【モバマス】「あ、あれ……? もしかして私、記憶喪失?」 (28)

「うぅぅー、どうしよう、自分の名前とか住所とか全然思い出せないよぉー……」

「それに、ここどこ? 部屋というか、オフィスというか?」

「誰かいないのかな? 私のこと聞かないといけないし」

「う、うーーーん? なにか思い出せないかな、えーと……頑張って思い出さないと」

「……頑張る? あー、なんかいつもそんなこと言ってたような……」

「………………ガンバ☆」

「うん、なんかそんな感じのことをよく言ってた気がします」

「記憶喪失なのにそんな気がするって何なんでしょうね」

「それで、えーと、まず名前だ、名前だけでも思い出さないと……私、ガンバ☆」

「んーーーー……そうだ、ガンバ☆って言葉を言ってた気がするって思い出したから、ガンバ☆って繰り返して言ってみれば何か他に思い出すかも」ガサゴソ

「ガンバ☆、ガンバ☆、私ガンバ☆」

「あっ! なんか思い出しそう! 名前!」

「なんかこう、4月っぽい名前だったような!」

「うー、もうちょい、私ガンバ☆」

「……………………」

「だ、ダメだぁー、思い出せない……うずうずするぅー」

「って、あああー! そう、うず、うずなんとかって名前! だった気がする!」

「あーーーー…………」

「ウズラ?」

「うん、ウズラ……だった気がします、4月っぽいかはわかんないですけど」

ウズラ「とりあえず、私の名前は鶉ということにしときましょう!」

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ガチャ

「あ、あのー……誰か、いる?」

ウズラ「あ! え、どなた?」

「あ、よかった人がいた、聞きたいことがあるんだけど」

ウズラ「あ、あー、答えられるかどうかはわかりませんけど……」

「?」

ウズラ「実は私、記憶喪失で……」

「え、そうなの!?」

ウズラ「は、はい」

「その、私も記憶喪失なんだけど……」

ウズラ「え、そうなんですか!?」

「うん……だから、何か知ってる人がいないかなと思ったんだけど」

ウズラ「すみません、私は……」

「そうだよね……大変だね、お互い」

ウズラ「あ、でもなんとかガンバ☆してみたら、名前を思い出すことが出来たんですよ」

「え、そうなんだ?」

ウズラ「はい、私の名前は鶉です、多分」

「ふーん……鶉さん……」

ウズラ「だから、あなたもきっと名前くらいまでは思い出せると思うんです」

「う、うん、頑張って思い出してみるよ」

ウズラ「ガンバ☆」

「うーーーーん……あっ」

「花……」

ウズラ「鼻? ノーズ?」

「違う、フラワーの方」

ウズラ「ああ、花」

「なんか花って言葉が引っかかるというか」

ウズラ「名前に関係してるかも知れませんね!」

「花に関連した名前か……んー」

ウズラ「花子とか、流石に安直かな」

「あっ!」

ウズラ「え?」

「なんだろ、ハナコって名前がね、なんか聞き覚えがある」

ウズラ「もしかして、花子って名前ですか?」

「かもしれない」

ウズラ「じゃあ花子ちゃんで」

「うん、悪くないんだけど……古臭い名前というか……」

ウズラ「最近はそういうおばあちゃんみたいな名前が一周回ってトレンドになってますよ」

「そうなの?」

ウズラ「私の想像上では」

「想像上の話かい!」

ウズラ「とにかく、記憶喪失になっている今だけでも花子ちゃんでいきましょう! 私も鶉ですし! 卵ですし!」

花子「ま、まあいいか……卵は知らないけど」

ガチャ

「ど、どーもー」

ウズラ「あ、また誰か来た」

「あ、あの……聞きたいことがありまして」

花子「何かな?」

「実は私、記憶喪失みたいで、何も思い出せなくて」

ウズラ「えっ」

花子「えっ」

「えっ?」

花子「私達も記憶が無いんだよね」

「え、ウッソ、マジで?」

ウズラ「記憶喪失の人が3人も集まるなんて、これはこれで凄いですよね」

花子「私はなんだか作為的な何かを感じるけど」

「そ、そうなんだ、困ったなー」

ウズラ「私達はなんとか名前だけは思い出したんですよ、私は鶉です」

花子「本当に合ってるかはわかんないけどね、私は花子」

「鶉ちゃんと花子ちゃんかあ、じゃあうずみーとはなまるって呼ぶね」

ウズラ「へっ?」

花子「え?」

「ん? ……あっ、んんん?」

「そういえば私、こうやってよく人にニックネーム付けてた気がするよ」

ウズラ「ふむ、ニックネームですか」

花子「でも、はなまるって……」

ウズラ「その調子で自分にも名前をつけてみましょう! ガンバ☆」

「うーん、そだねー……」

花子「名前を思い出すんじゃなくて名前をつけるんだ……」

「名前をつけるにも、判断材料が無いから名前のつけようがないや」

ウズラ「そこをなんとか」

「…………み」

花子「み?」

「みから始まる名前だったような、そうでもないような……」

花子「みから始まる名前か……」

ウズラ「もう少しですね、ガンバ☆」

「み、み……」

「ミツボシ」

ウズラ「三ツ星?」

「なんかね、パッと頭に浮かんだのが三ツ星だった」

花子「それ、名前じゃなくて名字の方じゃない?」

「かもしんないけど……いやでも、名前の方もみから始まってたはずなんだよ、覚えてないけど」

ウズラ「三ツ星……と言えばレストランが出てきますね」

花子「なんだっけそれ、ミシュランだっけ」

ウズラ「あ! それですよ!!」

「あー、自分のことは忘れてても、そういう知識っていうのは覚えてる感じなんだね」

ウズラ「そうじゃなくて名前ですよ、名前!」

「え、名前?」

ウズラ「ほら、ミシュランってみから始まってるじゃないですか」

「あっ、確かに」

ウズラ「そういうわけなので、あなたの名前は三ツ星ミシュランちゃん、ということですね」

「うーん、そうかな? なんか外国人っぽい名前だし、それにもーちょっと短い名前でもあったような気がするけど」

ウズラ「じゃあ漢字に当てはめて……美主蘭ちゃんで」

「それなんてキラキラネーム?」

ウズラ「とにかく! あなたは三ツ星ミシュランちゃんです! 私が決めたんです!」

「なんという横暴!?」

花子「話が進まないから今はそれで納得してよ、私も花子だし、はなまるだし」

ミシュラン「わ、分かったよはなまる、とりあえずミシュランだね」

ミシュラン「ふーむ、ところでうずみーとはなまるが思い出したのは名前だけ?」

ウズラ「そうですね、それだけです」

ミシュラン「私だけ名字も思い出してるからさ、2人も名字を思い出してみようよ!」

花子「名字かー」

ウズラ「多分ですけど、私の名字はきっとカッコイイものだと思うんですよ」

ウズラ「それこそメインヒロイン張れるレベルの完成度の高い名字ですよ」

花子「完成度の高い名字って何なの」

ウズラ「なんというか、海とか天とか入ってるような、そんな名字」

花子「それは……気のせいだよね、おそらく」

ミシュラン「それにうずみーは普通な名字な気がするよ」

ウズラ「えっ嘘、私普通なの?」

花子「うん、絶対普通の名字だよね、鈴木とか田中とか」

ミシュラン「それに、RPGで例えたらメインヒロインじゃなくて村人に近いよね」

花子「うん、村で起こるミニイベントで関わってくる村長の娘みたいな」

ウズラ「細かい例えですね」

ミシュラン「じゃあウズラの名字は村人だね」

ウズラ「む、村人ォ!? いくらなんでもそれは……」

ミシュラン「じゃあ少しランクアップしてムラオサ」

ウズラ「街とかになるんじゃなくて村のままランクアップしちゃうんだ!?」

花子「村長鶉だね、決定」

ウズラ「そ、そんなぁ」

ミシュラン「次からはうずみーじゃなくてそんちょーって呼ぶね!」

ウズラ「私の考えも尊重してください……」

花子「人のこと言えないでしょアンタ」

花子「次は私の名字か……」

ウズラ「やっぱり花に関係した名字なんでしょうか」

ミシュラン「ふうむ、花丸花子とか」

花子「ニックネームを名字にしてどうすんのさ……」

花子「それに花子と花丸で花が被ってるよ」

ウズラ「名字と名前で同じ漢字が使われるのはよくあるじゃないですか」

花子「そうだけどさ」

ミシュラン「私だって三ツ星とミシュランでみが被ってるんだよ!」

花子「それはどうでもいい」

ウズラ「花丸花子って、語呂がいいですよね」

花子「語呂がいいとしても、とにかく花丸花子は無いよ」

ミシュラン「じゃあ少し変えて……んー、赤丸花子とか」

花子「いや赤丸って…………ん、赤?」

ウズラ「え?」

花子「赤、赤か……」

ミシュラン「お、何か思い出した?」

花子「…………いや、何も……」

花子「でも私、赤よりは蒼の方がいいかな」

ミシュラン「ふむ、青か」

ウズラ「青かあ、青山とか?」

ミシュラン「青山花子ね」

花子「なんで山になったのかはわからないけど、青山じゃなくて蒼山の方がいいな」

ウズラ「え? 何が違うの?」

花子「漢字が違うでしょ、こう書くの」カキカキ

ウズラ「ああ、こっちの漢字の蒼ね」

ミシュラン「いや、どっちでもいいんじゃ」

花子「どっちでもよくないよ! 私はここに拘りたいの!!」

ミシュラン「え、あっ…………お、おう、そっか……」

ウズラ「じゃあ蒼山花子ちゃんで」

ミシュラン「さて、これで全員フルネームを思い出したわけだけど」

花子「合ってるかどうかは別問題だけどね」

ウズラ「これからどうしましょうか?」

花子「そもそも、ここはどこなの?」

ウズラ「建物の中です」

花子「それは知ってる」

ミシュラン「この部屋オフィスっぽいし、ビルか何かかな?」

ウズラ「うーん、何の事務所なんでしょうね」

ミシュラン「何か手がかりがないかな」

花子「んーーー……あ、このホワイトボード」

ウズラ「ああ、なんか予定が色々書かれてますね」

ミシュラン「ふむふむ、予定の内容からどんな仕事なのか考えるわけですな!」

花子「ええと、撮影、レッスン、番組収録、レッスン、レッスン、ライブ練習」

ミシュラン「……テレビに出る仕事かな? 芸能人?」

花子「レッスンとかしてるし、アイドルかも」

ウズラ「アイドル……?」

ウズラ「……はあああああ!!!」

花子「ふぇっ!? どしたの?」

ウズラ「お、思い出した……」

ウズラ「そういえば私、アイドルやってた! ……気がします!」

ミシュラン「え、嘘!」

花子「いや、気がするって、それ思い出せてないんじゃ……」

花子「……ほあああああ!!!」

花子「なんというか、私もアイドルやってた! ……記憶があるようなないような!」

ミシュラン「ひゃあああああ!!!」

ミシュラン「言われてみたら私も、アイドルを! ……やってたりやってなかったり……してたんじゃないかな! どうなのかな! わかんないや!」

ウズラ「…………」

花子「ん?」

ウズラ「テンション高いですね、あなた達」

ミシュラン「最初にテンション上げたのそんちょーだよね」

ウズラ「まあ、その……私たちがアイドルだったとしたら」

ミシュラン「だとしたら?」

ウズラ「……えーと……」

ウズラ「特に思いつきませんでした」

ミシュラン「そ、そう……」

花子「……ていうかさ」

花子「私達、本当にアイドルだったのかな?」

ウズラ「あー、そこを疑っちゃったらもうキリがないですよ」

ミシュラン「ひとまずはアイドルだったということで話を進めようよ」

花子「いやほんとにさ、私はアイドルじゃなくて花屋さんをやってた記憶があるの、花子だから」

ウズラ「それを言ったら、私なんか空の上に浮かぶ島で剣士やってた気になってきますよ」

ミシュラン「いやないわー、空に浮かぶ島とか、ファンタジーじゃないんだからさ」

花子「いや待って、もしかしたら鶉は本当に村人だった可能性が」

ミシュラン「あー、ミニイベントで関わってくる村長の娘さんだね、やっぱり剣士は無いよね」

花子「そして何かに巻き込まれて、空に浮かぶ島から地上へ落ちてきてしまった」

ミシュラン「親方! 空から女の子が!」

花子「あ、メインヒロインっぽい! やったね鶉」

ウズラ「ごめんなさい私が悪かったですだから話を戻しましょう」

ミシュラン「名字を決める話だっけ?」

花子「戻りすぎだよ、アイドルの話」

ミシュラン「あー、私たちがユニット組んでたって話か」

ウズラ「えっ!? そんな話をしましたっけ?」

ミシュラン「いや、なんというか、ピコーンと思い浮かんだ」

花子「さらりと言うんだね……」

ミシュラン「それじゃあ私たちがユニットを組んでいたと仮定して」

花子「仮定するんだ」

ウズラ「今更ですよ」

ミシュラン「ユニットであるからにはユニット名が付いていたはずだよ」

花子「また名前?」

ウズラ「名前をつけるの好きですね」

ミシュラン「そりゃあニックネーム付けるくらいだからねー、そんちょー、はなまる」

花子「もうちょっと考えて命名してほしかったけどね……」

ミシュラン「なので、皆でユニット名を考えよー!」

花子「思い出すんじゃなくて考えるんだ……」

ウズラ「ガンバ☆」

ミシュラン「そんちょーも頑張ってよ!」

ウズラ「そうは言っても、何も浮かびませんし……」

ミシュラン「とりあえずなんか言ってみよ!」

ウズラ「ん、んんー……生ハムメロン」

花子「んーー……プリンセスブルー」

ミシュラン「ジェットストリームアタック」

ウズラ「へごちん」

花子「アズール・ムジカ」

ミシュラン「フォーリングスター」

ウズラ「やめましょう! 収まりがつきません!」

ミシュラン「そ、そうだね……」

花子「静かなる蒼の息吹よ! ラズール・レオ!!」

ウズラ「花子ちゃん止まってーー!」

花子「はっ!? 私は一体何を……」

ミシュラン「あっ!」

花子「ん?」

ミシュラン「なんだろ、こう、略したらNGになるってのを思い出したような」

ウズラ「エヌジー、ですか」

花子「そ、それは、略したら卑猥な単語になるってこと……?」

ミシュラン「違うよ! Nから始まる言葉とGから始まる言葉があって、略してNGってこと!」

ウズラ「花子ちゃんの考え方がNGみたいですね」

花子「あー、ごめん……」

ウズラ「それで、NとGから始まる言葉、ですか」

ミシュラン「何かあるかな?」

花子「んーと……な、に、ぬ、ね、の……」

ウズラ「ん? に、に……ニュージェネ……」

ミシュラン「ニュージェネ?」

ウズラ「なんか、略してニュージェネ、だったように思います」

ミシュラン「なるほど、ニュージェネ、ニュージェネ、んー……」

花子「ニュートラル」

ミシュラン「ジェネリック」

ウズラ「略してニュージェネ」

ミシュラン「おお、なんかぴったりハマったね!」

花子「ニュートラルジェネリックか……なんかそれっぽくなったよね」

ウズラ「意味はイマイチわかりませんけどね」

ミシュラン「ユニット名なんて、得てしてそんなもんだよ」

花子「それじゃあ私達のユニット名はニュートラルジェネリックだね」

ガチャ

「あ、あのー」

ミシュラン「あ、誰か来たよ」

花子「え、まだ増えるの」

ウズラ「どうしましょう、記憶喪失です、なんて言われたら収拾付きませんよ」

「えっ」

ウズラ「えっ?」

「実はその通りなんです……」

花子「あっ……」

ウズラ「と、とりあえず自己紹介しましょう、私は村長鶉です、記憶喪失です」

花子「私は蒼山花子、同じく記憶喪失です」

ミシュラン「私は三ツ星ミシュランだよー、もちろん記憶喪失です」

「み、みなさん記憶喪失なんですか……」

ウズラ「ええ、さっきなんとか皆の名前を思い出したところです」

ミシュラン「そういうわけなので、あなたも自己紹介よろ!」

「あの、記憶喪失だから名前も忘れてるので、自己紹介も何もできませんが」

ウズラ「ガンバ☆」

「無理です、無理」

ウズラ「ですよねー」

ミシュラン「そんじゃあ、パパッと名前を決めよっか」

「随分と投げやりなんですね」

花子「例の通り名前を考え……思い出す流れになったわけだけど」

ウズラ「それにしても……派手な色のスーツを着てますね」

花子「黄緑色か、私だったら蒼にするかな」

「ああこれ……確かにこの色は趣味が悪いですよねぇ、目に痛いですもの」

ミシュラン「きっと成金な人だったんじゃないすかねー、記憶を失う前は」

ウズラ「あー、良く言えば貯金が趣味、悪く言えば信用できるのはお金だけの守銭奴ってやつですか?」

「そうなんでしょうか、それはなんか嫌だなあ……」

ミシュラン「うーあー! なんか頭の使いすぎで疲れてきたよー!」

ミシュラン「もういい! 私考えるのやめる!」

ミシュラン「私は考えるのをやめるぞ! そんちょー!!」

ウズラ「なぜ私に言うんですか」

花子「でもまあ、確かにさっきから名前考えてばっかだったもんね」

ウズラ「かくいう私も頭がパンクしそうです、知恵熱で頭がフットーしそうです」

「えっ、あの、私の名前は」

ミシュラン「悪いけど、一人で考えて」

ウズラ「ガンバ☆」

「えぇ……そっちが名前を決めようって言っておきながら丸投げだなんて……」

花子「大丈夫、私も一緒に考えるからさ」

「花子ちゃん! あなたはいい人ですね!」

花子「えーとね、ロイヤルブルーサファイア、いや、インディゴライト、ラピスラズリ、んー……」

花子「シアン、とかどう?」

「やっぱり一人で考えます」

「あ、そうだ」

「疲れたと言うなら、これをどうぞ」

ミシュラン「ん? スタミナドリンク?」

「はい」

ウズラ「わあ、ありがとうございます」

花子「なんで持ってるの?」

「なんか懐に入ってました」

ミシュラン「ちょっと待って、これ懐に入れてたの?」

「ええ、そうですけど」

ミシュラン「通りでぬるくなってるわけだよ……」

「あ、あら? そ、それはごめんなさい」

ウズラ「ぬるい炭酸はあまり美味しくないですよね、飲みやすいですけど」グビグビ

花子「なんで懐で温めてたの?」

「記憶を失う前の私に聞いてくださいよ」

「今思えば懐がすごく冷えてるんですよ、おかげで寒いですよ、なんでキンキンに冷えてたドリンク懐にしまったのよ記憶を失う前の私は」

ミシュラン「懐で温めるとか秀吉ですか? 豊臣ですか?」

花子「いや、懐で温めてた頃は豊臣じゃなくて羽柴じゃなかったかな」

ウズラ「そういえば、記憶を失う前は守銭奴疑惑がありましたね」

花子「なるほど、福沢諭吉で懐が暖かかったわけだ」

ミシュラン「はいはーい思いつきました! あなたの名前は羽柴諭吉です!」

「えらい唐突に私の名前が決まった!? 丸投げしておきながら結局決められた!」

「ていうかそれ男の名前ですよね!? 私女性ですよ!」

ウズラ「最近は女の子に男の子みたいな名前をつけたり、逆に男の子に女の子みたいな名前を付けるのが流行なんですよ」

「そうなんですか?」

ウズラ「私の想像上では」

「想像上の話かーい!」

ミシュラン「じゃあ多数決とりまーす、羽柴諭吉でいいって人は挙手」

ウズラ「はい」

花子「はい」

ミシュラン「はい」

ミシュラン「というわけで過半数を超えたので決定ですよ、諭吉さん」

諭吉「もう諭吉でいいです……」

ウズラ「ところでミシュランちゃん、諭吉さんにはあだ名付けないんですか?」

ミシュラン「いやーさ、諭吉さんはなんというか、もう諭吉さんだよね」

花子「確かに諭吉さんが一番しっくりくるよね」

諭吉「そうなんですかねぇ……」

ミシュラン「じゃあ次に、諭吉さんは何のお仕事をやっていたのか思い出そー」

ウズラ「私達と同じアイドルじゃないんですか?」

諭吉「いや……なんでしょうか、アイドルみたいな表に出る職業ではなくて裏方的な何かをやってた……と思います」

ミシュラン「うーむ、守銭奴だから、きっと儲かる事をやってたに違いない」

花子「裏方……裏稼業? 何かを密輸してるとか?」

ウズラ「み、密輸!? もしかして、危ないおクスリとかですか!?」

ミシュラン「はっ!? さっき貰ったスタドリには、依存性のある成分が含まれてたりするのでは!?」

ウズラ「まずいですよ! 私達中毒になっちゃいます!」

花子「くっ、まさか諭吉さんがこんな非人道的なことをするなんて思わなかったよ……」

ミシュラン「鬼! 悪魔! 諭吉! 精神を蝕ませて骨抜きにしたら、海外に売り飛ばすつもりだな!」

諭吉「私はあなた達がそのような飛ばした発想をすることに驚きですよ……」

ウズラ「この発想力で名前を付けてきましたからね」

諭吉「そんな危ない仕事はするわけないでしょう……多分」

花子「多分って何……?」

諭吉「なにせ記憶喪失なもので」

諭吉「ええとですね、裏方と言いましたが、あなた達アイドルの裏方をやってたようなやってなかったような」

花子「ま、まさか仕事を取ってくる代わりにアイドルに身体を差し出させて」

諭吉「いい加減にしろ」

ウズラ「花子ちゃんはえっちぃですね」

ミシュラン「さっきのNGの事といい、結構なムッツリと見た!」

花子「うぅ……冗談なのに……」

ウズラ「あっ!」

ミシュラン「どしたのそんちょー」

ウズラ「私達、アイドルだったはずですよね?」

花子「うん」

ウズラ「とすると、私達にもいたんでしょうか」

ミシュラン「何が?」

ウズラ「プロデューサーですよ、プロデューサー!」

ミシュラン「あーー、言われてみれば確かにいるんじゃないかな」

ウズラ「ということはですよ、諭吉さんは私達のプロデューサーだった可能性がありますね」

花子「そうか、確かにそうだね」

諭吉「そうなの?」

ミシュラン「そうですよー」

諭吉「えぇー? 私ってプロデューサーだったのかなぁ……」

ウズラ「それじゃあ諭吉さんは私達のプロデューサーだったということで」

諭吉「あっ! 思い出した、私アシスタントをやってた記憶が」

花子「ふーん、諭吉さんが私達のプロデューサー? まあ、悪くないかな」

ミシュラン「へえ、諭吉さんが私達のプロデューサーだったのかあ」

諭吉「いや、プロデューサーじゃなくてアシスタント……」

ウズラ「よろしくお願いしますね、プロデューサーさん!」

諭吉「…………は、はい……」

ミシュラン「えーと、他に何か思い出すものってあったかな」

ウズラ「うーーん……」

花子「ん? どしたの鶉」

ウズラ「いや、なんというかこう、すごく、すごーーく、モヤモヤしてて」

諭吉「モヤモヤ?」

ウズラ「まるで今いるココが夢の中みたいな、そんなフワフワした感覚があるんですが」

ミシュラン「え、何? それじゃあ記憶喪失になってから今までのは全て夢オチだったって話とか?」

花子「いやあ、まさかそんな」

ウズラ「ははは、流石にそんなことは言いま」















「はっ!?」

「あ、起きた?」

「…………んん、ここは?」

「事務所だよ。もしかして寝ぼけてる?」

「そうかもしれません、えーと、り……」

「り?」

「違った、花子ちゃん」

花子「ねえ鶉、りって何?」

ウズラ「さあ……? なんかパッと出てきたんですけど、よく分かんないです」

花子「もしかして、記憶を失う前の記憶だったりする?」

ウズラ「うーん、そうなのかもしれませんね」

花子「まあいっか、プロデューサーが次の仕事の打ち合わせをしたいから早く来てって言ってたよ」

ウズラ「うん、分かった」

ウズラ「(記憶喪失になってから数ヶ月経ちまして)」

ウズラ「(私と花子ちゃんとミシュランちゃんはアイドルユニット『ニュートラルジェネリック』を結成)」

ウズラ「(デビューしたてなので下積みばかりですが、充実した日々を送っています)」

ウズラ「(諭吉さんも私達のプロデューサーとして、あちこち駆け回ってくれています)」

ウズラ「(結局私たち4人の記憶は戻りませんでしたが、毎日が楽しいのでこれはこれでいいかなと思います)」

ウズラ「(あ、そうそう、記憶を失う前のアレコレとか、戸籍上の問題とか)」

ウズラ「(なんかこう、突っ込まれたら困る部分は全て諭吉さんが片付けてくれました)」

ウズラ「(記憶喪失の私たちがアイドルデビューできたのもそのおかげなんですよね)」

ウズラ「(……諭吉さんって、本当に記憶喪失なんですかね?)」

花子「鶉ー!」

ウズラ「今行きまーす!」

ウズラ「よーし、今日もガンバ☆」



NG編 おしまい

おまけ


花子「んーー……り、か」

花子「り、り……りん?」

花子「りん、りん……ふむ」

ミシュラン「どしたのはなまる」

花子「ねえ、私のファンからの愛称さ、『はなこりん』ってどうかな?」

ミシュラン「なにそれ、なんか変だからバツ」

花子「えっ、そ、そう……」

ウズラ「ビミョーに呼びづらいですよね、はなこりんって」

諭吉「もう『はなまる』で定着してるんですから、それでよくありません?」

花子「なんでデビューしたばかりなのにはなまるが定着してるのさ……」


おまけおしまい

お粗末さまでした
見てくれた方、ありがとう

答え合わせ


村長 鶉(むらおさ うずら)
http://imgur.com/XL324rw.jpg

蒼山 花子(あおやま はなこ)
http://imgur.com/PdeTWVo.jpg

三ツ星ミシュラン(みつぼし みしゅらん)
http://imgur.com/owfr4Zt.jpg

羽柴 諭吉(はしば ゆきち)
http://imgur.com/7tOtSQL.jpg

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