏らした帽子の子は、膝を抱えていた腕をより強くして
また小さく縮こまってしまう
自責の念が強い……というところか
生きてきた中で一度は見たことのある挫折の姿だ


由紀「めぐねえが、一緒に居てくれたから。めぐねえが、補習をしてそれで、だから……」


             ”助かっただけ”


アリス「君は自分が一人ぼっちだったら死んでいたと?」

由紀「……だって、私、何も出来ないから、足手纏いになっちゃうから」

アリス「なるほど……君という人間が少しだけ分かった気がする」


1.君は天才と凡人を比べてしまう人間だね
2.それの何がいけないのかな?
3.なら努力をするべきじゃないかな


↓1

【各判定  0.2.4.6.8 可 1.3.5 良 7.9 不可 ぞろ目 優】


【3:判定:2 可】


アリス「……だったら、君は努力をするべきじゃないかな」

由紀「努力……」

アリス「そうね。例えばさっき私が出て行ったときに、後ろからついてくるとか」

ついてこられたら足手まといなのだけど
それでも、足手纏いになると分かっているのなら
何が足手纏いになるのかを学ぶべきだ

それを知って、なら自分はどうするべきなのか
それを考え、学んで少しずつ変わっていく
それが人間というものなのだと私は思う

アリス「君が現状の自分に不満があるのなら行動するべきだわ」

由紀「……」

アリス「もちろん、私は強要する気は無いけどね」

それに、私は保護者でも慈のような教育者でもない
だから正直、守ってあげる義理も無いから
足手纏いになられては困るけど

アリス「君達には慈がいるんでしょう? 頼ってあげるといい。彼女は何も語られないより、語られた方がいいはずだから」

由紀「アリスさんは……めぐねえの友達……ですか?」

アリス「そうね。友人といえると思う。だからと言って頼られても困るよ? 私はそういうのに慣れていないからね」


帽子の子は私の拒絶に対して少し残念そうに頷く
私とこの子は他人だったのだから当然のことなのに

アリス「君がこの先生きていくことができたら、いつか、君も私の友人になれるかもしれないよ」

由紀「今は」

アリス「さてどうかしらね。少なくとも、陰気な子との付き合いはするつもりは無いわよ?」

だって、そんなのは何も楽しくはないし
なにも変化を起こしてくれることはないから
頑張ろうとしている子、変わろうとしている子
そういうこの相手なら、吝かでもないけど

由紀「でも、迷惑じゃ……ないかな」

アリス「君が頑張ることが?」

帽子の子は頷く
足手纏い、だから自分の行動は迷惑になるんじゃないか
そう言う考えは、持って当たり前だけど

アリス「それはみんなに聞いて見るといいわ。私よりみんなの方が、君に対する態度は親身なはずだよ」


【交流:丈槍由紀】
【交流結果:並】
【由紀→アリス 他人(大人の人)】

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) 夜の部】


慈「私が見回りするから、みんなは休んで」

そう言い出したのは、慈自身からだった
自分が教師である等立場上、たとえ戦力であるスコップの子であろうと
見回りを任せて自分が休むのはありえないという考えからだろう

アリス「まったく……」

慈は優しい人間だ
自らよりも他をとろうとする愚かな子
だから時々そういう無茶をしてしまう
自分だって、相当疲れているだろうに

ちらりと部屋を見渡す
女生徒3人は固まって横になっていて、
スコップの子はやはり、スコップを手放そうとしていない

アリス「まだ、眠れていなそうだけど」

慈が見回りしてくれるとはいえ、どこからともなく声がする
落ち着いて寝られるわけが無い


1.由紀たちと話す
2.慈と見回りする
3.単独行動(自由)


↓1

【各判定:1.2.3.4 可 5.6.7 良 8.9 不可 0優良】
【不可・優良は2の場合 ゾンビ遭遇】

【由紀たちと話す:判定:6】


アリス「起きてる?」

そう声をかけてみると、子供達はモゾモゾと動いて私のほうへと目を向けてくる
本当に、誰も眠れていなかったらしい

胡桃「アリス……さんは、寝れるのか?」

アリス「私は問題なく。そう言う人間だもの」

胡桃「……声がするんだ。ずっと、昨日だって……」

スコップの子は恐怖に駆られたように震えだして
その手を隣の園芸部が掴む
二人は帽子の子を除いて仲が良いらしい

悠里「胡桃、落ち着いて」

胡桃「分かってるけど……っ」

私は戦えるなら戦えるなりに、何かがあったのではないかと最初に考えた
そして、それは間違っていなかったらしい
君は何を殺したのかな……
トラウマになってしまうほど、やってはいけないことをしたの?

アリス「ごめんね。君を怖がらせるつもりは無かったんだけど」

胡桃「!」

ぽんっと項垂れる頭に手を乗せる
撫でないけど、友人のような軽く叩くことはしないけど

アリス「君は良く頑張ってる。だから無理はしちゃいけない。辛いなら言えば良い、苦しいのなら言えば良い」

胡桃「そん、な……こと」

アリス「仕方がないと割り切れるのは頭だけだよ。心までそれで何とか出来たりはしない」

私は先生ではないし、医者でもない
慈ほどの人生経験を積んできたわけでもないけれど
でも、私だって一応は24年間生きてきた人間だから

アリス「君はもっと頼って良い。みんなが頼る分だけ頼って良い。少なくとも私はそう思う」

悠里「そうよ、胡桃……一人で頑張らないで」

胡桃「りーさん……」


園芸部の子の言葉にスコップの子は頷く
辛そうな笑いかただったけど
少しは、解消できるようになったはずだ

由紀「ぁ……」

帽子の子も言葉をかけようとして、手を伸ばして
スコップの子がなんだよ。と、少し呆れ気味に受け取る

由紀「私も……」

胡桃「ありがとな」

由紀「わわっ」

がしがしと頭を頭を弄くられて驚く帽子の子
多少の無理はまだあるだろうけど
笑顔を見せるスコップの子、園芸部

アリス「……」

何があったのかは……まだ聞くべきじゃないだろう
私とみんなはまだ他人でしかないから
そう思って距離を置いていると

胡桃「アリスさんも……頼らせて貰います」

許可していないのに、そう言ってきた

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY2:集計】
【アリス:体力:30/42  状態:普通】→【アリス:体力:42/42  状態:良好】

関係性変動

【由紀 他人(大人)→知合(怖い)】
【胡桃 他人(不信)→大人(優しい)】
【悠里 他人(警戒)→他人(普通)】
【 慈 友人(信頼)→友人(信頼)】


巡ヶ丘学院高校解放率変化無し

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY3】
【アリス:体力:42/42  状態:良好】
【食料残り40】
【合流:慈.由紀.胡桃.悠里】



胡桃「食料が、無い」

朝、スコップの子は切迫した表情でそう言った
まぁ、仕方が無いことだとは思うけれど
現在確保できた区画で食料が調達できるのは屋上の園芸部の栽培している野菜のみ
それもまだ完全に育ち切っているとは言いがたい野菜

アリス「それは大変ね」

胡桃「それは大変ねって……アリスさん」

アリス「何か?」

少し挑発するように聞き返すとすぐに間に入ってくる影が見えた
確認するまでも無く、慈だ

慈「アリスさん、ちょっと良い?」

アリス「緊急の話?」

慈「そう……大切な話」

これから適度に朝食をとろうと思ってや矢先の呼び出し
少し不快ではあったけれど、字が言うのならと承諾して一緒に部屋を出る
向かったのは、すぐ傍の2-Aの教室だった


アリス「……なんとなく言いたいことは分かるよ」

教室に入ってすぐ、背中を見せる慈に向かって言う
むしろ分からないわけがない
この食糧危機の状況で、食料がある自分への申し出なんだから

アリス「食料のこと、よね?」

慈「うん……」

一昨日の夕方から何も口に出来ていない(水は除く)なら、
空腹は相当なものだろうし、健康面でも心配になってくる頃だろう
それに、寝ているときにも子供達の空腹の音は聞こえていたし

慈「アリスさんも、それが大事だって言うのは分かるの……分かるけど」

アリス「……」

慈はとても切り出しにくそうに
罪悪感さえ抱いていそうな表情で、願うように口を開く

慈「私はいいから。せめてみんなには分けてあげて欲しいの」

アリス「……そう来るのね。慈らしいわ」

慈「お願い、アリスさんっ」

そんなに”他人”が大事なのか
自分も苦しい状況なのに、自分はいいからと自分を切り捨ててまで
他人に尽くすほどなのか
私にはまるで理解が出来ないよ。慈

慈「お願い」

別に威嚇するつもりで目を細めたわけじゃないけど
慈は私が怒っているように見えたらしい
なんともはや、優しい目つきをしていないのはそれだけでマイナスということか



1.私と慈は友人でしょう? だから食料を譲るくらい気にはしないよ。それをどう扱うかもね
2.なら、一つ条件がある。慈は私に何をしてくれる?
3.申しわけないけど私も底を尽きる寸前で、分ける余裕は無いのよ
4.なら、私がみんなの命を救うわけだ。その命、貰ってもいいかな?


↓1


アリス「はぁ……」

慈「!」

びくりと慈の体が震える
私は別に怒っていないし、怯えさせるつもりも無かったのだけど……
まぁ、仕方が無い
天使だったのは小学生まで
怠惰に伸ばした長い髪、翡翠の瞳、少しつった感じの目
24年間の完成系がこれなのだから

アリス「そう怖がられると少し傷つくわ」

慈「ごめん……なさい」

アリス「私がため息をついた理由、分かる?」

慈「えっと……」

急な質問に困惑する慈は、
答えに迷って視線をさまよわせて、恐る恐ると言った目を私に向けてくる
正直、そういうのが気に入らなかったりするんだけど

慈「こ、交換条件……?」

アリス「本気で言っているの? 君は」

慈「うっ」

アリス「君と私は友人でしょう? 食料を譲るくらい構わないし、それを君がどう扱おうと気にはしない」

分かってくれない友人に向かって投げやりに食料を渡してため息をつく
唯一、本当に友人といえる相手だからこそ、呆れることもある

アリス「それを慈はこう……畏まって」

慈「ご、ごめんなさい。でも、大切なものだから」

アリス「こんな世界になって君に会いに来た私にとって、佐倉慈はどういう存在なのかな」

慈「そ、そう、よね……」

慈は少し照れくさそうにはにかみながら
私が譲り渡した食料を大切そうに抱きしめる

アリス「慈もしっかり食事を取りなさい。彼女達のリーダーは君であって私じゃないんだから」


慈「え、ええ……ありがとうアリスさん」

アリス「気にしなくて良い」

慈「でも……そうだわ。私に出来ることがあったら何でも言ってね? 何でもするから」

アリス「何か、あったらね」

嬉しそうな笑顔を見せる慈に、とりあえずそう返しておいて
ふと、落ち着いたため息を零す
食糧難……解消するためにはせめて購買まで解放区画を広げる必要がある
あるいは、もう少しだけ安全圏を広げて、
購買部との距離を縮めていく必要がある

アリス「慈、君はこのままでいいと思う?」

慈「ううん……でも、無理はさせられないから。少しずつ安全圏を広げられたらなって」

アリス「そっか」

慈「アリスさんは……ここから出て行くべきだと思う?」

アリス「さて。雨風凌げる拠点というだけでも運がいいからね。甲乙付けがたいわ。慈に任せるわ」

本心で告げた言葉に、慈は意表をつかれた表情を見せて
どこか儚さを感じるような笑みを浮かべて、私の服の袖を掴む

慈「貴女がいてくれて……良かった。きてくれて、良かった」

アリス「それは良かったよ。頑張って来た甲斐はあったみたいだね」

私の方が背が低いから、慈の頭を全うになでてあげることもできないけれど
すがるような慈に体を貸してあげる事くらいはできる

こんな私でも……まだ、”天使”であれるということだろうか

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY3 昼の部】
【アリス:体力:42/42  状態:良好】


慈「ということで、まずはせめて購買部にいけるようにしたいの」

アリス「それはこの3階を放置して……ということ?」

慈「食糧問題が深刻だから、まずは少しでも集めておきたいわ」

慈はそう言って不安そうに眉を潜める
まだ未解放の物理実験室から先、職員室側には平然とゾンビが闊歩してる
食糧問題が無ければ、真っ先に3階の全域解放をしてから、
2階の購買部に攻め入るというのが理想系
だけど……

胡桃「めぐねえの言うとおりだよな。今回はアリスさんのおかげで何とかなったけどさ」

悠里「せめて作物がもう少し育っていれば……すみません」

由紀「りーさんのせいじゃ、ないよ」

理想だけでは生きていけない
それに、物資が調達できるというのは希望にもなる
だからこそ少しでも購買部に近付いておきたい


”だが、本当にそれでいいのだろうか”


あまり良い予感がしない
購買部に攻め入ることが悪いこととはいわないし
そこで何かが起きるわけではないと思いたいけど

アリス「とはいえ、現実を見なくちゃいけないのよね」

慈「アリスさんは……不安?」

慈のその言葉につられたように、他3人の視線が私へと向けられる
そんな期待するような目を向けられても困る


1.慈に従う
2.3階を確保するべきだと思う

↓1

【2のみ判定 1.3.5.7 不可】

【反対:判定:通過】


アリス「悪いけど、まずは3階の掃除をすべきだと思うよ」

はっきりと、反対意見を述べると
アリスさん聞きたいんだけど、と礼儀正しく挙手をしながら
スコップの子が私を見る

胡桃「あたしは食料確保すべきだと思う。圧倒的に足りないし、無いとどうにもならなくなると思うから」

アリス「そうね」

胡桃「だけど、アリスさんは反対するんだろ? 理由を教えてくれないか?」

彼女の言葉に同意といわんばかりにみんなが頷いて、私への視線が再び集まってくる
こういうのにはなれていないから、正直止めて欲しいし
でたらめなことを言いたくなってしまうので、止めて欲しい

アリス「例えば、私達が購買に言っている間にバリケードが崩されたら?」

悠里「囲まれる……?」

アリス「そう。急く気持ちはわかるけど、安全圏はしっかりと作っていきたいわ」

別に死ぬのが怖いわけではないけれど
だからと言って死にたいわけじゃないんだから
安全性は確実に考慮していきたい
どうせ、生きていくのなら

由紀「で、でも……私達がアリス、さんの……」

アリス「食料はいいわよ。あれは慈にあげた物だから。どう扱おうと気にしないから」

胡桃「でも、足らないのは事実なんだ」

アリス「分かってる。でも、死に急ぐ理由にはならないわ。まだ完全じゃなくても園芸部の作物が少しなら繋いでくれるでしょ?」

反対意見はあるかどうか
最初に異議を示そうとしたスコップの子から順番に目を向けて
最後、慈の方へと目を向ける

慈「……分かったわ。そうしましょう」

慈は何か気になる様子だったけれど
それに関しては何か言うことなく頷いて私の提案を肯定する
別にみんなが間違っているわけじゃなかった
でも、何か嫌な予感がした
ただの思い過ごしなら、よかったけど。
コンテニューが出来ない現実だから


【ルート変更:3階の解放】
【メンバー変更:悠里・由紀離脱】



慈「それじゃ、いってくるわね」

悠里「先生、気をつけてください。胡桃と、アリスさんも」

胡桃「任せろ」

私の意見で3階制圧へと目的が切り替わり、
向かうにも逃げるにもバリケードを肥えなければいけないという状況のため、
帽子の子とその子守役として、園芸部の子を残すことにした

正直二人組でもいい気がしたけど、
支援としていた方がいいという慈の強い要望を下しきれず
仕方が無く、3人になった

アリス「慈はどんくさいんだから、無茶しないで」

慈「アリスさんだって、決して戦えるタイプじゃないでしょう?」

アリス「その否定は出来ないけど……慈よりはマシだわ」

そんな場所が場所なら他愛ない会話に「しーっ」とスコップの子が割り込んで
二人とも静かに、と小声で抑える

アリス「失礼」

慈「ごめんなさい」

まだ不確定ではあるけれど、ゾンビは光と音に反応する可能性が高いらしい
昨日と一昨日で大体そんな兆候が感じられたというのだ
確証が持てない以上危険ではあるけれど
その可能性があるなら、経過はするべきだろう

胡桃「石を投げるぞ」

バリケードの上から、園芸部で使っているであろう石をヒョイッと投げる
からからと音がするのに遅れてうめき声がどこからともなく聞こえてくる

胡桃「成功だ。音に反応するのは確実だな」

悠里「本当に、気をつけてください」

由紀「気をつけて、めぐねえ」

留守番組の不安な送り出しを受けて、
私たちはバリケードの向こう側へと向かった


胡桃「アリスさん、どっちに行く?」

アリス「………」


左手に科学準備室、右手に音楽準備室
どちらに行くべきか

1.科学準備室
2.音楽準備室

↓1

【判定: 1.3.5 無し 6.7 1人 8.9 2人 0 3人 ぞろ目4人】


アリス「まずは音楽準備室に行こう」

警戒を死ながら、極力音を立てないように扉を開けて音楽準備室へと忍び込む
昼間の明かりが入る室内は多少荒らされてはいるが、彼らの姿は無い

胡桃「いない、な」

慈「良かった……」

私の隣、私の後ろ。それぞれから声がして辺りを見渡す
荒らされているため、彼らが来なかったことはないのだろうが
襲われた人が感染が中途半端なうちに抜け出し、扉を閉めていったのだろう

でなければ、何もいないのに閉まっていた理由の説明がつかない

アリス「他の部屋も全部これなら楽だけど……」

胡桃「いや、それは難しいと思う」

アリス「準備室はって、話」

胡桃「分かってるよ、ごめん」

別に怒ったつもりは無いけど、なんだか怒っていると思われたらしい
小学校以降から良く言われるようになったのは
やっぱり、顔つきの問題なんでしょうね

アリス「ねぇ」

音楽準備室の軽くとも荒れた状況に悲しそうな顔をする慈に声をかける
一度では返事が無くて、もう一度名前を呼ぶと
はっとしたような驚きが私へと向けられて

アリス「私の顔って怖いの?」

慈「え?」

アリス「いや、スコップの子もそうだけど昔から良く謝られるから」

慈「あ、えーっと……少し、ね?」

遠慮がちな言い方は怖いってことだ
まぁ、他人からどう思われているのかというのは別にそんな気にはしないけど
少しだけ、ほんの少しだけ、ちょっぴり傷つく
特に同年代ではなく、子供だと。


胡桃「めぐねえ、アリスさん。次行こう」

慈「めぐねえじゃなくて佐倉先生でしょ?」

アリス「めぐねえ、今は呼びやすいほうが良いわ。下手に矯正して呼びかけが遅れるのは怖い」

慈「うぅ……なら、今だけよ」

怖いと認めた本の仕返しのつもりだったのだけど、
本気にしてしまったらしい
けれど、めぐねえと愛称で呼ばれることは信頼されているということだ
馬鹿にされているとか、下に見られているようにも思われるけど
別にそんなことはないだろう。と、勝手に思う

胡桃「科学準備室もドアが閉まってる……どううる? アリスさん」

アリス「……」

隣の音楽室も、科学室もドアが開いていて、通路にはゾンビがちらほらと見えている
なら科学準備室をチェックするか
すぐ傍にいるゾンビをとりあえず叩いておくか


1.科学準備室へ
2.科学室へ
3.音楽室へ
4.ゾンビを叩く

↓1

【2.3判定: 1.3.5 無し 6.7 1人 8.9 2人 0 3人 ぞろ目4人 2.4 5人】
【1判定: 1.3.5.7.9 無し 2.6 1人 8 2人 4 3人 ぞろ目4人 0 5人 】
【4判定: 1.3.4 普通 2.5.7 不可 8.9 成功 0ファンブル ぞろ目(奇)成功 (偶)ファンブル大】

【科学準備室:判定 無】


アリス「ううん、科学準備室に行きましょ」

胡桃「でも閉まって……」

アリス「油断したくないから。一つの穴が壊滅を招くのよ」

少しでも奥に進みたい
そんな気持ちが先行してしまうのもわかるけれどそれは良くない
急がば回れという言葉があるように、しっかりと一つずつしらみつぶしに見て行く必要がある

アリス「あの園芸部の子。泣かせたくはないでしょ?」

胡桃「分かったよ」

ちょっと意地悪な説得だっただろうか
ふいっと顔を逸らしたスコップの子は扉から顔を覗かせてゾンビの様子を伺い、
さっと科学準備室の扉前へと移動
私達も続き、ゆっくり扉を開ける

慈「いない……わね」

アリス「良かった。これで後ろから襲撃される心配は無いわ」

胡桃「ふぅ……」

アリス「………」

ゾンビは扉を壊すことはあっても
引き戸を開けて中に入ることはない
なら、この扉を閉めれば一応安全圏という事になる
スコップの子は緊張感で精神的に疲れてきているし、
ここは下がるべきだろうか
それとも……私だけもう少し様子を見る?



1.先に進む
2.撤退
3.アリスだけ進む


↓1

【1.3判定: 1.3.5 無し 6.7 1人 8.9 2人 0 3人 ぞろ目4人 2.4 5人】

【撤退】

アリス「二人とも、撤退するわ」

胡桃「な……」

アリス「分かるはずよ」

スコップの子は不満しかなさそうな表情で強く唇を噛むと、俯く
私がなぜ撤退だと言い出したのか
それはきっと分かってくれているとは思う
だけど子供だから
そして分かってしまうからこそ、スコップの子は不服なのだろう
自分はまだやれると

アリス「慈も、それでいい?」

慈「……」

慈はすぐに答えなかったけど
私とスコップの子を交互に見つめると、心配そうに眉を潜めた

慈「分かったわ」

胡桃「! めぐ……」

言いかけて、スコップの子はぎゅっと強く握りしめた拳を震わせながら首を振る
このまま行こう。そう言ってくれると思っていたのが
私に同調してしまったからだろう

場所が場所なら怒鳴ってさえいたと思う


胡桃「……分かった」

悔しそうに絞り出した彼女は落胆した様子でバリケードの方へと移動していき、
置いていかれる形になった私が動こうとした途端
慈が私の手を掴んだ

アリス「何?」

慈「後で……良い?」

後で話がしたいということなのは明白で
今は変に迷っている場合ではないからと
とりあえず後でと流して
慈の手を引いてバリケードの方へと向かう

【撤退:心象変化】

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY3 夕方の部】  
【アリス:体力:42/42  状態:良好】  

アリス「……」

胡桃「……」

アリス「……」

何と言えば良いか、対応を間違ってしまった感じがする
あのままこまを進めていても、それはもちろん、無事に解放区画を広げられた可能性だってあるにはある
けれど、それは身体的な意味であって、精神的な部分までなんとかできたのか? と言われれば
そんなことはない気がする

アリス「……なんて」

別に私が考えてあげることではないのに、
なぜか考えてあげてしまう
これは有難迷惑というやつで、頼まれてもいないのに

アリス「はぁ……」

別にここの生徒に好かれるつもりはないし
英雄的な何かになるつもりも毛頭ないけど
こう言うのは少し気分が悪い

死にたければ死ねばいい。はっきりそう言って――

慈「アリスさん」

アリス「?」

不意に声をかけられて、振り向く
ちょっと、良い?と伺うように手招きする慈は
ちらりとスコップの子へと目を向ける
彼女に関しての事だろうか?


1.慈と話す
2.胡桃に声をかける
3.一人で出る

↓1

アリス「ん、良いよ」

スコップの子の視線だけが私へと向いたのを感じたけれど
それに目を向けることなく、私は慈と一緒に仮眠室を出て、教室へと向かう

慈「恵飛須沢さんについて、話しておこうと思って」

アリス「本人を置いて話しても平気な事なの?」

慈「アリスさんは思慮深い人だって、分かってるから」

慈は信頼を置いていると言った笑みを浮かべて見せたけれど
私は別に、そんな思慮深いわけじゃない
私の勝手な言動がたまたまそんな方向へと動いているだけで……
そもそも、私は慈よりも
下手をしたら現高校生よりも頭が悪い可能性だってあるのに

アリス「!」

ガラリと扉が開いた音がして前を向くと 教室へと入った慈が手招きをしていて
大人しく後に続いて教室の中へと入る
いけない、いつもの余裕が薄れてるわ……

慈「恵飛須沢さんは最初、部活のOBの先輩を連れてきたの」

アリス「……それだけで嫌な予感がするんだけど」

慈「ええ、そう。私と若狭さん。それと丈槍さんは屋上の出入り口まで来たゾンビを押しとどめるのに必死で、手が回せなかった」

慈は辛そうに語る。 罪悪感の滲む表情で語る
それはきっと、生徒の誰にも見せられない表情だ
恵飛須沢胡桃は、自らが想いを抱いた先輩を自らの手で殺したのだという
すぐそばにあったスコップで頭を殴り、ただただ追い込まれ過ぎたがゆえの無感情、無意識なままに
見るも無残に、残虐な殺し方をしてしまったという

なるほどと。思った
そんな体験をしたのだから、有象無象のゾンビと戦うことだってできるだろう
戦力にならない帽子の子、戦力と呼ぶには少しばかり不十分な園芸部
失うわけにはいかなくて、戦って貰うわけにはいかない慈

アリス「自分がやらなくちゃいけない……か。君はそれでいいと思っては、いないのね……」

慈は自分の腕を抱きしめるようにしながら、首を振る
それはそうだ、あの慈が平然としていられるわけがない
自分が年長者なのに、トラウマになってもおかしくない経験をした生徒に戦いを任せてしまっていること
そんなことがありながら、普段通りという時点で慈もおかしかったのだ

慈「でも、私が戦ったところで、力になることはできないの」

アリス「君は私と同じくらいに非力なのに、どんくさいからね」

園芸部はともかくとして
足手纏い二人を連れてスコップの子がどこまで頑張ることが出来るのか
そう考えて、最悪の想像が出来てしまった私はため息をついて流す

今でも危ういと言うのに
そんなストレスのたまる状況に陥ったら確実に壊れてしまう
ゾンビ以上に厄介な存在になり果ててしまうだろう

アリス「それで、まさかとは思うけれど……私にスコップの子を救ってほしいと?」

慈「ううん、もしものことがあったら。アリスさんにみんなのことをお願いすることになると思うから」

アリス「勘弁してほしいのだけど……私は慈がいるからここに来たしここにいるのよ? 君が死んだあとあの子達を見てあげるような人間じゃないわ」

はっきりと拒絶する。
慈は私がどんな人間なのかよく知っているはずだ
興味がないものに対しては守るだとかどうとかするような人間ではないって

慈「やっぱり……だめ。かしら」

私の答えが分かっていた
けれど少しは期待していたのよとでも言いたげな口ぶり
浮かべる笑みは切なくて、儚くて

同じ年長者。頼れるのが自分だけというのは分かっているけれど
私は人付き合いなんて得意な方じゃない
むしろ苦手と言ってもいい

本当の意味で友人と呼べるのが慈だけしかいない、
そんな軽い付き合いしかしてこなかった時点で、明白だ

アリス「まったく……」 

慈はきっと、生徒に弱音を吐くことはできない
先生であるべきだと 年長者であるべきだと
自分が常に先導していかなければいけないのだと気を張って生きていくことになるだろう

アリス「…………」

さて、どうするべきだろうか
慈の死後、彼女たちの事を見捨てずにいてあげると約束して安心させてあげるべきか
それとも、頑張ってくれと突き放すべきか

慈「アリスさん、あの。数日考えて貰っても良いから」

アリス「数日、慈が生き残れる保証はあるの?」

慈「約束はできない。けど、全力で生きるために頑張るつもりよ」

その力強い言葉に反して
慈の握って見せたこぶしはとても弱弱しくて、頼りには出来そうもなかった


1.解ったわ。何とかしてあげる
2.私は嫌よ。心配なら、君が全力で生き残ればいい
3.あぁそうだ……慈は私に何でもしてくれるのよね?(自由安価。慈へのお願い)

↓1

さて続きは明日
今回は音楽準備室と科学準備室を解放しました
あとアリスさんがただのツンデレ疑惑浮上しました

http://i.imgur.com/FSDyFPo.png
【開放率変動】

アリス「はぁ……君という人は本当に狡いわ」

慈「えっ?」

アリス「…………」

恍けている……ということはないと思いたいけど
呆けたように声を漏らした慈をちらりと一瞥して、またため息をつく
なぜそんなにも信頼しているのか
私は他人に対して優しい人間ではないのに
なぜ、私が直接的関係のない子供を守ってあげるなどと思うのか

アリス「解ったわ。何とかしてあげる」

慈「本当?」

アリス「嘘と言って欲しいの?」

慈「あ、ううん。ごめんなさいっ」

嬉しさのにじみ出ている謝罪は謝罪らしくはなくて
相変わらずだなと、思ってしまう
私が佐倉慈を友人として認めた理由は何だったか
そもそも、そう言う関係であると定まったのはいつの事だったか

アリス「会いに来てしまった私の負けよ。出来る限り慈の我儘に付き合ってあげるわ」

慈「アリスさ――」

アリス「だからと言って」

ぐっと距離を詰めて、慈の首元
少し汚れているように見える白いリボンを指で押し込んで、
慈の驚いた顔を見上げる

アリス「そう簡単に死なれても困る。私は君を死なせるために君の願いを引き受けるわけじゃない。その自覚はあるわね?」

慈「もちろんよ……私はあの子達の先生だから」

アリス「その言葉を忘れないべきよ。君はあの子達を支えているのだから。君の死はみんなを苦しめることになる」

慈「……そうね」

アリス「…………」

慈は呟きながら顔を逸らす
解っていてもどうにもならないことがあると
そう言っているような気がした

アリス「私は教師ではないけれど、君の友人ではあるつもりよ。同級生には我慢する必要はないわ」

慈「本当……アリスさんは優しいわ」

アリス「私は別に優しいなんて」

慈「あるわ」

慈は嬉しそうに言う。懐かしむような表情で幸せそうな表情を見せる
この世界において似つかわしくないような笑顔は、なんだか少し異質ではあったけれど
でも、その笑顔を見せられる慈は凄いのだと、感じた

慈「アリスさんはいつも冷たく言うことが多いけど、でも裏を返せば心配してくれてるから」

アリス「受け取り方は十人十色。私は思ったことを口にしてるだけ、優しさじゃないわ」

慈「私が優しいって思ってるんだから、優しいってことでいいかしらっ」

アリス「……」

引こうとしない慈の冗談めいた雰囲気、弾んだ声
呆れて言葉も出ないとはこういうことか。と
開いただけの口を閉じて、ため息をつく

アリス「そんなだから、君はいつまでたっても子供なのよ」

慈「うっ」

アリス「めぐねえ」

慈「はうっ……せめて慈にしてっ皆がそれで良いって思っちゃうからっ」

アリス「さて、どうするかな」

この壊れてしまった世界がまるで幻想であったかのように
今、私達を取り巻く空気はいつもと何も変わらない、日常的なものだった
けれど、どこかから聞こえるゾンビの声が、
血まみれの床、散らばった教材、乱暴に扱われた机や椅子
その光景が私達の目を覚ます

アリス「慈、前にも言ったけど。それは君の長所だと私は思うよ」

慈「……」

アリス「誰かが短所というそれを、君は君のやり方で上手に扱えばいい。愛されることは、誰にでも出来る事ではないからね」

↓1(慈判定 2.7.0)


アリス「さて、そろそろ戻ろう」

そう言って慈の隣を通って出口へと向かった時だった
後ろから腕を取られたかと思えば引かれて
後頭部にはふくよかな感触がぶつかり、
私の体を力の弱い細腕が抱き締めた

慈「……」

アリス「……みんなが心配するわよ?」

慈「分かってる……けど。少しだけ」

耳元で慈の声がする。か細く震えている声が…

アリス「……」

私と比べると、慈の身長は10cmは上になる
だから私は抱かれるだけに留まる
私が抱いてやっても、それは子供が親に抱きつく程度でしかないから

アリス「慈……」


私はどうしてあげることができるだろう
こんな状況は今までおきたことがない
完全な経験不足

慈が求めていることはなんなのかを考えても
確実にこれが答えだという断定が出来そうもない

慈「……みんなの前では、ちゃんと、してないといけないから」

アリス「そうね」

慈「だから、少しだけ」

慈だってこの状況で強くいられるわけじゃないのは分かっていた
ただ、自分が最年長であり教師であるということだけを支えにして
無理矢理に強く見せていただけ

アリス「…………」

私の存在はそれを揺らがせてしまうのじゃないかと
いざという時に強くいられないんじゃないかと
少しだけ、不安になった

慈「…………」

そう思うと、体に触れる慈の腕はしがみついているようにも感じて


1.じっとする
2.後ろ手に頭を抱く
3.甘えん坊だね……やっぱり、君は子供だ


↓1


少しだけ頑張って、肩に触れる慈の頭を後ろ手に優しく抱きこむ
これが正しいのかは分からない
けれど、離れるのは何か違うと思うし
茶化すのも、ちょっと違うような気がしたから

慈にとって私は同級生だ
この学園に現存する(分かっている中で)生存者
その中で唯一、自分と歳が同じで頑張って見せる必要が無い存在

だからこそ、こうやって弱さを見せてくる
はちきれそうな心、それを守るためにすがろうとしてくる
だったら私は、それを受け止めてあげよう

私が慈にしてあげられることそれがまだ分からないから
とりあえずは、受身の姿勢でいてあげていいのだろう

アリス「好きなだけ甘えるといい。車椅子にはなれないけれど、松葉杖くらいにはなってあげるから」

慈「ありがとう……アリスさん」

アリス「気にすることはないよ」

元々、ここに来たのは慈を心配してのこと
最悪、慈を楽にしてあげるため
その楽という意味合いが変わっただけでしかない

あぁ、そういえば……お母さんは無事だろうか?

アリス「……」

私はしばらく慈に抱きしめられながら、
慈の頭のみを抱くようにして、その場に留まった



【 慈 友人(信頼)→友人(信頼・強)】

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY3 夜の部】
【アリス:体力:42/42  状態:良好】


さて、夜だけどまだ時間的余裕はある
明日の朝もまた区画解放するために頑張る必要があるし
早めに休むべきだろうか

それとも、誰かと話しでもするか
慈とあんな約束をしてしまった手前、もう無関係の子供達として
見限っておくのはダメだろうから

アリス「はぁ……」

そう考えると、途端に面倒くささがこみ上げてきた
約束は約束だから、破棄するつもりは無いけれど。
いつもそう、何かをした後に後悔することばかり

アリス「……そうさせるから、慈。君はずるいのよ」

彼女には聞こえないことと承知の上でぼやいて、ふと息をつく


1.慈
2.胡桃
3.悠里
4.由紀
5.早めの就寝(翌朝バフ:快調・クリティカル及び回避率の上昇)
6.一人で廊下に出る

↓1


判定↓1

【1.3 慈 2.4 悠里 5.7 由紀 6.8 胡桃 9 ゾンビ 0 発見】


アリス「……ふぅ」

少しだけ一人になりたいと、物理準備室を出て解放区画にある教室へと向かうと
偶然なのか、潜めているのか
僅かに聞き取りにくい足音が聞こえて振り向くと
園芸部の子が、背後に立っていた

アリス「なにか?」

悠里「一人で出歩くのは危険です」

アリス「私は大人よ?」

悠里「それでも、危険が危険であることには変わり有りませんから」

維持でも私を一人にするつもりがなさそうな園芸部の子は
細めた目を私へと向けて、頭を下げる

悠里「ありがとうございました」

アリス「はい?」

突然のことに困惑する私の前で園芸部の子は下げた頭を上げると
困った表情を浮かべて、仮眠室へと振り返る

悠里「胡桃のこと……止めてくれたと聞いたので」

アリス「……ああ」

何の話かと思えば、恵飛須沢胡桃のことだったらしい
彼女は私に対して、何で止めたのかという不満が有りそうだけど
その友人であろう園芸部の子は、感謝したいと。
……というか、名前。忘れたわ

アリス「別に助けたつもりは無いわ。私はそうすることが最善だと考えただけ」

悠里「それでもあのまま戦い続けたら、胡桃は倒れるくらい疲弊していたと思います」

だから、ありがとう御座いました。と、園芸部の子は礼を述べる


アリス「彼女は一応、私達の重要な戦力だから。損なわないようにしたというのは事実だし……」

はぁ。と、癖になってしまいそうなため息をつきながら
園芸部の子から目を逸らす
高校生のくせして、私よりも背が高いのは少し許せない
いや、殆ど全員私より上なのだけど。

アリス「分かったわ。その礼、受け取っておく」

悠里「ありがとう御座います」

礼に礼を重ねてきた園芸部の子
振り返ってみるとぱっと目を開く
意外にしっかりと、目を開くことができるらしい

悠里「それで、その……アリスさんは先生と同級生なんですよね?」

アリス「見た目で疑うなら、相応の対応させてもらうけど?」

悠里「いえ、そう言うわけではなく」

軽い脅しに後退りした園芸部の子は何かを言おうとしたのか、口を開いて
けれど、考え直したかのように口を閉ざす
別に本気ではなかったのに

悠里「どこかの先生とかだったり、するんですか?」

アリス「私のことについて聞きたいと?」

悠里「はい。こうして出会えたのも何かの縁かと」

アリス「…………」

なるほど。
確かに自分の知っている慈の同級生とはいえ
そうおいそれと信じられるわけが無いわね
礼を言うのと信頼は別。はっきりとしたそう言う姿勢は嫌いじゃない


1.私は大学生よ。自由奔放に生きてきた結果、ちょっとばかり留年とかしてね
2.それなら、君はどうなの? まずは自分を語るべきだわ
3.先生ではないけど、あまり言いたい事じゃないわ。とりあえず、自由を謳歌してる最中だった


↓1


アリス「そうね……」

留年しているだのなんだのは正直、人に誇って言うようなことではないだろうと飲み込んで
答えでは無く見つめてくる私に疑問符を浮かべる園芸部に意味ありげな視線を送って、苦笑する
大した意味は無いけど

アリス「先生ではないけど、あまり言いたいことじゃないわ。とりあえず、自由を謳歌してる最中だった」

悠里「自由ですか?」

アリス「そうよ」

悠里「……大学……あ、いえ、すみません」

高校生にとって自由とは大学生ということなのだろうか
確かに、私達が進学か就職かで悩むことのあった高校生時代、
大学生は自由であるのだと夢を見ている人が多くいたような気がしないでもない

実際はアルバイトしなければお金が無いので、殆どがその時間に持っていかれて
自由といえば自由だけれど、ある意味現実的な窮屈感、拘束感に苛まれることもあるわけで
もちろん、私はそんなことなかったけど

悠里「一度お話を聞いてるとは思いますが、私は園芸部の活動中でした。活動自体は終わっていたんですが、少し手入れしようと残っていたのが幸いして……」

アリス「……運が良かった。というべきかな」

園芸部の表情は幸いした。という割には幸福感を感じることができるものではなく
何か思うことがあるような、そんな気さえしてきてしまう

アリス「私は家にいたよ。何か外が騒がしいなとは思っていたけど、最初は気にしなかったのよ」

悠里「家から、ここまで……?」

アリス「訪問者もあったし、こんな世界では一瞬で死にそうな人がここにいたから」

悠里「佐倉先生……」

アリス「ゾンビになっていたなら、私がこの手で処分してあげようと思ってたけど。それはしなくて済んでよかったわ」


それは冗談のようなものだったから笑ったのに
園芸部は困惑した様子で私を見つめてきて、苦笑へと切り替える
冗談が通じない子達ばかりね

悠里「ためらいとか、無いんですか?」

アリス「慈が自分の意志を持って行動しているのなら、殺すのにも躊躇いはあるわ」

そこには明確な佐倉慈の考え、思いがあって
私がそれを止めること、それを阻むこと
その願いを打ち砕いてしまうことが本当に正しいのかを迷うからだ

けれど、ゾンビになってしまったのなら迷いは無い
そこに慈の意志がないから、考えも思いも何も無く
生前の慈が望み、願い、思い続けてきたことすら壊してしまいかねないから

アリス「でもああなってしまったら、介錯してあげること、それがその人の為だと私は思うもの」

窓から見える外の世界を歩く彼ら
それを見下ろす私の隣に園芸部も近付いてきて、彼らへと目を向ける

悠里「強い……ですね」

アリス「別に強く無いわ。それに私は”異常”なだけ。君達が普通よ」

悠里「…………」

戻りましょ。そう声をかけて園芸部の隣を過ぎると
少しの間をおいて、ゆっくりと足音がついてくる
慈との約束が無ければ関わる必要も無かったのに……
余計な話をしちゃったわね

アリス「あ……」

名前、聞きそびれたわ

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY3:集計】
【アリス:体力:42/42  状態:良好】→【アリス:体力:42/42  状態:良好】

関係性変動

【由紀 知合(怖い)→知合(怖い)】
【胡桃 大人(優し)→大人(酷い)】
【悠里 他人(普通)→知合(強者)】
【 慈 友人(信頼)→友人(信頼・大)】


巡ヶ丘学院高校解放率上昇(音楽準備室・科学準備室解放)
http://i.imgur.com/FSDyFPo.png

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY4 朝の部】
【アリス:体力:42/42  状態:良好】
【食料:100(園芸)・00(備蓄)】



―――――――【 問題発生:食料が不足しています!! 】―――――――



胡桃「食料が完全に足らない」

朝、全員の朝食をとろうという時間の直前に
見たことか。と言いたげに私を敵視しながら、恵飛須沢胡桃はそう言った

アリス「満足な食事をするには……足らなそうね」

強始めてみる園芸部の作物の状況に対して、冷静に呟く
予想以上よりも少ない園芸部の作物量
とはいえ、少し空腹感は残るかもしれないけれど、そこは贅沢を言わなければいいだけだからだ

慈「アリスさん、みんなは子供なのよ……?」

深刻そうな子供達から少し距離を置いている私の隣にいた慈が、
他には聞こえないような小さな声で言う
考えを見透かされたのかもしれない
そんな分かりやすい顔はしていなかったはずだけど

アリス「それは分かっているけど……まぁ、私が考える食事料は確かに厳しいかしらね」

本来、私を含めた5人が満足な食事をするには、1日150程度の食料が必要になる
しかし現状、食べられるものを見れば大体100あるかないか
通常の食事料なら1日も持たないし、多少減らして1日分
私の予定では……2日分だったのだけど

それは流石に厳しかったみたいだ

アリス「食料が足らないのなら、購買部に行くしかない……わね」

胡桃「だから昨日行っておけば良かったんだ」

悠里「胡桃、アリスさんにだって考えが」

胡桃「その結果がこれだろ? 違うか、りーさん」

悠里「それは……」

慈「恵飛須沢さん、落ち着いて」

パンパンッと手を叩いて、みんなの注目を一手にひきつけた慈は、
場の濁った空気に対して困り顔の笑みを浮かべると、大丈夫。と言った


慈「でも、彼らに入り込まれる前に、たった一部屋分だけど3階を取り返すことができたわ」

胡桃「…………」

慈「小さいけど、でも確かな一歩。それは私達がやっていけるって証になると思うの」

慈は明るい声で語る
みんなに目を向けながら、時折ちらりと私を見て優しく微笑む
安心して。
そういわれているような気がした

慈「それは同時に、何かを為すには昨日みたいに落ち着いていなきゃいけないってことでもあるの」

胡桃「っ」

恵飛須沢胡桃は思うところがあるのだろう、慈の視線と言葉から逃れるように顔を背けて
手に持っていたスコップを下ろして、一息

胡桃「ごめん、めぐねえ」

慈「私じゃなくて、アリスさんにね」

胡桃「…………」

慈の諭すような声に、彼女は一瞬だけ私に目を向けて、向き直る
アレだ。あの声、あの表情
私が結局従うことになるのはアレのせいだ

胡桃「ごめん……アリスさん。分かってたんだ。あたしが焦りすぎてるって、でも、なんていうか」

私が誰かと険悪になるのなんて今回に限ったことじゃない
それに、切羽詰った状況で目の前の重要そうな問題に食いつこうとするのは、人間誰しも起こり得ることだ

胡桃「ごめんなさい」

言葉が見つからなかった彼女は、私へと頭を下げる
わだかまりを払拭したい、そんな意志が彼女からは感じられて

慈「アリスさん」

慈の目が私を見る

――私は小学生でも中学生でも高校生でも子供でもないのに


1.――必ずしも私が正しいとは限らない。
2.――気にしてないわ。
3.頭ナデナデ
4.なら、仲直り


↓1


アリス「恵飛須沢胡桃」

胡桃「は、はいっ」

アリス「必ずしも私が正しいとは限らないわ。だから異論を述べるその姿勢、忘れないようにね」

胡桃「う、うん……分かった……」

恵飛須沢胡桃が呆気にとられた表情で私を見る
いつもだ、私が普通のことを言うとみんな驚く
人によっては私が熱を出したとか入れ替わったとか記憶喪失だとか言い出す始末
そんなに私は異常か

――否定はしないけど。

悠里「アリスさんが……名前を……」

そっちか

ふと見れば慈も嬉しそうな笑みを浮かべていて
恵飛須沢胡桃は「なんか知らないけど凄く嬉しい」と、
本心からのことだと示すような笑みを浮かべていた

アリス「…………」

けど……帽子の子は相変わらず塞ぎこんだままね
無理もないし、アレが普通
段々と明るさを取り戻しつつあるほか二人が精神的に強いのよね
もっとも酪農部……じゃなかった、園芸部は不確かだけど。


慈「さて、それじゃ問題の方に取り掛かりましょうか」

もう一度手を叩き合わせると、またみんなの注目が慈へと集まっていく
こういうのを見ると、慈が先生なのだという実感が沸いてくる

やっぱり、生き残ったのが慈であってよかったと思う
そうでなかったらそもそも私はここに残っていることはなかったけど
この生き残った女子生徒の進む道はより、過酷なものになったいただろうから

男性教師とか……ぞっとしてしまう

悠里「先生、提案が有ります」

しゅっと手を上げた園芸部は実に優等生らしい

悠里「昨日もそうでしたが、非戦闘員は庭の手入れに回るのはどうでしょうか」

慈「ん~……」

悠里「安全性を考慮して仮眠室待機は理解できますが、やはり……手を余らせるというのは」

最もな意見だと私も思う
それに、分担するのならあの帽子の子だって何かやることができて
少しは、あの落ち込んだ状況から抜け出すことができるはず

アリス「……いや、別に気にしてないけど」

慈「?」


1.良いわね……私は園芸部の手伝いに回るわ(由紀・悠里)
2.良いわね……私は食料調達に向かうわ  (胡桃・慈)

↓1

【園芸部に行くと収穫量等が多少多めに確保できます・食料調達サイドはフラグを立てていなければ無事生還します】
【購買部に行くと食料や物資が多少多めに確保できます・園芸サイドはフラグを立てていなければ失敗せずに収穫できます】


【食料調達ルート】


アリス「じゃぁ、私は購買部の方に向かうわ」

胡桃「あたしとめぐねえで十分……じゃ、ないか」

慈「えっ!?」

ちらっと慈を見て恵飛須沢胡桃は笑う
本気で言ったわけじゃないだろうけど、慈はしょぼんと落ち込んで
私へと目を向けてくる

アリス「いや、慈がドン臭いのは事実だから」

慈「えぇっ!?」

アリスさんまで……と悲しそうに落ち込む慈の傍ら、
私と恵飛須沢胡桃は互いに目を向け合って、苦笑する
それにつられるようにして、園芸部も笑みを見せて、
一人、帽子の子だけが「めぐねえが可哀想だよ……」と呟く

そういった冗談に乗れるのなら、まだ大丈夫……だろうか?
園芸部が何とかしてくれると救われるのだけど。

胡桃「アリスさん、よろしくな」

アリス「一応、私は年上よ……まぁ、良いけれど」

堅苦しく敬語を使われるのは、それはそれで困るから
とりあえず少しくらいは距離を縮められた……だろうか

慈「……うぅ」

アリス「慈、落ち込んでないで行くわよ。言ったでしょ? 君には君の長所がある。気にすることはないよ」

慈「アリスさんが言ったんでしょーっ!」

そんな慈の声を耳に、私と胡桃は揃って廊下へと出て、

悠里「では、済みませんが、よろしくお願いします」

由紀「アリスさん、胡桃ちゃん、めぐねえ……気をつけてね」

アリス「任せなさい。行くといった手前、必ず持ち帰るわ」

中央の階段で園芸の手入れを行う園芸部と帽子の子の二人と別れた


すまないけどちょっと今日はこれ以上無理かもしれない
再開は明日になるかな

毎度安価さんくす

【巡ヶ丘学園高校2階 中央階段(未解放区画) DAY4 朝の部】
【アリス:体力:42/42:精神:108/108 状態:良好】
【 胡桃:体力:80/80:精神:60/60 状態:良好】
【  慈:体力:60/60:精神:75/75 状態:良好】


──────未解放区画──────

・未解放区画について
未解放区画には必ずゾンビが徘徊しています
区画内の部屋は(状態:閉鎖)の場合のみ一定確率で安全圏です
未解放区画では、戦闘によって倒しても追加でゾンビが入り込んできます
(状態:良好)であれば基本問題はありませんが、戦闘回数、ダメージによって
(疲労・疲弊・衰弱・軽傷・重傷・恐慌)
様々な変化をし、連戦では治癒が出来ないため死亡率及び感染率が上昇します
また、時間経過によって精神が磨り減るので精神にも注意して下さい

戦闘は適度に、安全圏(休憩拠点)を確保しつつ目的地まで向かいましょう

【巡ヶ丘学園高校2階 中央階段(未解放区画) DAY4 朝の部】
【アリス:体力:42/42:精神:108/108 状態:良好】
【 胡桃:体力:80/80:精神:60/60 状態:良好】
【  慈:体力:60/60:精神:75/75 状態:良好】
【校内図(2階):現在位置:○部分:http://i.imgur.com/TbQGTnO.png

――――――――――――――――――――――――――――――――


アリス「…………」

階段を静かに下りて、壁沿いに身を隠しながら購買部側の通路、逆の通路
それぞれに目を向ける
どちらにもゾンビはぞろぞろと徘徊しており、
そう簡単に目的地まで向かわせてくれそうには無い

胡桃「難しい……な」

アリス「そうね……2人とも2階の造りは頭に入ってる?」

慈「ええ」

胡桃「あたしも問題ないぞ」

それはそうだ。
慈はこの学校の教師、恵飛須沢胡桃は丁度この階を使う3年生
把握していない方がおかしいというものだろう

購買部は現在位置から左手側に曲がり5つほどの教室の先にある
そこまで真っ直ぐ行くのは難しいし
仮にいけたとしても、購買部で用事を済ませている間に襲われてしまう可能性は非常に高まってくる

慈「多分、美術室と家庭科室、購買部、図書室は通常通り解放されている状態だと思うから……」

胡桃「ってことは、奴らで溢れてるか」

恵飛須沢胡桃は緊張感のある表情で呟くとスコップの持ち手を強く握って、息を吐く
慈も、上の階にいるときと比べて緊張感があるし、精神的に疲れ始めているように見える

急がば回れとは言うけれど、回りすぎては精神的に持たないかもしれない


1.女WCへ
2.男WCへ
3.美術室へ
4.被服準備室へ

↓1

【1.2判定:1.3 無 2.4.6 2人 5.7 3人 8.9 4人 0 5人 (室内)+(コンマ左側÷2)】
【3判定:1.2.4.6 2人 3.5.7 3人 8.9 4人 0 5人 (室内)+(コンマ左側×0.75)】
【4判定:1 無 2.4.6 2人 3.5.7 3人 8.9 4人 0 5人 (室内)+(コンマ左側)】

【巡ヶ丘学園高校2階 中央階段(未解放区画) DAY4 朝の部】
【アリス:体力:42/42:精神:108/108 状態:良好】
【 胡桃:体力:80/80:精神:55/60 状態:良好】
【  慈:体力:60/60:精神:70/75 状態:良好】
【校内図(2階):現在位置:○部分:http://i.imgur.com/TbQGTnO.png


【女WC 内部4+1=5人】
【精神影響5:アリス・鋼の精神】
――――――――――――――――――――――――――――――――

まずは一部屋先の様子を見ることにしよう
私達はそう決めて、階段のすぐ隣にある女子トイレのドアノブをゆっくりと捻り隙間を開けて中を覗く

胡桃「!」

慈「ぁ……」

警戒する私の背後、先んじて中を確認した二人の押し殺した悲鳴が聞こえた
口を押さえてフルフルと首を振る慈の肩を軽く叩いて避けさせる
中を見て、その理由を悟る

女子トイレは、3階の準備室が比にならないほど凄惨な状況だった
割れた鏡、砕けた木の扉、排水溝に詰まった髪と、赤黒い血みどろに変色した床
そして何も無く彷徨う4人の女子生徒だった”モノ”

アリス「恵飛須沢」

胡桃「く……」

アリス「しっかりしなさい、恵飛須沢胡桃」

茫然自失、そうなりかけの恵飛須沢胡桃の肩を突き扉を絞めさせようとした瞬間だった
慈の弱い力で服がつかまれて、引かれる
何かと目を向けると、慈は通路を指差していて

慈「こっち、来てるわ」

アリス「…………」

一人ではあるけれど、呻きながら近付くゾンビ
その進行方向も、目的も、間違いなく私達だった
一体なら確実にやれるとは思う
けれどその戦闘音が、周りのゾンビをひきつけてしまう

アリス「極力……避けたかったのに」

文句は言っても仕方の無いことだ


1.胡桃に戦ってもらう(力55+武器15=70)
2.アリスが戦う (力29+武器7=36)
3.階段側へ引き返す


↓1


【階段側へ引き返す】


アリス「2人ともついてきて」

胡桃「そっちは――」

アリス「良いから」

一体ならやれる。そう確信している恵飛須沢胡桃の手を引いて階段の方へと引き返す
恵飛須沢胡桃なら確かに一体なら倒すのは簡単だと思う
けれど、だからと言って、戦わせても良いというわけじゃない

胡桃「アリスさん、なんで」

アリス「下手に戦えば他のを引き付ける事になるわ。女子トイレが安全圏ではなかった以上、引くべきよ」

慈「でも……」

ひょこっと角から顔を覗かせて”ソレ”の状況を確認した慈が振り返る
最後まで言わなかったけど
何が言いたいのかは表情で分かった
私達が視界から外れてなお追跡しているのかはともかく直線状に進もうとしているのだ
そうすると、結局はこっちに来ることになる

慈「!」

胡桃「…………」

うめき声が少しずつ近付いてくる
ずりずりと足をするような音が近付いてくる
それに連れて、2人の表情が厳しくなっていく



1.一旦3階へ
2.迎撃・胡桃
3.迎撃・アリス
4.手持ちの木製武器を資料室側へ投げる

↓1

【2判定 コンマ70以下なら成功(ぞろ目大成功) 70以上失敗  一桁1.3.5 負傷 44 ファンブル】
【3判定 コンマ36以下なら成功(ぞろ目大成功) 36以上失敗  一桁 1.3 負傷 44 ファンブル】
【4判定 コンマ1.3.5.7.8 成功 0.9 大成功 2.4.6 普通】

【木製武器破棄:成功】

アリス「……仕方ない」

手元の武器を見て頷く
武器を失うのは少し惜しい気もするけど
この状況を打破するには仕方ない

アリス「……」 

壁に背中を合わせて足音を聞き、自分の姿が見えない位置から購買部と逆側
資料室の方へと木製武器を投擲

数秒の沈黙、背後の微かな緊張感
ゾンビの手先が見えた瞬間に、カンッと乾いた接触音が通路に響き、
階段側へと姿を見せたゾンビは私たちに目もくれずに真っ直ぐ歩いていく

アリス「……」

どうやら、資料室側への誘導は成功したようだ

【アリスは武器を失いました】

↓1判定 精神影響(コンマ右)
 偶数ゾロ半減 奇数ゾロ倍増

【巡ヶ丘学園高校2階 中央階段(未解放区画) DAY4 昼の部】
【アリス:体力:42/42:精神:108/108 状態:良好】
【 胡桃:体力:80/80:精神:42/60 状態:良好】
【  慈:体力:60/60:精神:57/75 状態:良好】
【校内図(2階):現在位置:○部分:http://i.imgur.com/TbQGTnO.png


【時間経過① 精神影響-5】
【ゾンビ対応 精神影響-8(判定>>220)】
【アリス・鋼の精神】
――――――――――――――――――――――――――――――――


目の前をゾンビが通り過ぎたのを確認し、通路左右を確認してから
とりあえずの一息をつく
戦えば勝てないわけじゃない
でも、戦わずに済むのならそれが良い

胡桃「っはぁ」

慈「はぁ……はぁ……」

後ろからの大きな呼吸に振り向く
胸元に手を宛がって安心したように座り込んでいる2人
緊張感は相当なもので、呼吸さえとめてしまっていたらしい
底までしなくても良かった気がするけど

アリス「大丈夫?」

慈「え、ええ……」

胡桃「なんとか」

とは言うが。
精神的には大きく磨り減ってしまったに違いない
私は問題ないけれど、このまま続けるのは危険だろうか
せめて、学生である恵飛須沢胡桃には戻ってもらうべきか


1.胡桃を3階に帰す
2.慈を3階に帰す
3.2人を3階に帰す
4.もう一度移動(男子トイレ)


↓1

【4判定:1.3 無 2.4.6 2人 5.7 3人 8.9 4人 0 5人 (室内)+(コンマ左側×0.8)】

【巡ヶ丘学園高校2階 中央階段(未解放区画) DAY4 昼の部】
【アリス:体力:42/42:精神:108/108 状態:良好】
【 胡桃:体力:80/80:精神:37/60 状態:不安】
【  慈:体力:60/60:精神:47/75 状態:消極】
【校内図(2階):現在位置:○部分:http://i.imgur.com/TbQGTnO.png

【判定4(WC)+5(通路)=9】
【精神影響 胡桃5 慈10】
【胡桃精神影響により、状態:不安】
――――――――――――――――――――――――――――――――


胡桃「な――」

アリス「しっ」

女子トイレから一つ進んだ男子トイレの中を覗くと、そこにも無残な光景が広がっていて
思わず声を上げかけた恵飛須沢胡桃の口を塞いで、首を振る
叫びたい気持ちも少しは理解できる
でも、それをされたら困る

慈「ぅ……」

慈は叫ばずに口元を手で覆うと、首を横に振って目を伏せる
3階は3年生の教室、慈は国語教師で、3年の授業も行っていて、だから――そう
あの中には慈の教え子がいるのかもしれない

分かっていたはずなのだ、覚悟はしていたはずなのだ
それでも、いざ目の前にソレが現実として姿を露わしたとき、
考えていたように行動できる人間なんて、そう多くは無い

――だけど

「あ゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛……」

胡桃「!」

慈「ぁっ」

”彼ら”はそんな隙間を見逃さない
そして、私達を見逃してはくれない
5人もの”死者”が、私達へと迫ってきていた


状況は最悪だった
私には武器が無いし慈には戦う力が無い
唯一戦うことができるのは恵飛須沢胡桃のみ
だけど、慈が彼女だけに押し付けてこの場を立ち去ることができるだろうか?
いや、出来ない

出来たとしても深く抱え込むことになる
そこに関しては私が後から何とかでき……るかはともかくとして、
今は考えないということもできるけれど。

胡桃「くそ……」

アリス「待――」

胡桃「もう逃げてられないっ」

恵飛須沢胡桃はこの追い詰められた状況で
自分達の成否がみんなにかかっているという重圧で


――彼女は戦うという選択をする


まずい。支援が出来ない
5対1なんて状況は絶対に許容できない
私じゃない、私の隣に控える慈が


1.胡桃からスコップを奪う
2.何か探す
3.2人を強引に引っ張って逃げる


↓1

【何かを探す】


アリス「こうなったら……」

あたりを見渡す。
何かが無いだろうか、何かあってくれないか
ここで2人を失うのはもちろん
どちらか片方を損なうのは生存者の誰にとっても問題で

――慈がいなくなるのは困る。個人的に

ちらりと慈を一瞥して、息をつく
せめて一石でも投じるものがあれば……



↓1

【0130 無 31以降数値に応じた拾得物】


【現実は非情、何も無い】


アリス「……あぁ、もう」

手元には武器が無い
周りを見ても扱えそうなものは見当たらない
私が天使だと他称させるくらいなら
そんな哀れな天使に何かくれても良いはずなのに。

いや、それを認めないから助けなんて無いのか

アリス「……これが現実逃避って、やつかしら」

今考えることじゃないことを考える
そんなくだらないことを考えて、苦笑する
生まれてこの方感じたことのない本当の緊張感というものを感じることができたような気がした


――死ぬ?


アリス「……私は怖くは無いわ」

前にいる恵飛須沢胡桃がスコップを構えて、慈がその名前を呼ぶ
ダメだと、止めてと。それはそうだ。
彼女一人で5人相手はただの無謀でしかない

アリス「…………」

アリスはウサギを追って穴へと落ちた
ねぇアリス? 君が追うのは一兎かい? それとも二兎かい?


1.彼らの合間を縫い、音を響かせながら一人購買部へ
2.素手で応戦する
3.慈のみを連れて下がる

↓1


【1判定:敏捷補正  ゾロ目奇数以外成功】
【2判定: 0.8 負傷 奇数ゾロ ファンブル・感染】

【一人購買部へ】


アリス「胡桃、君はここで終わるべきじゃない」

生き残ったみんなの中で、唯一戦える重要な戦力
これからもきっと、みんなの命を救っていく、重要な存在

胡桃「何言って――」

アリス「慈、君も生き残るべきだ」

慈「え……?」

生き残った女子生徒たち
その精神的支柱として、その引率者として、この学校の教師として
責任を取るべきだとは言わない、だが、寄り添うことの出来る心強く優しい姉として
その存在は、この絶望的な世界を生きていくうえで大切だ

どちらも損なわれてはいけないもの
ならば、どうするか
いるじゃないか、後から割り込んできた”余所者”が
なんて都合が良いのだろう
天使が自ら進んでいくなんて、聖書にでも載るのではないだろうか

アリス「後は任せて、君達は退くのよ」

胡桃「任せろって――」

慈「アリスさん、まさか……」

察したように、慈が口を開く
生徒のすぐ傍だというのに、弱さを曝け出しそうになってしまう
だから私は、笑みを浮かべてみせる
気にするなと、嘆く必要はないと

アリス「私はウサギを追って穴へと向かう。そしていつか、姉の膝の上で目を覚ます」

慈「そんなことっ」

ただの童話、ただの非現実的な物語
だろうとも。

アリス「そうね……めぐねえ。柔らかい枕を所望するよ」

告げて、駆け出す
最後の最後で、どうでも良い、くだらない一言
床をつよく蹴飛ばして大きな足音を響かせながら、彼らの合間を縫って全速力で駆け抜けていく
横を抜けた”彼ら”のうめき声が私を追う
それで良い、これで良い

アリス「こっちに来なさい!」

最後の一押し、声を張り上げて注目を集めて購買部へと転がり込む
周囲から聞こえてくる”彼ら”の声は私を取り囲んでいく


アリス「はぁっ……はぁ……はぁ……」

疲れ切って、乱れた呼吸
整うのが先か”彼ら”が私に食いつくのが先か
すぐそこにまで近付いてきている人間だった者達へと目を向けて、苦笑する

こんなのが笑わずにいられるものかと。

アリス「ねぇ、女王……私は二兎を追ったわ。それでも穴に落ちるのかしら」

大丈夫、アリスの体は二つに引き裂かれて二つの穴へと落ちていくから

アリス「あぁ……そう……まぁ、別に。興味は無いけど」

刻一刻と近付いてくる死に対しての恐怖は無かった
それは誰に対しても起こることであり、それが早いのか遅いのかただそれだけだから
別に悔いはないし、ここで死ぬのならそういうものなんだと、ずっと考えてきたし
そう考えるつもりでいたから

アリス「ねぇ、慈。君は私を殺せる?」

恵飛須沢胡桃は、園芸部は、帽子の子は
誰が私を殺せるのだろうか、殺してくれるのだろうか
壁に背中を預けて、笑う。笑う。笑う

アリス「名前……聞きそびれた」

一度は聞いた。でもすぐに忘れてしまった2人の名前
どうして今更気にする必要があるのだろう
もう、死ぬのに。

アリス「…………」

アリス、君は女王に死刑宣告を受けたんだ。だから、死ぬしかないんだよ



1.ならば抗おう。たとえ死ぬのだとしても、ただの”トランプ”には屈しない
2.それで良い。誰かの死を免れたことがその罪ならば、認めるほか無いのだから


↓1


【ならば、抗おう】



↓1

【判定:付近に置かれている武器 コンマ=強さ ゾロ目最上級】

【判定:52:少し強い】

アリス「……ん?」

壁伝いに後ろ手で探ると、細長い筒のようなものに触れた
冷たくなくて、少しざらついていて
先端は丸みを帯びている
久しく触れたことのない感触

アリス「やっぱり私は非力ね」

重かった。持ったり振ったりする分にはさほど問題はないが
女子の…少なくとも私に取っては重い

アリス「こんなもので頑張れなんて……天使も楽じゃないわね」

ーー金属バット

それが私に与えられた抵抗手段
さぁ、どこまでやれる?そう、女王に笑われている気がした


アリス「さて……」

目の前には5体の"彼ら"奇しくも恵飛須沢胡桃が抗おうとした人数と同じ
私は彼女でさえ無謀だと止めようとしたのに
私にも、同じ試練を課すなんて……

アリス「二兎を追うなら」

そのくらいは成し遂げて見せろというのか
厳しい話ね……でも、良いわ

アリス「抗うと決めたのだから」


先制↓1
【判定:0149 成功 5080失敗 8100成功 ゾロ目大成功】

(29+20=49:金属バット)

アリス「慈……」

引き抜いたバットの先端を床へと落とす
金属感のある乾いた音色
吐き気さえしそうなおぞましい"彼ら"の声を遮るそれは心地好くて、走馬灯を見るには十分で
そして思う、それを歪ませるのは自分なんだと。

アリス「私は別にキリシタンではないけど……」

右手に握る金属バットをゆっくりと引き上げて
手持ち無沙汰な左手で、胸の前に十字を切る

アリス「どうせ君も祈るでしょう? なら、割り勘よ」

クスリと笑って手首だけを回しバットを背面へと引き絞る

そしてーー

アリス「ふっ……!」

ーー振り抜く

力を込めた一打一刀は的確に死体の首もとへとめり込む
ベキリ、バキリ……砕ける音がする
けれど、それはまだ"生きていた"殺しきれていなかった

アリス「!」

瞬間、捕まれそうになったバットを引き戻して、何気なく口元をぬぐう
あぁ手強い…死ぬかもしれない
そう思うと、妙に高ぶる感じがして

アリス「これが……死にたくないってことなの?」

私は……笑っていた

【エネミーフェイズ】

↓1(ゾンビ)
↓2(アリス)

アリス側が”コンマ+25以内またはぞろ目偶数”の場合、反撃
ゾンビ側判定”1.2.7 切り裂く 3.4.8 体当たり 5. 噛みつき 6.9.0押し倒し”

【回避失敗・押し倒し】


アリス「……防戦一方にすらなれないわね」

ちらりと後ろを見ると 壁が見える
逃げ場のない今”彼ら”の攻撃を躱すことは難しいだろう
なら、何とかするしかない
意を決して”彼ら”と向かい合い、振り下ろされた手をバットで受ける

一対一ならそれでも十分だった
けれど今ここにいるのは、それだけじゃない

アリス「!」

すぐ横から伸びてきた腕がバットに余分な力を加えて、バット逸れていく
二人の手の重み、耐えきる力など私にはなくて
最初に受け止めていた腕が私の体に触れる 

アリス「まずっ」

少しずつ、肌に指が食い込んでいき ”彼ら”の体がゆっくりと斜めに傾いて
私の体までもが傾く
疲弊し始めた体に力を込めても、死体一つの重さは相当なもので――

アリス「っあ゛!」

押し倒されて、背中に鈍い痛みが走って息を吐き出す
私の体を這いずるように”ソレ”は動いてただれた口が開き、ぬらりとした不気味な光が視界に入る

アリス「く……」

食われる。食い殺される
いや、”彼ら”の仲間にされてしまう
あぁ……もうだめか


1.自決する
2.抵抗する


↓1

【2判定:0.2.4 抑え込む 1.3.5.クリーンヒット 6.7.8 無情 9 チャンスタイム】

【抑え込む】


アリス「くぅっ!」

バットの持ち手の部分を口に押し込んで、抑え込む
力は強い、けれどこの状態なら抑え込まれても噛まれることはない

「ア゛ー……」

――その一体には。だが

アリス「どきなさい!」

段々と近づいてくるゾンビの顔、胸元に滴るけがらわしい唾液
その不快感に眉をしかめながらタイミングを見計らって……ゾンビの顎を蹴り上げる
咥えさせたバットがガチリと音を立て、揺れる

アリス「じゃ……ま!」

その重みを何とか受け止めて、浮き上がった僅かな隙間、
ゾンビの腹部に膝を押し込み、ぐいっと押しのけ、蹴り飛ばす
それでは致命傷にはなり得ない
けれど、窮地は脱した

アリス「こんなに必死になって生きようとするなんて……」

穢れたバットを投げ捨て、新しいバットを手に取る
投げ捨てたバットの立てた音に、”彼ら”の意識が向かう

それは――チャンスだ

アリス「私、まるで人間のようだわ!」


先制↓1  
【判定:0149 成功 5080失敗 8100成功 ゾロ目大成功】  
(29+20=49:金属バット) 

【巡ヶ丘学園高校2階 購買部(未解放区画) DAY4 昼の部②】  
【アリス:体力:37/42:精神:108/108 状態:軽傷】  
【校内図(2階):現在位置:○部分:http://i.imgur.com/2Uq2uLr.png】  

【ダメージ追加:HP-5】 
【鋼の精神】  
―――――――――――――――――――――――――――――――― 

アリス「はぁ……はっ……んっ!」

視線の逸れたゾンビの側頭部を全力で叩く
良い感触だった……はず
けれど、倒れ込んだゾンビはぴくぴくと痙攣し、収まったかと思えばまた呻き声を上げて動き出す

完全に潰せていない
完全に叩き割れていない
それは紛れもなく私の力不足、非力さゆえの、致命的なエラー

アリス「良く……漫画とか。金属バット一回で頭われてるのに」

バットを扱っているのが男女の違い
たったそれだけでこんなにも差が出てくるものなのかと、笑う
無駄に時間がかかれば先に力尽きるのは私だ

その間に、救助は来てくれるのだろうか?
いや、来なくていい
こんな場所に来るのだけでも大変なのに
戦力が恵飛須沢胡桃しかいない現状でそんな無茶、させられるわけがない

アリス「……疲れた。もう死んでもいいんじゃない?」

充分抵抗して見せた
ここで死んでも、慈はただ死んだだけじゃないと気づいてくれるだろう
生きようとしたのだと分かってくれるだろう
そうすれば、慈もより……生きようとしてくれるだろう

「ア゛ァ゛ァ」

アリス「うるさい……珍しく私、毎日頑張ってるのよ……だから、そんな……耳障りな声を出さないで」

【エネミーフェイズ】  

↓1(ゾンビ)  
↓2(アリス)  

アリス側が”コンマ+25以内またはぞろ目偶数”の場合、反撃  26以上は回避 
ゾンビ側判定”1.2.7 切り裂く 3.4.8 体当たり 5. 噛みつき 6.9.0押し倒し” 

5体のゾンビ、 その内2体は怪我を負わせたけれど
残り3体は無傷
あぁ、辛い、あぁ、苦しい
そう思いながら、疲れを感じながら、 気分が高揚する

死に際が美しいというのはこう言うことなのだろうかと思うほどに
そして、死にたくないなぁ。と、思ってしまう
もっとこの気分を――

アリス「あ……」

死肉が、肌に食い込む
ぐじゅりとと抉られるようなヒリつく痛み
隙を作ったわけじゃない
さっきまでと同じように、耐えて、耐えて、また殴り飛ばせればいいと……そう、頑張ろうと

アリス「ぅ……あ……」

カランッ……っと、取り零した金属バットが音を立てる

アリス「ぐっ……あぁぁぁっ!」

肉を掠め盗られた右腕から血が滴り落ちていく
死にそうなほどというには大げさで、けれども確かな痛みと言える痛みを感じながら 思わず呻く
今まで感じたことが無かった、生きているという感覚
死にかけているという緊張感、死に近づきつつある恐怖
私が今まで無感情に受け流していた感覚

アリス「あぁ……痛い……こんなの、凄く……はぁ……」

【巡ヶ丘学園高校2階 購買部(未解放区画) DAY4 昼の部②】  
【アリス:体力:29/42:精神:108/108 状態:中傷】  
【校内図(2階):現在位置:○部分:http://i.imgur.com/2Uq2uLr.png】  

【ダメージ追加:HP-8】 
【鋼の精神】  
――――――――――――――――――――――――――――――――  

体が昂ぶりに熱を増して火照っていく 
冷汗がどこかしこを流れて落ちて
傷口に染みていくのが……痛い

アリス「やられた……」

噛まれなければセーフなのか
傷を負わされた時点でダメなのか
どちらなのか、分からないけれど
きっと、これは駄目なやつだ

アリス「はぁ……はぁ……っ」

無限に湧き出してきそうな唾液を飲み込み、 落とした金属バットを手に取る
もうだめだとしても、最終的に死ぬのだとしても
それでも、私は抗うと決めたのだ

アリス「死ぬなら、失血死で死ぬわ」

妙に重みが増したように感じるバットの先端をゾンビへと向けて笑う
もしかしたら笑えていないかもしれないけれど
今私が出来る、最高の笑みを浮かべて見せる
きっと、人間相手なら脅しにさえなっていたかもしれない

アリス「……慈」

運動部に、入っておけばよかったかな
少しは力をつけておけばよかったかな
あぁ……もっと、そうじゃなくて……

アリス「君に出会わなければよかったんだ」

そうすればここになんて来なかった

こんな無謀な事なんてしなかった

アリス「ふふっ……柄にもないことをしてしまったわね」


↓1

【判定:13 Aルート 04 Bルート 678 喰われる 259 殴り飛ばす】 

【判定:ルートA】


アリス「さぁ……死――」

”全校生徒の御南に、お知らせします――”

”全校生徒の皆さん――”

アリス「え……?」

どこからともなく、放送が鳴り響いた
電気の死んだ学校で聞こえる放送……そんなわけがない
なら、何なのか
電気がなくても音を出せる、機械とは……

アリス「あ……」

ふと、ポケットを叩いて携帯がないことに気づく
電源を切っていたから
もう使う機会はないと思っていたから
忘れて来てしまったのだろう

アリス「…………」

突如なり出した放送に、周囲の”彼ら”は興味を惹かれて、私の傍を離れていく
ぞろぞろと、購買部から抜け出して、そして
私だけが取り残された

アリス「……助かった?」

思ってもいないことを呟くと、割かれた傷がずきりと痛む
その痛み、その熱は傷口から徐々に体中へとめぐっていくような、気がして
ここに居てはいけない気がした
皆に救われてはいけない気がした
それでは……過ちを犯してしまう気がした

1.動かない
2.高校を出る

↓1

【2判定  1.5.9】

【巡ヶ丘学園高校2階 購買部(未解放区画) DAY4 昼の部②】  
【アリス:体力:29/42:精神:108/108 状態:中傷】  
【校内図(2階):現在位置:○部分:http://i.imgur.com/2Uq2uLr.png】  
――――――――――――――――――――――――――――――――  

けれど動けなかった、動かなかった
体の疲労感があまりにも強くて、怪我の痛みが重くて
その場にズルズルと座り込んで、ため息をつく

アリス「私……弱いわね…… 」

一人も倒せなかった
5人いて、何回も殴ったのに……負傷させる程度にとどまって
誰も殺すことは出来なかった

恵飛須沢胡桃のように戦う力があったのなら、
こんなダメージを負うこともなく無事に倒しきれていたのだろうか
もし仮に倒しきれていなかったとしても
感染するような怪我をせずに済んだのではないだろうか

アリス「はぁ……」

仮定の話ばかり、頭に受かぶ
疲れに降りてくる瞼に抵抗しようとしてもしきれなくて
私はその場で体が崩れて床に倒れ込んでいくのを感じた

目が開かない、身体が重い
死ぬのかな、彼らと同類になるのかな
同類は、嫌ね……なんだか殺して貰えなそう……

アリス「あぁ……慈……膝枕の約束、守れなくて……」

不思議の国のアリス。 彼女が最後どう目覚めたのか
そのリアルな経験が出来ると思ったのにと、かんがえながら
混沌の中へと、私の全ては溶けていった


↓1

【判定:感染率:使用コンマ:そのまま:偶数ゾロ半減】

感染率は15
時間も時間だしここまでにしとこう
安価さんくす

あと一応別にめぐねえヒロインではないです


↓1【再開時判定】

1.3.夜 0.2.4.翌朝 5.7.9.翌昼 6.8.翌夜

【判定:6:翌夜】
【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(解放区画) DAY5 夜の部】
【アリス:体力:42/42:精神:108/108 感染15% 状態:小感染】

・リザルトは夜の部終了後に一括で行います

――――――――――――――――――――――――――――――――

アリス「ぁ……」

中途半端に惰眠を貪ってしまったかのような体の重さ、頭の痛み
死ぬ……いや、気を失う直前まで潤っていたはずの口腔の乾き
呻くことすら辛く、ただ重い瞼を上げていく

持ち上げたそれはどこか……

アリス「……………」

全身の感覚が戻り始めるに連れて、
頭を支える優しさと柔らかさが普通の枕とは違うことに気づく
ぼんやりとしか見えていなかった視界が鮮明になって
危なっかしく上下する、お人好しの顔が見えた

アリス「馬鹿ね……」

慈「zzzz……」

疲れ切った顔、汚れた服、乱れた髪
今は、いつだろうか
ふと目を向けると、時間を刻む時計
真っ暗闇な辺り一面、つまり今は夜
どれだけ……時間が経ったのだろうか


1.自分の体を確かめる
2.慈に声をかける
3.もう少し寝る
4.起きる

↓1

【自分の体を調べる】


とりあえず怪我をしたところに目を向けると
綺麗な包帯が巻かれていて、一応の治療は施して貰えたのが、分かる
体に関しても、汚れた服の一部は取り払われていて
大きなけがとは言わなくても、擦り傷を作ってしまった部分、ぶつけてしまった箇所
万全ではないかもしれないけれど、手当をして貰えたことが伺えた

アリス「…………」

それをしたのはきっと、慈だ
私が”彼ら”によって怪我をして感染し、同類になり果てている危険すらあったのに
いや、きっとその可能性があったからこそ
自分と私以外を排除したこの教室にいるのだろう
襲われることを覚悟のうえで、治療をしてくれたのだろう

アリス「同類には……ならずに済んだわね」

爪で引き裂かれる程度では、完全なご同類になるほどの感染力はないということだろうか
やっぱり、唾液が傷口から入り込んだりしない限りはギリギリ問題がないのかもしれない
もちろん、油断が出来るわけではないけれど。

アリス「…………」

あの高揚感は死にたくないという願望だったのか
それともただただ、私が今までにないほどに死に追い込まれていたがゆえの
徹夜明けの妙な気の高ぶりと似た一過性のものだったのか
……解らない

アリス「布団……救急セット」

私は服を脱がされた分、布団をかぶせられていた
救急セットならいざ知らず、布団まで購買部で入手できるとは思えない
なら……まだ安全圏ではない職員休憩室まで行ったということだろう

アリス「流石に私の為……ではないでしょうね」

その可能性が高いのだけども。


アリス「ふぅ……」

同類になり果ててしまう可能性が完全に拭えたわけではないけれど
今はまだ大丈夫そうだから、休んでおくことにしよう
このまま起きていて目を覚ました慈に怒られるのは避けたい

夜からお説教なんて、面倒くさいにもほどがあるから

アリス「……膝枕の感想でも言えば、誤魔化せるかな」

数日着たままで、お風呂にさえ入れていないせいか
ちょっぴり臭うと言ったら、さらに怒られるだろうか

そんな余計なことを考えている自分が、
柄にもなく笑みを浮かべてしまっていることに気づいて、ため息一つ
彼女の寝息を子守歌のように、目を瞑る

アリス「…………」

生き残ってしまった
救われてしまった
潰える予定だった命……さて、どう扱おうか
君は教師だよね? 聞けば教えてくれるかな?

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY4・5:集計】

【アリス:体力:42/42  状態:良好】→ 【アリス:体力:42/42:精神:108/108 感染15% 状態:小感染】

関係性変動

【由紀 知合(怖い)→知合(尊敬)】
【胡桃 大人(酷い)→恩人(無鉄砲)】
【悠里 他人(強者)→知合(不安)】
【 慈 友人(信頼・大)→友人(心配)】


巡ヶ丘学院高校解放率:変化なし)
http://i.imgur.com/FSDyFPo.png

【疑問:ゾンビの習性】→【1/3展開:音に反応】
【疑問:アリスの生きる意味】→【変化:命の使い方】
【約束:男子生徒の介錯】


【戦闘リザルト:戦闘難易度(very hard)】

・アリス
体力【42】 →【48】
精神【108】 →【110】
筋力【29】 →【34】
敏捷【112】 →【118】
知力【10】 →【14】
器用【25】 →【30】
感染【00】 →【15】


アビリティ

【鋼の精神】
どのような状況下においても決して行動を鈍らせることはなく
脅しや脅迫と言った人間による敵対行為にも屈することもない

【????】←NEW

詳細不明

【感染率について】

感染率は特殊な薬を用いることで下げることが出来ますが
それ以外の方法では基本的に下げることは不可能です
感染は”噛みつき”、”引っかき”等の負傷が原因で起こります

噛みつきによる感染による死、及び、同類化は防ぐことがほぼ不可能で、時間経過①で50%②75%③以上100%ゲームオーバーになります
また、感染率が高い状態でかみつかれた場合は即死します

引っかきによる感染は感染率の上昇が低い為、即死は基本的に避けられるほか、一度で同類化することはあまり起こりません
ただし、この負傷による感染率は判定(上限値50)で決まるので、場合によっては大きな痛手となります

しかし感染した場合、同類化の前兆として一部ステイタスが上昇します(上昇させられます)
程よく感染出来れば、力強いステイタスの持ち主に慣れますが、いわゆるドーピングになるので
身の保証は全くもってされることはありません


なお、上昇できるステイタスは【知力】、【精神】以外の全てのステイタスになります

今回の感染率は15%なのでステイタスを最大15上昇させられます
↓1から↓3まで、各5ずつの計15をどこかのステイタスに振り分けてください

1.体力(HP)
2.筋力(攻撃力・武器装備可能枠)
3.敏捷(回避・逃走)
4.器用(戦闘時反撃と武器利用)


↓1
↓2
↓3

複数選択できる場合は複数選択できるって明記した方が良かったかな
普段いずれか一つのみでやってるから分かりにくいし

問題がなければ下記で割り振ります
再安価希望であれば、再安価します

体力5
筋力10

問題なさそうだからそのまま

・アリス
体力【48】→【53】
精神【110】
筋力【34】→【44】
敏捷【118】
知力【14】
器用【30】
感染【15】


アビリティ

【鋼の精神】
どのような状況下においても決して行動を鈍らせることはなく
脅しや脅迫と言った人間による敵対行為にも屈することもない

【????】←NEW

詳細不明

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY6  朝の部】
【アリス:体力:53/53:精神:110/110 感染15% 状態:小感染】

――――――――――――――――――――――――――――――――


アリス「あー……」

二度寝というのは言い得て妙というか
少しおかしな話になるかもしれないけれど
昨日の夜に目を覚ました時よりは大分調子は良かった
もちろん、体の痛みはまだ……残っているけど

慈「ん……ぅ?」

目の前で眠りから戻ってきた慈が小さく声を漏らしながらこしこしと目元を擦る
ぼんやりとしていて、まだ覚醒しきっていない間の抜けた表情
大人らしからぬ表情を見せる慈の瞼が段々と開かれて

慈「アリス……さん……?」

まるでそこに控えていたかのような素早さで涙が溜まる
ぽつりと私の頬に滴って、流れ落ちる
怒るよりもまず、泣くのか……

アリス「目覚ましもなく目を覚ませるなんて、少しは大人になれたのね」

慈「アリスさん……っ!」

アリス「うぎゅっ」

よく言われる標準サイズ
それよりは若干大きめなのか小さめなのか、肉欲の獣たちの理解のない私としては判別し難いけども。
少なくとも小柄ゆえに小顔に近い私の顔を埋め窒息に持っていくことのできる慈の胸が私を圧し潰していく

アリス「めぐっ……ぅ」

抱きしめられている
目が見えない。でも、声は聞こえる
嬉しいのか悲しいのか、濁ってぐちゃぐちゃなみっともない声
いや、これは嗚咽というものだろうか

男の子なら、嬉しいしチェーションというものだろうか?


1.ありがとう、流石に死んだかと思ったよ
2.頭を撫でる
3.良い膝枕だった。でも、やっぱり着のみ着のまま約1週間は流石に臭うね
4.悪かったよ。でも、あの言葉が私の答えだ。あのbで君たちが失われるのはあってはならない事だったのよ

↓1


アリス「慈、少し離れて」

私を殺そうとしてくる慈の体を手で押しのける
当然本人にそんな気はないのだろうけど
私が死にそうになるのだから、つまりそう言うことだ

アリス「ありがとう、流石に死んだと思ったよ」

慈「そう思うなら無茶しないでっ」

アリス「!」

慈「皆で引き返せばよかっただけなのに、なのに……」

慈の怒りももっともだ
そう考えて目線を下げると、私の体の上に落ちた彼女の手にはくっきりと十字架の痕が刻まれているのが見えた
ずっと、祈っていたに違いない

アリス「あのままでは私ではなく恵飛須沢胡桃が出ていたわ。分かってるはずよ」

慈「それは……」

アリス「彼女は今、”義務感”で動いてる。それはつまり”死を厭わない”」

まるで自分のことだと言ってから思った
違うことと言えば、私には義務感など存在していないという所だ
でも、だからこそ私は私が出ていくべきであったと思う
義務感での殿なんて、いつの時代の話なのか分からなくなる

アリス「そもそも、あそこまでの数が今のバリケードに押し寄せたら破られるのは確実でしょう?」

慈「そうだけど、また立てこもって、ほとぼりが冷めたら一つずつ……それもできたはず」

アリス「君は正しいと思う。だけど、彼女たちにそんなジリ貧な生き方が出来ると思う? 体じゃない。心がだよ」


慈「そうかもしれないわ……」

アリス「…………」

慈だって精神的に余裕があるわけじゃない
慈が言う方法を取ったと仮定し、みんなが少しずつ神経をすり減らしていったとする
その調和を保とうとするのは確実に慈自身だ
その神経は周囲の回ろうとする歯車に削られて瞬く間に摩耗していく

そもそも、他人の精神的なケアをしようということ自体が間違いなのだけど。
それは私が言えたことじゃないし、言っても無駄でしょうね
それに関わら無いことが出来る人間なら、教師にはなってない
こんな人外のような馬鹿げた考え方をする私なんかと関わろうとなんてしないはずだ

もっとも、万が一の”類は友を呼ぶ”なんて言うことがあるけども

アリス「だから、ある意味これでよかったんだと思う」

慈「…………」

アリス「恵飛須沢胡桃がいたから、あの後私を助ける行動や、この布団のあっただろう休憩室まで行けたんだから」

慈「それは結果でしょ……? 私……怖かったんだから」

それは頼ることのできる人間が居なくなってしまうからかな
それとも、友人だから。かな
私はどちらであってほしいと願うのだろうか
私は私という人間が読めない

窮地に陥った時、願わくば君が私の奮闘を見てより生に貪欲であれと願った
なぜそんなことを思ったのだろうか
君が私が真に友人と呼べる唯一の人間だからなのかな



1.頭を撫でる
2.終わり良ければ全て良し。さる偉人の言葉があるじゃない
3.私は正直死んでもいいと思った。でも、なぜかしらね。君の顔を見れて良かったと、心から思う
4.私は一度死んだようなもの。これから私は、どうして行ったらいいのかな


↓1


ふぅ……と、沈み込み始めた空気を払拭するようにため息をつく
起きた時からそうだけど、慈はずっと複雑な表情のままで
私はと言えば、なんだか良く分からない感じで。

どうせならば慈先生(呼ぶと怒る)に悩みでも聞いてもらおうかと
ちらりと目を向けると、視線が交わった

慈「……まだ言い訳があるの?」

アリス「言い訳? 私が言ったのはあくまで私の行動理由だよ。自分自身の正否を紛らわそうとしたつもりはないわ」

戻りそうな会話を区切るためにはっきりと告げておいて
そうじゃなくてね。と、先手を打つ

アリス「私は正直死んでもいいと思ったのよ。だから君にもちゃんと別れを告げたつもりだったんだ」

慈「…………」

ふざけないで。そう言いたげな慈に、ほほ笑みを傾ける
あまりにも予想通りな反応過ぎて、逆に面白かったから

アリス「でもなぜかしらね。君の顔を見れて良かったと心から思うの」

慈「え?」

アリス「君が生きているのは当たり前なの。だからね、安心したとかそう言うものではないはずなんだけど」

体がそうなのかもしれない
けれど、精神的にというべきか……心が少しだけ、温まった気がするのだ
真冬の冷え切った体にココアを流し込むかのような
そう言う、アレな感じ

アリス「君は先生でしょ? そういうの、分からないかな」

慈「心理学を専攻していたわけじゃないから……」

アリス「そっか」

慈「でも……それはきっとアリスさんが生きていたかったからだと思うわ」

私が……生きていたかった?
死んでもいいと思っていたのに
これで終わるのも構わないと自分で自分を動かしていたはずなのに

アリス「まるで支離滅裂じゃない」

私が言うと、慈はどこか嬉しそうにほほ笑む

慈「でも、そっか。私の顔が見れて……なのね。ふふっ、なんだか嬉しいわ」

アリス「……否定はしないよ。否定するのは何か、もっと支離滅裂になりそうだから」

彼女の茶化すような笑みにむけて、私は肯定する
より明確に言えば、私は君の笑みを見れてよかったと思う
トゥルーエンドとハッピーエンド。もしかしたらそう言う類の心境なのかもしれない

慈「でも本当に止めてね? 私……アリスさんまで居なくなってしまうのは嫌だから」

アリス「そうね……」

ちらりと、傷を見る。まだ同類になる様子はない”彼ら”による傷

アリス「場合によるわ。こんな世界だから……居なくならない約束なんて出来やしない」

慈「……出来る限り、お願い」

祈るような彼女の声
私の選択した言葉は間違いだった。約束すると言ってあげるべきだった。そんな気がする
これは後悔しているということなのかな
なんでかな……少し、自分が複雑になってしまった気がする
面倒くさい、自分のことで考えないといけないなんて……

アリス「そうね、出来る限りはね」

だからとりあえず答えておく
そこで見られた彼女の不満半分な表情が、なぜだか印象に残った

ちょいと席を外しますまたあとで出来たら続きやる
1レス長いか…?半分でよさそうだね
あと、めぐねえがヒロイン化してる…あれかな、初期から友人枠にしたせいか

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY6  昼の部】
【アリス:体力:53/53:精神:110/110 感染15% 状態:小感染】
【食料:150(園芸)・700(備蓄)】

――――――――――――――――――――――――――――――――


アリス「なるほどね」

私が購買部で囮になり、救出されて、眠り込んで
1日半……いや、時間的に二日間
その間に職員休憩室に行くことが出来たというのもあって、
食糧や寝具の問題は流れるように解決できたという

そして、朝になって恵飛須沢胡桃と園芸部こと若狭悠里が調査に出た結果、
屋上にある太陽光パネル等の設備が生きていることが判明し
それらを用いることでお湯や電化製品等のしようが出来るようになり、
飛躍的な生活環境の向上が出来たらしい

とんとん拍子に事が進むと、
逆に何か悪いことの前触れのような気がしてならないけれど……
こんな世界になってから早くも約一週間が経とうとしているのだから
このくらいは許して欲しいものだと思う

胡桃「それにしても本当に噛まれてなくてよかったよ」

悠里「そうね……奇跡。と、言って良いのかしら。そのくらいのことだと思うわ」

胡桃「そうだな……あ、アリスさん、聞いてくれよ!」

間を置かずに矢継ぎ早に言葉を並べ立てようとする恵飛須沢胡桃は、
私が制止の言葉を投げかけるよりも先に、帽子の子こと丈槍由紀の両肩をがしりと掴んで私の前に差し出す

由紀「わわっ」

胡桃「由紀が携帯使おうって発案してくれたんだ。大きな音、携帯のやつとかどうかなって」

由紀「わ、私はただスマホが目に入っわわわっ!」

謙遜すんなよーと、恵飛須沢胡桃が丈槍由紀の頭をガシガシとめちゃくちゃにする
その光景を、若狭悠里と慈は微笑ましそうに見つめて

悠里「体の痛みなどは大丈夫ですか?」

アリス「怪我の痛みはあるけど、特に変わった感じはしないわ」

悠里「そうですか……」

少し不安げに、彼女は呟いて

悠里「やはり、噛み付かれたりなどして唾液等が体の内部に入り込むことが”アレ”になってしまう原因なんでしょうか?」

慈「分からないわ……けど、その可能性は十分高いと思う」


アリス「…………」

”噛みつかれなければ感染しない”
それは恐らく違うはずだ
昔からよくよく聞くことではあるけれど
唾液だったか、口だったかにはかなりの量の細菌が潜んでいるという話だ
それゆえに、唾液による感染力は他に比べて爆発的であることは抗いようのない事実だと思う

けれど、私は確かに体が侵されていくのを感じた
妙な話ではあるけれど、注射で血を抜かれていく時に
ほんの少し流れを乱されているのを感じるような、あれだ

微弱ながら感染しているのは間違いない
それはきっと、みんな分かっていること
だから、若狭悠里は私を警戒しているのだろう

悠里「…………」

慈「ねぇ、みんな」

各々好き勝手に(と言っても恵飛須沢と丈槍くらいだが)行動し始めたところで
一瞬、神妙な顔つきをしていた慈が手を叩いて声をかける
皆の目が向けられたのを確認してから、慈は小さく息をついた

慈「予定通り、まずは3階の開放を目指そうと思います」

胡桃「だな……じゃないと夜も安心できない」

慈「そうね……だけど、3階にある使うことのできる机はもう使っちゃってるから、新しくバリケードを作るには2階のを使うしかないの」

悠里「ですが先生、それでは2階に……」

慈「うん……そう。だから、少しずつ確実に。誰かみたいな無謀な囮なんてしなくて良いように」

ちらりと慈が私を見て、皆の視線が私に刺さる
誰かなんて言わずに私を名指しすればいいものを……相当不快だったわね。アレ

慈「慎重に解放を目指していこうと思うの。早く学校全体を取り返したい気持ちはわか――」

胡桃「大丈夫だってめぐねえ! もう焦ったりする必要はないんだからさ。あたしも、気を付けるから」


慈「ありがとう、恵飛須沢さん」

胡桃「良いってめぐねえ」

そう言った恵飛須沢胡桃は、ふと気が付いたように首を傾げて慈を見つめる
何か顔についてる? と不思議そうにする慈に、彼女は笑みを浮かべて

胡桃「いや、そう言えば昨日からめぐねえって呼んでも反応しないなって思って」

由紀「そういえば!」

今更ながらに気づいて声を上げる丈槍由紀
最初に疑問を述べた恵飛須沢胡桃
その両者へと目を向けた慈は「忘れてたわ……」と
意味ありそうで何もない拍子抜けな言葉を返す

悠里「先生、ずっとアリスさんのことを気にしていたから……」

アリス「私のせいとでも言いたいの?」

悠里「いえ、そう言うわけでは……」

アリス「冗談よ。別に怒ったりしていないから怯えないで」

少し詰め寄るような視線を向けただけで、彼女は怯えたように足を引いて否定する
ほんの軽い冗談のつもりだったのに、
いつもこればっかりだから、興ざめしてしまう
それとも、私の冗談が悪いのだろうか

慈「でもね、それでもいいかなって思うの」

アリス「?」

悠里「先生?」

慈「立場としてはやっぱり私はみんなの先生。だけど、こうして生きていく上ではそう言うのじゃなくても良いかなって」

慈は少し照れくさそうにしながら、私を見る
その意思決定に私が関係しているとでも言いたいのだろうか

慈「だから、めぐねえって呼ぶことを許可します!」


やったあ! と一番喜んだのは丈槍由紀だった
次に恵飛須沢胡桃が癖で呼んじゃうからなーと
丈槍由紀よりは控えめながら嬉しそうに笑って

悠里「では、先生……めぐねえも。みんなのことは下の名前で呼んでください」

いいよね? と、彼女が言うと二人は「もちろん」と声を揃えて言う
そんな予測できて当たり前のようなこと
それを予想できていなかったのか、慈は少しばかり困ったように
けれどもどこか嬉しそうな笑みを浮かべながら、眼を逸らす

慈「ゆ、由紀……ちゃん」

由紀「はいっ」

慈「胡桃……ちゃん」

胡桃「おうっ」

慈「悠里……さん」

悠里「私だけ仲間外れですか?」

珍しく(と言っても私は大して知らないが)若狭悠里は不服だと表すように
むっとしたような表情で慈を見つめてしょぼんっと落ち込んで見せる
優等生だからこそ効果のあるそれは、少しずるい気もした

慈「ごめんなさい、悠里さ……悠里ちゃんって、中々。その、大人びてるから」

悠里「有難うございます。でも、私もみんなと一緒が良いです」

大人びているという評価
それ自体は喜ばしく受け取りながらも、若狭悠里は”さん”ではなく”ちゃん”であることを求めて

慈「アリスちゃん」

アリス「せめて躊躇いなさい……それで、釈明の言葉は用意できてるかしら?」

慈「冗談だから、冗談っ!」


アリス「…………」

生活レベルが飛躍的に上昇したことで浮かれているわけではないけれど、
それでも、いつまでも暗いままではなく心機一転切り替えようという気持ちの表れだろう
慈自身も普段と比べて大分明るい声色になっていた

それは確かに良いことだとは思う
他人に”機械のよう”と言われる私としては
そんな大雑把な心境の変化なんて起こっている様子はないけれど
でも、この騒々しくなりそうな空気が悪くないと思えるのだから
少しは変わっているのだろう

だけど、だけど。なんだかそれではいけないような気がしてくる
そもそも私はこの空気感は得意じゃない
苦手でも、ないけれど。
だからかもしれない、気のせいかもしれない

アリス「……曇り、か」

物理準備室、その窓から見える空は私達を取り巻く空気とは正反対な曇天
まるで台風の目の中に紛れ込んでしまったかのよう

慈「アリスさん?」

アリス「寝すぎたかもしれないわ」

ぼーっとしていたのかもしれない
心配そうに聞いてくる慈に、笑みを返して取り繕う
私は昔から”卑屈”だと言われることがあった
だからかもしれない
慈がポジティブに考えることのできる人間だとすれば
私はネガティブに考えてしまうような人間だから

慈「とりあえず今日は探索を打ち切ってお休みの予定だから。ゆっくりして大丈夫よ」

アリス「そっか」

慈「さっき話してたことなのに」

ちょっぴり心配そうに、慈がぼやく
あまり話を聞いていなかったけれど、今日探索に出ないのなら
今日のこの不安はきっと杞憂だろう
部屋にいるのなら、安全だから


1.由紀とお話
2.悠里とお話
3.胡桃とお話
4.慈とお話
5.少し運動しておこう

↓1

アリス「少し、いいかしら」

悠里「……」

園芸部こと若狭悠里は声をかけた途端に閉じていた目を開いて
私のことを真っ直ぐ見つめてきた
警戒している。というのが、はっきりとわかる

悠里「どうかしたんですか?」

下手なことは言わない方が良いと思う
ましてや、今の空気感はあまりよくないとか
ネガティブに流れていくような考えに通ずることは。

きっと彼女の心証を余計に悪くしてしまうだろうし
面倒なことに繋がりかねない

だけど……


1.園芸、見に行かない?
2.私には、呼び方をどうこう言わないのね
3.あまり……気を抜かない方が良いわ
4.ちょっと、隣の教室に行きましょ
5.この後の事、かんがえてあるの?

↓1

アリス「私には呼び方どうこう言わないのね」

別に興味があるわけではないし
彼女たちが私に対してまだ完全に心を許しきれていないというのも分かってはいるけれど
それでも、ここで生活していくのならば
少しは距離を詰めるべきなのだと思う

アリス「君たちは、私のことを”アリスさん”と呼ぶけど」

悠里「…………」

私がそんなことを言うとは思っていなかったのか
あっけにとられた表情を垣間見せた若狭悠里は見開いていた瞳を細めて逸らす
裏があるのかもしれないと、考えているのだろうか?

でも、友人である慈の生徒だ
取って食おうなどと考えない事くらいは理解していると信じたいけれど。

悠里「すみません……アリスさんは、私達のことを名前ですら呼んでいただけなかったので」

アリス「……あぁ」

棘がある
けれど、今は言及しないで置いた方が良いかもしれない
確かに私は彼女たちの名前を呼ばなかった
聞いた覚えはあるけれど、忘れてしまったし
改めて聞こうともしなかったから

アリス「そっか」

悠里「はい」

アリス「…………」

しかし、ひとの名前を呼ぶのはあまり慣れていない
それは当然、慈のように
”〇〇さん”や”〇〇ちゃん”というのに始まり、”めぐねえ”と言った呼称をすることにも慣れていない
そうする理由がなかったし、そうする意味もなかった

友人なんて一過性の病気のような
学校にいるほんの少しの時間、学生であるほんの数年
その付き合いでしかないと思っていたから

その点で言えば、下の名前で呼ぶ慈は本当に特殊だったのだと思う
学年が変わったり、学校を出れば音信不通になった同級生
その中の一人だったはずの彼女は、取り残されていく私に何かを投じることをやめなかった

アリス「若狭悠里」

悠里「はい」

フルネームで呼ぶと、彼女は変わらない表情で見つめ返してくる
慈の時とは違って、返しもシンプルで
感情が籠っているのかでさえ、不確かな感じだ

でも、それはきっと私もなのだろう


1.若狭悠里
2 .若狭
3.悠里
4.わりぃ(若狭の”わ”と悠里の”り(ぃ)”)
5.何かしら自由

↓1

うむ続きは明日かな
安価さんくす
がっこうぐらしの設定資料集欲しいな
はたしてめぐねえ…この先生き残れるのか


【悠里】


アリス「…………」

単調な反応でつまらない。とまではいかないし
フルネームで呼ぶのは私が良くすることだから
そこから特別変える必要も無いのではないかと、思う

けれど慈がしたように
ここで生活していく上で何かを変えていく必要もあるとは思う
それに、一度は恵飛須沢胡桃のことを呼んだし
慈に対してそう呼んでいるのだからと
怠惰を決め込もうとする自分自身の背中を押す

アリス「悠里」

悠里「!」

アリス「……その方が良さそうね。君も私をアリスと呼ぶのだから、良いわよね?」

悠里「ぇ、あ……は、はい」

まるでそう呼ばれると思っていなかった
そんな驚きを見せる若狭悠里に目を向ける
仲の良い間柄なら、ここで新しく変わった呼び名でも連呼するのかもしれない
無駄に呼ぼうとするのかもしれない
けれど、私は切り替えただけで満足して、息をつく

もしかしたら、そのあたりの意識の違いが
私が人間になりきれていない理由なのかもしれない

悠里「アリスさんが下の名前で呼ぶとは思いませんでした。てっきり、苗字かと」

アリス「慈に対して慈と呼ぶのだから、不思議なことではないと思うけど」

悠里「そうですね」

アリス「……」

悠里「……」

会話が続かない
それだけで終わって黙り混んでしまう
今必要な話題もないし、問うべきことは問い答えを得た

特別な満足感があるわけではないけれど
会話なんて言うものは
特に、他人との会話など目的がないならする必要がないのだから
それで良いのだろう

無意味に脇道を作り、寄り道をして最終的には自分の目的地を忘却する
誰もが"他愛ない会話"などと理由付けするくだらなさなんて、不要だから

悠里「アリスさん」

アリス「……ん?」

悠里「その……ひとつ伺っても良いでしょうか?」

アリス「……」

これも、無駄だ
顔色を伺うのも様子を見るのも人間で他人だから当然なのだろうけど

アリス「ダメと言ったらそれで終わるけど、君はそれで良いの?」

悠里「……」

アリス「せめて、問いを投げた成果を得るべきでしょう? 私が答えても答えなくても、それは君にとって一つの答えになるはずだから」

これも無駄な会話だけれど
でも次に生きる今の無駄なのだから仕方がない

悠里「では……趣味とか。有りますか?」


1.無い
2.怠惰な生活
3.なにかしら自由

↓1


アリス「趣味……?」

そんなくだらないこと……と言葉が続きそうになって閉じ込める
今後付き合うつもりの無い赤の他人ならばともかく
一応は生活を共にする”他人”なら、多少は見逃すべきだろう

とはいえ、趣味なんて聞くだけ無駄なことだと私は思う
同じ趣味であるならばいざ知らず、違う趣味で、
もしもそれが自分とはまったく反りの合わないものだったらその人間はどうするのだろうか
自分が絶対に無理なこと
それが友人の趣味であったなら、どうするのだろうか

……なんて、そんなことを考える時点で無駄ね

アリス「私には無いわよ。そういうの」

悠里「なら普段は、何を」

アリス「言ったでしょう? 私は好きに生きていたって、自由に生きていたって」

だから、これと言った趣味があるなんていう意識をしたことはないし
何かを好んで行ってきたことも特には無い
その瞬間、そうしたい
そう思ったことをしてきただけだから

悠里「……では、屋上行きませんか? 園芸とか、以外に楽しめるかもしれませんから」


1.気持ちだけで十分よ
2.……良いわ。付き合ってあげる


↓1

【付き合う】

アリス「良いわ付き合ってあげる」

園芸にはさほど興味は沸かないけれど
若狭悠里が距離を詰めようとしてきているのなら
少しは付き合っても良いだろう

もちろん、何かがあるのなら断るけれど
今は特にないから

悠里「ありがとうございます」

少しだけ明るくなった若狭悠里は慈や恵飛須沢胡桃らに私と屋上に行くことを一人で告げて、行きましょうと導く
これで少しは若狭悠里について知ることができるだろうか?

アリス「……」

死ぬことがなければ長くなるだろう
それこそ、家族であるかのように……
だからきっと、これは必要なことなのだ
そう理由をつけて、彼女の導きにしたがった


屋上に行くとすぐ目の前にその菜園はあって、少し離れたところに何かに器械が並んでいる
普通の学校とは違うその懐かしい装いから目を逸らして、
若狭悠里の姿を目で追う

アリス「私がいた頃よりも、作物の種類は多そうね」

悠里「アリスさん、園芸部だったんですか?」

アリス「違うわ」

すぐに答えると、若狭悠里は困惑したように首をかしげる
それはそうだろう
ここには園芸部のための空間がある為、園芸部の生徒にこそ屋上の鍵は貸し出されることがあるが
一般の生徒に貸し出されることはないし、基本的にここは施錠されているからだ

だから、この空間を知っているのは本来は園芸部であるはずなのだ
もちろん、私は違うけれど

アリス「私は自由を謳歌していたの。屋上だって自由に立ち入っていたわ」

悠里「怒られなかったんですか?」

アリス「怒られるなんて、めったに無いわ」

何せ、怒っても無駄だと呆れられていたのだから
それでも一応、退学させるか否かの問題にまで発展することは無いようにと気は使ったが。

アリス「……雨が降りそうね」

悠里「最後に見ることのできた週間予報では、今日から少し天気が崩れると」

アリス「そう」


悠里「雨はお嫌いですか?」

アリス「どちらでもないわ」

そんなことに好き嫌いを言うような面倒なことはしていない
そう言いかけて、口を止める
他人と話すときは、必ず何かしらの抑制をしなければいけない
たとえ自分の言葉が間違っていないのだとしても
その瞬間は口に出さない方が良いというようなこともある
腹の探りあいというわけではないけれど、
ただただ、面倒くさいということだけは確かだ

アリス「…………」

一応は作業を行いながら疑問を投げかけてくる若狭悠里へと目を向けると
彼女もまた私へと目を向けてくる
その手には収穫したばかりの赤いトマト
素人が作ったものにしては、出来がいいようにも見える

悠里「トマト、食べてみますか?」

アリス「……君はなぜ、園芸部に?」

悠里「食べてくれたら、お答えします」

そう言った若狭悠里は近くにあった手洗い場でトマトを洗うと
笑みを浮かべながら、私へとソレを差し出す

洗われたからか、艶がかった赤いトマト
色も申し分ない、変な傷や変色も無い
お店で売っているのと遜色なさそうなトマト
唯一問題があるといえば、その大きさか

悠里「お嫌いですか?」


1.貰う
2.断る


↓1

【貰う】


アリス「頂くわ」

ここで断るとトマトが嫌い。なんていうわけの分からない噂が流れる……?
いや、若狭悠里がそんなわけの分からない噂を流すとは思えない
だけど、購買部からの物資収集や休憩室への立ち入りが出来たことで蓄えが十分とはいえ
態々自分が育てていたトマトを差し出したのだ。そこには理由があるだろう

受け取ったトマトの色味は綺麗な赤色で、
握ると微かに指が沈み込むけれど、反発するようなしっかりとした身持ちをしてて
重過ぎない、軽すぎない、実と水分がしっかりと含まれた重み

アリス「…………」

汚れを洗い流した水の艶が残る部分を一口齧る
じわじわと広がっていく酸味は市販していたものよりも少し強く
対して甘みが強いわけではないために酸っぱさが勝る素人感

けれども採れたてのみずみずしさがあった
頑張って育てたことを示すように、容易く噛み砕かれながらも
しっかりとした食感を感じさせる

決して手放しで美味しいとはいえないと思う
けれど”不味い”の一言は出てこないだろうとは感じた

悠里「どう……ですか?」

アリス「トマトね」

もう一口齧って、もう一口齧って、ヘタを残して完食する

アリス「ただのトマトよ」

悠里「…………」


若狭悠里は大きなリアクションも無く私の手を見て
ただ、完食に至ったことのみを受け取ったのだろう
嬉しさ半ばな笑みを浮かべて、「良かったです」と、呟く

アリス「問題なくトマトだといえる出来だった」

悠里「え?」

アリス「美味しいとは、言ってあげられないけれど」

勘違いされたままなのは何かが違う
そんな気がして言葉の意味を並び立てる
途端に、鼻先にポツリと滴るものを感じて空を見る
酷く汚れた曇天から、次から次へと雫が落ち始めて


――本降りが始まったのは、私達が3階まで降りてからだった

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY6  夕方の部】
【アリス:体力:53/53:精神:110/110 感染15% 状態:小感染】
【食料:150(園芸)・700(備蓄)】

――――――――――――――――――――――――――――――――

慈「降ってきたわね……」

窓際に近付いた慈が不安そうに呟く
雨が降ったからと何かが起こるわけではない……と、思いたいが
しかし、今まで晴れ間の見えていた明るい学校が、
闇に包まれていくと言うのは、あまり良い気分にはならないのだろう
じめじめとした空気がまた、気分を害していくように感じる

胡桃「今日は早めに休んだ方が良いんじゃないか?」

悠里「何もしていないのに?」

胡桃「いや、なんていうか……雨だと変に体が重く感じるんだよ」

それは気分的な問題なのか
湿度的な問題で体の間接に干渉されてくるのか
冗談めかして言う胡桃に悠里は困った表情を浮かべる

由紀「でも、まだ夕方だよ」

胡桃「もちろん、今すぐってワケじゃないって」

まだ3階の解放も終わっていないために
大きく騒ぐようなことなど何一つ出来ないしする気力も無いのだろう
雨が、慈達を気落ちさせていく
胡桃が言うとおり、早めに休むのも視野に入れるべきだろう
ここまで頑張って来たのなら、なおさら


アリス「慈、今日の探索はしないのよね?」

慈「え? ええ。今日はお休みだけど……」

そう決めたのだと何度か話した話題だからか、慈は不思議そうに答える
大した意味は無いけれど、特に何もすることがないというのは
ソレはそれで不自由で、なんだか嫌なのだ

便利になった分、あれをしよう、これをしよう
そう言ったことが無くなってしまったのかも知れない
言い換えれば、目標と言うか、目的が無いという感じだろうか

慈「何かあるの?」

アリス「ううん、確認しただけよ」

特別したいことがあるわけでもない
ただ、すべきことはあると思うが、迅速に行うことではない……だろう
少なくとも、探索がお休みなのだからそう言うことだ
慎重さを欠くのは不味い

それなら、適当に暇つぶしをする方がいい
さて……


1.胡桃
2.悠里
3.由紀
4.慈
5.ちょっと運動
6.廊下に出る


↓1

【胡桃】


アリス「胡桃、ちょっといいかしら」

胡桃「えっ?」

アリス「? 何かあるの?」

胡桃「いや、あるわけじゃ、ない……けど」

混乱したように途切れ途切れに答える胡桃は、
私の顔をじっと見つめて不思議そうに首を傾げる
私の何かがそんなにおかしいのかな

……私が名前で呼んだことだろうか

悠里の時もそうだった
だからそうなのだろうと考えてため息をつく
私がいつも慈を慈と呼んでいることはもはや周知の事実だというのに
それも私の人望という目に見えないパラメータが欠損しているがゆえだろうか

アリス「君が不服なら取り下げるけれど。悠里はそれでいいと言ったし、君も私をアリスと呼ぶでしょう? なら、構わないと思うのだけど」

胡桃「あーいや、嫌ってわけじゃないんだけどっ」

どこか照れくさそうに頬を掻くそぶりを見せた胡桃は 私を一瞥して、フイッと眼を逸らす
そんな照れるようなこと、だろうか?
そう考えて、ちらりと慈を見てそう言えばと思い返す
慈も一番最初はそんな反応を見せた

アリスさん、アリスさん。まるでこっくりさんを行うかのように言うものだから
殆ど悪戯の意味を込めて呼んだのが初めてだったか
お人好しというか、優しいというか、馬鹿というか
誰もが敬遠してしまうような仕事を、本当はやりたいわけではないのに引き受けてクラス委員長とかいうのになった時だ
その時欠席した私が副委員長になれた(された)のも、慈が一番仕事があくる委員長を請け負ったから。

アリス「……嫌じゃないなら、今度からそうするわ」

横道にそれそうな頭を切り替えて、告げる
胡桃はと言えば、まんざらでもない笑顔を浮かべていた

胡桃「それで、どうしたんだ?」

下の名前で呼ぶことを伝えるという目的は難なく達成することが出来た
それ以外に何か、要件はあっただろうか?

取り急ぎ伝えるようなこと
しなければならない事は、特になかったはずだし
一階に置き去りにしてしまった”約束”はまだ、はたせるような状況ではないし。

そう言えば、胡桃がこの世界に切り替わってからのことは慈に聞いただけで
本人からまだ、話は聞いていなかった気がする
以前は無理だろうと敬遠したけれど、 今なら少しくらいは聞けるかもしれない
もちろん、重要性はそんなにない……とは思うけど。

何もなければ、それでもいいかもしれない 


1.戦うことについて
2 .慈について
3.悠里について
4.見回りに出る
5.……一応、礼は言うべきだと思ったわ。君は由紀の提案だと言ったけれど。
6.ほかに何か(自由)


↓1

あんまり出来なかったな…続きは明日で
大方いつものように朝からかもしれない
アリスはもう少し普通の設定にすべきだったかもね…猛省

毎度安価さんくす

【戦うことについて】



アリス「胡桃、君は戦うことについてどう考えてるの?」

胡桃「え……?」

アリス「…………」

胡桃の表情が、曇った
慈に話を聞いていたから、そんな質問をされると思っていなかったのではなく
そこには口ごもる理由があるのだと、私は分かっている
けれど、下手に言葉は投げかけない

私と胡桃の関係は、ここにくるまでの時間と苦労は
普通のそれと比べてみればまったく比例していないために
仲が良いとも悪いとも(私の視点で語らなければ)言い難い

しかし、繊細なものがある
私は胡桃を慰めるつもりはないし、その心が分かるとも言ってやれることはないから
だから、胡桃が何かを得られると考えたり、重荷の少しでも下ろせると思い
自らその口を開かない限り、私は”その問題”を迂回する

アリス「一応、相手は人間の形をしているでしょ?」

胡桃「人間の形って……」

アリス「違うかな? 違わないと私は思うけれど……」

少し不快そうな表情を見せる胡桃に私は小さく息をついて、目を背ける

アリス「私は一般的な意見と擦れ違う自覚はある。でも、だからこそ君の戦いに関する考えを聞きたい」

胡桃「……な、ならさ。アリスさんは、どう考えてるんだ?」


1.私は救いだよ。”彼ら”を救っているの
2.生きるために殺す。それだけだよ? 食事はしないけれど、動植物を締め上げるのと変わりないわ
3.特に考えてないわ。考える必要なんて、無いだろうし
4.それ以外、何か(自由)

↓1


アリス「私……? 一般人のそれとは違うと思うけど」

胡桃「それでも、良いからさ。教えてくれないかな」

アリス「…………」

私の考えに興味をもたれても、正直言えば困る
以前にもそういった気の緩い人は沢山見てきたけれど
そう言う人は大体、私の考えを聞いた瞬間にあからさまに身を引く
けれど。まぁ、胡桃が引いたところで私には特に影響も無いから、いいかなと、息をつく

アリス「私は救いよ。”彼ら”を救ってるの」

胡桃「救い……?」

アリス「そう」

私に言わせれば”彼ら”を殺すことは、成り果てた人間への救いの意味合いもあるし
そもそも、私は生きるための手段について頭を悩ませるつもりは無いから
まったく持ってどうでもいいのだけれど。

しかし、慈がそれに成り果てたら、と考えたときにも思ったことだけれど、
真っ当に生きてきた人間が”ソレ”に成り果てて
誰かを傷つけるような何かになってしまうというのは、悲しいことだとも思う

アリス「正しく生きてきて、人のために生きてきて、なのに”彼ら”に成り果てて積み上げたものを壊してしまうなんて可哀想だから」

胡桃「アリスさんも、そういう、悲しそうって言うか。違う顔するんだな」

アリス「普段の私が無表情だと言いたいの?」

胡桃「ごめん、正直……何考えてるか分からない」


嘘をつかずに正直に述べた胡桃は悪びれた様子で笑いながら、軽く頭を下げる
それが現代風……というより、今の学生の謝罪なのかしら

胡桃「あたしはさ、あたしは……正直、怖いよ」

不意に、胡桃が口を開く
さっきまでの茶化すこともできそうな緩ささえある空気を一新して、
緊張感に満ちた面持ちで。
傍らに立てかけてあったスコップを、握る

胡桃「仕方が無いことだって考えても、人間じゃないんだって逃げても。でもさ」

アリス「…………」

胡桃「コイツで殴ったときの感触は現実で、死んだあと見える”奴ら”は人間で、あたしは殺しちゃったんだよなって」

微かに震えて見える胡桃の手
恐怖に追い立てられているように余裕の無い表情を見せる胡桃は
ちらりと、私に目を向けてくる

胡桃は生きるために”彼ら”を殺してきた
しかし、胡桃にとってはそれだけだったのだろう
あるいは、みんなを守るために。という理由があったのかもしれないけれど
結局そこに逃避するための理由付けが出来ていなかった
だから、殺してしまった。なんて罪悪感が生まれてしまう

アリス「やっぱり、私は一般人のそれとは違うね」


私が胡桃と同じ立場で、私がいましている考えを持って居なかったとしても
私は決して、罪悪感なんていうものを感じることはなかったと思う
だって、生きるために”彼ら”を殺すのは、生きるために”動植物”を殺すのとさほど差は無いと思うからだ

確かに、後者に関しては、自らの糧にするといった
ある種の……と言っても人間側の勝手ないいわけではあるのだけど
殺されていく何かに対しての救いだったり、理由だったり、意味が"生"以外に存在している
しかし”彼ら”にだってそれを装飾することは出来ると思う。いや、出来る
少なくとも私はそれをしているから、出来るはずだ

胡桃「だけど、アリスさんの聞いて。確かにそうだよなって思ったよ」

アリス「?」

胡桃「例えばりーさんがそうなっちまったとき、りーさんはそんな自分が誰かを傷つけるなんて許せないだろうなって思う」

きっと由紀もめぐねえも。と
くるみは付け加えながら、力のそこまで感じない笑みを浮かべる

胡桃「だから、アリスさんと同じ考えでいかせて貰うよ。自分の知り合いが、もしもそうなってたとき……ちゃんと、”助けて”あげたいからさ」

それが彼女に出来るのだろうか?
それが本当に正しいことなのだろうか?
分からない……けれど、仕方が無いことだからと割り切らせるのも簡単なことではないと思うし
それは結局"子供騙し"でしかなく、いつかその溜め込んだ”何か”に触れなければならないとき
あるいは何かによって触れさせられたとき、恵飛須沢胡桃という人間が壊れずにいられるとも限らない

それに、それで胡桃が覚悟できるのならば、それにこしたことはないだろうか

アリス「私は普通の人間とは違うわ。だから、君が私の真似事をして何か悪い目に遭っても保障はないわ」

胡桃「ああ、分かってるよ。でも、生きててくれよな……”先輩”!!」

アリス「はぁ……」

本当……人間とは、子供とは、本当に……現金な生き物だと思う
けれどそれも少しは悪くないと、思えるような気がした

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY6  夜の部】 
【アリス:体力:53/53:精神:110/110 感染15% 状態:小感染】 
【食料:150(園芸)・700(備蓄)】 

―――――――――――――――――――――――――――――――― 


強い雨が、窓に打ち付ける
運よく窓が割れていなかった準備室は問題ないかもしれないけれど
割れている各教室や廊下は酷いことになっているかもしれない
明日は……掃除する必要があるだろうか

アリス「…………」

そんなことがあるのなら、寝てしまうべきかもしれない
けれど、こんな世界で出来たつかの間の休息
休むことも重要かもしれないが
今後の為にももう少しだけ、誰かに関わっておくべき……だろうか


1.胡桃
2.悠里
3.由紀
4.慈
5.廊下に出る
6.早めの就寝


↓1

【由紀】


アリス「由紀、とりあえず礼を言っておくわ」

由紀「お礼なんて、そんな」

アリス「君の行動がたとえ偶然で、運が良かっただけなのだとしても。私は君のその幸運と偶然に救われたのよ」

由紀「………」

アリス「それは変わらないことだし、偽ることのできない事実であり過程よ」

勿論自意識過剰な人間も少なからずいるが、そうでない人間も当然ながら存在している
そのどちらもが存在することについて、私は別段意見などするつもりはないけれど
偶然だから、運が良かっただけだから
そう言って自分の手柄としない人間は、私は少し分からない

自己評価が低いのかもしれないけれど
実際にそれによって救われた人間がいるのだから
相手その偶然、その運の良さがなければ救うことすらしなかったのか。と、私は(問い詰める気は毛頭ないが)疑問に思う

アリス「君の幸運は、君が誰かを助けようとしたからこそ、実を結んだもの。運や偶然だけで人は救えないわ。必ず、それの持ち主の行動が起点にはある」

由紀「む、難しい言い方だ……」

アリス「君も高校3年生と聞いたけど……」

私の基準が高いのかもしれないけれど
少なくとも高校生なら分かるような話し方にはしているはず
なのに、由紀はと言えば困惑しきった表情を浮かべていて
ため息をつかずにはいられなかった
これは慈も、苦労するはずだ

アリス「鍵が必要な扉があったとして」

由紀「うん」

アリス「その鍵を持っているのが君だった。ということよ。それ以外の何かではないわ」

分っていそうで分かっていなさそうな 
ある意味で複雑な表情を見せる由紀にため息をついて、眼を逸らす
本当に、生きているのが奇跡だと言いたくなってくる

こんな世界にならなくても世界には地獄のようなことをする人間も少なからずいたし
良く、そう言った人間の餌食にならなかったなと感心するほどには
由紀は全くもって”面倒くさい”人間だと思った

アリス「はぁ……」

だからと言って”彼ら”の餌にしたり、囮にしたり
無下に扱ったりなんだりとするつもりはないけれど、どうしたものかと思う
はっきり言って私はこういうタイプが苦手だ
直感で物事を語ろうとするようなタイプ

私も時々そう言う判断を下すから、尚更
所謂同族嫌悪、というものと言ってもいい 
胡桃や悠里のように、私が納得できるように語ってくれる可能性がある相手ならば
耳を傾けようという気にならないこともないし
その判断に従って良いのかどうかの判断もしやすくなってくる

だが、由紀のように理由付けさえされていなそうな答えを出した時
それに従うべきかどうか、答えの出ない脳内会議が始まりかねないし
それは明らかに無駄が多く思える
だから……好めないのだ

アリス「……」

何か聞くことは、あるだろうか
胡桃と違って、あまりいい会話も会話も出来ないかもしれないけれど


1.戦うこと
2.悠里について
3.胡桃について
4.慈について
5.由紀について
6.アリスについて
7.この前、言いたがっていたことは良いの?


↓1

【この前の言いかけたこと】 


アリス「ところで、由紀。前に言いかけたことは良いの?」 

別に本人が聞かなくても平気なら聞かないし 
そもそも忘れていたのかもしれないと思いながら問いかける 
由紀のことだから、勝手に気を使っている可能性も考えて 

由紀「あれは……その」 

アリス「何?」 

由紀「外が危ないから行かない方が良いよって……」

アリス「あぁ、そういうこと」

別段改めて言うようなことでも聞くようなことでもなかったらしい
言われてみれば、あの場面ではそう続くのが当たり前だった
とはいえ、突拍子もないことを言い出しそうな由紀だから
何か別のことを言うかもしれないと思ったのだけど……

アリス「それならいいわ。それじゃ――」

もう休みましょう。そう言いかけた私の服を掴んで
由紀は何かを言いたげな瞳で私を見る
それとは別に言いたいことがある、そんな表情だ
言いたいことがあるのなら、躊躇わずに言えば良いのに

アリス「なに?」

由紀「えっと、その時のことで、聞きたい事が、ある……から」

途切れ途切れでしどろもどろ、ついでに右往左往してそうな弱弱しい言い方
何かと聞いたのだから、はっきり言ってしまえば良いと私は思う
たとえそれが相手を傷つけるような一言であっても
相手の言動が発言者に対してそう言う印象を与えたからこそ言葉なのだから
それに対して相手に責めるな。とは言わないが
自分自身の言動ゆえのものだと、認めたうえで
自分がそう思われたくないのならば改めればいいだけの話だ

もっとも、そう考える人間なんて、私はこれまで見た覚えがないのだけれど


由紀「アリスさん、その時に私にそれが普通、間違ってないって」

アリス「言ったわね」

由紀「どうして、間違ってないのかな……って」

不思議そうに、由紀は言う
由紀にとって、(少なくともあの時は)自分は役に立たない存在であり
部屋で待機していることだったり、怖くて動けない事だったり
そういうのが正しいことだと思えなかったのだと思う

確かに、この世界において役に立てないのは正しいことではない。 それは間違いないし
この世界ではないのだとしても、間違いない…… けれど

アリス「別に、戦える戦えないでどちらかを決めるつもりはないからよ。私はね」

他の人間、例えるならば武闘派だったり過激派だったり
そういった種族の人間なら、戦えない人間は無価値であると切り捨てると思う
いや、そう言う人間ならば”餌”や”囮”として有用だと考えるかもしれないが。

アリス「戦争では戦う力はなくても、戦いを考えることのできる人間はいるし、それは重宝されるでしょう?」

由紀「で、でも……私は」

アリス「別に軍師になれとは言わないわ。ただ、”兵士”ではなくても、何かしら出来る事はあるはず」

完璧にこなすことはできないかもしれないし、出来る事はさらに限られてくるかもしれない
けれど、その行動をするというだけで、決して役に立たない存在ではないのだ
だからこそ、あの場で戦いに出る勇気が無かったのだとしても
それは人間としてごく普通のことで、当たり前で、間違ってはいない
全てをできる”何か”ではなく、何かが出来る”人間”それで良いのだ

アリス「私は君に努力をするべきと言ったけれど、努力はした?」

由紀「た、戦うのは……」

アリス「今その必要はないと言ったはずよ」

繰り返しになりそうな流れに思わずため息をつきながら
戦うとかどうとかはもういいから。と 少し強い口調で由紀に告げる
少し畏怖を感じさせる視線が感じられたけれど
別に由紀に好かれようとは思っていないのだから、構わなかった

アリス「君は君が出来る何かを見つけるべきよ。それがたとえ真似事だとしても」

由紀「…………」

アリス「悠里の手伝いをしてどうだった? それは君に出来る事だった?」

今すぐに完璧に出来るわけではないだろう
だけど、何か一つは出来るかもしれないと思ったことがあったはず
何も出来ないなんてことはなかったはず
だったら、それでいいと私は思う。 それが、一つの努力だと私は認める

もちろん、変に期待させているだとか
私が由紀に対して甘いだとか、ひとに対してどういう人間なのだとか
直情的な意見ばかりの由紀に勘違いされて変に広まっても困るから
そこまで言うつもりはないけれど。

アリス「君はまだ子供でしょう? なら、君が知らない君が出来る事があると、信じてみればいい」

由紀「信じる……」

由紀は自意識過剰の正反対で、ほとんど自分に自信を持てていない
だから、何かを自分からやり出すことが出来ないでいるんだろうし、何をやっても駄目なのだと
役立たずなのだと、”子供の分際で”勝手に悩んでしまっているんだと思う
まったくもって、不愉快極まりない

知らない事ばかりというだけの事なのに
勝手に諦めて、勝手に決めつけて、余計に何も出来なくなっていく
そんなくだらない人生で良いとあきらめるくらいなら、死んでしまった方がマシだ

アリス「なにも出来ない自分を、何かが出来ると信じて行動する。君がすべき努力はまずそれよ」

由紀「難しいこと……ばかり、だけど」

アリス「………」

由紀「自分を信じた方が良いって、ことだよね?」

8割程度の話が通じていないということを理解したうえで
それがこの子なのだと諦念を抱き、ため息を飲み込んで頷く
頷いたと言っても項垂れたようなものだけど
それもいつかは、変わるかもしれない

面倒をいつまでも見てあげるつもりはないし
甘やかしたりなんだりとするつもりはないし
いつかは離れ離れになることもあるだろうから
丈槍由紀が変わった姿を見ることはできないかもしれないけれど。

正直言って……今のままは足手纏いではないにせよ耳障りで目障りだから

アリス「そう思ったのなら、そうしなさい」

私の目の前にいるというのなら、少しは変えてあげるべきだろう 
この子が生きている価値ある人間であると、守る価値ある人間であるのだと
私たち以外の誰かが、あるいは、この世界が認められるように。

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY6:集計】  

【アリス:体力:53/53:精神:110/110 感染15% 状態:小感染】  →変化なし 

関係性変動  

【由紀 知合(尊敬)→大人(姉のような人)】  
【胡桃 恩人(無鉄砲)→恩人(尊敬)】  
【悠里 知合(不安)→知合(不思議な人)】  
【 慈 友人(信頼・大)→友人(心配)】  

巡ヶ丘学院高校解放率:変化なし)  
http://i.imgur.com/FSDyFPo.png】 

【疑問:ゾンビの習性】→【1/3展開:音に反応】  
【疑問:アリスの生きる意味】→【変化:命の使い方】  
【約束:男子生徒の介錯】

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY7 昼の部】   
【アリス:体力:53/53:精神:110/110 感染15% 状態:小感染】 
【食料:150(園芸)・650(備蓄)】

    【雨が……降っています】

――――――――――――――――――――――――――――――――


アリス「今日も、雨なのね」

慈「仕方がないわ。天気が崩れるって言うことは、連日こういうこともあるから」

アリス「それは言われなくても分かっているけれど……」

屋上の園芸にも少なからずダメージはあるだろうし
濡れた廊下だって足元が滑りやすかったり危険度が増してくる
昨日は掃除の必要があるかもしれないと考えたけれど
それさえも、無駄になってしまう

胡桃「めぐねえ、今日は少し探索に出た方が良いと思う」

慈「そうね……」

階下にまで行く必要はないと思うけれど
3階に関しては少しでも歩を進めるべきだろう
職員室になら、何か使える道具とかがあるかもしれないし

悠里「3階なら、みんなで行った方が良いですよね。手入れもこの雨だと……少し危ないので」

窓の外を一瞥した悠里が困ったように言う
屋上には柵があるし、問題ないとは思うけれど
雷や風、老朽化等考えればきりがない危険がある
とはいえ、全員で行動は少し危険な気もするが……

慈「アリスさん、それでいいかしら?」

アリス「……」

私以外は賛成……のようだけど

1.賛成
2.反対

↓1

アリス「……解ったわ」

多少の不安要素はあるけれど、それぞれが問題ないと考えているし
手持無沙汰でやることが無いのなら、何かやれることをやらせてあげておくべきだ
悠里はともかく、由紀は戦闘することはできないだろうけれど
何か道具を手に入れたときなど、持っていてもらったりする荷物持ち的な役割としては
充分手伝いになって貰えるはずだ

胡桃「おっし、準備しようぜ」

悠里「胡桃、張り切りすぎないでね?」

胡桃「解ってるって」

悠里「もう、解ってないでしょ」

慈「…………」

出かけることが決まって、胡桃たちが各々準備をし始める
その姿を黙ってみていた慈はふと、私の方に目を向けて、困ったように笑みを浮かべた
何か、あったのかしら

慈「アリスさん、ずっと不安そうだけど……大丈夫?」

アリス「私が?」

慈「ええ」

本当なのかと自分で自分の顔に触れる
口元も目元も眉毛も、定位置で、特に変わった様子はない
そもそも、私は顔に出ないタイプだから、そんな表情をしているわけはないのに、
なぜか、不思議と。
慈は自分のその目(私が不安になっていると気づいたこと)を疑っていないのだと、感じて

アリス「雨だからかしら。あまりいい気分にはなれないの」

自分が思う不安な要素を答えておく
ただそれだけ、”今は”その程度
今後何かが起こるかもしれないし、起こらないかもしれない
不確定なのはいつものことで、当たり前のことで

――だから私は、深く考えることはなかった

【巡ヶ丘学園高校3階 未解放区画(3階) DAY7 朝の部】    
【アリス:体力:53/53:精神:110/110 感染15% 状態:小感染】 

【 胡桃:体力:80/80:精神:60/60 状態:良好】 
【 悠里:体力:70/70:精神:50/50 状態:良好】
【 由紀:体力:90/90:精神:45/45 状態:普通】
【  慈:体力:60/60:精神:75/75 状態:良好】 

3階:【http://i.imgur.com/1e4BqRK.png

     〇:現在位置

     ×:侵入不可
――――――――――――――――――――――――――――――――

3階に関しては、バリケードでふさいであるわけではないけれど
科学準備室、音楽準備室に関しては解放済み
残っているのも放課後に生徒が多くいるような教室は少なく
安全……と言いたいところだけれど

何か問題があった場合、生徒が駆けこもうとするのが職員室
であれば、当時も必然的にそこに人が集まっただろう
噛まれた人は保健室に……いったと信じたいけれど
感染した人が行った可能性も無きにしも非ず

とはいえ……いずれにしても陥落してしまっていることは事実
”彼ら”がいないことはまず、ないだろう

アリス「君たちはすでに通った道よね? 状況は?」

胡桃「数は意外といるんだ。向こうの階段も塞げてないし……」

そう言った胡桃が指さした方向は職員室方面
その正面の階段の事だあろう
あそこをふさがない限り、”彼ら”は登って来てしまうが
その資材がないから諦めるしかない

悠里「恐らく、放送機器、放送室、生徒会室、生徒指導室は鍵が閉められていたはずなので、中は安全だと思います」

アリス「安全だし、中にも入れないってことね」

悠里「そう言うことになります」

ということはつまり、目指すべきは職員室で変わらないが
道中で中に隠れることが出来る教室は大きく限られてくるということになる


1.音楽室
2.LL準備室
3.LL室
4.校長室
5.職員室

↓1

【1.2判定:1.2.3 無 4.6 3人 5.7 4人 8.9 5人 0 7人 (室内)+(コンマ左側÷2)】 
【3判定:1.2.4.6 2人 3.5.7 3人 8.9 4人 0 5人 (室内)+(コンマ左側×0.75)】 
【4判定:1 無 2.4.6 2人 3.5.7 3人 8.9 4人 0 5人 (室内)+(コンマ左側)】
【5判定:1.2.3 5人 4.5 7人 6.7 9人 8.9 10人 0 15人 (室内)+(コンマ左側×1.5)】

【巡ヶ丘学園高校3階 未解放区画(3階) DAY7 朝の部】      

【アリス:体力:53/53:精神:110/110 感染15% 状態:小感染】   

【 胡桃:体力:80/80:精神:60/60 状態:良好】   
【 悠里:体力:70/70:精神:50/50 状態:良好】  
【 由紀:体力:90/90:精神:45/45 状態:普通】  
【  慈:体力:60/60:精神:75/75 状態:良好】   

3階:【http://i.imgur.com/1e4BqRK.png 】  

     〇:現在位置  
     ×:侵入不可  
――――――――――――――――――――――――――――――――  
【2:判定:90=室内7人+廊下4人=11人】

アリス「駄目ね」

鍵が閉まっている化学実験室の隣、LL準備室の扉を開けた私は
即時に判断して、扉を閉める
あれは無理だ。私たち全員が戦闘員ならいざ知らず、
私を含めても二人しかいないメンバーで7人もの相手は――

慈「アリスさんっ」

アリス「!」

振り返ろうとした瞬間、肩を掴まれ耳元で囁かれる声
その不意をついてきた行為には驚くことはなかったけれど
そこに続いた言葉には、流石に目を見開かずにはいられなかった

慈「4人来てるわ」

悠里「っ!」

由紀「ぅ……うぅっ」

悠里が由紀を庇うようにしながら周囲を警戒して
そのすぐ横で胡桃がスコップを構える
そして……左右から2人ずつ
それはつまり……私達は囲まれたということだ

アリス「慈、下がって」

私から見て後方、”彼ら”から見て前方にいた慈の肩を掴んでやや強引に後ろへと引き下げる
私と同じように非力で、私以上に戦闘意欲に欠けた慈では怪我するだけだ
前回の購買部で手に入れた金属バット、そのグリップを強く握り、
胡桃と背中合わせのように”彼ら”と向かい合う

胡桃「アリスさん、突破してどっかに駆け抜けるってのは無しだからな」

アリス「それが嫌なら奮闘して見せる事ね」

胡桃「なーに言ってんだ、すんのはアリスさんだろっ」

確かにそうだ。私よりも胡桃は力強いし上手く戦うことが出来る
今までと同じように”守るため”にそして”彼ら”になり果てた人間を救うために
そんな覚悟までできたのだから、彼女はきっとためらいはない、迷いはない
それは、戦ううえでとても大切な事、だと思う

悠里「胡桃、油断はしないで」

慈「アリスさんも、気を付けて」

悠里の声は胡桃へと、慈の声は私へと
なぜだか慈だけは、不安そうに私の手に触れて来ていて
ちらりと目を向けた胡桃が、苦笑する

アリス「なに?」

胡桃「いや、互いにヒロイン持つと大変だなって」

慈「な、なに言ってるの胡桃ちゃんっ」

悠里「胡桃、余裕は危険よっ」

胡桃「悪い悪い」

明らかに悪びれていない様子で、謝罪をする胡桃は、
切り替えるように小さなため息をついて、スコップを身構える

胡桃「でも、緊張しすぎたって危ないからさ」

アリス「それには一理あるわ」

気が緩みすぎているというのも危険ではあるが、
緊張感を持ちすぎているというのも、やはり危険だ
緊張していればしているほど視野は狭まっていく、周りが見えなくなっていく
すぐ横にいる何かにすら気づかずに、気が付けば追い込まれている。なんて言うことにだってなりかねない

もっとも、この場に関しては仲間がいる分視野は広く持てるのだけど。


由紀「うぅぅぅっ……」

アリス「………… 」

そんな場に似つかわしくないふざけた会話をしていても
由紀は怯えたように帽子を引っ張って顔を覆おうとする
怖いから、嫌だから、見たくないから
現実逃避をしようとしているような、姿

胡桃「アリスさん、来るぞ」

アリス「ええ」

慈たちがいるし、囲まれているし、由紀は動けない
この逃走ルートもない現状では、真っ向勝負で戦う他ない
この廊下での戦闘、どれだけ響いて、どれだけ”彼ら”を呼び込んでしまうのか
いずれにしても早く処理するほかないと、一息

呻き声を上げながら近づいてくる”彼ら”を見据え、
ゆっくりと前傾姿勢に、そして、金属バットを左腰の方へと引き下げて……

アリス「……慈、目を瞑っていても良いのよ」

慈「……大丈夫よ」

目を向けずに声をかけて、返ってきた微かな震え声に
私はなにも返すことなく、ただ聞こえないように小さく笑みを浮かべる
無理してる。教師だから、大人だから、自分は現実を、世界を
見ていなければいけないと。

アリス「少しだけ、我慢しなさいね」

殴り飛ばす”彼ら”にむけて、私は適当に優しく、呟いた

先制↓1
【判定:0169 成功 7000失敗 ゾロ目大成功】

(44+20=69:金属バット)

胡桃↓2
【判定:0180 成功 8190失敗 9100.ゾロ目大成功】

(70+35=105:スコップ)

【アリス:判定:90:失敗】
【 胡桃:判定:44:クリティカル】


アリス「ふっ!」

勢い良く振りかぶる
スコップと違って、金属バットで出来るのは頭を割るというグロテスクなことだけ
強く歯を食い縛り、踏み込んだ足を一気伸ばして距離を詰める

アリス「…………」

人間だったもの。腐り穢れた”彼ら”の顔
ソレを見据えて、左へと控えさせていたバッドを引き伸ばしていく
それは、抜刀術であるかのように
前傾姿勢を保っていた左足が完全に伸びきる
右足が着地するための準備に入っていく

その一瞬、その刹那を的確に感じ取ってつま先が触れた瞬間に――振るう

アリス「あ……そう……」

だが、感触は無かった。感覚も無かった
振りぬいたバットが何も無く虚空に舞う
後ろから慈の声が飛ぶ。格好がつかないなぁ……と
みっともない自分に苦笑する

だけれど、仕方がないじゃないかと、笑みを浮かべる
濡れた足場、僅かに滑って後ろへと引き下がった”彼ら”その偶然が命運を分けた

偶然に、運のよさに
救われた私はまたしても、それらに救われた
いや――足を”掬われた”
後ろで上手く撃退した音が響く

良かった、胡桃はうまくやれたのね……


↓1判定

【エネミー:1.2.3押し倒し 4.5ひっかき 6.7.鷲掴み 8.9武器封じ 0噛み付き ぞろ目偶数カウンタ】

【鷲掴み】


バットを振りぬき前につんのめってしまう姿勢に移った私の目の前で
同じく姿勢を崩した”彼ら”の手は私の頬を掠めるように下って
突出していた私の胸部を鷲掴みにする

アリス「っ」

こんな異形相手に恥じらいも何も無いし、たとえ人間相手でも侮辱こそすれ
羞恥心を覚えるような性格ではないけれど
しかし”女だから”という理由で掴まれるという場面は、流石に屈辱的で
ギリギリと握り締められて、立った爪がブラを越えて食い込んでいく痛みに眉を潜めて

アリス「こんな醜態晒させるなんて……君、性格悪いわ」

胸の痛みに呼吸が僅かに乱れる
けれど、だからどうだというのだろうか
このまま片胸がもぎ取られるとしても
目の前の”彼ら”を殴り飛ばせるならそれでいい

私はそうとしか――思わなかった

先制↓1
【判定:0159 成功 7089失敗 60.69.90.00ゾロ目大成功】

(44+20=69:金属バット)

【判定:失敗】


アリス「っ……このっ」

無造作に振るった金属バットは身長差も相まって”彼ら”の顔面を掠めるだけで終わる
引きちぎられそうな痛みが乳房から伝わってくる
大きくなりたくてなったわけじゃない。むしろ、こんなものいらないと思っていた
羨ましいという女子がいた。卑猥な視線を向けてくる男子がいた
良いことなんてなにもなかった、なにも

――今でさえ

アリス「っ!」

ビリッと嫌な音が体から聞こえて、訪れる浮遊感
”彼ら”との距離はゆっくりと離れていき、どさりと臀部への鈍い痛み
肌を撫でる空気に目を向ければ、着ていた服は強引に引き裂かれていて、変に胸部が露出する

慈「アリスさんっ」

慈の声がした。切迫した悲鳴にも似た声
振り向かなくても分かる、不安と恐れと絶望の入り混じった表情をしているんだって
私は本当、力が無い
私は本当、何も出来ない
自由に生きているのだって、本当は

アリス「…………」

目の前に”彼ら”が迫る
これで、終わるのだろうか
本当……何の救いも無い人生だったなと、思う
右手が握る金属バットのグリップの感触
転がる金属音が、カラリと響く


1.蹴りを入れる
2.バットを振るう
3.バットを投げる

↓1

【1判定:1.2.3.4 成功 5 掴まれる 6 噛み付き 7 押し倒される 8.9 成功 0 慈 ぞろ目 大成功】
【2判定:1.2.3 成功 5 掴まれる 6 弾かれる 7 噛み付き 8.9 成功 0.ぞろ目 クリティカル】
【3判定:1.2.3 3人 4.5.6 5人 7.8.9 7人 0 9人】

【3人】


アリス「最低ね……」

右手に感じる感触を自分に向かってくる”彼ら”の方へと投げる
床に落ちた甲高い金属音は私に向かってきていた者達はもちろん、
少し離れたところにいた3人の”彼ら”の興味をひきつける
その瞬間、後ろから襟首が掴まれて

慈「アリスさん、急いで!」

悠里「由紀ちゃんっ!」

胡桃「そこをどけっ!」

私が立ち上がると同時に、悠里が由紀を引き立たせて
胡桃が血路を開こうと目の前に残っていた”彼ら”を叩き伏せる

けれど……

慈「アリスさん」

私の前にいたはずの慈の声が、後ろから聞こえた

慈「この数は、確実にバリケードを破壊されちゃうわ」

アリス「慈……」

何を言おうとしているのか、何をしようとしようとしているのか
彼女は笑みを浮かべる”先生だから”と。
みんなを守る義務があるから。と

悠里「アリスさんっ、めぐねえっ!」

由紀「めぐねえ……?」

ここで慈の行動を見逃せば、バリケードは壊されずに済む
みんなが無事に戻れると思う
けれど

それで、良いの?



1.慈の手を取る
2.慈の手を引いて、入れ替わる
3.許可する
4.一緒に残る

↓1

【一緒に残る】


アリス「待って、慈」

こちら側へ来ないようにとするためだろう
あえて”彼ら”の方に向かおうとする慈に声をかけ、呼び止める
後ろでは必死な声がする。早くと、急げと、声がする
この選択は正しいのだろうとか、間違っているのだろうとか
そんな考えを持たずに、私は慈の覚悟を阻む

約束したことがある。頼まれたことがある
だから慈は嫌がるだろうし、戻ってと言うだろうけれど
私にとって、少なくとも逃げる場ではないから

アリス「私も残るわ」

慈「アリスさんっ」

アリス「この状況を引き起こしたのは私だから、私が何とかするべきことよ」

胡桃「アリスさん! めぐねえ!」

二人を逃がした胡桃が声を上げる
今はもう向かってきているから、いくら声を出そうと関係ないからだろう
胡桃は、”私達”に戻ってきて欲しいんだと思う

だけど、私も慈もどちらも退く気はなくて
たとえどちらか一方が身を引いたとしてその残った方が助かることはまず、無い
どうするか、どうすべきか、考えようとして、破棄する
悩んでも、躊躇っても、時間切れが来てしまうのなら
どちらかが必ず残る必要があるのなら

アリス「慈、行くわよ」

慈「でも……」

アリス「信じなさい、あの3人を」

たとえ自分達が助からなくても、どちらかしか助からなくても
あの子達がやっていくことはできるのだと
ここさえ凌いで上げられれば、あの子達はきっと、先に進むことが出来るのだと

だから

アリス「また戻れる可能性に賭けてみても良いでしょう?」

慈「……胡桃ちゃん、由紀ちゃん、悠里ちゃん。またね」

由紀「めぐねえ!」

胡桃「くそっ、なんでっ!」

悠里「ダメよ胡桃!」

後ろで少しだけ争う声が聞こえて、すぐに止んで
私達は絶望へと――足を向けた

【巡ヶ丘学園高校3階 未解放区画(3階) DAY7 昼の部①】

【アリス:体力:53/53:精神:110/110 感染15% 状態:小感染】
【  慈:体力:60/60:精神:75/75 状態:良好】

3階:【http://i.imgur.com/731uym0.png

     〇:現在位置
     ×:侵入不可
――――――――――――――――――――――――――――――――

アリス「…………っ」


通路の先には蠢く"彼ら"の姿が見えているけれど、引き返すことも何も出来ない
武器があればまだ状況も違うのだろうけど
残念ながらソレは投げ捨てたし、拾おうものならその隙に襲われる可能性は十分にある
八方塞の絶体絶命の状況で、私は唇を噛み切った

無駄に考えても仕方が無い
状況に追い詰められて冷静さを失ってもしょうがない
選んだのは自分だ、見捨てることも、強がることも何も出来ずに
ただ欲張ってしまったのは私

安全圏は唯一みんなが立ち入った休憩室
だけど、道中には"彼ら"が溢れているし、その休憩室の扉が破られないとは限らない
もちろん一時凌ぎには、なるだろうけれど

慈「アリスさん!」

アリス「こっちも……」

騒ぎを聞きつけてか、扉をガタガタと揺らしていた音楽室にいた数人もの”彼ら”が廊下へと出てきて
そして、少し前に覗いたLL準備室の扉までもが揺れ始める
教室ゆえに、スライド式の扉は、脆い

慈「とにかく離れないと」

バリケードを壊させるわけには行かない
だから、私達はすぐ近くで隠れるなんてわけにはいかなかった

アリス「慈、行くわよ」


1.校長室へ
2.職員休憩室へ
3.2階へ


↓1


移動中判定。1/3

↓1(アリス)
↓2(慈)

【アリス:1.3.5.7 回避 2.4.6 捕まる 8.9 引っ掻かれる 0 転倒】
【  慈:1.3.5.7 回避 2.4.6 捕まる 8.9 引っ掻かれる 0 転倒】

ちょっと今日はこれ以上続き出来ないかもしれない
コンマが振るわないけど逃走成功まであと判定2回あります


毎度安価さんくす


アリス「慈、休憩室まで行くわ」

慈「え、ええ!」

呻いて近づく”彼ら”に目を向け強く道を蹴り出す
近づいて、近づいて、真正面にまで来た瞬間
ゆらりと持ち上がったその腕に手の甲を押し当て――振り抜く

アリス「どいて」

体重の重みがあった、力の抵抗があった
払い除けて倒すほどのことは出来なかったけれど、 ”彼ら”の一人はよろめいて道を開ける
そして尋常じゃない数の”彼ら”が見えた
騒ぎが広がっているから? 緊急時人が集まりそうな職員室があるから?

後ろで慈の息を飲む声がかすかに聞こえ
覆い隠すような、地響きにも似た重なり合う”彼ら”の悲鳴が鼓膜を震わせる
怖くはない、嫌でもない
規模はどうあれこうなることは分かっていたから
いつかは死ぬ。それが人間で
私は一度、死んだようなものだから

だけどそれは――私だけだ

慈「あ……あぁっ」

アリス「慈」

慈「っ……」

胸元から下り落ちる十字架のネックレスを強く握りしめた慈は
私の呼び声に恐怖に満ちた表情を見せる
自分で選んだことだから、皆のところへと逃げ出すようなことはないみたいだけど
けれどだからと言って怖くないわけがなかったのだ
死にたいわけがなかったのだ
死んでもいい。でも、死にたいわけではない

アリス「めぐ――」

慈「きゃぁっ!?」

立ち止まっていてはいけない
そう言い手を引こうとした瞬間慈は悲鳴を上げてよろめく
慈が動いたことで重なるように隣接していた”彼ら”の姿が後ろに見えて
倒れ込むように近づいてきた慈の背中に、引っかき傷が刻まれているのが見えた

アリス「慈、走れる?」

慈「大丈夫……」

痛みに顔を歪ませ、冷汗を浮かべながら慈は頷く
怪我に対する処置もしてあげたいところだけれど
今ここで出来る事なんて何もない
だから今は我慢してくれと心の中で告げて、 また、前を向く

後ろから迫る”彼ら”も、前から迫る”彼ら”も
ゆっくりとした足取りながら、確実に距離を詰めて来ていて
そののろまな足取りが煩わしく思えた
それはなんというか、渋滞してのろのろとしか動いてくれない道路のようだからだろうか

アリス「邪魔」

左側を歩く”彼ら”は出来る限り右側へ
右側を歩く”彼ら”は出来る限り左側へ
正面を歩く”彼ら”はなぎ倒すように払い除けて

アリス「…………」

明らかに数が多かった
私が購買部で身動きが取れない時にみんなはこちら側へときたはずなのに
どうたどり着けたのかが不思議に思えるほど”彼ら”は闊歩する
少なくとも十数人はいる。あるいは、二十数人
まだ室内にいるのもいるだろうから、全てを含めればもっとだ

アリス「何が起きてるの……?」

形振り構わない足音が呼び寄せているだけ。なのだろうか?


移動中判定。2/3

↓1(アリス)
↓2(慈)

【アリス:1.3 回避 2.4.6 捕まる 7.8 引っ掻かれる 0 転倒 5.7抵抗】
【  慈:1.3 回避 2.4 捕まる 5.9 引っ掻かれる 8.0 転倒 6.7抵抗】

【巡ヶ丘学園高校3階 未解放区画(3階) DAY7 昼の部①】

【アリス:体力:47/53:精神:110/110 感染15% 状態:小感染】
【  慈:体力:50/60:精神:63/75 状態:軽傷】

【アリス:判定:捕まる】
【  慈:判定:負傷】
――――――――――――――――――――――――――――――――


通り道を塞ぐように立ちふさがる”彼ら”は何とかして怯ませるしかなく
それが出来るのは先頭を走る私だけしかいなくて
けれど、武器が無い以上、使うことができるのは素手
それも……非力な私の学んですらいない格闘術

アリス「!」

それゆえに私が殴り倒そうと振りぬいた拳は威力が足らず、
目の前にいた”彼ら”は微かによろめきこそすれ、倒すには至らなくて
グニュリと水分の少ない泥を塗りつけられた感触が腕から伝わる

慈「アリスさん、今――」

アリス「私に構わないで!」

慈「見捨」

私の腕を掴み、今にでも噛み付こうとする”彼ら”を、
慈は背負っていたリュックで叩いて阻止する
それでも非力で、倒すことも手を離させることも出来なくて
それどころかすぐ横の扉から出てきた”彼ら”の爪が慈の柔肌を抉るように傷つける

慈「あっ……痛……!」

ポタポタと血が床に滴って、汚れに混じっていく
よろめき倒れそうになった慈は呻きながら、荒々しくなりつつある呼吸になりながら、
なんとか、倒れずに顔を上げる



1.慈には逃げさせる
2.慈と協力して目の前の”彼ら”を倒す

↓1

【2判定:1.2.3 成功 4.5.6 失敗 7.8.9 大成功 0ガブリ】

アリスの判定は回避じゃないの?
安価下

>>384
いつから回避出来たと錯覚…すみません
普通に見違えしてますね
ちょっと仕切り直します

【巡ヶ丘学園高校3階 未解放区画(3階) DAY7 昼の部①】

【アリス:体力:47/53:精神:110/110 感染15% 状態:小感染】
【  慈:体力:50/60:精神:63/75 状態:軽傷】

【アリス:判定:回避】
【  慈:判定:負傷】
――――――――――――――――――――――――――――――――

時間が経てば経つほど”彼ら”は集まってくる
私達が静かにしていたとしても、うめき声が、足音が、叩きつける音が
通路に響いて各教室、2階から”彼ら”を呼び出してしまう
普段ならなんとも無い休憩室までの距離が果てしなく遠くに感じてしまう

持久力の無さが呼吸を乱し、疲れが思考を鈍らせる
精神的にはさほど影響は無く感じるのに
それさえも、爪を立てられているような感覚に陥るような気がして

アリス「慈、避けて!」

通路の真ん中ではなく両端を少し間隔をあけながら不安定に進んでくる”彼ら”を睨み、叫ぶ
どちらか片方を相手していたら武器が無く非力な力では押し負ける可能性があるし、
押さえ込まれてしまう可能性だってある
だから、回避するしかないと瞬時に判断して――けれど

アリス「慈?」

慈「え?」

返事が聞こえなくて、不味いと思った
けれど、迫り来る”彼ら”の対処を優先するほか無く避けた瞬間
横に振りぬかれたその手が、慈の腕に傷を付ける
じわりじわりと滲み出す痛みを庇うように慈は腕を抑える
表情だけ見れば今にも倒れてしまいそうで、浮かぶ冷や汗が、辛さを示す


通路に出来た”彼ら”のいない”余白”
そこで立ち止まった慈は、血の流れ出る腕をぎゅっと抱きしめながら、私を見る
覚悟を決めた表情にも見える。けれど
私にとってそれは、諦めた表情にしか思えない

慈「このままじゃ2人とも……だから、アリスさん。行って」

アリス「…………」

慈「私一人じゃここまでこれなかったわ。きっと、手前で囲まれてダメだったと思う」

だけど、ここまで来れたから。もう、みんなは大丈夫だと思うから
慈は諦めの言葉を口にして、笑みを浮かべる
苦しみと、痛みと、悲しみと……決して納得の言っていない表情だった

慈「ありがとう」

それでも慈は感謝を述べる
私は果たして、感謝を受け取るに値する働きをしたのだろうか?
答えは否だ。そんな立派な働きなんて出来ていない
慈を守るためにここに来たわけでも、残ったわけでもないけれど
だけれど、一人よりは二人のほうが助かる可能性が高いからと
こうしてきたはずなのに。

一人を逃がすために一人が犠牲になる
それでは一体、私は何のためにここにいるのだろうか

慈「みんなのこと、お願いね」


1.手を引く
2.馬鹿なこといわないで
3.……分かったわ

↓1

【手を引く:拒絶B】


慈「アリス……さん?」

手を取ると、慈は間の抜けた表情で私を見下ろした
背が低い私、背の高い私、だけどきっと心が強いのは私の方、諦めが悪いのも私の方
いつかも見たことのある、慈の表情
それは昔よりも大人びていて、子供っぽい

”ギャラリー”のわめき声が聞こえる
ゆっくりと、じっくりと、私達を追い込もうとする音がする
逃げ切れる自信は無いし、守りきれる自信だってない
人は自信を持つべきだというだろうけれど、私は自信を持てそうにはない
誰かは違うというだろうけど、私は慢心だと思うから

そうできると信じる必要は無い、出来るかもしれないと信じるだけで良い
出来ないかもしれないから、出来たいという努力をするのだから

アリス「……不思議ね」

慈「え?」

アリス「私は君を殺すことも厭わなかった。なのに、君を見捨てるということはできない」

慈「…………」

アリス「一人しか助からないかもしれない、二人とも助からないかもしれない。だけど、君がその命を捨てるなら、私と一緒に賭けをしよう」

”1”か”0”か……いや、”0”か”2”か
全てが残るか全てが消えるか、消えては困るものが消えてしまうくらいなら
いっそ、全てが消える可能性と共に全てが残る賭けがしたい
人はきっと、私のことを馬鹿だという
人はきっと、私のことを愚かだという
べつに良い。私はそういう人間だったから
愚かで、馬鹿で、親不孝で、ただ自由だけを謳歌してきた人間だから

だからこそ

アリス「私は今ここで、自由に生きる」

慈「だけど、このままじゃ」

アリス「それで良い、賭けは公平であるべきだから。私は信じていないけれど、君は信じているんでしょう? 祈りなさい、慈が望む本当の結末を」

私は慈の手を引く。離れたらそのまま消えてしまいそうだから
消えないように、奪われないように
私は改めて勝負に出た。生か死か。両極端な勝負へと

移動中判定。3/3

↓1(アリス)
↓2(慈)

【アリス:1.3.7 成功 2.4.6 捕まる 5.7.8 引っ掻かれる 0 転倒  ぞろ目クリア】
【  慈:1.3.7 成功 2.4 捕まる 6.5.9 引っ掻かれる 8.0 転倒  ぞろ目クリア】

【判定:アリス捕縛・慈成功】



アリス「急いで慈!」

慈「はぁっはぁっ」

普段は私よりも体力があるはずの慈は”彼ら”によって怪我をしてしまっているからか、
足は遅く、私よりもすぐにバテ初めていて
通路を埋め尽くすような”彼ら”の合間を抜けることは簡単では無かった
怪我はもちろん、精神的にも疲労困憊
そうなってしまいそうな慈の手を強く引いて前に出し、背中を押す

慈「きゃぁっ!?」

躓いたように休憩室へと転がり入った慈の悲鳴
突き飛ばすようにしたことをわびようと思った
無様だなんだと笑って、手を差し出せば許してくれるだろうかと余計なことも考えてみた

慈「あ、アリス……さん?」

アリス「怪我はしなかった? してたら、ごめんね」

慈「待っ」

外開きの扉を蹴飛ばすように閉めて、深く息をつく
私は中に入らなかった。入れなかった”入れては貰えなかった”
どうやら、素行不良で先生に捕まってしまったらしい

――なんて現実逃避も甚だしい

私は最後の最後で、慈を先に逃がすためにと踏み込んだその一歩で追いつかれた
僅かに後ろに下がっていた腕を、つかまれた
死ぬ恐怖は無かった。食いつかれる嫌悪感も無かった
私は賭けた。賭けて、自分を失って彼女を得た
ただそれだけのこと

アリス「公平ね。公平だわ」

慈「アリスさんっ、だめっ!」

扉越しのくぐもった声がする
慈には悪いことをしたと思う。けれど、こうするしかなかった。これしかなかった
非力で武器のない私には振り払える力じゃないから


アリス「私一人に群がるなんて、趣味が悪いわ」

それが性的な行為が目的だったとしても、人数差があまりにも酷い
もちろん、中には”女の子だった何か”もいるにはいるし
そんなわけがないと分かってもいるけれど
せっかくの状況なのだから、と、なぜだか言ってみたくなった

慈「アリスさん、まだ、まだ何かっ」

アリス「慈、静かにしないとダメよ」

慈「アリスさん……っ」

アリス「自分は止めたくせに。君がそう言いたいのは分かるわ」

だけど、それは賭ける前の話であってこれは賭けた後の話だ
払うべきものは払わなければいけない。それが、私の命

――ダブルアップはしてみるかい?

私は賭けに負け賭けに勝った。それはつまり”一勝”はしたということになる
なら、それを元手に賭けをしてみても良いのではないだろうか?
いや、それは出来ない
私の手元にあるのは”慈”だけ。銀行に入れてしまったからもう使えない
金属バットでも持っていればまだ、抵抗の余地もあったかもしれないけど
それは、言っても後の祭りだ

アリス「…………」


↓1

【判定:1.3.5.7.8.9 終わり 2.4.6.0 神は言って(ry】


アリス「このっ!」

捕まれた腕を振るって”彼ら”の腹部を強く蹴飛ばす
それが人間だったならきっと、隙を作ることができたと思う
けれどそれは

アリス「っ」

人間ではなかったから。

アリス「痛っ」

その痛みは一瞬じゃなかった。
ゆっくりと、しっかりと、馴染ませるように、苦しませるように
噛み付く”彼ら”の歯は私の肉に食い込んでいく
圧迫感が皮膚を超えて肉に届いて初めて本格的な痛みが脳を打つ

アリス「あ゛」

針を通すのがプスリ。という微かな亀裂の痛みであるならば、
噛み千切られるのはブツリ。という、重い亀裂の痛みだった
どちらかと言えば、握り締めた風船が指の隙間から逃れるように膨らんで破裂するような感覚

アリス「ぅ……」

一瞬で力が抜けた。考えが吹き飛んだ。
噛み付かれたのではなく――噛み千切られたから
膝を突いた瞬間、群がってきていた”彼ら”が押し寄せてきて
指が踏み砕かれ、踏まれた足がへし折れて
全身から血が抜けていくのが分かった
みっともなく、子供のように、力が入らないがゆえに漏らしてしまったのを感じた

ゆっくりと確実に死んでいく。痛みと熱さに焼かれるように
それが分かっても、怖くは無かった、後悔はなかった
ただ、ただ扉の向こうにいる”遺産”が、願わくば無事に救出されて欲しいと
それの足枷に、手枷に、躊躇いになってはいけないのだと

立ち上がれない足で床を這って、物を握れない手を窓枠に引っ掛けて
最後の力でよじ登ってみる

アリス「…………」

心地のいい、浮遊感だった。自由であることを感じた
ゆっくりと、目を瞑る


――ねぇ慈。今の私は、君は笑うことができてる?


何かが、弾け飛んで消えていく。それでも雨は……降り続けた


19時くらいまでアンケートとってそれで始めるのが良いかな
丁度10分だし、多くても3人くらいだろうから公平に決まるよね



―――――――――――――【GAME OVER】―――――――――――――

ゲームオーバーとなりました。
以下の選択をすることが可能です
19時までに多かったもので始めます


1つ、このゲームを終了して中古屋に売り払う(\0円)
2つ、コンティニュー(>>348から)
3つ、強くてコンティニュー(>>348から アリスに何か付与)
4つ、ニューゲーム(キャラメイクから)
5つ、強くてニューゲーム(キャラメイクから 基礎値補正)


―――――――――――――【GAME OVER】―――――――――――――


アリスは神様信じていないせいか、コンマが悉く酷い有様でしたね
とりあえずコンテニュー準備中。下記から選んでください


(19:20)まで

―――――――――――――【NOW LOADING】―――――――――――――

強くてコンティニューをします

1つ、ステータスUP(コンマ判定をして数値分上昇 判定結果への増減は無い)
2つ、アイテム付与(武器またはアイテム。一つだけ)
3つ、ゾンビ耐性つけるべきだろ、バイハのアリス様だぞ
4つ、良いから黙って全部よこせよ。アイテムも武器と装備品で二つだぞ


―――――――――――――【NOW LOADING】―――――――――――――

では、武器から

1.鈍器系
2.鋭利系
3.遠射系


↓1

【判定: 1(最弱)→0(最強) ぞろ目は0】

では、装備品

1.音響系
2.光源系
3.お守り系

【判定: 1(最弱)→0(最強) ぞろ目は0】

武器は遠距離系統(1) 金属バットがあるし硬球ボールかな
装備はお守り系統(2) ちょっとだけ運が良くなるかな


感染耐性

↓1 

【判定: 1(最弱)→0(最強) ぞろ目は0】

では、ステータス判定(コンマ二桁.ゾロ目補正無し)

体力
↓1
精神
↓2

↓3
敏捷
↓4

知力
↓1
器用
↓2


・アリス 
体力【53】 →【61】 
精神【110】 →【168】
筋力【44】 → 【82】
敏捷【118】 → 【139】
知力【14】 → 【72】
器用【30】 → 【51】
感染【15】 

追加
硬球ボール
安物の御守り

アビリティ 

【鋼の精神】 
どのような状況下においても決して行動を鈍らせることはなく 
脅しや脅迫と言った人間による敵対行為にも屈することもない 

【感染耐性Lv2】
ゾンビの愉快なお友達システムによる精神汚染への抵抗力

【????】←NEW 

詳細不明

ちょっとコンマが振るわなすぎますが
このステイタスでリスタートになります
区切り良いし再開は明日かな

安価さんくす

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY7 朝の部】
【アリス:体力:61/61:精神:168/168 感染15% 状態:良好】
【食料:150(園芸)・650(備蓄)】

    【雨が……降っています】

――――――――――――――――――――――――――――――――

慈「大丈夫? アリスさん」

アリス「平気よ」

寝ていると、というよりも夢を見ているときにたまに起こる体の痙攣
どんな夢を見ていたのかなんて全く思い出せないし
興味もないけれど、どこかから落ちるような感じがした
落ちて、自分の体に自分の魂が戻ってきたかのような、不思議な感覚

それを身近で見られ感じられてしまったせいか、慈は少し不安そうに聞いてくる
こんなこと、誰にだって起こる事なのに
私はどこかしこの誰かよりもずっと、精神的にはタフだって知っているのに

慈は分け隔てなく、私を”普通の女”として扱う
昔からそうだった。私は誰かが線引きしてしまうような存在だったというのに
佐倉慈という”面倒な女子”はアリスという”偏屈な女子”にかかわりを持とうとした
いや、持っているつもりで接してくることが多かった

本当、面倒な相手だった

アリス「ふふっ」

悠里「アリスさんが一人で笑って……」

胡桃「めぐねえが笑われてるんじゃなくて?」

慈「胡桃ちゃん!?」

胡桃たちの冗談めかした会話に慈の驚いた声が割り込む
驚いて悲しげに、けれど少し嬉しそうな表情で

慈「そうなの……?」

アリス「そんな不安そうに聞かれても困るわ」

私はそもそも女だし、たとえ男であっても今のままの性格ならば
女の涙などという意味の理解できないくだらない代物に屈するなんてことはあり得ないけれど
それと似たような仕草を見せる慈には少し、感じるものがある

アリス「肯定したくなるから」

慈「アリスさん!?」

もちろん、悪戯心が。だけれども。


しょぼんと落ち込んで見せる慈を心なく慰めながら 雨風を凌ぐ窓を眺める
昨日もそうだったけれど、当然のように続く雨
だからと言って何かがあるわけではないと思うけれど
少なくとも気分が晴れやかになるのを若干とはいえ阻害するものになるし
屋上にある園芸にも規模にもよるだろうけれど、被害は少しあるだろう

悠里は自然のものだから。と、仕方がないと言ってあきらめてはいたけれど
ふとしたところで外を見てはため息をついてしまっていたから
気にしていないことはないはずだ
もちろん、それが園芸に関してのみであるとは、言い切れないけれど。

肌に感じるじっとりとした湿気が、少しばかり不快感を呼び起こす
そんな中、剣先を拭いて手入れしていた胡桃が「みんな」と、全員を見渡しながら声を上げる

胡桃「今日は探索に出よう。昨日休んだし、3階の解放も進めないと」

慈「そうね……じっとしているわけにもいかないから」

胡桃の進言に慈は肯定の意思を示し、考え込むように息をつく
由紀はまり乗り気ではなさそうだけれど、それはいつものことだし、
悠里は屋上の様子も見に行けないから。と、3階ならみんなで行くべきだと言う

気落ちしそうな空気の中、悠里も何かをすることで気を紛らわせたいのだろう
気落ちするなんて言うのはあまり経験がないから分からないけれど
そういうことは普通なら良くあることだという
恋愛において失恋したりすると暴食に走ったりするようなもの……だろう

慈「アリスさんはどう思う?」

アリス「私の意見、聞く必要あるの?」

私以外は肯定(と言っても由紀も微妙なラインではあるが)なのだから
多数決で決めるであろうこの場において、私の意見なんて無用なはずなのに。
もっとも、無駄だろうが無意味だろうが
意見は一応言わせておくというのが、あと腐れないやり方なのかもしれない
私に言わせれば、聞いておいて結局駄目だとか
変に希望を持たせないでほしい。という意見も出てくる可能性があると思ってしまうけれど。

やっぱり、ひねくれているんだと思う


1.肯定
2.否定

↓1

【拒否】


アリス「私はやらないべきだと思うわ」

全員が賛成の中で、たった一人の反対意見
向けられるみんなの視線が”なぜ?”と、問いかけてくる
人はそれが怖いから、自分の意見を封殺する
自分がこの中でこれを言ったらみんながどういう反応を示すのか
それが怖くて、恐ろしくて。

胡桃「アリスさん、聞いても良いか?」

正直に言ってしまうと、これは”嫌な予感”だけでしかない
気のせいかもしれないし、自分が天気の変化に影響されて
嫌な考えに陥ってしまっているだけなのかもしれない

しかし、反対だと言ってしまったし、胡桃からは聞かれてしまった以上
私の考えを言わなければいけない
それが納得のいくものであればみんなを傾けることができるだろうし
沈黙あるいは納得出来ないものであれば、結局探索することになる

慈「何か気になることがあるの?」


1.嫌な予感がするの
2.いつもと条件が違うから
3.連休でも良いじゃない
4.なんとなく

↓1

【条件】


アリス「いつもと条件が違うからよ」

胡桃「条件?」

悠里「何か……」

何か違うのかと言いかけた悠里だったけれど、気づいたのだろう
窓の方に目を向けると、私に向き直って観察するような視線を向けて

悠里「雨、ですか?」

慈「雨?」

悠里の疑問に慈は不思議そうに言葉を重ねてきた
誰も気づかないと思っていたわけではないけれど
何のヒントもなしに即座に気づいた悠里の洞察力というべきか、
発想力には素直に感心しつつ、頷く

もちろん、それで何かが変わるとかいう確証があるわけではないし、
そのためにも3階の解放含め未解放区画に出るというのはなんら誤った考えではない
そういわれたら、私には”行動自体”を阻むことはできない

アリス「そうよ。雨が降っているときの”彼ら”の習性を私達は知らないわ」

胡桃「でも、だからこそ行くべきだと思うんだけど……」

慈「確かに胡桃ちゃんが言うように、解らないからこそ行かないとダメよね」

ずっと避けているわけにもいかないから出来うる限り”彼ら”について調べておく必要がある
私だって別に”彼ら”のスパイでみんなを真実から遠ざけたいというような
理由のわからない考えがあるわけでもないから別に構わないのだけれど

アリス「調査なら、全員で行かなくても良いと思うのよ」


慈「この場合だと2人3人よね……? それで調査に出るべきだって考えなのね?」

アリス「少なければ不測の事態に陥っても逃げ切れるかもしれないし、最悪……」

犠牲は少なくて済むから。
言葉は飲み込んだものの意思は伝わったらしく、
悠里も胡桃も言いたいことはあるけれど。と言った様子で首を振る
私にとって厳しくもなんとも無い、ごくごく当たり前の考えで、計算

けれど、普通の人にとって犠牲が少ないのだから別に良いだろう。なんていう考え方は
きっと簡単なことではないし、そもそも出来ないことかもしれない
正直、こんな世界になってしまった以上
切り捨てることが出来るようになって欲しいとは思うけれど……

私自身がその場に立たされて、間違いなく他を切り捨てることができるのかと言われれば
断言するほどの自信は無いのだから、そんな強制はできるはずもない
だから、言葉だって濁したり飲み込んでしまう

胡桃「アリスさんの考えはわかったよ。大きな違いがあるとは思えないけど、ゲームだって天候影響ってあるしな」

悠里「ゲームとは違うと思うけど……そもそも”あの存在”自体が現実離れしてるものね」

慈「…………」

アリス「君は、何かあるの?」

慈「……ううん、なんにも」

胡桃「そしたら誰がいくか……だよなぁ」

悩ましげに声を漏らした胡桃から由紀を終点に見回す
全員での行動を避けることはできたし、教室解放目的ではないから
少し様子を見て撤退すれば良いという程度で済む

胡桃「一人はあたしが行く」

これはある意味挑戦のようなもの
言ってしまえば人柱というものが近いものに当たる
それが解っていないはずがないのに、胡桃は自分からいくと宣言する
私が与えた彼女の戦う理由それがあるのかもしれないし
戦う人間は私か胡桃
それなら自分が行こうという勇気のようなものかもしれない

慈「胡桃ちゃんが行くなら私も――」

胡桃「いや、めぐねえは残ってた方が良いと思う。めぐねえに何かあったら大変だし」

慈「でもっ」

胡桃「めぐねえドジだし」

慈「そ、そういう問題じゃないでしょっ」

胡桃にとっては冗談だったのだとは思う
けれど本気で身を案じている慈としてはそんな気持ちの余裕は無かったのかもしれない
自分のことについて恥らうような様子は無く
ただ、茶化そうとする胡桃に対して少し怒ったような様子で。

慈が怒る気持ちがわかるわけではないけれど、
必死になってしまうその考えに至るのが解らないことはない
けれど、私は冷静であるべきだと思う
胡桃のことが心配になる気持ちはわかるけれど
ちゃんと考えられる状態でいなければ、選択を失敗しかねないし
平静さを損なった人間を、誰がお供に選ぶというのだろうか


1.胡桃、私がいくから、君は残りなさい
2.慈、胡桃と私が行くから安心しなさい
3.あとは胡桃に任せるわ

↓1

【慈・胡桃】


アリス「はぁ」

胡桃が行く。慈は冷静さを欠いているから戦力だろうと連れて行かせられない
なら、誰がこの活発な女子生徒のお守りをするというのだろう
由紀? だめね、戦力にはならないし今の状態ではお荷物にしかならない
悠里? それは間違いではないけれど、”生徒2人”に委ねることができるだろうか

ちらりと目を向けると、完全に取り乱しているなんて言う醜態こそ晒してはいないけれど
空気の読めないコミュニケーション能力に欠けると言われる私でさえ
表情から不安を察してしまえるほどに慈は動揺を隠せていない

アリス「解ったわ。私も一緒に行く。胡桃と私で行く。慈もそれで平気でしょう?」

慈「アリスさんは平気?」

アリス「一応、家からここまで来るくらいには慣れていたつもりだけど」

冗談っぽさを感じさせるように、笑いながら言って見せると
慈は不安を残したまま笑みを浮かべて「お願い」と言う
ここには私がいる”大人が2人”いる
だから慈そこまで後ろめたさを感じずに済んでいるんだとは思うけれど
これが”慈一人”だったらと思うと、嫌な予感しか思い浮かばない
何もかも一人で抱え込んで、墓にまで持って行ってしまいそうなほど。

胡桃「それなら安心だな。つい最近かなり無茶された気がするけど」

アリス「それを否定する気も恥じる気も無いわ。私はあの場で最善を尽くしたつもりだから」

胡桃「冗談だって」

アリス「いいのよ。別にね。誰かの最善が万人の最善であるとはいえないことくらい、理解しているつもりだもの」

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY7 朝の部】  
【アリス:体力:61/61:精神:168/168 感染15% 状態:良好】  
【食料:150(園芸)・650(備蓄)】 

【 胡桃:体力:80/80:精神:60/60 状態:良好】 

3階:【http://i.imgur.com/1e4BqRK.png 】 

    【雨が……降っています】  
――――――――――――――――――――――――――――――――  

アリス「なるほどね」

先日胡桃たちは職員休憩室にまで行っているため、情報を共有した結果
一部の教室は扉が閉まっており、放課後は利用されない部屋ということもあって
鍵さえあれば、安全圏としての活用が出来るという
とはいえ、その肝心の鍵の在り処が一番の鬼門であろう職員室なのだから
全くもって、無理は出来ない

この調査を失敗したなら、一度バリケードの奥に引っ込むか
最悪、手持ちのボールを通路に投げて気を逸らして逃げればいい
想像や想定ほど現実の自分の体が上手く動くなんて言うのは、基本的にないけれど
それを加味したうえで考えておけば、想定通りの行動くらいは出来るはずだ

胡桃「こっちには……いないな」

アリス「問題ないわ」

バリケードを超えてすぐ、念のための控室である音楽準備室および科学準備室を同時にチェックして、
互いに目を向け頷く
外開きの扉を新規っていたのだから当然と言えば当然ではあるけれど
いつ、何が起こるか分からない以上油断はできない
だから、確認は必要不可欠なのだ

胡桃「さっきは、ありがとな。アリスさん」

アリス「無駄話は通路に響くわ」

胡桃「小さい声なら平気だよ」

アリス「…………」

外の雨のおかげか、多少の声なら”彼ら”に届かないことは
現状ですでに確認が取れているけれど
私としては、万が一の状況も許せはしないから
無駄話はしたくないのだけれど……
胡桃から出てきたのは感謝の言葉
これは、正しておいた方が良いと思う
だって、私は感謝されるようなことはしていないのだから


アリス「君の感謝の意味が、分からないんだけれど」 

胡桃は”さっき”と言った
であれば、私が昨日胡桃と話したことに関しての感謝ではないはずだし
それであるのだとしても、私は私の持論を語っただけでしかないから
感謝の気持ちを伝えられても困るというのが、正直な気持ちだったりもするわけで

アリス「私は別に、感謝されるようなことをしたつもりはないわ」

少し冷たいかもしれないとは思ったけれど、私は私が意図していない感謝を受け取るというのはあまり気分が良くない
もちろん、由紀に話したように
自分がそうしたいと思った上での”幸運”が起こしたことなのであれば
もちろん、運が良かったのもあると付け加えることはするけれども
しっかりと自分の功績として受け取る気はある

だけれど、これは違う
胡桃を救おうと思っていないのに救っていたのだとしたら
それは幸運ですらない。もはや勘違いである可能性ですらある
そんなものは、早々に解消しなければいけない

出所不明な情報のようなものだから
いわば、そう。私にとって私が理解できていない感謝は”嘘”でしかない

胡桃「そか……でも、アリスさんが言わなかったら、めぐねえが無茶してただろうし」

アリス「私が丸く収めたことに対しての感謝と?」

胡桃「そうだよ。アリスさんため息ついてたし、面倒くさくなりそうとか思ったんじゃないかなって」


面倒くさく感じたかと言えばそんなことなかったと言えるけれど 
あの場面でため息をついたのは確かに、そう取られてもおかしくなかったと思う
そうとられたから何か問題があるわけでもないから 別に放置しても良いと言えばいい
とはいえ、胡桃の感謝は多少外れているとはいえ、私の目的に通じたものであると言えなくもない

しかし、改めて言うけれど。
私は別に胡桃の為に行ったわけじゃないから、感謝されても困る

アリス「面倒に思ったわけではないわ。癖のようなものよ」

胡桃「アリスさんって、やっぱり仲良くなろうとしてない感じがする」

アリス「そうかしら」

その通りだった
仲良くなって利のある人ならば、多少なりと関係を持つかもしれないけれど
それ自体、相手から関わってくるのなら。というだけで
私自身から積極的に……ということは一切ない
というより、相手からというものでさえ今までも数えるほどしかない 

誤魔化すように即答してから「そうかもしれないわね」と
恍けたように呟いて、金属バットを強く握る
今はそんな無駄話に花を咲かせている場合ではない

アリス「今は探索に出ているのだから、集中しましょう」

胡桃「じゃぁ、あとで時間があったら付き合ってくれよな」

アリス「無事に帰れたら。の話になるわね」

通路を歩く”彼ら”の存在を目視した瞬間、後ろで息を飲む音がした
覚悟を決めたからと、戦いたいわけではないと思う
だって、殴る感触は変わらない
ただ、そこに”理由”を付けただけでしかないのだから

ちらりと胡桃の様子を見てから、”彼ら”に向き直る
近づいてくる様子はないけれど


1.音楽室を覗く
2.”彼ら”の様子を見る
3.ボールを投げる

↓1

【様子を見る】


アリス「胡桃下がってて」

胡桃「アリスさん?」

まだこちらに気づいていないからと、出て行こうとする胡桃を制して”彼ら”の様子を伺う
私の示した戦う理由では、ここで出て行って殺してあげることは正しいのかもしれないけれど
今回は天候の変化による影響の調査も兼ねているのだから、出て行かせるわけには行かない

私は別に構わないけれど、胡桃になにかが起きた場合、
今も壊れかけている由紀はもちろん、悠里や慈は精神的な影響がかなり強く出てくることになるはず
そうなった場合、今の一応は安全な状態は完全崩壊する
それはダメ。それは危険
なにより、下手なことをさせないための二人組なのだから

アリス「下手に戦う必要は無いわ。避けられるのなら避けるのよ」

胡桃「でも……いや、そうだよな」

一瞬不満がありそうな表情を見せた胡桃は、
すぐに自分の考えを否定したのか、首を横に振って肯定する
文句の一つや二つ、別に言うことは構わないけれど
本人がその必要が無いと判断したのなら、それでいい

そう考えて、下手に追求せずに一息つく

胡桃「……なんか、前回よりも声が多いような気がする」

アリス「気のせいじゃなく?」

胡桃「うーん……」

自信は無いけど、と零した胡桃の視線の先
都合よく(”彼ら”にとっては)曇りゆえに奥まで見通すことの出来ない通路は
そこまで異常なほどの”彼ら”がいるようには思えない
もっとも、それは先日の一件ゆえに感覚がおかしくなったからかもしれないけれど

耳を澄ましてみると、確かに声は目に見えるよりは聞こえる。ような気がしないでもない


情報が不確定である以上、さらに調査する必要があるのだけれど
ここで深追いするのは少し……不穏だ
というのも、声が増えているように聞こえるということは
それが気のせいではなかった場合”彼ら”の数は増えているということになる

そうなった場合、二人で対処しきれるのか、生き残れるのか
その辺りが不安定になってしまう
私は生きる意味こそ求めてはいるけれど
生きる意味が解らないから死にたいなんていう短絡的な思考はしていない

職員室にでもいければ、カメラだったり
最悪携帯の充電器を手に入れることが出来て
連絡手段ではなく、調査用だったり明かり用だったりと扱い易くなるし
それがあれば定点カメラでも設置して調査……ということも出来るのだけど

アリス「それは望みすぎというものよね」

胡桃「?」

アリス「定点カメラでも設置できたらって思っただけよ。今は無理」

長考に浸っていた私の横で疑問符を浮かべる胡桃に答えて、一息
考え、悩んだわりにこのあとの行動を考えていないのだから
なんとも酷い話だと思う
出来ないことを考えるなんて、無駄なのに。

もちろん、それが”出来ない”と解ったことに意味はあるのだけど。


1.音楽室にまで行って見る
2.携帯のフラッシュを使いながら撮影してみる
3.撤退

↓1

【1判定 1.2.3 0人 4.5.6 3人 7.8.9 5人 0 8人 ぞろ奇数 0人 ぞろ偶数(数値分) 遭遇・感知 】

【撤退】



アリス「しかたがないわね……撤退よ」

大きな変化を見せない”彼ら”を尻目に胡桃へと向き直ってそう告げる
なんで。と勢いのある疑問符を浮かべる胡桃のそれは、当たり前のことだとは思うし
私の判断が必ず正しいとも限らないけれど……

アリス「疑わしいからよ。危険を冒す必要は無いわ」

胡桃「だけど」

アリス「人に無茶するな。と言ったのは君でしょう? 私はするべきときにした。君はここがその時だと?」

少し厳しい言い方だったのかもしれない
胡桃は図星を突かれた表情を一瞬浮かべると手にあるスコップの持ち手を強く握って俯く
胡桃が一生懸命にやろうとするのも理解できるけれど
命をかけるような場面ではないのは確かだと私は思う
まだ子供だから、本当にそうするべき瞬間ではないのだとしても勢いで出てしまうのは普通といえば普通だし
胡桃のその考えを空くとする木はまったく無い

アリス「少しずつ学べば良いわ。大人は面倒くさいのよ。その辺りがね」

胡桃「う、うん……」

気落ちしてしまった胡桃は私の指示に反対することなく
大人しく後についてきてくれた
ああいわれてもなお無茶できるのなら
それはそれで賞賛に値するものだったけど
されたら面倒だからされなくて良かった。と安堵の息を零す

アリス「…………」

”彼ら”の声がする。それはバリケードを超えてもなお、聞こえなくなることはなかった

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY7 昼の部】
【アリス:体力:61/61:精神:168/168 感染15% 状態:良好】
【食料:150(園芸)・650(備蓄)】

3階:【http://i.imgur.com/1e4BqRK.png

    【雨が降っています】
――――――――――――――――――――――――――――――――


早期撤退のおかげ……ではなく
そのせいで、と今回は言っておくべきだと思うけれど
確信できる情報は何一つ得ることはできなかった

とはいえ、そのおかげで(当然のことではあるけれど)胡桃も私も無事に生還することができたし
悠里や慈にとっては、成果が得られることよりも
無事であることの方が、余程ありがたいことだったようで
戻るや否や、ほんの少しの時間だったにも拘らず
無事でよかった……と、心の底から安堵した表情を浮かべていた

アリス「…………」

雨が打ち付けられる窓に触れると、ひんやりと冷たい感覚が伝わってくる
この物理準備室から外を見ても大したものを見ることは出来ないけれど
どこと無く、不穏なものは感じ取れるような気がする……なんて
意味の解らないことを考えても仕方が無い

ただ、元の数を知らない私にははっきりとしたことはいえないけれど
胡桃は声が増えていると言ったし、そんな嘘をつくとは思えない
彼女を信じているわけでも、信じていないわけでもないけれど
それは確証を得ておくべきだったかもしれないと、僅かながら後悔を覚える

雨が続くとは限らないけれど、確証が得られるまでは
雨の日とその翌日等は慎重に行動するべきかもしれない

アリス「はぁ……」

ため息一つで雲が吹き飛ぶことはないだろうけれど
世界中の人がため息を突けば天気は少しだけ変わるんじゃないだろうか
そんなことを考えた子供時代を思い出して、首を振る

退屈は……毒だ


1.由紀と話す
2.悠里と話す
3.胡桃と話す
4.慈と話す
5.屋上に出る

↓1

【慈と話す】


アリス「慈、ちょっといい?」

慈「え、ええ」

声をかけられると思っていなかったのか、上の空だったのか
慈は声をかけるだけで少し驚いたように振り返る
何かアクションを起こしたならともかく、ただ声をかけただけなのに

今回のゾンビの件で何かわかっていてそのうえで話せずにいる……とか?
慈のことだから、それは無いとは思うけど。
とにかく胡桃たちとは一度話したことだし、慈とも話しておくべきだろう

慈「どうしたの?」



1.場所を変えよう
2.この学校について
3.ゾンビについて
4.慈について


↓1

【2判定:72以下】
【3判定:72以下】

【場所を変える】


アリス「その前に慈、場所を変えよう」

慈「良いけど……」

何か大切な話だと思ったのだろう、慈は少し不安そうに言いながら出入り口へと向かう
どこか行くのかと問う胡桃と悠里には少し別の教室に。と
別段嘘をつく必要も感じられなかったから、事実を話しておく

万が一にも尾行してくるなんてことは、無いだろうけれど
あったらどうしようか、などと考えつつ、教室へと移動する
降り頻る雨の音は時間が経つに連れて酷くなっているように感じる

割れた窓の周囲はもう、取り返しがつかないほどに水浸しで
上を歩くと靴底の音が致命的なほどに隠密性を殺ぐ

アリス「掃除をすべきかもしれないわ」

慈「そうね。いざという時に滑っちゃったりすると危ないから」

アリス「そこで良いわ。そこに入りましょ」

3年生の適当な空き教室に入って、扉を閉める
廊下側の窓は割れているし、外側の窓も割れていて
残念ながらしめる意味も何も無いけれど。
一つ一つの行動が無意味で、けれどなぜだかしてしまう
失われた日常を求めてしまうというのはこういうことなのかもしれないと、実感する
そして、そこに入り込んでしまったが最後、現実が実感できなくなるのだと思う

慈「胡桃ちゃん、連れ帰ってきてくれてありがとう。アリスさん」

アリス「その分、情報は持ち帰れなかったわ。無駄足だったわけだし、胡桃が無事なのは当然でしかない」

慈「アリスさんならそう言うと思ったし、みんなにもそう言ってたけど。アリスさんだからこそ、無駄足で済んだだけだと思うの」

アリス「希望的観測ね。と、言うべきかしら」


慈「そんなことはないと思うわ。やっぱり、アリスさんのおかげよ」

慈は少し困った様子で笑みを浮かべて私を一瞥する
私だからこそ、無駄足。それは確かにそうだったとは思う
胡桃が出て行こうとしたときに止めたりしたのは私だし、撤退を指示したのも私
胡桃自身は戦うつもりでいたのだから
私ではなかった場合に、戦っていた可能性が無いとは言いがたい

そして、その場合に無事で済んだ可能性は50:50
それはただ単にその可能性に向かったことがないからで、
実際はどちらかに傾くのだろうけれど
もしも胡桃の感じたものが事実であるならば、それは無事ではなかった方に傾いていたかもしれない

アリス「……まぁ、確かに。ね」

そこまで考えれば、だけれど。

慈「アリスさんは本当、謙虚というよりも欲が無いように思えるわね」

アリス「そうかしら」

慈「初めて会ったときもそう。なにかして褒められても。自分の目的の外なら自分の手柄としようとしないとか」

アリス「実際に私はその人を救うつもりは無かったもの。そこで無意味に賞賛を受け入れては、善人だと思われる」

私はそれが嫌いだった。だから、自分の目的の外であれば
絶対にその賞賛を自分のものにしないようにという生き方をしてきた
何かがあったとき、”彼女なら”そういわれるのが、嫌だったから

ヒーローもののアニメなどは殆どそう。それが気持ち悪くて仕方が無い
彼女なら、彼なら。そう信じ、そう頼りきり
それが倒れた瞬間に絶望に浸る惨めさ
自分達で抗おうという気は無いのかと、そう不思議だった
お父さん達は”アニメだから”というけれど、理解が出来ない
そのアニメやドラマを作るのは誰だ。人間だ
そして、その人間はそういうことが受け入れられると考えているということで
そういったものが見られているということはつまり、そういうことだから

アリス「私は善人じゃないもの」

慈「アリスさん……」

余計な話をしすぎている……本題に入ろう



1.”彼ら”について
2.学校について
3.慈について
4.戦うことについて


↓1

【1判定:72以下】
【2判定:72以下】

【学校について】


アリス「ねぇ、慈。疑問があるのだけど」

そう言って切り出したのは、この学校のこと
在学中にも気にはなったけれど、気にすることでもないと切り離していたこと
今思えば(どうせ答えてもらえないにしても)聞いておけば良かったと少しばかり後悔する


――学校の設備が整いすぎているのは、なぜなのか。と


この学校が避難所とされているのなら、そう言う事態が起こった際に
断水や停電等が起こらないようにと対策を積み込んだといわれればそれまでかもしれないけれど
この巡ヶ丘でそんな対応に重きを置くような大規模な災害があった記憶はない(隠滅なら別だけれど)

アリス「君も教師になったのだから、何か知っているんじゃないかなと思って」

慈「…………」

アリス「別に沈黙の全てが肯定などと意地悪を言うつもりは無いけれど。その表情、その沈黙は肯定と取って問題ないかしら」

意地悪するわけでもなく、単に”知っている”と感じた私の問いかけに、慈はビクリと体を震わせて、俯く
何かを知っていると判断するには不十分だけれど、何も知らないというには物足りない仕草
知らないのなら知らないでいい。知っていても知らないのなら知らないでいい
知っているのなら、知っているでいい。私は別に、慈を責めるつもりなど微塵も無いのだから

たとえこの学校が今のような状況に対する保険であるのだとしても、その責は慈には無い
そうしたのも、そうさせたのも、慈では無いからだ

アリス「……そっか、それならそれでも良いわ」

長引く沈黙に向けて、私は小さく切り込みを入れる
言葉以上の意味なんて無かった、何も無かった
けれど、慈は私の服の裾を抓むと、「待って」と、顔を上げた

アリス「なにかあるの?」

慈「私も何か知ってるわけじゃないの。でも、アリスさんが言うように、明らかにこの学校は何かを想定して作られてる」

そう切り出した慈は服を手放して祈るように手を握り合うと、
覚悟を決めたばかりの、不安がまだ残る表情を浮かべる

慈「実は……非常事態があったときだけ開封を許される資料があるの」

アリス「非常事態のみ……?」

慈「そう。それが今職員室にある……はずなの」


アリス「職員室……ね。今はとてもいけそうに無いけれど」

慈「ええ……」

浮かない表情で答えた慈は、あからさまに落ち込んだ様子で息をつく
その資料が気になっているのは確実だと思う
もしかしたら、そこに全部の情報が残っているかもしれないから
もし、そこに載っていたのなら、自分は無知ゆえに、それに関与してしまっていたということになるから
そして、そうであるならば。
救えなかった生徒達の責任は(他に誰も教師がいないため)自分が負うべきだと思うに違いない
実際、今の慈にあるのはその自責の念だろう

アリス「私も気にはなるわね、それ」

慈「それで、なんだけど……」

アリス「?」

言葉が不自然に途切れた
言うべきだと、言わないべきだと対立する二つの言動がひしめき合っているかのように
慈は複雑な表情を浮かべ、自信の手を強く握り合わせて……首を降る

慈「それでなんだけど、出来たら職員室を先に解放したいの」

アリス「3階の解放は目的通りだから変わらないわよ」

慈「そうだけど、他にも部屋はあるじゃない? それよりも……ね?」

アリス「んー……」

別に拒否するようなことでもないし
その非常事態のみにみる資料が気になるというのも良く解る


1.わかったわ
2.ソレ、私は一緒に確認しなくて平気なの?
3.その代わり、私にも見せなさい
4.あまり気負わないことね。君は優しすぎるわ。慈


↓1

【あまり気負わない】


アリス「…………」

急く気持ちはわからない事もないけれど、それはきっと慈のことを傷つけてしまう真実
だからというわけではないけれど、その可能性があるものに対して
ただ、責任があるからというだけで突っ走っていく姿は痛々しいものを通り越していると私は思う

だから、口を挟む

アリス「あまり気負わないほうが良いわ。君は優しすぎるからね、慈」

慈「それは、私を心配しての言葉なの? それとも、それ以外の何かによる言葉なの?」

アリス「え?」

私がさっき言ったことをそのまま返してきただけというのは言われなくても解る
けれど、この場面で使う理由が私には解らなかった
私の言葉は編に捻じ曲げて解釈しない限り、慈に対しての言葉

つまり……いや、そう、なのかしら

アリス「私が、君を心配?」

言われてみて、思うと確かにそうなのかもしれない
こうやって声をかけたのだって、元を辿れば慈の様子に違和感を覚えたからと言うのもある
それに、私が気にしたのは慈が気負うこと
それが心配をしていないのであれば、なんなのだろうと今更ながらに思う
ついさっき話した副産物的な救済などではなく、まさしく目的のものだ

アリス「そうね……私は君を心配しているわ。せっかく生き残った知り合いだし、子供達を繋ぎ止める鍵でもある。慈を失うのは手痛いわ」

慈「アリスさんとは長い付き合いだと思うけれど、未だに本当の意味で理解できたことが無い気がする」

困ったように笑う慈は、どこか嬉しそうにしているように見えて
その瞬間だけは抱え込んだ悩みを下ろせているようにも、見えて

アリス「そう簡単にはわからないよ。私のことはね」

冗談っぽく、返した

最近中々出来ないな…すまん(初めて1週間足らず)
今日は多分これ以上できないと思う


毎度安価さんくす

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY7 夕の部】
【アリス:体力:61/61:精神:168/168 感染15% 状態:良好】
【食料:150(園芸)・650(備蓄)】

3階:【http://i.imgur.com/1e4BqRK.png

    【雨が降っています】
――――――――――――――――――――――――――――――――


時計を見なければ時間がわからないような空
物理準備室の窓から下を見ると、相変わらず死んだ街が佇んでいるだけで何の変化も無い
不自然に自然が増えているなんて言うことはないけれど、
時折飛んでいく鳥の数は多く、その中でも比較的カラスが多いように思える

やっぱり、”彼ら”の肉も食べるのだろうか
それとも、それ以外の何かを食べているのだろうか
いずれにしても、動物が”彼ら”の仲間にならないという保障は無い
万が一にも鳥が”彼ら”の仲間入りするともなれば、屋上庭園は破棄すべきだ

アリス「……それも調べるべきでしょうね」


【疑問:”彼ら”の範囲】


アリス「といっても、それはかなり危険だわ」

鳥ならば群れているだろうし、カラスならば余計に。
そんな相手の調査なんて、犠牲を作りに行くようなものだ
もちろん、問題が無いのなら良いけれど
問題があった場合はそのまま犠牲がほぼ確定となる

行くならば自分が行くべきだろうかと考えて、首を振る
なぜ率先して危険な道を行かないといけないのだろうか
慈ならともかく、調査に出るであろう子供達を絶対に守らないといけない束縛は無い
もちろん、慈の精神面もあるし、無事であることに越したことはないのだが




1.全員で話す
2.慈と話す
3.悠里と話す
4.由紀と話す
5.胡桃と話す
6.廊下に出る
7.休憩しておく

↓1

【胡桃】


アリス「胡桃、少し良いかしら」

胡桃「ん? 良いよ」

最初に会ったときと比べて、胡桃の態度は大分軟化したように思える
というより、頼りにされてしまっているように思えるし
どこか慈と似たような扱いを受け始めているようにさえ、感じる
それは女子高生ゆえの気さくさなのかもしれないし
今では多少悪くは無いと思えてきているとは言え、やはり煩わしさを覚えてしまう
もっとも、胡桃が私に対して心を開くようになったのは
私自身がここで生活していく中で多少なりは。と、意識したことではあるし
仕方がないことなのだけれど。
やっぱり、私としては子供は好かないのかもしれない

胡桃「なんか、嬉しいな」

アリス「まだ何もしてないと思うけれど」

胡桃「そうなんだけどさ、ほら、アリスさんはこうやって声をかけてくれるじゃん」

それの何が嬉しいのだろうか
私の知らない、何か幸福があるのだろうか
だとしたら、それは私の意図したものではないし
勘違いされないように弁解……は少し違うが、話しておかなければいけない

胡桃「最初は気難しい人だなって思ったし、なんていうか」

こういっちゃアレだけど。と。罪悪感を滲ませながら胡桃は私を見上げる
罪の意識に混じって、羞恥心も見える。様な気がするが
恥ずかしいのなら、悪いと思うのなら
それを初めから言わなければ良いのにと思ってしまうのはやはり意地悪なのだろう

なんなの? と急かしそうになる口を閉ざしてため息を飲み込む
なんとなく、それはいけない気がしたから

胡桃「慈の知り合いだなんて思えなかった。あんまり関わりたくないなとか、思った」

アリス「…………」

胡桃「正直、男だったら見捨てる……なんてことは無いけど、隔離してたな。縛ったりして」


アリス「そう」

それは私も同じことをした可能性が高い
私のような人間に好意を抱く男性がいるのかどうかは別にして
前にも思ったことではあるけれどこのような無法な世界において
異性を目の前にして男性が何もしないというのは、中々に考えにくい

私が女だから、男というものは……という偏見を持っている可能性も否めないけれど
思うに、”力のある男性”出ない限りは、緊迫感や恐怖に負けて狂い
そういった”人間でも奴らでもない何か”に成り果ててしまう可能性はある
もちろん、力があっても狂う男はいるだろうし、女だから狂わないという保証は無い

そして、狂っていることを理解していない狂人ほど恐ろしいものは無いとも思う
できれば、今後生きていく中で出会わないで欲しいと思うほどには。

アリス「君のその考えを否定しない。寧ろ肯定するし推奨する。この世界において異性と接触するのは危険だわ」

自分が男であり、その抑制が出来るのならば話は別になるけれど
それは今、ありえない話なのだから省いても問題はないだろう

胡桃「そういうと思った」

嬉しそうに、胡桃は言う
なにが嬉しいのかわからないけれど、それはきっと私が意図したものではない

アリス「笑うようなことを言ったつもりは無いけれど」

胡桃「笑ったのはおかしいからじゃないしな」

アリス「それは解っ」

胡桃「それより、なんで呼んだのさ」


はぐらかすつもりだろうか
大きな問題ではないし、構わないけれど



1.見回りに行きましょう
2.由紀について
3.悠里について
4.胡桃について
5.アリスについて
6.学校について


↓1

【由紀について】


アリス「胡桃はどう思う? 由紀について」

その一言で、胡桃の表情からは笑顔が消えて暗い面持ちになって首を振る
まるで夕立のような暗転の機敏さにはその絶望感が強く現れているようにも思う

胡桃「由紀は頑張ってるとは思うよ。けど、なんていうか」

アリス「できることが見つかってないのね」

胡桃「それもそうだけど、”奴ら”を極端に避けてるっていうか……」

胡桃が歯切れの悪い言葉になってしまうのも無理は無いと思う
由紀は確かに頑張ろうとしているし、まだ壊れているわけではない
けれど、皹は確かに走っている
ゆっくりと、じっくりと、バキリ、バキリと軋んでは破片が零れ落ちていっているような感じがする
私達が探索に出て行くときなどは一切喋ろうとしない
私としては話がスムーズに進むから害は無いと考えるけれど
探索を除き、丈槍由紀のことをとして考えるのならば
それは確かに何かがおかしく、心配すべきことだろうと思う

圧倒的な恐怖だったと思う。少なくとも、一般人である由紀にとっては。

胡桃「何とかした方がいいと思う」

アリス「なんとか。といわれてもね」

胡桃「やっぱさ、日常が壊れたってのが効いたんだと思う。あたしは……その」

アリス「?」

胡桃「壊れる切っ掛けって言うか、こっち側に来る機会があったからアレだけどさ」

アリス「……そうね」

胡桃「あいつにはソレがなかったんだよ。どっちにもいられないし、居たくなくて。だから疲れていってるんだと思う」


ふと、2人で由紀の方に目を向ける
部屋の隅で、じっと固まったように動かない
もう死んでしまったのではないか、とさえ考えてしまいそうになる

何か頼めば喜んでやってくれるだろう
けれど、それだけだ
そこで何かを掴もうとはするのだろうけれど、そこから先に進むことができなくて
結局、留まって

胡桃「アリスさん、なんとか出来ないかな」

アリス「なぜ私にいうの」

胡桃「いや、この話題振ってきたのアリスさんだし」

困ったようにいう胡桃は私を一瞥するとため息をついてスコップを握る
何かがあっても無くても、常に傍にあるスコップ
思い人を殺めたそれを常に携帯しているのは、ただ”彼ら”に対応するためというわけでもないとは思う
胡桃はこちら側に来たと言っていたけれど
それはある意味で狂っているということでもある

胡桃「めぐねえとアリスさんでさ、なんかできるんじゃないかなって」

アリス「はぁ」

これが、嫌いなのだ
彼女なら、彼なら。そう頼られてしまうのが
今回は私が関係を多少なりと深めようとした結果だから
胡桃には何も言うことは出来ないけれど……


――私は”善人”じゃない


アリス「私と慈というより、慈ね。話しておいたほうが良いわ」

慈は教師で私はただのその知り合いで、大人というだけ
子供は好きではないし、極力関わるのは避けたいとさえ思ってしまうような人間
それが、絶望の淵から人を助けるなんて、出来るとは思えない

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY7 夜の部】
【アリス:体力:61/61:精神:168/168 感染15% 状態:良好】
【食料:150(園芸)・650(備蓄)】

3階:【http://i.imgur.com/1e4BqRK.png

    【雨が降っています】
――――――――――――――――――――――――――――――――


夜になってもまだ雨は降っていて、明日もまだ降り続いているのではないかと少しだけ心配になる
もちろん、だからどうということもないけれど
屋上庭園を諦めることになりかねないし、そうでなくても不出来な食料になってしまう可能性がある
それは少し、困ってしまう

購買部に行くことができたとはいえ、そこにある食料も無限ではないし
近いうちにここを出て行く必要があると思う
だとしたら、慈の車が必要になってくるけれど……
今はまだ、必要ないこと、だろうか

アリス「……お母さん」

はっきり言って、私はお母さんを見捨てたといってもいい
多少なりと距離があったとはいえ、人が集まる場所だからとはいえ、
誰かが何とかするだろう。と希望的観測に委ねて
自分はこちら側へと来てしまったのだから

その罪悪感は無い、悲しいけれど
どちらかしか選ぶことしかできなかったから

アリス「……私にとって、慈はそれなりに重要な人ってこと?」

心配したり、なんだりと……
今までそこまで真面目に考えたことはないけれど、でも少なくとも
母親よりは重要だって考えていることになる



1.早めに休む(翌朝:状態絶好調)
2.慈と話す
3.悠里と話す
4.由紀と話す
5.胡桃と話す
6.廊下に出る


↓1

【早めに休む】


アリス「もう寝ておこう」

明日も雨が続くのなら調査に出るし、止んでいるなら探索に出る
他にもやることがあるだろうし、特にやることもないのなら、早めに休んでしまうべきだろう
そう考えて、今の考えから抜け出していく

いつかは考えないといけないかもしれないけれど
今は、あまり考えていたいことではないから
でもきっと、これが現実逃避というものなのかもしれない

私にとって、他人なんてどうでもいい存在だ
この世界でだって、前の世界でだって
大切な人なんていなかった。大切にしたい人なんていなかった

アリス「…………」

目を瞑ってから暫くして、白い服を着込んだ男の人を見た
彼は”アリス”と私の名前を呼ぶ
家に帰ることもあれば帰らないこともある
まめに手入れもしていない髭は不恰好で不衛生
小さい頃から触らないで欲しいと思いながら、触れてくる大きく熱い手のざらざらとした感触は
痒いところに触れてくれているような心地よさがあった

彼は”アリス”と私の名前を呼ぶ
優しく、温かく、愛おしそうに彼は呼ぶ

それは――私の父だ

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY7:集計】

【アリス:体力:61/61:精神:168/168 感染15% 状態:良好】 →変化なし

関係性変動

【由紀 大人(姉のような人)→大人(姉のような人)】
【胡桃 恩人(尊敬)→恩人(尊敬)】
【悠里 知合(不思議な人)→知合(優しい人)】
【 慈  友人(心配)→友人(信頼)】

巡ヶ丘学院高校解放率:変化なし)
http://i.imgur.com/FSDyFPo.png
【疑問:ゾンビの習性1/3:音に反応】
【疑問:命の使い方】
【疑問:”彼ら”の範囲】
【約束:男子生徒の介錯】

↓1 

1.5.8.0 止む

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY8 朝の部】
【アリス:体力:61/61:精神:168/168 感染15% 状態:絶好調】
【食料:150(園芸)・600(備蓄)】

    【雨が……降っています】

――――――――――――――――――――――――――――――――


アリス「…………」

ゆっくりと目覚めに向かっていく間にも雨音は途絶えることはなくて
窓から見える景色がどんよりと曇り、歪んでいるのが見えて思うのはやっぱりね。という
なんともつまらない感想だった

止んで欲しいときには止まず、降って欲しいときには降らない
人間はそれを物欲センサーと呼んでいるけれど、私もあながちそれはあるものだと思っている
とはいえ、信じ切っているわけでもない
そんなものはただの運によるもので
当選したいと願う人間が宝くじを買って当選することがあるように、
結局のところ、その瞬間、その当たりを引くことができたかどうかでしかないと思うからだ

慈「雨……止まないわね」

アリス「長引くとは思ったけど、ここまで続くと辛いわね」

じめじめとした空気、晴れ間の無い空
電気が合ってもそれは人工の光でしかないから
不安を完全に払拭するほどの力はない

慈「どこと無く体が重くなった感じもする」

アリス「…………」

横に並んで窓の外を眺める慈は、疲れた様子で息をつく
どんな状況だろうと無関係な私はともかく、普通の人はそろそろ辛いころあいだと思う
電気や水道、食事が何とかなっている分救いはあるけれど
それでもやっぱり、限界はある



1.全員で会議
2.慈と話す
3.悠里と話す
4.胡桃と話す
5.由紀と話す
6.廊下に出る

↓1


【悠里】


アリス「…………」

屋上に出ることが難しい現状、それだけが取り得だというつもりは無いけれど
屋上庭園の手入れも何も出来ない悠里は、とても沈んでいるように見える
由紀と同じというのは言いすぎだろうけれど、自分の出来ることがなくなってしまっている今、
食事の変わりに惰眠を貪るように精神が刻一刻と磨り減っていってしまっているんだろう

胡桃には、言わなかったけれど。
私は”善人”ではない。ましてや”英雄様”でも”主人公様”でもない
だから悠里を救って上げられる保障なんて無い
けれども、生活圏内。無視することもできないから

アリス「悠里」

悠里「え? あ、はいっ」

アリス「……疲れてるわね」

悠里「い、いえ……大丈夫です」

反応もも悪いし、言葉が変に乱れて真っ直ぐ飛ばずに落ちていく
私もそう言う診断の出来る人間ではないから確信を持てるわけではないけれど
少なくとも好調ではないことだけは確信が持てるくらいには、疲れている

当初、園芸部の作業をしていたからか、他の人よりは疲れていただろうし、汗もかいていたと思う
ぬらしたタオルで体を拭うことができるとはいっても、
せっけんや、せめてシャワーを使えないとその不快感の一切を拭うことができない
それも、年頃の女の子なら当然。
そのまま一週間経過しているともなれば……疲れていないというのは無理がある


アリス「…………」

失礼な話(と言っても自分もではあるが)悠里の体は
この天気による張り付くような気色悪い空気も相極まって、非情に臭う
由紀が離れているのか悠里が自分から離れたのか定かではないけれど
みんながみんな互いに距離を取ってしまうのもそのせいだと思う

でも、だからどうだというのだろうか
何が出来るというのだろうか
悠里にそのことを告げたところで、何かが解決できるわけでもない
せめて菜園の手入れでも出来れば、気を紛らわすことができるのだろうけど
それは少し難しい

屋上に出られないわけではないけれど
出たところでさらに汚れ、直した場所を壊されてしまうだけだろうから
やっても無駄なことを繰り返す
それほど無意味な苦痛はそうそう無い

今の悠里の精神状況からして、下手な言葉をかけても意味はないし
寧ろ逆効果になってしまう可能性もある
私と悠里はそこまで仲の良い関係だっただろうか……
踏み込みすぎてはいけないような、気がする



1.屋上に行かない?
2.制服を洗いましょうか
3.濡れタオルを持参する
4.何かあるなら聞くわよ
5.何か、する?
6.悠里について
7.アリスについて


↓1

【タオルを持参】


含ませた水がにじみでることがないように絞って、タオルを悠里のところに持っていく
何が出来るのかわからないのは私も一緒だ
けれど、少なくとも体が不衛生なままでいるよりは
少しだけでも清潔さを保つことができるようにするべきだと思う

アリス「悠里、タオルを持ってきたわ」

悠里「私……」

アリス「何も言ってないけれど、何もしていないとしても。毎日するのが女の子というものでしょう?」

シャワーを浴びたりお風呂に入れるというのが一番の清涼剤ではあるのだけれど
それが出来ないのだから仕方が無い
正直に言って、これも焼け石に水だと私は思ってしまうけれど
悠里に言った言葉も、別に嘘ではない
私とて、我慢できることではあるけれど
出来るのなら衛生的でいたいと思う
狂っていても。捻くれていても。私も一応女の子ではあるから

悠里「そんなこと……しても……」

アリス「…………」

悠里は言いかけて、沈む
叫んでも良いのに、怒鳴っても良いのに
それが何も正しくは無く、ただの八つ当たりでしかなく
その声が”彼ら”を呼んでしまうかもしれないと解っているから
悠里は叫ぶことをやめて、唇を噛んだのだろう

悠里「……なんにも、ならないと思います」

だけれど、悠里は俯いたまま続けた


悠里「臭いが気にならなくなりました。体の痒みも気にならなくなりました」

自分が臭っているのかいないのか、
不衛生なのか、衛生的なのか、ただボーっとしているだけではわからない
何かをしていても解らない
ふと、髪に触れたときにべっとりと不快な感触が伝わってきて思いだすのだと、悠里は語る

悠里「体を拭くと、少しだけ救われたような感じがして……また、纏わりついてくるんです」

アリス「……貴女、いつから体を拭いていないの?」

悠里「拭いています。拭いて、拭いて……空しくなって……」

アリス「…………」

悠里は目の前でさらに体を抱きしめて、小さくなっていく
私には感じ取れる臭いも、悠里本人にはその自覚が無いのだろう
髪が無造作に擦れて乱れて、においのきつさが増していく

その気持ちが私には解らない
私もきっと同じ状況なのだろうけど、精神が止んでしまうほどの不快感は感じていない
だから、それを解って上げられない
女らしくない。ということだろうか

悠里「シャワー浴びたいです」

アリス「そうね」

悠里「もう……嫌になってきました」

アリス「…………」


1.職員更衣室になら、シャワー室があったはずよ
2.とりあえず体を拭きなさい
3.もう少し頑張りなさい。せっかく生き残ったのだから
4.死にたければ死ねば良いわ。私は気にしない
5.もういっそ、脱がす


↓1

もう少しやりたいけど今日はもう無理かもしれん
毎度安価さんくす

臭い


アリス「……」

本来なら、慈に何とかしてもらうところなのだろうけど、聞いたのは私だ
悠里のもういやだという言葉に同意も出来ない私では、
私の独特の気にしない方法を説いたところで何の意味もないことは明白
ならどうするかと考えながら、まだ生徒だった頃の記憶を思い出してため息をつく

そういえば……

アリス「職員皇室にならシャワー室が併設されてたはずよ」

悠里「え?」

アリス「私の記憶通りなら、だけど」

たしか、それ以外にも部室棟だったかに施設はあったような気がするけれど
現状、そこまで行くのは自殺行為以外の何ものでもない
もちろん、職員更衣室も

悠里「職員更衣室……ですか」

アリス「ええ」

ぼそりと呟く悠里の姿は、まるで亡霊のようにも思えた
長い髪も相極まって、それらしさが増しているからかもしれないけれど
言うのは失礼だと流石に私でも解るから、言わないでおく

雨さえ止めば……解放できるのだけど、惜しい
そう思うと、この雨が憎たらしく思えてくる

アリス「……」

窓に打ち付ける雨音は、あてつけのように激しさを増していく

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY8 昼の部】
【アリス:体力:61/61:精神:168/168 感染15% 状態:絶好調】
【食料:150(園芸)・600(備蓄)】

    【雨が降り続いています】

――――――――――――――――――――――――――――――――


アリス「…………」

振り注ぐ雨音は止む気配を一切感じさせず、
窓から見える曇天も分厚く大きく晴れ間が見える様子は無い
その永遠に続くとも思える雨は、私達の日常に溶け込み始めていて
それはやはり、希望を浸してダメにしていく

アリス「流石に空気が重い」

誰も元気な声を上げられず、鬱屈とした空気が漂うだけ
慈が同じかはわからないけれどどんな言葉が慰めになるのかわからないどころか
自分で思うたびにどれもこれもが気休めにしか思えなくて、中々に触れ難い
せめて雨さえ止めば、何か言えることもあるのだけど……

いや、止めば言える以前に行動を起こせるか

アリス「……」

下手に疲れるのもアレだから、休んでおくべきかしら
それともこっそり抜け出す?
それとも、誰かと話をする……?


1.悠里
2.由紀
3.慈
4.胡桃
5.こっそり抜け出す
6.休んでおく


↓1

【由紀】


由紀にはこちら側に来る切っ掛けが無かったのだと胡桃は言っていた
だから中途半端な立ち位置になってしまって不安定なのだと
どうにかするべき……だとは思うけれど
……仮にパンデミックと名付ける
パンデミック事件が起きてからもうすでに数日経過した今、
改めて彼女にショックを与えてもあまり好転する気がしない

寧ろ、現状よりも酷いことになりそうな気さえする
もちろん、私は心理学者ではないから、
そうはならない可能性のほうが高い。かも知れないが。

正直、由紀と話しただけでどうにかなる気がしない
とはいえ、ただ無言で時間を無駄にしていくのは、彼女の停滞にさえならない可能性があるから

アリス「由紀」

少し面倒ではあるけれど、仕方が無い
だれもが絶望に満たされているのなら、仕方が無い
初めから壊れている私が、仕方がないから相手をしよう

ただし、自体が悪化しても責任は取れないけれど。



1.由紀について
2.アリスについて
3.慈について
4."彼ら"について
5.学校について
6.動物について

↓1

【動物について】


アリス「……由紀は動物は好き?」

由紀「え?」

流石に唐突過ぎたかしら?
いや、でもそれ以外に何か話すようなことは特にないし
何か趣味だったり興味があるものに関して聞くのは
突拍子が無いのだとしても、何かを遮るようなときではない限りは
不自然ではない、と思う

由紀は呆然とした無感情に見える虚ろな瞳で私を見ると
抱えた膝に顎を付けて頷く

由紀「……好き、だよ」

アリス「そう……例えば、犬とか。猫とか、鳥とか」

由紀「可愛いのは、好き……犬も、好き」

アリス「……」

途切れ途切れの言葉遣いではあるけれど
一応、しっかりと話はしてくれている
掴みは悪くないはず
とはいえ由紀の瞳はまだ空虚で、声に力は無い

私に出来るのかしら。
由紀を元気付けることなんて
私に出来るのかしら。
誰かに希望を与えることができるのかしら


―アリス、君は私達の希望だよ―


アリス「……」

そう私に言ったのは誰だったか
確か、父……だったような気がする


由紀「アリスさん?」

アリス「!」

ふと、聞こえなくなっていた由紀の声が急に聞こえて、びくりと動く
回想に浸っていただけだとは思うけれど
それだけで無意識になるとは疲れているのかもしれないと
眉間に指を宛がって首を振る

由紀「大丈夫?」

アリス「平気」

由紀の方がダメだろうに、私の心配をするなんて馬鹿にされたものね……
なんて、嫌味たらしく考えながら、一息つく
新しくも何にも無い
寧ろ汚れていそうな空気が身体の中を巡る

アリス「それで、なにか言った?」

由紀「えっと……アリスさんは、動物、好きですか?」

恐る恐ると怯えた様子で、由紀は問う
私との会話を続ける気はあるということだろう
まだそのくらいの気力はあってよかった……と、思うべきか


1.好き(好きな動物も合わせて。明記なしなら全般)
2.嫌い(嫌いな動物も合わせて。明記無しなら全般)

↓1

今日はここまでかな
できたらまたあとでやるけど無理なら明日
長く空いてすまん

毎度安価あんくす


アリス「私ね……私は狼が好きよ」

由紀「狼……」

アリス「そう、狼」

私が何の皮肉もなしに答えたのが珍しかったのかもしれない
由紀は少し驚いたように繰り返して、私を見る
こういった話をした相手も、当然のごとく数えるほどにも居ないし
居ても覚えていない、せいぜい慈くらいだ

相手の印象が薄かったのもあるけれど
そう言った人間は最終的に私の傍から離れていった
歳を重ねていくごとに、私という人間の気味悪さが彼女達の間で強くなったのだと思う
私は私で対して変化した覚えは無いから、きっとそう

だからと言って、私が追うこともなく変化することもなかったから
最終的に喪失へと繋がったのだろうけれど

アリス「私の生き方が一匹狼のまさにそれだから」

由紀「……どうして?」

アリス「どうして、と、言われてもね。単に群れ為す意味が見出せなかった。輪に加わるセンスが私には欠けていたから。じゃないかしら」

かしら? と疑問符を織り交ぜながら言っては見たものの、自分でははっきりと理由がわかっている
くだらなかった。馴染めなかった。必要がないと見限っていた
だって、誰かと付き合うということは、私の自由が殺がれるということに他ならない
そんなことになって何の利点があるのだろう

何でも成す事が出来るはずの貴重な時間を、なぜ、どうでもいい他人に捧げなければならないのか
カウンセラーの女医は言った
それは生きていくうえでの経験を積むためだと。
だから私は言った

付き合いが無駄だと言うことは学んでいるから必要ない。と

アリス「私は面倒くさい子供だったのよ」

由紀「それで、狼が好きになったの?」


興味を持ったのか、踏み込むように顔を覗きこんでくる由紀を見下ろして、息づく
面倒くさいという気持ちが早くも湧き出してきているけれど
今回に関しては、私が自分から踏み込んだことだからとその思いを飲み込む

アリス「私の髪は白いから、狼だと呼ばれたことがあるのよ。あと、目つき」

由紀「…………」

じっと見つめてくる由紀の視線に、私は思わず呆れた笑みを零して首を振る
今はもう、馴染みすぎて怯えることはないのだろうか
本気で睨めばまだ、怯えさせることも出来るかもしれないけれど

――する意味はまるでない

アリス「人を殺しそうな目だと、昔は言われたわね。だから、なんとなく」

それでも友人が慈を除いてもいたことはあるというのだから、奇跡的だと思う
もっとも、表面上の付き合いでしかなかったけれど……それは今の大学も、同じだ

由紀「最近はいわれなかったの?」

アリス「異性には言われるわ。同性にはあまり」

由紀「アリスさんは……」

アリス「でも、それは間違ってないわ。どんな理由があれ、何であれ。”彼ら”は人間のそれと変わりがない」

けれど私は躊躇無く殴り殺すことができる
その力こそ不足していて、あまり上手くいかないことばかりではあるけれど
出来るか否かといわれれば、答えはできる。一択

胡桃のように切っ掛けがあったわけじゃない
私は初めからそうすることができた。まるで、この世界こそが私のいるべき世界であるかのように。

由紀「私は、言わないよ」

考え込む私に、由紀はそう言った

アリス「?」

由紀「私はアリスさんが、そんな怖い人だなんていわないよ」

アリス「……」

由紀「だから……」

私が泣くとでも? 苦しんでるとでも? 辛いとでも?
まったくもって不愉快だ
そんな心の弱い”化け物”だと思われているのね……心外だわ


1.そんな心配要らないわ
2.そう。好きにして良いわ
3.君がそう思わなくても、私は君を非常食と見ているかもしれないわ


↓1


アリス「そう……好きにして良いわ」

由紀がそう思っているのならそれでもいい
それで丈槍由紀という人間が満足できるのなら
由紀にとっての私の人間像が、私にとって害悪とならない限りは、気にする必要も無いと思う

それに、由紀の言葉は慈の言葉と大差ない
まったくの同一人物ということでもないけれど
反応が同じになるのなら、ここからさらに面倒なことになっていくのは間違いない
そうなるくらいなら、触れないほうがいい

アリス「はぁ」

ため息をつく
由紀はびくりと驚きながらも、私の傍に寄り添うようにして
立っている私の膝辺りに頭をくっつける

由紀「アリスさんは、優しいよ」

アリス「そう思うならそうなんでしょうね、君の中では」

由紀「うんっ」

少しだけ、元気になっただろうか
由紀の中での私が変なことになっているかもしれないけれど、
共同で生活しているうちの一人
不本意ではあるけれど、空想のアリスという人間が出来上がる程度で
足手纏いが半分でも消えてくれるのであれば、そのほうがいい

大人が嫌いだ。面倒くさいから。無意味に群れようとするから
自分達は動物から一線を敷いていると言いながら、結局集団行動をし、
働き蟻や蜂のように毎日を”生きていた”から

子供が嫌いだ。面倒くさいから。無意味に関わろうとしてくるから
なりきれて居ない大人を演じようとするから
なにより、面倒だから

アリス「……仕方が無い」

ここに来てしまったのは私なのだから
由紀に触れてしまったのは、私なのだから

無言で間隔空く前に中断しときます
出来るかぎり明日もやる


毎度安価さんくす

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY8 夕方の部】
【アリス:体力:61/61:精神:168/168 感染15% 状態:絶好調】
【食料:150(園芸)・600(備蓄)】

    【雨が降り続いています】

――――――――――――――――――――――――――――――――


慈「アリスさんは優しいわね」

アリス「……勝手なこと言わないで」

すぐ横で寝息を立てる由紀に目を向けて慈は呟くと
笑みを浮かべながら私へと目を向けてきて、同意を求めるように口元を動かす
だからと言って、私が同意するわけがない

冷たく突き放すように言うと、慈はそうかしら? と茶化すように笑いながら目を逸らす
これは別に優しいからしているのではなう、いわば義務感にも似たようなもの
誰しもが勝手に作り出し、不要なときは邪険に扱いながら
使いたいときには躊躇無く、それも邪険に扱っていた記憶など消え去ったかのようにそれはもう行使しようとする

”年上と年下”

もっと理不尽なたとえをするのなら
私は使ったことはないとはいえ、女だから言うべきではないのかもしれないが

”男なんだから”

というものだろうか。
私としては性別がなんであろうが、自分が出来るのならばすべきことだろうとは思う
もちろん、向こうがそれを一つの理由としてやろうとしているのならば構わないけれど
それを押し付けるというのは、まったく持って不愉快で、不可解で、理解しがたい
ならば、女は”女なんだから”と言われて良い気分になれるのか
とにもかくにも、私は別に由紀に触れることに関して優しさなどと言う甘えを持っているつもりは微塵も無い

アリス「君がしていることと、私がしていることに違いはないわ。一周り近く歳が離れているから。そうせざるを得ないというだけ」

慈「私の記憶にあるアリスさんは、だから何? って、離れていくような人だった覚えがあるけれど」

アリス「今は違う。何もかも……ね。助けてしまったから。ここに居ると決めてしまったからには最後まで責任は持つ」

慈「心強いわ」

アリス「私は電信柱ではないから、頼るだけではそのまま倒れるわよ。生きたいのなら、自分で歩くことね」


慈「手厳しい」

アリス「君の記憶の中の私は、いつだってそういう人間だったはずよ」

慈に呟きにはっきりと言い捨てて、息をつく
淀んだ空気を吸い込むことにはもう慣れた
けれど、他の子供や、慈がそうとは限らない

だからこその、息抜き
しかしそれを阻害するのが今なお廊下に蠢く”彼ら”の声
そして、止まない雨

前者を何とかするのはまずできることじゃない
私か胡桃、どちらかが死ぬ覚悟で何かを実行したとしても
向こう側の棟を自爆で崩壊させるくらいしか方法が無さそうに思う
それでも結局、校舎が倒壊して壊滅するのだからどうしようもない

かといって、降り続く雨なんかは運が味方してくれない限り
どうしようもないことだから

アリス「はぁ……」

やっていられない


1.悠里
2.由紀
3.慈
4.胡桃
5.こっそり抜け出す
6.休んでおく

↓1

【慈】


慈「その癖は変わらないのね、アリスさん」

アリス「……つかせるものが絶えないからよ。お酒やタバコのように自分の意志でやめられるそれとは違うのよ」

けれど、お酒やタバコに関しては嗜好で楽しむのとは別に
ストレスからの逃避も含まれているかもしれないし
それはそれで、私のため息とまったく違うものとは言い切れないかもしれない

慈はまだ明るさを失い切っては居ないように見えるけれど
その実、限界が近いのだろうとは思う
笑みこそ見せては来るけれど、確かな疲れがそこに現れてしまっているから

とはいえ、由紀たちはまだ年下だから何とかできる可能性もあるけれど
慈に関しては、私にできることがあるのだろうか
いや、そもそも慈は私と同年代
そのような義務も責任も無いはず

アリス「……」

それが理解できているのに、なぜどうにかできるのかと考える必要があるのだろう
私は優しくない。と、思う
けれど、今あるこの生活を改善しようという意思はある
生き難いよりは生き易い空間にしたいのだ
少なくとも、この安全圏内では。

慈「ごめんね、負担をかけちゃって」

アリス「仕方が無いわ。世界が変わったのだから」

慈「それでも、ね」

先細りしていく慈の声
表情こそ笑みを形作ってはいるけれどその内面はボロボロなのが良く解る
晴れ間も見えないようなこの世界で、自由に出歩けないこんな世界で
穏やかに過ごせるのが寧ろ珍しいのだけど。



1.別室で話す
2.悠里について
3.由紀について
4.胡桃について
5.慈について
6.職員更衣室

↓1

【別室】


悠里「どこかいかれるんですか?」

慈「ちょっと隣の教室に行くだけよ」

アリス「私が居るから、心配するようなことはないわ」

一人で移動だったり、慈と由紀の組み合わせだったりしたら問題はあるし
誰かがやはり追加で行くべきだとは思うけれど、私が居る
もちろん、それでも最善の対策とはいえないけれど
別に安全圏内から出る予定はないし、すぐ隣の教室に移動する程度だ

悠里「私も一緒では、ダメ……ですか?」

アリス「……」

話の内容にもよるけれど、絶対に悠里が居てはいけないなんてことはない
寧ろ、何か相談事をするのなら学生代表として悠里が居てくれた方が話はしやすくなるといっても良い
けれど、私が移動する理由の一つとして、慈の心のケアも目的としてはある

年下であり、生徒
そんな悠里たちの傍では”年上”であり”強者”でなければいけないと思うだろう慈は
まったく心を休めることはできない
それでは、別室に移動する意味が無い

とはいえ、悠里の心も限界なのよね……
だからこそ、疑心暗鬼に近い様子で私達が部屋を離れる理由を気にする
悠里の同席、断れば少し面倒なことになるかしら……



ちらりと慈を見ると、慈は困った様子で私を見る
それもそうだろう、別室に誘導したのは私なのだから
別室に行かなければいけない理由を把握しているのは私だけ

心を慰めようというのも、慈に頼まれたからではなく、私個人の……
だから、そう。別に、それが出来なくても良いはずだ
私の義務ではないし、責任でもない
ただ、私が環境を良くしたいという”わがまま”なのだから

――わがまま?

アリス「……は?」

慈「え?」

アリス「いや、なんでもないわ」

思わず声に出た驚嘆を崖下に突き飛ばして息をつく
何を驚くことがあるのだろうか
自分の生活空間をより快適なものにしたいというだけなのに
驚くことではないし、押し黙ることでも隠すことでもない

驚くということはそれ以外に何か意味があるというこの奈の葉重々承知ではあるけれど
このときばかりは知らん振りを決め込んで首を振る
棚上げとは正しくこういうことを言うのだろう

さて、問題は悠里を連れて行くかどうか
下手な答えを返すと面倒なことになりかねない
上手くごまかせれば良いのだけど。

――もちろん、別に誤魔化さなければいけないわけでもないけれど



1.悪いけれど、大人の話だから
2.そうね……良いわ
3.見られたくないことをするのよ
4.いっそ慈にキスでもして、”こういうことだから”と誤魔化す
5.それ以外の自由な安価


↓1

【1:下記範囲以外なら回避】

判定↓1:1.3.5.8.0 ぞろ目奇数

【大人の話:回避】


アリス「悪いけれど、大人の話だから」

少し問題がある気もしたけれど、特に理由は言わなくても良いだろう。と
凡庸性の高い言葉をぶつけると、悠里は少し感情を揺らして私と慈を交互に見る

悠里「そうですか……」

納得をしてくれたのかは解らない
いや、きっと納得したわけではないのだろうけれど、
悠里はそれ以上の疑いの目を向けることなく呟いた
その声には少し漢詩サガ紛れている気がしたが、こんな世界だ
年長者のみで今後の方針を検討するのもおかしくは無いと考えてくれたのかもしれない

――そんなのはただのばかげた希望的観測でしかない

しかしそうであれば良いとほんの少しだけ思う
私の選択が必ずしも正しいとは限らないけれど、△くらいは評価を付けてもらいたい
所謂コミュニティ傷害である私の精一杯の言い訳なのだから。

もっとも、ここらで自分の経験不足差に悪態をつくことも
ましてや、過去の世界においてもう少し明るく振舞っておけばよかったなどとも思わないけれど。

悠里「そういうのも必要……ですね」

慈「ええ……ごめんなさい。悠里ちゃん」

悠里「いえ。ですが、何か方針を決める際には、私達にも聞かせてください」

アリス「解っているわ」

思った以上に、大人
いや、そうなってしまっているだけかもしれない
そんな様子の有利をおいて、二人で部屋を出てすぐ隣の教室へと向かう
背中にぶつかる”彼ら”の声ゆえか、慈との距離は以前よりも少し近い気がした


慈「……」

教室に入った途端、深く息をついた慈は、自分の胸元を撫で下ろすと
首を横に振って、安心したように笑みを浮かべる
時間的に暗いのは当然のこと、それを雨がより暗くしているのだが、
ゾンビが光に集まってきてしまう可能性も考慮して電気がつけられない教室と廊下は、
”彼ら”の声も相極まってより不気味さが増してしまう

アリス「大丈夫?」

慈「ええ……」

社交辞令のごとく聞いてみた言葉は、
不安一杯の笑顔になりきれてない笑顔で返される
そんな表情で返されたら、心配する以外の道が無さそうなのだけれど

それなら良いわ。と返したくなってしまうのが私だ
向こうが平気だというのなら、それで良い
それが私と言う人間だからだ
いや、この状況でも平然としているのだから、化け物と言うのが正しいかもしれない

慈「それで……アリスさん。大人の話って?」

アリス「真に受けたのね」

あの場をやり過ごすためのただの言葉だったのだけど。
ある意味子供っぽい慈は本気にしてしまったのだろうか
さて……


1.大丈夫? 精神的に
2.由紀について
3.悠里について
4.そのほか、自由な言葉か行動


↓1

今日はこれが限界かな
また後で余裕があればやるけど多分また明日になる

毎度安価さんくす

【悠里について】


アリス「さっき、君も感じたかもしれないけど悠里についてよ」

慈「悠里ちゃん……?」

アリス「思わなかったの? 様子がおかしいって」

とぼけたつもりではなかったのだろうけど、まだ上手く捉え切れていないというようなのんびりとした表情に、
思わず強い口調で追撃を加えて、慈を見る
私のその反応に驚いたのか、慈は少し怯えた表情をしていて
けれど、すぐにそれは悲しげなものへと変わる

慈「……思ったわ」

アリス「そうよね」

気づかなかったらどうしようかと。と余計な一言を加えそうな口を閉ざして、一息
こんな状況下に陥って、なお冷静で居られる自分自身がもはや恐ろしくなってしまうけれど
逆に、追いついて来れない”足手纏い”に対しての私は厳しいものになってしまっているのかもしれない

自由を押し殺して合流した
救ってしまったからと理由を付けてはいるけれど、私の本質は不満を蓄積させているのだろうか
だとすれば、私もまだ人間のような一面もあるということだろうけれど。
それは別に、喜べることではない

アリス「悠里一人を挙げるつもりは無いわ。でも、特に追い込まれてるように見えるのは。ね」

由紀も追い込まれているけれど、あれはまだ酷すぎるほどではないように思える
もちろん、私の独断だから正しいとは限らないけれど

アリス「なにかしら、気を紛らわせるものが必要になってくるでしょうね」

慈「紛らわせるもの……」


スコップの子はまだ強くいてくれているけれど、いずれ崩れてしまう可能性はあるし
全員を何とかできる何かがあると良いと私は思う
とはいえ、そう簡単に紛らわせられるのかといえば、そうでもないのよね

まず、環境が悪すぎる
空気の入れ替えはもちろん、一日中”彼ら”の声が絶えない
なにより、自分達が不衛生すぎて(いずれ不感症になるかもしれないけれど)心穏やかになれるものではない

アリス「ねぇ、職員更衣室には今もシャワー室があるのよね?」

慈「ええ、あるけど……」

アリス「この階の奥……よね」

慈が言いよどんだ言葉を引きついで呟く
まるでそこが重要拠点であるかのように”彼ら”が蠢く部分にそれはある
確かにこれがゲームなのだとしたら、第一ステージのラストダンジョン的な部分とでも言うべきかもしれない

ただ、戦力は整っていない、アイテムも心もとない
どこで何をすれば良いのかと攻略サイトを頼りたくなるような状況
人生はハードモードだのなんだの良く聞くけれど
これがハード程度なら、ベリーハード等はどうなるのかと聞きたい

せめて、レベルアップステージでも欲しい
あるいは、武器商人でも欲しい

アリス「ゲームなら、初期装備銃でしょうに」

慈「アリスさん?」

アリス「……何でもないわ」

さて、気を紛らわせるために必要なのは、色々あるけれど……まずは3階の解放?



1.3階の解放を優先すべきだわ
2.慈は何か意見ある?
3.少しは日常感味わえれば……落ち着くかしら
4.自由

↓1

【少しは日常感を】


アリス「少しは日常感を味わうことができれば、落ち着くかしら」

慈「日常感……でも、アリスさん。それは焼け石に水になったりしない?」

アリス「というと?」

慈「未だ声は聞こえるし、不穏な空気は薄れない。このままやっても、ハリボテにしかならないと思うの」

日常感の演出をしたとしても
現状では吹けば飛ぶような背景でしかないということだろうか
確かに、学校のチャイム、生徒の喧騒
その代わりのように常に聞こえる”彼ら”の声は厄介だ

慈も意外と考えてはいたということね……
多少追い詰められているとは思っていたけど
その分、考えることは出来ていたのなら、嬉しい誤算だわ

とはいっても、何かが解決するわけではないから辛い

アリス「慈はどうするつもりだったの?」

慈「授業……とか。学校らしいことをしたほうが良いかなと思って」

アリス「らしいといえばそうだけど」

それはやらないほうが良いと思った
悠里のように真面目な子(今はともかく)ならそれも良いのかもしれないけれど
授業が好きではなかった、勉強が嫌いだったというような子に関しては、
はっきり言って悪影響にしかなりえないように思える

そう思って首を振ると
慈は「やっぱり?」と、困ったように笑みを浮かべて息づく

慈「今のみんなはそういうの無理だろうって、やめておいてよかったわ」

アリス「賢明な判断ね」


アリス「……」

しかし、否定してばかりいるわけにも行かない
私が今やっていること、悠里に言ったことそれも全部付け焼刃のようなものでしかない
悠里に関しては、ここから打開策を見つけて進まない限り
悠里に無意味な期待、希望を持たせただけに留まってしまう

今までの私ならどうでも良いと切り捨てる案件ではあるし
今でもその考えは半分を占めているけれど
何か手を打つと、手を出すと決めてしまったのもまた、私なのだから

何とかするべきだろう
あるいは、何とかすることのできる策を見出すべきだ

……言うは易しとはまさにこのことね

考え付くことはあっても、それをさらに考えるとやはりダメだと切り捨ててしまう
自問自答の罠にはまった姿はまさにコミュニティ障害らしいと嘲笑さえしたくなる

ああ言うとどうなるだろう
こうするとどうなるだろう
自分の言動による影響を深く考えてしまうのは悪くないけれど
そこで悪い方になるのではないか。と考えてしまうのがネガティブ思考であり、
コミュニティ障害に陥る原因だと私は個人的に思う
なにせ、私自身がそれに片足踏み入れているのだから。

アリス「さて……」

ではコミュニティ障害のアリスさんには必死に考えてもらうこととしましょうか
悪い方を考え抜いて……
それに、慈もいるのだから、私一人で穴の中を転がり続けるわけでもないはずだから。

――頼りになるかは、別として



1.なら、懸念事項の声の排除、つまりは3階の解放優先かしら
2.学校なら、部活という手もあるわ
3.いっそ非日常に突き抜けてみる?
4.自由


↓1


【部活】


アリス「そうね……」

慈が言うように、授業をするというのも学校生活
つまりは日常らしい部分ともいえる
それに真面目に取り組むこと、それに隠れて寝たり、遊んだり
それもやはり日常のものだと私は思う
けれど……

いや、もしかしたら私が今考えているこの方法も、
その授業と同じように”今することではない”と批判を受けるかもしれない
寧ろ、その可能性が高いと言っても良い

この緊急時に何を言っているんですか。と

アリス「……」

慈「アリスさん?」

アリス「……大丈夫よ」

ここで口にしなくても良いか。と、切り捨てて何もしないのが今までの私
けれど、今の私は違うから
声をかけて、不安そうな目を向けてくる慈に笑みを向けて、息を呑む
ため息をつくのはまた今度で良い

アリス「学校なら、部活と言う手もあるんじゃないかしら」

慈「部活……?」

アリス「そう。例えば屋上でやってる園芸部。この学校で篭城するのなら……そうね」

少しだけ、考える
自分のセンスが良いとは間違っても言えないけれど、
適当に言うのは何か違うと思うから

学校……学園……篭城……生活
色々と言葉を考えて、つなぎ合わせて。
変に考える必要も無い、シンプルな名前

アリス「例えば、学園生活部」

慈「学園生活部……」

アリス「生活していくうえで、一つ一つ目標を立てていくのよ。それなら由紀も無力に沈まなくて済む。勉強だけに追われずに済む」

慈「アリスさんにしては、珍しい」

そう言った慈は嬉しそうに笑って「悠里さんたちにも相談ね」と続ける
少なくとも間違った選択ではなかったのだろうと、思って、願う
これが悪いことになる原因にだけはならないように。と

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY8 夜の部】
【アリス:体力:61/61:精神:168/168 感染15% 状態:絶好調】
【食料:150(園芸)・600(備蓄)】

    【雨が降り続いています】

――――――――――――――――――――――――――――――――


アリス「もう夜ね……」

早いのか遅いのかさっぱりだけれど
気づけば夜になった今日と言う時間
せめて曇りであれば、解放も少しは進んだのだろうけど……

アリス「たらればで話しても仕方が無い」

そうならなかったのが現実で、過去で、今
なら、その後のことを考えるべきだ

由紀は横になっているし、悠里も隅で固まっているだけで
胡桃は”彼ら”の警戒をしているのか、ドアの近くでスコップを片手に待機していて
慈はそのみんなを不安そうに見渡す

雨は相変わらず、そんな私達をあざ笑うかのように降り続く

みんなは早めに寝させたほうが良いのかしら
夜よりも朝の方が精神的には優しいだろうし……と言っても
明日も雨だったら悲惨だ


1.悠里
2.由紀
3.胡桃
4.慈
5.全員
6.少し廊下へ
7.休む


↓1

そしたらここまでかなー
時々空いて不定期になるけど極力やってくけど大体この時間くらいまで

安価さんくす

【休む】


アリス「……ふぅ」

慣れてしまってはいるけれど、きっと汚れてしまっている空気を肺に溜め込んで吐き出す
雨天時特有のどんよりとした空気感と身体の重みを感じながら、ゆっくりと目を閉じる
できることも、何も今はないだろうから、休もう

少し離れた場所にいた由紀がこっそりと近付いて着ている気配がしたけれど
突き放すのもと、何も言わず何もしないでいると
その華奢な身体が触れて来て……しかし
それ以上何かするわけでもなく、由紀は小さな寝息を立て始めた

私に依存したということは無いだろうけれど
それでも、どちらかといえば頼りになるという認識なのだろう
あるいは、安心できるのかもしれない

アリス「……」

私は優しくないし、甘くも無い
状況に応じて見捨てることも厭わないのに
高校生とはいっても、まだ子供と言うことだろうか
日常を取り戻す……というよりも
失わないために、私は慈に部活はどうかと言う提案をした

それはまだみんなに話せていないけれど、由紀は受け入れられるだろうか
限界の近い悠里は平気だろうか
そう考える自分が、教師ではないしても
すっかり染まっているように思えて、考えを払うように息づく
私は私だと、変わらないのだと、そう思いたくて。信じたくて

アリス「……弱くなる。から」

【   】

判定↓1

【判定:5.7.9 ぞろ目偶数】

【  判定:失敗】

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY8:集計】

【アリス:体力:61/61:精神:168/168 感染15% 状態:絶好調】 →変化なし

関係性変動

【由紀 大人(姉のような人)→大人(姉のような人)】
【胡桃 恩人(尊敬)→恩人(尊敬)】
【悠里 知合(優しい人)→知合(優しい人)】
【 慈  友人(信頼)→友人(信頼)】

巡ヶ丘学院高校解放率:変化なし)
http://i.imgur.com/FSDyFPo.png
【疑問:ゾンビの習性1/3:音に反応】
【疑問:命の使い方】
【疑問:”彼ら”の範囲】
【約束:男子生徒の介錯】

【雨の判定:2.8.5.9 止む】

↓1

【巡ヶ丘学園高校3階 物理準備室(仮拠点) DAY9 朝の部】
【アリス:体力:61/61:精神:168/168 感染15% 状態:絶好調】
【食料:150(園芸)・600(備蓄)】

    【雨が降り続いています】

――――――――――――――――――――――――――――――――


アリス「……まったく」

まだみんなが眠ったままの朝、もはや親しみさえわきそうな雨音の煩わしさに目を覚まして
すぐ隣でくっついて眠る由紀の暢気な寝顔に悪態をつく
携帯を見てみれば、正確な日付がわかるのだろうけど
まだ職員室にいけていないから、充電できるかもわからない現状では
つまらないことで電源は入れられない
あとで代わりに電源を入れている慈の携帯を見せてもらおうかと目を向けたところで、異変に気がつく

アリス「……なんで」

慈がいる。由紀がいる。胡桃がいる
なのに――悠里がいなかった

外は大雨だから、屋上を見に行くのは危険だというのは何度も言い聞かせた
もちろん、それでも心配になって見に行った可能性はあるけれど……
手元のボールを強く握り締めて、目を瞑る

どうする。どうする

屋上に行っているならまだ良い
一人でバリケードを超えていたらどうする?
いや、不安定になっているとはいえ流石に一人でそんなことをするなんていうのは……

アリス「いや……!」

いや……そんなことをする理由が悠里にはある
――職員更衣室になら、シャワールームがあると思う
私は彼女にそれを言ってしまったから

アリス「悠里の目的は……職員更衣室!」

きっとそうだ
耐え切れないと彼女は言った
だから、きっと……

アリス「どうする……まだ、雨が降ってるのに」


1.慈を起こす
2.胡桃を起こす
3.全員を起こす
4.急ぐべきだ。一人で行く


↓1

あと少しと思ったけど無理そうだから終わっときます
悠里@もう耐えられない

毎度安価さんくす

【胡桃】


アリス「胡桃、胡桃!」

耳元で、小声で、少し開け強く名前を呼びながら
胡桃の体を揺すると、
無理矢理に覚醒へと引きずり出されたからか、不快な声を漏らしながら、胡桃が私へと目を向けた

胡桃「どうかしたのか?」

アリス「悠里がいなくなったわ」

胡桃「りーさん……りーさんが!?」

まだ寝ぼけた感じだった胡桃は目を見開いて、声を張り上げる
最初の言葉遣いも(私は別に気にしないけれど)普段とは違っていたし
ようやく話が出来るといったところだろうか

けれど、あまり騒がれては困るから
口元に人差し指をあてて、静かに。と囁く
緊急時でみんなを起こすべきだとは思うけれど
雨が降っている現状では、ただ餌が増えるだけでしかない

アリス「いついなくなったか、わかる?」

胡桃「いや、私が寝る頃にはいたから……」

アリス「……そう」

精神的に追い詰められているとしても
絶対に引き止められると判っているから
そのあたりにはしっかりと警戒していたはず

とはいえ……

アリス「時間が経っていたら不味いわね」


ついさっきなら、まだ希望はあるけれど
出て行ってから時間が経っている場合、
噛まれていたりしたらもはや救いはありえない

アリス「……」

胡桃「アリスさん、今すぐに行こう」

アリス「……」

今すぐ行って救いがあるのだろうか
いや、胡桃を連れて行っても平気なのだろうか
普段なら考えもしない”他人”の心情を考える

そんな無駄なことを考えてしまうから、時間がかかる
手詰まり感を覚える
胡桃が悠里の状態に対しどんな影響を受けるのだとしても
そんなことは気にせずに突き進んでしまえばいいのに

アリス「……悠里が”彼ら”に成り果てても。君は平気?」

胡桃「!」

驚いたように目を見開いた胡桃は、
歯を食い縛って苦悶の表情を浮かべると
ギリギリと歯軋りしながら、俯く

平気でいられる自信が、無いのだろう




1.胡桃を連れて行く
2.スコップを借りて、一人で行く


↓1

【スコップを借りて】


アリス「胡桃はここで待ってなさい」

胡桃「何言って……」

アリス「万が一のこともあるから」

悠里がもう手遅れである可能性
現状では、残念ながら一番可能性の高い結末を考えて
私は胡桃のスコップを奪うように取って、胡桃を見る

胡桃だって、その可能性が判らないわけではない
いや、私と同じようにその可能性が高いことくらい頭でわかっている
けれど、認めたくないんだと思う

悠里が”彼ら”と同じになってしまうなんてことは信じたくないんだと思う
大丈夫だからと呟いて、私が手に取ったスコップを掴む
けれど、その表情のどこにも、”大丈夫”といえるものは無かった

アリス「いいから」

胡桃「っ……」

アリス「何かがあったとしたら、それは私の責任だから」

更衣室の件を話してしまった責任
注意しきれなかった責任
負う必要は無いとい痛げな自分を制して
私は胡桃の頭を優しく撫でる

私は大人で胡桃は子供
悠里は子供で他人だけれど、一応、知り合ってしまった子なのだから
仕方が無い。と、つぶやいて

アリス「行ってくるわ」

悲しくて、辛くて、苦しそうな胡桃の小さな呟きが聞こえた気がしたけれど
私は振り返らずに、何もかもを教室に置いて行く

アリス足手纏いになるだけだから」

【巡ヶ丘学園高校3階 未解放区画 DAY9 朝の部】
【アリス:体力:61/61:精神:168/168 感染15% 状態:絶好調】
【食料:150(園芸)・600(備蓄)】
http://i.imgur.com/FSDyFPo.png
    【雨が降り続いています】

――――――――――――――――――――――――――――――――


アリス「……ああ」

廊下に出ただけで、気色悪くなりそうな不快な空気感を感じて
耳障りな雨音にも負けない”彼ら”のうめき声に眉を潜める
降り続く雨のせいか、ゆっくりと昇ってくる”彼ら”は日に日に増えてきているのかもしれない
だとしたら、もう悠里は手遅れだろうか
そう考えると、スコップの持ち手を握る手に力が篭ってしまう

他人。だったのに

本当にそう思う。と、自分の心の呟きに同調して、息をつく
悠里が”彼ら”の仲間入りしていようと、私は殺す覚悟はもうできている
きっと、胡桃は躊躇うだろうけれど、私は冷酷だから躊躇わずに殺せてしまうと思う

でも、だからと言って
そう、だからと言って、私と言う人間が知り合いを殺したいのかどうかといえば話は別だ
殺さなくて良いのなら、私は殺さずにいたい
そこには別に、特別な感情があるわけではないけれど
殺人鬼ではないのだから、当然だ
化け物ではあるけれど、一応人間の心を持ち合わせているから

アリス「それじゃ、まるで私がフランケンシュタインみたいじゃない……」

自分の考えに苦笑して前を見る
申し訳程度のバリケードを乗り越えて”彼ら”の元に向かう



↓1

【判定:1.3.5.7 一箇所集中 2.4 分散 6.8.9 ”悠里” 0 怪我した悠里 】

時間だからおしまい
出てくるのは悠里ではなく”悠里”

毎度安価さんくす

【判定:”悠里”】


アリス「あぁ……」

世界は総じて理不尽なものだと私は思う
悩んで、考えて、こうしようと思ったときにはもう手遅れになっていたり
だからと言って直感に任せて行動すると結局後悔したり
そういった軽いものから、
善行を積んでいる人が死んで、悪行を行う人が長生きだったり
今までほったらかしにしてきたものに対して、正しく接しようとした傍から
奪われていってしまったり

アリス「……」

誰が言ったのかは覚えていないけれど
善人だろうと悪人だろうと、生物は運命の前では有象無象の中の一つでしかないという言葉
私はあながち間違いではないのだと思う

学校で出てくる給食を残しても死にはしないけれど
その残飯でさえ手に出来なかった誰かは死んでしまう
生きることの大変さを知っている者が淘汰され、苦を知らない未熟者が生き残る

アリス「逃避している場合では、無いけど」

いつぞやの自由研究、神と人、生と死の研究結果にまでたどり着く思考を振り払って、前を見る
この一週間程度、何度も見てきた……一緒に生活していた彼女は覚束無い足取りで彷徨う
まだ私に気づいていない彼女の傍では、”仲間”がうろつく

アリス「良かったわ、胡桃を連れてこなくて」

きっとショックを受けただろう
耐え切れずに叫び声を上げて”彼女達”を呼び寄せていただろう

アリス「良かったわ。私は貴女のことなんてどうでも良くて」

そうでなかったらスコップを振るうことはできないから
そうでなかったらきっと悲しんでいたと思うから
そうでなかったらもしかしたら戸、無意味な希望を抱くから

アリス「良かったわ。私は冷酷な人間で」

この事実を下手に隠したり悩んだりせずに、慈達に告げてしまえるから


1.スコップで首を叩き折って殺す
2.スコップを首に突き刺して殺す
3.窓から突き落として殺す

↓2


アリス「……」

足音をかき消してくれる雨の音に感謝しながらはいている靴を脱ぎ、ゆっくりと踵を上げて前傾姿勢に移行する
忍者ならこんな余計な動作も要らないのかもしれないけれど
私は忍者ではなくただの大学生だから
踏み込むための足の力を何度か確認して、一息

アリス「ッ!」

”彼女達”が道を開け、目標へのルートが開けた瞬間を見はからって――一気に蹴り出す
強い雨の音に紛れる柔らかい足音、靴下を湿らせる入りこんだ雨水の不快感に、肺を冒す”彼女達”の異臭
妨害ともいえない妨害を無視して突き進み、肉薄した”彼ら”のみが私の存在に気づいて目を向け、手を伸ばす
だが、遅い

アリス「――大丈夫」

彷徨う彼女の背中は引き裂かれたのか制服は破れさって、隙間から見える肉は赤く爛れて痛々しい
その苦しみに呻くしかない姿に声をかけてスコップの柄を右手で掴み、持ち手の部分を左手で掴む
後ろから”彼ら”の声が迫ってくるけれど、その一切を無視して彼女に差し迫って――

悠里「ぁ゛……」

足音が聞こえたのか、彼女は私へと振り向く
まだ綺麗な顔だった
苦しみに喘ぎ歪んだ表情ではあるけれど、まだ新鮮だった
若狭悠里そのものだった

生易しい子だったら、彼女と親しい人だったら
希望を抱き、幻覚を見てしまいそうな姿だった

アリス「悪いわね」

けれど、私は容赦なく喉にスコップを突き刺して押し倒し――土を掘り起こすように全体重をかけて押し込む
グジュリと肉が潰れて、血溜まりに濁った呻き声がゴボゴボと漏れ出して
ゴツリとぶつかった頚椎の骨は、運よくと言って良いのかは解らないけれど、その隙間を貫いて躱して
押し込む力への鈍い抵抗が薄れたのと同時に掬い上げると、ころりとスコップの先端に遺体の一部が乗っかって。

アリス「……私は貴女のこと嫌いだったのよ。本当はね」

近付いてくる”彼ら”の頭を横薙ぎに払い除けて、遅れて近付く一人の胸部を蹴飛ばす
どれもこれも致命傷にはならなかったけれど、退路は確保することができた


アリス「さて」

胡桃たちのばかげた希望を打ち砕くための道具を手に入れることは出来たけれど
身体の部分もしっかりと回収したいといわれたら困る
雨の日だから群がっているというのもあるけれど、そうでなくても群がってくるだろうし
遺体という荷物を抱えるのなんてごめんこうむりたい
かといって、流石の私にも身体まで持っていくほどの余裕は無い

アリス「……蹴散らす?」

出来る限り蹴散らし体を引きずって持っていくか
身体はやはり諦めて逃げ帰るか
目的はすでに達成したわけだし、常識的には後者であるべきなのだけど


1.撤退
2.身体も回収


↓1

【撤退】


アリス「ミイラ取りがミイラ取りになるわけにも行かないわ」

彼女たちに文句は言われるだろうけれど
そのときは死にたければどうぞ、とお送り出してあげればいい
最善を尽くしたかといわれれば尽くしてはいないけれど
命をかける場面だとは思えないもの……仕方が無い

アリス「せめて一部だけでも持って帰――邪魔よ」

うめき声を上げながら接近する彼らの頭部を叩き飛ばして、一息
ガラス片が飛び散ってはいるけれど、その程度なら仕方が無いと割り切って強く床を蹴り飛ばし駆け出す
雨は止まない、うめき声も途絶えない
割れた窓から入り込む雫が頬に当たるのが煩わしくて拭う

アリス「……煩いわね」

文句を言っても仕方が無いとは思うけれど、”彼ら”に悪態をつきながら一直線にバリケードへと向かってよじ登り、
拾った道具を脇に抱えて飛び降り、接触と同時にぐるりと体を回して衝撃を殺してそのまま駆け、安全圏内のすぐ傍の部屋に駆け込む

アリス「少し……」

扉の隙間から様子を伺うと、バリケードに向かってくるいくつかの影はあったけれど
私を追ってきた様子は特になく、ため息
薄汚れて不快感しかない靴下に気づき、忘れ物を思い出しても後の祭りだ
バリケードを超えてすぐだから回収は楽だろうけれど、今はいい

アリス「……やっぱり、臭うわね」

見開かれた瞳を閉じ、血に塗れている悠里の顔を袖で拭い、髪に触れる
不衛生なのもあるけれど、誰かの血が固まったそれは指通りも悪く
触れば触るほど異臭が漂う
掘り砕き、断ち切った首からは未だに血が滲み出てきて私の服を汚す

アリス「改めて感じると……まぁ、我慢できなくなったのもわかるわ」

聞き手のいない、独り言
聞こえなくなることのない自然の合唱を耳に、ぴりっと痛む唇

アリス「この部屋もダメね……雨漏りする。さっさと戻りましょうか」

連れ帰るのではなく、持って帰る
その結果を彼女達はどう思うだろう、どう見るだろう、どう感じるだろう
かんじたことのない私には何も解らないけれど
あまり良くないことになるということだけは確実だと思った

【巡ヶ丘学園高校3階 安全圏 DAY9 昼の部】
【アリス:体力:61/61:精神:168/168 感染15% 状態:絶好調】
【食料:150(園芸)・600(備蓄)】
http://i.imgur.com/FSDyFPo.png
    【雨が降り続いています】

――――――――――――――――――――――――――――――――


胡桃「は……え? な……ど、どういうことだよ……」

胡桃「なぁ、どういうことなんだよ!」

慈「胡桃ちゃ――」

胡桃「りーさんは……りーさんが……こんなッ!」

胡桃「ふざけないでくれよッ!」

近くにあった適当なものを床へとたたきつけた胡桃は
肩で息をしながら私を睨み、頭部のみの悠里を見つめて首を振る
認めたくない、認められない
こんなのは嘘だ、たちの悪い悪戯だ。と

由紀「りー……さん……」

アリス「事実よ。若狭悠里は"彼ら"になって私に殺されたのよ」

慈「アリスさん、そんな言い方――」

胡桃「!」

躱すことは容易だったけれど、あえて避けなかった
私に胸部を打った肘、突き抜けた勢いに倒れこんだ私に馬乗りになった胡桃は、
近くに散らばった小物の中からはさみを手にとって私へと向ける

由紀「胡桃ちゃん、ダメだよ!」

胡桃「うるさい!」

慈「胡桃ちゃん……」

胡桃「殺されたってなんだよ……殺したんだろっ!」

アリス「そうとも言うわ」

由紀「アリスさんもそんな言い方は」

アリス「事実を語っているだけよ。変に歪曲したところで無意味でしょう?」


薄く笑う私はきっと、3人には不気味に映るだろう
本当に”彼ら”になったから殺したのか?と疑問を抱かせただろう
それならそれで構わない
私は悠里を殺した……その事実に偽りは無いのだから
悩まず、考えず、希望も何も無くただ無心に首を刎ねた

――それは、嘘だ

慈「胡桃ちゃん、落ち着いて……お願い」

はさみを持つ胡桃を警戒してか、慈は少し引き気味ではあるけれど
落ち着くように求めて、「”彼ら”が来るから」と強い説得力を持つ言葉を紡ぎ、
降りあがったままの胡桃の手を優しく握る

胡桃「めぐねえ……りーさんが……」

慈「うん……」

胡桃「分かって……けど、殺し……でも……くそっ……」

慈「うん」

ゆっくりと膝を折った慈は胡桃の身体に手を回して抱き寄せて、小さく頷く
胡桃も本気で私を殺そうとしたわけではないのだろう
ただ、怒りをぶつける先が、やるせなさをぶつける先が
今ここには殺した私しか存在していないだけで。

慈「アリスさんも、あまり傷つける言い方はしないで」

アリス「殺したのは事実よ」

慈「それでも」

アリス「……分かったわ」


胡桃は少し一人にして欲しい。と
悠里の頭部を持って安全圏内の別の教室に篭って
由紀は胡桃の暴走のおかげもあって
数少ない生存者の中からもまた死人が出てしまったことによる絶望に浸りきることこそなかったけれど
やはり、そのショックは相当なもので抜け殻のように隅で膝を抱え
悠里がいた場所を見つめては、体を強く抱きしめて

慈「…………」

慈も大切な教え子が死んだせいか、疲れ切った表情で身動ぎ一つしない

アリス「……ダメね」

一つの綻びで崩壊しかけている
そういうこともあると想定できていたはずだし
覚悟だってしていたはずだ
なのに、ここまでボロボロになってしまうというのは先が思いやられてしまう

とはいえ、この状況を私がなんとか出来るのかと言われれば、そんなことはない
むしろ、誰かに何かをするのなんて、私がもっとも不得手とするところだから

アリス「……」

私だってこうなることが想像できていたくせに
いざこうなってからどうしようもないというなんて……馬鹿らしいわね

みっともない
まるで、こんな状況にはしないと現実逃避していたみたいね


1.胡桃
2.由紀
3.慈
4.屋上へ

↓1

そしたらここまで一週間以内には続き

悠里が死んでも続くがっこうぐらし
なおリスポーン地点は悠里を殺すところからという鬼畜仕様(嘘)

【由紀】


アリス「由紀」

由紀「……」

アリス「……」

由紀は少し離れたところから名前を呼んでも反応は無い
別に気にしなくてもいいと言われればそれまでだし
私自身、聞こえないのなら放っておいても良いかとも思うけれど

でも、私が悠里を殺したのが原因で由紀が精神崩壊を起こして
連鎖的に由紀自身が死んだりとか、由紀が何か良くないことをしたとか
責任を追求されても困る

もっと言えば、それが原因で導く側の慈まで崩壊されては困る

アリス「由紀……由紀!」

近寄って体を揺らし、二度の呼びかけ
それでようやく反応をした由紀は使い古した機械のような鈍い動作で私に目を向けると
ゆっくりと口を開いて「アリスさん」と呟く

力が無くか細い声
崩壊こそ免れたとはいえ、重症なのは変わらないのだろう

由紀「りーさん……時々おかしかった」

アリス「……」

由紀「見てたのに……聞いてたのに……」

アリス「迷ったのね」

途切れ途切れの懺悔
問いかけるように言葉をつなげると、由紀は涙を零しながら頷いて体を強く抱きしめる
胡桃は見回りに出ることがあったし、私や慈も少し目を話すことがあった
けれど、由紀は傍にこそいなかったけれど、悠里のことは見ていたし、声を聞くことはできていたんだろう
でも、何も出来なかった
そうすることが正しいのか、そうできるのか
迷って悩んで躊躇って
その結果……何も出来ないまま終わって

由紀「なんでこうなっちゃったのかな……なんで、なんで、アリスさん……やだ、やだっ、やだよぉっ!」

アリス「……」

由紀の悲痛な叫び声が教室に響いて
驚いた慈の目が私達へと向いて、でも、慈は悲しそうに眉を潜めて俯く
今出来ること、かけられるこ言葉が、慈にも見つからなかったのかもしれない


頭を抱えて振る
現実だと直視しなければいけないと分かっていても
それを認めたくないという姿

嫌だ、嫌だ、こんなの嫌だ
りーさん、りーさん、りーさん……と
由紀は泣きながら、呟きながら、狂う

アリス「……」

こんな精神状態では最終的に、いや、途中経過の段階で死ぬだろう
何の役にも立たない抜け殻になるか
現実逃避した厄介な存在に成り果てて

――なら、どうする

自分の姿を見れば、手こそ洗い流したけれど
着替えの無い私の服は悠里の血で赤黒く汚れていて
とても、宥めるための抱擁できる状態ではないし
由紀に優しく振舞えるような姿でもない

アリス「そもそも、宥めようというのがおかしな話だけど」

邪魔になるなら”処分”してしまえばいいのに
そうできなくなりつつある自分がもどかしくて、唇を噛む


1.放っておく
2.慈に任せる
3.そうしていても、何も変わらないわよ
4.悠里が弱かっただけ。私が残酷だっただけ。殺されたくないなら強くなりなさい
5.君がそんなだからこうなったのよ


↓1


【悠里が弱かった】


アリス「はぁ……」

ため息をついて、自分の中身を整理する
悠里をそそのかしたのは自分であること
悠里が”彼ら”になってしまったこと
悠里を殺したのは自分であること
それらを考えてもまったく動揺しない自分の残酷さ、
冷徹さを改めて実感しながら由紀をまっすぐ見据える

比較するようなことではないのかもしれないけれど
悠里を殺すことに比べれば、
由紀に対して冷たい言葉を投げるくらい、造作もないことだ

アリス「悠里が弱かっただけよ」

由紀「!」

ビクリと震えて、由紀の動きが止まった

アリス「そして、私が残酷だっただけ」

もしかしたら助かる道があったかもしれない
けれど、私はそんな可能性を模索しようとはしなかった
容赦なく首にスコップを突き立てて抉り抜いた

アリス「殺されたくないなら、強くなりなさい」

由紀「りーさんは――」

アリス「弱かった」

由紀「っ」

アリス「君よりも。だから、君がここにいて悠里がいないのよ」

由紀の否定の言葉を叩き潰して
今にも泣き出しそうな顔で見上げてくるその弱弱しい姿を睨みつける
私は優しくない、私は甘くない
共同生活しているのだからと情けをかけてあげているだけ

死んだ遊里に気遣う理由はないし、私の生活を脅かすというのなら
生きている由紀であろうと胡桃であろうと容赦なく捨てる

アリス「でも私は君が同じ目に遭っても、殺すわよ」


アリス「君は生きたい? 殺されたい?」

由紀「わ、たしは……」

アリス「それとも、私を殺したい?」

由紀と悠里の繋がりを私は知らないし興味が無い
だけれど、私に掴みかかってきた胡桃のように
私の行動に対して強い反発があって、それを行動に移すのを批判するつもりは無い

私が世間からずれているのは自覚しているし
私がそのように私の考えがあるように
由紀には由紀の考えがあるのだから

アリス「私は悠里以外の”彼ら”を傷つけたし殺した。胡桃もそう」

アリス「だから、悠里のみを特別扱いになんてしたりはしない」

アリス「悠里を殺したことが間違いだったとも思わない」

アリス「それを訂正も謝罪もする気は無い」

由紀「そんな言い方はッ!」

アリス「……胡桃に対しても、慈に対しても。私はそう言うスタンスでいるわ」

アリス「だから、それが嫌なら強くなることね」

由紀「アリスさん、本当に酷い人だったんですね」

いまさらなことを言う由紀に笑みを浮かべる
これで由紀が私の元をhなれるのだとしても
私を本当に殺そうとするのだとしても
私が私の意志でそうさせるのだから……構わない

――悠里のように、そうなると思わなかった。なんて後悔は好きじゃない

アリス「初めから、そう言っておいたはずよ」

【巡ヶ丘学園高校3階 安全圏 DAY9 夕の部】
【アリス:体力:61/61:精神:168/168 感染15% 状態:絶好調】
【食料:150(園芸)・600(備蓄)】
http://i.imgur.com/FSDyFPo.png
    【雨が降り続いています】

――――――――――――――――――――――――――――――――


気づけば時計の針は夕刻を差しているけれど
相変わらずの空模様は何もかもを覆い隠したまま、
不穏な空気、不快な気分だけを刻一刻と孕んでは産み落としていく

慈「……不器用ね」

アリス「?」

私に声をかけたのか、自分への呟きなのか
中途半端な声で呟いた慈に目を向けると
否定とも肯定とも取れる笑みを浮かべた慈は、首を横に振る

慈も今は……ショックが大きくて
けれど、自分よりも下の人間がいるという蓋をして、それを支えにして
平気なふりをしているのだろう
律儀なことだと思う、損な生き方だと思う

由紀は膝を抱えるのをやめて
物理準備室の掃除用具入れから箒を取ってそばにおいているけれど
そこから先が、まだ未熟だ
先端をへし折って尖らせたりしなければ
棒術を嗜んでいるか、腕力に自信が無い限りただの棒切れでしかない

胡桃は……胡桃はまだ戻って来ていない


1.慈:何か言った?
2.由紀:それの先端を外しなさい
3.胡桃
4.屋上へ


↓1

【3:胡桃】


判定↓1


【判定:1.5.8.9 ゾロ奇数:左記なら不在】

【判定:成功】


アリス「……」

もしかしたら。という可能性もあったけれど
物理準備室から少し離れた締め切られた教室の扉を叩くと
意外にも素直に、胡桃は扉を開けた

まだ血の乾ききっていなかった悠里を抱いていたからか、
制服は私より軽度とはいえ、血だらけで
しかし、どこか不気味な笑みを浮かべた胡桃は「なんだ、アリスさんか」0と
興味なさげに呟いて中に戻っていく
大事そうに机の上に置かれた悠里の顔色はもう、血の気が失せた酷いものだった

胡桃「ああ、アリスさんが来たんだ」

アリス「……」

胡桃「暫く離れてたからじゃないか?」

そういいながら振り返った胡桃はそうだろ? と問う
何が起きているのかは一目瞭然だった
一人きりにしてしまったから……と言うわけではないと思う
誰かが欠けたとき、誰かがこのようになることなんて想像に易い

アリス「正直……由紀が先になると思ってたんだけど」

胡桃「何の話だ?」

アリス「……」

生首を証明として持ってきたのは愚作だったかもしれない
アレがあるから、下手に現実味を損なう
寝ているだけかもしれないだとか、まだそこにいるだとか
いっそ窓から突き落として破壊してしまうべきだった

もちろん、無ければ無いで信じられない。と面倒ごとになるのだろうけど。
こんなだから、他人と関わるのは面倒くさいし嫌だ


1.悠里は死んでるわよ
2.生首を捨てる
3.君が一人になりたいと言って戻ってこないからよ
4.そうね、2人が離れていたからよ


↓1


【君が一人で】


あからさまな溜め息をついてから、胡桃を見据える
面倒くさいのは嫌いだ
特に、自分ではなく他人のことで面倒なのが本当に嫌い
相手を気遣うなんていうことが……私は物凄く不快だ

アリス「君が一人になりたいと言って戻ってこないからよ」

胡桃「あ、ああ……そういうことか」

アリス「……君の考えていることとは違うと思うけど」

納得して頷いた胡桃の表情は明るいままで
私が言いたいことと胡桃の解釈は絶対にずれているという確信があって否定したけれど
胡桃は気にせずに「悪かった」と苦笑する

胡桃「やっぱりーさんの言うとおりだったな」

アリス「だから――」

胡桃「りーさんも一人勝手に行かないでって心配して着てくれたんだよ」

アリス「……」

胡桃「あたしにはこのスコップがあるから平気だって言ったのにさ。まったく、困ったもんだよ」

胡桃は楽しそうに笑う
胡桃は嬉しそうに笑う
胡桃は自慢げに笑う
その視線の先には悠里の生首
けれど、胡桃の瞳に写っているのはきっと、「笑い事じゃないのよ」と少し怒っている悠里なのだろう
ごめん、ごめん。と軽い調子で謝罪を口にする


私にも謝れ


やっぱり生首を窓から投げ捨てたりでもしない限り、
胡桃の中から悠里を殺すことはできそうにない
その場合、殺したのが”彼ら”になった悠里ではなく
普通の何の問題もない悠里になるのだけど

些細な問題では……ない
それは確実に私を殺そうとする流れだ
由紀はもう……きっと私を庇うつもりは無いだろうけれど
慈は私を庇おうとするだろう
そうなれば、内部分裂は確実なものになる
私一人なら別に同でもいいことなのだけど
慈はきっと、それを許せないと思う

胡桃「アリスさん?」

アリス「なに?」

胡桃「何って……りーさんが服が凄いことになってるって」

アリス「……あぁ」

私には聞こえない声が聞こえる胡桃は、生首に向かって「そう言うなって」と
苦笑いを浮かべて、自分の服の裾を引いて、
こっちもだな。と、困ったように呟く
悠里のせいで汚れた服は、現実のものとして残っているらしい

胡桃「洗濯かぁ……一応購買部から持って来てあるけど」

胡桃「でも、ほらこの天気だろ? 乾くまで下着だけにならないといけなくなるのにさ……」

恥ずかしそうに言った胡桃は、私のほうを見て

胡桃「アリスさんだって、それは困るだろ?」

アリス「……」

誰が洗うのか非常に興味深いところではあるけれど
私としては別に、肌を晒すことに抵抗は無い
ここにいるのは同性のみだし、異性がいたとしても別に興味はないから構わない
それよりも今困っているのは君の事なのだけど。


1.別に平気よ
2.洗濯はいらないわ
3.生首を投げ捨てる
4.生首を取る
5.放置する


↓1


【別に平気よ】


アリス「私は別に構わないけれど」

胡桃「えっ!?」

アリス「なに?」

胡桃「え、あ、いや……恥ずかしいとか、ないのか……」

胡桃は私の体をじっと見ながら、恥ずかしそうに顔を染めて呟く
同性同士であっても、確かに恥ずかしがるクラスメイトはいたが、
私のように恥じらいの無い子もいたし、胡桃のクラスメイトにだってそう言う子はいたはずだ

だから、別に私がそちら側であってもそんな反応をする必要は無いと思うのだけど
胡桃としては、私のような体型だったり、あるいは年齢の女が肌を晒すことに抵抗がないというのは
おかしいことなのだろうか

しかし、海に行くような女はみな下着同然の格好をするのが普通だと考えているし
胡桃だってそのはず
であれば、恥じる必要なんて無いと思うのだけど

アリス「……」

悠里の件が無ければ、笑ったり冗談で済ませられるのだけど……

胡桃「な、なら……仕方が無いか。洗濯しよう」

アリス「ええ」

服を脱ぐ間、胡桃はチラチラと私を気にしていて
そんなに見たいなら見てもいいと声をかけたとたんに、その視線はどこかへと行く

本当……他人は面倒だ
壊れていても……面倒だ

そしたらいつも通り今日は終了
一週間以内

次回予告:やったぜサービス回だ


服を脱ぐと、篭っていたにおいが溢れ出ていく
自分のにおいで自分に影響が出ないように、自分自身に対して生物の嗅覚は鈍感である。という話を
スカンクだっただろうか、何かで聞いた覚えがあるけれど
馴染んでいた臭いが急激に変化すると嫌でも気づいてしまうのだと、今初めて知った

雨天による湿度の高さも合わさって、下手すれば嘔吐するんじゃないか。と
思う私の予想は正しかったようで……胡桃は鼻を抓んで首を振る
私の臭いも抱けれど、胡桃自身のものでもあるのだろう

アリス「……下着を脱ぎたくは無いわね」

羞恥心はまったく無いから、それのみであれば脱いで洗濯するのも吝かではないのだけれど
もっともにおいが強いであろう下着……特に下半身に関しては
むず痒ささえ空想してしまうほどだから、触りたくなかった

悠里が弱かったからと私は言ったけれど
もしもこれを常に自覚していたのだとしたら
負けてしまうのも仕方が無いと思うくらいに

アリス「体を拭いてはいるんだけど……酷い臭い」

胡桃「あはは、あたしもだ……いやいや、りーさんも似たようなもんだろっ」

アリス「……」

胡桃「仕方ないだろ、こんな状況なんだから」

胡桃の中では私と悠里と胡桃の3人で洗濯するために服を脱いでいる。という状況なのかもしれない
しかし、現実は私と胡桃と生首一つ
グロテスクなオブジェに向かって胡桃が笑みを浮かべながら話しかけているのは異常としかいえない
慈や由紀がこれを見たらなんと言うだろうか
もしかしたら、2人にも悠里が見えるかもしれない


胡桃「それにしても、アリスさんって凄いな」

アリス「?」

胡桃「いや、身長なんてあたし達と大差ないだろ? それなのにさ……なんていうか」

アリス「あぁ……」

胡桃の向けられてはどこかへ逃げていく視線の先が私の胸だと察して、声を漏らす
特に意識したことはないけれど、確かに周りから言われることはあった
学生、というより女の子なら殆どの子が憧れるのだろうけど
私としては邪魔でしかないと異論を述べたい

もちろん、持っているから邪魔であることを知っているだけで
持っていないものの悔しさ(あるのかはともかく)を私は知らないから
そう言う流れでもない限り、言う気は無いけど。

アリス「特別なことはしてないわよ」

胡桃「そう……なのか? いや、りーさんだって十分あるだろ」

胡桃「めぐねえだって多分、脱いだら普通にあるだろうし……由紀と同レベルか……」

それだけは嫌だと言いたげに胡桃は呟いて、
縋るような目を私へと向けて着たけれど、私は「何も」と首を振る
実際、何かしたわけじゃない
しいて言えば、何者にも縛られることなく自由奔放に生きてきただけ

だから
男子が言っていた胸には夢と希望が詰まっているというのも、あながち間違っていないのではないかとも思う
もちろん、彼らがそう言う意味で使ったのではないと分かってはいるけど。
周囲の抑圧に負けることなく生きてきた分、抱く夢と希望は膨らんで
それが結果的に胸を大きくしたのではないか。と……なんて、適当な考え方だけど。



1.悠里のでも揉めば大きくなるんじゃない?
2.揉んで貰えば大きくなるらしいわよ
3.触ってみる?
4.さっさと服を洗いましょう

↓1


【触ってみる?】


アリス「触ってみる?」

胡桃「は、はぁ!? な、何言ってんだ!」

アリス「私は別に構わないけど」

胡桃「そ、そうだよ。な? りーさん!」

下から支えるように腕を置いて胸を寄せると、胡桃は顔を赤くしながら後退りして
悠里が何か言ったのか同意しながら声を上げて私を見る
何を言ったのか私には分からないけれど
推測するなら「構わなくても気にするべきです」という辺りだろうか

胡桃が異性であるなら、その言葉も必要になるかもしれないけれど
同性なのだから構わないのではないか、と思わないでもない
体育も、水泳も、健康診断、身体測定でも
肌を晒すことはあるのだから

アリス「まぁ、不潔な自分の肌を触らせるのは流石におかしいわね」

胡桃「いや、それでも綺麗だとは思うけど……」

アリス「お世辞は良いわ」

胡桃「ほ、本当だって! 色白だしなんていうか綺麗だって思うから」

アリス「……そう」

その感想は胡桃が壊れているからなのだろうか
それとも、壊れていなくても、元々抱いていた感想なのか
悠里は何も言わない。表情を変えることも無い

アリス「まぁ、君が良いなら良いけれど。触りたいなら言いなさい。貸してあげるわ。私の身体くらいなら」

胡桃「か、借りないよ!」

オブジェから目を背けた私に、胡桃は明るい声で拒絶した

【巡ヶ丘学園高校3階 安全圏 DAY9 夜の部】
【アリス:体力:61/61:精神:168/168 感染15% 状態:絶好調】
【食料:150(園芸)・600(備蓄)】
http://i.imgur.com/FSDyFPo.png
    【雨が降り続いています】

――――――――――――――――――――――――――――――――


慈「胡桃ちゃん……」

胡桃を教室においておくべきとも思ったけれど、
そろそろ戻るか。という胡桃の行動を阻む理由が見つからなくて。
その結果、生首を抱えて楽しげに話す胡桃
怯えたように距離を取る由紀、絶望に浸った慈と……酷い有様になってしまった

由紀「違う……違う……っ」

アリス「……」

頭を抱える由紀はもはや恐慌状態に陥っているのかもしれない
目に見える現実と胡桃の妄想の板ばさみにあって
目を見開いたまま、首を横に振って否定を口にする

強くなれといったは良いけれど、そこから一日も半日も経過していない現状で
恐慌状態におちた由紀を叱るのも流石に可哀想だろう
現実を受け入れていこうとした瞬間に、悠里の生首を持って楽しげに話す胡桃の姿を見たのだから
失禁していないだけ、まだましかもしれない

アリス「……」

このメンバーはもうだめかもしれない
慈を連れてどこか別の場所に逃げるか
それとも……病原体(胡桃)を排除して何とか維持に努めるか……

きっと、慈はそのどれも認めないでしょうね
私一人で出て行くのも……一つの選択肢だ



1.由紀
2.慈
3.胡桃
4.全員:明日、私ここを出るわ

↓1

【由紀】


由紀「ダメ……だよ……でも……っ」

由紀は近付いた私に気づかず、胡桃をその視界に収めながら
苦しそうに呻いて頭を抱える
由紀は胡桃が悠里が生きていると思い込んでいることがダメだと言いたいのだろうが
そうしたところで何も救われないと分かっているから、アレは違う、これはダメ、それは出来ない
八方塞の迷宮で苦しんでいるんだと思う

だから、自分の目に映る胡桃の姿を否定しようとする
それでは何も変わらないと気づいたら
今度は悠里が死んだという現実を否定して
胡桃と同じような状況になってしまうだろう

アリス「由紀」

由紀「りーさんは死んで……でも、胡桃ちゃんは……」

アリス「……」

呼びかけても反応はない
頬でも叩けば現実に戻ってくるだろうけれど……



1.叩く
2.もう少し大きな声をかける
3.大きな音を立てる
4.もう一度呼ぶ
5.待つ


↓1

1

3

うーん…やっぱり来たか
ようやく捕まえた

多分以降投下無しです

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