【安価とコンマの】異世界召喚されたらこんなとこでした【人生左右物語】 (323)

※ゆっくりペース
※苦手と感じたらブラウザバック推奨
―――――――――

灰色のローブを身に纏った人物が、四角い石畳の中央に立つ。

?「これより異世界に干渉し、この地に新たな者を迎え入れる」

続けて言う。

?「善なる者か、悪なる者か、どちらになるのか……」

石畳の外の右側に白いローブの人影、左側に黒いローブの人影がある。
彼らは灰色のローブの者を黙って見つめ、見守っている。
長い長い語りを口にする灰色ローブはこれで最後とばかりに大声をあげる。

?「いまここに! しょう! かん!!」

まばゆい光が放たれることはなく、ボヤぁと人型の霧が集まっていく。
やがてそれは人体となり、この場に現れた。

?「よし、よーし、成功した。よし。……さて、そなたの名は何という?」


安価下1~3くらい(書いたのに遅れた人用の曖昧表現)
必須:主人公の名前&性別
任意:年齢や性格など

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迷いに迷った結果、決めました!
ここからは主人公視点で進んでいこうと思います。
―――――

……いきなり視界が真っ白になったと思ったら変な場所にいた。
しかも灰色の服が名前を教えろとかなんとか……。

「巽 龍斗(たつみ りゅうと)」

?「ほぉほぉ、りゅうくんですね。かなりイケメンじゃないですかぁ」

龍斗「もしかして、女?」

?「顔隠してても声で分かっちゃいました?」

そりゃ分かるって。

龍斗「で、俺はどうしてこんなとこにいんの? あんたなら分かるだろ?」

いかにも怪しいし。

直下コンマ
00~09…力ずくで全て聞き出す
10~49…軽い説明で
50~89…説明しますよそりゃ
90~99…そんな暇はな~い!

?「もちろん説明させてもらいますって~」

龍斗「おう」

?「まず、ご愁傷さまです」

……ん?

?「左右にいる人たち、見えます?」

龍斗「あぁ、ずっとこっち見てる……見えんの? 顔隠してるけど」

目の前にいるこいつもそうだが、奥にいる二人も顔を隠している。

?「見えてます見えてます。こちらの都合上見せてはいけないのです」

龍斗「はぁ」

?「りゅうくんはあの二人の戦争に巻き込まれました。おつです」

龍斗「……はい?」

?「そのことに関しては私から説明することなんてほぼないんですけど、召喚したの私ですし、そのことなら説明しましょう」

安価下1
1、召喚のこと教えて
2、あの二人のこと教えて
3、名前教えてよ

龍斗「あの二人のこと教えてくれよ」

?「そこ気になっちゃったかぁ~」

そりゃ、あの二人に巻き込まれたと聞いてほっとけるはずないだろ。

?「あの二人はそれぞれ一国王的存在です。その戦争に参戦できるんだから喜ぶでしょ?」

龍斗「え、王様なの?」

?「王様的存在なの」

龍斗「どう違うんだ?」

?「王の子供とでも思っておいて」

龍斗「……最初からそう言ってくれ」

?「とにかく、りゅうくんはどっちかの指揮下に入っていただきます」

?「もちろん拒否権はありません。拒否した場合、即刻首を」

龍斗「分かったからその先は言うな」

安価下1
1、で召喚の説明は?
2、で名前はなんだよ

龍斗「で名前はなんだよ」

?「へ?」

龍斗「だから名前。なんて呼んでいいか分からないから」

?「あ、あぁ~、名前、ナマエね~。ぐ、グレイで」

絶対偽名だコイツ。
灰色のやつ着てるからってそれはないだろ。

龍斗「俺は名乗ったぞ」

グレイ「私だって名乗りました~。グレイですぅ~」

……こういう相手とは無駄に口論はしたくないんだよなぁ。

龍斗「分かったよ、そんでグレイさん? 召喚の説明を……」

グレイ「やなこった」

龍斗「はぁ!?」

グレイ「いつまでも私とばっかじゃなくて、あの二人とも交流をど~ぞ~」

グレイ「私が下がったら、視線をどっちかに向けてね。一人が終わったらもう一人がくるから」

そう言ってグレイは後ずさりして下がっていった。
取り残された俺は……、

安価下3まで多数決
1、白い服の人をみた
2、黒い服の人をみた

白い服の人をみた。

すると、俺の視線に気付いたのか、ゆっくりと近づいてくる。

その姿は、……服しか見えてないのでなんとも言えない。
あえて言うなら、幽霊だろうか。
白い布を羽織っただけの手抜き幽霊。

そんなことを考えてても失礼なので、こっちにくる前に質問でも考えておくか。
そうだな、どうして俺が巻き込まれたのか、とか、どういう戦争なのか、とか。

などと考えてるうちに幽霊が俺の目の前にようやく着いた。

?「…………」

まいったな。喋ってくれないと性別が分からん……。

安価下1~3
必須:白ローブの性別
任意:性格

?「あ、あの……いいですか?」

龍斗「え、あぁはい」

?「その、巻き込んでごめんなさい!」

いきなり謝られた。
でもその大声のおかげで女性ってことは分かった。

龍斗「その巻き込みについて色々ききたいことが」

?「え? さっきの方から説明は?」

龍斗「え、いや、何も。戦争の事情は二人に聞けと」

?「そ、そうなの?」

ちらりと後ろを確認する幽霊。
グレイはそれをみると大きく手を振った。

?「まったくもぅ……」


安価下1
1、グレイとどういう関係?
2、戦争の説明を聞かせて

龍斗「戦争の説明を聞かせてもらっても?」

?「ふぇ? えっと、わ、分かりました……!」

幽霊は深呼吸して、俺をみる。

?「戦争といっても、直接戦う相手はあの黒い方ではありません」

龍斗「そうなのか? 二人の戦争に巻き込まれたって」

?「確かに最終的にはそうなりますけど、戦う相手は他にいます」

龍斗「よく分からないんだが……」

?「えっと、えっと……」

明らかに戸惑っている幽霊。
それはまるで自分の成仏方法が分からないように見える。

グレイ「わかりやすく言うと『ポイントバトル』ですよ」

?「あわっ!?」

龍斗「お前、なんのために下がったんだ?」

グレイ「いや~、呼ばれたような気がして」

お前の説明不足で幽霊が成仏できずに困ってんだよ。
気付け。

グレイ「私がお助けできる時間は限られてますし、手短に言いますね」

グレイ「そうですね、あるゲームを想像してみてください」

グレイ「敵を倒すとポイントが貰えるゲームです」

グレイ「1対1の真剣勝負。どちらが多くの敵を倒せるか」

グレイ「もちろん敵の種類、強さによってポイントは変動しますよ」

グレイ「そして多くポイントを獲得した方の勝利!」

グレイ「という感じの戦争ゲームです」

龍斗「だから最初からそう説明してくれよ!」

?「あわわ……」

グレイ「はい、私の出番はしゅーりょーでーす」

そそくさと戻るグレイ。

?「わ、分かってくれた?」

龍斗「一応」


安価下1
1、俺が敵とやらを倒すの?
2、そっちに味方したら良いことある?

龍斗「俺が敵とやらを倒すの?」

気になるのはこれ。
1対1の真剣勝負と説明されたのに戦うのは幽霊じゃなくて俺なのか?

?「えっと、そうなります」

龍斗「一人で?」

?「それは違います!」

やけに力強く否定された。いや、一人じゃないなら嬉しいけど。

?「あなたは助っ人として、みんなと一緒に戦います」

龍斗「なるほど。そのみんなとやらで集めたポイントで競ってるわけね」

某対戦モンスターゲームで例えるなら、この幽霊は『プレイヤー』。俺は『モンスター』ってとこか。

龍斗「なんとなく分かってきた。そのポイント稼ぎのために俺は呼ばれたってわけか」

安価下1
1、タダ働きなの?
2、味方したら良いことある?

龍斗「タダ働きなの?」

?「ふぇ?」

龍斗「さすがにそれはヤダよ」

命に関わることをさせようとしてるんだから何かしらの報酬を望むのはしょうがない。

?「えっと、もちろん、相応のモノは払いますけど……」

龍斗「けど?」

?「ポイントが、その、かかるかな、って」

龍斗「…………」

つまりなんだ?
ポイントがないと報酬ナシなのか?

?「でもでもっ、もちろん優遇しますっ! わたしのポイントあげますから!」

?「これで好きなことしてきていいですからっ!」

ポイント使ったらダメじゃね?
だって、ポイントをゲットして報酬を貰わなければ、そのままポイントが手に入るんだろ?

もしかしてそういった『やりくり』も含めた戦争ゲームなの?

?「ど、どうですか?」

龍斗「どうといわれても……」

?「うぅ……」

龍斗「そうだなぁ。とりあえず内容は分かったよ」

?「そうですか……?」


安価下1
1、もう一人とも話してみる
2、話を聞くと迷いそう。幽霊の味方する。

龍斗「……分かった。色々と話してても面倒だし、あんたの味方するよ」

?「ほ、本当に……?」

龍斗「あぁ」

これでもう一人と話さずに時間短縮だ。
幽霊が静かに元いた位置に戻っていく。
それをみた俺はグレイの方に向かって真っすぐ歩く。

グレイ「ちょいちょいちょいちょい」

俺を押して邪魔してくるグレイ。

グレイ「言ったよね私。『二人と交流しろ』ってさぁ……!?」

龍斗「そんなこと言ってたっけ?」

グレイ「言ったよ!! とにかく、二人目とも話してあげて!! チャンスをあげて!!」

龍斗「えぇ……」

俺が押し戻されたあと、黒服がこっちにやってくる。
まぁ、大体の内容は把握したし、あっちの条件くらい聞いてやるか。

安価下1~3
必須:黒ローブの性別
任意:性格

?「…………」

またこのパターン。はい、性別分かり……ました。

服の上から分かる上半身の大きな二つの膨らみ。
つまりアレですね。
女性ですね。

?「…………」

静かなんだけど、このピリピリした空気はなんだろうか。

龍斗「あのぉ、お話を伺っても?」

つい下手に回ってしまった。

?「……帰ろうとした」

龍斗「え?」

聞こえるギリギリの声量だった。

?「なんで……」

怒っているのかいないのか、その声からは分からないのが恐怖を煽ってくる……。

直後コンマ
偶数→もうあっちに付くと決めたから
奇数→内容把握したのでそちらの出す提案を聞こう

龍斗「戦争とかの内容把握したから」

?「…………」

龍斗「それで、あっちに付いた時の提案が良かったからな」

なにせ味方になるだけでポイントが貰えるのだ。

龍斗「そっちに付いたら何か良いことでもあるの?」

?「……そういうこと」

?「あの白いやつより良いものなら、こちらに付くと?」

……まぁ後攻ならそう考えるよな。

龍斗「さぁな」

?「……望むもの、全てやろう……」

龍斗「は?」

?「ポイントだろうが何だろうが……くれてやる」

え、マジですか?

?「……以上だ」

言うこと言ったら、さっさと戻っていく黒服。
それと同時にやってくるグレイ。

グレイ「さすがに早く終わっちゃいましたね……」

グレイ「でもま、お互いのアピールは終わりましたし、どちらに付くかはりゅうくん次第ですよ」

龍斗「アピールってか買収っていう感じだったな」

グレイ「それほどりゅうくんの力に期待してるんですよ」

龍斗「期待ねぇ。戦争の敵とやらに俺なんかが太刀打ちできんの?」

グレイ「できますできます。そのためにいるんですから」

ほんとだろうな?
白ならポイントが貰える。
黒ならポイントの他、なんでも与えるときた。

ニュアンス的に、おそらくは今までに貯めてたポイントを俺に譲るってことだよな。
なんか申し訳ないな。

安価下3まで多数決
1、白側に付く
2、黒側に付く

龍斗「まぁ、そうだな。約束した手前、幽れ……白い服の仲間になるよ」

グレイ「いまユーレーとか言いませんでした?」

龍斗「だって名前知らないし」

グレイ「……はぁ」

なんで溜息をつく偽名女。

龍斗「なんでもくれるといった黒いやつは、なんかその後がこわい」

グレイ「こわい?」

龍斗「うまい話には裏があるっていうだろ?」

グレイ「へー。でもたぶん裏ないですよ?」

龍斗「え?」

グレイ「言ったでしょ? あの二人は『王様的存在』で、りゅうくんは『助っ人的存在』。裏の要素がないですって」

グレイ「それに、裏が国民にバレたら戦争どころじゃなくなりますって」

龍斗「…………いや、でも」

グレイ「とにかく、白陣営で登録しました。私の仕事はこれでおしまい!」

黒「……ほんとに、どうして……」

白「ありがとうございます!」

グレイの最後の一言が聞こえたのか、左右から声が聞こえる。
幽霊が俺のそばまで駆け寄ってくる。

白「よ、よかったぁ……」

龍斗「えーと」

グレイの言葉を聞いた後、黒服の言葉が俺の中で再生される。

『何だろうが……くれてやる』

完全にむこうが有利だったんじゃないか……?

グレイ「もう取り消しできないから。手続きめんどー」

くそっ! 心を読むなっ!

龍斗「こ、これからよろしく……」

白「は、はい!」

黒「…………」

こうして俺は白陣営の仲間となった。

グレイ「あとはー、りゅうくんのステ確認だねー」

龍斗「ステ確認?」

グレイ「ゲームお馴染みのステだよステ」

龍斗「この世界にもゲームとかあんの?」

グレイ「そりゃ娯楽の一環としてあるさ」


安価下1コンマ
攻撃能力値
剣道経験者ということなのでコンマ+20

安価下2コンマ
防御能力値

安価下3コンマ
魔力能力値
人間さんなのでコンマー40

安価下4コンマ
敏捷能力値

グレイ「さてさてりゅうくんのステはっと」

俺の目の前までグレイが近寄る。
こうしないと確認できないのかよ……っ!!

グレイ「あーうん、攻撃はふつうと」

え? そうなの? まぁ、剣道やってるといってもサボってばっかだし。

グレイ「は、なにこれカッタ!! カタスギィ!!」

グレイ「しかもなんで魔力の適正値こんなにあるの!? バカ? 生まれる世界間違えてない!?」

グレイ「さらに速ぇ!! なんだコイツ!!」

……どうやら俺は召喚されるべくしてされたらしい。
さよなら、俺の日常……。

グレイ「あんた、すごいわ。私と結婚して」

龍斗「お断りだ、この野郎」

誰が偽名女と結婚するか。

攻撃 29
防御 90
魔力 57
敏捷 92

これが俺のステらしい。
尖りすぎじゃね?

いや、上限がいくつかは知らんけどさ。

龍斗「おいグレイ、なんで俺は魔力が攻撃の倍近いんだ?」

白「グレイ?」

グレイ「えーと、いやーほらね?」

白「……あ、あぁ、名前?」

龍斗「やっぱ偽名か」

白「なら、わたしは、シロかホワイト、かな?」

龍斗「便乗すんなよ」

グレイ「ぶっちゃけ、ここまでとは思わなかったね」

龍斗「俺もまさか魔力の適正があったとは思わなかった」

白「どっちがいいのかなぁ。シロ……ホワイト……。うぅん」

一人は別のことに夢中だった。

龍斗「とにかく、自己紹介だな。巽 龍斗だ。よろしく」

白「ふぇ? あ、っと。はい! こちらこそ!」

深々と頭を下げる幽霊。

白「わたしは……シロ? それともホワイト?」

龍斗「そこは俺に聞くんじゃねぇよ!!」

安価下3まで
呼び名はシロ? ホワイト?
いっそのこと幽霊?

あぁ、コンマ高いやつにします。
の入れ忘れをしてしまいました。
安価下

満場一致シロ!
―――――

龍斗「シロでいいよもう」

シロ「投げやりっ!?」

しゅーん。という音が聞こえてくるようだ。

グレイ「あら、いつの間にか、もう一人さんは居なくなりましたね」

龍斗「そう言えば姿みえないな」

グレイ「ま、誰かに振られたショックで帰ったんでしょうけど」

龍斗「紛らわしい言い方だなオイ!」

シロ「シロ『で』いいよ『もう』……」

こいつ、意外と面倒だなっ!

龍斗「シロにしましょう」

シロ「! うんっ!」

そしてシロはその白い布を脱ぎ捨て、俺にその下にある笑顔を見せてくれた。

龍斗「…………」

グレイ「綺麗だからって発情しないでくださいね」

台無しになる一言ありがとうよ!

――――
一段落ついたので終了です。

――次回予告的存在――
シロ陣営になった龍斗。
そしてシロの国へ移動。
またいろんな説明があったりなかったりしちゃったりなかったり。
そんなこんなでまた夕方あたりにでも。

今日は意外と暇だったのでのんびり再開。
次回予告と違う? あれは、次回予告『的存在』だから。
絶対じゃないんだよね(グレイ談)。
――――

龍斗「それで俺はこれからどうすればいい?」

グレイ「もちろんシロさんと同行してもらいますよ」

龍斗「お前は?」

グレイ「私はやることやったので、んー、りゅうくんについていきましょう」

龍斗「くんな」

グレイ「くんかくんか?」

龍斗「嗅ぐな」

てか顔隠した状態で嗅げるのか?
っておい! やめろ! さり気なく近づくな!
地味に怖いんだよ!

シロ「仲が良いねぇ……」

ちげぇ!

やめろ、近づくな、肩に手を置くな!!

シロ「えーと、リュートさん」

龍斗「なんだ!!?」

シロ「ひぇっ!!」

グレイ「こらこらー、脅かしちゃダメだぞー」

龍斗「じゃあまずお前が離れろーー!!」

直後コンマ
01~32→ヤツの布が発火
34~65→ヤツの足元が氷結
67~98→ヤツの頭上に落雷
ゾロ目→シロ大泣き

龍斗「離れろってマジで!!」

その時、俺の中から何かが湧き出るような感じが……。

シロ「うっ……ぐす……」

してきたのだが……。

グレイ「おや? シロのようすが……」

あれ、これって……。

シロ「びええぇぇぇ!!」

シロ「呼びかげただげなのにいぃぃ!!」

グレイ「シロは泣き虫に進化した!!」

龍斗「やかましい!!」

嗅ぎに迫りくるグレイを突き放し、シロのとこへ。

シロ「びええぇびええぇ!!」

龍斗「悪かった悪かった! 俺が悪かったよ! シロ!!」

泣きじゃくるシロに対して俺はどうしたかというと、

龍斗「よしよーし、こわくないこわくなーい」

シロ「うっ……ぐす……」

当然のごとくなだめていた。

グレイ「うぐいす?」

龍斗「頼むから黙れ」

グレイ「りゅうくんが冷たい件について」

しょぼーん。とわざわざ口に出すグレイ。
反省の色が見えんぞ。

シロ「びえぇ……」

龍斗「どうすりゃいいんだよこれ……」

グレイ「シロさーん。その姿、いつまで見せる気ですかー?」

泣き顔に見飽きたのか、話が一向に進まないからか、グレイがそう言った。
コイツなら前者だろうな。

シロ「も、もう呼んでも、怒らない?」

龍斗「ふつうは呼ばれただけで怒らないよ。安心しろ」

シロ「……ん。分かった」

目をごしごしと擦り、涙を拭く。

シロ「遅くなったけど、行きましょうか。リュートさん」

龍斗「おう」

グレイ「それじゃ、しゅっぱーつ!」

龍斗「結局ついてくるのな」

グレイ「暇ですからね」

龍斗「……」

龍斗「あとどれくらいで着くんだ?」

かれこれ30分以上は歩いている。
移動手段は徒歩しかないの?
いい加減つかれたよ。

シロ「あと少しですよ」

グレイ「それまで一緒に歌います?」

龍斗「却下」

遠くにデカイ門が見えてきた。
あそこがゴールみたいだ。

安価下1
1、のんびり話しながら行く
2、さっさと行って休みたい

疲れてるし、早く行っても余計疲れるだけだな。
のんびり行こう。

グレイ「それではみなさま輪唱しましょう! かーえーるーのーうーたーがー♪」

龍斗「聞こえねぇよ」

グレイ「きーこーえーて……ちょっともー。協調性なさすぎですよ?」

やれやれとばかりに大きな身振り手振りをするグレイ。

グレイ「せっかく緊張感をほぐしてあげてるのに。ねー、シロさん」

シロ「ふぇ? そ、そうですね……」

龍斗「グレイと話してると緊張より苛立ちを覚えるよ」

グレイ「ひどい!」

シロ「……わたしとは?」

安価下1
1、安らぐ気分になる
2、泣かせないように必死です
3、今度邪魔者(グレイ)がいない時にゆっくり話そう

龍斗「グレイと比べりゃ安らぐ気分になる」

シロ「そ、そなんだ……」

グレイ「どういう意味ですかなそれは? ん?」

龍斗「言葉通りの意味だけど」

グレイ「次は私が泣きますよ!?」

龍斗「おぉ泣け泣け。そのまま置いてってやる」

グレイ「泣くに泣けない!!」

騒がしいなぁ、コイツ。
シロを見習えよ。静かに歩いてるじゃねぇか。

グレイ「鬼畜めぇ」

龍斗「何のことやら」

シロ「ふ、ふたりとも、そのくらいにして」

シロ「でも、グレイ? ほんとうにいつまで一緒なの?」

グレイ「シロまで!?」

シロ「そ、うじゃなくて。黒の方、みなくていいの?」

龍斗「?」

グレイ「確かにそうだけど、特に面白そうな出来事なさそう」

グレイ「今頃誰かに八つ当たりしてるんじゃない?」

グレイ「……想像したらそれはそれで面白そう!」

安価下3まで多数決
1、黒の方にいっておいで
2、説明キャラは最後までいろ

龍斗「黒の方にいっておいで」

グレイ「!!」

グレイ「そんなに言うならホントに行ってやるよぉぉ!! ぶゎーか!!」

シロ「あ……」

なぜいきなりキレた?
情緒不安定なの?

そんなグレイは、180°回転して猛ダッシュで走っていった。

シロ「……止める間もなく……」

龍斗「あのスピードならもう着いたんじゃね?」

シロ「こっちも着いたんだけどなぁ……」

龍斗「お、門がいつの間にか目の前に」

門を通ると城下街のような風景。
レンガの道にそこを通る馬車。
のどかな雰囲気で過ごしやすそうだ。

そういうのを期待していた。

実際は違った。

剣士「おらぁ!」

キィン! と鳴り響く金属音。

モンスター「ぎゃー」

そこにいたはずの何かが霧となって消えてゆく。

剣士「最後の一匹倒したぞー!!」

観衆「「「おおおぉぉ!!!」」」

張り上げる声に対して、数十人、数百人の歓声。

龍斗「…………」

ねぇ、門の意味は?

素直にそう感じた。

シロ「えっと、まだ、イベントの最中でしたね」

シロ「終わった、らしいので、こちらへ……」

まだ? つまりなんだ?
俺がここにくるまでの間、イベントをやってたのか?
参加する前に終わったの?
別にいいけどさ。

シロに連れてこられた場所は、お城だ。
シロの城。ギャグではない。

龍斗「マジで王の家系なのか」

シロ「確かに父は以前、その職業だったと母から聞いてます」

シロ「えっと、でも、これは、わたしが趣味で建てた、物です……」

シロ「そしたら、国のみんなが、わたしを……お、王女、さまって……」

龍斗「……うん、聞きたいことはあるけど、確かに『王様的存在』だ」


安価下1
1、イベントについて
2、シロの城について

シロ「聞きたいこと?」

龍斗「この城について」

趣味で城建てるとかまずありえない。

シロ「えっと、何から言えばいいのかな」

困惑するシロ。
もしかしなくとも、シロは説明下手だ。

シロ「家出して、ここに建てた? みたいな」

龍斗「おぉ……重い話だな。趣味で建てたんじゃなかったのか?」

シロ「趣味ですよ? 夢のマイホーム」

龍斗「趣味の規模がデカイ……」

頭を抱える俺。

シロ「リュートさん……?」

龍斗「マジか。俺はいったいどういう戦争に巻き込まれたんだ?」

家出娘、もとい、シロに協力することになった俺。
その対戦相手である黒服。やつはどんな事情があって戦うのか。

……事情?

龍斗「なぁ、シロはなんでこんな戦争してるんだ?」

素朴な疑問でありながら聞く機会がなかった質問。
それをぶつける。

シロ「それは……。おや、こうこう?」

龍斗「え? 親孝行?」

戦争をすることが? なんで?」

シロ「わからない……」

× 戦争をすることが? なんで?」
○ 龍斗「戦争をすることが? なんで?」

なんだこのミスは。
――――

次はシロが頭を抱えた。

シロ「グレイが、そうなるから、って」

龍斗「グレイが?」

アイツ、必要な時に限っていないよな。
……追っ払ったの、俺か。

シロ「詳しいこと、分かんない……」

説明下手じゃなくて、説明を求める相手じゃない、ってことなのか?

龍斗「分かった。答えにくいこと聞いて悪かったな」

今度アイツに会ったら聞いてみるか。

シロ「あ、そだ。これ、あげなきゃ」

龍斗「ん? あぁ、ポイントだっけ?」

安価下3まで多数決
1、もらう(イージー)
2、もらわない(ハード?)

貰えるもんは貰う。

シロ「これ、グレイから受け取った、リュートさんのポイントカード」

ポイントカードとやらを受け取る。
スタンプ式のやつじゃなくて、電子式のやつだな。

シロ「これにわたしのポイント、わたす」

シロのカードと俺のカードが重なる。
ピピッと機械音が鳴り、静かにカードたちを離す。

シロ「ど、どうぞ!」

龍斗は ポイントカード を手に入れた!

ってとこかな。

龍斗「サンキュ。で、これにはどれだけのポイントがあるんだ?」

シロ「2000、です」

龍斗「……4桁? それって多い方? 少ない方?」

仮に1pt=1円だとしても、二千円。

働かずに二千円。これを多いと取るか、少ないと取るか。
当然前者。

シロ「ここまで貯めるには、強さが平均より……少し上の敵を数体ほど」

龍斗「えーと、俺の能力値を強さに当てはめると?」

ちなみに、

攻撃 29
防御 90
魔力 57
敏捷 92

である。

シロ「えっと」

攻撃 低
防御 最高
魔力 平均
敏捷 最高

シロ「こう、でしょうか?」

なんで俺魔力平均なんだろー。

龍斗「でも、改めてみると俺って壁だよなぁ」

シロ「かべ?」

龍斗「前線を保つのに必要なキャラのこと」

シロ「ほぇー」

龍斗「雑魚敵ならノーダメいけそうな感じするわ」

シロ「が、がんばって!」

安価下1
1、それで敵はどこにいる?
2、ポイントはどこで使う?

龍斗「それで敵はどこにいる?」

シロ「?」

龍斗「いや、だから敵の居場所」

シロ「し、知らない……」

龍斗「は?」

シロ「このポイントだって、みんながくれたものだから……」

……こりゃ、自分で探した方がよさそうだ。

安価下1
1、一人で探索
2、シロも一緒

龍斗「外で話を聞きに行った方が早そうだ」

シロ「そ、だね。わたし、役立たず……いってらっしゃい」

シロ「ぐす……」

龍斗「おい、勘違いすんな。一緒に行くぞ」

シロ「びぇ?」

すでに半泣きだった。

龍斗「ったく、仮にも皆に『王女さま』って呼ばれてんだから、しっかりしてくれ」

龍斗「そんなんじゃ外に行けないだろ」

一回、外で大泣きしたけど。

シロ「……ん」

安価下1
1、情報収集なら酒場だ(あるか不明)
2、その辺の店に聞こう

龍斗「とりあえず、店の人に話を聞いてみるぞ」

シロ「……うぅ」

――露店――

おばちゃん「いらっしゃーい」

龍斗「どもー」

シロ「ど、どもー……」

こういう店に慣れてないのか、俺を真似して王女らしからぬ挨拶をする。

おばちゃん「あら、これはこれは王女ちゃん!」

王女ちゃん!?

おばちゃん「こんなとこまでどーしたのー?」

まるで、遠い親戚の家を訪れた子供とおばちゃんの会話だ。

シロ「えっと、用があるのは、こっち、の人……」

龍斗「少し聞きたいことがありまして」

おばちゃん「聞きたいこと?」

龍斗「これに関わることなんですけど」

ポイントカードを見せる。

おばちゃん「あらあら、カード持ちってことは参戦者ね」

龍斗「まぁそんなとこです」

おばちゃん「それで?」

龍斗「実は新参者で、敵の居場所が分からないんですよ」

おばちゃん「あら、そうなの? だったら良いモノがあるわよ?」

その瞬間、おばちゃんの目が、キラーンと光った気がした。
商売人の目だ。

龍斗「そ、そうなんすか?」

おばちゃん「敵感知スキル、特別に売ってあげる」

安価下3までコンマ高いやつ
1、買った!(即決)
2、お値段おいくら?
3、そういう胡散臭いのいらないんで

龍斗「お値段おいくら?」

おばちゃん「あら興味ある?」

そりゃ、あちこち探しに歩き回らなくてすめば一番。

龍斗「でも、あんまり手持ちないよ。新参者だから」

嘘。
手持ちならさっきシロからたくさん貰いました。

おばちゃん「そう。なら王女ちゃんに払ってもらおうかな」

汚ぇぞこのおばはん!

シロ「あぅ……」

みろ、怯えてるじゃねぇか。

龍斗「いくらなんです? 値段次第じゃ買います」

おばちゃん「そうだねぇ。特別価格1000ポイント!」

おばちゃん「払えるかい?」

安価下1
1、払う
2、値切る
3、払わない

龍斗「んー、もう一声!」

おばちゃん「さすがに新参者には高すぎたかね?」

龍斗「お手柔らかにお願いしますよ、お姉さん」

うげぇ。

おばちゃん「うれしいこと言ってくれるねぇ!」

龍斗「ほら、シロからも『お願い』してくれ(小声)」

シロ「ふぇ! え、と……お、お願い……」

おばちゃん「出血大サービス! 500で持ってけ~!!」

安価下1
1、まだ値切ーる!
2、持ってく!

龍斗「んじゃ持ってきます!」

俺のポイントカードを渡し、500ポイントを支払う。

おばちゃん「毎度!」

残ポイント1500。

おばちゃん「それじゃスキルをあげるよ」

龍斗は 敵感知スキル を覚えた!

便利スキルを最初に使えるなんて良いのだろうか。
これで敵からの不意打ちはなくなった。

……くらっても、この耐久性なら微々たるもんかな。

龍斗「問題ないか、使ってみますね」

意識を集中させ、周りに気を向ける。

…………すると、近くにいるはずのシロとおばちゃんの気配がなくなる…………。

龍斗「すごいな」

敵意を持たないものの気配が次々と消えるのが分かる。
イベントとやらが終わった直後だからなのか、感知できる敵はいない。

龍斗「また後で試してみるか

露店から出た俺たち。

龍斗「幸先のいいスタートだったな」

シロ「そ、だね」

龍斗「次はどうするもんか……」

いざ敵と戦闘! ってとき、俺は戦えるのか? ふと思った。
魔力より劣る攻撃。さらに、魔力を使った攻撃方法なんて知らない。

……まさに壁。

龍斗「そうだなぁ」

安価下1
1、パーティでも組むか
2、シロさんの能力値教えて

龍斗「なぁ、シロ」

シロ「?」

龍斗「シロの能力値っていくつ?」

シロ「ふぇ?」

シロ「え、えっと、分からない……」

龍斗「また分からない、か」

まぁなんだ。シロは『プレイヤー』みたいなもんと考えてたこともあって、万能キャラかと思った。
現実は違うみたいだった。

この戦争、シロと黒服のなんだよな。
当人同士が戦わないのに、なんで『戦争』って表現してんだよ。

龍斗「指揮官は指揮官らしくあれ。そういうことか?」

シロ「?」

そういう器に見えないよなぁ……。

安価下3まで多数決
1、パーティ組むかぁ
2、ソロプレイでやろっと

龍斗「しゃーない。攻撃の仕方が分からないんじゃ敵を倒せないし」

龍斗「アタッカーでも募集してみるか……」

どうせシロに『仲間が集まりそうなとこ知らない?』って聞いても
『知らない……』とか言われるのがオチだし、それも自分で探すしかないか……。

龍斗「どうしたもんかな」

安価下1
1、募集用紙の張り紙を作成するため城へ
2、通行人の剣士に交渉

龍斗「一旦城に戻るぞ、シロ」

シロ「え?」

龍斗「張り紙とペンくらい城にあるだろ?」

シロ「うん」

龍斗「ならそれで募集の紙を作るぞー」

人事を尽くして天命を待つってな。
連絡先が城なら、それなりに強いやつが集まるだろう。

――シロの城――

作りはじめて数十分。

シロは寝た。速攻で飽きて寝やがった。

疲れたんだろうな。とは思うけどやるせない。

結局、俺一人で作り上げた。

直後コンマ
募集の紙の完成度は?
高いほど良いに決まってるじゃないか。

完成度 9% (まだ未完成やん……)
―――――

シロを寝かせたままにして、俺は街に募集の紙を貼っていた。

ある程度、貼ったら撤収。見つかる前にとんずら。

――シロの城――

龍斗「さて、反響は如何ほど」

シロ「びええぇぇぇ!! リュートさぁぁん!!」

出迎えてくれたのは、泣きじゃくってるシロだった。

龍斗「どうした! 誰かにイジめられたか!?」

シロ「くじょーのでんわがーー!!」

龍斗「……苦情?」

シロ「びええぇぇぇ!! 紙なんてしらないもぉぉん!!」

龍斗「…………」

どうやら募集作戦は失敗に終わったようだ。

安価下3まで多数決
作り直しますか?

龍斗「な、なにがいけなかったんだ……」

シロ「びええぇぇぇ!!」

龍斗「泣くなシロ! 次はこの失敗を乗り越えてみせるぞ!」

シロ「はんにん、リュートざん、だったのぉ!!?」

なんだろう。泣いてる時の方がハキハキ喋るよな、シロって。

龍斗「わ、悪い……」

シロ「びええぇぇぇ!!」

直後コンマ
30以上ならシロが作成を手伝います。
70以上ならシロが作成します。

泣き疲れたのか、シロはまたも寝てしまった。

次は失敗できない……!

グレイ「あのさぁ、バカなの?」

龍斗「うぎゃあ!」

いきなりの声に驚いてしまったじゃないか!
誰だよ!?

龍斗「……グレイ?」

グレイ「はいはーい。黒のとこいって、白に戻ってきたグレイちゃんでーす」

グレイ「ってそれは置いといて、私が作るからシロのそばにいてよ」

龍斗「え?」

グレイ「あのひっどいチラシなに? またあんなの量産する気?」

龍斗「ぐっ……」

何も言い返せないのが悔しい!!

グレイに散々文句を言われ、大人しくシロのそばにいく。

龍斗「いつこっちに?」

グレイ「ついさっき。来た早々街が騒がしいからさ、話聞いたんだよね」

グレイ「一発で分かったよねー。あ、これりゅうくんの作品だ、って。」

龍斗「なんで分かるんだよ……」

グレイ「この世界に召喚したのは私。能力値を確認したのも私」

グレイ「私が気付かないはずないでしょ」

龍斗「……もっともな意見だ」

俺と話してる間にもグレイはさくさく作業している。

グレイ「ほい出来上がり」

龍斗「はや」

グレイ「んじゃこれ配ってくるねー」

龍斗「あ、あのさ……」

安価下1
1、ありがとな
2、悪かったな

龍斗「……悪かったな」

グレイ「なに急に? 背筋がゾワゾワしてくる」

龍斗「うるせぇ。人が謝ってんだから素直に受け取れ」

グレイ「ふふっ。はいはい。何が悪いと思ったのかなー?」

こ、こいつ……!

龍斗「追い出したりして悪かったよ」

グレイ「よろしい。素直な子は大好きだ」

そう言ってグレイは、また俺の前から消えていった。

チラシを配ってくるだけだから、すぐ戻ってきそうだな。アイツのことだし。

龍斗「やれやれ……」

直後安価
グレイのチラシ効果
なんと! コンマ+50!!

チラシ効果 127%!! 大成功!!
――――――――

グレイ「たっだいまー」

龍斗「はやすぎだろ」

いなくなって十秒経ってないぞ!?

グレイ「『この私』が募集かけたんだから平気平気」

龍斗「どういう意味だ?」

その答えを聞く前にシロが目を覚ました。

シロ「……嫌な気配……」

龍斗「ん?」

瞬間、騒音が城中に響き渡る。
なんだこれ! うるさ!!

正体は、ジリリンジリリンと、あちこちから聞こえる昔ながらの電話だ。

シロ「びえ……また、くじょーでんわ……」

トラウマになっているようだった。

グレイ「はーい、もしもーし」

グレイ「あー、あんたダメ。出直して」

グレイ「はい合格ー。おめー」

一人で電話を捌く姿はどことなくカッコいい。
まるで別人を見ているようだ。

グレイ「最終選考まで残ったのは3人になったよ」

龍斗「俺に何の報告もなく!?」

グレイ「大丈夫大丈夫、私が選んだんだから」

まるで、子に何の相談なくお見合い相手を決めた親、みたいな言い草だ。

シロ「……くじょー、ちがう?」

グレイ「違うちがーう。安心していいぞー」

龍斗「して、その相手とは?」

安価3まで
グレイが選んだパートナーは誰だ!
必須:名前&性別
任意:性格

その後すぐに、城の中の一部屋をまるまるオーディション会場っぽくした。
ちなみに、シロは隠れて見ている。

グレイ「では一人目! その名はぁ……ジャ~ック!」

コイツ、楽しんでるなぁ。
ジャックと呼ばれた男が部屋に入る。

ジャック「ジャック・ジェスター。よろしく」

龍斗「どうも」

グレイ「早速質問ですが! この男! どう思います!?」

龍斗「は!?」

ジャック「そーですね、頼りなさそう」

龍斗「おいこらテメェ!」

ジャック「でもどこか力を秘めている。そう感じますね」

グレイ「あざーす!」

安価下2まで
ジャックになにか質問ある?

龍斗「で、ジャックさんでしたっけ?」

龍斗「何ができます? 特技とか」

ジャック「そうだなぁ、強いていうなら……」

突然、目の前からジャックが消えた。

龍斗「あれ、ジャックさーん?」

グレイ「……」

隣のグレイは何か考え込んでる様子で、スッ、と席を立つ。

龍斗「何してんだ?」

グレイ「身の危険を感じて立ってみた」

龍斗「?」

なに言ってんだ?

ガタ、ガタ……

龍斗「お?」

バターン!!

龍斗「いって!!」

説明すると、俺は座ったままコケた。

何言ってるか分かるだろうか。

椅子の脚が全て切られて、バランスを崩されたのである。

ジャック「特技、居合い切りでございます」

龍斗「おいこれ鉄製だぞ!」

龍斗「その前に刀はどこから出した!?」

ジャック「攻撃力に絶対の自信がある方募集とあったので」

ジャック「それが志望動機ですよ」

グレイ「立って正解。座ったままだと私もコケてたね」

教えてくれよ……。

グレイ「備品壊したので次の人と交代してねー」

ジャックは軽くお辞儀して退場した。

グレイ「次は……げぇ、女か」

グレイ「エルーさん、どーぞー」

明らかにやるき出してねぇな。
お前が選んだんだろ。

エルー「よろしく!」

龍斗「お、おぉよろしく」

グレイ「早速質問、この男、愛せますか?」

龍斗「はぁ!?」

グレイ「黙って!! 大事なことなの!!」

えぇ……。

エルー「いきなり答えづらい質問ね……」

だろうね。

エルー「それが合格に必要なら……愛すわ!!」

グレイ「よく言った!! 合か」

龍斗「ちょっと待て!!」

安価下2
質問して時間稼ぎ

龍斗「そんな簡単に愛するとか決めていいのか?」

エルー「最初の質問から嫌われたら後がないじゃない」

龍斗「だからって、何も知らない俺を愛せとか言われてんだぞ」

グレイ「一目惚れって信じてないの?」

龍斗「無理矢理の一目惚れは嫌だよ!」

エルー「あたしも嫌です!」

龍斗「じゃあそう言え!!」

グレイ「息ぴったり」

龍斗「誰のせいだ!!」

なんだこの面接……。

龍斗「これ、なんの面接か分かってる?」

エルー「アタッカー募集ですよね?」

龍斗「それとさっきまでの話、噛み合ってた?」

エルー「…………」

エルー「全然違う話になってるじゃないかあぁぁ!!!」

どこからともなく彼女の武器であろうヌンチャクが唸りをあげる!

龍斗「やばいって! 恥ずかしさで正気失っちゃったよ!」

あれじゃ、バーサーカーだよ!!

グレイ「とどめはりゅうくんでしょ?」

龍斗「下ごしらえ、味付け、その他もろもろはお前だ!!」

二人目にして会場がボロボロになってしまった。

――――
会場修理のため終了です。

――次回予告的存在――
ジャック、エルーに続く三人目はどんな人物なのか。
そして龍斗は誰を選ぶのか?
次回へ続く!

――会場修理中――

エルーさんを静め、会場を直す俺たち。

グレイ「まったく、いきなり暴れだす危険な女と付き合っちゃダメだぞ」

龍斗「グレイが最初に変なこと聞いたせいだってーの」

ちなみに今は、ヌンチャクによって破壊された長机を新しいのに交換しているとこ。

シロは新しい椅子を持ってきてくれた。

グレイ「今後一緒にいる人なんだから、しっかり選んでよね」

龍斗「ならもっとまともな質問してくれ」

グレイ「善処いたしまーす」

龍斗「……はぁ」

やっと、オーディション会場が復活した。

グレイ「それではいってみよー! グリン!」

グリン「よろしくお願いしま~す」

龍斗「よろしく」

アタッカー募集ということで、前二人の攻撃力は確かにすごかった。

ということは、このグリンとやらにも気を付けないといけない。

グレイ「この男どう思う?」

ずいぶん適当になったな。

グリン「どう? まだ何とも」

そりゃそうだ。

グレイ「つまんない回答だねー」

皮肉を言われたのにも関わらず、笑顔を崩さない。

結局は俺が質問しないと話が進まないんだよなぁ。

安価下2まで
グリンに質問ターイム

龍斗「仲間になったあと、やりたいこととかある?」

グレイ「無難すぎじゃない?」

龍斗「こういうの大事だろ。仲間になったあと、バラバラに動いてたらこの面接意味ないじゃん」

グレイ「それもそうだけどさぁ」

龍斗「あ、コイツは気にしないでどうぞ」

今は隣のバカと話し合う時間ではないのだ。
にしても、ずっと笑顔のままだな。

グリン「そうですね、巨大な敵をボコりたいです」

龍斗「……もう一度」

グリン「巨大な敵をボコりたいです」

グリン「目指すは一攫千金です」

このグリンという男、顔とは裏腹に戦闘狂であった……。
グレイの人選なんなの? 何基準なの?

龍斗「ど、どのようにボコるの?」

龍斗「どんな戦闘技術でボコるの?」

グリン「自分の武器ってことですか?」

龍斗「は、はい」

グリン「武器って必要ですか?」

龍斗「は、はい?」

グリン「武器を持つと、そればかりに頼るじゃないですか」

グリン「いざって時、その武器がないと役立たずになりますよね」

極端な考え方だった。

グリン「それなら、自身が敵を倒す武器になればいいんです」

グリン「自分の武器は自分です」

龍斗「よ、よく分かりました……」

最後まで笑顔を崩さなかったグリンさんを退場させる。
これはこれで疲れる面接だった……。

グレイ「これで候補者三人の面接終わったね」

龍斗「シロは誰となら一緒にいられそうだ?」

グレイ「無視!?」

シロ「わ、わたしなの? リュートさんの、仲間なのに?」

龍斗「確かにそうだけど、シロの意見も聞いとかないと」

シロ「リュートさんに、まかせる……よ」

龍斗「そっかぁ」

一人目、ジャック・ジェスター。
武器、刀。
ひょろひょろしてそうだけど、腕は確か。

二人目、エルー。
武器、ヌンチャク。
バカの質問のせいで、怒ると狂暴化しか分からない。

三人目、グリン。
武器、グリン。
優しそうな笑顔は戦闘狂を隠す仮面のよう。

どうしたもんか。
直後コンマ
ゾロ目→まさかの四人目!

コンマ表ない場合は何もなしです。
普通に再開します。
残念ながら四人目参戦せず。
――――――――

グレイ「…………」

龍斗「何隠した?」

グレイ「なんでもないですよ~」

龍斗「ならいいけど」

無闇に突っ込んだら疲れる感じするし、ここはスルーだ。

龍斗「ちなみにあいつらの能力値どれくらい?」

グレイ「実績あって一人でポイント荒稼ぎしてる人なんで、結構強いですよ」

龍斗「マジかぁ……」

そんな奴らを集めることができるとは、お前は何者?

龍斗「そんじゃ、そろそろ本格的に決めるとするか」

安価下3まで。コンマ高いやつ
1、ジャックとエルーを呼ぶ
2、エルーとグリンを呼ぶ
3、グリンとジャックを呼ぶ

迷った結果、エルーさんとグリンさんの二次審査。

グレイ「お二人は無事に面接クリアでーす!」

ジャックさんは残念ながら一次審査で脱落だ
理由? グレイ曰く『りゅうくんをズッコケさせたから失格』とのことらしい。

後の祭りだが、ジャックさんのやろうとしたことを教えてくれればよかったのに。

エルー「で、この後は何をすれば?」

グリン「直接対決、でしょうか?」

グレイ「それいいね、採用」

龍斗「無計画だったのかよ!!」

安価下3まで多数決
1、もうそれでいいよ
2、他のにしよう(内容があると助かります)

確かに一度『グレイ』を『グレン』と間違えてしまった。
投稿する前に気づけたけどね。
―――――

龍斗「もうそれでいいよ」

疲れている俺は反論する気になれなかった。

――シロの城 庭――

グレイ「ここで思い切りバトっちゃいなYO!」

龍斗「やりすぎ厳禁でお願いしますよ」

エルー「はい!」

グリン「分かりました」

エルーは、ヌンチャクを手に取って、静かに構える。
グリンは、握りこぶしをつくってファイティングポーズ。

グレイ「バトル開始!」

エルー「やっ!」

合図とともに駆け出すエルー。
グリンはそれをみて腰を低くする。

エルー「せい!」

ヌンチャクがグリンの脇腹へ迫る……!

直後コンマ
00~09→残念、はずれ~
10~39→グリンのカウンター!
40~99→クリティカルヒット!

グリン「よっと」

後ろへと下がり、ヌンチャクの攻撃を避ける。

エルー「かわされたか……」

グリン「じゃ、次はこちらから」

地面を思い切り蹴って素早くエルーの目の前へ移動していく。

エルー「え、はや」

グリンは彼女の両手首を叩き、ヌンチャクをその手から奪う。

グリン「これで武器はなくなりました。降参しますか?」

エルー「…………」

動かないエルー。

グレイ「早くも決着?」

エルー「冗談!」

彼女はそこからくるりと一回転し、見事な回し蹴りをグリンに浴びせたのだ。

思わぬ一撃だったのか、彼から笑顔が消えている。

エルー「ヌンチャクがない時の戦闘経験くらい、あるに決まってるでしょ?」

グリン「これはこれは……」

二人が思い切り戦ってる最中、俺は隣にいるバカに聞いてみる。

龍斗「なんでアイツら、あんなに必死なの?」

初めて俺に会って、その俺の仲間になるために、こうして戦っているのが不思議だった。

グレイ「言ったでしょー? 『この私』が募集かけたの」

龍斗「つまり、目的はお前ってこと?」

グレイ「それも少なからずあるかもねー」

グレイ「でも安心して平気よ? ちゃんとりゅうくんの仲間になるから」

龍斗「いや、だからさ、お前、何者なんだよ」

グレイ「何者、ねぇ。どう思う?」

龍斗「どう、って。俺を召喚して、シロや黒服の戦争に巻き込ませて……」

龍斗「そういやこの戦争って『シロの親孝行』のため、なんだよな?」

少し前、確かにシロはそう言った。
でも具体的な内容は、グレイの方が知っている雰囲気だったのだ。

グレイ「あら、それ知っちゃったんだ。そっか」

グレイ「でも今は私を問い詰めることより彼らでしょーが」

目を向けると、すでに肉弾戦だった。
グリンのパンチと、エルーのキックのぶつかり合い。

片方の攻撃が入ると、すかさずカウンターを打ち込む姿は、まるで格闘技を見ている気分になる。

というか格闘技そのものだ。

グレイ「これ、どっちが勝つと思う?」

龍斗「さすがに最後まで見ないと分からねぇな」

今のところ……

安価下3まで多数決
1、エルーが優勢
2、グリンが優勢

グリン「やっぱり普段から武器に頼る人には負ける気がしませんね……」

そう言ってはいるが、確実にグリンも消耗している。

エルー「……はぁはぁ、まだまだ!」

かなり体力が削られているにも関わらず、全力で走るエルー。

グリン「無駄ですっ!」

あえて攻撃を受けるつもりなのか、最初からカウンターの体勢になる。

エルー「やぁっ!」

地面を強く蹴り、高く跳ぶエルー。

グリン「……!?」

キックが放たれると思っていた彼は、いきなりのそれに対応できずにいた。

エルーはグリンの真上を通り、着地。
その近くには、彼女の武器であるヌンチャクが落ちていた。

エルー「これで最後!!」

それを拾い、グリンの無防備な背中を狙って投げる!

直後安価
偶数→見事命中!
奇数→あぁ、届かない
ゾロ目→劣勢の味方! ヘッドショット!

しかし、エルーの体力は先の跳躍で限界だった。

ヌンチャクはグリンの背中に届く前に勢いをなくし、地面へと落ちる。

エルー「…………」

高く両手を上げ、戦意がないことを示す。

グリン「やっと、終わった……」

後ろを振り返り、それを確認した彼は、ふぅ、と溜息をついた。

エルー「最初にヌンチャクを奪われたのが敗因だったわ」

グリン「武器をなくしても自分をここまで追い込む人は初めてでした」

お互いがお互いを褒め、綺麗な形で幕を閉じた。

グレイ「あんたら良いコンビになれるわ」

……ん?

グレイ「いっそのこと付き合っちゃいなさい」

龍斗「なに言ってんの!? 俺の仲間は!?」

グレイ「客観的にみてアタッカー募集って、どうよ?」

龍斗「どうとは?」

グレイ「募集主は敵に対して何するのって話になるでしょ?」

龍斗「まぁ、確かに」

逆の立場になって考えると納得する。
俺が敵を攻撃する。あんたは?

素早くあなたを守ります。

……。
邪魔なんじゃね? と思う。

グレイ「集まっただけでも奇跡でしょ」

龍斗「え、でもお前言ったよな? 『俺の仲間になるから』って」

グレイ「言ったけど、こればっかりは当人の気持ちじゃない?」

龍斗「なんでお前はときどき正論言うんだよぉ!」

安価下1コンマ
グリンの気持ち
偶数→仲間になる
奇数→さよなら
ゾロ目→???

安価下2コンマ
エルーの気持ち
偶数→仲間になる
奇数→さよなら
ゾロ目→???

グレイ「面白いことができて私は満足した!」

…………。
あきれてものもいえない。

グリン「自分は勝ったら仲間になるつもりでしたよ?」

龍斗「!! あ、ありが」

グリン「じゃなきゃ、何のためにここまで頑張ったのか分からなくなりますもん」

龍斗「……そうだよね」

何かが折れた。

エルー「あたしはもうちょっと自分を鍛えることにする」

エルー「あんたと戦って、自分の弱点がなんとなく分かったし、そこをなくすよ」

グリン「じゃあお別れだね」

エルー「だな」

……気まずい。

安価下3まで。コンマ高いやつ
1、もうこの場から逃げ出す!
2、俺が悪かったから、もうお前ら付き合えよ!
3、旅は道連れ! エルーも仲間に引き込んじゃえ!

龍斗「エルー! ちょい待ち!」

エルー「まだ何か?」

龍斗「その、弱点克服ってやつ、俺たちと一緒じゃできないのか?」

グレイ「え、りゅうくん、さすがにそれは……」

龍斗「言いたいこと分かるけど、俺の気が収まらないんだよ」

このままだと胃もたれしそうだし。

エルー「……いいんですか? あたし、負けたんですよ?」

龍斗「良い勝負だったからこそだ!!」

グリン「一緒にきませんか?」

グリンが手を差し出す。

エルー「…………」

ゆっくりと、その手を掴んだ。

この日、俺の仲間オーディション会場で一組のカップルが仲間になった。

――シロの城――

シロ「グリンさん、と、エルーさん」

グリン&エルー「よろしくお願いします。王女さま」

シロ「これからは、シロ、でいい」

龍斗「……なんか新鮮な光景が目の前にある」

シロに二人を会わせて、これで本当に終わり。

龍斗「さて、やっと落ち着いて話せるな」

グレイの方を向く。

グレイ「ちょっとちょっと、カップルがいる前でシリアス展開にもってくんですか?」

グレイ「勘弁してくださいよ~」

エルー「カップル……」

そこ、顔紅く染めるな。そんで彼氏の手をそっと掴むんじゃない。

……これはこれで胃もたれしそうだ。

グレイ「それに私がいなくても、平気でしょ?」

龍斗「はぁ?」

グレイ「すこし黒の方に用事を残しててね。それやらないと」

グレイ「良い息抜きになったよ、サンキュ!」

龍斗「あ、こら待て!」

グレイ「待たなーい! バ~イみなのもの~」

あっというまにその場から消えた。
聞きたいことあるの知ってるくせに逃げやがった……。

グリン「ありがとうございました~」

エルー「忙しいんだね、あの人」

シロ「きっと、すぐに、戻ってくる」

龍斗「だといいけど」

これからどうする?
安価下1
1、改めて自己紹介
2、敵探索

龍斗「しゃーない。ここらで改めて自己紹介すっか」

反対の声はあがらず、俺からスタート。

龍斗「俺は巽 龍斗。好きに呼んでくれ」

龍斗「そうだな。シロは知ってるけど、俺は異世界人だ」

グリン「異世界?」

龍斗「この世界じゃない別の世界で生まれたんだよ」

エルー「はー。なんか難しい話ね」

龍斗「俺も異世界にこれるとは思わなかったし」

龍斗「あと言うことは……俺の役割は高速壁」

龍斗「お前らが危ないときに守るのが仕事だ」

エルー「あたしそういうのいらない」

グリン「戦場で信じるのは己のみなので」

…………仲間になってくれたのは嬉しいけど、つらい。

直後コンマ
01~33→シロ
34~66→グリン
67~99→エルー
00→???

エルー「じゃ、次いきます」

エルー「あたしはエルー。得意な武器はヌンチャクです」

二次審査の時に使ったそれを取り出す。

エルー「えー、堅苦しいの嫌いだからふつうに喋るね」

エルー「タツミの言葉借りるなら、あたしの役割は、なんだろうな」

エルー「ま、敵からみんなを守るのがそうかな」

……俺の役割を奪われた。

エルー「ほかに何か聞きたいこととかある?」

安価下2ほど
何か聞いてみる?

龍斗「そういや、あの格闘技、てか蹴り技? 見事だったけど、全部独学で仕上げたのか?」

エルー「うん。そだよ。ヌンチャクってさ、手や腕を使うじゃん?」

エルー「だからそこも鍛えているんだけどさ、脚も鍛えないとバランスとれないんだよね」

エルー「我ながらハードな武器を選んだもんだよ……」

龍斗「そうだったのか」

エルー「あとで分かったことなんだけど、あたしって脚技の方が威力出るみたいなんだよ」

エルー「それ以来、ヌンチャクと同じくらい脚も鍛えたんだ」

アタッカーの特訓の成果が、あの戦いってわけね。

龍斗「なるほど。心強いもんだな」

龍斗「で、そんなに固いの?」

エルー「何が? このヌンチャク?」

龍斗「うん」

一次の面接の際、エルーが暴走し、長机を真っ二つにされたことを思い出す。

エルー「持ってみ」

ヌンチャクを手渡される。

龍斗「……重く、ないな」

これで攻撃されても痛くなさそうだ。

エルー「そう?」

彼女は俺の持ってない方を掴むとヌンチャクに異変が起こる。

龍斗「……ん? んん!?」

なぜだろう。急にずっしりとした重みが……。

エルー「このヌンチャクは、あたしの魔力に反応してる特注品なのさ」

エルー「重みを自由に変化させて、相手にぶつける時に一気に重くする」

エルー「常に重かったら持ち運びに不便だろ?」

彼女の手が離れると、徐々に軽くなってくる。
便利なヌンチャクだ。

直後コンマ
偶数→シロ
奇数→グリン

シロ「じゃ、次、わたし」

緊張のせいか、ふるふると身体を震わせている。

シロ「えーと、えーと」

目が泳いでいる。大丈夫か?
小声で『がんばれ』と言ってやるも、この状態じゃ聞こえず。

迷った結果、俺と初めて出会った時に使っていた幽霊布を持ち出し、被る。
そういやグレイの素顔、まだ見たことない。

シロ「……シロ、です。王女さま、じゃないです」

趣味でこの城を建て、みんなが勘違いしていることを口下手ながら説明するシロ。

エルー「それにしてもすごい」

グリン「でも、王女さまってのが浸透してるんだよね」

シロ「うぅ……」

龍斗「シロはシロだし、王女だったなんて、ここにきて初めて知ったんだ」

龍斗「これからは王女としてじゃなく、一人の女の子、シロとして接してくれ」

さすがにフォローしとかないとシロが泣き出してしまう。
いや、いっそのことそうして、ハキハキと喋ってもらおうか。
……かわいそうだから出来ないけどな。

グリン「最後は自分ですね」

グリン「名前はグリンです。戦闘スタイルは戦いの通り」

グリン「強い敵と戦って自分の限界に挑戦したいです」

その笑顔から発していい言葉ではないぞ。

エルー「普段はどんなトレーニングを?」

グリン「それはですね……」

いかん、俺には理解できない会話が始まってしまった。
戦闘狂のトレーニングなんて過酷に決まっている。

エルー「あぁなるほど、そんな方法が!」

グリン「そうそう。意外と効率が良かったりするんです」

シロ「……さっぱり分からない……」

龍斗「大丈夫、俺もだ」

グリンとエルーが二人の世界(というトレーニング話)に花を咲かせている間、俺たちは、

龍斗「暇ですねぇ、シロさんや」

シロ「そ、そうですね、リュートさん……」

老夫婦ごっこをしていた。

グリン「…………あ、ごめんなさい、二人とも」

俺たちに気付いたグリン。

龍斗「いいんですいいんです。若いもんは若いもん同士で」

シロ「え、リュートさん、若くないの……?」

どうやら老夫婦ごっこをしていたのは俺一人だったようだ。
ちょっと悲しい。

龍斗「……あぁはいはい、そんじゃ次いきますよ次!」

エルー「なんで荒ぶってんの?」

安価下1
1、敵感知スキル使って敵捜索
2、最初くらいは敵を探す

龍斗「少し静かにしててくれよ」

目を閉じ、意識を集中。

……周りの気配が全て消え、敵の気配を探し出す……。

気配を……

直後コンマ
偶数→感じた
奇数→感じない
ゾロ目→???

……いる。

ここからそう遠くない場所だ。
しかし、この世界の地理に詳しくない俺はそこまでの道のりが分からない。

龍斗「ここから北西に……どれくらいだ? とにかく北西に敵がいる」

感じたままを言葉にする。

シロ「北西……、このお城、一番北にあるから、門の外……」

グリン「デカイ敵だといいですね」

エルー「うん。倒しがいがありそう」

……頼りになるアタッカーがいてよかったよ。

直後コンマ
数字が大きいほど雑魚敵わっさわさ
逆に小さいほど敵は強いよ~

59 数:そこそこ、敵の強さ:平均

――外――

とりあえず北西に向かって歩いてみる。

……すると遠くに黒い影がうごめいている。

エルー「あれじゃない?」

グリン「あれですね」

龍斗「感知スキル便利。シロは俺から離れるなよ」

シロ「……うん」

気付くと、アタッカーの二名がすでに俺のそばにいない。

龍斗「ポイントってさ、パーティメンバー全員に振り分けられるのかな?」

そうじゃなきゃ俺が困るのだが……。

安価下1
1、すぐに二人のもとへ
2、このまま観戦

俺が呆然と立ちつくすしかない。
黒い影がなくなっていく様を見守ることしか出来なかった。

龍斗「アイツら強いな」

シロ「うん、すごい」

初の戦いであり、初のパーティ戦は観戦だった。

……見守ること数十秒。

グリン「手応えなかったですね」

エルー「ねー」

帰ってくるなりこの一言。
俺の出番は必要なかったようだ。

…………あれ、戦ってないのに、痛みがするよ?

安価下1
1、俺にもポイント入ったの?
2、二人を見守ってみる

この痛みを必死で隠し、二人を見守ってみる。

エルー「グリン? ちゃんと背後の攻撃にも注意してよ」

グリン「そのつもりなんですけど、不意打ちは少し苦手でして」

エルー「あたしがいなかったら大怪我してたかもよ?」

グリン「助かりました。ありがとう」

…………けっ。反吐が出た。
俺が仲間を募集した手前、こういったものを我慢しないといけないのか。
そのうち血反吐に変わりそう。

シロ「大丈夫?」

龍斗「うんだいじょぶだいじょぶー」

渇き笑いをして、俺たちは城へ戻っていった。

――シロの城――

龍斗「えーでは、先ほどの戦闘に対して一言」

帰るなり俺は、

龍斗「なんで突撃しちゃったの?」

アタッカーに対して理不尽な質問をしていた。

エルー「そこに敵がいたから」

グリン「戦いたかったから」

龍斗「……もう個人で戦ってないんだから、そこんとこ考えて……」

この戦闘狂どもめ。
グレイとは違う意味で疲れるよ……。

今頃なにしてんのかなぁ……。

安価下3まで。コンマ高いやつ
1、次の作戦を決める
2、明日に備えて寝ましょ
3、グレイ視点に切り替え

龍斗「これはもう次の作戦決めた方がいいな」

グリン「作戦ですか?」

エルー「全力攻撃じゃダメ?」

龍斗「個人で戦うぶんにはそれでいい。でも今はパーティ、チームなんだ」

エルー「なにもしてないタツミに言われてもねぇ」

グサッ! 言ってはならないことを……!

龍斗「お、俺はみんなを守る大切な役割があるし?」

エルー「守られる前に殺るって」

グリン「自分はエルーに助けられました」

グサッ! 無意識なのか悪意なのか分からない!

シロ「……リュートさん……」

そんな目で見ないで!

ものすごい勢いで減っていく俺の何か。

龍斗「……頼むから、俺の言うこと、少しは理解してくれ……」

もう限界は近い。そんな気がする。

エルー「う~ん。理解はできるっちゃできるけど」

グリン「敵を見ると、どっかいきそうですよね」

あぁ、ダメだ。さすがグレイさんの選んだ人たちです。
俺には手が負えません。きっとシロにも無理です。

誰か助けてください。

龍斗「あはははは」

もう笑うしかないや。うん。

シロ「リュート、さん……」

エルー「壊れたみたい」

グリン「ですね」

シロ「……びぇ……」

エルー「? シロさん?」

直後コンマ
ゾロ目以外→シロ大泣き突入
ゾロ目→???

シロ「びええぇぇぇ!!」

エルー「なに!?」

シロ「リュードざんをこまらずなぁぁ!!」

グリン「発狂しましたよ!?」

龍斗「あはははは」

シロ「りかいしでんなら、ぞーぢろよぉぉ!!」

エルー「いたいいたい! 叩かないで!」

グリン「分かりました! 気をつけますから!!」

俺は三人をほったらかし、一人、別の部屋で心を癒したのだった。

――――
りゅうくんの心の回復のため終了です。

――次回予告的存在――
心をエグる仲間ができた龍斗!
この先やっていけるのか!?
次回へ続く!

……。

いつの間にか寝ていたようだ。

それのせいか、眠る前のことをあまり覚えていない。

……頭が思考を拒否したなのでそれに従おう。

龍斗「シロ? どこだー?」

この場にいないシロを探しに城の中を探索。

あちこち部屋を見て回るが、いない。

龍斗「どこ行ったんだ?」

見当たらないシロを探す俺。
ようやく見つけたのは……

直後コンマ
偶数→謎の二人
奇数→探していたシロ
ゾロ目→???

龍斗「ようやく見つけたぞ」

シロ「リュートさん……!」

俺の胸に飛び込んでくるシロ。

龍斗「おいおい、どうした?」

いきなりだったので少し戸惑ってしまう。

シロ「もう、大丈夫?」

龍斗「? 何がだ?」

シロの言葉の意味が分からない。

龍斗「それよりシロ、今、城の中を見てきたけど誰もいないんだな」

シロ「そ、だね。でも」

龍斗「これからは俺がいるから二人だな」

シロ「え? 四人……だよ」

四人?

シロ「こっち、きて」

龍斗「お、おぉ」

シロに連れられ、やってきたのは……庭だ。

――シロの城 庭――

そこには、土下座している男女の姿があった。

龍斗「こ、この人たちは?」

グリン&エルー「誠に申し訳ありませんでしたぁ!!」

シロの答えを聞く前に、謎の二人からの謝罪が入る。

グリン「心を入れ替えて!」

エルー「チームとなります!」

龍斗「…………」

シロの方を見ると、何故か満足そうな顔だった。

龍斗「……あ」

俺は全てを思い出した。

シロ「これで、もう、安心」

シロは、土下座をやめようとしないグリンとエルーをみて続ける。

シロ「リュート、さんは?」

グリン&エルー「雇い主です!」

シロ「あなた、たち、は?」

グリン&エルー「雇われ武器です!」

龍斗「…………」

俺の知らない間に何があったと言うのだ……。

シロ「……どう?」

安価下1
1、助かった
2、さすが王女

龍斗「さすが王女」

シロ「それは、誤解」

龍斗「いや、シロすげぇわ」

本気でそう思う。

龍斗「つかお前ら、いつまでその恰好なの?」

エルー「お許しが出るまでです」

シロ「まだ、ダメ」

無情な一言であった。

龍斗「ま、まぁ反省してるようだし」

二人がかわいそうに思えてきた俺はシロを促してみる。

シロ「まだ、ダメ」

龍斗「……はい」

土下座の二人をその場に残し、俺たちは街へ出かけたのであった。

――街――

龍斗「それでここまで来たけど、何するんだ?」

シロ「……買い物」

龍斗「買い物?」

シロ「いろいろ、壊された物を、直す道具」

龍斗「なんか申し訳ない」

備品は切られ、壊され、用意された会場部屋はボロボロ(大半はエルーのせい)、
庭は激しいバトルで荒れ果てた。

全て、俺が攻撃方法を知らないせいなのだ。

安価下3まで多数決
1、俺にも武器があれば
2、このままの俺で進む

龍斗「俺にも武器があればな」

シロ「ある、でしょ? ふたつ」

龍斗「グリンとエルーのことを言ってるならやめてさしあげて!」

せめて人扱いをしてあげてよ!
いったい何がそんなにシロを変えちゃったの!?

シロ「……頑張ったのに……」

龍斗「努力の方向を間違えちゃあかん」

あの二人は『アタッカー』であり、決して『武器』ではない。
早急に俺の武器を探さねば、あの二人から人権が消えてしまう。

それだけは絶対にダメ。
せっかく仲間になってくれたのにあんまりだ。

安価下3まで。コンマ高いやつ
1、魔力適正を活かして魔導士になる
2、高い耐久を活かして壁役に徹する
3、高い敏捷を活かしてシーフになる

俺の役割はみんなを守ること。
自己紹介の時、俺はそう言った。

二人を邪魔しないで二人を守るもの……。

龍斗「なかなかハードルが高い」

むむむむ。

シロ「……苦しい、の?」

心配している表情で話しかけてくるシロ。

龍斗「俺の責任だからシロがそんな顔すんな」

そうは言ってみたものの、困る俺を見ていたら、自然とそんな顔になる優しいやつがシロなのだ。

……その暴走で困りごとが増えたわけだが。

俺の周りにはトラブルメーカーしかいないようだ。

――シロの城 庭――

買い物を終え、帰ってきた俺とシロ。
結局、二人を助けるための俺の武器探しは失敗に終わったのだ。

かわいそうな二人組をみて、

龍斗「シロが迷惑かけたな」

と一言。

シロ「も、いいよ」

すっ、と立ち上がり、シロに敬礼する二人。
見事なまでに従順。戦闘狂の面影を感じない。

龍斗「いったいなにやったんだよ」

消え入る声でつぶやくと、

シロ「あとで、おしえる」

と、つぶやく声で返事された。
こわいよ、シロさん。

――シロの城――

買った物をお手伝いさん二人に運ばせて俺たちは優雅なひとときを……、
なんてのは冗談で、俺はまたもシロに連れられていく。

お互いが椅子に座ったところで会話スタート。

龍斗「議題、二人の態度が変わったことについて」

シロ「リュートさんが、困ってたから、助けた」

龍斗「具体的に何をしましたか?」

聞くのが怖いけど避けては通れぬ。

シロ「……これ」

見せてきたのは、二枚のポイントカード。
おそらく、いや、確実に二人の物だろう。

シロ「ポイントは、参戦者の、生命線。これがないと、なにもできない」

……この王女、さては暴君だな。

安価下1
1、いいからそれを渡しなさい
2、早く返しなさい

龍斗「早く返しなさい」

シロ「や」

カードを隠すシロ。

シロ「これ、返したら、また、リュートさん……」

じわ、とシロの目に涙が浮かぶ。

龍斗「俺のことを考えてくれるのは嬉しいけど、やりすぎだ」

シロ「この、やりかた、じゃないと……」

安価下1
1、そういうやりかたは嫌いだ
2、シロらしくない

龍斗「シロらしくない」

シロ「……え?」

俺のためになると思ってやったこと。
それを否定されたシロは驚いているように見えた。

龍斗「シロの全部は知らない。そもそも、シロっていう名前自体が偽名だしな」

龍斗「だけど、少なくとも俺の知ってるシロなら、そんなことしない」

一緒にいる時間はまだ少ないけれど、それだけは言える。

シロ「…………」

龍斗「だからシロ、それを二人に返して謝ろう」

龍斗「俺も一緒に謝る」

シロ「……なんで……」

龍斗「仲間だからな」

シロ「……そっか」

シロ「べつの、やりかた、あったんだ」

俺の気持ちが伝わったのか、シロは安堵の表情を浮かべる。

龍斗「あぁ。シロのやりかたを見つければいい」

シロの手を取り、二人のもとへ行こうとした矢先、

?「……甘すぎる」

それが現れた。
俺が召喚された時、シロの反対側にいた黒服だ。

黒「それがお前の選択か」

シロ「リュートさんは、わたしの、仲間……」

シロ「だから、信じる……!」

黒「……そうか」

黒服が俺をみた。

黒「お前がこっち側にいたら、どうなったのだろうな」

黒「……今はもう関係ない、か」

ふっ、と黒服は消え去った。

龍斗「……いきなりなんだ?」

言いたいこと言って消えたぞ。

シロ「早く、行こ」

俺の腕を掴んで、ぐいぐい、と引っ張っていく。

二人のいる部屋をみつけ、そばに近寄ると、

グリン「サボってないです!」

エルー「愚痴ってないです!」

二人して言い訳タイム。
それを聞き流すシロ。

シロ「……ごめん、なさい……」

ポイントカードを二人の前に出し、頭を下げるシロ。
続けて俺も。

龍斗「俺からも謝る! すまなかった!」

二人はきっと、きょとんとしてんだろうな。

あれから数分後。

二人はいまだにシロから離れようとしない。

グリン「いやー、あれ以上に恐ろしい体験をしたはありませんね」

エルー「自分の心臓を握られてるのと同じだからねー」

目的はもちろん復讐。
自由を手に入れた途端これである。

シロ「……だから、ごめん、ってば……」

受け入れるしかないシロ。

龍斗「その辺にしとけって。また泣き出すぞ」

ひとつ問題が解決したら新たな問題出現とか、そんな問題集はいらん。
答えが載ってるなら嬉しいけど。

とにかく、この騒動は(黒服を除いて)一件落着したのであった。

安価下2ほど
さて、この後は何しようか

そういや、俺の耐久ってどれぐらいのものなんだろ。

ふとそう思った。

高耐久高耐久と思ってはいるが、それがどのくらいなのかまだ分からないのだ。

龍斗「エルー、ちょっといいか?」

エルー「ん?」

俺に呼ばれてシロいじりをやめるエルー。

龍斗「ちょっと特訓に付き合ってくれよ」

エルー「本気でいくけど、いいよね?」

龍斗「お、お手柔らかに」

ただボコられるのもアレなので、他にもいろいろと試す良い機会だ。

直後コンマ
偶数→エルーはヌンチャクを装備した
奇数→エルーはヌンチャクを放棄した

――シロの城 庭――

龍斗「あれ? ヌンチャクは?」

エルー「タツミの特訓に付き合うんだから、あたしの特訓にもさせてもらうよ」

つまり脚技でいくと。

『あたしって脚技の方が威力出るみたい』

不吉な言葉が脳内で再生された。

エルー「準備はいいー?」

龍斗「ど、どーにでもなれー!!」

エルー「先手必勝!」

グリン「自分に負けたけどね」

外野から精神攻撃が入った。

エルー「っ!」

効果はバツグンのようだった。

あきらかに動きが鈍っている。

エルー「こ、これは最初から脚でいくって決めてるし……」

エルー「だからあの時と違うしぃー!!」

いや、違うわ。
どうみても本気コースまっしぐらですわ。

エルー「うりゃぁ!!」

その場で片足を振り上げ、勢いよく落とす。
衝撃で地面が割れ、それが俺に向かってくる……!

龍斗「って、そんなんアリかよ!!」

しかし、落ち着いて考えれば、左右に避ければいいだけだった。

龍斗「よいしょ」

エルー「あぁ!」

グリン「また最初の一撃外しましたね」

エルー「ぐっ! まだまだっ!」

龍斗「さて、俺からもやってみますか」

安価下1
1、危険だけど近接攻撃
2、危険だけど魔力集中

何故か知らないが、魔力の適正がある俺。
今はその攻撃方法を身につけるチャンスだ。

思い出せ。俺は確かに力を感じた……。

シロが初めて泣いたあの時のこと。
あの時は泣き声に驚いて出来なかったこと。

グレイのムカつく瞬間を切り取り、俺はあの時の感情を思い出す。

エルー「なに立ち止まってんの! 蹴るには丁度いい的だぁ!!」

龍斗「ホントなんなんだよ!! あのバカ野郎!!」

両手を前にやり、そこにはいないグレイを押し倒す。


直後コンマ
01~33→右手から火炎放射
34~66→足元から氷壁出現
67~99→左手から放電発射
00→蹴られました

瞬間、俺の右手が熱い。

それもそのはず、物凄い勢いで炎を噴いているのだ。

エルー「あっつ! あっつ!!」

俺に向かっていたエルーはそれをモロに浴びる。
……焼死体になるなよ。

なんてことを冷静に考えていても炎は止まらず。

エルー「おい! いい加減消せ!」

怒鳴られた。
いや、消えねぇんだって!!

龍斗「誰か! 水! 水を早く!!」

数十秒後、俺は水浸しになった。
特訓は中止となり、一応俺の勝ちとなる。

エルー「エライ目にあった」

龍斗「悪かった。初めて魔力とやらで攻撃したから加減が分からなかった」

エルー「あんなの負けとカウントしないからね!」

グリン「一度も攻撃が当たらなかったエルーと、一発喰らわせたリュウト」

グリン「中止とはいえ、どっちが勝ちにみえる?」

エルー「……!!」

声にならない悲鳴である。
グリンよ。そのくらいにしたらどうだ。

エルー「タツミ!」

龍斗「はい!」

エルー「次はきちんと魔力を制御しなさいよ!」

龍斗「努力します!」

安価下1
1、けど自信がありません!!
2、魔力の制御ってどうするんですか!?

龍斗「魔力の制御ってどうするんですか!?」

エルー「はぁ!?」

龍斗「この世界のこと、何も知らないわたくしめに魔力の制御方法の伝授を!!」

龍斗「エルーさんはそれに詳しいのではないかと!」

エルー「ほぉ。一応根拠を聞こう」

龍斗「ヌンチャクが根拠であります!」

エルー「覚えてたんだ」

龍斗「イェスマァム!」

エルー「……その話し方、疲れない?」

龍斗「ぶっちゃけ疲れる」

さぁ、楽しい楽しいエルー先生の授業が始まるよー。

エルー「魔力は、様々な魔法を使うのに必要ってことは分かる?」

龍斗「まぁなんとなく」

エルー「魔力の質にも個人差があることは?」

龍斗「質?」

エルー「そこからかぁ。いい? あんたみたいに炎を使うやつは、いわゆる『火属性』」

エルー「炎の扱いには長けてるけど、それ以外は全然ダメ」

龍斗「分かりやすい」

エルー「あたしの魔力は説明がめんどーだからパス」

龍斗「えー」

エルー「で、肝心の制御方法だけど、これにも個人差があんのよ」

エルー「共通して言えるのは『感情』ね」

エルー「その人のある感情が高ぶると、それが媒介となり、魔力になる」

エルー「魔力が発生すれば、当然魔法だって使える」

龍斗「なるほどぉ」

エルー「でも、行き過ぎた感情は暴走するわ。あんたみたいに」

龍斗「……俺は行き過ぎたの?」

確かに、怒りの感情を爆発させた感は否めない。

エルー「そのあたりが制御できたら、魔力は使えるようになる」

龍斗「ならエルーはどんな感情を媒介に?」

エルー「あたし? 絶対に負けるか! っていう『根性』かな」

それでも二度、負けたじゃないですか。

というグリンの言葉が聞こえてきそうだ。
言わないでおこう。

エルー「分かった?」

安価下2ほど
1、分かった!
2、質問だよ!(質問内容)

龍斗「分かった!」

エルー「なら、これでおしまい」

エルー先生ありがとう!

……。
なにやってるんだろ。

はいおわりおわりー。

さて、次は俺の知らない世界を誰に聞こうか。

安価下1
偶数→シロ
奇数→グリン

安価下2
聞きたいこと

龍斗「じゃ、次はグリンに聞こうかな」

グリン「自分が説明できることなら」

龍斗「この戦いが始まった理由を教えて」

グリン「戦いの始まりですか?」

龍斗「うん」

戦いの理由は『シロの親孝行』。
なら、それを何故『みんなでやる』必要があるのか。

そもそもどうしてこれが親孝行になるのか。

疑問だらけの戦いなのだ。
きっと、ここにはいないグレイなら全て知っているだろう。

グリン「そうですね。自分が参戦した理由は、お金がもらえるから。ですね」

グリン「戦いそのものが始まった理由は、アレがそうでしょう」

そういって窓をゆびさす。
あの外に何があるというのか。

窓に近寄り、外をみる。

そこにあったものは……、

なんてことない、ただの巨大モニター。
かなりたくさんあり、上を見上げればいやでも目に入る。

てかそんなのあったのか。気付かなかったぞ。

エルー「あぁ、アレね。最近ついてないから忘れてたわ」

龍斗「あれが何だってんだ?」

グリン「この戦いが始まる三日前から毎日、ルール説明が流れてたんです」

グリン「そして三日後、モニターから戦争開始の合図が出たんです」

シロ「……イヤって、言ったのに……」

龍斗「うーん?」

どうやらまた謎が増えたみたいだ。
あのモニターからルール説明と戦争開始の合図があった。

でも、このシロの反応からすると……アイツが関わってる気がする。

グリン「自分が知ってるのはこのくらいですかね」

安価下2ほど
1、分かった
2、質問タイム

龍斗「シロ」

シロ「……なに?」

龍斗「グレイって何者?」

本人に聞いたらはぐらかされた質問をシロに。

シロ「……それは、……」

グレイ「いわゆるゲームマスターってやつ?」

龍斗「…………」

グレイ「シロ、もういいよ。さすがに隠すの難しくなってきた」

突然現れたコイツに驚き、誰も声が出せない。
……たった一人を除いて。

シロ「だから、そう言った」

グレイ「確かにね。モニター使わないで最終結果まで粘るってのは厳しかったな」

グレイ「あ、みなさんどーも。ゲームマスターでーす」

グレイ「お二人さん、特別ボーナス使った?」

興味の対象がグリンとエルーに向かった。
……特別ボーナス?

グリン「使おうとしたら」

エルー「カード奪われちゃって」

シロ「ちゃんと、返した」

グレイ「あーやっぱりそうなったかー。こっちにきてんじゃないかと思ったけど、正解だったね」

シロ「もう、帰ったよ」

グレイ「うっそ、スレ違い? また戻るのかぁ」

龍斗「お、おい待て待ていろいろ聞きたいことあるんだよ!」

グレイ「ごめんねりゅうくん。私も仕事だからさ」

じゃあね。と言って消えた。

――――
ネット回線くんの調子が悪いので終了です。
書き溜めたぶんは回復次第投下します。
申し訳ない。

――次回予告的存在――
謎がひとつ解決! 謎がひとつ出現!
このループはいつまで続くのか!
次回へ続く!

龍斗「アイツには逃げられてばかりだな」

でも、ひとつ収穫した。
グレイはゲームマスターである事実。

龍斗「それがなんだってんだよ!」

エルー「どうしたの。こんなとこで魔力暴走はやめてよね」

龍斗「また後で考えるか……」

グリン「急に冷静になるのやめません?」

どうすりゃいいんだよ。

龍斗「ところでお前ら、黒服のやつ知ってるか?」

グリン「黒服……それって敵国の?」

龍斗「そうそうたぶんソイツかも」

エルー「どっちなのよ……。確か敵国の大将でしょ。こっちはシロさんで」

龍斗「そんで?」

グリン「自分たちはそこまでしか。シロさんの方が詳しいのでは?」

龍斗「まぁそりゃそうか」

知らない相手と喧嘩なんてできるわけない。

シロ「……」

少し考え込んでいる様子だ。
言葉を選んでいるのかもしれない。

シロ「かわいそうな、人、かな」

龍斗「かわいそう?」

あの黒服には似合わない言葉だ。
落ち着いていて、まるで悪役のようなセリフ吐いて消えて。

……いや、最初、俺と話したとき、

『望むもの、全てやろう』

あの言葉に裏があると感じた。
でもグレイは、

『裏なんてないよ』

きっぱりと断言した。
そういう疑われるような言動をするとこが、かわいそう、ということだろうか。

そんなことを考えているとシロが俺の腕を引っ張ってきた。

龍斗「シロ?」

シロ「行かない、よね?」

龍斗「……どこに?」

エルー「どっか行く予定でもあるの?」

龍斗「初耳なんだけど」

シロ「……」

呆然とした顔で俺を見つめてくるシロ。
急にどうしたの? ねぇ。

シロ「よかった……」

安価下1
1、深く追及はしないでおこう
2、俺がどこに行く気だったのか聞いてみる

龍斗「どこに行こうとしたのか教えてくれよ」

このままじゃ気になって眠れそうにない。

シロ「……むこう」

龍斗「どこだよ……」

やれやれ。シロの考えてることはたまに分からん。

グリン「もしかして、さっきの黒服がどうこうとかのと関係してます?」

龍斗「あー、それか。でも、特に大したこと言ってなかったぞ」

シロ「…………」

また呆然として俺を見つめるシロ。

安価下1
1、変なこと言った?
2、大したこと言ってた?

龍斗「大したこと言ってた?」

『お前がこっち側にいたら、どうなったのだろうな』

『……今はもう関係ない、か』

あまりそうは思えないな。

シロ「あの人、リュートさんを、誘った」

……えーと?

龍斗「逆に諦めてなかった?」

シロ「……翻訳、する」

『なんでこっちに来なかったの? 黒は嫌い?』

『……今でも待ってるよ』

シロ「だいたい、こんな、感じ」

龍斗「…………」

別人じゃん!!

龍斗「だからシロは俺のことを心配してくれた、と?」

シロ「うん」

……あの黒服さん、素直に喋るということを学んでください。
意思疎通ができません。

龍斗「なんだかなぁ」

龍斗「俺はシロに翻訳されるまで全く分からなかったよ」

シロ「……ホント?」

龍斗「ほんとほんと。まるで意味が違うからな」

シロ「じゃあ、ホントに行かない?」

安価下3までコンマ高いやつ
1、行かない
2、挨拶程度なら行く
3、行く

龍斗「行かない行かない」

誰が好んで胃もたれする環境に行くもんか。

シロ「……よかった」

エルー「敵国に乗り込んで暴れまわるのもいいけど」

グリン「それやったら逆に返り討ちになりそうですね」

龍斗「ありえる。お前が人間相手に勝ったとこ見てないもん」

エルー「この二人……!」

龍斗「さーて、ここで暴れまわられるのも厄介だし、敵探しでもすっかぁ」

直後コンマ
偶数→いた
奇数→いない
ゾロ目→???

龍斗「おぉ、いるいる」

感知スキルで敵確認。

エルー「どこにいるの!?」

やる気でいらっしゃる。頼もしい。

龍斗「位置的には前回と同じとこっぽいな」

リベンジとしてはいい機会だ。

グリン「次はどんな敵でしょうか」

龍斗「行ってみるまでは分からねぇよ」

エルー「よし、行くよ!」

直後コンマ
数字→大きい~小さい
敵強さ→強い~弱い
敵の数→少ない~多い

――外――

龍斗「うわ~、ありゃなんだ」

遠くからでも分かるうようよいる影。

エルー「雑魚共が集まってるよ」

グリン「残念です」

龍斗「あんなのお前らなら数秒で片付くんじゃね?」

ただでさえ中型らしいのをあっというまに倒したじゃん。

グリン「でも今回からはチームとして動くんですよね?」

龍斗「まぁ、俺も経験積んだほうがいいだろうからな」

ここまできて、まだ敵の姿すらしっかりと確認していないし。

エルー「あの雑魚共なら最適じゃない」

シロ「気を、つけて」

――敵残り ??――
下1コンマ、龍斗
偶数→とりあえず攻撃
奇数→魔力の練習で炎攻撃

下2コンマ、グリン
偶数→我慢できず敵陣へ突っ込む
奇数→近くの敵を撃破

下3コンマ、エルー
偶数→ヌンチャクで範囲攻撃
奇数→脚技で突撃

――敵の群れと遭遇――

こいつらの攻撃ならたぶんノーダメでいけるよな?
でも一応、

龍斗「俺は魔力攻撃の練習をこいつらでするから援護頼む」

グリン「分かった」

近くにいるスライムの出来損ないみたいな敵を殴って倒すグリン。

エルー「ちょっと数かぞえてくる!」

無理やり敵を蹴飛ばし、群れの真ん中にいくエルー。
……敵相手だと攻撃当たるんだな。

龍斗「さて、感情を魔力に変換……」

どのくらいまでなら怒って平気なんだ?
それを探すのも一苦労な気がしてきた。

――敵残り 71――
直後コンマ
偶数→小さい火の玉発射
奇数→何もでない……

龍斗「…………」

何も感じない。

グリン「ねーまだですか?」

近くの敵を殴り倒しながら聞いてくるグリン。

エルー「早くしないとまた出番なくなるよ」

敵の群れの中心地にいるエルーがだんだんはっきりと見えてくる。
それほど敵を倒したのだろう。

龍斗「…………ダメだ! 集中できん!!」

右手が熱くなってこない。
意識して怒るって簡単そうで難しくない!?
しかも加減しないと暴走するんでしょ?

俺、魔力の適正あるんだよな?

――敵残り 46――
安価下1
1、直接攻撃に切り替え
2、魔力攻撃を続行

龍斗「……あきらめちゃ、ダメだよな」

しょうがない、癪だけどまたムカつくグレイの思い出でも……。

まさかアイツ、このことを見越してわざわざ俺を怒らせる真似を?

……ないな。考えすぎか。

にしてもいちいち魔力使う度にアイツを思い出すことになるなんて。

そう思うと腹立ってくるな……。

なら、この気持ちを出来るだけ大きく、大きく。

だけど抑えて、何事も適度が大事……。

右手を意識すると、熱くなっている。

龍斗「今ならイケる気がするっ!」

ここまでの感情を魔力に、それを解き放つ……!!

――敵残り 14――
直後コンマ
偶数→敵に向かって炎攻撃!
奇数→狙って撃ってない! グリンへ攻撃
ゾロ目→???

炎を飛ばした先には、

龍斗「……あっ!」

感情を魔力にすることに夢中になっていた俺。

つまりは、その、狙いを忘れていた。

グリン「背中が熱い!! なにやってんですか!!」

炎の餌食となったのはグリンだった。
マジゴメン。

エルー「おっまっえーーー!!!」

頭上からやってくるエルーさん。
仲間が彼氏を攻撃したら、そら怒るよね。
うん、これ死んだ。
バイバイ。

エルー「覚悟は?」

龍斗「できております」

パーティ戦二回目。
倒した数 96
負傷者 1

安価下3まで多数決
目覚めたら……
1、泣きじゃくるシロがいる
2、ここ、どこだろう

――――
安価決定した直後ですが、リアル事情のため終了です。


――次回予告的存在――
次は狙いを定める練習だ!
練習しないと実戦じゃ意味ないぞ!
次回へ……続けられる身体かなぁ。

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