【笑ゥせぇるすまん×トネガワ】喪黒「ほほぅ…出世がしたいんですか利根川さん?」 (25)

喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで笑ゥせぇるすまん」

喪黒「ただのセールスマンじゃございません」

喪黒「私の取り扱う商品は心…人間のココロでございます」

喪黒「この世も老いも若きも男も女も、心の寂しい人ばかり」

喪黒「そんな皆さんの心のスキマをお埋めいたします」

喪黒「いいえ、お金は一銭もいただきません」

喪黒「お客様が満足されたら、それがなによりの報酬でございます」

喪黒「さて、今日のお客様は…」

ー利根川 幸雄ー

喪黒「オーホッホッホッホッホッホ」

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《帝愛本社》

利根川「お呼びでしょうか…?」

会長「来たか…利根川…」ギィ…

会長「あれ…」

黒服「はっ!」

カチャ

利根川「…?」ざわ…

利根川の前に出されたのはサイコロだった

利根川(サイコロ……?しかも何の変哲も無い…)

会長「ボケろ……利根川…!」

利根川「!?」

利根川(ボケろ…!?サイコロで……?)

利根川(まさか…この後に及んでハマりだしたのか…!?)

利根川(モノボケに……!)

『こうして…』

『会長の圧倒的暇つぶしにより…』

『利根川は毎日…毎日…』

『ストレスが溜まっていた…!』

利根川(疲れた…今日もまた…)

利根川(こういう日は酒に限る…!)

利根川(サラリーマンの1日の疲れを取る悪魔的飲物……)

利根川(ビール…!)

利根川(いつもの居酒屋ですましたいところだが…)

利根川(今夜は…)

利根川(モノボケ疲れによる疲労がピーク…!)シュン…

利根川(ん?)

“BAR 魔の巣”

利根川(こんな所にBARがあったか…)

利根川(いいだろう…たまにはこんな店も…)カランコロン

利根川「フー…」

利根川「とりあえず生…」

利根川「ひとつ…!」

マスター「どうぞ…」カコ…

シュワ…シュワ…

利根川「くぅ~~~~~っ!」カッ…

利根川(沁みる…!仕事終わりのこの一杯…!)

喪黒「いや~。ほんとにうまそうですね!」

利根川「は…?」

喪黒「失礼!あまりにあなたの飲みっぷりがよかったので」

利根川「はぁ…」

利根川(でた…)

利根川(初めて行く店でよくある…)

利根川(その店の常連が新参者に話しかけてくるパターン…)

喪黒「見るからに仕事に疲れていたんでしょう」

喪黒「察するに上司からの無茶振り…毎日そんな日々を送ってらっしゃるようで」

利根川(ここは一つ…ノリを合わせるか…)

利根川「その通りです…中間管理職という立場はなかなか…」

喪黒「ホッホッホ。やはりそうでしたか」

喪黒「中間管理職という立場は大変ですね~。上司のご機嫌を伺いつつ、部下の面倒も見なければいけない。さらには出世争いも激しい役職」

喪黒「しかし、誰もその苦労を分かっちゃくれない。何とも辛い役職ですねえ!」

利根川(こいつ…!)

利根川(見かけによらず分かる…!)

喪黒「おっと…紹介が遅れました。わたしはこういうものです」

“ココロのスキマ…お埋めします”
     喪黒福造

喪黒「わたしはセールスマンです。もっともボランティアのようなものですが…」

利根川(ほぉ…セールスマン…このワシに…)

利根川(面白い…!)

利根川(聞いてみようじゃないかその話…!)

『この時…』

『利根川は気づいていなかった…』

『自分がまさか…』

『沼に浸かり始めているとは…!』

つづく…!

今夜はここまで…
続きは明日投稿します

喪黒「わたしの扱う商品はココロです!人間のココロですよ」

喪黒「お見うけしたところ、あなたのココロは一見スキマがないように見えますが、少しだけスキマがあります。その少しのスキマをわたしがお助けしてもいいですよ」

利根川「ココロのスキマ…」

利根川(胡散臭いな…だが…)

利根川(少しだけスキマがあるなら埋めたい…)

利根川(あと1ピースで完成するパズルのような感覚…!)

利根川(埋めれるなら…)

利根川(埋めてしまえ…!)

利根川「金は…」

喪黒「もちろんいただきません。ボランティアですから…」

利根川「いいだろう…」

喪黒「それではどうぞ」スッ…

利根川に渡されたのはボタン型のスイッチだった

利根川「なんだ…これは?」

喪黒「上司にイラついた時…上司に消えて欲しい時その他もろもろ…そのボタンを押せばあなたの好きなように上司を操れます」

利根川「ほぉ…!」

利根川(そんなおとぎ話…)

利根川(子供でも信じない…!)

喪黒「ぜひ使ってみてください。いらなくなったら名刺の番号に電話していただければ取りに伺います。それでは」

喪黒「あ。言い忘れていましたが、そのスイッチなんですが犠牲も伴います」

利根川「犠牲だと…?」

喪黒「押せばあなたの部下に不幸が訪れます…まずはお試しください。くれぐれも使いすぎないように…」

『その後…』

『利根川はほろ酔い気分で帰宅…!』

『スイッチ片手に…』

『押せば上司を操れ…部下に不幸が訪れる…!』

『悪魔的機械の前に…』

『利根川塾考しながら就寝…』

『1日後…!』

会長「クゥクゥクゥ…はてはて…」

会長「今秋からリニューアルオープンする帝愛ホテルの…」

会長「今春このワシ直々にプロデュースし……予約が取れない最高級レストラン……!」

会長「一体リニューアルしてどれほど味が変わるか…楽しみだのう……!」

会長「のう…?」

会長「利根川…!黒崎…!」

利根川「はっ!」

黒崎「はっ!」

『帝愛No.2のポスト最有力候補のひとり…黒崎義裕…!』

『利根川にとっては…』

『ただ一つのNo.2の席を争う宿敵…!』

『以前…今春の試食会では完敗を喫した利根川…』

『今回はリベンジするために気合いを入れていた…!』

『もちろん…』

『あのスイッチも持ってきていた…!』

利根川(黒崎…)

利根川(こいつは会長の琴線に触れないラインで会長に接していく…!)

利根川(以前はボロ負けしたが今回は…)

利根川(こいつがある…!)

ウェイトレス「お待たせしました」カチャ…

ウェイトレス「最高級素材のタマネギを使った…オニオンスープでございます……!」

利根川(……!)

利根川(これは……)

利根川(無味…!)

利根川(何も味を感じない…)

利根川(まるで…)

利根川(空気を食べているかのよう…!)

会長「うむ…」

会長「上手い…!飲みやすいスープだ…!腕を上げたな…!」

利根川(出た…!)

利根川(会長の味オンチ…!!)

利根川(しかし…ここは慎重に言葉を選ばねばならない…正直に言っても意見に賛同してもどのみち怒られる気がするが…)

黒崎「これは…」

『黒崎が動く…!』

『それと同時に利根川も…』

『右手をスイッチに…』

『手をかけた…!』

つづく…!

今夜はここまで…
また明日お会いしましょう

利根川(あの男からもらったこのスイッチ…)

利根川(押すか…)

利根川(いや…待て…)

利根川(押せば部下に不幸が訪れると言っていたな…)

利根川(あの時は疲れていて正しい判断が出来なかったが…)

利根川(タダより怖いものはない…!)

利根川(ここは押さないで…)

会長「利根川っ…!」

利根川「…はっ!」

ポチッ…

利根川(なっ…!)

利根川(しまった…!)

利根川(うっかりボタンを押してしまった…)

『利根川…ドジる…!』

会長「お前はどう思う…このスープ…?」

利根川「え…」

利根川「す…少し味が薄いかと…」

会長「ぬっ!」

利根川(しまった…何も考えずに答えてしまった…)

利根川(頼む…怒らないでくれ…!)

会長「クク…」

会長「利根川にしては的確だの……」

会長「このスープは薄い……!」

黒崎「な……」

利根川「は…?」

会長「何をやっとるんだバカめ……!」

ウェイトレス「すみませんっ!」

利根川(まさか……)

利根川(このスイッチのおかげで…?)

『利根川…』

『それからもスイッチを押し続け…』

『その数…』

『合計3回……!』

『なす事が全て上手くいき……』

『会長ご機嫌…』

『黒崎不機嫌…』

『利根川大満足……!』

『しかし翌日…!』

ガチャ…

山崎「おはようございます」

利根川「うむ…」

利根川「む…?」

利根川「どうしたその腕のケガは…!」

山崎「あ…これですか…」

山崎「昨日階段から転んでしまいまして…」

利根川「それに…」

利根川「部下も少ない気が…」

山崎「それなんですが……」

山崎「佐衛門と権田さんが乗った車が事故に遭いまして……」

利根川「なにっ!!」

山崎「命に別状はないんですが、一週間の入院だそうで……」

利根川(まさか……)

利根川(それもこのスイッチのせいか…!)

利根川(あの時ワシはスイッチを3回押した…)

利根川(だから部下3人に不幸が…)

『利根川は気づいた…』

『このスイッチの効果と…』

『その恐ろしさを…!』

山崎「あと…」

山崎「海老谷から連絡がありまして…」

山崎「エビロールの店が火事になったと……」

利根川「そうか……」

利根川「………」

利根川(それはこのスイッチとは関係ないな……)

『海老谷は利根川にとって“元部下”…』

『スイッチとは無関係…!』

『海老谷の運の無さによるものである…!』

利根川(これは確かに便利だが諸刃の剣…)

利根川(いつワシに牙を剥いてくるか分からない…!)

利根川(その牙でワシの人生まで狂わされるかも知れん……!)

利根川(確かあのセールスマンの名刺があったはず…)

ガチャ…

萩野「利根川先生……」

利根川「すまんが今は忙しい……」

萩野「会長がお呼びです…」

利根川「……分かった…今行く……」

トントン…

会長「入れ…」

ガチャ…

利根川「お呼びでしょうか……」

会長「利根川……そろそろ今の役職にも飽きてきたじゃろ……」

利根川「と…言いますと……?」

会長「上の役職が一つ空いてな……黒崎と利根川……どちらにするか迷っている……」

利根川「!!」

会長「そこでだ……普通に決めては面白くないから……」

会長「ワシとジャンケンして……」

会長「キサマが勝てばその役職に座らしてやろう……」

利根川「……」

会長「黒崎はジャンケンに負けたから後はキサマだけだ…運が良いのぅ利根川……」

利根川(こ…これは…)

利根川(今後回ってくるか分からない絶好のチャンス…!)

利根川(逃げれば恥だ…!)

『利根川に回ってきた千載一遇のチャンス…!』

『利根川は無意識に…』

『スイッチへと手を伸ばした…!!』

つづく…!

今夜はここまで…
明日で終わりです

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