【安価・コンマ】プリズマ☆イリヤ【オリキャラ】 (139)
fate関連で>>1が知っているのは
・ Fate/stay night
・ Fate/hollow ataraxia
・ Fate/Zero
・ Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ(アニメと単行本)
・ Fate/unlimited codes
それ以外は把握していないのであしからず
※以前立てたやつの立て直しスレ
酉は忘れました
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1500209925
もちろん靴下の誓いは見るんだよな?
一応キャラは以前のスレのままで、また冒頭から始めていきます
本編はもう少ししてから
主人公は男が良い
期待
前スレのURL貼ってくれるとありがたい
>>2
初日に見てきます
>>4
以前のスレで決まってるので、すいません
>>5
かなり早期にエタってるのでお恥ずかしいですが↓
【安価・コンマ】プリズマ☆イリヤ【オリ主】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1488382728/)
名前 中村アリア
性別 女
大まかな年齢 小学生(イリヤ達と同い年)
性格 穏やかで優しいが芯は強い
冬木には? 元々いた
魔術に関しての立ち位置は? 何も知らないけど実は……
容姿 小学生にしては巨乳
家族構成 誰もいない
住居 施設で暮らしている
名前 シャルロット・スターガーデン
性別 女
大まかな年齢 高校生(凛達と同い年)
性格 凛としていてお人好し
冬木には? 凛達と同じように来日
魔術に関しての立ち位置は? ルーン魔術に優れた名門の出
容姿 銀髪巨乳のお嬢様
住居 一人暮らしの住まいがある
名前 パール
備考 ルビー、サファイアと同じカレイドステッキの三女。キャス狐みたいな口調
私立穂郡原学園 小等部。
冬木市に構える、それなりに大きな学園。
その学園の小等部の、とある教室。帰りのホームルームが終わって友人との雑談を楽しんだりする生徒が多い中、一人の女子生徒が勢いよく教室を飛び出そうとしていた。
美々「あれ? イリヤちゃん、もう帰るの?」
龍子「なんだよー! もっと遊んでこうぜ!」
那奈亀「学校って遊ぶところじゃないと思うぞ?」
雀花「用事でもあるのかー?」
クラスメイト達に呼び止められ、銀髪の少女――イリヤスフィール・フォン・アインツベルンが振り向く。
イリヤ「ごめーん! 今日はちょっと用事があるんだー!」
用事があるのにも関わらず呼び止められているのだが、笑顔で答える態度。
これがイリヤの持つ人柄なのか、件の用事を思って嬉しさを隠せずにいるのか。はたまたその両方なのか。
美々「なんだぁ。それなら仕方ないね」
龍子「俺達よりも大事な用事があるっていうのかぁ!!」
那奈亀「うっさい」
イリヤ「あはは……。そ、そういうわけだから。バイバイ!」
いつもと同じ様子のクラスメイトに苦笑いをするイリヤ。
アリア「…………」
イリヤがクラスメイトに見送られている光景を眺める女子生徒。
名は中村アリア。イリヤ達とはクラスメイトとしての最低限の関係しかない。
アリア「いいなぁ……」
このクラスの中で一番グループ間の仲が良いイリヤ達を見て思わずそんなことを呟く。
アリアは別段暗い性格でもなければ、人付き合いが苦手なわけでもない。
しかしアリアはこのクラスで若干浮いている存在だった。
アリア「帰ろっと……」
ランドセルを背負い、アリアもイリヤに若干遅れる形で教室を出る。
しかしそのアリアを呼び止めるクラスメイトは誰もいなかった。
――――。
冬木市児童養護施設。
アリアはこの施設で生活を送っていた。
この施設の経営者が自由を基本の考えとしていることもあり、最低限の規則を守ればあとは自由に行動することができた。
アリアはこの施設では本来の自分を出せていた。
穏やかな性格ではあるものの、決して嫌われる性格をしていないアリア。理由は違えど同じ境遇の人間がいることもあり、アリアはこの施設での生活を楽しいと思っているのだ。
朝起きて学校に行き、夕方に帰ってきて施設の友人や職員を遊ぶ。
夜は決まった時間に寝なければいけないけれど、たまにする夜更かしがアリアはたまらなく好きであった。
アリア「もう夜かぁ……」
入浴の時間も終わり夜。
アリアは施設内にある倉庫の壁に背を預け、空を見上げていた。
アリア「……あれ?」
星が輝く空を見上げているアリアがふとある一点を見つける。
夜の空に瞬く光がまるで花火のように瞬いているのだ。
しかしそれは当然花火ではない。
花火ではないのだが――それならば、あの光はなんだというのだ?
アリア「なんだろあれ……うーん……?」
目を凝らしてその光を見ていると、途端に変化が訪れた。
先ほどまで円を描くように回っていた光を中心として三方向に別れたのだ。
一つは右へ。一つは左へ。
そしてもう一つは――アリアに向かって。
アリア「え? え?」
その状況に呑み込めず戸惑うアリア。
しかし光は勢いを弱めるどころか強くしてアリアに向かって飛んでいき、その寸前で停止する。
アリア「なにこれ……? 浮いてるけど、ラジコンか何か……?」
目の前に浮かぶその代物を見てアリアは息を呑む。
それはまるでアニメや漫画に出てくる魔法少女が持つようなステッキであった。
「――――!!」
アリア「あれ? 何か聞こえた?」
誰かの声が聞こえたような気がしてアリアは周りを見るが、人影がない。
なら、今の声はどこから?
「そこの女の子。ちょっとよろしいですか?」
アリア「えっ? ……も、もしかして貴方が喋って……?」
周囲に自分以外の人影は見当たらない。
そうなれば必然的に声の主は目の前のステッキになり、アリアが震える声で口を開く。
「ええ、当然です」
アリア「当然なの……?」
「それよりも! 貴方のお名前をお聞かせ願いたいのですが!」
困惑するアリアを尻目に話を進めるステッキ。
アリア「な、中村アリアです!」
強めの口調に思わずステッキ相手に敬語になってしまうアリア。
「アリア様ですか。素敵なお名前ですね」
アリア「ど、どうも……」
名前を褒められ思わずお辞儀をするアリア。
しかしその相手がステッキとなればとてもシュールな光景が広がっていることになる。今のアリアにそこを気にする余裕はないのだが。
アリア「そ、それで貴方のお名前は……?」
「よくぞ聞いてくれました! 私の名前は――」
そうして目の前のステッキは胸を張るかのごとく持ち手の部分を反らし、告げた。
パール「――パールと申します! 愛と正義のマジカルステッキ、マジカルパールとお呼びください!」
アリア「パール……? い、良い名前ですね」
パール「ありがとうございます。さすが次なる魔法少女候補に選ばれただけのことはありますわ」
アリア「魔法少女?」
パールと名乗るステッキが発した言語が理解できないアリア。
それくらい現実味がない言葉であり、しかしそれゆえにアリアの興味を引き付けるには充分であった。
パール「はい。小細工無用の真っ向勝負。早速本題に入るとしますわ」
そうして少女の目の前に浮かぶステッキはまるでそれが当たり前だと言わんばかりに告げる。
パール「アリア様! 私を手に取って悪と戦いましょう! 今日からアリア様が私のマスターでありますわ!」
突然目の前に舞い降りた奇っ怪なステッキ。
そのステッキからの突然の申し出に、ただの女子小学生でしかないアリアは困惑することしかできなかった。
とりあえず終わり。
冒頭からしばらくは安価はほぼ無いかもしれません。
お疲れ様でした、また改めてよろしくお願いします
第1話 魔法少女爆誕?
アリア「……魔法少女?」
単語としての意味は知っていた。
アニメや漫画等でよく見る、女の子が憧れるアレだ。
パール「ええ。魔法少女です」
困惑するアリアを尻目にパールと名乗ったステッキは話を続けていく。
パール「魔法少女は素敵ですよ。アリア様くらいの年齢の子なら誰もが憧れる、まさに夢のような存在!」
アリア「え、ええっと……」
パール「というわけでどうです? 全少女の憧れの的である魔法少女になれる機会なんて今しかないですよ! やるなら今です!」
アリア「そんなポイントカードの宣伝みたいなこと言われても……」
魔法少女にならないかと必要以上に迫ってくるステッキ。
アリアの知っている現実では到底起こりえないことであったが、それでも冷静に頭が働いているあたりはどういうことなのか。
パール「やるなら今! さあさあ! どうですか? 損はさせませんよ!」
なおも迫ってくるパールにどうしたものかとアリアが困っていると、施設の壁をよじ登ってアリアの前に現れる一人の人間がいた。
シャルロット「見つけたわパール! よくも見捨ててくれたわね……!」
アリアとパールの前に現れたのは銀髪が印象的な女性だった。
凛とした雰囲気を放っていて、普段は毅然とした態度で立ち振る舞っていることが想像できるタイプである。
もっとも今は怒りに身を震わせパールを睨んでいるのだが。
パール「何を言いますか。私は見捨てたのではなくシャルロット様がマスターであることに不満を感じたのです。いわば逃亡ですわ」
シャルロット「もう少しオブラードに包むことはできないのかしらね……! ん? そっちの子は?」
ここでシャルロットがアリアへと意識を移す。
アリア「ど、どうも」
パール「私の次期マスター候補……いえ、マスターです」
アリア「ええっ!?」
シャルロット「ちょっと! こんなちいさな子を巻き込んだってーー」
パールの言葉を受けて驚きを隠せないシャルロットであったが、すぐに値踏みをするかのごとくアリアに視線を送る。
シャルロット「…………」
アリア「あ、あの……? どうかしましたか?」
困惑するアリアを尻目に視線を巡らせること数秒。
そうしてじっくりとアリアを見たところでシャルロットは表情を真剣なものへと変えて口を開いた。
また夜頃に
シャルロット「もしかして――魔術師の関係者だったりしないかしら?」
ゾッとアリアは背筋が凍った気がした。
魔術師という単語は身に覚えがないはずだった。しかし、何故かアリアはその単語が引っかかって仕方ない。
アリア「……知らないです」
中村アリアは普通の家族に生まれ、普通の人生を歩んできた。
今はこうして施設で暮らしているけれど、それ以前の人生は年相応の少女が送るに相応しい人生であるはずだったのだ。
シャルロット「ふうん……そう」
パール「何はともあれ! もう私のマスターはこのアリア様に決めたのです! シャルロット様はもう少し己の感情のコントロールを身につけてから出直してください!」
シャルロット「ぐ」
パール「そんなんだからリン様やルヴィア様の喧嘩に巻き込まれるのです! 仲裁役をするならまだしも、火に油を注ぐようなことをするなんて……私のような優雅な存在のマスターにはふさわしくありません!」
シャルロット「こ、のっ……! 魔術礼装のくせにマスターを選ぶなんて贅沢をするなんて……!」
アリア「あ、あのー……」
見知らぬ女性とステッキの奇っ怪な喧嘩を眺め、居心地が悪そうにアリアが口を開く。
パールの口ぶりを察するに自分は既に喧嘩に巻き込まれているようだが、それでもここで喧嘩を続けられたらアリア自身の立場も危うくなる。
パール「アリア様~、この哀れなステッキを助けてください~!」
パールがアリアに泣きつくように近づいていく。
アリア「え、ええっと……」
アリア「よくわからないけど……何かできることがあるなら協力しますっ」
中村アリアは根本的にこういう場面に出くわしたり巻き込まれたら首を突っ込まずにはいられない質だった。
良い言い方をすれば優しい人間という表現があるが、悪い言い方をすればお人好しというだろう。
シャルロット「ちょっ」
パール「音声認識により承諾を確認! これより必要過程をすっ飛ばしてマスター登録に入りますよー!」
アリアの言葉を待ってましたと言わんばかりにパールは勢いを強くしてアリアに向けて飛来する。
パール「さあアリア様! 私を掴んでくださいまし!」
アリア「あ、うん!」
シャルロット「言われるがままに掴んでんじゃ――!?」
シャルロットの声も虚しくアリアの手の中にパールが吸い込まれていく。
そうしてアリアの華奢な手の平にパールが握られ、次の瞬間には周囲に光が放たれた。
パール「これで私のマスターはアリア様になりました! 純真無垢なロリっ子マスターゲットです!」
アリア「ロリっ子マスター!?」
シャルロット「パール! 貴方、本気なの!?」
この流れでパールが何をしようとしているのか感づいたシャルロットが叫ぶが、パールはそれも無視して続けていく。
パール「コンパクトフルオープン! 鏡界回廊最大展開!」
アリア「え? ええっ!? 何が始まるんですか!?」
パール「新生カレイドパール! プリズマ☆アリア爆誕ですわー!!」
光が消え、クリアになった世界に現れたアリアの姿は一変していた。
白色のウエディングドレスのような服装。まるで結婚式に赴く新婦のような姿となっていたのだ。
アリア「……ええっ!? な、なにこれ!? 魔法少女……ではないと思いますけど!?」
パール「凄くお似合いですよアリア様~! 小学生にして早くもウエディングドレスデビューとは罪作りな人です……」
パール「全く、どこぞの元マスターとは大違ぐぺっ!?」
アリアの手に握られたパールがシャルロットにひったくられる。
シャルロット「貴方……こんな小さな子供を巻き込むなんて何を考えているの!?」
パール「ですが! 私達の力は魔法少女に相応しい人間に与えられるべきです! シャルロット様のようなお方にはいささか荷が重いというか」
シャルロット「ていっ!」
パール「ぐえっ」
パールの口上を遮るように地面に叩きつけるシャルロット。
そうしてシャルロットはやれやれと首を振るい、やがてアリアの方を向いた。
その顔はやけに真剣な表情をしていて、アリアの背筋を否応なく正すほどであった。
アリア「あ、あの~……」
シャルロット「無関係な子……いや、小さな子を巻き込むのは不本意というか……本来ならするべきではないのだけど」
無関係な子。小さな子。
それが誰を指すのかわからないほどアリアは察しが悪くはない。
アリア「巻き込むって……何にですか?」
シャルロット「恨むならそっちのステッキを恨んでもらいたいわ。わたし達にもやらないといけないことがあるの」
パール「ってことは!」
シャルロット「貴方は少し反省をするべきだと思うわよ! ……ええっと、単刀直入に言うわ」
ごほんと咳払いをしてシャルロットは告げる。
シャルロット「わたしはシャルロット・スターガーデン。これから長い付き合いになるだろうから、自己紹介はしておくわね」
それは家族を失い非日常に落ち、それでも日常を送ってきたアリアに対して――
シャルロット「貴方にはこれからわたしに対して協力をしてもらう。拒否は許さないし、認めない」
再び非日常へと連れ込むような――
シャルロット「今から貴方は魔法少女よ!」
――そんな宣告だった。
【中村アリア】
【転身時の姿】白ウエディングドレスベースのロングスカート
筋力 E
耐久 A
俊敏 E
魔力 B
幸運 A
たぶん特に意味のないであろうステータス
アリア「はぁ……」
翌日の朝。施設を出て小学校に向かうアリアであったが、その足取りは重かった。
しかしそれは小学校に行くのが苦痛とかそういうのではなくて。昨日の出会いと一連の流れをまだ受け入れきれていなかったからだ。
アリア「どうしてこんなことになったんだろう……?」
パール「浮かない顔をしてますねアリア様。しかしご心配に及びません、何事も慣れるまで時間が必要ですから」
こんなことになった原因の一つであるパールの声がランドセルから聞こえてくる。
本当は学校に連れて行くのも抵抗があったアリアであったが、施設に放置したままで何かおかしなことをされても問題がある。選択肢は一つしかないようなものだった。
パール「それにしても、私が気になるのはシャルロット様以外のマスターが誰になったかですわ」
アリア「それってわたし以外にこんなことに巻き込まれた人が居るってことだよね?」
パール「巻き込まれたとは心外な! 同意の元の契約、です!」
アリア「物は言いようってこういうことを言うのかもしれないね……」
こうして喋るステッキと行動を共にすることになっても、アリアを取り巻く日常は変わらない。まずは学校に行かなければ……。
直後コンマ判定
0~2で登校中のイリヤと士郎に遭遇
それ以外で何事もなく学校へ
――――。
そうやってランドセルに隠れたパールと話をしながらアリアは何事もなく学校へとやって来た。
美々「あれ? 雀花ちゃん、寝不足?」
雀花「あー……まあ、ちょっと色々な」
クラスの生徒達がそれぞれ思い思いの話で盛り上がっているのが視界に入る。
パール「それじゃあ私は放課後までこのままランドセルの中に隠れさせていただきますね」
アリア「絶対に出てこないでよ?」
念を押す形で言うアリア。
パール「了解です、マスター」
アリアの言葉にパールがそう答え、以降は喋らなくなる。
最初はどうなることかと思っていた件だったが、パールはどうやらマスターとなった人間の言うことは素直に聞くらしい。
……だからこそ元マスターであるはずのシャルロットと何が原因で仲違いをしたのか、気になるところではあるが。
アリア「…………」
時間になるまでの間、アリアは昨夜のことについて思い返すことにした。
シャルロットから受けた説明。とりあえず忘れない意味も込めて反芻するに越したことはないだろう。
――。
シャルロット「さて。それじゃあ一通り説明はしておかないといけないわね」
アリア「よ、よろしくお願いします」
倉庫の物陰。ある程度は人目につかない場所を選んで二人と一本は向かい合うように座っていた。
シャルロット「改めて自己紹介をしておくわ。わたしはシャルロット・スターガーデン。ロンドンの時計塔って場所から来た魔術師――まあ、簡単に言うなら……魔法使いと思ってくれて構わないわ」
アリア「魔法使い……」
シャルロット「意外と驚きが薄いわね」
パール「もうちょっと大きい反応があると思っていたのですがねぇ」
アリア「……もうある程度のことに驚いてちゃ事態について行けないってことがわかったので」
パール「どうしてそこで私を見るのですか?」
シャルロットが魔術師という事実より何倍も奇っ怪な存在であるパール。
しかし当の本人は素知らぬ様子でそんなことを言う。
シャルロット「器の大きいことね。まあそっちの方が説明をする側としては話が早くて助かるんだけど」
そう言いながらアリアを見るシャルロットの視線は何か含みがあるようにも見えた。
パール「ちなみに補足説明をしておきますが、シャルロット様はこう見えても魔術師としての実力はかなり高いことで有名です。得意魔術はルーン魔術というものですわ」
アリア「――ルーン魔術?」
シャルロット「強化や発火、索敵……まあ種類は多種多様ね。一応時計塔ではそれなりに高い成績ではあったから、そっち方面での活躍は期待してくれて構わないわ」
パール「ステッキに見限られたくせにえらい強気な態度ですねぇ」
シャルロット「うるさいわ。……で、本題に戻るけど。わたしがロンドンにある時計塔からこの街に来たのには理由があるの」
凛とした態度でアリアを見据えるシャルロット。その様子からかなり真剣な話をしようとしているのが伺えた。
シャルロット「この冬木市にはカードと呼ばれる魔術的代物が眠っているようでね。悪意ある人間が使えば街一つを滅ぼすなんてことは容易いくらいのものが」
アリア「滅ぼ――!?」
突然の言葉に今度は驚きを隠せずにいるアリア。
シャルロット「それを悪用される前に回収するのがわたしの目的というわけ」
パール「つまり秘密裏に暗躍する工作員とかを想像して頂ければ問題ないかと」
シャルロット「間違ってはないんだけど、もう少しまともな例えは思いつかなかったのかしらね……?」
やれやれとため息を吐くシャルロットは何やら少し不満そうにも見えた。
パール「本当なら実物を見せればわかりやすいんでしょうけど、あいにくカードは二枚しかないですからね」
シャルロット「それもわたし以外の二人が持っていて、今わたしの手にカードは一枚もない……まあ、今更そこを愚痴ったところで仕方ないけど」
アリア「二人、って?」
パール「この任務を与えられたのはシャルロット様だけではないってことです。リン様とルヴィア様というお仲間が居るんですけど……」
シャルロット「ちょっと事情があって今は別行動中ってとこ」
パール「まあ、何歳も年下の女の子にあんなことを説明はしにくいですよねぇ」
シャルロット「自分は関係ないって言いたそうだけど、原因は主にパール達ってこと忘れてないわよね?」
パール「あはははは!!」
シャルロット「笑って誤魔化すな!」
アリア「へぇ~……」
言われて空に浮かんでいた三つの光のことを思い出す。
もしかしてあれがシャルロットとその二人だったのだろうか? そうなると……もしかして喧嘩でもしていたのか?
シャルロット「本題に戻るわ」
咳払いをし、場の空気を戻す。
シャルロット「で、そのカードを集めるのにいくら魔術師といえど生身じゃキツいってことで与えられたのがパールなの。こっちはちゃんと人数分渡されたんだけど……その性格が難ありでね」
パール「失礼な! 私にもマスターを選ぶ権利があり、それを行使しただけのことです!」
シャルロット「ってわけ。本当ならこっちも小さい子を巻き込むなんてことはしたくないけど、パールが居ないと任務の危険度が著しく上がるのも事実」
シャルロット「恨むならパールを恨んでちょうだい。そしていち早く開放されたければパールをどうにかして説得することね」
アリア「それは……無理かもしれないです」
まだ会って一時間ほどしか経っていなかったが、パールに話がまともに通じるとは思えないことはアリアも既に理解していた。
――。
イリヤ「おはようー!」
教室に入ってきた生徒の声でアリアの思考は現実に戻された。
声の主はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。
銀髪が印象的なクラスメイトの一人であった。
美々「おはようイリヤちゃん」
那奈亀「あれー? イリヤも寝不足だったり?」
イリヤ「うん……ちょっと色々あってね」
雀花「ほほう……」
イリヤ「えっと、多分雀花が考えてるのとは違うと思う……」
クラスメイト達の雑談が耳に届く。
しかし、何はともあれ今は小学生としての役目を全うしなければ。
魔法少女云々に関しては昼休みか放課後にでも考えればいいだろう。そう思うことにした。
――。
その日の学校は何事もなく終わり、放課後。
ランドセルを背にアリアは一足早く教室を出て行った。
【ちょっと休憩】
パール「ようやく終わりですか。ランドセルの中は退屈極まりなかったです」
待ち望んでいたと言わんばかりにランドセルの隙間からパールが顔を除かせる。
アリア「ご、ごめんね。でも他の人達に見られたら困るし……」
パール「他の人、ねぇ……」
アリア「パール?」
パール「いえ、お気になさらず。とにかく今は早く帰りましょうか。そして魔法の練習と洒落込みましょう!」
アリア「別に洒落込むって表現を使う必要はないと思うけど……」
しかし魔法少女としての道を進むことにしたのなら魔法の練習は避けて通れない。
魔法が使えない魔法少女なんて銃弾の入っていない拳銃と同じなのだから。
アリア「……あれ?」
下駄箱にやって来たアリアは自分の下駄箱の中に手紙が入っていることに気付いた。
パール「おや。それは一体なんでしょうか」
アリア「なんだろ……?」
正体不明の手紙を少々不審に思いながら中身を確認する。
『今日の深夜0時
高等部の校庭に来るように シャルロット・スターガーデン』
アリア「これって……」
パール「シャルロット様からのお手紙ですね。今日の0時にカード回収をするということでしょう」
アリア「早速!?」
とはいえそれが魔法少女としての仕事なら仕方ない。
展開の早さに困惑しながらも、アリアはそう思うことにするのだった……。
パール「というわけでこれから何をするべきかアリア様に一通り教えましょうか」
校門に向かうまでの途中、パールがいきなりそんなことを言った。
アリア「何をするって、魔法の練習じゃないの?」
パール「当然それも重要ですが、街を歩いて誰かと話をするのもいいですよ。人間関係は数値では測れない何かを成長させますからね」
アリア「ステッキのパールが言うんだ……」
しかしパールが言うこともそれとなく理解はできた。
つまり誰かと話をして過ごすか、魔法の訓練をするか。そのどちらかが魔法少女としての成長を高めることに繋がるということだろう。
パール「とりあえず今からどうしましょうか?」
そんなことを言いながらアリアは学園の敷地を出ていく。
直後コンマ下一桁判定
0~2でイリヤ
3~5で美々
6~8で金髪の女子生徒と遭遇
9でさらに一つ下のコンマで判定
./ : _、‐/: : : : : :/: : : : : li : : : : : : : |、/: : : : : : : 、
〈<: : : l: : : : : : |、ー-、/}i : : : : : : : | \ : : : : : : : | ,
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|: : : : : |: : : : : : | : / ⌒ |: | : : |: : 从 ∨: : : : ' ‘,
|i\: : :.|: : : : : : |:./ |: |: : ノ: :/,ィ笊㍉ }: : }: : '
|:i:i:i:\ |: : : : : : |',ィ允宏ミレ'⌒´^lJ } ′: :/: : ' i|
|i:i:i:i:i:i. | : : : : : ,ィ/ J } 乂ソ //: : :l i}
|:i:i:i:i:i:i |: : : |: : :⌒ 乂rソ 、¨¨/|: : : : | .
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/||\i:i:|i: : :|: : : |\}} Λ ヽ \ 乂: : : : :.|
り /八 : |: : : | }}丶、 ‘, /^ i} `ヽj从
_/ }: :|: : : | ノ'、 r‐ュ ノ} ./、 } } }
/ ⌒ヽ,从乂: :.|ィ/、ノ | |/ \} ∨ |
【ここまでです、お疲れ様でした
今回は小難しいことはしない予定。途中で判定挟んでそれで進行するって感じで】
てす
【8】金髪の女子生徒
「あら? そこの貴女、ちょっとお待ちなさいな」
アリア「はい?」
呼び止められたアリアが振り向くと、そこには金髪のツインテールという姿の女性が立っていた。
なんとなく日本人らしからぬ雰囲気を感じられる女性。着ている服装からも気品の良さが感じられる。
パール「おや、貴女は……」
「この声……やはり、パールがいますわね?」
アリア「……知り合いなの?」
女性に聞かれないように小声で話すアリア。
パール「ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト……。昨日話に出た、シャルロット様と同じ元マスターの一人ですわ」
ルヴィア「そういうことです。……そちらも、パールと行動を共にしているということはある程度の事情は把握していると思って間違いなくて?」
アリア「え、えっと……」
正直に言うべきかどうか困ったアリアは再び視線をパールに向ける。
パール「正直に言って問題ないですよ。性格と金銭感覚にやや難ありですが、信用に値するお方です」
ルヴィア「……相変わらず人を小馬鹿にしたようなことを言いますわね……」
アリア「……あ、あはは……」
ルヴィア「ですが、その言い方からして間違いなさそうですわね。……それで貴女のお名前は?」
アリア「な、中村アリアですっ」
アリアの名前を聞いてルヴィアはふむ、と小さく呟いた。
ルヴィア「中村アリアですか。……どうやらパールに巻き込まれてマスターになったようですが……」
パール「失礼な! 無理矢理なんてしてません! 同意の元、です!」
ルヴィア「遠阪凛やシャルロット・スターガーデンを庇うわけではありませんが、マスター契約を勝手に破棄したくせによくもそんなことを……!!」
そのやり取りを聞いてアリアはふと今朝のパールとの会話を思い出す。
そういえば、ルヴィアがシャルロットと同じようにステッキとの契約を破棄されたのだとしたら自分のように巻き込まれた人が居るはずだ。
↓2
1 遠阪凛っていう人も仲間なんですか?
2 ルヴィアさんはステッキを持ってないんですか?
3 とりあえず、喧嘩はやめてください……
【3】とりあえず喧嘩はやめてください……
アリア「とりあえず喧嘩はやめてください……周りの注目浴びちゃってますから」
ルヴィア「あら、これは失礼」
アリアの注意を受けてルヴィアはパールとのやり取りを取り止める。
ルヴィア「ともかくとして。もしシャルロット・スターガーデンと遠阪凛に会ったらこうお伝え願えるかしら? 『カードは必ず全て私がいただきますわ!』と!」
そうとだけ言い残し、ルヴィアはこの場を立ち去っていく。
アリア「……仲間、なんだよね?」
パール「ええ。顔を合わせばほぼ毎回喧嘩はしますし協力関係を持って遂行する必要のある任務でも競争ばかりをしますが……一応は仲間ですよ」
その言葉を信じる材料は今のアリアは持ち合わせていなかった。
――――。
夜。施設に戻ってきたアリアは部屋で一人ベッドに横になっていた。
アリア「ところで、0時に高等部の校庭に来いってなってたけど……当然施設の人にはバレない方がいいんだよね?」
パール「まあ、そうなりますね」
アリア「うう……しばらくはひっそりと行動しないといけないのかぁ」
パール「幸いこの施設は10時30分には消灯となりますし、よほど目立つことをしなければ大丈夫でしょう」
アリア「そうかもしれないけど……」
パール「ですが行動しづらいのも事実ですね。……うーむ、どこか別の家に住めれば万事解決なのですが」
そんなことを話しながらアリアは部屋の窓から外へ出た。
小学生の中村アリアから、魔法少女の中村アリアへ足を踏み入れるように。
日常から非日常へと進むように。
「…………」
そしてそれを見守る人影が、一つ。
――――。
そうして深夜0時まで残り数分といった時間。
アリアは指示された場所へやって来た。
パール「ここが高等部の校庭ですか。いやいや、やはり小等部と比べると大きさに違いがありますね」
アリア「うん。こっちの方がちょっと大きめだね」
パール「えーっと、シャルロット様は……」
先に来ているであろうシャルロットを捜すために辺りを見回す。
【ちょっと休憩】
「なるほど、シャルもステッキに見限られたわけね」
シャルロット「ええ。……子供を巻き込むのは不本意だったけど、この際手段は選んでいられないから」
「それについては同感よ。はぁ……この調子だとルヴィアの方も面倒なことになってそうねぇ」
やや離れた場所に立つシャルロットを発見する。
しかしシャルロットは見知らぬ女性と何やら話をしているようだった。年齢としてはシャルロットと同じくらいであろうか。
パール「あら、あれは凛様ですね」
アリア「凛さんって……ルヴィアさんとは別のステッキの持ち主っていう?」
パール「ええ。シャルロット様と同じく魔術師の方ですよ」
何はともあれ、このまま立ち尽くしていても意味はない。
そう判断したアリアは恐る恐るといった感じで二人に近づいていった。
シャルロット「お。来たみたいね」
まずアリアに気付いたのはシャルロットであった。続いて凛と呼ばれていた女性がアリアの方を見る。
「この子が中村アリア? ……ふーん」
アリア「えっと……凛さん、でいいんですよね?」
「ええ、遠坂凛。詳しい説明は省くけどシャルと同じような立場ってことで理解してちょうだい」
パール「魔術礼装の私達に見限られた哀れな魔術師さんですよー」
凛「ぐっ……相変わらずの態度ねパール……!」
シャルロット「それで、そっちの方はまだ来ないのかしら?」
凛「時間はシャルと同じで呼び出しておいたから、そろそろ来るかと――」
その凛の言葉を遮るように離れた場所から叫び声にも似た声が届いてきた。
「ああっ! この気配、まさかとは思いましたが……!! パールちゃん! パールちゃんなんですねー!?」
パール「この声は……!!」
アリア「パール?」
アリアもその声の方を見る。するとそこにいたのは……銀髪が特徴的なクラスメイトの女子生徒であった。
イリヤ「あれ? な、中村さん?」
パール「ルビー姉さん……!! ルビー姉さん!!」
「パールちゃあぁぁぁんっ!!」
二つのステッキが宙を舞い、喜びを表現するように回りだす。
アリア「イリヤスフィール……さん?」
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。アリアと同じクラスに所属する女子生徒で、いつも明るい印象があった。
そんなイリヤスフィール・フォン・アインツベルン――イリヤがどうしてここにいるのか?
その疑問には凛が答える。
凛「この子がイリヤスフィール・フォン・アインツベルン……ルビーが勝手に選んだマスターよ」
アリア「ルビーっていうのは……」
シャルロット「あれね」
今もなおぐるぐると空中を旋回するステッキの一つを示してシャルロットが言う。
イリヤ「どうして中村さんが?」
アリア「ううん……イリヤスフィールさんと同じ感じだと思う。わたしも変なステッキに巻き込まれて……」
イリヤ「魔法少女に?」
こくりとアリアが頷くと、イリヤは納得したように苦笑いをする。
同じ境遇の人間がいるだけでこうも安心するとは。施設に入った頃よりも強い気持ちを抱くアリア。
ルビー「あ、わたしはルビー! パールちゃんのお姉さんです! 以後お見知りおきを!」
アリア「姉妹なんだ……」
パール「ちなみに私の姉はもう一人居て、ルビー姉さんは長女なんですよ! 私は三女です!」
イリヤ「何はともあれ、仲間は多いに越したことはないよね? 中村さんも――ううん、アリアもよろしく」
そうしてイリヤは笑みを浮かべてアリアを見据える。
アリア「…………」
イリヤ「あ、あれ? 何かおかしなこと言ったかな?」
イリヤの様子に呆然としているアリア。
それを見て不思議に思ったイリヤが苦笑いをした。
別におかしなことをイリヤが言っていることはない。
同じ境遇に立ち、仲間が増えたことに歓びを感じるのは当然のことだ。
ただ、まともに話をして数分で下の名前で呼ぶ人間を初めて見たので少々困惑したというのがアリアの本音であった。
施設での友人はお互い名前で呼び合いはするけれど、それはそれぞれの境遇に哀れみを抱いて――そんな感情があったから。
アリア「う、ううん。……こちらこそよろしくねイリヤちゃん!」
だからこうして純粋な好意を向けられるのは初めてだった。
クラスメイトとしての最低限の付き合いしかなかった二人が同じ境遇に立ったことにより親しくなる。
その境遇が魔法少女になった者同士ということで、きっかけが喋るステッキなのだから奇妙な縁と言えるだろう。
凛「話はそこまでよ。そろそろ時間だわ」
真剣な面持ちの凛が告げる。
シャルロット「カードの反応はこの校庭の中央にある。歪みもそこで観測されているわね」
アリア「中央? でも何も見当たりませんけど……」
凛「カードがあるのはこっちの世界じゃないからね。……ルビー、パール。お願い」
ルビー「はいはーい」
パール「わかりました」
ルビーとパールがそう返事をすると、足元に魔法陣が展開された。
イリヤ「ええっ!? こ、これ何なんですか!?」
凛「カードがある世界に行くのよ」
アリア「それって別世界ってことですか!?」
シャルロット「ご明察」
ルビー「半径2メートルで反射路形成!」
パール「鏡界回廊一部反転します!」
驚く二人を尻目にルビーとパールが言葉を紡いでいく。
シャルロット「わたし達は『鏡面界』……そう呼んでいるわ」
ぐるりと視界が回った。
意味が分からず困惑したアリアとイリヤが瞳を閉じ、次に目を開けた瞬間――世界の雰囲気は一変していた。
アリア「ここは……?」
先ほどまで見ていた光景と何ら変わりないはずであった。
しかしその光景から放たれている雰囲気は間違いなく別のものである。
まるで鏡に映された別の世界のような……。
パール「詳しい説明をしている暇はないようですね。アリア様にイリヤ様、中央をご覧下さい」
パールに指示され校庭の中央に視線を送る。するとそこにはありえない光景が広がっていた。
アリア「な、なんですかあれ!?」
イリヤ「何か出てきたんだけどぉ!?」
空間に亀裂が走り、そこから髪の長い女性が出てくる。
目元はマスクのようなもので覆い隠されているが、胸部や服装で性別はすぐに判別できた。
しかしその女性が放つ雰囲気は酷く歪んでいる。まるで彼女を中心に毒素が放たれているような――。
シャルロット「クラスカード・ライダー……報告通り実体化したわね」
凛「それじゃあ二人共、油断せずにね!」
イリヤ「投げっぱなし!?」
ルビー「イリヤさん、きますよ!」
パール「構えてください二人共!!」
女性――ライダーが二人を敵と判断し構える。
こうなってしまっては仕方ない。何も抵抗せずやられるがままになるくらいなら、やるしかない――!!
アリア「イリヤちゃん、とりあえず……やるよ!」
イリヤ「りょ、了解っ!」
それぞれステッキを構えてライダーに向かい合う。
こうして魔法少女となった少女の初めての初陣が幕を上げた。
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∨ Vl | \ `ヽノ///リ
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. ∥ V ハ
. ∥ ',
【今回ここまで、次回ライダー戦。
お疲れ様でした】
乙
戦闘方法は前と変えるんかな
>>57
前回の最後の方でやった
・途中で選択挟んでコンマが00ほど良く99ほど悪い。
に
・77で特殊判定
を加えていくつもりです
TRPGよりは普通のSS的な……
パール「相手は見ての通り人ならざるもの! 遠慮はいりません、ぶちのめしてあげてくださいな!」
アリア「簡単に言うけど……」
禍々しい妖気が視認できるほどに色濃く眼前の敵――ライダーの周囲を漂っている。
それだけでパールの言葉は正しいものだと理解できるが、だからこそ昨日までただの小学生でしかなかった自分達にあの敵を倒すなんてことができるのだろうか?
「――ッ!!」
ルビー「攻撃来ます! 避けてください!」
ルビーの合図とライダーが握っていた鉄杭が二人を狙って振り下ろされるのはほぼ同時であった。
イリヤ「いやぁ!?」
アリア「わあっ!?」
左右バラバラに避ける二人。
直撃こそ免れたものの、校庭を抉るような一撃により周囲に砂ぼこりが舞い散った。
アリア「ちょっ、何にも見えない……!」
噎せかえるほどの砂ぼこりにアリアが困惑する。
その視界の片隅で何かが光った。
パール「アリア様!」
アリア「しまっ――!?」
アリアの反応は圧倒的に遅かった。
再び放たれた鉄杭が的確にアリアの右腕を縛り上げる。
イリヤ「アリア!?」
「――ッ!!」
砂ぼこりがようやく晴れ、クリアになった視界。
まず確認できたのは、凄まじい勢いで飛び蹴りを放とうとするライダーの姿であった。
シャルロット「パール! 物理保護を!」
離れた場所からシャルロットの指示が飛ぶが間に合わない。
ライダーの右足は的確にアリアの右腕へと吸い込まれるようにして放たれた。
ルビー「イリヤさん! わたしを振るって魔力弾を! とにかく敵をアリアさんから離しましょう!」
イリヤ「そ、そうだね! わかった!」
ここに来るまでに練習をしてきたのか、スムーズに魔力弾を放つイリヤ。
その魔力弾に危機を察知したのか、ライダーは鉄杭からアリアを解放して離れた場所まで飛び退く。
イリヤ「アリア! 大丈夫!?」
その隙にアリアのところまで駆け寄るイリヤ。
パール「申し訳ありませんアリア様! 物理保護が間に合わず……!」
ルビー「カレイドステッキのマスターには治癒促進が常に適用されていますので、致命傷でもない限りはやがて癒えますが……」
イリヤ「で、でもあの一撃はかなり痛そうだったよ!?」
三者三様に慌てるイリヤ達。
そんな中でアリアがようやく口を開いた。
アリア「いた、ぁ……!?」
イリヤ「あ、あれ? 自分で言っておいてアレだけど、あの一撃はとても痛いの一言で済ませられるようなものじゃないと思うよ!?」
ルビー「物凄い頑丈な人ですねー。カルシウムの摂りすぎでは?」
イリヤ「カルシウム一つで人はここまで頑丈にはならないよ!?」
凛「ちょっと! 英霊の攻撃をくらってあの程度で済むなんて、あの子何者なのよ!?」
シャルロット「そんなの知るわけないでしょ! でも……あの子……」
パール「とにかく、今は戦いに集中ですわ! いくらアリア様が頑丈とはいえ、長期戦は避けないと!」
イリヤ「そ、そうだね! でも……」
今もなおライダーはこちらを警戒している様子であった。
当たり前のことであるが真正面から突破しないといけないだろう。
イリヤ「……どうしようか?」
パール「幸いこちらは二人ですから、やりようはありますわ」
ルビー「でも、不用意に接近戦を挑むのはやめてください。ほぼ確実に不利になります」
アリア「わ、わかった」
ともかく、ライダーが動きを止めているうちに仕掛ける方が得策だろう。
ただ無策で立ち向かうわけにもいかないので、何かしらの作戦は考えておくべきだが……。
↓2
1 アリアとイリヤで挟撃
2 目眩まし後に接近して攻撃
3 アリアを盾にして突撃
判定【11】優勢
アリア「……私が前に出て攻撃を受け止めるから、その隙を狙ってイリヤちゃんが攻撃を」
イリヤ「ええっ!? それじゃあアリアに負担がかかりすぎるよ!」
アリア「大丈夫だよ。……パールも、いいよね?」
パール「……仕方ないですねぇ。当然私も物理保護でサポートはしますが、アリア様もご自分である程度の対応をお願いします。直撃だけはしないように」
それは言われるまでもない。
あの痛みをもう一度味わうのはアリアとしても勘弁願いたかった。
パール「それと、先ほどイリヤ様が魔力弾を放って攻撃をしましたが……隙があればお願いしますわ。攻撃のイメージを想像して私を振るえばその通りになりますから」
ルビー「お喋りはそのへんにしてください……来ますよ!」
地面を蹴り、アリア達に向かって疾駆するライダー。
その敏捷性はかなりのものだが――今なら対応できる!
↓2
1 物理保護を展開
2 パールを振るって攻撃
※弾丸、散弾、剣、鞭から選択。ここで選んだのが以降のアリアの主戦法に
――イメージするのは散弾。
威力は考えなくていい。とにかく当たれ!
アリア「てやあっ!」
魔力弾が扇状に放たれ、接近してきていたライダーの動きが止まる。
ルビー「イリヤさん、今です!」
イリヤ「了解! 当たれぇ!!」
続けて後ろからイリヤの魔力弾がライダーに向けて放たれる。
凛「いよっし!」
シャルロット「その調子よ! 間髪入れずに叩き込んで!」
イリヤ「遠いね……」
アリア「まあ、仕方ないようん……」
だがシャルロットの言うとおり攻撃の手を緩めることはできない。
短期決戦を狙うのなら、ここは追撃のチャンス!
直後コンマ下一桁判定
0~2で……?
判定【6】宝具発動せず
続けて直後コンマ判定
85以上で圧倒的に不利になる
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} ノ .: : / _‐_ ≧s。´"'' _ ````` ': ': ': :' :' :' :' :' :' :' :' :' :' :' :' :' `` _ ‐ ¨。s≦ { : : : : {
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, . ::/ ‐_‐_‐_‐_‐_‐_‐_‐_‐_〕iト _  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 。s个 _‐_‐_‐_‐_‐_‐_‐ 。: : :. / 。
, . : / ‐_‐_‐_‐_‐_‐_‐_‐_‐_‐_≧s。``'' ー------─ ''"。s≦ ‐_‐_‐_‐_‐_‐_‐_‐‐ ゚ : :/ ゚
【今回ここまで。お疲れ様でした】
アリア「散弾ッ!」
相手は異形の怪物。こちらはカレイドステッキを持っているとはいえそれ以外は普通の小学生。
ならチャンスを逃すわけにはいかない!
凛「よっし!」
アリア「イリヤちゃんお願い!」
イリヤ「了解! ――当たれぇ!!」
再び扇状に放たれる魔力弾。
魔力を分散させている分、威力は低い。だが足止めには充分である。
アリアが足止めをし、イリヤが攻撃を担当する。
なんとなく、これが最善だとアリアは思っていた。
ルビー「ダメです! これじゃあまだ倒しきれてません!」
パール「作戦自体は悪くないのですが……もう少し火力が欲しいところですね」
アリア「って言われても……」
こちらがやれることは全てやっている。
それなら、どうすればいい――?
直後コンマ下一桁判定
0~2 イリヤの斬撃発動
3~5 凛とシャルロット乱入
6~8 シャルロット「作戦があるわ」
9 ??「……限定展開」
シャルロット「……仕方ないわね。リン、悪いけどちょっと付き合ってもらうわ」
凛「はぁ? 何よいきなり?」
シャルロット「いいから」
シャルロット「二人とも! 作戦があるわ!」
離れた場所からシャルロットがアリア達に呼び掛ける。
イリヤ「作戦?」
凛「うまくそいつをあっちの非常階段の方に誘導してちょうだい! 倒すことは考えなくていいから、とにかく誘い出すことだけを考えて!」
凛が指差す方向には普通の学校ならよくある非常階段が。
パール「……何を考えていらっしゃるんですかねぇ」
「――ッ!!」
怪物の声にならない叫びが二人の耳に届く。
悩んでいる暇はない。とにかく今は凛とシャルロットの言う通りにしなければ。
ルビー「とにかく攻撃の手を緩めないでください! 敵の意識があっちのお二人に向かったが最後です!」
イリヤ「わ、わかったよ!」
アリア「やるだけやってみようか……」
直後コンマ下一桁判定
0か1でライダーの意識が凛達に向く
――――。
アリア「シャルロットさんに凛さん! この辺りでいいんですか!?」
途中でライダーの意識を逸らすことなく指示された非常階段の下まで誘導できたアリアとイリヤ。
それを確認したシャルロット達は小さく笑い、叫ぶ。
凛「結構よ! アリアは散弾で足止めしたらすぐに離れて! イリヤはそのままこっちに!」
イリヤ「わ、わかった!」
アリア「散弾ッ!」
イリヤが急いで離れ、アリアが散弾でライダーを足止めしすぐに後退する。
もちろんこの程度の魔力弾が致命傷になるわけもなく、所詮は動きを封じる程度。
凛「よし、やるわよ!」
シャルロット「了解!」
だが――その程度の足止めさえあれば二人には充分であった。
凛が人差し指をライダーの頭上に向ける。
同じようにシャルロットの視線もそちらに向けられ、右拳には視認できるほどの色濃い魔力が。
ルビー「ははーん、なるほど……」
パール「優雅さの欠片もない野蛮な作戦ですわね」
アリア「それってどういう――」
アリアの言葉は凛達の声によって遮られた。
凛「ガンド!」
シャルロット「はぁ!」
凛の人差し指から放たれる魔力の弾丸――ガンド。そしてシャルロットの右拳が振るわれ、同じく放たれる魔力の塊。
その狙いはライダーの頭上の非常階段。それを支える柱。
イリヤ「そういうことなの!?」
パール「建造物を破壊して物量で押し潰す……悪くない手ではあります」
しかし――その確信はすぐに打ち破られる。
降り注いだコンクリートの破片が吹き飛ぶ。
凛「なっ!?」
シャルロット「これは……!?」
パール「大きな魔力を確認! これはもしかして……!」
吹き飛んだコンクリートの破片を物理保護で防ぎつつ、アリア達は瓦礫の山から再び姿を現したライダーを見る。
「――ッ!!」
瞬間。この場にいる全員が背筋を震わせるほどの恐怖を感じた。
最初の時のような魔方陣がライダーの周りに展開され、尋常じゃないほどの威圧感が放たれる。
ルビー「宝具――!!」
パール「いけません! お二人、お逃げください!!」
イリヤ「え? え?」
凛「早くこっちに! ダメ元で防壁を張るわ!」
アリアとイリヤの二人を除いた全員がこの状況の恐ろしさを察知し、二人に避難するよう促す。
宝具という単語に聞き覚えはない。
だが――この感覚、どこかで経験したことがあるような……?
「騎英の――!!」
直後コンマ下一桁で決着判定
0~4 ??「……限定展開」
5~9 アリアの力が……?
|ニ|ニ|
|ニ|ニ|
|ニ|ニ| i\ /;
|ニ|ニ| | \ / /
|ニ|ニ| \| ヽ /( (
|二|ニ| } ∨ _V )、 /
|二|ニ| ,、丶` >―――-ミ'
|二|二| / ― ミ―――< _V
|二|二| ⌒ヽ \
|二|二| r、  ̄ \___,,.、丶
|二|二| |: :. \/ \___}_
|二|二|.八: : 、 / > .,_ ` <⌒ ̄
, ――|二|二|\ミ、 :\(ィf笊灯》(  ̄ ̄ ̄ ̄
/:i:i:i:i:i:i:i:|二|ニア ⌒ 沁 : : : 乂ツ: : :ヽ ____
Y:i:i:i:i:i:i:i/ニニ {::::::::::::}: 、: : : : : : : : : : :rノ \
\:i:i:i:i:'二二|_乂::::::人: :v フ:_:/⌒'<⌒\
 ̄i\_|_/∧__>'":i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ii\-=
八 二 |二二|:i〈:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i|-=\
| 二 |二二|:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i八-=
| 二 |二二|:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:/-===
| 二 |二二|:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ノ ̄\:/-====
| 二 |二二| '⌒寸二彡へ '///-=====
/ 二 |二二〈: : : : \/: : : ヽイ-======
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\.二| 二 / : : : : : : : : : /-=======( ̄
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|二|二ニvヽ:)): : : : : : :.∨⌒) \_,)==
|ニ|二二|ノ: : : : : _: : : : : マ:/⌒ヽ ー=彡
lニ|二ニ|: : :__.:ノ//\: : : :\:i:i:i:i:\:i:i:i:i
/|ニ:|ニニ|/// ----‐‐==彡:i:i:i:i:i:i:i\:i
, :i:lニ:|ニニ|――┐:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i
/:i:i:i:|=:|ニニ|――┤:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i
ひとまず原作沿いですがキャスター戦からやや逸れる予定】
??「――限定展開」
この状況に似つかわしくない、淡々とした声が聞こえてきた。
アリア「え?」
イリヤ「今のって……」
その瞬間、二人の間を駆ける人影が一つ。
背丈や声のトーンからして同い年。
黒髪が似合う少女の手には、紅の槍が。
??「刺し穿つ(ゲイ)――」
少女はライダーの懐に飛び込み、槍を引いて狙いを定める。
そしてそのまま、ライダーの心臓を貫いた。
??「――死棘の槍(ボルク)!!」
それが決定打であった。
心臓を貫かれたライダーは声にならない悲鳴をあげ、消滅していく。
??「『ランサー』接続解除。対象撃破……クラスカード『ライダー』、回収完了」
少女の手の槍が姿を変え、ステッキになる。
それはイリヤの持つルビーやアリアの持つパールとは僅かに装飾や色こそ違うものの、同じ類いのものであることはすぐにわかった。
イリヤ「だ、誰……?」
アリア「女の子……?」
??「…………」
少女はアリア達をじっと見つめる。
その真意は当然二人にはわかるわけもなく――思考を巡らせようにもすぐに響き渡った笑い声で遮られた。
「オーッホッホッホ!! 無様ですわね遠阪凛! シャルロット・スターガーデン!」
凛「この声は……」
シャルロット「ルヴィア……」
姿を現したのは金髪が特徴的な少女だった。
凛とシャルロットは顔見知りだったのか、露骨にため息を吐く。
アリア「誰?」
パール「ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト。まあ、凛様やシャルロット様と同じ任務で日本にやって来た仲間だと思ってくれてよろしいかと思います」
イリヤ「……そのわりには物凄く激しい喧嘩をしてるみたいだけど?」
イリヤの言うとおり、三人(主に凛とルヴィア)が既に取っ組み合いの喧嘩をしている光景が繰り広げられていた。
ルビー「あっははは! あのお三方は基本的に犬猿の仲ってやつですから~!」
パール「シャルロット様は仲裁役になるのが主なんですけれど……結局はあのようなことになることが多いんです」
アリア「ふーん……」
何はともあれ、あれが平常運転なのだとしたら気にする必要もないだろうとアリアは納得することにした。
それよりも気になることがあるというのが本音であるが……。
↓1
1 イリヤ・ルビーと話す
2 黒髪の少女と話す
3 凛・ルヴィア・シャルロットと話す
アリア「ね、ねぇ。貴女って……」
??「パール、久しぶり」
ルビーやパールとは違い、静かに透き通るような声。
本来ならこの声の主に気付くはずがないのだが、既に二本の喋るステッキと話をしたことがあるアリアはすぐにわかった。
この声の主は目の前の少女が持つステッキだ。
パール「サファイア姉さん、久しぶりです」
??「パール……? それって、最初にサファイアが言っていた……」
サファイア「ええ。同じ任務に挑む仲間というものです」
??「仲間……」
パール「それで、そちらの方がサファイア姉さんの新しいマスターで?」
サファイア「美遊様です。ルヴィア様に代わり、今の私のマスターになられました」
これで本来のマスターである三人が揃ってステッキに見限られていることになる。
もっとも、それが当人にとってどれほど嘆くべきことなのかは知るよしもない。
アリア「美遊ちゃんかぁ。わたしは仲村アリア、よろしくね」
経緯はどうあれ、同じ境遇の仲間だというのなら失礼のないようにと手を差し出す。
無論これは握手のつもりだったのだが――美遊はその手を見て何かを思うようだった。
直後コンマ75以下で少し険悪
それ以外で普通
美遊「……さっきのライダーとの戦闘、見てた」
アリア「あ、そうだったんだ……」
四人がかりでも精々だったのに、美遊はたった一度の攻撃で撃破した。
その差にアリアは圧倒され、苦笑いをするしかなかった。
美遊「戦い方とかについてとやかく言うつもりはないけど、一つ気になることがあった」
美遊「仲村アリア、貴女がライダーの一撃を防いだその理由が知りたい」
パール「あー……なるほど、そこですか」
パールも納得したような声を出す。
とはいえこれはアリア自身も心当たりがなかった。パールの物理保護が適用されていた状態ならまだしも、そうでないのだから謎は深まるばかり。
サファイア「…………」
美遊「どうなの?」
アリア「どうなの、って言われても……」
繰り返しになるが、アリア自身にも心当たりはない。
普通に生きて、パールというステッキに出会い、巻き込まれて……。
――その時、何故か頭の片隅に痛みが走った。
アリア「ッ……」
僅かに顔をしかめるアリア。
それは本当に微かな表情の変化であり、パールやサファイアは気付かなかったが、美遊は気付いたようだ。
美遊「……まあ、いい」
それだけで何かを察したのか、美遊は話を一方的に打ち切った。
【本日終わりです】
――前触れもなく、不意に地面がひび割れた。
イリヤ「ちょ! 地面が割れてるよ!?」
アリア「空も……!!」
パール「ああ、どうやらこの世界が閉じていっているみたいです」
ルビー「原因であるクラスカードを回収したからでしょうね。このままじゃ巻き込まれてしまいますよ」
アリア「ええっ!? どうするの!?」
ルビー「行きと同じですよ。さあ、そっちのお三方も帰りますよー……」
しかし、凛達三人はルビーの言葉など届いてもいないようだった。
イリヤ「き、聞いてないね」
パール「任務を忘れて肉体で語り合う魔術師……これほど哀れなものはありません」
イリヤ「今すっごい自然に酷いこと言ってませんでした!?」
そうこうしている間にも鏡面界は閉じていく。
このままでは本当に巻き込まれてしまう――そうなる前に美遊が動いた。
美遊「サファイア、お願い」
サファイア「はい」
途端、地面に魔方陣が展開される。
サファイア「半径六メートルで反射路形成。通常界へ戻ります」
イリヤ「で、でかっ!?」
アリア「――」
こうして初のクラスカード回収任務が終わる。
戦って、美遊という少女と出会って。
元の世界に戻る最中、何故か頭の片隅がまだチクリと痛んだ気がした。
アリア「帰ってこれた……?」
パール「なんとか第一戦クリア、ですわね。この調子で次々回収しましょう!」
ルビー「おおーっ! やる気モリモリですねパールちゃーん!」
クルクルと回転しながら宙を舞うルビー。
イリヤ「あはは……」
アリア「なんか疲れちゃった……もう帰ってもいいの?」
パール「そうですね、初戦を乗り越えて疲れも溜まったでしょうし帰りますか」
ルビー「早く帰りますよー!!」
ルビーのその言葉を合図に、この場は解散となった。
イリヤは凛と。
美遊はルヴィアと。
そしてアリアはシャルロットと一緒に帰る。
ルヴィア『とにかく! 最後に勝つのは私ですわ! 覚悟しておきなさい遠坂凛! シャルロット・スターガーデン!』
――最後にルヴィアが捨て台詞を吐いていったのが少し不思議ではあったが、良しとしよう。
☆
その帰り道。
それなりに暗い道をアリアとシャルロットが並んで歩く。
シャルロット「ふぅ……凛もルヴィアも、相変わらずね。仲裁役も楽じゃないわ」
アリア「…………」
パール「結果として一緒に喧嘩してたら仲裁役とは言えないような気もしますけど」
シャルロット「うるさいわ」
やはり見限られた側と見限った側というだけあり、少し険悪なやり取りが繰り広げられる。
もっとも、これがシャルロットとパールにとって当たり前の空気であるのだが当然小学生のアリアには知るよしもない。
↓1
1 カード回収任務について詳しく尋ねる
2 凛とルヴィアについて詳しく尋ねる
3 これから先の方針について詳しく尋ねる
アリア「これから先はどんな感じにやっていくんですか? イリヤちゃん達と美遊ちゃん達は……とりあえず仲間、ってことで間違いないんですよね?」
シャルロット「そうね。……まあ、ルヴィアの方はちょっとずれてるみたいだけど」
パール「流石に任務を忘れるなんてことはないでしょう。この任務はあの二人にとって大事なものですから」
アリア「ふーん……」
何はともあれそういうことなら必要以上に面倒なことにはならないだろう。
シャルロット「基本としては私や凛、ルヴィアの三人でクラスカードの場所を特定してそこからアリア達も合流。全員でカード回収という感じね」
アリア「それじゃあ、それまでは特にすることはないってことですか?」
パール「そういうわけでもありません! 魔法少女になったからには空いた時間を使って訓練もしてもらいます!」
シャルロット「そういうこと。まあ、訓練もしつつ適当にいつも通り過ごしてもらってて構わないわ。場所の特定が終わったら連絡するから」
と、ここまで説明したところでシャルロットが立ち止まる。
いつの間にか分かれ道まで来ていたようだった。アリアの住む施設は右に進むのだが……。
シャルロット「それじゃあ私は左だから。お疲れ様」
アリア「あ、お疲れ様です」
シャルロット「とりあえず、まずはしっかり寝て休むこと。それと……今日のことは当然、他人には言わないことね。それじゃ」
最後にそう微笑んでシャルロットが立ち去っていく。
アリア「……これで今日は本当に終わり、なんだよね?」
パール「ええ。シャルロット様の言うとおりゆっくり休んでください。次の戦いがいつになるかわかりませんから」
アリア「そうだね……わかった」
短いようで長かった1日が終わる。
ふぅ、と息を一つ吐いてアリアは適当な壁をよじ登って施設の敷地内に入り――
アリア「ッ!?」
――後ろからやって来た何者かに気付き、振り向いた。
最速2票入った方
現れたのは?
1「そこで何をしているのかしら?」
2「夜の出歩きは感心せんな」
そこに立っていたのは一人の男性だった。
黒色の服に身を包んでおり、微かな灯りによってようやくその姿が認識できるほど。
アリア「……言峰さん、でしたっけ」
言峰「ほう、知っているのか」
言峰綺礼。この施設の責任者とは旧知の間柄らしく、こうして不定期に訪れることがあるーーというのはアリアも知っていることだった。
とはいえこうして話をするのは初めてであり、名前も他の職員が話しているのを偶然耳にしただけなのだが。
言峰「君は中村アリア、だったか。小学生の君がこうして出歩いているのは正規の職員ではないとはいえ見過ごせん。早く部屋に戻るが良い」
アリア「あ、はい。すいません……」
パール(ずいぶんと渋い……いえ、胡散臭い男性ですね)
アリア(絶対に出てこないでよ!?)
背中に隠したパールと小声でやり取りをするアリア。
喋るステッキという存在を無関係の人に見られるわけにはいかない。そう思ってアリアは一目散に立ち去ろうとする。
言峰「…………」
ーーだというのにどうしてこの人は訝しげな目をしてるんですか!?
アリア「ど、どうしました?」
なんとかこのマズイ空気を払拭しようとアリアが口を開く。
すると言峰は意外なことを口にした。
言峰「……いや、なんでもない。とにかく、夜の出歩きはやめておけ少女。敷地内とはいえそう何度も怪我をしたくはないだろう?」
アリア「あ、はい! ありがとうございます!」
最後にそうやって頭を下げアリアは走り去る。
アリア(……あれ? 今、何かおかしなところがあったような……?)
ふと走りながら後ろを見る。
すると、そこには既に誰もいなかった。
ーー次の日。
学校へ向かうアリアの足取りは少し重かった。
それは別に学校へ行くことが嫌なわけじゃない。
昨日の一件が尾を引いているのか、やや体がダルかったのだ。
アリア「はぁ……」
パール「朝からため息とはいけませんよ。疲れが抜けてないのはわかりますが、それでも元気にいきましょう!」
アリア「あー、うん。そうだねわかったから少し黙ってて……」
ランドセルの中に隠れているパールの言葉にもまともに反論する気になれない。
昨日は初めての戦闘であり、いろいろなことが起こりすぎた。一日で全快しろというのも無理な話である。
アリア(イリヤちゃんと美遊ちゃんはどうだろう?)
そもそも美遊と次会うのは二枚目のカード回収の現場になるはずなので除外するとして、イリヤの方はアリアも気にしていた。
普通の一般人がこんなことに巻き込まれたら二日三日は引きずるだろう。
それはーー同じ年頃の少女として心配せずにはいられなかった。
直後コンマ判定
奇数でイリヤと士郎
偶数で美遊と鉢合わせる
美遊「あ」
アリア「あ」
――会った。
それはもう早く、予想外なほどに。
――――。
偶然一緒になった美遊と並んで学校へ向かうアリア。
アリア「……」チラッ
会話らしい会話は一切ないが、服装やランドセルを見るに目的地は同じと見て間違いなさそうであった。
つまり、美遊は――
パール「転校生ということですか」
サファイア「そういうことになります。アリア様、これからよろしくお願いいたします」
――ランドセルに隠れた二本のストッキングが言うとおり、転校生ということになる。
アリア「あ、こちらこそよろしく……」
美遊「サファイア、あまり声を出さないで。通行人に聞かれると面倒」
パール「美遊様は神経質ですねぇ。それくらいの注意は私もサファイア姉さんもしてますって」
美遊「なら、いいけれど……」
そしてさらにもう一つ気付いたことがあった。
それは、今隣に並んで歩くこの少女は――中村アリアに対してかなりの警戒をしているということ。
アリア(やっぱり、昨日のことなのかなぁ)
黒化英霊の一撃を受けてなお平然としている姿(実際には激痛も当然伝わっていた)を見れば違和感の一つや二つ覚えても不思議ではない。
とはいえアリア自身が何かをした結果、というわけではないのだから正直な気持ちとしては複雑なところであった。
美遊「そ、その」
すると、美遊はわざとらしく咳払いをしてみせた。
美遊「今日から同じ学校……に通うことになったみたいだけど……」
アリア「あ、うん。そうだね」
美遊「……職員室? ってところに初めに行けばいいの?」
アリア「そうなんじゃないかな……先生とかには何か言われてない?」
その言葉に美遊は首を横に振った。
美遊「ルヴィアさんから話を聞いただけだから、教師からの話はまだ何も……。でも、職員室に行くのは間違いないと思う」
サファイア「いろいろ手続きをしてくれたのは感謝するべきなのですが、美遊様にとっては初めてのことなので……アリア様にもご確認しておこうということです」
アリア「なるほど」
またいくつか気になることが出てきたものの、そこを掘り下げる必要は今はないだろう。
アリア「それなら私が職員室まで案内するね?」
美遊「あ……ありがとう……」
とりあえず職員室まで案内すれば、あとは教師に任せれば問題ないだろう。アリアはそう思って職員室までの案内を申し出た。
サファイア「よろしいのですか?」
アリア「うん。どうせ私も学校に行くんだし……」
それに、とアリアは続けた。
アリア「同じ魔法少女の仲間を放ってはおけないじゃない?」
初めて会ったのは昨日の夜。
友達、と呼ぶにはいささか馴れ馴れしすぎるだろう。
でも……同じ魔法少女としての道を歩む者として、仲間と呼ぶくらいのことは許してくれるはずだ。
パール「ふふふ、やっぱり魔法少女の繋がりはこうでないといけませんわ! 同じ境遇の二人が仲間と呼び合う……素晴らしい!」
アリア「そんなに大袈裟なことじゃないと思うんだけど……」
何はともあれ、美遊が同じ学校に通うことになったのは嬉しいことであった。
クラスが同じかまではわからないけど、アリアは素直に嬉しく思っていた。
☆
――結論として。
美遊は同じクラスに転校してきた。
アリア「こんな偶然があるんだ……」
イリヤ。美遊。そして、アリア。
まさか同じクラスに三人もの魔法少女が集まることになるとは。何者かの意図があるのではと疑いたくもなる。
パール「それにしても、凄い人気ですねぇ」
こっそりとランドセルの隙間からパールが言った。
やはり転校生という存在はクラスメイトからの質問攻めに遭うのが世の常のようで。美遊の席にはたくさんのクラスメイトが集まっている。
アリア「あはは……」
パール「おや、イリヤ様がどこかに行くようですね?」
アリア「本当だ」
パール「ちょうどいいです。せっかくですしイリヤ様やルビー姉さんとお話しておきましょう? お二人には改めていろいろと説明しておかないといけないですし」
本来なら美遊も入れて三人でと言いたいところだが、あの様子を見るとそんな余裕はなさそうである。
アリア「うん、わかった」
とりあえず、一回しっかりと話をしておくべきだろう。
魔法少女について。そして――同じクラスメイトとして。
☆
アリア「イリヤ……ちゃん?」
イリヤ「おおうっ!? って、なんだアリアかぁ。驚かせないでよ~」
廊下に出てすぐの窓際にイリヤは立っていた。
その側にはルビーの姿もある。タイミングはバッチリのようだ。
アリア「ごめんごめん。それで、廊下に出てどうかしたの?」
イリヤ「いやぁ、美遊さんにいろいろ聞きたいことがあったんだけど……」
……なるほど。つまりは自分と同じということか。
アリアがそう納得をすると、二人の後ろからサファイアが姿を現した。
サファイア「ではわたしが代わりにお話を伺いましょう」
イリヤ「わあっ!?」
ルビー「あら、サファイアちゃんも来ていたんですね?」
サファイア「どうも」
パール「自分で言うのもアレですけれど、なかなかシュールな絵面ですねこれ」
小学生の少女二人の前で空に浮く三つのステッキ。
これが喋るというのだから、世の中はわからないものである。
ルビー「まだ紹介してませんでしたね。こちら新しいマスターのイリヤさんです」
パール「同じく、新しいマスターのアリア様です」
サファイア「昨夜ぶりです。改めて、これからよろしくお願いします」
パールというステッキを間近で見たからか、サファイアの礼儀正しさが新鮮に思える。
お転婆な姉と妹に挟まれるしっかりものの次女、といったところだろうか?
アリア「えーっと、三人――三人? って姉妹でいいんだよね?」
ルビー「はい! わたしが長女で」
サファイア「次女」
パール「三女ですわ」
ステッキの姉妹というのもおかしな話だが、そこをとやかく言うのは今更というものである。
サファイア「わたしは最初、ルヴィア様に仕えていたのですが……」
イリヤ「あの子に乗り換えたってわけね……」
アリア「原因は……ああ、なんとなくわかる気がする」
パール「察しが良くて助かります」
ルビー「それにしても美遊さんはさすがですね。まさかいきなり宝具を使うなんて」
パタパタ、とルビーが小さく回転しながらそんなことを言った。
アリア「宝具?」
イリヤ「何それ?」
聞き慣れない単語に二人が首を傾げる。
サファイア「あれ? まだ説明してないの?」
ルビー「あー、そういえばカード周りのことはまだ説明してませんでしたっけ」
パール「初戦も切り抜けましたし、ちょうど時間もあるので説明しておきますか」
アリア「うん、お願い」
何はともあれ、魔法少女になってしまったからには物事の説明は受けなければいけない。
ルビー「まずイリヤさん。凛さんが持っていたクラスカードは覚えていますか?」
パール「アリア様も、シャルロット様のお話で出てきたのは覚えていますよね?」
アリア「ああ、あの……なんかすっごい危険っていう」
ルビー「そうです。そのすっごい危険なカードがこの冬木市に現れたのが二週間前。それを回収しに日本まで訪れたのが凛さん、ルヴィアさん、シャルロットさん」
パール「お三方よりも前にカード回収をしていた前任者が二枚のカードを集め、それを協会が分析したのですが……」
サファイア「生憎とカードについて判明したことはほとんどありませんでした」
……ほとんど、ということは。
イリヤ「わかったこともあるってこと?」
パール「はい。どうやらクラスカードは実在した英雄の力を引き出せるようなのです」
アリア「英雄? 神話とかに出てくる、アレ?」
ルビー「そうです! 英雄は死後に『英霊の座』という高次の場所へ迎えられ、英霊となります。その英霊が扱う、通常の武具を超越した奇跡を成す兵器――それが『宝具』」
サファイア「昨夜、美遊様が使ったのがそれです。刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)――放てば必ず相手の心臓を貫く必殺の一撃」
文字通りの必殺技。
難しい話はいまいち理解できないが、それでも昨夜美遊が使用したという『宝具』の力についてはわかったような気がした。
ルビー「どうやらクラスカード一枚に英霊一人が対応しているようでー……って、イリヤさんちゃんと話を理解してますか? もう少し続きますよ?」
イリヤ「な、なんとか理解してるよ……うん……」
アリア「私もなんとか……」
小学生にとって――というより、一般人にとって魔術の世界に関する知識は当然のことながら縁遠い。
それをすぐに理解しきろという方が無茶な話である。
サファイア「昨夜の敵も英霊の一人でした。いえ、正確に言うならば暴走した英霊の一人ですか」
ルビー「魔術世界的に言うならば『黒化英霊』と言ったところでしょうねぇ」
パール「アレはカードを覆うようにして具現化していますので、カード回収をするならば必ず打倒しなければいけません」
アリア「それでパール達の出番……ってこと?」
ご明察! とパールが喜びの舞をする。
パール「『黒化英霊』は本来の英霊の力から幾分劣化しているものの、結局は英霊ですので。シャルロット様達でもかなーりキツい任務となります」
ルビー「それに昨夜の敵には魔術が効かないこともわかっていたので、純粋な魔力射出の攻撃を可能とするわたし達に白羽の矢が立ったというわけですね」
サファイア「協会が回収したカードはアーチャーとランサーの二枚。わたし達が回収したカードはライダーの一枚。全部でカードは七枚なので、残るは四枚です」
ルビー「ここまでで何か質問とかありますか?」
クラスカード。
英霊の力。
気になることはたくさんあるが、この場で質問をするとしたら――
↓1
1 アーチャーとかランサーって、何?
2 前任者っていうのは……
3 特にない
アリア「アーチャーとかランサーって、何?」
イリヤ「あー、確かカードに書かれてたよね?」
ルビー「はい! あ、そういえばシャルロットさんはクラスカードをお持ちではなかったですっけ?」
それなら仕方ないと言わんばかりにルビーが左右の羽を指のように動かす。
ルビー「クラスカードには英霊の力が宿っているという話はしましたね? アーチャーやランサーといったクラスはその英霊の力を当てはめるための型といったところでしょうか」
パール「アーチャーは弓を。ランサーは槍を武器にして戦います」
サファイア「昨日戦ったのはライダーですので、残りはキャスター、セイバー、アサシン、バーサーカーの四枚ですね」
イリヤ「バーサーカーって、狂戦士って意味だよね? ……戦いたくないなぁ」
言葉通りの意味ならとてつもなく危険な戦いになる。
それを感じ取ったイリヤがため息を吐いた。
パール「個人的にはキャスターも要注意ですね。カード回収はその手順上どうしても敵地にこちらから赴くしかありません。キャスター――魔術師の英霊を相手にすると考えると圧倒的に不利な状況です」
ルビー「そうですねぇ。もしかしたら鏡面界に跳ぶことすら何かイレギュラーが発生するかもしれません」
アリア「そんな不吉な……」
と、ここで不意に教室の扉が開く音がした。
美遊「サファイア」
イリヤ「おおうっ!?」
アリア「イリヤちゃん……さっきから驚きすぎだよ……」
サファイア「美遊様。クラスメイト様とはもうよろしいのですか?」
美遊はイリヤやアリアを一瞥だけし、口を開く。
美遊「大丈夫。それより、あまり勝手に出ないで。誰かに見られたら面倒」
サファイア「すいません。お二方と少し話をと思いまして」
イリヤ「あ、あのっ!」
美遊「…………」
美遊はイリヤの声に反応をせず、サファイアを連れて立ち去ってしまった。
残されたアリアとイリヤ。その後ろから数人のクラスメイトが声をかける。
美々「あはは……難しい子だよね、美遊さん」
龍子「あれはなかなか難度高めだぜ! でもハードルは高いほど燃えるよなぁ!?」
那奈亀「うるさい」
雀花「ま、ああいうタイプはクラスにいなかったからなぁ」
桂美々。嶽間沢龍子。森山那奈亀。栗原雀花。
イリヤが特に仲良くしているクラスメイトの四人である。
雀花「つーかイリヤ、中村さんと仲良かったんだな?」
イリヤ「ふえっ!? あ、うん! 実はそうだったんだー!」
龍子「やっぱ外国の血が流れてる者同士惹かれ合うものがあるのか!?」
那奈亀「ないだろそんなの」
アリア「あはは……」
突然の騒がしさに困惑する。
当たり前だ。今までは友達と呼べるクラスメイトは一人もいなかったのだから。
美々「でも、イリヤちゃんの友達ならわたし達とも仲良くしてくれると嬉しいな」
那奈亀「おっ、美々良いこと言うね~」
龍子「よし! 今日からアリアは我が嶽間沢軍団の一員だ!」
雀花「それわたしらは関係ないよな?」
アリア「あっ、う……うんっ」
多少面食らうようにしながらアリアが頷く。
それは極普通の、小学生であるアリアが初めて小学生らしい流れでできた友人。
そのことにアリアは人知れず高揚しているのだった。
☆
――美遊・エーデルフェルトは完璧超人であった。
授業で問題を出されても。図工で絵を描かされても。家庭科で料理を作らされても。体育で短距離走をさせられても。
必ずクラスメイトと担任の度肝を抜かせてみせた。
まさに絵に描いたような完璧超人。
余談であるが、同じく美遊の観察をしようとしていたイリヤは短距離走で負けたことによりやや落ち込んでいる。
アリア「イリヤちゃん……」
パール「どうやら短距離走はイリヤ様においてかなりの自信があったみたいですねぇ」
そうして美遊を新しく迎え入れた学校生活も一日が終わり、放課後。
↓1
1 そのまま帰る
2 気分転換に回り道をして帰る
3 あれは……誰?(続けて人物判定)
誰と帰るわけでもなく一人で歩く帰路。
アリアはぼんやりと空を見上げていた。
パール「アリア様、どうかなさいました?」
アリア「んー……いや、別に?」
当然、別にというわけはない。
アリアの頭の中ではパール、ルビー、サファイアからの話が巡り回っていた。
クラスカード。英霊。宝具。
一般人には到底聞き覚えの無い単語。
しかし、何かが引っかかる。一体何が――
パール「おや、あそこの人は何をしているんでしょう?」
アリア「え?」
パールの声に意識を前方へ移すと、そこには銀髪の女性が何かしゃがんで物を拾っているようだった。
アリア「落とし物かな?」
パール「これまた凄い量ですねぇ」
見たところ女性が拾っている物はお菓子類の箱や袋のようだった。
アリア「あの~……大丈夫ですか?」
恐る恐るといった感じにその女性に声をかける。
「む? ああ、だいじょーぶだいじょーぶ」
女性は遠目からでも目立つ銀髪の他に、外出するにはラフすぎる(個人的意見)服装をしていた。
パール(こ、これは……なんという質量の暴力……!)ボソボソ
アリア(ちょっと黙っててね?)ボソボソ
ラフな服装だからこそ、だろうか。
女性のスタイルの良さにパールが小さな声ながら驚いている様子が伝わってくる。
↓1
1 手伝う
2 手伝わない
アリア「手伝いますね」
「んー、ありがとう?」
どうして敬語……?
そうアリアは苦笑いをした。
☆
アリア「これで全部ですね。はい」
「ありがとう。助かった」
集めきったお菓子類を袋に詰め終えた女性。
一人で食べるにしては多すぎるようにも見えるが……?
「その制服……もしかして、イリヤの友達?」
アリア「えっ?」
イリヤというのはもちろん、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンのことだろう。
そしてアリアの反応で確信したのか、女性は袋からお菓子を一つ取り出した。
「なら、お礼。これあげる」
アリア「あ、あのっ……イリヤちゃんのお知り合いですか?」
「わたしはリズ。イリヤの――一応、メイド?」
アリア「メイド!?」
リズ「うん。……ってことで、はい。これわたしのお気に入りのお菓子」
受け取ったお菓子はどこにでも売ってるような普通のチョコレートだった。
意外にも庶民派メイド……?
リズ「ばいばーい」
アリア「へっ? あ、ちょっと……」
声をかけてもリズは反応せず立ち去ってしまう。
パール「うーん……イリヤ様のご家庭もなかなか複雑のようですね?」
アリア「というよりは、お嬢様……?」
受け取ったチョコレートをポケットに入れ、アリアは再度帰路に着く。
第二話 呪い
☆
そうして、夜。
アリアはシャルロットの指示に従い、橋のふもとにある公園へやって来ていた。
目的はもちろん、カード回収である。
アリア「…………」
学校から施設へ戻ってすぐ。
職員の一人から聞いた話によると、今日も言峰は施設を訪ねていたらしい。
元々不定期に訪れていたので別段不思議なことではないのだが、昨夜をきっかけにアリアは明確な苦手意識を持っていた。
何か、心の奥底を見透かされているような――
シャル「アリア、話聞いてる?」
アリア「あ、ごめんなさい! えっと……」
シャル「……昨日戦ったとおり、相手はかなりの強敵よ。だから時間をかけずに速攻で終わらせる」
パール「昨日とは違い戦力は増えていますから、決して不可能ではないでしょう!」
ルヴィア「……時間ですわ。行きますわよ」
そうして二回目の戦いが始まる。
戦力は増えた。美遊の実力はすでに見ている。
勝てるかどうかはわからない。
でも――勝てる可能性は高い!!
☆
――五分後。
鏡面界から戻ってきたアリア達は……それは見事にボロボロだった。
凛「いたた……なんなのよアレは!?」
ルビー「いやー、歴史的大敗でしたねぇ! あっはっは!」
アリア「笑ってる!?」
シャル「パール……もしかしてあの英霊は」
訝しげにしていたシャルロットの言葉にパールが答える。
パール「はい。……おそらく、歴史的な相性の悪さがありましたね」
イリヤ「相性? 魔法少女って、無敵なんじゃ」
サファイア「いいえ、確かに大抵の敵なら有利に立てるだけのスペックはありますが……それでも、相性があります」
そして、その相性最悪な敵が――今回の敵だったということだ。
☆
鏡面界へとやって来たアリア達。
今回は敵の出現を待つことはなく……すぐに戦闘が始まることになった。
ルヴィア「ちょ、これって……」
ルビー「ええ。どうやら敵は――準備万端だったみたいです」
直後、アリア達の上空から無数の攻撃が降り注いだ。
凛「嘘! いきなり!?」
ルビー「全魔力を防御に回してます! 凛さん、離れたら死にますよ!」
凛「じょ、冗談じゃないわ……!!」
その攻撃はまさに魔法と呼ぶに相応しかった。
そして、その攻撃方法から今回の敵のクラスがわかる。
シャル「おそらく、あれはキャスターね」
パール「はい。つまり魔法少女同士の戦いということになります! いえ、あちらの方は少女と呼ぶには些かお年を召しているようですが!」
アリア「そこは重要じゃないよね!?」
攻撃が止まり、周囲を覆っていた土煙が晴れる。
ルヴィア「ともあれ! 遠距離戦なら望むところですわ! 美遊!」
美遊「はい!」
ステッキを振り、巨大な魔力弾を放つ。
その魔力弾は一直線に敵を目指して飛び――
凛「なっ!?」
――その眼前で掻き消されてしまった。
美遊「今のは!?」
しかし、考える猶予は与えられない。
真上の雲が雷鳴と共に一瞬光ったのをシャルロットは見逃さなかった。
シャル「伏せて!」
アリア「うえぇっ!?」
シャルロットの合図と同じタイミングで周囲に魔力による壁が現れた。
凛「っし! さすが!」
パール「その判断力は素晴らしいですわ、シャルロット様」
古代ルーン文字による雷避け。
それがシャルロットの使用した魔術の正体である。
シャル「そんなことはどうでもいいから早く撤退!」
ルヴィア「確かに、これは一時撤退する必要がありますわね……」
すると、突然アリア達の周囲を囲むように暴風が巻き起こった。
地を削り土煙を巻き起こすそれはアリア達の逃げ場を完全に封じる。
イリヤ「竜巻!?」
凛「閉じ込められたわね……!」
ルビー「あ、イリヤさん。上見てください」
ルビーが示した先。
そこには――とてつもないほどに巨大な魔方陣が。
イリヤ「うわ……これ、もしかして大ピンチ?」
アリア「なんかとんでもない音してるよ!?」
いわばそれは巨大な大砲を向けられているのと同じこと。
つまり、この大砲が発射された瞬間。
アリア達の敗北が決まることになる。
シャル「パール! 撤退!」
凛「早く早く早く!!」
ルビー「りょ、了解です!」
撤退の準備をする間にも刻一刻と運命の瞬間は迫っている。
「「「早くー!!」」」
☆
アリア「と、とんでもない戦いだった……」
サファイア「というよりは一方的な虐殺でしたね」
パール「あれは恐らく、神代の魔術でしょうねぇ」
つまり、魔術という面だけですでに大きなハンデがあるということになる。
アリア達はもちろん、魔術師の凛やルヴィア、シャルロットもあれほどの魔術は行使はできない。
イリヤ「で、でもシャルロットさん敵の攻撃防げてたし!」
シャル「アレはあくまで防御であって攻撃ではない。どちらにせよ、何か作戦が必要ね」
ルヴィア「防御といえば、あの魔力反射平面も厄介ですわ」
美遊「それって」
サファイア「美遊様の攻撃を防いだアレです。規模こそ大きいですが座標固定型なので、頭上まで飛べばなんとか……」
凛「そうは言っても飛行なんて一朝一夕に使えるようになるわけが……」
凛の言葉は正しかった。
魔法少女として先輩の凛、ルヴィア、シャルロットですら飛行を完全に会得するのに丸一日の訓練が必要になる。
それを一般人のアリア達が会得するとなれば、どれほどの時間が必要になるか――
イリヤ「あ、そっか。飛んじゃえばよかったんだ」フワー
凛「ええっ!?」
ルヴィア「ちょ! 飛べてますわ!?」
――だというのに、事も無げに飛ぶイリヤ。
これには凛やルヴィアも驚くしかなかった。
↓1
アリアは
1 飛べる
2 飛べない
アリア「あー、なるほどその手があったんだ」フワー
凛「ってアリアまで!?」
ルヴィア「強固なイメージがないと飛ぶどころか浮くことすら難しいのに……!」
二人は簡単に飛んでみせたが、こればかりは凛やルヴィアの反応が正しい。
それほどまでに二人の行いは突拍子がなく、異常なのだ。
イリヤ「え? いや、だって……」
アリア「魔法少女って飛ぶものでしょ?」
パール「なんという頼もしい思い込み! やはりアリア様はわたしのマスターに相応しいです!」
ルビー「イリヤさんもです! ルビー、感激!!」
――最初の勝負は負けてしまったが、それでも明確な対抗方針はある。
美遊は二人と違い飛ぶことができず、ルヴィアに「明日は訓練ですわ!」と言われ帰ってしまった。
アリアとイリヤも、効率的な飛行を会得するために訓練。
凛とシャルロットは作戦会議。
即席チームながらすぐに行動に移せるのはさすがと言うしかないだろう。
アリア(でも、なんだったんだろうなぁ……アレ)
だからこそ、アリアは気になっていた。
鏡面界から撤退するその間際。暴風の壁の向こう側に見えた――黒い霧のようなものの正体は。
☆
そうして波乱の一日も終わりを迎えようとし、施設に戻ってきたアリア。
アリア「ふぅ……これが面倒なんだよなぁ」
夜遅いとはいえ誰かに見られるわけにもいかないので転身するわけにもいかず、こうして施設の敷地内に入るときは足場を使って壁をよじ登らないといけない。
なので今回もそうしようとしたとき――不幸にも誰かが通りかかる気配がした。
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