川内「俺男なんだけど」 (322)

川内「艦娘になれるんだな」

職も金もないのに適正があるとか言われたから来てみたがホントになれた。何故だ。

足柄「実際の数字は知らねーがいるにはいるんだぜ。元男の艦娘って」

川内「」ドンビキ

足柄「なに引いてんだよ」

川内「見知らぬ美女が急に男口調で話しかけてきたので」

足柄「美女はおめーもだ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1499171136

何も提督にならなくても艦これの世界に行けるかなって

キャラ崩壊はデフォ

思いつきなのでのんびりと

足柄「とりあえずよーこそ鎮守府へ。正しくお前の先輩にあたる足柄だ。暫くはお前の世話役だろうからヨロシクな」

川内「ヨロシク…ってことはアナタも?」

足柄「男だ」

川内「うわマジか」

足柄「んな落ち込むなよ。こっちも落ち込むぞ」

川内「自分が今どういう状況か客観的に知れたんだよ…」

足柄「その体になってどれ位だ?」

川内「3時間くらい」

足柄「その時のかんそーは」

川内「うっはやべー俺美少女」

足柄「今のかんそーは」

川内「すんげーキモイ」

足柄「俺見てゆーなよな」

川内「えっと、足柄?さんはどれくらいで?」

足柄「もう1年くらいだな」

川内「おおー」

足柄「まあ色々大変だろうが仲良くやろうや」

川内「やっぱ大変なのか」

足柄「そりゃもう」

川内「例えば」

足柄「俺、って言ったじゃん」

川内「うん?」

足柄「これ使ったの1年弱ぶり」

川内「あー、うっわきっつ」

足柄「慣れたからいいけどな。でもやっぱこうして使うとなんか落ち着くわ」

川内「なんてゆーか、ご愁傷さまです」

足柄「他人事じゃねーぞ」

川内「そうだった」

足柄「ともかくあれだ、慣れろ。人間案外適応するもんだ」

川内「せやかて工藤」

漣「おっじゃましまーす」ガチャッ

足柄「あらっ、何かしら」

川内「うわキモッ」

足柄「声に出てるぞおい」

漣「あ~安心してください私です。改めて、秘書官の漣ですヨロシク」V

川内「えっ、メイドじゃないの?」

漣「いや流石に鎮守府にメイドは」

川内「だってさっきご主人様がどうとか。しかもその格好」

漣「これは趣味です」

川内「マジか」

足柄「提督指定のスク水よりはメイドの方がマシだよな」

川内「え?」

川内「てか男口調って隠さなきゃだめ?」

足柄「ダメなんだと」

漣「一応全員女って事でとーしてますから」

川内「余計なことを」

漣「戦力はあるだけ欲しいってんで男も艦娘にしてるんですよ」

足柄「とは言えそんな極小数のために他のみんなに気を使わせるわけにもいかないってんでこうなってる」

川内「俺らの負担大き過ぎない?」

漣「特別手当でるんで」

川内「金か」

足柄「でも金だろ?」

川内「せやな」

足柄「あと周りは女だし」

川内「それ、それ!」

足柄「そう思ってた時期が俺にもあったよ」

川内「なんだよ意味深な」

漣「では早速着任の報告をご主人、もとい提督に」

川内「俺が行くの?」

足柄「当たり前だろ」

漣「私先に行ってるんで足柄さん宜しくお願いします」

足柄「ふふん、任せなさい」

川内(キモい)

足柄「顔に出てんぞ」

足柄「明日は我が身だからな。切り替えは大事なんだよ」

川内「なるほど」

足柄「とりあえずこの部屋を出たら」ガチャッ

川内「出たら?」

足柄「男口調禁止よ?OK?」

川内「おーけー」

残念ながら玉はない設定です。



残念ながら?

足柄「まああなたの場合一人称を私にしてればそれほど違和感はないと思うわ」

川内「ふむふむ」

足柄「あと何かにつけて夜戦をアピール」

川内「え、何それエロい」

足柄「実際に戦場に出たら二度とそんなこと言えなくなるわよ」

川内「あとさ」

足柄「なに?」

川内「ズボン履いてもいい?」

足柄「馴れて」

川内「いやヤバくない、スカート。防御力低すぎでしょ。女子って何でこんなもん履いてんの、痴女なの?」

足柄「一般的なものより短いものね。でもうん、馴れて」

川内「アレだよね、変に隠れてる分余計に恥ずかしい。パンツ一丁はそれ程恥ずかしくないけどそこに上着だけ着るととたんに恥ずかしいみたいな」

足柄「何力説してるのよ」

川内「足柄さんはいいよね、その、スパッツ?的な、なんか履いてるし」

足柄「川内」

川内「はい」

足柄「戦場でたら脱げるから安心して」

川内「…え?」

足柄「安心して」

川内「え?」

川内「緊張がやばい」

足柄「玉無しね」

川内「いや玉はもうない」

足柄「それもそうね」

川内「トイレどこ?」

足柄「そこの突き当たりを右」

川内「サンキュー」

川内「女子トイレしかなかったよ」

足柄「そりゃそうよ。提督用のトイレはこの上と食堂だけ」

川内「じゃ上か」

足柄「ねぇ」

川内「何」

足柄「あんた女よ」

川内「…」

足柄「…」

川内「付き添いとか…」

足柄「座って。あとは流れでなんとかなる」

川内「マジか…」

川内「徐々に自分が生まれ変わってる感覚がする」

足柄「でここが提督室よ」

川内「やっば、何も考えてなかった」

足柄「喋り方はそんな感じで問題ないわ。俺って言わない事だけ気をつけて」

川内「りょーかい。思ったより楽だね」

足柄「あなたはね…」

川内「そっちは大変?」

足柄「飢えた狼っていうキャラなのよ」

川内「飢えたって、そっちの意味で?」

足柄「男なのにね…」

川内(何も言うまい)

足柄「後これ台本」

川内「台本?」

足柄「この1行暗記して」

川内「挨拶に台本て?」

足柄「私達はね、演じなきゃいけないの。なりきるのよ。私はそう教わった」

川内「教わった?」

足柄「ほら気合い入れてゴー!」バンッ

川内「わっちょ!」

イケメンがいた。イケメンというとテレビや雑誌に出るような顔面偏差値ハーバードみたいなやつを思い浮かべるかも知れんが、この場合のイケメンはクラスで人気が高いとか運動部で女子にキャーキャー言われてるみたいな、素直にうわイケメンだ死ねって思えちゃうレベルだ。

川内「川内、参上。夜戦なら任せておいて!」

演じろ、というアドバイスはなるほど的確なもので、そう意識するとセリフは淀みなく言えた。ポーズまで付けて。なんか楽しくなってきた。

イケメンがイケメンスマイルを発しながら軽い自己紹介をしてくる。

あ、そうか。今更だがこのイケメンスマイルは俺に向けられているのか。俺っていうか私に。

こうして真っ向からイケメンスマイルを放たれるとうん、確かにイケメンだムカつく。

漣「今までと同じで川内は暫くは訓練期間に入ります」

イケメンが俺に手伝えることは無いか?とかなんとか色々言ってる。心までイケメンか。いやどうせ下心があるに違いない。俺ならそうする。

漣「私達艦娘の問題ですからね。ご主人様じゃ中々難しいかと。足柄さんが教育担当なので大丈夫ですよ」

それはそれで心配なんだよなぁとイケメンため息を漏らす。イケメン苦笑いから察するに飢えた狼さんはしっかり飢えた狼を演じてたようだ。

足柄「さて、暫くはここがお前の寝室になる」

川内「二人部屋なんだが」

足柄「こっちは俺だ」

川内「マジで?」

足柄「世話役だからな。一週間くらいは二人でこの部屋だ」

川内「ゴクリ」

足柄「俺もお前も女だからな」

川内「でもどっちも男だよな」

足柄「…」

川内「…」

足柄「深く考えるのはよそう」

川内「そうだね」

足柄「とりあえずこれ読んどけ」

川内「んだこれ?川内型マニュアル?」

足柄「それ読んでよりキャラを把握しろ」

川内「こんなものまであるのか…」

足柄「残念ながら俺はこれから仕事だ」

川内「え、俺1人かよ」

足柄「しゃーねーだろ。あと、突然誰か来る可能性あるから、まあ上手くやれ」

川内「上手くってなんだ上手くって」

マジで行っちまった。仕方ねえか。とりあえずマニュアルをば。


ふむ、ホントに色々書いてあるな。神通と那珂は元からここにいるっていうし出来るだけ二人のことは覚えておこう。


ん?でも川内って二人の姉だってあるけど、俺新人だろ?どういう扱いになるんだよ。


…つかホントに夜戦しか言ってねえーこいつ。いや俺、私?やだアイデンティティブレイクしちゃう。


那珂「那珂ちゃん入りまーす!」

川内「うわっ!?」

神通「すいません姉さん。ノックをするように言ったのですが」

川内「いいっていいって。私もちょうど暇してたし」

姉というワードをしっかりインプットしつつ気さくな感じを演じる。我ながら完璧では?

那珂「も~、暇なら私達に顔見せに来てくれればいいのに」

キャピって効果音を一挙手一投足全てから発するようなキャラだ。もし俺が川内じゃなく那珂になってたらと思うとゾッとする。

川内「だって私まだ鎮守府のこと知らないじゃん。迂闊に動けないもん」

那珂「あそっか、なら私達が案内してあげよう!」

神通「他の皆さんにも挨拶できますし、私も賛成です」

川内「そりゃいいや、よろしく…」

神通、那珂。呼び捨てでいいのか?ヤバイこれ分からん。ゲームでいきなり時間制限つきの選択肢出てきた気分だ。こういうのに限ってルートが割るんだよ。

那珂「まず私達の部屋だね。お姉ちゃんのモノはまだ入ってないけど」

神通「那珂ちゃん、そっちは食堂です」

来た!穴埋め問題的ヒント!唸れ俺の頭脳。二人と俺の関係性から全てを予測するんだ!!

川内「よろしくね、那珂ちゃん、神通」

那珂「あ、今はアイドルモードじゃないからいつも通り那珂でいいよ」

分かるかんな引っかけええええ!!!!

姉妹艦なのにお互いの呼び方分からなくて辛い

那珂ちゃんと神通の時報まだ?

不思議な感覚だった。他の艦娘との挨拶は初めましてなのに、みんな私のことを知っていた。

今日初めてここに来たのに私は川内型の姉だった。

夜戦バカと言われた。

三水戦かどうたらこうたら。

「また」という単語もちらほら。

演じるって、そういうことなのか?

俺は何になったんだ。

那珂「もうこんな時間か~。よし!お風呂行っちゃおう!」

神通「そうですね。今の時間ならさほど混んでないでしょうし」

那珂「私達着替えとってくるからお姉ちゃんも準備しといてね」

キラッとやったあとバビュンと駆けてゆくアイドル。速い。

神通「着替えは部屋のタンスです。タオルはお風呂場なので大丈夫です」

しっかりと教えてくれた。出来た姉や。那珂と違い走らずに、いや走ってった。廊下は走るなとかないのかここ。

川内「さてと」

タンスタンスっと。これか。下着なら下の方かな。おっ当たり。

川内「ってこれ下着じゃん」

いや下着は下着だよ。知ってたよ。そうじゃなくて、男にとって下着って単語の示すところはつまりそういう事じゃん?

川内「下着じゃん!!」

パンツがある!ブリーフとかボクサーパンツとかじゃなくて!つか所々際どい色のあるんだけど誰だよこれ用意したの。わーブラだブラ。初めて生で見た。なんだろう。男が下着のタンス開けてるだけで犯罪臭しない?彼女いない歴年齢だからかな?悲しいね。

慌てるなこういう時はマニュアルだ。マニュアル通り動くんだ。マニュアルを信じろ。

目次、下着。あるわきゃない。どっかないの?後ろの方とかさ。ん?

備考:部屋着の時はノーブラ

川内「あったよ…」

誰だよ書いたの。手書きだし。ありがたいけどさ。

女風呂に入る。それは男の夢である。

いやでもいきなり直はハードルたけえ!

構造は普通の銭湯と言った感じ。その脱衣所。

横には上半身裸の妹2人。

小ぶりなニップルが並んでおる。

服を脱ぐ。

うわ俺にもある。

でもなんだろう。不思議な感じだ。興奮はしてる。ぶっちゃけ。でも条件反射的というか、ついつい癖でって感じで性的興奮とは違う気がする。息子不在だから?


あれ、今更だがもしかして使わないままに息子とお別れしちゃったの俺?

那珂「どうしたのお姉ちゃん?」

川内「いやね、今日まで磨いてきた伝家の宝刀が無くなっちゃったの」

那珂「?」

気にしないで。

風呂には他の艦娘もいた。

潜水艦達の殺人的おっぱいを見た。

最上と日向がずいうんがどーたらこーたら言ってた。最上って私よりちっちゃいのでは?何か勝った気がした。

神通「ふ~」

水も滴るいい女。エロい。

那珂「んー!」

何やら体操らしきものをしてるアイドル。可愛い。

俺は。

川内「熱い!」ザバッ

二人には悪いが先に上がらしてもらう。

川内「ホントに女だ」

脱衣所の鏡を見る。どっからどう見ても美少女だこれ。

でもこんな写真撮ってオカズにしたいレベルの姿を見てもやはり性的興奮はない。

川内「これが去勢というものなのか」

末恐ろしい。まあこの環境下で一々興奮しなくて済むのはありがたいかな。

履く時少しドキッとしながらもパンツを履いて上を着る。擦れて気持ちいいとか想像したけどそんな事はなかった。

川内「こんな部屋着しかないのか」

夜戦ラブ。

特注品だよなこれ。

川内「ただま~」

足柄「おっ、どこ行ってたんだよ。風呂か?」

川内「那珂達に誘われてさ。鎮守府も回ってきた」

足柄「そりゃ良かった。だいぶ馴染んできたみたいだな」

川内「マニュアルが役立ったよ。色々とな」

足柄「そういや下着とか大丈夫だったか?」

川内「ノーブラ」

足柄「あ~」

川内「楽でいいや」

足柄「でも一応付け方は覚えとけ」

川内「だよね」

足柄「ほれ、教えちゃる」


最中に男同士ってボソッと言ったら殴られた。

悔しい、でもドキドキしちゃった

夕飯食べて他の軽巡と話したりして部屋に戻った。

川内「俺夜は安静にしてなきゃダメって設定なのな」

足柄「最初は艤装とかにまだ身体が慣れてないって事になってる。いきなり女世帯に放り出されるのも辛いだろ?」

川内「ありがたい配慮だよ。みなには夜戦バカが夜に安静とか(笑)ってネタにされまくった」

足柄「ちなみに夜は好き?」

川内「ゲームする時間だった」

足柄「あーね」

川内「嫌いじゃないけど」

足柄「体動かす事に慣れとけ。健康にはいいぞ」

川内「努力する」

足柄「おはよー」

川内「おは…」

足柄「おら起きろ。女は朝が大変なんだ」

川内「うげ、なんでさ」

足柄「お前髪のセットなんかできないだろ」

川内「あ~」

鏡の前に椅子を持ってきて座る。

足柄「よく見とけよ。次からは自分の手でやんだから」

ボサボサの髪がクシと手で優しくとかされていく。

目を瞑ってみる。

自分の髪を誰かに弄られている。正直寒気がする。

目を開けてみる。

中学生くらいの女の子が、年の離れた姉に髪をセットされてる。といった設定がハマりそうな絵面。

なんとも言えずこそばゆい感じだ。

足柄「ここをこうやって、あれ?違うわこうだ」

川内「器用だね」

足柄「自分はもちろん、那智姉さんの髪をよく弄ったりしてたからかしらね。あれで朝は弱いのよ」

川内「ふ~ん」

姉妹の話となると自然と口調が変わってる。すっかり女になってんなー。

足柄「ハイ終わり。左右で結わえるだけだしそんな難しくはないだろ」

川内「何にせよ初めてなんだからハードル高いよ」

足柄「大丈夫大丈夫。俺も楽な方だがすぐ慣れた。考えても見ろ、金剛とかどうやってると思うよ。俺は怖くて聞けねえ」

川内「せやな…」

アレは、アレは何なんだろうな。再現できるのもなのか?

川内「まあいいや」ストン

足柄「ん?なんだよ」

川内「いや、鏡見るに後ろに倒れると丁度おっぱい枕になるなーと」

足柄「変態め」

川内「でもやっぱ興奮しない」

足柄「まだ気にしてんのか」

川内「逆に気になんなかった?」

足柄「そりゃ多少は。でもすぐ忘れたよ。あっても困るし」

川内「そりゃそうだけど」

足柄「というか頭どけろ。誰に負担がいってると思ってる」

川内「なんか落ち着くわ」

足柄「はあ?」

川内「いやさ、こう下心無しに家族以外の女性と密着するなんて不可能じゃん」

足柄「言い切ったな。同意だけど」

川内「そりゃエロいことしたいなあとは思うけど、そうじゃない相手でもそう思っちゃうじゃん。主に下半身が」

足柄「ま、そうだな」

川内「女になった事でカルマから解放された感があるわ」

足柄「何がカルマだスケベ」

川内「なんかいいなーこれ。眠くなってきた」

足柄「それは起きたてだからだ。って目を閉じんじゃねーよ。そういうのは姉妹でやってろ」

川内「まだそんなに仲良くねーよ。いや仲はともかく、俺が無効に近づけてないのかな」

足柄「そりゃ時間の問題だよ」

川内「その点こっちは色々と気が楽だしね。いろんな意味で」

足柄「やめろやめろ。俺にそっちのけはねーよ」

川内「この場合どっちのケだ?」

足柄「…」スッ

川内「だあっ!っちょあ゛」ゴン

川内「いってぇ…」

足柄「ざまぁ」

漣「おはようございますお二人さん」

川内「はよ~」

足柄「おっ、準備できたのか」

漣「はいはい。これ川内さんのです」

川内「スマホ?」

漣「ぎょーむよー端末です。大きな鎮守府ですからね、出撃とか遠征とかのスケジュール管理も機械でパパッと」

川内「なるなる」

足柄「ちなみに失くすとえらい事になる」

漣「失くすな、いいね?」

川内「アッハイ」

川内「今日は、演習?」

漣「酒匂先生とマンツーマンで訓練になりま~す」

川内「ついにこの力を振るう時が来たか」

足柄「今の力じゃ漣にも勝てんがな」

川内「マジで」

漣「そんなもんです」

足柄「俺も勝てん」

川内「マジで!?」

1日中訓練だった。感想としては酒匂先生は感覚派だった。不思議と上達したけど。艦娘ってそういうものらしい。

川内「疲れた…」

足柄「そんなお前にいい事を教えてやろう」

川内「いい事?」

足柄「女になったらやりたい事ベストスリーを言ってみろ」

川内「初めて聞いたぞそれ」

足柄「いいから言えって」

川内「くっそ恥ずかしいんだが」

足柄「一人遊び、下着の着用、男への誘惑だろ?」

川内「うっ…」

足柄「隠すなよ男同士だろ」

川内「そこまで開き直れる領域にはまだ至ってねーよ」

足柄「男としてここに来てしばらく経つが、ひとつわかった事がある」

川内「なんだよ真面目な顔して」

足柄「意外と皆提督にアタックしないんだよ」

川内「そうなの?」

足柄「一部テートクラブ勢がいるけど、それ以外は好きだけど異性として見てないってやつが殆どなんだ」

川内「ハーレムじゃねーのか」

足柄「なんだろーな。異性、というか女性としての意識が薄く感じるな」

川内「艦娘の特性なのかね」

足柄「さもありなん」

足柄「だからな、意外と効くんだよ」

川内「何が」

足柄「お色気作戦」

川内「誰に」

足柄「提督に」

川内「男が男にだぞ」

足柄「ばっかおめえ男だからこそ男が何を求めてるか分かんだろぉが。クリティカル入るんだよクリティカル」

川内「ネカマのノリか」

足柄「そゆこと」

川内「それよか一人遊びの方に興味が」

足柄「川内」

川内「ハイ」

足柄「モノには順序がある」

川内「お、おう」

足柄「川内」

川内「はい」

足柄「気軽に触れてはいけない領域がある」

川内「分かったからそのチベットスナギツネみたいな顔やめろ怖い何があった」

足柄「ともかく、今晩行ってみろよ提督のとこ」

川内「どけな感じに」

足柄「とりあえず夜戦~って言っときゃなんとかなると思う」

川内「ちょれ~」

足柄「男だしな」

川内「ですよね」

那珂「那珂ちゃんステーーージッイン!!」ガチャッ

川内「どったのってああ、もうこんな時間か」

那珂「お風呂行こーお風呂」

足柄「なら私も一緒しちゃおうかな」

那珂「あれ、もしかして話し中だった?」

川内「まあ、うん」

艦シーメール…またひとつ賢くなってしまった

那珂「ほほう。2人はどんな会話をするのかな~」

川内「アレだよアレ。最高のアニメについてね」

足柄「そうそう」

足柄「ARIAの話を」「CLANNADの話題を」川内

那珂「…」

マズイ戦争が起こるぞ

幸いにも足柄を呼びに来た那智と羽黒により宇宙戦争は防がれた。

川内「わざわざ私に合わせて早めに上がらなくてもいいのに」

足柄「昨日は一緒に入れなかったんだもの」

川内「そういやそうだった」

足柄「どう?だいぶ馴染んできたんじゃない?」

川内「てい」ムネモミ

足柄「…なに」

川内「やっぱ何も感じないわ」orz

足柄「あぁ」

足柄「分かるわよ。私もその、言葉の限界を超えた喪失感的なものに襲われたもの」

川内「昨日言ってたのはこの事だったんだね」

足柄「女だらけの職場、女湯。どれも夢のある場所だけど前提としてこちらが男じゃなきゃダメなのよ」

川内「つらい」

足柄「でも良かったじゃない。むしろこの状況で興奮してたらレズよ」

川内「そうなるのか」

足柄「実際そうなった人もいたわ」

川内「いた?」

妙高「足柄~そこにタオルない~?」

足柄「タオル?これか。今もってく~」



川内「他にもいるのかな」

川内「部屋は落ち着くな~」

足柄「そんな引きこもりにプレゼントだ」ホイ

川内「っと。何これ?」

足柄「でんきシェ~バ~」

川内「ひみつ道具であったか」

足柄「男にとってはね」

川内「カミソリ?」

足柄「まあ同じようなものだ」

川内「ヒゲなんて生えねーだろ」

足柄「下の毛だよ」

川内「下?」

足柄「アンダー」

川内「つまり」
足柄「マ〇g川内「うぉい!」

足柄「怒鳴るなよお前の体だぞ」

川内「えウソ、マジで言ってんの」

足柄「ま、お前はその体だしそんなに気にするもんじゃないが一応な」

川内「うわ~、なんか確実に超えてはいけない線を1本ずつ超えてくな俺」

足柄「あんまし口出すことでもないけどこまめにやっとけ」

川内「そんなに大事なの?」

足柄「大規模作戦とか出てみろ。出撃した回数下着姿晒す様なもんだぞ。ハミ毛とかしてみろ、死ぬぞ、心が」

川内「なんなんだよ艦娘って」

足柄「妖精に聞け。壁に話しかけるのと変わんねーと思うが」

川内「なんで俺艦娘になっちゃったんだろ」

足柄「金と下心だろ」

川内「うん」

足柄「なら当然の結果だ」

川内「楽な方に流れちゃダメだな人間」

足柄「人生そんなもんだろ」

川内「せやな、これまでも」

これまでも。

足柄「さて、明日も朝から訓練だろ?寝とけ寝とけ。私は姉さん達の部屋行ってるから。電気は消しといていいわよ」ガチャッ

これまでも、

川内「う、うん」

これまで

これまで何してたんだっけ。

不思議なもんで早くも2日目

川内「眠いから髪やって」

足柄「丸刈りがいい?ボウズがいい?それとも、ツ ル ピ カ ?」

川内「だってこれめんどいよこのままでいいよ」

足柄「動くと目とか口に入るぞ」

川内「長いよね女の人って」

足柄「伸びないだけましだ」

川内「伸びないの?」

足柄「伸びない。何故か」

川内「下の毛は伸びるのに」

足柄「何でだろうな」

川内(何だかんだでやってくれる面倒見の良さ)

足柄「髪の毛はほら、なんか神聖な感じだからじゃん?」

川内「昔から女の髪って曰く付きの話多いよね」

足柄「俺らも妖精とか付喪神とかの類だしそれでじゃねーかな」

川内「下の毛は神聖じゃないのか」

足柄「下ネタだしな」

川内「必要なものだろ?」

足柄「まあそんなんだが」

川内「個人的には長髪の方がエロを感じる」

足柄「神様にはそんな性癖はないとさ」

川内「流石神様」

足柄「あいつら人類の及びつかないようなレベルの変態の集まりだしな」

川内「ああそっち方面か」

川内「いっそ短髪にするか」

足柄「出来るならそうしたい。戦闘時髪が邪魔で死ぬとかシャレにならん」

川内「出来るなら?」

足柄「入居したりバケツかぶると治るんだよ。つまり生える」

川内「修理剤育毛剤設」

足柄「切っても生えるからだれも気にしなくなったんだな」

川内「俺がもし元ハゲだったら歓喜してるな」

足柄「髪型くらいなら多少いじれるぞ」

川内「いやいいよ、これが落ち着く」

足柄「さようで」

ちょっと、もうちょっとだけ

酒匂「ぴゃー凄いねぇ」

川内「そうなの?」

酒匂「私達の練度ってね、いっぱい訓練とかして艤装に慣れた度合の事なの。馴染むには時間がかかるんだけど、川内ちゃんは凄くそれが早いと思う」

川内「おお、さっすが私!これで夜戦も万全ね」

酒匂「特に足の部分かな。機動力ならもう私くらいあるんじゃないかな」

川内「じゃあかけっこでもしちゃう?」

酒匂「でも砲撃の命中率がヒドイので砲撃練習にいこーでーす」

川内「ぶえ~」

酒匂「もっとこうギュッと絞めてヌンって撃つの」

川内「ヌンって何さヌンって」

酒匂「艤装操作は精神が大事なんだから、もっとこうイメージを膨らませるの!こう!」

川内「いや分かるよ。分かるけどそれがなんでヌンなの!」

漣「はいは~いこちら漣で~す。あぁ緊急って訳じゃないんですけどね、ちょっと予定外の事が」


漣「そっちじゃなくて、那珂や神通から川内と早く一緒の部屋になりたいって要望が来ましてね」


漣「まあそうなんですけど、2人は事情が事情なんで綻びが生じないかな~と思いまして」


漣「これはこれで新しいパターンですし私はいいと思いますよ。川内の仕上がりは中々早いみたいですし」


漣「あいあいりょーかい。それではまた」カチャ

足柄「読んだぞこれ」

川内「あぁ…マニュアルか…」

足柄「どうした、死にそうな面してるが」

川内「訓練疲れる」

足柄「そんなにハードか?」

川内「肉体的じゃないな、精神的にこう、くる」

足柄「ふーん。俺はあんまり無かったが。まあ艤装やらなんやら訳の分からんシステムだし何があっても不思議じゃないか」

川内「大変だった事とかないの?」

足柄「まず浮くのが辛かった」

足柄「お前料理出来るか?」

川内「野菜炒めくらいなら。あーあと麺類はよく作ってたかな。余り物消費しやすいからパスタとかしてた」

足柄「よし、磨け、腕を」

川内「んだよ、花嫁修業か」

足柄「これ見ろ」

川内「ん~、ん?ん!料理上手い!?知るかよ出来ねーよ俺!」

足柄「いーじゃんかよ、出来て損はねーだろ」

川内「いやそうだけど、さあ。え?どうやって練習しろってんだよ」

足柄「鳳翔さんに教わりゃいいさ。なんなら俺が試食に付き合ってやるぜ」

川内「やめろやめろ、ヤロォのために作ったら不味くなるぜ」

足柄「安心しろよ。胃袋強いんだぜ俺は」

川内「根拠は?」

足柄「私の得意料理知ってるか?」

川内「卵かけご飯」

足柄「カツカレー」

川内「カツ?」

足柄「カツカリィ」

川内「スタートは」

足柄「包丁握る所から」

川内「俺頑張るよ」

足柄「応援してる」

川内「つっても訓練だけでも手一杯よ」

足柄「軽巡と重巡じゃ、あまり教えることはねえなあ」

川内「そなの?」

足柄「見た目は大して違わんかもしれんが戦い方は随分違うんだよ。浮き方位しか教えられん」

川内「そういやさっき浮くのが辛いって」

足柄「陸上を歩いてた生き物がいきなり水上スキーだぜ。生まれたての子鹿状態よ。慣れたらそっからは楽だったが」

川内「言われて見りゃそうだ」

足柄「お前はそうじゃないのか」

川内「浮くのはあっさりと。霊圧とかチャクラ固めるイメージで行けた」

足柄「イメージか~、そりゃ強みだな」

川内「うん…」ボフッ

足柄「寝るな寝るな」

川内「もぅマジ無理」

川内「部屋替え?」

足柄「えらいはえーじゃねえか。何かあったのか」

漣「と言うのも、那珂さん神通さんから早く同室になりたいとの要望がありましてね」

足柄「愛されてんなー」

川内「妹の愛が重い」

漣「そりゃもうすごい剣幕でずずずいっと。それだけ上手く馴染めてるって事ですし今日移動しちゃえばよくね?と相成りました」

足柄「軽い」

漣「勿論川内さん次第ですけど」

川内「私はいいよ~」

足柄「だな。俺も特にこれ以上言うこともない」

漣「ではそういうことで」

漣「一応訓練期間は明日までという事になるんで、まだ川内さんが何かやらかしたら監督役の足柄さんの責任ですからね」

足柄「頼むぞおい」

川内「人を問題児みたく言うな」

漣「家具とか荷物は午後の訓練中に私と日向さんで運んどきますんで」

川内「え、なんか悪いな」

足柄「どうせ暇だし気にすんな」

漣「わお辛辣な一言いただき!罰として足柄さんもお手伝いって事で」

足柄「Oh…藪蛇だったか」

川内「午後も訓練かぁ」

足柄「お互い気合い入れるために昼を食べに行こう。作っちゃる」

漣「カツカレーktkr」

川内「お手並み拝見といきますか」

漣「ありゃ」

川内「お先にいただいてまーす」

漣「足柄さんは?」

川内「提督にカツカレーを!って飛び出してった」

漣「あちゃ~」

川内「どったの」

漣「今提督室によってきたんですけどね、嫁の手料理食べてましたよ」

川内「嫁、ああ最上さんか。そういやまだ話したことないな」

漣「提督にベッタリですからね。いただきます」

川内「嫁いるのにアタックしてるのか狼」

漣「ジュウコンカッコカリもいけますし」

川内「漣はいいの?」

漣「初期艦という事もあって信頼はされてますけど、そういう対象には見れないって振られました」

川内「失恋?」

漣「別にそんなんじゃないですよ。むしろ駆逐艦に求婚ってロリコンも大概にしろって話です」

川内「そのセリフは刺さる人が多そうだからやめたげて」

漣「それで、川内さんはどうなんです~?」

川内「何がよ」

漣「提督ですよてーとく」

川内「イケメン死すべし」

漣「一貫してますね」

川内「いやふつ面でも男だしね~」

漣「あ、その話は抑えて抑えて」

川内「おっと」

川内「そういえば提督への色仕掛け作戦忘れてたな」ボソッ

漣「ん?」

酒匂「やっほーお2人さん」

川内「あ、先生。あれ?そのカツカレーは」

酒匂「なんか食堂に向かう途中すごい落ち込んでた足柄さんが、川内の事よろしく…って言ってくれたんだ」

漣「デスヨネー」

酒匂「これ食べても大丈夫なんだよね?ね?」

川内「大丈夫大丈夫。大丈夫じゃないのは足柄さんだけだから」

酒匂「?」

酒匂「ごちそうさま~」

川内「はぁ、訓練か」

酒匂「こらそこー、露骨にため息つかない!」

川内「だぁってさあ」

漣「それなんですけど。訓練、早めに終わってもらっていいですか?」

酒匂「ん?どうして」

漣「川内さんの休憩がてら、部屋替えの方をね」

酒匂「あら、もう元の部屋に戻るんだ。なら仕方ないか」

川内「よっしゃktkr!」

酒匂「短期集中で詰め込むよ!」

川内「 」

休日なのに全然更新が進まない不思議

那珂「おっかえり~!川内型ルームへ」

川内「た、ただいま~」

神通「お待ちしてましたよ、姉さん」

川内「あはは」

ただいま、ね。

漣「運んだといってもタンスくらいですからね。基本は艤装があるので下着と寝巻きくらいしか必要ないですし」

那珂「そこのクローゼットは私の衣装専用になってま~す!」

漣「それじゃ後はよろしくです」

二段ベットが2つ。四人部屋なのか。それにしても少し大きいな。流石鎮守府金がかかってる。

那珂「今のところこっちのベットの上に神通ちゃん、下に私が寝てるんだ」

川内「私はこっちの好きな方でいいのかな」

下だな。寝ぼけて落ちる。絶対。

那珂「あでもでも、私か神通ちゃんのどっちかと寝たいなら場所を変わってあげてもいいかなあって」

川内「いや二段ベットじゃそんなに違いないじゃん!」

那珂「おお!その反応だよさっすがお姉ちゃん」

何がだよ。

神通はさっきから楽しそうにこっちを見てる。大人しそうに見えて腹黒いタイプだ絶対。

神通「せっかくですしまた川の字で寝ますか?」

那珂「おっいいね~。川内型伝統の川の字寝だよ!」

川内「今思いついたろ」

部屋は畳。入口で靴を、靴?この艤装のやつ靴でいいのかな、いいか。脱げるし。

タンス三つクローゼット一つ。確実に那珂専用であろう大きな鏡と小さな鏡の付いた机、本が並ぶ勉強机。真ん中には丸い机とテレビ。

その他もろもろ。

修学旅行かよ。

神通「部屋は見ての通り共用ですので触れてほしくないものがある時は言ってください」

川内「神通は何かあるの?」

神通「あの机の引き出しは開けてはダメですよ?」

ニッコリ、いい笑顔。これは攻撃的な方のスマイルですね。

那珂「それとそこのゲームは好きに使っちゃっていいよ」

川内「ゲーム?」

テレビの横を見ると何やら怪しげな箱が。

川内「おおこれは」

カセットが盛りだくさん。他にも携帯ゲーム機がいくつか。

よく見るとテレビの下にはレコーダーの他にも二つの据え置き機がセットされていた。

那珂「興味深々だね~」

物色中の俺の隣から那珂がしゃがんで覗き込んでくる。

川内「これも共用?」

神通「パーティーゲームなどはやりますけど、それ以外は分からないので自由に使ってください」

那珂「駆逐艦の皆集めてゲームしたりできるよ」

これまでも何度もやってたって感じだ。
神通がやたら上手くて那珂がやられる度に派手にリアクションを取る図が浮かぶ。


しかしなるほどそういう用途で買ったのか。いやでも明らかにパーティー用じゃないゲームばかりだ。

書くから、書いて(切実

神通「私達は結構暇が多いですからね。こうして暇を潰せる物がないとなかなか辛いんです」

川内「お国を守る艦娘がこれで大丈夫なのか」

那珂「駆逐艦と潜水艦、あとは一部の軽巡以外は大規模作成でもなきゃ仕事ないんだよね」

神通「艤装を纏えば動くだけで燃料を消費しますから、必要がなければ動かない事もまた国を守ることに繋がるのです」

川内「なるほどね」

那珂「だからこうして暇人達の暇な地獄を那珂ちゃんが盛り上げているのです!」

神通「私は普段読書や鳳翔の所で裁縫を習ったりしてます」

川内「鳳翔さんそんな事やってんだ」

那珂「私は歌とダンスの練習。あ、ライブやる時はお願いね」

川内「手伝いを?」

那珂「ううん。後ろで踊るの」

川内「そっちか」

那珂「大丈夫だって、難しくないから。大事なのはハートだよ!」

川内「ハートね。艦娘らしいと言えばらしいか。でもタダってわけにゃいかないね」

那珂「?ハッ!まさか!ダメだよ!那珂ちゃんは熱々のオデンまでしか許さないからね!!」

川内「そこまではいいんだ…いやそうじゃなくて、早速だけどちょっと」

オープンクローゼット。思ったよりぎっしり入ってるな。

川内「後で衣装貸してくれない?」

衣装の件は後回しだ。

那珂は練習に、神通は鳳翔の所へ行っちまった。

丁度いいのでゲームを物色しよう。

川内「選り取りみどりだな」

間違いなくこいつ俺と同じ趣味だ。

神通の言う通り配管工のパーティーゲームがいくつか。

だが他は某ダンボールステルスアクションに白い悪魔、FF、あっちのACとこっちのACエトセトラ。シリーズしっかり集まってるやがる。

やりたかったけど金も時間もなく出来なかったものも多い。こいつはたまんねーぜ。

川内「うわすげぇ、骨董品だ」

ファミコンとドラクエ1。実在していたのか。

しかしファミコンソフトはこれだけ。何故だよ。

特にやる気はないが面白半分で起動してみる。

川内「ソフトはご丁寧に箱保存か、ん?」

紙?これは、おおすげー復活の呪文ってやつか!ホントにあんだなこれ。

入れてみよ。

しっかし誰のなんだろこれ。偏見かもしれんがどう考えても女の集める内容じゃねえ。

鎮守府は男、つか人間が提督以外いないしな。

掃除とか設備、食事は半分艦娘の人がやってるとか。非常時に一応艤装が使える程度の力しかない艦娘もどき。

徹底してるよなー。

男はいない。となるとやはりこのゲーム。元男のやつのかな。

そういや他の元男がいるとして、なんでコンタクトがないのか。貴重な仲間なのに。

マジでなりきってるのかな。

あいや、そもそも俺が男って事を知らされていない可能性の方が高いのか。

さて復活といこう。

るまいたり ぐさまこうのく かのう ほいず

よし何が出るかな。

うわレベルMAX。よく知らないけどロト持ってるって事は最強状態だろこれ。

名前は、

川内「誰だよこれ。聞いたことないし、適当に付けたのかな」

かわうち。ひでぇネーミングセンスだ

残念ながら他のゲームは綺麗さっぱりデータが無くなってた。

ダンボール潜入で遊んだ後、神通達と風呂入って飯食って。

すっかり日常化してきてるなー。

川内「おじゃまシマウマ」

足柄「お、やっぱきたか」

川内「やっぱいたか」

いつもの部屋。

川内「ここしかねぇからな」

足柄「いつまでも俺に頼れるわけじゃねぇぞ。多分」

川内「頼ってねぇよ。お前の愚痴を聞きに来たんだ」

足柄「よくいうよ」

足柄「で何か、実践が怖いと」

川内「だって死ぬんだろ?怖くねぇわきゃねえって」

足柄「それこそ、一番慣れなきゃいかんとこだしなあ」

川内「まあ、だよなあ」

足柄「お前は女云々の前に、戦争に関わるって覚悟で来たはずだぜ」

川内「返す言葉もござぁぃやせん」

足柄「多分そろそろ改造すると思う」

川内「何その危険ワード」

足柄「今艤装に体を慣らしてるだろ?ある程度馴染んだら改造してより体と密接にするんだよ」

川内「へえ、練度上げだけじゃねえのか」

足柄「そ。だからそれが終わったらすぐにでも実践訓練じゃねえかな」

川内「こっわ」

足柄「なんとかなるさ。それこそイメージが大事だぜ。好きなマンガを思い出せよ。敵をちぎっては投げちぎっては投げって」

川内「俺無双系は好きじゃねえ」

足柄「うるせえ屁理屈言うな。イメージするのは常に最強の自分だ。大袈裟じゃなくこれホントに大事な事」

川内「投影出来るようになりそう。あっ、そういやさ」

足柄「なんだよ」

川内「お前ゲームって持ってない?」

足柄「ん~、特には」

川内「そっか」

ん~、やっぱ聞くべきかな。

なんか憚られるな。どんな苦労があったかはあまり聞きたくないし。

多分足柄にも、俺にとっての足柄みたいなやつがいたはずだ。

川内「んじゃこれで」

足柄「なんか用でもあるのか?」

川内「あるとも」

足柄「んだあ?その悪い顔は」

川内「決まってるだろ。昨日忘れてたアレだよ」

艦これSSの段々きな臭くなってく感じ好き

復活の呪文はただの趣味なのであしからず

川内「那珂ちゃん入りま~す!」

どうしたこんな時間にと振り向く提督の顔が驚きで染まる。

川内「へへっビックリした?那珂から借りたんだ~」

流石姉妹、声真似はカンペキだったようだ。

馬子にも衣装って奴だなと提督が笑う。

川内「え~、素直に可愛いって言えばいいのにツンデレめ」

クルッと一回転。ここでさり気なくパンツを見せる!

あれ、見えたのかな。しまった自分じゃわかんねえや。

提督は特に慌てる様子もなく、似合ってる似合ってるとテキトーな返事をしている。

そうか。こいつって常にパンツ晒してるような連中に囲まれてるからこの程度じゃ動揺しないのか。

言ってて悲しくなってきた。

私の服装はまだ学校の制服程度だけどほかの艦娘には中々やべーのが多い。

実際この衣装も露出度高めではあるがいつもの戦闘服よりマシなのである。マジなのである。

よく考えりゃ普通の人はあんな短いスカート履かない。

そんなへそ出しスタイルだと腹壊すぞーとイケメンが心配してくる。

川内「艦娘は提督と違ってヤワじゃないもん」

病気とかはほとんど無いらしい。虫歯はあると聞いたが。

それはさておきここからが本番だ。

川内「でさ!ほらほら、こんなに元気になったじゃん私」

ステップを踏むように提督のいる机に近づく。

川内「だからさ、そろそろ夜戦、いいよね?」

くらえくノ一忍法お色気の術!

机越しに顔をぐっと近づける。

これによってなんと胸チラが発生するのだ!

うんエロい。

さっき洗面所で試したら凄かった。

ノーブラだし。

お前はまだ実践にも出たことないだろうが!とかいいつつ顔を背けるイケメン。

おいおいおい視線が背けきれてねーぜ。そんなに気になるか胸が。気になるよな。俺も気になる。

川内「あっ、それもそうか」

しかし!ここであえてあっさり引き下がる。

ふふふ、今日はこれくらいで勘弁してやるぜ。

川内「そうそう、那珂がまたライブやるって言ってたからそんときゃヨロシクね~」

撤退。

川内「はぁ~~~」

部屋。元。

今はどちらの荷物も残ってない二人部屋。

川内「~~~~」

足柄「WAWAWA忘うわっ!?」

川内「」

足柄「えっ、何?」

川内「話しかけないで」

足柄「何頭抱えて悶えてんの」

川内「」ゴン

足柄「ちょっおい!床に頭ぶつけんな!」

川内「足柄」

足柄「はい」

川内「死にたい」

今になってすごく恥ずかしくなってきたんです。

月曜日には勝てなかったよ…

足柄「肝のちいせえやつだなあ」

川内「うるせぇ…」

足柄「しかし、まさか初回でそこまで攻めるとはな」

川内「え゛、そーゆーもんじゃないの?」

足柄「俺は恋人とかケッコンとかそっち方面で攻めたが、まさかいきなり夜戦方向で攻めるとは」

川内「う゛っ」

足柄「もっと普通に可愛いアピールとか、飯作ってくとか。徐々にやってけよ」

川内「エロゲ思考でした…」

足柄「改めろ」

川内「あい…」

足柄「後先考えて動けよなー」

川内「…なあ」

足柄「んだ、まだなんかあんのか」

川内「お前は提督にアタック続けてるのか」

足柄「まあな。正直楽しくなってきてる」

川内「もし提督がOKしたらどーすんだよ」

足柄「え、成功じゃん」

川内「じゃ性交すんのかよ」

足柄「え」

川内「あのイケメンが、飢えた狼を満たしてやるぜキリッとか言ってきたらどーすんだよ」

足柄「」

足柄「考えてなかった」

川内「やーいお互い様でーい」

足柄「うわぁそういやそうだな。キスくらいならともかくやろぉのナニを受け入れるのはちとアレだな…」

川内(キスはいいんだ)

足柄「いやでも最上でも特にヤってる話は聞かないしそこまでがっつかれる事は」

川内「んな楽観視していいのかよ」

足柄「でも実際ちょっとは興味あるだろ?」

川内「…まあね」

足柄「艦娘ってのは結局は兵士だ。戦場で常に死の危険に見舞われてる。当然ストレスが溜まる」

川内「やっぱそんなもんなのか」

足柄「人間に比べりゃ大分耐性はあるけどな。でも溜まるもんは溜まる」

川内「その発散に」

足柄「敵をぶっ殺せばスッキリする狂犬タイプ、美味いもん食ってりゃ忘れるタイプ、とか」

川内「お前は?」

足柄「姉妹で遊んでると落ち着くよ」

川内「なるほどね」

足柄「好きな人といる事で落ち着くやつ」

川内「つまり提督だろ」

足柄「そうでもないさ。大井とか、その辺」

川内「レズか」

足柄「誰とは言わないけど一定数いる。そーゆー関係のやつも」

川内「性行為は必要だってのか」

足柄「人によってはね。戦争の常だろ」

川内「俺はまだ実戦経験ないしな~。どっちも」

足柄「1度、1人でシたことがある」

川内「ブッ」

毎日少しでも更新するつもりが月曜のせいで…

足柄「どうだったかは置いとくとして。なんつーかな。自分が分からなくなった」

川内「分からなく?」

足柄「男か女か」

川内「…」

足柄「普段の行動なんて所詮演技かお遊戯だ。だからこういう、直接的に自分に影響する行為は覚悟がいるぜ」

川内「こえー事言うなよ」

足柄「仕方ねーだろ。お前しか話せる相手いないんだし」

川内「まあな」

足柄「でも提督に抱かれるないいかな~」

川内「おいさっきの深刻な表情どこいった」

足柄「だってダンディーじゃ中々。玉の輿だし」

川内「そうだろうか」

イケメンじゃなくダンディーか。価値観の相違。

足柄「ま、せいぜい悩めよ少年!いずれこんな悩みもいい思い出になってるさ」

川内「おっさんくせえ」

足柄「覚えてりゃだけどな」

川内「忘れねえよこんな強烈なの」

足柄「さて戻るか」

川内「だな。落ち着いたよ流石に」

足柄「ちなみに艦娘に生理はない」

川内「は?」

足柄「子供もできない。安心していいぞ」

川内「できるか!」

神通「漣さんから聞きましたよ。明日には改造で、実践訓練に移るそうです」

川内「そうみたい。いやーようやく夜戦ができるよ~」

那珂「そんな直ぐには夜戦までやらないと思うけど…」

それぞれベット、ではなく川の字にひいた布団に入って寝る体勢。

那珂、俺、神通の順。やだ両手に花だわ。真ん中も花だけど。薔薇or百合?

さて、明かりを消した後今日や明日の話をするのが習慣というか、決められてる訳じゃないがルールみたくなってる。

川内「ならやっぱ提督に直談判するしか」

神通「姉さん」

川内「ジョーダンだってジョーダン。自分の実力くらい分かってるよ」

那珂「でもさ、お姉ちゃん脚はすっごく速いんだってね!」

川内「逃げるのなら任しときな」

神通「さっきまでの威勢はどこに行ったんですか」

川内「昼に置いてきた」

那珂「しばらくは夜はしっかり眠らなきゃね」

川内「だな~。強くならなきゃ夜戦もできない」

神通「強くなっても夜は寝てくださいね…」

川内「それは保証できないな~。でも、夜戦だけじゃなくて、2人みたいに改二になってカッコよくなりたい」

那珂「も~、そこはカッコイイじゃなくてカワイイって言うところだよ。神通ちゃんはともかく」

神通「え?私は違うの?」

那珂「へ?」

神通「え」

川内「え?」



那珂川内「おやすみなさい!」
神通「ちょっと!」

那珂「痛い痛い痛いー!」

神通「~~~」

神通が文字で表すことのできない悶え声を出しながら那珂の、多分ほっぺをつねってる。

体制的には布団から伸びた神通の体が俺の体の上に乗っかって腕を伸ばしてる感じ。

つまり重い。

あと神通胸デカイ。

川内「そーいやさ」

那珂「ふぇ?」
神通「はい?」

満足したのか虚しくなったのか神通は布団に戻ってそっぽを向いている。

那珂は、まだ頬が痛そうだ。

川内「この部屋ってさ、昔ほかの人いた「いない」え?」

那珂「いない」

神通「…」

居ないことは別におかしくない。

ただ那珂の雰囲気が、おかしかった。

那珂「この部屋は昔っから私たちだけでしょ?」

いつもの調子に戻った。

でもその表情は、暗くて見えない。

俺は寝る事で不安と疑問を強制的に終わらせた。

俺は考えすぎなんだと思う。

自分のためとはいえ、お国のために動く兵隊としてここにいるんだ。

そりゃちょいと事情は特殊だが、そんなことよりも戦う事に集中した方がいいんじゃないか?

なんて、そうもいかん。気になるし。

俺と足柄の他に誰がいる?

あの部屋に俺の前に誰がいた?

あのゲームもきっとそいつのだ。

なぜ隠す?なぜ秘密にする?

とりあえず今晩足柄に聞いてみるか。

あんまし躊躇してても始まらねえや。

あと提督へのアタックは続けよう。

可能ならやっぱ提督自身から聞くのが一番のはずだ。

川内「はあ…」

酒匂「幸せ逃げちゃうよ」

川内「おわっ!?」

酒匂「ぴゃっ!そんなビックリしなくても」

川内「あ~ごめんごめん。考え事しててさ」

酒匂「見ればわかるよ。朝から洗面所でこ~んな顔して鏡とにらめっこしてるんだもん」

川内「え~そんな顔だった私?」

酒匂「だっただった。何?実戦前で緊張しちゃった?」

川内「あーうん。そんなところ」

酒匂「考えすぎだって~。そのうちすぐ慣れるよ」

川内「また慣れる、か」

酒匂「そういえば聞いたよ。昨日提督のとこに夜這いに行ったとか!」

川内「よぉっ!?夜這い!?」

酒匂「今朝青葉が言い回ってたよ」

川内「あのやろぉ…」

足柄聞いた重巡の要注意人物。すっかり忘れてたぜ。

酒匂「だいじょ~ぶ。みんな嘘ってわかってるよ、いつもの事だから」

川内「いつもの事、そんなに嘘記事ばっか書いてんのあのパパラッチ」

酒匂「それは、まあそうかな。でも新しく来た子は一部を除いてみんな同じような事書かれた経験あるんだ~。私もだよ?」

川内「オオカミ少女か」

狼が出たぞーってか。襲ってるのは女だけど。

酒匂「どんな記事だったかは覚えてないけどね。そんな感じですぐ忘れちゃうよ」

川内「ならいいけどね」

イケメンに抱かれる気はない。噂とはいえそんなのが広がったら地獄だ。

酒匂「でもでも、もしやるならこっちから行きたいかな!提督さんキュートだし」

ホワっとした感じの人だが中身は獅子だ。訓練の時もそうだが超攻撃的。

川内「来た時って、先生はいつからここに?」

酒匂「いつから?いつから、いつから~だろう。覚えてないや」

川内「えぇ…」

この人ホント感覚的というか、刹那的に生きてるな。

兵士なら、それが一番なのかもな。

悟史?と思ったが想像以上に鬼隠し編になってた

酒匂「あなたは絶賛提督アタック中だものね」

川内「そんなんじゃないよ」

アタックはしてるが、理由はロマンの欠けらも無いものだ。

酒匂「私も昔そうだった。でも段々と提督さんとはお友達くらいがいいかなーって思い始めちゃって」

川内「ほほう」

酒匂「そういう人多いと思うよ。冷めるのとは違うと思うんだけどさ」

川内「女心は複雑だね」

哀れイケメン。ハーレムは無理なようだ。

お昼前。今朝は朝食を食べてないからめっちゃ腹減った。

なんでも改造前は腹に何も入れるなって。健康診断かよ。

ともあれこれが終われば飯だ。

お腹は軽いのに何故か重い足取りで工房へ向かう。

足柄「ハロー」

川内「あれなんでここに。お見送り?」

足柄「あら、見送りが欲しかったの?大丈夫よ歯医じゃないんだし」

川内「子供扱いしてー」

足柄「子供でしょうが」

川内「で何さ」

足柄「私も改造なの」

川内「え、同じ日に?」

足柄「提督の計らいね。もっとも私は改二だけどね、か い に」

川内「うわー子供相手に大人気な~い」

足柄「戦場では子供も大人も関係ないのよ」

川内「おうさっきの自分のセリフもっかい聞いてこいや」

足柄「おはよう?」

川内「どんだけ遡ってんだ!」

川内「今夜話がある」

足柄「…りょーかい」

川内「何かは聞かないの?」

足柄「辛気臭い顔してるから」

川内「そ」

さていよいよ工房だ。

川内「御開帳~」

扉を開ける。

直後、視界が暗転した。

夕張「いや~ごめんごめん。ちょうど実験しててね。ちょ~っと失敗してボカン、と」

川内「ちょっと」

夕張「ちょっと」

中から吹き出してきたのは煙幕だった。

工房中真っ黒。妖精達が必死に洗ってる。

モチロン私達も真っ黒、なのだが。

足柄「なんでアナタ無事なのよ」

夕張「防護服来てたので」

やろぉ…

夕張「まあまあ、どうせ改造するんですから。ピッカピカになりますから!」

川内「そういうもんなの?」

足柄「まあ一応」

なるほど。でも、

川内「悪いことした人には、ね」

足柄「お仕置きが必要よね」

夕張「ヒッ!すいませんほんと事故だったんです!謝りますから!」

川内「謝るのはいいけどさあ」

足柄「それなりの誠意が欲しいわよね」

夕張「う…分かりした、改造祝いも込めて間宮券2枚ずつで」

川内「おk」
足柄「許す」

夕張「この人達は…まあいいでしょう、
結果オーライですし」

何が?

夕張「では足柄さんは二回目ですしサッとやっちゃいましょう。どうぞこちらへ」

足柄「はいは~い」

川内「私は?」

夕張「川内さんは初回ですからね。色々説明をば」

川内「なるへそ」

チラッと足柄の向かった先を見る。

川内「うわ怪しい。怪しいを絵にしたみたいな」

いかにも地球外生命体とか入ってそうなカプセル的なやつが。

夕張「あー見ちゃダメですよ。作業は妖精さんが中心なんですけど、人の目があるとやってくれないんです」

川内「鶴かよ」

夕張「恩があるようには見えませんけどね」

夕張「それじゃ川内さんはこっちで、あぁここも真っ黒か。じゃあそこん中で」

工房内に妙なプレハブ小屋が。

川内「なんそあれ」

夕張「私の私室です。部屋は他にあるんですけど、ここにいる事が殆どですから実質アレが私の部屋です」

川内「なるほどね。良いじゃん一人部屋」

夕張「独り占めですからね。自由でいいですよ」

川内「…」

夕張「な、なに?」

川内「なんで敬語さ」

夕張「あ~、いや…なんと、なく?」

川内「ならタメでいいよ堅苦しいし」

夕張「りょーかい…」

川内「うっわ」

夕張「どぉよ」

川内「凄く…凄いです」

デカイモニター。四方にスピーカー。右の棚にはゲームカセットがズラリ。
左の棚にはアニメなどの円盤がズラリ。
ポスターとかもあちこちに。
フィギュアは…ないか。

川内「極まりきった趣味部屋だ」

夕張「工房任されてるから給料もいいのよ。おかげで秘密基地よ」

川内「いいなあ」

夕張「やる時間が代わりに減ってるけどね…」

川内「あぁ…」

夕張「それじゃちょいと足柄さんとこ行ってくるんで待っててね」

川内「ほいほい」

タッタッタッと駆けていく。揺れるポニテが愛らしい。

しかしランニングにパンツのみという服装はどうなのあれ。危なくないの、いろんな意味で。

さて、手持ち無沙汰な感じだか、周りの物をいじるべきか否か。改造ってどれくらいかかるのかね。


改造?


川内「チンコ付けれないかな」

はっはっはっ何口走ってんだ俺。頭までおかしくなってきたか。


いやでもいけんじゃね?

妖精さん任せとか言ってるけど工房ひとつ任されるような人だぞ。

いやいや落ち着け平常心。

今ここで生やされてどうするよ。女だぞ。

あれは男の象徴ではあるがけして男たりえる理由にはならない。

いやいやいや、でこう、ないと、不安。

このままだとマジで男がなくなりそう

せめて1回くらいヤっときゃ未練も捨てられるんだが。


…なんでヤりたいのか。そりゃ性欲があるからだ。

でもそれって女性にもあるわけで、つまり別に竿、というか男じゃなくても

川内「って違う!」

だから慌てるな俺。イケメンに抱かれる気は無い。

それこう、されるよりしたいというか、ね。

まてよ、こんな職場だ。女同士は…

なら竿があってもいいのでは?

改造で胸部装甲が強化されるなんて話もあるし棒の1本くらい分けないのでは?

川内「では?じゃねえ!」ゴンッ

床に頭を打ち付ける。

消え去れ邪念!

誇りを捨てるな!

男に戻った時、

川内「あれ?戻る?」

戻るってどういう事だ。

夕張「あ、あの…何やってるの?」

川内「言わないで」






夕張「さて、説明ね」

川内「待ってました」

夕張「さっきも言ったけど、改造は基本妖精さんまかせ。どうやってるのかサッパリ」

川内「のっけからすっげー不安」

夕張「私がやるのは改造のための材料の用意と機材の調整」

川内「ほぼ妖精さんか」

夕張「残念ながら。それでね、改造すると艤装との結びつきが強くなって能力が強化される」

川内「んー?うん」

夕張「つまりシンクロ率が上がる」

川内「なるほど」

夕張「ステで言えばレベル上限が上がる。ここだと上からもがみん、漣、比叡さんの順でトップスリーかな」

川内「まるでゲームだ」

夕張「で、シンクロ率400%になって暴走、なんてことは無いんだけど、ちょっと問題があるの」

川内「強くなるには代償が必要なのか」

夕張「あ、いや。単に薬の効き目みたいな感じで合う合わないの問題。個人差あるし」

川内「えー」

夕張「だからね、記憶にちょっと齟齬が生まれたりする人がいるの」

川内「マジか怖っ」

夕張「大したものじゃないわよ。酷くてもボケ老人くらい。改造前に何食べたか忘れるとかさ」

川内「わかりやすいけどその喩えはどうかと思う」

夕張「普通はそんな忘れることはないから安心して。妖精さん次第だけど」

川内「なんでそんなあやふやなのに任せてんの」

夕張「他に方法ないから…」

夕張「さてと、じゃそろそろ行っちゃいましょう」

川内「ドキドキしてきた」

夕張「恋だね」

川内「それはない」

どうしよう。言っちゃう?

夕張「さてこれだよ。入っちゃって入っちゃって」

川内「目が覚めたら火星にいたりしないよね」ヨイショ

いや決めた、竿はいらん。うん。

夕張「飛ばないから。あー閉めたら意識は飛ぶけど気にしないでね」

川内「え、それってどういうk」ガチャン




夕張「さてと」

ネタバレ:最終的に生えます

それよりオチをどうしよう

祝、神通時報
あと1週間早ければ…とか言いつつ自分の書いた呼び方が合ってるか楽しみです

話は今晩から土日で一気に畳み掛けて一挙に畳みにいくつもりです、つもりです

川内改「若返った?」

足柄改ニ「生命力に溢れると言って」

川内「なんか色艶が濃くなった」

足柄「これでどんな男もメロメロよ」

川内「ソーデスネー」

足柄「ちょっとはノりなさいよ」

川内「私はあんまり変わんないなあ」

足柄「艤装にさらに年季が入った気がするわ」

川内「元からちっとボロかったしね。いやそうじゃなくてさ!」

足柄「強くはなってるわ。安心しなさい」

川内「戦えばわかるか」

足柄「そゆこと」

川内「よっしゃ燃えてきた!」

夕張「はいはーい。お二人共無事完了みたいですね」

足柄「おかげさまで」

夕張「何か変なところがあったらすぐ来てくださいね。戦闘中に不具合で轟沈なんて洒落にならないんで」

川内「オッケー」

夕張「それでは」

那珂「さーみんなお風呂の時間だよー!」

川内「あぁ私パス」

那珂「うぉう!速攻の拒否!?」

川内「さっき入渠してきたばっかなんだもん。そこまでお風呂好きじゃないし」

神通「出撃で中破したのよ」

那珂「中破?でもでも、向かったのって正面海域だけだよね」

川内「調子のって沖に出ました」

那珂「うわー」

川内「そ、そんな引かなくても…」

那珂「お姉ちゃん馬鹿な所があるとは思ってたけどまさか馬鹿とは思わなかったよ」

川内「ぐはっ」

神通「OKサインを出した提督も提督です」

川内「片腕持ってかれただけだよ。すぐ治ったし」

那珂「そーゆー問題じゃないよぉ」

神通「運良く片腕だけで済んだ、です。次からは「あーもーさっき聞いたからなしー」はぁ…」

川内「次からは気をつけるって…ホント」

那珂「じゃあ罰として一緒にお風呂ね」

川内「え、それは関係ないじゃん!」

神通「そうですね。他の皆さんにも叱ってもらいましょう」

川内「ぶえぇぇ公開処刑じゃん!あんまりだぁあ!」

川内「うん、ごめん」

川内「そりゃOK出したのは提督だけどさ。でもあれは私が悪かったよ」

川内「まあね。でも大丈夫!こんなんでめげる私じゃないよ!」

川内「それは、ほら。みんなにこってりしぼられてもうなんかどうでも良くなってきた」

漣「入りますよ~ってありゃ。お説教中?」

川内「ノンノン。決意表明だよ」

漣「あまり気に病まないで下さいね。進軍の件は秘書官である私の責任でもありますから。支持を伝えたの私ですし」

川内「うん、ありがと。これからどんどん強くなるからさ、迷わず進軍させるくらいに!」

漣「期待してますよ~」

川内「夕張もゲームとかやるの?」

夕張「そりゃもう!今度来る?私の部屋。凄いわよ」

川内「マジで!いくいく」

夕張「今はゲームやらアニメやら集めるの大変だから、金と権力に物言わせて色々集めてるのだ」

川内「うっわワルだワル」

夕張「今度泊まりに来てよ。対戦とかやりたいし」

川内「いいねぇ。…ん?」

夕張「どうしたの?」

川内「なんでそんな大変なの?」

夕張「そりゃぁ貴重品だしね、今は」

川内「そっかあ」

川内「当然の結果ね」MVP

江風「お~やるねえ川内さん」

龍驤「夜戦となるとキミほんま動き変わりよるなあ」

夕立「む~私だって万全なら負けないっぽい」中破

飛龍「それより早く帰ろーよ。お腹空いちゃった」

瑞鳳「なら夜食に卵焼き、食べりゅ?」

「「「「「たべりゅぅぅぅぅ!!」」」」」

川内「全然簡単じゃない!」

那珂「簡単だって。こう123で足をクロスしてくるって。で456で手をこうしながら」

川内「だぁぁあそんな手足バラバラに動かせるかって」

那珂「海での戦闘よりと比べたらたいしたことないよー」

川内「いいじゃんテキトーで。ハートで何とかするからハートで」

那珂「想いは大切だけど思ってるだけじゃ何も始まらないんだよ!」

川内「うぉうなんか名言出た」

川内「沈んだ!?」

神通「本当なの?」

那珂「うん。遠征艦隊の駆逐艦達から聞いたんだ。他の遠征中の艦隊も迎えに行ってるって」

川内「でも、あの比叡さんがだよ?」

那珂「こっちは噂程度だけど、ル改が二隻いたとか」

神通「そうですか…しかし惜しいことです」

川内「でもどうすんだろ。比叡さんってうちのトップスリーじゃん。今後の作戦に支障出るよ」

神通「陸奥さんもまだ戻ってきてはいませんし、長門さんも練度はまだまだです」

那珂「となると金剛さん達になるけど、元に戻るのは先になるだろうしね」

川内「ここで悩んでも仕方ないや。ともかくいつでも出撃はできるようにしとかなきゃ」

神通「そうですね」

那珂「第一艦隊には漣さんもいたし悪化するなんてことは無いんじゃないかな」

川内「だといいけど」

川内「どお?」

酒匂「うんうん、すごく美味しい!」

川内「よっし!」

酒匂「どんどん上達してくね。戦闘もお料理も」

川内「ふふん、さっすが私だね」

酒匂「でもどうしてそんなに?」

川内「そりゃモチロン提督へのアタックのためだよ」

酒匂「提督?どうして」

川内「どうしてって」

川内「夜戦のために決まってんじゃん!」

酒匂「え、そんな直球な!」

川内「何顔赤くしてる。あっ、そっちじゃないよ!私は、ほらうん。そっちはちょっと困る」

酒匂「うん?」

川内「ほらっ!訓練訓練。もう少しで改二なんだし」

酒匂「待って待って、まだ食べてるってば~」

川内「おっと」

大鳳「それで?」タッタッタッ

川内「まあ案の定暴れちゃって…ガラス割って…」タッタッタッ

江風「提督もカンッカンで…鎮守府50周だって…しかも朝」タッタッタッ

大鳳「それはなんていうか」

夕立「なんて言うか?」

大鳳「自業自得すぎて何も言えないわね」

川内「だよね…」

江風「知ってた…」

大鳳「本当に朝はテンション低いのね」

江風「別に艦娘だし量はどうでもいいけどさ…」

川内「疲労は溜まるし…昼に寝れなくなるし…」

江風「夜は多分死んでる…」

大鳳(それが狙いか)

川内「おーいたいた。おっひさ比叡さん!」

比叡「お、お久しぶりです。えと…」

川内「いやーよかっよかった。すぐ戻れて。金剛さん達も待ちわびてるよ」

比叡「みたいですね。さっき部屋に乗り込まれましたよ」

川内「あはは。それで何やってんのここで」

比叡「いえ、ちょっと道に迷って…」

川内「なんだ、じゃ私が案内するよ」

比叡「ホントですか!ありがとうございます」

川内「いいっいいって。…何してんの?」

比叡「その、服のヒラヒラが、慣れなくてつい」

川内「大丈夫だって、すぐ成れるよ」

那珂「お姉~ちゃ~ん」

神通「念願の改二」

「「おめでとう!」」

川内「いやぁ照れるなあ」

那珂「いいねえカッコイイねえ」

神通「これでカワイイのは那珂ちゃんだけになりましたね」

那珂「あぁ!まだ根に持ってるの!?」

川内「あはは、まあまあ」

神通「もう提督には見せたんですか?」

川内「ん?まだだよ。これから駆逐艦共に見せつけに行くのだ!」

那珂「例の夜戦組?」

川内「その通り。そいじゃね」

あたし的にはOKです!落ち着きがないのねぇ…大丈夫?いいんじゃない?やったわ!ハラショー。やらせません!みんな、準備はいい?まずまずであります。おっそーい!当たって、当たってぇー!あー!ありがとう!大切大切。わああぁ!だ、大丈夫よね?ごちそうさまでち!艦隊が帰投したぞ、出迎えようぜ!いいもんみっけー。こいつは粋な計らいだね。いやぁっ!ちっと失敗…マロ~ン大丈夫っぽい?海の藻屑となりなさいな!ひ、ひどいじゃない!チクマーなんだ?作戦か?艦隊が帰投しましたおねえ?ホネガ-いっけー!Danke gut!どーだ!参ったか?んにゃ!?んにゃー!!どうしましょう楽しみだな私コーディネーターになるかも!ヒャッハーイイカゼネマタワタシカァワルイワネマミヤシチャウ?マアソウナルナヒエーチグマーハルナハダイジョウブジャナイデス!ゼンホウモン!ファイャー!フソウダワ……………………………………………………………………………………………………………………………………………





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川内「へ?」

瑞鶴「ん?」

龍驤「なんや素っ頓狂な声出して」

金剛「お、鎮守府が見えてきましたヨー」

最上「ようやくだね」

北上「なになに~?そんなに提督が恋しかった?」

最上「え?う…うん」

川内「いやさ、今なんて言った?」

瑞鶴「私達?」

龍驤「みたいやな」

瑞鶴「なによ、夜戦バカが夜戦でうるさかったって話よ」

龍驤「戦果は出とるし文句はないやけどな」

川内「いや、そうじゃなくて」

瑞鶴「あ、もしかして気に触った?かわうちって言ったの」








かわうち






かわうち


川内「かわうちって、誰」


瑞鶴「アンタに決まってるでしょ」


川内「それ、いつから言ってたっけ」


瑞鶴「い、いつからって。昔から?そういや最近は特に言う機会なかったっけ」

龍驤「どないしたんや急にってちょい!川内!」

金剛「ワッツ!?」
最上「うわっ」
北上「なに?」

かわうち。

せんだい。

どっちも自分だった。

あの勇者は自分だった。

でも、

川内「どっちも俺じゃねえ!!」

あのデータは、俺に向けられたものだった。

徐々に思考がハッキリしてくる。

自分の体がしっかりと認識され始める。

後先を考えず鎮守府に向けて駆け出していた。

自慢の脚はずっと速くなっている。

今は夕食の後くらい。

この時間ならアイツはあそこにいるはずだ!

足柄「あら?どうしたのそんなに息を切らして。帰投したばかりなんじゃないの?」

川内「ちょっと話があってな」

足柄「どうしたの、その話し方。イケメン女子でも目指し始めた?」

川内「目指す、というより戻ったんだけどさ。なあ、せっかくだしあの部屋に行こうぜ」

足柄「あの部屋?ああ最初の頃使ってた部屋ね。懐かしいわね」

川内「まだ3ヵ月くらいだろ」

足柄「思い出話でも?でも残念、これからみんなで飲みななのよ」

川内「そっか…」

足柄「何か相談があるならまた明日ね。あーでも午後よ。午前は潰れてるから」

川内「じゃあさ一つだけ」

足柄「なに?」

川内「もし私が男だったらどうする」

足柄「…あんたもう酔ってる?」

決定的だ。

川内「それじゃ!」

足柄「ちょっと!…もう」


部屋に駆け込むと神通と那珂はいなかった。

関係ない。

部屋の真ん中に寝転んで天井を見る。

思考は混乱を極めてるのに脳は正常に動いていた。いやそれ以上だ。

忘れてる。忘れてた。2人とも。そして多分足柄の前の人も。どこまでだ?

男は極わずか?ホントか?最初はみんな同じ記事を書かれる。みんな同じ事をしてた?ごく一部を除いて。

一部を除いて、提督へのアピールを辞める。足柄はいつから提督にカツカレーを持ってかなくなった。俺はいつから提督の優先度を下げた。

男はごく一部?ホントか?ごく一部なのは、逆じゃないのか?

記憶の齟齬。改造。戻る。元に戻す。あるべきものをあるべき所に。

ずっと昔から。久しぶりに。

俺は今、どんな所にいるんだ。

瑞鶴「入るわよ~って、何してるの?」

龍驤「おっ、ファミコンか。懐かしいなー」

川内「2人とも…」

瑞鶴「みんなビックリしてたわよ」

龍驤「提督にはテキトーに誤魔化しといたで。艦隊の皆にも口止めしといた」

瑞鶴「その、ゴメンね?」

川内「いや、違う違う。そんなんじゃないって。久々にかわうちって呼ばれてさ、思い出したんだ」

瑞鶴「思い出したんだ」

川内「このゲーム」

瑞鶴「…ゲェームゥ?」

川内「久々だったから思わずダッシュしちゃってー…なんて」

瑞鶴「……チ」

川内「なんかゴメン」

瑞鶴「ばかわうち!!」

川内「うわっ!あー…いっちった」

龍驤「今のは川内が悪い」

川内「だよね…後で謝っとく」

龍驤「ま、何ともないならよかったわ」

川内「ごめん」

龍驤「……ほな」

川内「うん」

足柄「なんかよっぽどの事でもあったのかしら」

「ありゃ、やっぱり川内来てました?」

足柄「ん?どうしてあなたが」

「さっきまで川内とアニメ見てまして、妙にテンション上がって飛び出してっちゃったんですよ」

足柄「あーそれで男がどーだがってわけね」

「あ、このこと内緒ですよ?後で恥ずかしくなって死にたくなるパターンですから」

足柄「分かってるって。あ、でも酒が入ると約束できないわね…」

「そこはーまあ頑張ってください」

足柄「善処するわ。それじゃね」

「はい」



夕張「さて…」

川内「…」

つい身構えてしまう。割とトラウマってるよな。

ゆっくりと扉を開く。よかった爆発はしなかった。

夕張「待ってたわよ」

川内「…」

爆発以上の衝撃だった。

川内「どうして」

夕張「あなたの様子がおかしかったから、多分と思ってね」

川内「…」

油断ならねぇ。でも現状これしか手はない。敵、かは分からないが懐に飛び込む他ない。

川内「質問に答える気はあるの?」

夕張「ええ、モチロン」

虎穴に入らずんばなんとやら。

もっともこの場合、一体誰の穴かも分かってないんだけどね。

夕張「ようこそ、牙城へ」

川内「敵なのかよ」

夕張「敵でしょ?私としては敵対してる気は無いけど」

川内「入ったら2度と出られなかったりしないのか」

夕張「いつも来てるゲーム部屋よ。ここじゃなきゃ話ができないもの」

川内「…」ガチャン

夕張「うんオッケー」

川内「何がさ」

夕張「ここね、盗聴防止部屋なの」

川内「え?」

夕張「外から中の情報を得る事はできない。その為の部屋」

川内「…ねえ」

夕張「なに」

川内「単に音漏れ防止とかのゲームを楽しむだけの部屋じゃない?」

夕張「物は言いようよ」

夕張「とりあえず前提として、私は女よ。今も昔も」

川内「証拠は?」

夕張「あるけど、それ見てもあなたじゃ証明できないわ」

川内「じゃーいーよ」ムスッ

夕張「艦娘は結構長い間やっててね。と言っても技術者として後方でヌクヌクと生き残っただけなんだけど」

川内「戦場には出てないのか?」

夕張「考えてもみてよ。私達の体は、人じゃない。丈夫だとかそういう次元の話じゃないの。老いず腐らずその経験を理論上半永久的に保持できる。そんな体を持っていて、それを壊す壊されるにだけしか使えないなんてアホらしいじゃない」

川内「船の言うセリフじゃねえな」

夕張「半分船、よ。つまりそういうこと。私はね、ずっと研究してたい。弄って解して作って、そんな事をただしていたい。艦娘について、知りたい」

川内「で、ゲームしてアニメ見たいと」

夕張「そゆこと。でも貴重な戦力をいつまでも遊ばせとくほど現状に余裕はない。いずれ戦場に出されるんだろうなあって思ってたら声をかけられたの」

川内「提督に、か」

夕張「違うわ。漣に」

川内「漣?」

夕張「場所も、設備も、時間も金も被検体も安全も何もかも整えてあげるから着いてこいって。それでこの鎮守府に来たの。創設メンバーってとこかな」

川内「古株どころか創設か。諸悪の根源ってわけだ」

夕張「何度も言うようだけど、敵対する気はないからね。別に私は悪くないなんていう気は無いけど、私はやれと言われた事がやりたい事だからやってるだけだもの」

川内「…敵対する気はない。ってことは俺の見方になる気もないが、向こうの味方であるつもりもない、と」

夕張「でなきゃこんな歓迎はしないでしょ?」

川内「歓迎ねえ」

夕張「歓迎よ。これ以上なく」

川内「あのデータ残してたのはお前だな」

夕張「正解」

様子がおかしいのに気づいた、のではなく様子を常に見張ってたわけだ。

夕張「ねえ、その艤装、随分使い込んであるわよね」

川内「そうだな。最初はこんなもんかと思ってたが、そうじゃないらしいな」

夕張「それ、あなたの前の川内の物なのよ」

川内「俺の前…」

かわうち、あの勇者の装備ってわけか。

夕張「私達は沈む。その時装備も沈むわ。でもそれって状況的に回収できない事ばかりってだけなのよ」

川内「回収できる場合もある。それがこれってわけか」

夕張「ええそう。普通は沈んだ仲間を気にしてたら共倒れになるからね。さて、回収した艤装を使う利点はなんだと思う?」

川内「資源が浮く、なんて理由じゃなさそうだな」

だとしたら、他に思い当たるふしは、ある。

川内「練度上昇速度」

夕張「正解。体が艤装慣れるように、艤装もまた体に慣れるのよ。そもそも艤装とは…」ウンタラカンタラ

いや、そんな事はどうでもいい。そんな事は今関係ないだろ。

川内「一体何を言って何を言わないつもりなんだ」

夕張「もう気づいてるんじゃないの?この鎮守府の殆どが元男だって」

川内「極一部を除いてなんだろ」

夕張「そ。男だけが改造するにつれ提督への興味が薄れていったり、それだけで面白いデータは色々あるんだけどそこは割愛」

川内「問題はなんで男なのか!なんで記憶を弄るかだよ!」

夕張「そりゃ大した理由はないわよ。戦力が足りないから、女じゃないと艦娘として力を発揮できないから」

川内「え?」

それだけ?本当にそれだけで?

でも、だとして

川内「なんで俺に気づかせた」

夕張「話し相手が欲しかったの」

川内「はい?」

夕張「だって秘密秘密ーって、話せる相手がいないとつまんないじゃん」

川内「なんちゅー自己中心的な…」

夕張「そうよ、私は自己中なの。だからこうしてあなたに話して、期待してるの」

川内「期待?」

夕張「あなたが行動を起こして、私の知らないことを知る機会を作ってくれるかもって」

川内「…チッ、そっちが本音か腹黒め」

夕張「強要する気は一切ない。でもあなた、もう動かずにはいられないんじゃない?」

川内「そーだな」

興味本位なんかじゃない。散々コケにされてきた意趣返しだ。

何が起こってるかハッキリさせて、提督に一発ぶち込んでやる。

夕張「もう一つ。なんでここが出来たか。何をやっているのか」

川内「そこまで喋んのかよ」

夕張「艦娘は男でもなれる。多少手間はかかるけど。でもホントに何もデメリットがないと思う?」

川内「てことはあるんだな」

夕張「練度に上限がつくの」

川内「上限?俺にもか」

夕張「元々装備条件満たしてないのに無理やりつけるから、当然といえば当然ね」

川内「でもそれじゃ戦力としては」

記憶を辿る。

誰かが沈んだ、という話はいくつも聞いた。俺が来てからだって比叡が…

夕張「大体練度は半分くらいになるかな」

川内「ん?だとしたら比叡はどうなんだ。あいつ改ニだったぜ」

夕張「一つだけ練度の上限をあげる方法があるのよ」

川内「上限解放ね。ほんとにゲームじみてるな」

夕張「艤装の受け継ぎ」

川内「…それって」

夕張「あなたもそうね」

川内「いやでも、滅多にないんだろ」

夕張「普通ならね」

川内「…おい」

夕張「川内の時もそう。予想外の敵が現れて状況は混乱」

川内「まてよ」

夕張「艦隊の旗艦はいつも決まってる」

川内「…」

夕張「漣」

夕張「私自身研究はしてるんだけど、艤装だけを剥がすのって難しいのよ。だから今のところは手荒な真似をするしかないわけ」

川内「んな事のために」

夕張「ここは実験場なの。みんなある程度は記憶が弄ってあるし、欠けたら埋めてってやりやすいし」

夕張「なんでこんな大それた事してるかはわからない。けど、面白いとは思うわ」

夕張「記憶もそう。凄いのよ?要らないものを捨てるとそこに艦娘としての記憶が次々と入り込んで艦娘に成る。そうしていくうちに鎮守府が一つのシステムになってくの」

夕張「欠けたら埋めて、壊れては直るの」

夕張「まあ、そんなところよ。ここは」

夕張「で、どうする?」

川内「逃げる」

夕張「…それだけ?」

川内「ツマンネって顔すんな。勿論この鎮守府の非人道的行為のあらゆる
証拠引っさげて世間に逃げんのさ」

夕張「私としては素直に力で暴れてもらっても面白いんだけど」

川内「情ねーが俺じゃあのメイドには勝てんよ」

夕張「そりゃそうか。はいこれ」

川内「んだこれ」

夕張「艦隊のリスト。今いる娘だけだけど、いつここに来ていつ改造したかとかが書いてある。もちろん性別もね」

川内「こんなん渡してどーすんだよ」

夕張「あなたが行動を起こして、まあ成功するかどうかはどうでもいいの。言ったでしょ。ただお零れで私の知らない情報を得られるチャンスかなって」

川内「ハイエナかよ。飢えた獣はお前か」

夕張「もっと言えば漣に対して有効なカードが欲しいなって」

川内「裏切る気か」

夕張「だから仲間とかじゃないんだって。でもいざとなった時に使える手段はあるに越したことはないでしょ?」

川内「分かったよ。せいぜい上手くやるさ」

夕張「期待してる」

川内「あそうだ。このまま手ぶらだと怪しまれるかもしれないしな」

夕張「?」

川内「聖杯戦争のDVD貸して」

解説はあまり挟みたくなかった…
明日には無事終わりそう

俺と同じ引き継ぎをしているヤツらにあたって、記憶をどうにか戻す。そして仲間にして、

川内「なんてやってもなあ」

武力でどうこうする気は無い。あくまで狙いは勝ち逃げだ。

夕張はそうやって暴れる事を願って渡した感じがするけも。

俺の練度は、もうすぐ上限らしい。

時間が無い。

川内「今日はこんくらいでいいか」

焦らせるのも夕張の思惑だったんだろうな。まじ腹黒だぜあいつ。

那珂「おっかえり~」

神通「また自主練ですか?」

川内「うん。少しでも強くならなきゃいけないからね」

那珂「こんな遅くにどんなトレーニングしてるの?」

川内「体幹トレーニングとか」

神通「海の上ではバランスが大切ですからね」

川内「あと影分身とかの修行とか」

那珂「ええ!忍者目指すの!」

この風景も、そうなんだろうな。

神通「クノイチですか、いい響きですね」

那珂「いいね~。次のライブでクノイチ三姉妹いっちゃう?」

神通「私はクナイとか投げてみたいですね」

那珂「じゃあ私はね~、えっと…何があるかな?」

神通「姉さんは何がいいと思いますか?」

川内「…」

那珂「ん?どうしたの?」

川内「あぁ、いや。2人はそのままでいいんじゃないかな」

そのままでしかあれないだ。きっと。

川内「それに私とキャラが被る」

那珂「えぇーそこぉ?」

足柄「私の教育担当?」

川内「そうそう。誰だったのかな~って」

足柄「隼鷹よ」

川内「ええ!?似合わないな~」

足柄「似合ってない上に合ってもいなかったわ。今為になってるのは酒の飲み方くらいよ」

川内「うわぁ…」

足柄「でもなんで急に?」

川内「思い出しただけだよ。前に言い渋ってたじゃん」

足柄「そうだったかしら」

川内「そうだよ」

足柄「なんか悩んでるって顔ね」

川内「分かる?」

足柄「分かる分かる。難しい顔しちゃって、らしくないわよ」

川内「分からないんだ。どうすればいいか。手掛かりはいっぱいあるんだけど、ありすぎてどこから手をつければいいのか」

足柄「何よ、ゲームの話?」

川内「かもね」

足柄「そこはほら、よく言うじゃない。逆転の発想だ!って」

川内「逆転ねえ」

足柄「いっぱいあるならそこに無いものから見ればいいんじゃない?」

川内「ないもの、か」

足柄「どう?何か浮かんだ?」

川内「分かんない」

足柄「コラ」

川内「でも、うん。なんかわかった気がする。ありがと」

足柄「あら、素直に礼が言えるなんて」

川内「またバカにしてぇ」

足柄「夜戦バカなんでしょ?」

川内「まあね。うん。それじゃ」タッタッタッ

足柄「ええ」




川内「あ、そうだ」

足柄「?」

川内「いい女~!」



足柄「相変わらず変な娘ね」クス

リストの中を見ても仕方ない。

ないものを探せ。

川内「リストと艦隊の人数が合わない?」

漣、夕張は初期メンバー。だとしても計算が合わない。

1人。

川内「こいつも初期メンバーなのか?」

だとしたら突破口ではあるかもしれないが、あまりに危険だ。

可能な限り準備しなくては。

しかし急がなくては。

出撃予定と遠征の予定とにらめっこ。

人ができるだけ少なくなる日。出撃が多く、そして、漣がいない時。

川内「1週間後か、修行の量増やさなきゃな」

空母寮。

さて本番だ。

やれることはやった。

ここからはやれない事でもやる覚悟がいる。

川内「瑞鶴~いる~?」

沈黙。

川内「おっじゃま~」

いざゆかん。

加賀「あの子なら出撃に行ってるわ」

川内「え?今日の予定じゃないはずなのに」

茶の間。相変わらず綺麗な部屋だ。

加賀「なんでも急に第一艦隊に編成されたそうよ」

川内「うっわマジか」

正座でお茶を飲む加賀さん。思わずこちらも正座で対する。

加賀「何の用事?またゲームかしら」

川内「あはは、それもあるんだけどね。あと、艦娘になる前に何してたかって聞こうと思いまして」

加賀「艦娘の、前?」

川内「とあるゲームやっててふと思ったんですよ。でも記憶があやふやで、思い出せそーで思い出せないんです。だから聞いてみよっかなって」

そう。あくまで記憶が戻りかけてる、あるいは戻りそうと思わせる。

そうすれば何かしらの行動を起こすはずなんだ。

漣のように秘書官として艦隊の上に立つわけでもなく、夕張のように裏方をやるわけでもない。

何もしていない。

初期メンバー。最後の1人が一体どんなに立ち位置なのか確かめる必要がある。

川内「まあいないなら、また今度か…」

加賀「艦娘の、前、前世?」

川内「ありゃ、そんな深く考えなくてもいいですよ。ちょっとした興味本位で」

その時、間違いなく声が聞こえた。

誰の声でどこから聞こえたかは分からない。

正確にはなんて言ったかもわからない。

でもそれは間違いなく俺に、俺の生命の危機を知らせていた。

逃げなきゃ。

体は恐ろしく速く正確に動いた。

幸いにもまだ痺れていない右足を立て、窓の方へ1歩で飛ぶ。

ヒノ…カタマリトナッテ…シズンデシマエ……

後ろから聞こえた声を気にする余裕はなかった。

艤装を展開する。装備ないが身体強化で十分だ。

俺が障子を突き破るとのと同時に、先程までいた部屋から爆発音がする。

川内「ったくよぉ…」

流石に艦娘。窓突き破って転がり出た程度では傷つかない。

しかしこりゃ一体どうなってんだ。

予想外にも程がある。

煙の立ち込める茶の間から、よく知った影が出てくる。

初期メンバー、加賀。

一体どういうやつなのかと思ったが。

川内「こりゃまた厄介なものを起こしちゃったかな」

「ホントですよ。色々弱体化されてますけど、この人処理できるのここじゃ私だけなんですよ?下手すりゃここら更地でした」

ドサッと大破した加賀を放る。雑いな。所々白くなってるのは撃たれたからじゃなさそうだな。

どんな訳ありなのやら。

川内「それで、一つ教えてくれない」

「こちらの質問にも答えてくれるなら」

川内「何でここにいんだよ」


漣「さて何ででしょう」

漣「ビックリしたんですよこれでも。夕張さんからあなたの記憶が戻ってきているようだと言われて」

川内「夕張!?あんにゃろお…」

漣「裏切った、なんて思わないで上げてくださいよ。彼女は誰の味方もしない人ですから。事実、雇い主たる私にこの情報を伝えたのが今朝方です」

川内「そういや夕張もそんな事言ってたな」

漣「まあさっきあなたが加賀さんに話してたように戻りそう、という程度との事だったので迷いましたが。大事を取って瑞鶴さんと交代したんですが」

川内「そりゃ運が悪かった。いや、夕張の思惑通りか…」

どちらが勝っても得をする。本当に誰の味方もしてねえな。

漣「いえいえ、ついてないのはこっちですよ。私が交代しなければあなたはあの話を加賀さんにしなかった。そうすればアレが目覚めることもなかったのに」

ん?さっきから言い方がおかしくないか?

漣「さて私は話しましたよ。次はこちらの番です。川内さん、一体何がきっかけで記憶に齟齬が?」

俺が記憶が完全に戻ってると知らない?

いや当然か。それを話せばリストについてバレる。夕張としても避けたい。

不確定な情報だからこそ漣はしっかり対応出来なかった。

なるほど、本当に上手いことフェアな状況になってやがる。

川内「さてな。前の川内が教えてくれたのかもな」

漣「!?」

川内「お前はどう思うよ。俺の記憶について」

漣「なるほど…完全に戻ってるようですね」

川内「さっきのはいいショック療法だったよ。頭ん中スッキリしたぜ」

漣「そうですか。じゃ」

スッと砲をかまえる。

駆逐艦とはいえ練度に差がありすぎる。それにこっちは装備もない。

こっからが正念場だ。

川内「おいおいいいのかよ。俺がどこまで思い出して、どこまで知ったと思う?それで、何もしなかったと思うか?」

漣「…川内さん。私、自分が絶対有利だからと不必要なことをペラペラ話すヤツ、嫌いなんです」

川内「なら「さよなら」」

予想に反した冷たい反応。

全身の血液が氷点下まで下がった気がした。

訓練通りに構えをとる。

しかし、この近距離。砲の口を見て避けるとかそんなマンガじみた動きはできない。

躱せない。




ドンと鈍い音と共に発せられた熱が漣の冷酷な表情を照らす。



空母を鎮めた鉛玉の一撃が、命中した。

やめて!レベルカンストの漣にあぼーんされたら練度も最近の改二基準に届いてない上に装備もない川内では太刀打ちできない!お願い、死なないで川内!あんたが今ここで倒れたら、夕張や過去の川内との約束はどうなっちゃうの?チャンスはまだ残ってる。ここを耐えれば、漣から逃げられるんだから!己の血の滾りに身を任せよう。それぞれの運命を担い、男達が昂然と顔を上げる。次回「横断」。放たれた矢は、標的を射るか、地に落ちるか

いつからだったか、しかしハッキリと疑問に思っていたことがある。

艦娘は船だ。艦種によって量に差はあるがみな同じ燃料を消費して動く。

それは分かる。

しかし弾薬はどうだろう。

例えば主砲を装備する。

合わせて副砲も装着しよう。

加えて魚雷も搭載だ。

口径も弾の種類も、形も構造も全く違うにも関わらず、これらは同じ弾薬を消費して装填される。

弾薬と言われれば当然弾薬を思い浮かべる。

でもそれは違う。
艦娘のそれは、もっと違うなにかだ。
それが何なのかなんて事はわからない。

ただそれは形を変えることが出来る。

構造を変えることが出来る。

出来るというイメージは、確かに形に出来る。

漣「それは、なんですか?」

「さて、なんに見える?」

漣「全くもって、いやはやホントにイレギュラーですね」

「そりゃどうも」

漣「しかし、何に見えるかと言われると、正直、なんていか」




漣「割とチンk川内「クナイだよ馬鹿野郎!」」

弾薬を消費して生み出す武器。

大きさはちょうど魚雷程度。

その機能は硬さと鋭さ。

なのだが

川内「何が投影だよチクショウ。暫くコイツとは会ってなかったからな。どうも恋しくて仕方がなかったらしい」

漣「どうやらふざけてるわけじゃなさそうですね。見た目は完全にふざけてますが」

川内「うっせー」スチャッ

クナイ。誰がなんと言おうとクナイを構える。

砲撃は防げた。特訓の成果は間違いなく出てる。

問題は次だ。

漣「一体どういうカラクリですかそれは」

川内「質問するってことは質問されたら答えるんだよな」

漣「そうですね…」

川内「おいおい、一方的に聞くってのうおっ!?」

ドン、とセリフ途中でも容赦なく撃ってくる。

川内「っぶねぇビビった」

クナイを犠牲にして防ぐ。

そしてまたクナイを装填する。

漣「…」

考えやがる。だがここは思考する暇を与えるわけにゃいかねえ。

川内「ったくよお、一体なんでお前はそこまでしてこんな実験場守ってんだ。非人道的なんてレベルじゃねえだろ。少なくとも俺は脳みそいじくり回されてもいいって契約書にサインした覚えはねぇぞ」

漣「…そうですね。愛する人のため、ということでどうでしょう」

川内「愛ねえ」

漣「ねえ川内さん。あなた、外の世界が、人間が今どういう状況か知ってますか?」

川内「人間?」

漣「はい」ドンッ

合いの手感覚で撃って来やがった。

漣「そもそも艦娘は女性がなるものです。戦力が足りず男も入れると言うのも、まあ分からなくもないでしょう?」

川内「多少ならな。だがなんだよここは」

漣「そう。こんな大掛かりなことをする必要なんてない。実験場なんてことせずに、鎮守府に極一部、男性がいる。それなら問題ない。そのお通りです」ドンッ

川内「っ!分かってんじゃねえか。言葉が通じてるようで安心したぜ」

漣「問題あるんですよ」

川内「は?」

漣「あなたには前提条件が足りないんですよ。ねえ、もう一度聞きます。今の人類がどうなってるか知ってますか?」

川内「今の人類だと…」

漣「もう、ほとんど壊滅状態なんですよ」

漣「艦娘、そして鎮守府を整備する頃には人類の被害は途方もないレベルに達してました。日本を中心に艦娘は広まりましたが、次は食料や資源問題。数多の犠牲で取り戻した海域よりも、それらの問題は広く、そして速かった」ドンッ

川内「まっ!待てよ!デタラメ言うな!」

漣「最早女性を前線に出すなんて真似できないんですよ。子供作らなきゃホントに滅びますから」ドンッ

川内「チィッ」

砲撃が激しくなる。話す隙は与えないってか。

漣「今各鎮守府は防御に徹しています。貴重な艦娘を失わないために。その間にこの実験場で準備してるんです。男の戦力化を」ドンッドンッ

連撃!

初めからそうせず様子見してくれたのが救いだった。

砲弾を防ぐのもだいぶ慣れてきた。

飛んできた二発を右、左とクナイを振るって相殺する。

川内「ふう…」

呼吸を整える。何とかして距離を取りたいもんだが。

漣「口減らしって意味もあります。内地じゃ男手なんて入りませんし、むしろ無駄に飯を食らうから邪魔って始末です」

1歩で後ろに下がろうとする。

ドンッ

すかさず砲撃。

川内「チッ!おい、適当な事言ってんじゃねえぞ!」

漣「適当?適当に聞こえますか?」ドンッ

川内「ああ!聞こえるさ…」

また呼吸を整える。

分かった事が一つある。

こいつ、本当にイヤらしい性格してやがる。

向こうは砲を構えて撃つだけ。

対してこちらは飛んでくる弾にピンポイントでクナイを当てる集中力。

手元で弾ける衝撃を逃がすのに使う体力。

全身運動は思いのほか体力を消費していた。

さらに現状、俺は話さざるを得ない。そもそも知ることが目的だから。

それにまともにやり合ったら負ける。時間も稼がにゃならん。

話せばさらに体力を使う。

すぐさま仕留めようとしない。イレギュラーを警戒し、確実に獲物を弱らせていく。

恐ろしいやつだ。

川内「記憶があるぜ!俺には。懐かしのゲーム、アニメ、男の時の記憶が!んなSF映画見たいな世界ならこの記憶はなんだよ!コールドスリープで長い事寝てたことにするか?」

漣「それが、あなたの記憶という保証はありますか?」

川内「なに?」

漣「あなたは受け継いだんですよ。艤装を。それは色々なものをあなたに与えた。これ程のイレギュラーを起こすほどのものを。そして、記憶を」ドンッ

相殺する。しかし、足元がぐらついた気がした。

漣「ゲームやアニメが好きでしたね、川内さんは。だからこそあなたは思い出せた。でも、あなたは好きでしたか?ゲームやアニメ?いえ、そもそもそんなものあなたは知らないんですよ」

川内「ざけんな!俺が川内から受け継いだのはなあ!男の魂だけだ!」

あの声は、間違いなくそうだった。


漣「ちなみに前の川内さんは神通さんと夜な夜な百合百合な関係でした」

川内「先代のバカあぁ!!」

ドンッ

両手のクナイで叩き落とす。

漣「…さて」

漣がもう一つ砲を構える。

漣「チェックです」

クナイは、弾薬だ。

つまり消費する。弾と同じで。

そしてその消費量は、駆逐艦の砲撃1発より重い。

クナイで相殺して、次を装填した時点であいつは読んでいたのだろう。

いつか弾切れすると。

漣「さてどうしますか?」

川内「はっ、デタラメを」

漣「デタラメ?」

川内「どこに証拠があるんだよ。人の記憶があやふやなのをいい事に適当抜かしやがって」

漣「そりゃそうですね」

川内「それに、割とどうでもいい。俺はな、お前に1発くれてやらにゃならん事を思い出したぜ」

漣「…」

川内「…」

1発の弾に対してクナイを二本消費した。

つまりそれだけ弱まっている。弾薬に余裕がなくなっている。

こうなればもう防げない。膠着は解かれた。

逃げることは難しい。電探も加わった正確な射撃をこの距離で交わしながら逃げるのは無理だ。

となればもう、立ち向かう他ない。

捨て身で当たるしかない。

二本、クナイを装填する。

川内「らぁあ!」
漣「!!」

一直線に突撃する。

矢のように。

想像以上のスピード。

しかし、やはり捨て身の攻撃。

思惑通り。

川内「とでも思ったかぁ!!」

ジャンプ。

人を超えた脚力で中へ飛ぶ。

漣「なっ!?」

これまでのやり取りでこちらにも分かった事がある。

こいつはただ俺を殺したいわけじゃない。艤装を傷つけたくないんだ。

だから弾切れを狙う。

足を、手を狙う。

だから

両手の砲が、こちらのクナイに狙いを定める。

2対2、こちらに残るのは身一つのみ。

ではない!

この日のために磨いてきた「伝家の宝刀」がある!

中身がスカスカの囮クナイ。

弾薬はまだ残っている。

こいつは知らない。クナイは、この投影は、スロットにつき一つ。





股間から伸びた鋭い一突きは、まさしく俺の心の表れだった。

漣「!?」
川内「俺は男だああぁぁ!!」

ほらちゃんと生やしたよ。やったね



・・・・・










漣「増強施設、なんて言っても知らないでしょうね」

漣「機銃とか装備できるんですよ?便利ですよね」

漣「もし刀じゃなければ折れなかったかも知れませんが」

漣「よく頑張りました。それは決して無駄にはなりませんよ。私としても勉強になりました」

漣「次に生かしますよ。次のあなたが生かしてくれますよ」

漣「しかし、後味悪いですねこれは。私も分からなくはないんですよ」

漣「それが折られる痛み。自分でやっといてなんですが、ヒュッてなりましたよ」

漣「同じ魂をぶつけ合ってあなたが負けた。それだけです」

漣「私には守らなくちゃいけない人がいるんです」

漣「まあ、それじゃあ」

おやすみなさい

夕張「で、結局使うんですか。この艤装。また何が起こるか分かりませんよ」

漣「起こそうとしたのあなたじゃないですか。まったく」

夕張「でも結果的に良かったじゃないですか。というかメチャクチャ良かったです。あんな使い方初めて見ましたよ」

漣「そこは同感ですね。ホントに死にかけたんですよ」ジー

夕張「そう睨まないで下さいよ。私だって知らなかったんですから」

漣「知らないといえば、彼女に何も話さなかったんですね」

夕張「あなたとぶつかって欲しかっただけですから、希望は見せても絶望をチラつかせるわけにはいけません」

漣「いい性格してますねホント」

夕張「そりゃどうも」

夕張「出撃ばかりで目撃者がいないのが救いですね」

漣「とりあえずボイラーの事故で片付きそうです。みんないたらと思うとゾッとしますね。流石に崩壊してたでしょう」

夕張「記憶弄らなくて済んだのは私としてもありがたいですね~と。はい終わり。うん。艤装は無事ですね」

漣「それは重畳」

夕張「後は加賀さんですけど、どうします?弄ります?」
漣「ダメです」

漣「彼女は私が対応します。手出しは無用です」

夕張「…ですね。ではそのように」

漣「それと、提督の方。もう少し弄れません?この前川内さんに反応してまして」

夕張「これ以上やるとマジ植物人間になりますよ?」

漣「いいんじゃないですか。どうせ提督は提督である限りは、みな各々好きなように提督を見るんですから」

夕張「動かなくなったら流石に最上さんあたりは不味いでしょう」

漣「それは、まあそうですね。でもいっそその方が楽だったりしませんかね」

夕張「そこはなんとも」

漣「ではそろそろ提督室に戻ります。艦隊が帰投する頃合ですし」

夕張「今回のは一つ貸しますよ?」

漣「分かってますって。でもこれ以上は残ってるか分かりませんよ?この前のうぃーとか言うのだってたまたま見つかったものなんですから」

夕張「期待してまーす」

漣「(´-д-)-3」

漣「さてさて、川内を補充したとして、次は誰でしたっけ…っと、ご主人様、調子に乗ると、ぶっとばしますよ…ああ」

漣「そんな事できるわきゃないですか。まったく都合よすぎるんですよ、艦娘は。幸いにも提督を見間違えるような事は今のとこないですが」

漣「気にする事は何も無いですよご主人様。鎮守府は、上手く回ってますから」







「川内参上!夜戦なら任せておいて!」






どうしてこうなった。

おかしいね。エロが書けないからね。初めてのSSだしね。仕方ないね。


ちょっと迷ったけど、こういうループモノの主人公一歩手前見たいなオチ、好きなの

やたらと長くなりましたがこれに終わりです

無駄を極力省いて畳み掛けたので細かいところは放置です。
残った謎をどう思うかはあなた次第、て便利な言葉だよね

次はややっこい事考えずほのぼのしたの書くよ

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