ダイヤ「あなたの横顔を」 (22)

『ほら!ダイヤちゃん!あの子のお家すっごくおっきいよ!』


『だ、ダメですわ!誰か来たら…』


『平気だよ~!それよりいつまで後ろに隠れてるの?歩きづらいよ~!』


『で、ですが…、ピギャ!?』コケッ


『ほら~!くっついてるから足下見えなかったんでしょ~?………大丈夫?』スッ


『は、はい…』ギュッ

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「………」パチッ

「…ふふっ、懐かしいですね」クスッ

私が夢に見たのは懐かしい記憶

遠い昔、小学生だった頃の記憶

私がすごく臆病だった頃の記憶

見るものすべてが私には大きく感じて

いつもあなたの後ろに隠れていました

知らない子と話すときや野良犬に会った時とか

臆病な私はいつも隠れていました

あなたの背中は私とさして変わらないのに

すごく安心できました

いつも後ろ姿ばかり見ていたから

私はあなたの顔をあまり知らない

私がもっと強くなれたなら

あなたの横顔くらいは見えるでしょうか?

小さな私はそんなことを思っていました

あなたの前にまぶしい存在が現れました

私は相変わらずあなたの後ろに

あなたは楽しそうにその子と話します

笑ったり、時々怒ったりして

あなたはその子と話しています

今、どんな顔をしてるのでしょうか?

見えるのはあなたの背中とうなじだけ

あなたの背中は臆病な私の『特等席』

でも、その『特等席』は

私にとっては逃げでもありました

私は強くなりたかった、けれど…

やっぱりあなたから離れたくなくて…

小学高学年になると習い事が増えました

仲良く三人で遊ぶことも少なくなりました

もちろん、あなたの背中にいることも

たまたまお手洗いで席を外していたら

あなたはあの子と楽しそうに話していました

あなたはそんな顔で話していたのですね

いつからでしょうか?

あなたと面を向かって話していないのは

あなたは私に気づき私を呼ぶ

私の『特等席』はこの日から三人でいる時は

あなたの少し斜め後ろから

二人を眺めるような位置に立つように

あの子の顔はよく見えましたが

あなたの顔は相変わらず見えないままでした

中学生になり、三人での談笑

私はいつもの『特等席』

あの子は冗談を言って笑わせる

あなたは笑ったり、怒ったり

私はつられて笑ったり、なだめたり

それが私たちの当たり前

お互いを親友だと認めた

気が置けない幼なじみ

小さい頃よりは物申すようにはなりましたが

やはり私はあなたの顔が見えない

もう少し強くなれたなら

あなたの横顔くらいは見えるでしょうか?

しかし、なぜでしょうか?

私はいつの間にか

あなたと目を合わすと

胸が高鳴るようになっていました

あなたが他の子と話していると

胸がチクチク痛むようになっていました

あなたの顔を見たいのに見れない

時々目が合うと顔が熱くなり目を背ける

まるで時計の長針と短針のように

重なっては離れてを繰り返す

短い針が私なら長い針はあなた

ラジオで聞いた曲の歌詞に自分を当てはめます

次に重なるのはいつでしょうか?

重ねた時は同じ時を刻んでいるようで

あなたがきょとんとしている間

あなたの知らない時間で

私は幸せになっていました

高校生になりスクールアイドルを始めました

順風満帆、いつもの仲良し三人組

あなたはあの子と話し、私は一歩後ろで

けど、この光景も慣れてみると心地よくて

いつまでもこんな時間が続くと思っていました

でも狂いだしたのは時間ではありませんでした

私がそそのかした手前

大事な親友を傷つけてしまった

あなたはあの子を気にして歌わなかった

私はなにも言えませんでした

後日、おもむろにあなたは告げました

あの子のためにもうやめようと

私はなにも言えませんでした

あの子が私たちに抗議してきました

あなたはあの子を無理矢理納得させました

私はなにも言えませんでした

あなたはずっと寂しげな顔をしていたから

そしてあの子は私たちの元を去りました

私たちの合図の光がおぼろげに光る

見上げるあなたを私は少し覗き見る

あなたはそんな顔もするのですね

私は自然と俯いてしまった

時は流れ、私たちは三年生になりました

あなたはお父様の怪我が原因で

学校を休学していたので

あまり顔を合わせることもなくなりました

私は生徒会長となり強さを

あなたの横に立てるくらいの強さを

私は手に入れたのでしょうか?

そんな悶々とした春の日

騒がしい春の息吹きが私の髪をなでました…

あとは………語る必要はありませんかね?

私たちは再び歩き始めました

私とあの子と………あなた

私は今どこにいるんでしょう?

あなたは今どこにいるんでしょう?

ちゃんと横に、並んでいるでしょうか?



「んー…」


「あら?」


「あ、ダイヤおはよ…」ゴシゴシ


「ええ…」ニコッ




ダイヤ「果南さん、私はあなたが好きです」



ぽかんとしたあなたの顔は

徐々に耳まで真っ赤になっていく

足に幸せなしびれを感じながらも

その表情を見るのはもっと幸せで



「またそうやって私をおちょくる…///」


「うふふ♪」ニコッ


あら、また顔が見えませんね

あなたは顔を私の足にうずめて隠します

どんな顔をしているんでしょうか?

いいえ、もうわかりますよ

あなたの顔は…


『果南さん!私はあなたを…真剣にお慕いしております!良ければ私と…!///』

『えっ………!?///』

ふふ、そんな顔もするんですね?

おわり

以前別で書いたものです。
依頼だしてきます。

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