男「花山薫ちゃんの握手会に行くことになった」 (21)

男「俺さ、今度花山薫ちゃんの握手会に行くことになったんだ!」

友「へえ~、お前も相変わらずアイドルが好きだねぇ~」

友「……ところで、花山薫ちゃんって誰? 聞いたことないな」

男「知らないけど、名前からして可愛いアイドルだろ?」

男「きっと黒髪で、無口で、白い服が似合う清純な少女に違いないぜ!」

友「ま……いくら可愛くても握手会で事件起こすようなマネすんなよ」

男「分かってるよ!」

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握手会当日――

ワイワイ…… ガヤガヤ……



男(いっぱいファンが集まってるな……)

男(だけど、心なしかゴツイ奴や悪そうな奴ばかり集まってるような……?)

男(ま、今時のドルオタってのはこういう奴も多いんだろうな)

木崎「握手会に参加する野郎どもは、こっちに並べェッ!」



チンピラ「ッシャアッ! やってやるぜ!」

刺青「ブッ潰してやる!」

マッチョ「今日こそ花山の野郎をヒーヒーいわせてやらァ!」

男(オイオイオイ、ブッ潰すとかヒーヒーいわせるとか穏やかじゃないな)

男(これもオタ芸の一種ってやつなのか?)

木崎「握手会、開始(はじ)めいッッッ!」



男(お、いよいよ始まった!)

男(さっそく花山薫ちゃんを一目見てみよう……どれどれ……)チラッ

スキンヘッド「花山の大将、勝負ッス!」ガシッ

花山「……」ガシッ

ギュッ!!! バキボキベキゴキ…

スキンヘッド「あああ~~~~~~~~ッッッ!」

花山「……次」





男「!!??」

男(なにあれ!?)(顔怖ッ!)(薫ってツラじゃない)(デカすぎ)(バケモノ!?)

男(まさか……あのキズだらけの大男が花山薫!?)

男(どう考えても、裏社会で生きてらっしゃるってツラだ……)

男(ってことはこの握手会って……単なるファンの集いとかじゃなく――)

男(花山薫と握力勝負をする会だったのかッッッ!)

男(ヤバイ……ヤバイぞ。俺なんて握力50kgぐらいしかねェし……)

男(あんな怪物と握手なんかしたら、手が潰れてなくなっちまう!)

男(なんとか抜け出し……)

リーゼント「オウ兄ちゃん、列進んどるやんけ。とっとと前行けやッ!」

男「は、はいっ!」

男(とても“間違えて参加しちゃいました”なんて言い出せる雰囲気じゃねェッ!)

バキボキゴキ…

「ア~~~~~~~~~~~~ッ!!!」

メキゴキボキ…

「ウギャァァァァァッッッ!!!」

ゴキボキメキ…

「こ、これが花山薫……ッッッ!」





男(屈強な男たちが次々と手を砕かれて、瞬く間に列が消化されていく……ッ)

男(……って気づいたら、もう次俺じゃねェか!!!)

花山「……次」

男「は、は、はははひっ!」

花山「利き手出せ……」

男(間近で見ると迫力スッゲェ~~~~~ッ! 手ェデッケェ~~~~~ッ!)

男(もう……後には退けない!)

男(もう……玉砕(や)るしかないッッッ!!!)サッ

男(嗚呼……俺の右手――サヨナラ)

ニギ…

男「え……ッッ」

男(なんって優しい握手……ッ)

花山「俺の目も節穴じゃねェ……」

花山「オメェ……間違えてこの会に参加しちまったンだろう」

花山「木崎、コイツを丁重にお送りしてやんな」

木崎「へい!」

男「……ッ」

男「アリガトウございましたァァァッ!!!」

男(あの人からすりゃ、俺の右手を握り潰すなんて生卵握り潰すより易しかったろうに……)

男(なんて優しい握手だったんだ……)





男(花山薫……なんて巨大(おお)きな人なんだ……)

……

……

友「よう、相変わらずアイドルの追っかけ続けてるのか?」

男「いや……もうアイドルの追っかけはやめたんだ」

友「へぇ~、そりゃまたどうして?」

男「だって……」

男(もっと追っかけ甲斐のある男を見つけたんだから……ッ)

男「あっ、花山さんだ!」

男「ハッ、ナッ、ヤッ、マッ! ハッ、ナッ、ヤッ、マッ!」



花山「……」スッ



男「あっ、チョット手を上げてくれた! やっぱりあの人は漢すぎるッッッ!」

友(たしかに黒髪で、無口で、白い服がよく似合ってるな……)





<終わり>

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