【逆裁×シュタゲ】『逆転のタイムマシン』 (84)
8月 17日 午後4時 32分
未来ガジェット研究所
岡部「・・・・まゆり。ラボメンナンバー004は誰だ」
まゆり「004の人は居ないよ?」
岡部「・・・・ダル。7月28日のこと、覚えているか?」
ダル「7月28日?」
まゆり「まゆしぃは覚えてるよ、一緒にうーぱ買いに行ったんだよねー」
岡部「それが目的ではなかったが・・・・」
ダル「ああ! ドクター中鉢のタイムマシン発明成功記念会見の日か。それがどしたん?」
岡部「やはりここは俺が元居た世界線・・ ・・β世界線」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1495254524
岡部「俺は、その後どうなった? 殺人現場を目撃してただで済んだとは思えないんだが」
ダル「オカリン、まさか記憶飛んじゃったん? あの裁判のこと」
岡部「さ、裁判!?」
まゆり「無罪になってよかったね、まゆしぃずっと心配だったのです」
岡部「ちょ、ちょっと待て。俺が、裁判だと!? 詳しく教えろ!」
ダル「わ、わかったお。あれはたしか・・・・」
――――――
――――
――
7月 29日 午前9時 30分
留置所 面会室
ホウオウイン「まさかこの狂気のマッドサイエンティストが留置所で1泊させられるとは・・・・! これも機関の陰謀か・・・・!」
ホウオウイン「あのスネオヘアーのクソコップめ・・・・! いずれ神罰が下るであろう・・・・ククク」
ナルホド(矢張、真宵ちゃんに続いて3人目の依頼人だけど、変な人だな・・・・)
??「ごめんね、成歩堂。無理を聞いてもらっちゃって」
ナルホド「いえ、"千尋さんの先輩"の頼みでしたら断われませんよ。"牧瀬さん"」
マキセ「正直なのね。今日はよろしく」
ホウオウイン「まき・・・・せ・・・・? 貴様、まさか被害者の牧瀬紅莉栖と何か関係が!?」
マキセ「ええ。成歩堂に無理を言ったのもそのためよ」
マキセ「私は今回の事件の被害者の・・・・実の母親なの」
Rボタンで法廷記録を確認
弁護士バッジ
これがないと、
誰もぼくを弁護士と
みとめてくれない。
綾里 千尋(享年27)
綾里法律事務所の元所長。
牧瀬弁護士の後輩だったが、
事件に巻き込まれ殺害された。
牧瀬 弁護士(??)
マンハッタンの敏腕弁護士。
今回は彼女たっての希望で、
成歩堂法律事務所が弁護人となった。
牧瀬 紅莉栖(18)
事件の被害者。
アメリカの大学の天才脳科学者。
日本の女子高に短期留学していた。
岡部 倫太郎(18)
この事件の被告人。
東京電機大学1年生で、
常に白衣を着ている。
マヨイ「なるほどくん、成歩堂法律事務所初のお仕事が入ってよかったね!」
ナルホド「このままだったら一か月は仕事入らなそうだったからね・・・・」
ホウオウイン「そんな私的な理由でこの俺、"鳳凰院凶真"を巻き込んだというのか」
ナルホド(あれ? 法廷記録には《岡部 倫太郎》って書いてあるけど・・・・)
マキセ「大丈夫。千尋の後輩、成歩堂ならあなたの無罪を証明できるわ」
ホウオウイン「フンッ。俺はまだ、貴様の能力<チカラ>を認めたわけではないからな」
ナルホド(ぼくも不安だけど・・・・依頼人の前で不安を出したらだめだよね)
マキセ「私もついててあげるから安心して。真宵は傍聴席から応援しててね」
マヨイ「はーい! それじゃなるほどくん、現場百遍だよ!」
⇒[ラジオ会館]
ラジオ会館8階 従業員通路
ナルホド「この倉庫が現場か。最上階だけあって、もうヘトヘトだよ」
マヨイ「体力無いなぁ、なるほどくんは」
??「コラ! ここは立ち入り禁止ッス!」
マヨイ「あっ! イトノコ刑事!」
イトノコ「イトノコじゃないッス! 糸鋸 圭介ッス!」
イトノコ「って、変な名前の弁護士じゃないッスか。用があるなら早くするッス」
ナルホド(変な名前はお互い様だろ・・・・)
[調べる] 移動する
話す つきつける
ナルホド「ここの通路は一本道だけど、下への階段は二重構造になってるんだね」
マヨイ「じゃあ、のぼってくる人に隠れて階段を降りるってこともできるね」
ナルホド「倉庫の中には、商品の在庫や運搬具、工具なんかがある、か」
マヨイ「このダンボール、全部カードゲームのカードだよ! すごーい!」
ナルホド「通路の奥には屋上へ通じる階段があるみたいだ」
マヨイ「屋上行ってみようよ!」
調べる [移動する]
話す つきつける
ラジオ会館 屋上
ガチャ
ナルホド「あ、あれ? 鍵がかかってない。ドアノブが壊れてる?」
マヨイ「なにかの痕がついてるね」
ナルホド(これは、銃痕? いや、そんなわけないか)
ナルホド「屋上は金網で囲まれてる。ここから別の場所に移動できそうにないな」
マヨイ「あっ。誰かいるよ」
ナルホド「あなたは?」
萌郁「・・・・」
調べる 移動する
[話す] つきつける
萌郁「記者・・・・アーク・リライトっていう、出版社。都市伝説、追いかけてる・・・・」
ナルホド(随分ボソボソとしゃべる女性だな)
ナルホド「こんなところで一体なにを?」
萌郁「タレコミが・・・・あった・・・・」
マヨイ「タレコミって? なんかおいしそう!」
萌郁「昨日・・・・この場所から・・・・強い光を、見たって・・・・」
ナルホド「強い光?」
萌郁「でも、何もない・・・・幽霊だったのかも・・・・」
マヨイ「うーん、幽霊じゃないみたいだけど」
調べる 移動する
話す [つきつける]
弁護士バッジ
これがないと、
誰もぼくを弁護士と
みとめてくれない。
[弁護士バッジ]⇒つきつける
萌郁「弁護士さんが、ここに・・・・何の用・・・・?」
ナルホド「昨日、この下の階で殺人事件があったんですが、何か知りませんか?」
萌郁「・・・・・・・・・・・・・」フルフル
ナルホド(徹底してしゃべらないのか・・・・)
萌郁「・・・・ここの、写真。ケータイで撮った・・・・」
萌郁「これ・・・・あげるから、私がここに居たこと・・・・内緒にして・・・・」
マヨイ「いいですよ! ありがとうございます!」
ナルホド「そんな勝手に。でも、秘密は守ります」
ナルホド「うちの事務所のパソコンに転送してくれませんか?」
萌郁「わかった・・・・」
ラジ館屋上の写真
屋上からはどこへも移動できない。
扉のドアノブは外側から破壊されて
いた。
証拠品《ラジ館屋上の写真》を法廷記録にファイルした。
マヨイ「・・・・」
ナルホド「さあ、そろそろ行こうか。マヨイちゃん?」
マヨイ「・・・・・・・・・・・・」コクッ
ナルホド「・・・・・・・・・・・・」
7月 30日 午前10時
地方裁判所 第3法廷
サイバンカン「これより、岡部 倫太郎の法廷を開廷します」
ホウオウイン「待った!!」
サイバンカン「はひっ!?」
ホウオウイン「俺の名は、岡部倫太郎などという名前ではないッ!」
ホウオウイン「フェニックスの鳳凰に院、凶悪なる真実で、鳳凰院凶真だ!」
サイバンカン「・・・・院は、どういう意味なのですかな」
ホウオウイン「院についての説明は長いので省かせてもらう」
ナルホド(な、なにやってるんだー!?)
ミツルギ「被告人、勝手にしゃべらないでいただきたい」
ミツルギ「検察側、準備完了しております」
ナルホド「弁護側、準備完了しております」
サイバンカン「御剣検事。冒頭弁論をおねがいします」
ミツルギ「被告人・岡部 倫太郎は、7月28日、午後0時39分」
ホウオウイン「スターップ!!」
ミツルギ「!?」
ホウオウイン「何度も言わせるな! 俺の名前は・・・・」
ホウオウイン「鳳凰院、凶真だッ!」
サイバンカン「・・・・御剣検事。被告人の名前を覚えられないとは、情けないですな」
ミツルギ「さ、裁判長! この男の名前は確かに岡部倫太郎だ!」
ナルホド(ミツルギのやつ、人の名前を確かめるのが苦手らしいな)
マキセ「岡部、ちょっといいかしら」
ホウオウイン「牧瀬弁護士! 俺の名前は岡部ではないと・・・・」
マキセ「それ以上言うなら、岡部の脳みそを娘の大学に検体として提供するわよ?」ニコ
オカベ「・・・・岡部倫太郎です」
ミツルギ「被告人・岡部 倫太郎は、7月28日、午後0時39分」
ミツルギ「ラジオ会館8階・従業員通路奥の倉庫で、脳科学者・牧瀬 紅莉栖を殺害した」
ミツルギ「数々の証拠、証言が被告人は犯人であることを示している」
ミツルギ「本法廷で、検察側はその点を完全に立証するだろう」
サイバンカン「ふむぅ。・・・・なるほど」
サイバンカン「それでは、審議に入りたいと思います」
サイバンカン「御剣検事、最初の証人を入廷させてください」
ミツルギ「では、イトノコギリ刑事を」
イトノコ「よろしくお願いしますッス!」
ミツルギ「まず、この事件について説明してほしい」
イトノコ「はッ。では、説明させていただくッス!」
イトノコ「7月28日、秋葉原のラジオ会館8階で事件は起きたッス」
イトノコ「当日、正午からドクター 中鉢による『タイムマシン発明成功記念会見』が行われていたッス」
ナルホド「タイムマシン!?」
オカベ「クックック・・・・しかしそれはパクリに過ぎなかったのだ」
サイバンカン「静粛にお願いできますかな」
ナルホド「す、すいません。あまりにも突飛だったもので」
イトノコ「まったく、仕方ない人ッスねえ」
ナルホド(タイムマシンの発明? 一体現場で何が起こっていたんだ・・・・)
イトノコ「被害者の牧瀬 紅莉栖、被告人の岡部 倫太郎両名はその会見を見に来ていたッス」
イトノコ「事件現場は同階の従業員通路の途中にある倉庫だったッス」
イトノコ「牧瀬 紅莉栖は午後0時 39分、何者かに刺されたッス」
イトノコ「その後、救急車で運ばれて死亡が確認されたッス」
イトノコ「凶器は、腹部左側に突き刺さった《折りたたみナイフ》ッス」
イトノコ「御剣検事も言ってたッスが、数々の証拠が岡部 倫太郎が犯人だと物語っているッス」
サイバンカン「凶器は《ナイフ》ですか」
折りたたみナイフ
刃を柄にしまえるナイフ。
牧瀬 紅莉栖の血が付着しており、
床に転がっていた。
証拠品《折りたたみナイフ》を法廷記録にファイルした。
ミツルギ「当然、凶器に付着していた指紋について調査した記録が上がっている」
ナイフの指紋調査記録
ナイフには二種類の指紋が
べったりとついていた。
片方は岡部 倫太郎の指紋と一致。
証拠品《折りたたみナイフ》を法廷記録にファイルした。
ナルホド(二種類・・・・?)
ミツルギ「現場にはタイムマシン会見参加者以外が存在しなかった証拠も提出させてもらおう」
ラジオ会館側の報告
8階通路には従業員は居なかった。
また、7階以上へ向かう人間は
会見参加者の他に居なかった。
屋上への扉には鍵がかかっていた。
証拠品《折りたたみナイフ》を法廷記録にファイルした。
ミツルギ「さらに証人まで居る。さっそくその証人に入廷していただこう」
ナルホド(・・・・!)
ミツルギ「タイムマシン会見の司会者であり、犯行現場の目撃者の一人だ」
シカイシャ「ど、どうも・・・・」モジモジ
ミツルギ「では、証言を始めていただく」
サイバンカン「証人は、事件当日。タイムマシン会見の司会をしていたのですね?」
シカイシャ「は、はい。発明家の、ドクター 中鉢さんに無理やり頼まれて・・・・」
サイバンカン「無理やり? 無理やりは良くないですなぁ」
ミツルギ「裁判長。そこは本事件とは関係ない」
ミツルギ「あなたには岡部 倫太郎が犯人であることを証言していただきたい」
シカイシャ「は、はい! 私がその、犯行現場へ駆けつけた時、この、白衣の男が居たんです!」
オカベ「フゥーン!」
サイバンカン「白衣の男?」
ミツルギ「どう考えても岡部 倫太郎のことだろう」
ナルホド(な、なんだって・・・・!?)
証言開始
~事件当日について~
・「私、ドクター 中鉢さんに頼まれて、タイムマシン会見の司会を務めさせていただきました」
・「会見は12時ちょうどに始まったんですが、途中で白衣の男が会見を遮りまして・・・・」
・「その、牧瀬 紅莉栖さんが白衣の男を会見からつまみ出したんです」
・「会見終了後、私は早々に控え室で帰り支度をしていたのですが、その時男の叫び声が聞こえてきまして・・・・」
・「気になりまして、声のした従業員通路の奥へと向かったんです。会見場に居た誰よりも先に」
・「倉庫の前に真っ白な白衣を着た男が立っていて、中を覗いたら牧瀬 紅莉栖さんが血の海に倒れていて・・・・!」
・「私、悲鳴を上げてしまいました。そしたら白衣の男がギクリとしたように振り返って・・・・」
・「私は『警察を呼べ!』と叫びました。するとその男は現場を見に来た人たちに紛れて逃げ出したのです」
サイバンカン「ふむぅ。その白衣の男という人物、非常にあやしいですな。一体誰なのか・・・・」
ナルホド(裁判長の記憶力もソウトウあやしいけどな)
サイバンカン「では。さっそく《尋問》をしてもらいましょうか」
ナルホド(こ、これはかなりマズイぞ・・・・)
マキセ「落ち着いて、成歩堂。被告人が無実なら、必ず証拠品と証言の間にはムジュンがあるはずよ」
※すべての証言にゆさぶりをかけます
尋問開始
~事件当日について~
・「私、ドクター 中鉢さんに頼まれて、タイムマシン会見の司会を務めさせていただきました」
待った!!
ナルホド「無理やり、とおっしゃっていましたが、嫌ならなぜ引き受けたのですか?」
異議あり!!
ミツルギ「それは本事件と関係ないと述べたはずだ!」
シカイシャ「は、はい。私はただ、ギャラに合わない仕事だということと、会見のうさん臭さが嫌だっただけで、深い意味はありません」
ミツルギ「ドクター 中鉢は多くのバラエティ番組に出演する有名人だが、それはうさん臭い発明家として有名なのだ」
ミツルギ「そんな男がタイムマシンを発明したという会見。仕事として関わりたくはあるまい」
ナルホド(そ、そうだったのか・・・・)
・「会見は12時ちょうどに始まったんですが、途中で白衣の男が会見を遮りまして・・・・」
待った!!
ナルホド「会見を遮った・・・・?」
シカイシャ「は、はい。白衣の男がドクター 中鉢さんにタイムマシン理論について食って掛かって・・・・」
ナルホド「具体的にはどのように?」
シカイシャ「たしか、ドクター 中鉢さんの話が、ジョン・タイターのパクリだとかなんとか・・・・」
ナルホド「ジョン・タイター?」
ミツルギ「2000年にアメリカの大手掲示板に出現した、未来人を自称するハンドルネームのことだ」
ナルホド「み、未来人!?」
マキセ「本も出版されてるし、アメリカには未だに根強いファンもいるわよ」
サイバンカン「ど、どういうことですかな?」
ミツルギ「この話は本件とは無関係、ということだ」
ナルホド(タイムマシンに未来人・・・・ホントに無関係なのか?)
・「その、牧瀬 紅莉栖さんが白衣の男を会見からつまみ出したんです」
待った!
ナルホド「どうして牧瀬 紅莉栖さんだと特定できたんです?」
シカイシャ「そ、それは、その時はわかりませんでしたが、後から被害者の写真を見せてもらったので・・・・」
ミツルギ「ともかく、被害者は会見で騒ぎ出した被告人を会場の外へ連れ出した、ということだ」
サイバンカン「その恨みを買ってぐさっと、なんてことでしたら、随分堪忍袋が小さいですな」
オカベ「なんだとォ!? この俺がそんなことでキレる矮小な人間に見えるとでも言うのか、このハゲサイバンチョが!」
サイバンカン「は、はげぇ~っ!?」
ナルホド(う・・・・ますます自信がなくなってきたぞ)
・「会見終了後、私は早々に控え室で帰り支度をしていたのですが、その時男の叫び声が聞こえてきまして・・・・」
待った!!
ナルホド「男の叫び声?」
シカイシャ「は、はい。とんでもないことをしてしまったというような絶叫でした」
ミツルギ「この声については、会見場に居た他の人物からも証言を得ている」
ミツルギ「大方、犯人が被害者を刺した時に大声をあげたのだろう」
オカベ「お、俺ではない! 俺だってその叫び声を聞いてから現場へ走ったのだ!」
オカベ「でなければ、俺が従業員通路の奥の倉庫になど行くわけがあるまい!」
サイバンカン「被告人は静粛に!」
ナルホド(岡部さんの言う通りなら、誰の叫び声だったんだ・・・・?)
・「気になりまして、声のした従業員通路の奥へと向かったんです。会見場に居た誰よりも先に」
待った!!
ナルホド「あなたお一人でですか?」
シカイシャ「は、はい」
ナルホド「ドクター 中鉢さんはその時どこに?」
シカイシャ「さ、さあ。気づいた時には居なくなっていました」
ミツルギ「ラジオ会館にはその時、従業員は8階に居なかった。そして証人は会見場の誰よりも先に移動した」
ミツルギ「ということは、その声の主は会見場からつまみ出されていた者しか考えられない」
ナルホド(ホントにそうなのか・・・・?)
・「倉庫の前に真っ白な白衣を着た男が立っていて、中を覗いたら牧瀬 紅莉栖さんが血の海に倒れていて・・・・!」
待った!!
ナルホド「牧瀬 紅莉栖さんが血の海に倒れていた。間違いありませんね?」
シカイシャ「は、はい。この目でしかと見ました!」
ナルホド「そして白衣の男が立っていた。これも間違いないですよね?」
シカイシャ「は、はい。上から下まで真っ白な男が立っていました」
ミツルギ「・・・・・・・・」
マキセ「明らかにあの証拠品とムジュンしてるわね」
ナルホド(そ、そうなのか・・・・!?)
・「私、悲鳴を上げてしまいました。そしたら白衣の男がギクリとしたように振り返って・・・・」
待った!!
ナルホド「その時、岡部さんはどのような様子でしたか?」
シカイシャ「は、はい。なんだかパニックに陥っているような感じで・・・・」
ミツルギ「証人が悲鳴を上げるまで、証人の存在にさえ気が付かないほど混乱していたのだろう」
ナルホド「だけど、人が血の海に倒れているところを目撃すれば誰だってパニックに陥る」
オカベ「フン、この狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真がその程度のことでパニックなんぞに陥るわけが―――」
ミツルギ「そうだな。確かにそれは一理ある」
オカベ「ずこっ」
ミツルギ「だが、自分が行った殺害の現場を目撃された人間もパニックに陥る」
ナルホド(ここは掘り下げても仕方ないか・・・・)
・「私は『警察を呼べ!』と叫びました。するとその男は現場を見に来た人たちに紛れて逃げ出したのです」
待った!!
ナルホド「逃げ出した・・・・?」
シカイシャ「は、はい。わき目もふらずに逃げていきました」
ナルホド「それなら、結局警察を呼んだのは?」
シカイシャ「私がケータイで警察と救急車を呼びました」
ミツルギ「つまり、被告人は警察も救急車も呼ばずその場から逃走したのだ」
ナルホド(ぐぬぬ・・・・)
・「倉庫の前に真っ白な白衣を着た男が立っていて、中を覗いたら牧瀬 紅莉栖さんが血の海に倒れていて・・・・!」
Rボタンで法廷記録を確認
ゆさぶる [つきつける]
弁護士バッジ
これがないと、
誰もぼくを弁護士と
みとめてくれない。
綾里 千尋(享年27)
綾里法律事務所の元所長。
牧瀬弁護士の後輩だったが、
事件に巻き込まれ殺害された。
牧瀬 弁護士(??)
マンハッタンの敏腕弁護士。
今回は彼女たっての希望で、
成歩堂法律事務所が弁護人となった。
牧瀬 紅莉栖(18)
事件の被害者。
米大学の天才脳科学者。
日本の女子高に短期留学していた。
岡部 倫太郎(18)
この事件の被告人。
東京電機大学1年生で、
常に白衣を着ている。
ラジ館屋上の写真
屋上からはどこへも移動できない。
扉のドアノブは外側から破壊されて
いた。
折りたたみナイフ
刃を柄にしまえるナイフ。
牧瀬 紅莉栖の血が付着しており、
床に転がっていた。
ナイフの指紋調査記録
ナイフには二種類の指紋が
べったりとついていた。
片方は岡部 倫太郎の指紋と一致。
ラジオ会館側の報告
8階通路には従業員は居なかった。
また、7階以上へ向かう人間は
会見参加者の他に居なかった。
屋上への扉には鍵がかかっていた。
[折りたたみナイフ]⇒つきつける
異議あり!!
ナルホド「その白衣の男、本当に"真っ白な白衣"だったのですね?」
シカイシャ「は、はい。それはもう、血の海の赤と対照的な白でした。間違いありません」
ナルホド「それはおかしいですね。どうして白衣は白かったのでしょう」
サイバンカン「成歩堂くん。白衣が白いのは当然でしょう」
ナルホド「いえ、凶器となったナイフがそれを否定しているのですよ」
サイバンカン「・・・・んん? どういうことですかな」
ナルホド「凶器のナイフには被害者の血が付着しています。そして現場は血の海だった・・・・」
ナルホド「この折りたたみナイフで人を刺したのならば、返り血を浴びないわけがない!」
シカイシャ「!!!!!」
ナルホド「岡部さんが犯人だというなら、白衣が白いのはムジュンしている!」
サイバンカン「・・・・どうですかな、御剣検事」
ミツルギ「たしかに、弁護人の言う通りだ」
ミツルギ「だが、正直に言ってそんなものはどうにでもなる」
ナルホド(な、なんだって!)
ミツルギ「例えば、予め二着の白衣を用意し、犯行の後で着替えれば、返り血は手にしかつかない」
ミツルギ「手についた血は、返り血を浴びた一着目で拭き取るか、白衣の袖の下に隠してしまえば証人に目撃されることはない」
ナルホド(た、たしかに・・・・)
ミツルギ「被告人は警察に拘束される前に一度帰宅している。今着ている白衣は別モノだろう」
サイバンカン「やはり、この犯行が可能な人間は被告人以外に居ないのですかな?」
ナルホド「いや、もう一度この証拠品をよく見てください!」
ナルホド「この折りたたみナイフには二種類の指紋がついています」
ナルホド「ひとつは確かに岡部さんのものですが、もうひとつは別の誰かのものだ」
サイバンカン「ふむぅ。これはどういうことですか?」
ナルホド「岡部さん以外にも犯行が可能な人間が居た、ということです!」
異議あり!!
ミツルギ「チッ チッ チッ。弁護人はそれを示す証拠品を持っているのか?」
ナルホド「そ、それは・・・・(汗」
ミツルギ「イトノコギリ刑事。当然この指紋についての鑑定結果は出ているのだろうな」
イトノコ「もちろんッス! その指紋と同じ指紋が会見場の壇上付近から多く検出されたッス!」
ナルホド(なんだって! 隠してたな、ミツルギのやつ・・・・)
イトノコ「その他に諸々の状況から考えて、もうひとつの指紋は間違いなくドクター 中鉢のモノッス!」
ザワ ザワ
カンッ! カンッ! カンッ!
サイバンカン「・・・・刑事にひとつ言いたいことがあります」
イトノコ「は? 何のことッスか?」
サイバンカン「なんでそれを先に言わなかったんですか!」
イトノコ「・・・・お恥ずかしい限りッス」
ナイフの指紋調査記録
ナイフには岡部 倫太郎の指紋と
ドクター 中鉢のモノがべったりと
ついていた。
証拠品《ナイフの指紋調査記録》のデータを書き直した。
ナルホド(だけど、それってどういうことなんだ? どうして凶器にドクター 中鉢の指紋が?)
マキセ「・・・・」
ミツルギ「弁護人はこのナイフについたもう一人の指紋の主こそ犯人だと主張したいようだが、その可能性はすぐに無くなる」
ナルホド「な、なに?」
ミツルギ「そのことは、次の証人が証言してくれることだろう。ドクター 中鉢をここへ!」
マキセ「・・・・!」
ナカバチ「・・・・」
マキセ「あなた、どうしてここに・・・・」
ナカバチ「フン、それはこっちの台詞だ」
ナルホド(二人は知り合いなのか・・・・?)
ミツルギ「証人の名前を」
ナカバチ「私こそは、人類史にその名を刻む世紀の科学者、ドクター 中鉢であるッ!」
ナルホド(またアクの強そうな人だな)
ミツルギ「このナイフにはあなたの指紋がついているとのことだが、それについて何か言いたいことはあるか」
ナカバチ「フンッ。若造のくせに、この私に偉そうな口をきくんじゃない」
ミツルギ「・・・・」グググ
ナカバチ「そのナイフに私の指紋がついているのは当然だろう。なぜなら、そのナイフは私のナイフだからだ!」
ナルホド「!」
サイバンカン「そ、それは、どういうことですかな!? 《証言》を頼みますぞ!」
証言開始
~ナイフについた指紋について~
・「そのナイフは私のモノだ。世紀の大発明の発表を前に自衛の手段は必要だと思って持ってきた」
・「事実、会見直前にヤツラの局所地震攻撃を受けたりした!」
・「そのような困難を乗り越え、会見は無事成功するはずだった。あの白衣の男と紅莉栖に邪魔されるまではな!」
・「紅莉栖は私を従業員通路に呼び出した。タイムマシンについて話したいことがある、とのことだった」
・「そこで私はあの白衣の男に襲われたのだ! その時、運悪くナイフを奪われてしまった!」
異議あり!!
オカベ「そんなデタラメをよく思いつくものだな! 確かに会見を邪魔したことは認めよう。だが、貴様を襲った覚えなどないわ!」
サイバンカン「被告人は静粛に!」
ナカバチ「しらばっくれるつもりか! どこまでも私を馬鹿にしおって・・・・!」プルプル
カッ! カッ! カッ!
サイバンカン「どうやら、証言に問題点があったようですな。弁護人はそれを整理して、この場をおさめてください」
ナルホド(丸投げされた!?)
尋問開始
~ナイフについた指紋について~
・「そのナイフは私のモノだ。世紀の大発明の発表を前に自衛の手段は必要だと思って持ってきた」
待った!!
ナルホド「世紀の大発明?」
ナカバチ「タイムマシンだ! 人類の永遠の夢でありロマン! それが現実のものとなったのだ!」
サイバンカン「な、な、な、なんですと!? それは、大変なことではありませんか!」
マキセ「あなた、まだそんなくだらないことを・・・・」
ナカバチ「本当はこんなところで時間をロウヒしている場合ではないのだ! すぐにマシンを開発しなければ!」
ナルホド(・・・・どこまで本気なんだ?)
・「事実、会見直前にヤツラの局所地震攻撃を受けたりした!」
待った!!
ナルホド「ヤツラ、とは?」
ナカバチ「タイムマシンの成果をかすめ取ろうとする憎きヤツラだ!」
ナカバチ「アメリカの大学、ロシア政府、あるいは欧州の研究機関など、私を狙っている組織はごまんといる!」
ナルホド(本当に大丈夫かこの人? ちょっと心配になってきたぞ・・・・)
ナルホド「それと、地震攻撃?」
ミツルギ「攻撃かどうかはともかく、事件当日の午前11時50分頃、ラジオ会館が強い揺れに襲われたことは事実だ」
ナカバチ「私は会見の準備に追われていたからな、司会者に確認させに行かせた」
シカイシャ「は、はい。私のほかにも何人かが揺れの強かった屋上へ行きました。そこの白衣の方を先頭に」
オカベ「ククク、敵の攻撃を前にして臆している場合ではなかったからな」
ミツルギ「それが自然現象か人為的なものか、地震か地盤沈下なのかなどは目下調査中とのことだ」
サイバンカン「ふむぅ・・・・陰謀の匂いがぷんぷんしますな」
ラジオ会館側の報告2
午前11時50分頃、ラジオ会館は
強い揺れに襲われた。
同時に屋上へ数人が確認に行った。
証拠品《ラジオ会館側の報告2》を法廷記録にファイルした。
・「そのような困難を乗り越え、会見は無事成功するはずだった。あの白衣の男と紅莉栖に邪魔されるまではな!」
待った!!
ナルホド「邪魔?」
ミツルギ「前の証人が言っていただろう。被告人がドクター 中鉢の会見を遮った、と」
ナルホド「被害者である牧瀬 紅莉栖さんも邪魔をした、というのは?」
ナカバチ「後でわかったが、ヤツラは裏で組んでいたのだ! 私をハメるためだけにな!」
ナルホド(また陰謀論か・・・・)
・「紅莉栖は私を従業員通路に呼び出した。タイムマシンについて話したいことがある、とのことだった」
待った!!
ナルホド「牧瀬さんがあなたを現場近くに呼び出したんですか!?」
ナカバチ「そうだ! 私の会見の感想でも言うのかと思ったが、アイツは、よりにもよって新理論を提案してきたッ!」
ナルホド「その新理論、見せてもらっても?」
ナカバチ「・・・・見たところで凡人には理解できまい」
ナルホド「必ず返しますので、お願いします」
タイムマシン新理論
牧瀬 紅莉栖が書いたもの。
殺害の直前にドクター 中鉢に
手渡された。
証拠品《タイムマシン新理論》を法廷記録にファイルした。
ナカバチ「・・・・まあいい。ともかく、この理論でタイムマシンが完成するのだからな!」
・「そこで私はあの白衣の男に襲われたのだ! その時、運悪くナイフを奪われてしまった!」
待った!!
ナルホド「具体的にはどういう風に?」
ナカバチ「私と紅莉栖が話しているところにその男がやってきて、私からナイフを奪ったのだ」
ナカバチ「そしてそのまま紅莉栖を一突き・・・・あまりのことに私は現場から逃げ出した」
ナルホド(確かに話の筋は通っている・・・・けど)
オカベ「嘘八百を並べるとは・・・・!」
ナルホド(ぼくは岡部さんの弁護人。被告人を信じ抜かないと!)
・「そこで私はあの白衣の男に襲われたのだ! その時、運悪くナイフを奪われてしまった!」
Rボタンで法廷記録を確認
ゆさぶる [つきつける]
弁護士バッジ
これがないと、
誰もぼくを弁護士と
みとめてくれない。
綾里 千尋(享年27)
綾里法律事務所の元所長。
牧瀬弁護士の後輩だったが、
事件に巻き込まれ殺害された。
牧瀬 弁護士(??)
マンハッタンの敏腕弁護士。
今回は彼女たっての希望で、
成歩堂法律事務所が弁護人となった。
牧瀬 紅莉栖(18)
事件の被害者。
米大学の天才脳科学者。
日本の女子高に短期留学していた。
岡部 倫太郎(18)
この事件の被告人。
東京電機大学1年生で、
常に白衣を着ている。
ラジ館屋上の写真
屋上からはどこへも移動できない。
扉のドアノブは外側から破壊されて
いた。
折りたたみナイフ
刃を柄にしまえるナイフ。
牧瀬 紅莉栖の血が付着しており、
床に転がっていた。
ナイフの指紋調査記録
ナイフには岡部 倫太郎の指紋と
ドクター 中鉢のモノがべったりと
ついていた。
ラジオ会館側の報告
8階通路には従業員は居なかった。
また、当日7階以上へ向かう人間は
会見参加者の他に居なかった。
屋上への扉には鍵がかかっていた。
ラジオ会館側の報告2
午前11時50分頃、ラジオ会館は
強い揺れに襲われた。
同時に屋上へ数人が確認に行った。
タイムマシン新理論
牧瀬 紅莉栖が書いたもの。
殺害の直前にドクター 中鉢に
手渡された。
[折りたたみナイフ]⇒つきつける
異議あり!!
サイバンカン「なんですかな。成歩堂くん」
ナルホド「証人はナイフを奪われたと言った」
ナルホド「ですが、それなら何故被告人は証人がナイフを携帯していることを知っていたのですか?」
ナカバチ「!!」
ナルホド「このナイフは折りたたみ式。刃をしまって携帯していたのなら、一目で刃のついたナイフだと認識するのは不可能です!」
サイバンカン「たしかに!!」
ミツルギ「・・・・クックック。確かにその通り。被告人は証人がナイフを持っていることを事前に知ることはできない」
ナルホド「な、なに・・・・?」
ミツルギ「だが、証人自らナイフを持っていることを知らせていたなら、どうだろうか」
ナカバチ「・・・・ふん」
ナルホド(ミツルギのやつ、ぼくがここを指摘するってわかってたんだな!?)
サイバンカン「証人は、被告人がナイフを手に出来た理由を証言するように!」
証言開始
~ナイフを奪われた理由~
・「ああ、そうだ。私はこの手でナイフを取り出した。自らの身を守るために」
・「私と紅莉栖はタイムマシン理論のことで口論になった。悪いのは紅莉栖だ、私ではない!」
・「そこに白衣の男が現れ、紅莉栖とグルになって私を襲った!」
・「私は身を守るためにナイフを取り出したが、白衣の男に突き飛ばされナイフを落としてしまった」
・「落ちたナイフを拾った白衣の男は、紅莉栖目がけてナイフを突き刺したのだ!」
ザワ ザワ
カッ! カッ! カッ!
サイバンカン「なんと・・・・」
ナルホド「そんな・・・・」
ミツルギ「これでハッキリしただろう。確かに証人と被害者は口論になった」
ミツルギ「だが、それを踏まえても岡部 倫太郎が凶器を手にした事実は揺らがない」
サイバンカン「弁護人、《尋問》をお願いします」
ナルホド(肉を切らせて骨を断つ、って感じだな・・・・どうする!?)
尋問開始
~ナイフを奪われた理由~
・「ああ、そうだ。私はこの手でナイフを取り出した。自らの身を守るために」
待った!!
ナルホド「そもそもナイフを持ち歩いている時点で銃刀法違反では?」
ミツルギ「その件は本法廷とは関係ない」
サイバンカン「検事の言うことはモットモです」
ナルホド(やっぱりダメか・・・・)
・「私と紅莉栖はタイムマシン理論のことで口論になった。悪いのは紅莉栖だ、私ではない!」
待った!!
ナルホド「口論?」
ナカバチ「紅莉栖が私のタイムマシン理論を論破してきたのだ!」
ナルホド「完璧なタイムマシン理論が出来たから記者会見をしたのでは?」
ナカバチ「ええい、黙れ黙れ! このドクター中鉢に弁護士風情が意見するなど、絶対に許さーんッ!!」バンッ! バンッ!
サイバンカン「静粛に! 静粛に!」カンッ! カンッ!
ナルホド(この暴れっぷり・・・・)
ナルホド「その口論が原因で、ドクター 中鉢が牧瀬さんをナイフで刺した・・・・」
ナカバチ「なんだと!? 名誉棄損で訴えてやる!」
ミツルギ「その場合、何故証人のナイフに被告人の指紋がついていたのかを説明する証拠品が必要だが?」
ナルホド(う、たしかに・・・・)
・「そこに白衣の男が現れ、紅莉栖とグルになって私を襲った!」
待った!!
ナルホド「それは、口論を止めに入った、の間違いでは?」
ナカバチ「違う! ヤツラは会見を妨害し、その上理論を否定してきた! グルだったのだ!」
ナルホド(本当に牧瀬さんと岡部さんはグルだったのか・・・・?)
・「私は身を守るためにナイフを取り出したが、白衣の男に突き飛ばされナイフを落としてしまった」
待った!!
バンッ!
ナルホド「つまり、岡部さんは事前にドクター 中鉢がナイフを持っていることを知らなかった!」
ナルホド「だったら、牧瀬さんを殺害する計画を立てられるはずがない!」
ミツルギ「チッ チッ チッ。そうではない」
ナルホド「なに?」
ミツルギ「元々被告人は被害者に対する殺意を持ち合わせており、そこに偶然、都合よくナイフが転がってきた可能性は否定できまい」
ミツルギ「あの部屋には他にもドライバーなどの工具が置いてあった。被害者を殺害するのに凶器を持ち込む必要がなかったのだよ」
ナルホド「くっ・・・・」
・「落ちたナイフを拾った白衣の男は、紅莉栖目がけてナイフを突き刺したのだ!」
待った!!
ナルホド「・・・・となると、岡部さんが中鉢さんを助けたことに?」
ナカバチ「そんなわけあるか! 本当は私を刺すつもりだったのを、手違いで紅莉栖に刺したのだ!」
ナルホド「っ! 今のは重要な証言です! 証言の変更を要求します!」
サイバンカン「弁護人の主張を認めます。証人は証言を改めるように」
ナカバチ「ふんっ」
・「落ちたナイフを拾った白衣の男は、私にナイフを突き刺そうとして失敗し、紅莉栖に刺したのだ!」
待った!!
ナルホド「・・・・つまり、岡部さんの本当の狙いは」
ナカバチ「天才発明家、ドクター 中鉢の殺害、だったのだろうなぁ」ドヤァ
オカベ「黙れ! このパクリ発明家が!」
ミツルギ「先に言っておくが、たとえ本人に殺意が無くとも牧瀬 紅莉栖を殺害したのであれば、被告人は有罪だ」
ナルホド「そんな・・・・ことって・・・・」
サイバンカン「・・・・どうやら、審理はここまでのようですな。弁護人、何か言いたいことはありますか?」
ナルホド(これが真実なのか? 本当にこれが―――)
チヒロ『なるほどくん。何があっても依頼人を信じるの』
チヒロ『法廷で最後に必要になるのは・・・・そのチカラよ』
ナルホド(千尋さん・・・・僕は・・・・)
待った!!
マキセ「さっきから白衣の男白衣の男って言ってるけど、それって、本当に"今ここに座ってる岡部"のことなの?」
ナルホド「!!」
ナカバチ「わ、私が見間違えたとでも言いたいのか!?」
マキセ「成歩堂。今までの証言をじっくり考えてみて」
マキセ「証言のどこかに矛盾がある、って考えるだけじゃなく」
マキセ「もし矛盾が何もなかったらどうなるかって」
ナルホド「矛盾が何もなかったら・・・・?」
マキセ「発想を《逆転》させるのよ、成歩堂!」
ナルホド「発想を、《逆転》・・・・!」
ナルホド「でも、やっぱり証言の中に嘘があるようにしか・・・・」
マキセ「・・・・成歩堂。ここだけの話なんだけど」
ナルホド「は、はい?」
マキセ「ドクター 中鉢の本名は牧瀬 章一・・・・。私の夫であり、紅莉栖の実の父親よ」ヒソヒソ
ナルホド(な、なんだって!? じゃあ、口論ってのは親子喧嘩だったのか・・・・)
マキセ「だからわかるの。多分、章一はあれで嘘は吐いていない。あれでも真実を言っているつもり」
マキセ「もちろん私は岡部の弁護士。岡部の無実を主張するわ」
マキセ「まずひとつ。さっきの司会者の証言では、岡部の白衣は真っ白、返り血を浴びていなかった」
マキセ「ふたつ目。中鉢の証言では、岡部は"ドクター 中鉢にナイフを突き刺そうとして失敗し、紅莉栖に刺した"」
マキセ「本当にそうなら、返り血を浴びないなんて芸当、できると思う?」
ナルホド「!!」
マキセ「もちろんこれだとあの検事、さっきと同じように、白衣を二着持っていれば可能、とか言ってくるわ」
マキセ「でも、岡部は普段から二着目の白衣を持ち歩いているわけじゃない。犯人じゃないんだから、計画的に用意してたわけでもない」
ナルホド(そうだ。依頼人は犯人じゃない)
マキセ「もし司会者とドクター 中鉢の証言に矛盾がないとするなら、白衣が二着存在しないといけないのよ」
マキセ「なら、当然疑問が浮かぶ。なぜ白衣は二着あったのか。そして―――」
マキセ「どうして凶器に指紋が二種類"しか"ついてないのか」
ナルホド(確か証拠品の中にそれらしいものが・・・・いやでも、ホントに!?)
ナルホド「そう言えば、ドクター 中鉢さん。"男の叫び声"は聞きましたか?」
ナカバチ「なんだそれは? 知らんな」
ナルホド(ということは、"男の叫び声"はドクター 中鉢が現場から逃走した後に発せられた・・・・)
ナルホド(となると、その主は"白衣の男"。そして、その声をたよりに"岡部さん"は現場へかけつけた・・・・)
ナルホド(これって、つまり・・・・)
ナルホド「裁判長。ドクター 中鉢が言っている"白衣の男"が、"ここに居る岡部さん"ではない可能性があります」
サイバンカン「な、なんですと?」
ナカバチ「なんだと!? そんなはずはない!」
ミツルギ「ほう? つまり、別の第三者が白衣をまとって犯行を行った、そして指紋は何らかのトリックだ、と主張するのだな?」
ナルホド「そうです。被告人の主張と、先ほどの司会者の証言、そしてドクター 中鉢の証言にムジュンが無いなら、それしかない」
ミツルギ「だが、弁護人はそれを否定する証拠品を既に持っているはずだ。第三者が現場へのぼってきていない証拠を」
ラジオ会館側の報告
8階通路には従業員は居なかった。
また、7階以上へ向かう人間は
会見参加者の他に居なかった。
屋上への扉には鍵がかかっていた。
[ラジオ会館側の報告]⇒つきつける
ナルホド「確かに、"下の階から上の階へ"と向かう人間は居なかった」
ミツルギ「なに・・・・?」
ナルホド「ですが、もし"上の階から下の階へ"と向かう人間が居たら?」
サイバンカン「どういうことですかな?」
ナルホド「つまり、屋上から8階通路に行く人間についてまだ議論していない、ということです」
ミツルギ「だが、屋上へ通じる扉は施錠されていたとここにある」
ラジ館屋上の写真
屋上からはどこへも移動できない。
扉のドアノブは外側から破壊されて
いた。
[ラジ館屋上の写真]⇒つきつける
ナルホド「証拠品として、こちらの写真を提出します!」
サイバンカン「これは?」
ナルホド「屋上の扉のドアノブです。見る影もありませんが」
ミツルギ「つまり、屋上の扉は外側から何者かによって鍵が破壊されていた、と」
ナルホド「そうだ!」
ミツルギ「外側から破壊されていたということは、中に侵入するために破壊した、ということ」
ミツルギ「だが、屋上からはどこへもいけない。ということは、その何者かはそもそもどこから屋上へやってきたのだ?」
ナルホド「それは、こう、何かに乗って・・・・」
ミツルギ「屋上にその何かが飛来したという証拠でもあるのか?」
ラジオ会館側の報告2
午前11時50分頃、ラジオ会館は
強い揺れに襲われた。
同時に屋上へ数人が確認に行った。
[ラジオ会館側の報告2]⇒つきつける
くらえ!!
サイバンカン「これが、証拠なのですか?」
ナルホド「確かに直接的な証拠ではありません。ですが、揺れを感じた多くの人が屋上へ向かったのは事実!」
ミツルギ「ほう?」
ナルホド「司会者さん。屋上には何があったんですか?」
シカイシャ「え、えっと・・・・樽型の巨大な機械と、迷彩服の女性従業員が」
ザワ ザワ
カッ! カッ!
サイバンカン「なんと・・・・それでは、本当に第三者が居たというのですかな!?」
ミツルギ「どうしてそんな大事なことを言わなかった!」ダンッ!
シカイシャ「ひぃっ! いえ、どうせドクター 中鉢の仕込みだろうと思っていたので!」
ナルホド「そうなんですか?」
ナカバチ「し、知らん! それこそ、白衣の男の陰謀に違いない!」
オカベ「そんなわけあるか! 俺だって貴様の仕込みか何かだと思ったのだぞ!」
ミツルギ「だが、その第三者は白衣でも男でもない。本件とは明らかに無関係の人物だ」
ナルホド「果たしてそうでしょうか。それこそ、指紋のトリックに関わる重要な人物である可能性がある!」
ミツルギ「その証拠はあるのか!」
ナルホド「ない! だけど、可能性を否定する証拠もないはずだ!」
ミツルギ「ぐぬぬ・・・・」
サイバンカン「ふむぅ・・・・」
ミツルギ「・・・・いや、おかしい」
サイバンカン「なにがですかな?」
ミツルギ「こちらの資料では、従業員はその日、誰も8階より上に上がっていないことは間違いない」
ナルホド「ってことは、従業員じゃない?」
ミツルギ「その従業員が鍵を使い屋上に行ったとして、再度中に入るのに鍵を壊す意味がわからない」
ミツルギ「そもそも、従業員が迷彩服を着ている、というのもおかしな話だ。本当に従業員だったのか!?」ギロッ
シカイシャ「ひぃっ! いえ、あの、"下がってくださーい"とか、"会見は予定通り始まりまーす"とか言っていたので、てっきり関係者かと・・・・」
ミツルギ「・・・・通報を受けた警察は、無論屋上も確認したのだな?」ギロッ
イトノコ「は、はいッス! 午後1時頃、屋上には何もなかったッス!」
ナルホド「何も・・・・ない? 樽型の機械は?」
イトノコ「そんなもん、あったらすぐに報告してるッス!」
ナルホド「やっぱり・・・・ということは、もう間違いない!」
タイムマシン新理論
牧瀬 紅莉栖が書いたもの。
殺害の直前にドクター 中鉢に
手渡された。
[タイムマシン新理論]⇒つきつける
くらえ!!
ナルホド「樽型の機械はタイムマシン、迷彩服の女はその運転手!」
ナルホド「二着もある白衣と二種類しかない指紋・・・・」
ナルホド「つまり、真犯人は"未来からやってきた岡部さん"だったんですよ!」
ザワ ザワ
カンッ! カンッ!
サイバンカン「・・・・」
ミツルギ「・・・・」
マキセ「・・・・」
ナルホド「な、なーんちゃって・・・・あはは」
ナカバチ「何を言うか! まだタイムマシンは造っておらんわ!」
ナルホド「いや、えっと、未来で造られたものが過去へ来た、とか?」
ミツルギ「確かに、仮にそうなら例の"男の叫び声"についても説明ができる・・・・だが、しかし」グググ
サイバンカン「ですが、弁護人の主張では、結局被告人が犯人ということになってしまうのではないのですか?」
オカベ「な、なにっ!?」
ナルホド「違います! "今ここに居る被告人の岡部さん"ではなく、"未来の岡部さん"が犯人だと主張しているんです!」
ミツルギ「理にかなってはいる・・・・本法廷で裁いているのは、被告人席に座っている人物であって、それ以外の誰でもない」
サイバンカン「ですが、仮に"未来の岡部さん"が犯人だとして、それが意味しているのは、いずれ被告人が罪を犯すということでは?」
ナカバチ「それは違う! 世界は分岐するのだ、パラレルワールドと言えばわかりやすいか?」
サイバンカン「むむむ・・・・どうやら世界の本質を理解するためには、私たちが世界を受け入れなければならないようです」
サイバンカン「ともかく、検察側は重要参考人である迷彩服の女性を取り調べるように」
ミツルギ「つ、つまり、3日以内にタイムトラベラーの事情聴取をしてこい、というのか・・・・?」プルプル
ナルホド「それって、原理的に不可能なんじゃ・・・・」
マキセ「でも、それなら事実上無罪ってこと。良かったわね、成歩堂」
ナルホド(本当にこの事件はこれで終わりなんだろうか。いや―――)
ナルホド(むしろ、すべての始まりだったんじゃないか?)
サイバンカン「本日の審理はここまで。閉廷ッ!」
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――――
――――――
8月 17日 午後5時 05分
未来ガジェット研究所
ダル「―――ってな感じで宙ぶらりんになって、検察側が証人を用意できなくて推定無罪だお」
まゆり「じょしんほーてー? って言うんだよねー」
岡部「"未来の俺"が犯人・・・・だと・・・・!?」
岡部(そして、"樽型の機械"・・・・これはもう間違いない)
岡部(だが、どういうことだ!? それが意味しているのは・・・・)
デンワ「プルルルル・・ ・・ プルルルル・・ ・・」
岡部「!」
ダル「あ、僕のケータイだ。はい、もしもし・・・・父さん? 誰の? 君の?」
岡部「ま、まさか・・・・」プルプル
ダル「オカリン! 謎の女が代われってさ」
岡部「・・・・誰だ」
謎の女『お願い! 今すぐラジ館屋上に来て!』
岡部「おまえは・・・・!」プルプル
鈴羽『あたしは、2036年から来た橋田至の娘、阿万音鈴羽!』
鈴羽『お願い、あたしの言うことを信じて! 未来と、牧瀬紅莉栖を救うために!』
岡部「・・・・いや、あの日へ行ったところで紅莉栖を殺してしまうのは"今の俺"なのだろう」
鈴羽『っ!? どうしてそれを!?』
岡部「だが、その俺は俺であって俺でない」
岡部(《発想》を逆転させろ。あの弁護士のように)
岡部(おそらくこれはβ世界線の収束。しかし、俺は今まさにα世界線の収束を乗り越えてきたじゃないか!)
岡部「それなら・・・・紅莉栖を救える可能性は、ゼロではない!」
鈴羽『さすがオカリンおじさん! だったら話は早い』
鈴羽『一緒に目指そう。どの世界線にも干渉されない、奇跡の世界線、《シュタインズ・ゲート》を!』
⇒⇒⇒シュタインズゲート本編へ続く・・・・
以上です。読んでいただきありがとうございます
最後のオチが弱くてごめんなさい、どうしても無罪をかっこよく勝ち取るビジョンが見えませんでした
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