【英雄伝説】君の軌跡【安価コンマ】 (237)

閃の軌跡のオリ主物
オリ主は七組で

ゆるくやっていきますよ

性別
男?女?
↓1~3多数決

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1493905345

「女」に決定

すまない…どちらでもないは無効にさせてくれ

名前
↓1~3
コンマ一番高いもの

「クローバー」に決定

ファミリーネームは不明

性格
↓1~3
コンマ一番高いもの

自分のが1番高いけど>>14の性格に変更できませんか?
無理ならそのままでも大丈夫です

>>15
いいですよ~
「引っ込み思案で大人しい」に決定

境遇を自由に
↓1~3くらいで>>1が面白そうだと思ったもの選ぶよ
出来そうならミックスするかも

・とある縁でカシウスから棒術を教わっていたことがある
・名門貴族の出身だが、ある理由から一族から軽んじられており、ファミリーネームは明かさない
・引っ込み思案な自分を変えたくて、トールズに入学した

とりあえずはこんな感じで
細かいところは追々詰めていきます

容姿を自由に
↓1~3でコンマ一番高いもの

亜麻色のポニーテール。平均的な身長に決定

とりあえずはこんな感じかな

一先ず今日は以上です

基本七組メンバー達との交流を書きたいと思ってるから安価やコンマは絆を深めるものが多くなると思います

戦闘とかは>>1がシナリオに合わせて書く感じでいくよ
(>>1はアホだから戦闘方法も安価コンマとかで決めるとめちゃくちゃになると思うんだ。許してくれ…)

クローバー「どうして…助けたんですか…?」

クローバー「もう…死にたかったのに…」

クローバー(私がそう呟くと目の前の人たちは、驚いたような悲しむようなそんな顔をした)

???「ふむ…。死にたいと言ったな、なぜ死にたいんだ?」

クローバー(床に座り込んでいた私と視線を合わせるように、一人の男の人が腰を下ろした)

クローバー(この人は…さっき私を助けた人だ)

クローバー「私には…生きる意味がありませんから…」

クローバー「このまま…無駄に生き続けるくらいなら…死んだ方がマシです」

クローバー「いっそ、人助けだと思って私を殺してくれませんか…?」

クローバー(お母様はいつも言っていた…)

クローバー(人の助けとなれる立派な大人になりなさいって…)

クローバー(でも…。誰からも必要とされない私には…最早意味の無いの指針でしかない…)

クローバー(だから、もう私には何も無い…)

クローバー(生きる意味も、希望も…)

クローバー(怒りも、悲しみも…)

クローバー(唯一あるのは死にたい、楽になりたいという望みだけ…)

クローバー(だから、私はそう願った)

クローバー(でも、その人は…)

???「…つまり、もし生きる意味を見つけられるのなら、死にたいとは思わないわけだな」

クローバー「えっ…?」

クローバー(とても眩しい、暖かな笑顔を私に向けてそう言った…)

~序章 トールズ士官学院~



『次はトリスタ、トリスタ』

『一分ほどの停車になりますので、お降りになる方はお忘れ物の無いようご注意下さい』

クローバー「ん…」

クローバー(アナウンスに反応して、目が覚めた)

クローバー(なんだか懐かしい夢を見ていた気がする)

クローバー(どうやら、いつの間にか眠っていたみたいだ)

クローバー(周りを見ると、多くの学生たちがどこかそわそわとした様子で荷物の準備をしたり、窓の外の景色を眺めている)

クローバー(きっと新しい生活の始まりに、期待と不安を感じているんだと思う)

クローバー「いや、それは私も同じね…」

クローバー(そう呟くと、程なく列車はトリスタ駅に到着した)

クローバー「……………」

クローバー(ずっと気になっていた事を確かめるために、ホームを行き交う学生達に目を向ける)

クローバー「赤い、制服…」

クローバー(ざっと見た感じだと、五人…)

クローバー(私も入れると、六人…)

クローバー(事前に調べた情報だと、トールズ士官学院の制服は、貴族生徒の白と平民生徒の緑の二種類だけのはず…)

クローバー(つまり…)

クローバー「はぁ…」

クローバー(予想はしていたけど、思わずため息がこぼれた)

クローバー(旅立つ前、やけに先生がにやにやしているとは思ったけど…)

クローバー(やっぱりこの制服には、何か意味があると見るべきね…)

クローバー(まあ先生のすることだから、良からぬことでは無いと思うけど)

クローバー(一応、街の探索くらいはしておいた方がいいかしら…)

どこに行く? 行動回数2回

1 トリスタ駅前
2 広場のベンチ
3 教会
4 トールズ士官学院前
↓1

クローバー「トリスタ礼拝堂…」

クローバー(七曜教会の礼拝堂ね)

クローバー(さすがにこんなところに星杯騎士はいないと思うけど…)

クローバー「ん…」

???「………………」

クローバー(背の高い男子学生が、熱心に祈りを捧げている)

クローバー(この人も、赤い制服ね…)

???「…邪魔をしたか?」

クローバー(祈りを済ませたらしく、私にそう声をかけてきた)

クローバー「…いえ、気にしないで」

???「そうか、失礼する」

クローバー(褐色の肌…帝国人ではないわね)

クローバー(ノルド辺りからの留学生かしら)



好感度は初めはみんな0からスタートします
絆を深めていくと、徐々に好感度は上がっていきます

好感度判定 コンマ一桁
↓1

【判定結果】
??? 好感度 2

どこに行く? 行動回数1回

1 トリスタ駅前
2 広場のベンチ
3 トールズ士官学院前
↓1

クローバー(駅前の広場に来た)

クローバー(周りには色々なお店、咲き乱れるライノの花)

クローバー(どうやらちょっとした公園になっているみたいね)

クローバー(とてものどかで、良い雰囲気だと思う)

クローバー(ベンチで眠る女の子がいなければ…)

???「…むにゃ…」

クローバー(この子も、赤い制服…)

クローバー(さっきまで眠ってた私が言えたことじゃないけど、入学式前に随分呑気ね…)

クローバー(よく眠ってるけど、このまま遅刻したら困るだろうし、声をかけた方がいいのかしら…)

クローバー(そう思案していると…)

???「…ふあぁ~…。ん、そろそろ行かなきゃ」

クローバー「……………」

クローバー(声をかける前に、学院の方へと走り去って行った)

クローバー「なんだか癖のある人が多そうね…」


好感度判定 コンマ一桁
↓1

【判定結果】
??? 好感度 8

自由行動終了

ちょっと書き溜めしてきます

クローバー(各お店、質屋ミヒュト、トリスタ放送、第一・第二学生寮…)

クローバー(気になる場所は一通り回ったかしら…)

クローバー(町中を回っている時に、沢山の学生を見かけたけど、やっぱり赤い制服の生徒は数える程しかいなかった)

クローバー(まあ、なぜなのかは多分、入学式の後にでもわかるわよね)

クローバー(そう考えを切り替えると、士官学院の正門へと向かった)

クローバー「……………」

クローバー(さすがに広いわね…。校舎もだけど、敷地全体も…)

???「ご入学おめでとうございまーす!」

クローバー「ん…」

クローバー(考え事に耽っていると、とても元気な声で挨拶をされた)

クローバー(現れたのは、私よりも小柄な女生徒と、作業服を着たぽっちゃりした男の人)

クローバー(二人とも先輩なのよね…。多分…)

小柄な少女「うんうん、君が最後みたいだね」

小柄な少女「えっと、クローバーちゃんでいいんだよね?」

クローバー「…はい、そうです。あの、私が最後と言われましたが…」

クローバー「すみません。もしかして、遅れてしまいましたか…?」

小柄な少女「あ、ううん、大丈夫だよ!まだ入学式までは時間あるし」

クローバー(少しだけ慌てたように手を振ると、にっこり笑ってそう言った)

太った男子「それが申請した荷物かい。一度、預からせてもらってもいいかな?」

クローバー「…はい。よろしくお願いします」

クローバー(一通りの荷物を預ける。これは入学案内書にあった通りね)

太った男子「確かに。さて、改めて入学おめでとう。充実した二年間になるといいな」

小柄な少女「入学式は、このまま真っ直ぐ行ったところにある講堂で執り行われるよ」

小柄な少女「預かった荷物もちゃんと後で返却するから、安心してね」

クローバー「…はい。どうもありがとうございます。では、失礼します」

クローバー(丁寧にお辞儀をして、講堂への道を歩く)

クローバー(ふと振り向くと、緑の制服を着た生徒が、さっきの二人から「入学おめでとう」と歓迎の挨拶をされている…)

クローバー(どうやら、赤い制服の生徒の中では私が最後という意味だったみたいね…)

クローバー(それにあの人たち、私の名前を知っていたし…)

クローバー「…まあ、あまり考えすぎるのも良くないわね」

クローバー「せっかく、先生から紹介してもらった学院なんだから…」

クローバー(入学式はつつがなく終了した)

クローバー(「若者よ、世の礎たれ」という言葉が、特に心に残った気がするけど…)

クローバー(それよりも…)

赤毛の男子「指定されたクラスって…送られてきた入学案内書にそんなの書いてあったっけ?」

黒髪の男子「いや、無かったはずだ。てっきりこの場で発表されると思ってたんだが…」

女性教官「はいはーい、赤い制服の子たちは注目~!」

クローバー「…………」

クローバー(あの人、どこかで…)

女性教官「どうやらクラスがわからなくて困ってるみたいね」

女性教官「実はちょっとした事情があって、君たちにはこれから特別オリエンテーリングを受けてもらうわ」

クローバー(その場の全員が戸惑った反応を見せた)

クローバー(どうやら私たちはこことは別の場所で、オリエンテーリングに参加しないといけないらしい)

赤毛の男子「えっと…ホントどういうことなのかな?」

長身の男子「わからないが、とにかく行ってみるしかなさそうだ」

金髪の男子「やれやれだな」

クローバー(みんなの会話に内心同意しながら、私も教官を追いかけることにした)

クローバー(連れてこられたのは、あまり人が出入りしてなさそうな古い建物)

クローバー(そこで「サラ・バレスタイン」と名乗った教官はこう告げた)

クローバー(去年までは、貴族と平民で区別された5つのクラスしか無かったこと)

クローバー(今年からは、身分に関係なく選ばれた特科クラスⅦ組が発足されたということ)

クローバー(そして、自分がⅦ組を担任するということ)

眼鏡の女子「…つまり私たちは、そのⅦ組に選ばれた、ということなんでしょうか?」

サラ「そういうこと。君たちだけ赤い制服なのは、そんな理由からね」

クローバー(身分に、関係ない…)

眼鏡の男子「冗談じゃない!身分に関係ない?そんな話聞いてませんよ!」

クローバー(突然、怒声が響いた)

サラ「えっと、たしか君は…」

マキアス「マキアス・レーグニッツです!」

マキアス「それよりもサラ教官!自分は納得しかねます!」

マキアス「まさか貴族風情と一緒のクラスとやって行けって言うんですか!?」

サラ「う~ん、そう言われてもね。同じ若者同士なんだし、すぐに仲良くなれるんじゃない?」

マキアス「そ、そんなわけ無いでしょう!」

クローバー(マキアスと名乗った生真面目そうな眼鏡の男子生徒が、サラ教官に抗議を続けている)

クローバー(…しばらく帝国を離れていたけど、やっぱり貴族を嫌う人はいるものね)

金髪の男子「フン…」

マキアス「なんだ?なにか文句でも…?」

金髪の男子「別に。平民風情が騒がしいと思っただけだ」

マキアス「…っ!これはこれは、大貴族の御子息殿が紛れ込んでいたようだ」

マキアス「その尊大な態度、さぞ名のある家柄とお見受けするが?」

クローバー(棘のある言い方を隠そうともせずに、金髪の男子にそう尋ねる)

クローバー(だけど、平然とした態度を崩さずに、彼は口を開いた)

ユーシス「ユーシス・アルバレア。貴族風情の名前ごとき、覚えてもらわなくても構わんが」

マキアス「!?」

クローバー(アルバレア公爵家…。四代名門と呼ばれる帝国人なら知らない者のいない程の大貴族…)

マキアス「そ、それがどうした!その大層な家名に誰もが怯むと思ったら…!」

サラ「はいはい。文句は後で受け付けるから、そろそろオリエンテーリングを始めるわよ」

マキアス「くっ…!」

クローバー(不満げな態度をしながらも、マキアスはサラ教官の言葉に従った)

クローバー(黒髪の彼の推測によれば、オリエンテーリングは正門で預けた荷物が関係しているらしい)

クローバー(ただ、オリエンテーリングは本来野外で行うはず…)

クローバー(わざわざこの建物の中に案内したのはなぜなのかしら…)

サラ「それじゃ、さっそく始めましょうか♪」

クローバー(ふと、サラ教官が数歩後ろに下がった)

クローバー(そしてなぜか壁に指を伸ばしている…)

クローバー「………!」

クローバー(咄嗟に次の行動を予測した私は、反射的に前方に飛んでなんとか床の縁を掴んだ)

クローバー(さっきまで平坦だったはずの床は、斜めに傾いていて、みんな地下の暗闇へと吸い込まれていく…)

クローバー(上を見上げると、さっきベンチで眠っていた子が、ワイヤーを使って天井からぶら下がっている)

クローバー(落ちずにすんだのは、私と彼女だけみたいね…)

サラ「へえ、フィーはまあ予想通りとして…。さすがはカシウス・ブライトの弟子ってところかしら。悪くない動きじゃない」

クローバー(私を見定めるような視線が向けられる…)

クローバー「…思い出しました。サラ教官、あなたはあの時先生と一緒にいた…」 

サラ「あら、覚えてたみたいね。まあ、さっきも言った通り今はここで教官をやってるわけなんだけど」

クローバー「……………」

サラ「さてあんたたちが落ちてくれないと、オリエンテーリングが始められないのよね」

サラ「というわけで、落ちてくれる?」

クローバー「……………」

クローバー(笑顔でそんな脅迫をしてくるなんて、とても教官とは思えないわね…)

クローバー「…一応確認しておきますけど、落ちたみんなは無事なんですよね?」

サラ「もちろん大丈夫よ。怪我なんかしないようにちゃんと配慮してあるから」

クローバー(まあ、当然よね…。してないなら問題だもの…)

クローバー(ため息をつきながら、身体の向きを変えて、滑り台の要領で地下へと降りる)

クローバー(するとすぐに、さっきの子も滑り降りてきた)

クローバー「…落ちた?落とされた?」

銀髪の女子「落とされた」

クローバー「そう…」

銀髪の女子「サラの知り合い?」

クローバー「…一度会ったことがあるだけ」

銀髪の女子「そう」

クローバー(とりとめの無い話をしていると、乾いた音が響いた)

クローバー(いつの間にか黒髪の彼の頬に、真っ赤な紅葉が咲いている)

クローバー(どうやら落ちた時に金髪の女子が、黒髪の男子に覆い被さって、胸を押し付ける形なったみたいね…)

???「不運だね」

クローバー「そうね…」

クローバー(多分、落ちていく彼女を助けようとして、ああなったはず…)

クローバー(そう思うと、他人事だけど少しやるせない気分になった…)

クローバー(これからどうすればいいかを考えようとした矢先、全員の服の中から通信音が響き渡った)

クローバー(音は入学案内書と一緒に送られてきた、戦術オーブメントから発せられている…)

サラ「今皆が手にしているオーブメント」

サラ「これはエプスタイン財団とラインフォルト社が共同で開発した次世代の戦術オーブメント、ARCUSよ」

サラ「詳しい説明をする前に、各自自分の荷物の前にある箱の中にあるマスタークォーツをはめこんで」

クローバー(暗かった地下に光りが灯って、それぞれの荷物が台座の上に置かれているのがわかった)

クローバー(…ここまで来ると、さすがに察する)

クローバー(オリエンテーリングというのは、地下に徘徊する魔獣との実戦訓練のようね)

クローバー(そう推測を立てると、サラ教官から大方その通りの通達をされる)

サラ「さて、説明は以上よ。これより士官学院特科クラスⅦ組の特別オリエンテーリングを開始する」

サラ「各自、ダンジョン区画を抜けて旧校舎1階まで戻ってくること」

サラ「文句があったらその後に受け付けてあげるわ。なんだったらご褒美にホッペにチューしてあげるわよ♡」

サラ「じゃあね~!」

「「「……………」」」

クローバー(いきなりの急展開に混乱しているのか、全員無言のまま時間がすぎる…)

クローバー(そんな中ユーシスが、最初に動いた)

マキアス「ま、待ちたまえ!1人で勝手に行くつもりか!?」

ユーシス「馴れ合うつもりはない。それとも貴族風情と連れ立って歩きたいのか?」

マキアス「ぐっ……」

ユーシス「まあ、魔獣が怖いというのであれば、貴族の義務として力無き民草を保護してやろう」

クローバー(その言葉にマキアスが噛み付いた)

マキアス「だ、誰が貴族ごときの助けを借りるものか!もういい!だったら先に行くまでだ!」

マキアス「見ていろ!旧態依然とした貴族などより上であることを証明してやる!」

ユーシス「フン、面白い」

クローバー(結局、マキアスとユーシスは競い合うように、ダンジョン区間へと足を踏み入れていった)

銀髪の女子「……………」

クローバー(次に、さっきの銀髪の子が一人で先へ進んだ)

クローバー(まあ、あんな動きをしてたくらいだし、大丈夫だと思うけど)

眼鏡の女子「ど、どうしましょう?」

青髪の女子「ともかく、我々も動くしかあるまい」

青髪の女子「念の為、数名で行動することにしよう」

青髪の女子「そなたたち、私と共に来る気は無いか?」

クローバー「……………」

クローバー(私たちを見て、青髪の子がそう言った)

金髪の女子「わ、私たち?ええ、構わないけど」

眼鏡の女子「私も…正直助かります」

青髪の女子「よし。そなたはどうする?」

クローバー(…どうしようかしら。少しだけ気になることもあるけど…)

どうしよう…?

↓1~3多数決
1 一人で行く 
2 女子と一緒に行く
3 男子と一緒に行く

2 女子と一緒に行くに決定

多分、安価を選んでもらってはその展開で進める為に書き溜めする
みたいな方針になりそうです

気楽な気持ちでお付き合い下さい

クローバー「……………」

クローバー(少し思うところもあるけど…)

クローバー(もし誘われていなかったら、一人を選んでいただろうし…)

クローバー「…わかったわ。私も同行する」

青髪の少女「決まりだな。では、我らは先に行く」

青髪の少女「男子ゆえ心配無用だろうが、そなたたちも気をつけて行くがいい」

黒髪の男子「あ、ああ…」

クローバー(そう男子たちに告げると、青髪の彼女は早々にダンジョンへと進んでいく)

眼鏡の女子「で、では失礼します」

金髪の女子「ふん…!」

クローバー(片やお辞儀をして、片やそっぽを向いて、二人も続く)

クローバー「気をつけて…」

赤毛の男子「あ、うん。そっちも気をつけてね」

クローバー「ええ…」

クローバー(それだけ言葉を交わすと、私も三人を追いかけた)

クローバー(各自武器を構えて、薄暗い地下道をゆっくり進んでいく)

クローバー(こういう場所は、自然と方向感覚や時間の感覚が狂いやすくなる…)

クローバー(自分たちがどこを歩いてきたのか、ちゃんと把握しておく必要があるわね)

青髪の女子「…そういえば」

金髪の女子「なに?どうしたの?」

クローバー(先頭を歩いていた青髪の彼女が、ふと私たちに向き直った)

青髪の女子「いや、すまない。私から誘ったというのに、ちゃんとした自己紹介がまだだったな」

青髪の女子「遅ればせながら名乗らせてもらおう。私はラウラ・S・アルゼイドだ」

クローバー(アルゼイド…。そして大剣を武器にしているということは…)

クローバー「もしかして、あなたはアルゼイド流の…?」

ラウラ「うん、知っているのか。そうだ、父上が筆頭伝承者でな」

ラウラ「幼い頃から、父上や爺たちから剣の手ほどきを受けてきたな」

金髪の女子「ねえ。アルゼイド流っていうのは、剣の流派とかの名前なの?」

クローバー「…ええ。アルゼイド流は、ヴァンダール流と並ぶ帝国の武の双璧と言われているわ…」

クローバー「特にアルゼイド流の筆頭伝承者は光の剣匠と呼ばれ、帝国の中でも三本の指に入る武人だと言われているわね」

眼鏡の女子「そんなにすごい流派なんですか…」

眼鏡の女子「だからラウラさんは、とても凛とした佇まいをされているんですね」

ラウラ「ありがとう。だが父上はともかく、私自身はまだまだ修行中の身だ」

ラウラ「この学院生活で少しでも多くの事を学び、そなたたちと共に切磋琢磨していきたいと思っている」

ラウラ「不束か者ではあるが、以後よろしく頼む」

クローバー(そう言うと、ラウラは私たちに微笑みかけた)

クローバー(なんだか、凛々しいというかとても真っ直ぐな人ね…)

クローバー(そのまま、私たちはお互い自己紹介を始めることになった)

クローバー(きっとこういう事も、オリエンテーリングの狙いの一つなんでしょうね…)

エマ「私はエマです。エマ・ミルスティン」

エマ「私は必修の武術にも縁が無かったので、この魔導杖が私の選んだ武器です」

エマ「これからよろしくお願いしますね」

クローバー(エマ…。そういえばさっき、サラ教官が主席だと言っていたわね…)

クローバー「……………」

エマ「あの…どうかしましたか?」

クローバー「…ごめんなさい。なんでもないわ、気にしないで」

クローバー(先生の弟子である以上、勉学や知識面では、あまり人に負けたくないところね)

クローバー(密かな目標にさせてもらおうかしら…)

ラウラ「エマのそれは…また変わった武器だな」

クローバー(ラウラがエマの持っている武器を見てそう言った)

エマ「そうですね。私も勧められた側なので、詳しくは知らないんですが…」

エマ「簡単に言うと杖自体が導力器になっていて普通に使うだけで、アーツ属性の攻撃になるっていう武器らしいです」

ラウラ「導力仕掛けの杖か…。そんな武器があるとは知らなかったな」

金髪の女子「知らなくても無理ないと思うわよ」

金髪の女子「魔導杖の開発で有名なのは、レマン自治州のエプスタイン財団だし」

金髪の女子「実戦のデータを取り次第、ラインフォルト社と共同開発を行うみたいな話は聞いていたけど…」

金髪の女子「もう形になっていたのね」

クローバー「……………」

ラウラ「そなたは、魔導杖について詳しいんだな」

エマ「はい…驚きました」

金髪の女子「い、いや!たまたまそんな話を聞いたことがあっただけで…」

金髪の女子「そんなことより、次はあたしの自己紹介の番ね!」

クローバー(たまたま聞くような話じゃないと思うんだけど…)

アリサ「私はアリサ・R。実は今ちょっと実家と上手くいってなくて…悪いんだけど家名は伏せさせてちょうだい」

エマ「そうなんですか?」

ラウラ「ふむ、なにかあったのか気になるところだが…」

ラウラ「家の事情となると、無闇に口を挟むべきではないか」

アリサ「そんなに大袈裟なことじゃないんだけどね…」

アリサ「ただの親子喧嘩なんだけど。どうしても譲れないことがあって、それで私が反発しちゃってるっていうか…」

クローバー(気まずそうに少しだけ目を伏せながら、アリサはそう答えた)

ラウラ「そうか。じゃあいつか、話しても良いと思える時が来たら話してくれ」

ラウラ「力になれるかはわからないが、相談に乗るくらいならできるだろう」

エマ「はい。私にできることがあったら、お手伝いさせて下さいね」

クローバー「……………」

アリサ「あ、ありがとう…。なんかいきなり気を遣わせちゃったわね。ごめんなさい」

アリサ「私の武器はこの導力式の弓よ」

アリサ「ラウラ程じゃないと思うけど、子どもの頃から教わってきたからそれなりに自信はあるわ」

アリサ「これからよろしくね」

クローバー(アリサ…。家のことで悩みがあるなら、少しだけ親近感のような物を感じるわね)

クローバー(アリサの自己紹介も終わり、三人が私に視線を向ける…。私の番ね)

クローバー「クローバー…。ごめんなさい、私も家名は伏せさせて」

アリサ「…あなたも実家と上手くいってないの?」

クローバー「まあ…そんなところね」

クローバー「私の場合は、喧嘩とかじゃなくて…」

クローバー「いえ、なんでもないわ」

クローバー「私も、いつか…みんなに話しても良いと思える時が来たら、その時は聞いてもらえると嬉しいわ」

クローバー(私がそう言うと、三人とも微笑みながら了承してくれた)

クローバー(そんな時は…きっと来ないと思うけど…)

ラウラ「そなたも、少し変わった武器を持っているな」

クローバー(ラウラたちが私の持っている棍に目を向ける)

エマ「私の魔導杖とも違いますよね。もっとシンプルというか…」

クローバー「これは…棍。帝国向きに言うならロッド」

クローバー「もっと単純に言うなら、導力器でもないただの棒」

アリサ「た、ただの棒って…。それって武器になるの?」

クローバー「私の先生が、棒術の達人だったから。それに先生曰く、私は剣術よりも棒術の方が向いているらしいの」

クローバー「ちなみにその先生は、軽く人間辞めてるくらいには強かったわ」

アリサ「そ、そうなの…。ラウラのお父さんといい、世の中にはすごい人が沢山いるのね」

エマ「あはは…。そうみたいですね」

クローバー「まあ、私は先生の足元にも及ばないけど…」

ラウラ「謙遜することはない。その棍…だったか」

ラウラ「よく手入れされているし、さっきから見ていたがそなたの立ち振る舞いには隙が無い」

ラウラ「相当の鍛錬を積んでいるはずだ」

クローバー「…確かに、日々の修行は欠かしてはいないけど」

クローバー「とにかく…みんなの足を引っ張らないよう頑張るわ。よろしく…」

クローバー(軽くみんなにお辞儀をして、そう締めくくった)

クローバー(ラウラにエマに、アリサ…)

クローバー(正直、不安もあるけど…。とりあえずは上手くやっていけそうね)


好感度判定 コンマ一桁
アリサ↓1 ラウラ↓2 エマ↓3

判定結果

アリサ 好感度10
ラウラ 好感度7
エマ 好感度5

ゾロ目のことをすっかり忘れていました
今後、ゾロ目や0が出たら10として扱いますのでよろしくお願いします

ラウラ「アリサ!今だ!」

アリサ「食らいなさい!ゴルドスフィア!」

クローバー(アリサのアーツが一撃で敵を仕留める)

クローバー(今交戦中の敵は、グラスドローメと呼ばれる軟体魔獣の群れ…)

クローバー(あれは物理攻撃が殆ど効果のない厄介な相手…。けど…)

クローバー「エマ…。あの二体で最後」

エマ「はい、いきます!ルミナスレイ!」

クローバー(エマの魔導杖から、直線状に眩い光が放たれる)

クローバー(光に貫かれた魔獣たちは、断末魔のようなものを上げながら霧散し、消えてなくなった)

ラウラ「…他に敵はいないようだな」

クローバー「…ええ。とりあえずは一息ついても良いと思うわ」

エマ「ふぅ…。みなさん、お疲れ様です」

アリサ「お疲れ様。ねえ、今の戦い、今までで一番良かったんじゃない?」

エマ「はい。数が多かったので、もう少し苦戦するかと思いましたけど」

ラウラ「そなたたちの活躍のおかげだろう。今の敵は、私では少し相性が悪かったからな」

アリサ「そんなことないわよ。ラウラとクローバーが敵を引きつけてくれてたから、私とエマも安心してアーツを使えたんだし」

エマ「そうですね。あっクローバーさん…」

エマ「そうですね。あっクローバーさん…」

クローバー「…なに?」

エマ「さっき敵が私に向かって来た時、守りに来てくれましたよね?」

エマ「ありがとうございます、おかげで助かりました」

クローバー「……………」

クローバー「…当然のことをしただけ」

クローバー「状況に応じて攻守を受け持つのが中衛の仕事だから…」

エマ「それでも、ありがとうございます」

クローバー「……………」

アリサ「ねえ、クローバー。中衛ってなに?名前くらいは聞いたことあるんだけど」

クローバー「中衛は…前衛と後衛の間で戦う人のこと。今の私の役目がそれ」

クローバー「前衛は近接武器を持ち、前線で戦う人…つまりラウラ」

クローバー「後衛は遠距離武器を持ち、弓、銃、アーツなどで戦い、時には前衛の支援をする人」

エマ「私とアリサさんのことですね」

クローバー「そう…。各々が自分の役割を遂行するのが、連携の基本」

クローバー「ここまで順調なのは…それが上手くいっているのが大きい」

ラウラ「連携…か、なるほどな」

ラウラ「うん。こうして仲間と連携して戦うというのは、楽しいな」

アリサ「そうね。まだオリエンテーリングの最中だから、あんまりはしゃいじゃいけないのかもしれないけど」

エマ「あ、そういえば…。今頃、他の皆さんはどうしているんでしょうね」

エマ「もうゴールされてるんでしょうか?」

アリサ「う~ん。さすがにそれは無いと思うけど」

クローバー「でも、私たちもたぶん…。もう半分以上は来てると思うわ」

ラウラ「先に行った銀髪の彼女も、見かけたら声をかけようと思っていたんだが…」

エマ「ここまで誰とも会っていないんですよね…」

エマ「ユーシスさんとマキアスさんも心配ですし。他の男子の皆さんも…」

アリサ「…むっ…」

エマ「ア、アリサさん…?顔つきが急に険しくなってません?」

クローバー(黒髪の彼を思い出したんでしょうね…)

ラウラ「まあ、あんなことがあった後だ。気持ちはわからないでもないが…」

クローバー「…噂をすれば」

アリサ「…っ!」

黒髪の男子「あ…」

クローバー(ちょうど角を曲がったところで、男子たちと遭遇した)

クローバー(三人から、先に進んだはずのマキアスを加えて四人になっていたけど…)

赤毛の男子「良かった、無事だったんだね」

エマ「みなさんもご無事でなによりです」

ラウラ「ふむ。そちらの彼も、少しは頭が冷えたようだな」

マキアス「ぐっ…おかげさまでね」

クローバー(ちょうどいい機会だからと、挨拶がてらお互いに自己紹介を交わす)

クローバー(アリサの怒りを買っている黒髪の彼は、リィン・シュヴァルツァー)

クローバー(優しげな赤毛の彼はエリオット・クレイグ)

クローバー(礼拝堂で会った、長身の彼はガイウス・ウォーゼルという名前で、やっぱりノルドからの留学生らしい)

リィン「あのトランクの中身は、その弓だったんだな…」

リィン「面白い造りをしてるけど導力式なのか?」

アリサ「その通りだけど、あなたになんの関係が?」

リィン「うっ…」

エマ「アリサさん…本当に怒ってますね」

クローバー「…私たちに対する態度と全然違うわね」

クローバー(小声でそんな話をしながら、アリサとリィンを見る)

クローバー(まあ、当人たちで解決してもらう以外無いと思うけど…)

マキアス「…そういえば、悪いが君たちの身分を聞かせてもらえないか?」

クローバー(アリサがリィンとの会話を打ち切ったのを見て、マキアスがそう切り出した)

リィン「マキアス…」

マキアス「別に、他意はないんだ」

マキアス「ただ、そっちの二人…アリサ君とクローバー君だったか。君たちは家名をちゃんと明かさなかっただろう?」

マキアス「貴族であることを隠しているんじゃないかと、それが気になったんだ」

クローバー(なるほど…。まあ、そう思われるわよね…)

アリサ「別にそういうわけじゃないわよ。ただちょっとワケありで家の名前を言いづらいだけ。私は平民出身よ」

マキアス「そ、そうか。それはすまなかった」

エマ「私も同じく平民です。辺境の里の出身なので」

ラウラ「私は貴族だ。父はレグラムを治める領主だからな」

マキアス「なっ…!」

ラウラ「だが、それがなにか問題があるのか?」

マキアス「い、いや…そういうわけじゃ…」

マキアス「……………」

ラウラ「ふむ、マキアスとやら。そなたの考え方はともかく、これまで女神に恥じるような生き方をしてきたつもりはないぞ?」

ラウラ「私も、たぶん私の父もな」

マキアス「すまない…。悪かった」

クローバー(マキアスの視線が私に向けられる…)

クローバー(さて、どう答えるべきなのかしら…)

クローバー(あまり触れてほしくない事なんだけど、正直に貴族だと言うべきなのかしら…)

クローバー(それとも誤魔化しておいた方が…)


どうしよう?
↓1~3 多数決
1 貴族だと言う
2 誤魔化す

1 貴族だと言う
に決定

今日はたぶん以上になると思います
筆が遅い>>1ですまない…
クロノドライブが欲しい

クローバー(…いえ、誤魔化しても仕方ないわね)

クローバー(過去や、自分を否定してはいけない…)

クローバー(そう、先生に言われたものね…)

クローバー「…私も、貴族よ」

マキアス「じゃあ、家名を名乗らなかったのは…!」

クローバー「私には…家名を名乗る資格が無いの」

マキアス「えっ…」

クローバー「貴族の血は、確かに引いてはいるわ…」

クローバー「けど私にはそれを名乗る資格が無いし、自ら名乗ろうとも思えない…」

クローバー「だから、このクローバーという名前が、唯一今の私を示すものなの」

クローバー「ただできれば言いたくないと思っていたのは事実よ…。ごめんなさい」

アリサ「クローバー…」

マキアス「……………」

クローバー(場が静まりかえる…)

エリオット「ええっと…。とりあえず、これからどうしようか?」

リィン「そ、そうだな。せっかく合流できたんだし、どうせなら一緒に進んだ方が…」

アリサ「……………」ジロッ

リィン「うっ…」

ラウラ「気持ちはありがたいが、遠慮しておこう」

ラウラ「残りの二人を見つけるためにも、二手に別れた方が良いだろう」

エマ「そうですね…。あの銀髪の女の子も、まだ見つかっていませんし」

ガイウス「…そういうことなら、別行動で構わないだろう」

ガイウス「お互い出口を探しつつ、残りの二人を探していく。それで構わないか?」

ラウラ「うん。異存は無いぞ」

ラウラ「アリサ、エマ、クローバー。それでは行くとしようか」

エマ「…はい。ではみなさん、またあとで。お先に失礼します」

クローバー「……………」

アリサ「…ほら、なにをぼーっとしてるの?行くわよ」

クローバー「アリサ…?ちょっ…」

クローバー(背中を押されながら、半ば強引に先へと歩かされた…)

マキアス「……………」


好感度判定 コンマ一桁
↓1 マキアス

判定結果

マキアス 10

クローバー「…みんな、ごめんなさい」

クローバー(別れ道を進んだ頃…。私はそう呟いた)

アリサ「どうして急に謝るのよ?」

クローバー「気を遣ってくれたんでしょう…?一緒に行った方が安全なのに…」

ラウラ「なんのことだ?」

ラウラ「さっきも言ったが、残りの二人を見つけるなら、手分けした方が早いだろう」

ラウラ「それと、もう一つ理由を言うなら…」

ラウラ「この四人での連携を、もう少し続けたかったという気持ちもあるな」

クローバー「ラウラ…」

クローバー(半分冗談、半分本気…みたいな笑みね…)

エマ「クローバーさん。あまり気を病まないで下さいね」

エマ「きっとマキアスさんも、何か理由があって身分を気にされているんだと思います」

アリサ「まあ、ただの貴族嫌いって感じには見えないわね」

クローバー「……………」

クローバー「…聞かないの?私のこと」

ラウラ「話しても良いと思える時が来たら、話してくれるのだろう?」

ラウラ「なら我らは、その時が来るのを待つだけだ」

エマ「はい」

アリサ「ええ、そうね」

クローバー「………………」

クローバー「ありがとう」

クローバー(言いたいこと、思ったことは沢山あったけど…)

クローバー(結局私は、感謝の言葉だけを口にして、他の想いは胸の内にしまい込むことにした…)

アリサ「それにしても、よくあの空気で一緒に行こうなんて言えたわね…あいつ」

エマ「リィンさんのことですか?」

ラウラ「リィンなりに気を遣ったんだろう。あの場では、少し相応しくない発言だったかもしれないが」

クローバー「…不器用そうだものね、彼」

クローバー「さっきも、アリサを庇おうとして裏目に出たみたいだし…」

アリサ「えっ…ちょっと待って。庇おうとしたってどういう事?」

クローバー「…気づいてなかったの?」

クローバー「私、上からみんなが落ちていくところを見たけど…。彼、アリサを庇うように落ちていたわよ」

クローバー「たぶん…咄嗟に体が動いたんでしょうね」

アリサ「そう、だったの…?」

クローバー「私にはそう見えたけど…」

アリサ「えっ…。いや、でも…!そんなの気づかないわよ…!」

アリサ「一瞬のことだったし、落ちたら…あんな事になってたし」

アリサ「だから…その…」

アリサ「~~~っ!」

クローバー(アリサ…。顔、真っ赤ね…)

アリサ「でも…。やっぱりビンタはまずかったわよね…」

アリサ「わざとじゃないのはわかってたんだけど…。私も動転しちゃってたし…」

ラウラ「ふふっ。どうやら、仲直りの兆しが見えたようだな」

エマ「謝れば、きっと許してもらえると思いますよ」

アリサ「そうね…。そのうちちゃんと謝っておくわ」

クローバー(アリサとリィンは、もう大丈夫そうね)

クローバー(私は彼と…マキアスと、どう接していけばいいのか、わからないけど…)

クローバー(私たちが進んだ道の最奥は、残念ながら行き止まりだった)

クローバー(回復用のクォーツが入った宝箱を見つけたから、無駄足では無かったけど…)

クローバー(結局もと来た道を戻って、別の道を進んでいくと大きな広間へと出た)

クローバー「やっぱり、こっちの道が正解みたいね…」

ラウラ「そのようだな。大分、回り道をしてしまったが」

エマ「こればっかりは仕方ありませんね」

アリサ「ふぅ…。そろそろゴールだと良いんだけど」

銀髪の少女「うん、もうゴールは目の前だよ」

アリサ「えっ…?」

クローバー(広間の出口から、ユーシスと銀髪の彼女が歩いてくる)

クローバー(どうやら…既にゴールを見てきたみたいね)

エマ「お二人とも、ご無事でなによりです。一緒に行動されていたんですね」

ユーシス「つい先程会ったばかりだがな」

銀髪の女子「あの四人は既にゴールに向かったから」

銀髪の女子「他のみんなのことも確認しようとした矢先、ばったりと、ね」

ユーシス「まあ、その様子だといらぬ心配だったみたいだな」

アリサ「あ…。やっぱり私たちが最後なのね…」

銀髪の女子「別に良いんじゃない?ゴールする順番を競ってるわけでもないし」

ラウラ「ということは、そなたたちはほぼ単独でこのダンジョンを踏破したのか」

クローバー「…大した実力ね」

銀髪の女子「ぶい」

ユーシス「武を尊ぶ帝国貴族として、それなりに剣は使えるからな」

ユーシス「一応、改めて自己紹介をしておくか。ユーシス・アルバレアだ」

フィー「フィー・クラウゼル。フィーでいいよ」

ラウラ「ラウラ・S・アルゼイドだ」

アリサ「アリサ・Rよ」

エマ「エマ・ミルスティンといいます」

クローバー「クローバー…。よろしく」

クローバー(これでようやく、全員との自己紹介が済んだわね)

フィー「ここまで来たら、もうほぼ一本道だし一緒に行く?」

ラウラ「そうだな。あまり待たせるのも彼らに悪い」

クローバー「サラ教官から、色々聞きたいこともあるものね…」

ユーシス「同感だな。そうと決まれば、さっさとこの茶番を終わらせ…」

「グオォォォォォォ…!!」

クローバー「………!」

エマ「な、なんでしょう…今のは?」

ユーシス「魔獣の咆哮…。ゴールの方からか」

フィー「たぶんサラが用意した魔獣かな。いわゆる一つのボスみたいなもの」

アリサ「オリエンテーリングでそこまでするものなの…!?」

フィー「サラならたぶんやる」

クローバー「悪趣味ね…」

ラウラ「とにかく、急いで男子たちの救援に向かおう!」

ラウラ「ユーシス、フィー!案内を頼めるか?」

ユーシス「いいだろう。遅れるなよ」

フィー「ja(ヤー)」

クローバー(ユーシスとフィーに先導されながら、地下道を走る)

クローバー(どんどん剣戟が大きくなっていくのを感じる…。近いわね…)

フィー「次の角を曲がればゴール」

クローバー「ラウラ…。前をお願い、私が援護するわ」

ラウラ「任せるがよい!」

クローバー(一気に速度を上げて、ラウラとほぼ同時に、ゴールの広間に突入する)

クローバー(そこにいたのは、翼を広げ飛翔する巨大な石造りの魔獣。そして交戦するリィンたち…)

クローバー(エリオットとマキアスは…膝を付いている。リィンとガイウスも肩で息をしている…)

クローバー(劣勢みたいね…)

クローバー「ふっ!」

クローバー(手早く状況確認を済ませると、牽制の衝撃波を放つ)

クローバー(技名は棯糸棍…。飛び道具として使える便利な技)

クローバー(衝撃波は、狙い通り魔獣の頭部に命中する。即座に…)

ラウラ「はあああああっ!!」

ザンッ!

「グオォォ…!」

クローバー(ラウラが追撃をかけた。効果があったのか、魔獣がうめき声を上げる)

リィン「!?」

エリオット「ラウラ、クローバー…!それにみんなも…!」

ガイウス「援軍か、助かる!」

ユーシス「フン、苦戦していたようだな?」

マキアス「う、うるさいっ…!」

エマ「みなさん、遅くなってすみません。今、回復しますね!」

クローバー(アリサが弓を、フィーが双銃剣を撃つ横で、エマが先に戦っていた四人の回復を始める…)

リィン「みんな…!あいつには生半可な攻撃は通らない!」

リィン「体が硬い上に、再生能力があるんだ…!」

ユーシス「再生能力だと…!」

フィー「加えて、飛行能力も…。厄介だね」

「グオォォォォォォ…!!」

クローバー(魔獣が咆哮を上げながら、大きく翼を広げた…)

クローバー(来る…!)

クローバー「アリサ、フィー。避けて…!」

アリサ「えっ…」

クローバー(魔獣が激しく翼を羽ばたかせると、突風と同時に複数の風の刃を放つ…)

フィー「ちっ…」

アリサ「きゃあ…!」

クローバー(狙われたのはアリサたち。私は…アーツを詠唱していたエマのカバーに入る…!)

ゴオッ…!

クローバー「うっ…!」

クローバー(棍で受け止めたものの衝撃を殺し切れず、私の体は大きく吹き飛ばされた…)

エマ「クローバーさん…!?」 

クローバー「問題、ないわ…。エマ、四人の回復を優先して」

クローバー(棍を杖にして、なんとか立ち上がる…。休んでなんかいられない)

エマ「は、はい…!」

クローバー「アリサとフィーは無事…?」

フィー「ん、平気」

アリサ「私もなんとか避けたけど…。でもクローバー、あなたが…!」

クローバー「大丈夫…かすり傷だから」

クローバー(正直、かなり効いたけど…。先生との修行と比べたらなんてことない)

クローバー(それに…これくらいは、やらないと…)

エマ「ティア…!」

クローバー(回復アーツの効果を受けて、一人ずつ傷が癒えていく…)

クローバー(最初にリィン、次にガイウス…。後は、エリオットとマキアスだけ)

ラウラ「リィン、そなたと私で奴の翼を断ち切るぞ!」

リィン「ああ、任せてくれ…!」

アリサ「じゃあ、私たちは…!」

クローバー(アリサの言葉に、同時に頷き返す私たち)

クローバー(奇妙な感覚…。まるで言葉にしなくても、考えが伝わっているような…)

アリサ「フランベルジュ!」

ガイウス「ゲイルスティング!」

フィー「クリアランス」

ユーシス「エアストライク!」

クローバー「棯糸棍」

クローバー(今度は五人同時に、クラフトとアーツの連撃をぶつける)

クローバー(そして、それを起点に…)

リィン「ここだ…!紅葉斬りっ!」

ラウラ「はあっ!鉄砕刃!」

クローバー(高く跳躍したリィンとラウラが、魔獣の翼を斬り落とした)

クローバー(翼をもがれ、地に落ちた魔獣は更に咆哮を上げ、私たちを威圧する…)

ガイウス「効いていないのか…!」

リィン「いや、手応えはあった!効いていないわけじゃない…!」

エマ「ティア…!エリオットさん、大丈夫ですか!?」

エリオット「うん、ありがとう!助かったよ!」

マキアス「すまない…!すぐに援護を開始する!」

クローバー(これで全員復帰したわね…)

エマ「クローバーさんも、今すぐ回復を…!」

クローバー「いいわ…大丈夫だから」

エマ「で、でも…!」

クローバー「それより…勝負を決めた方がいい」

クローバー「全員で攻撃を叩き込めば、きっと倒せるわ」

エマ「クローバーさん…」

ラウラ「…わかった。そなたを信じよう」

アリサ「もう、後で倒れたりしたら怒るわよ…!」

エマ「…無茶だけはしないで下さいね…!」

クローバー「ええ」

リィン「よしっ…!みんな、一気に行くぞ!」

「「「応っ!!」」」

クローバー(リィンの激励が響き、闘志が燃え上がるのを感じる)

クローバー(その時…それは起きた)

クローバー(私たち全員が、淡い光に包まれている…)

クローバー(それだけじゃない、全員の思考がさっきよりもはっきりと伝わってくる…)

クローバー(動きが、手に取るようにわかる…)

クローバー(補助をかけるエリオット…)

クローバー(アリサとマキアスの援護射撃を見て、追撃をかける私とガイウス…)

クローバー(フィーは背後から魔獣を斬りつけ…)

クローバー(エマのアーツと同時に、リィンとユーシスが鋭い居合と突きで、魔獣の体勢を崩す…)

クローバー(まるで流れるような連携、そして…)

リィン「今だ…!ラウラっ!」

ラウラ「はああああっ…!せいっ!」

クローバー(最後は…ラウラが魔獣の首を切り落とした)

クローバー(息絶えたのか、それとも力を失ったのか…)

クローバー(石造りの魔獣は、一瞬で色を失い、跡形も無く消え去った…)

エリオット「お、終わったの…?」

ガイウス「…ああ、一安心のようだ」

アリサ「良かった…」

エマ「クローバーさん。今度こそ、回復させてもらいますからね」

クローバー「エマ…?もしかして怒ってる…?」

エマ「いいえ、怒ってませんよ。あんな無茶をされたからといって、全然怒ってませんから大人しくしてくださいね」

クローバー「え、ええ…」

クローバー(なら、なぜこんなに迫力を感じるのかしら…)

リィン「みんな、ありがとう。俺たちだけじゃ、やられてたかもしれない」

ラウラ「礼など無用だ。そなたたちが無事で良かった」

ガイウス「だが、中々の強敵だったな」

フィー「オリエンテーリングの仕上げにしては、ちょっと質の悪い強さだったね」

ユーシス「おそらく、俺たち全員が協力しなければ、苦戦する程度の敵を用意したんだろう」

ユーシス「それと関係があるのかは知らんが、最後の攻撃の時、全員が淡い光に包まれていたしな」

マキアス「そ、そうだったのか…?」

ラウラ「ふむ、気のせいか。全員の動きが手に取るように視えた…気がしたが…」

フィー「たぶん、気のせいじゃないと思う」

クローバー「ええ…。きっとあれがこのオリエンテーリングの本当の狙い…」

クローバー「この、ARCUSと呼ばれる戦術オーブメントの真価のはず…」

アリサ「ARCUSの真価…」

サラ「その通り、大正解よ」

クローバー(奥の階段から、拍手をしながらサラ教官が降りてくる)

クローバー(気配を消して、上から私たちを観察していたみたいね…)

サラ「いや~、やっぱり最後は友情とチームワークの勝利よね。うんうん、お姉さん感動しちゃったわ♡」

サラ「これにて特別オリエンテーリングは全て終了なんだけど…」

「「「………………」」」

サラ「な、なによ。君たち、そんな怖い顔して…」

サラ「もっと喜んでもいいんじゃない?」

マキアス「よ、喜べるわけないでしょう!」

アリサ「正直、疑問と不信感しか湧いてこないんですが」

クローバー(まあ、みんなが怒るのも当然よね…)

クローバー(ダンジョンの探索や、魔獣との戦闘がARCUSの機能を理解し、慣れてもらうためのものだったとしても…)

クローバー(もっと根本的な疑問が残っているし…)

ユーシス「単刀直入に問おう。特科クラスⅦ組…。一体何を目的としているんだ?」

クローバー(そう思案していると、先にユーシスが問いかけてくれた)

クローバー(サラ教官にとっても想定内の質問だったらしく、まずARCUSの機能についての説明を始めた)

クローバー(簡単にまとめると、さっき私たちが体験した、お互いの考えを共有し、動きが視える感覚…)

クローバー(あれは戦術リンクという、ARCUSを持った者たちが、文字通り繋がっているからこそ可能となる機能…)

クローバー(戦術リンクを自在に使いこなせる精鋭部隊を確立できれば、それはまさに戦場に革命をもたらす事と同義…)

クローバー(ただしARCUSには個人的な適正に差があり、私たちは新入生の中でも特に高い数値を示したからⅦ組に選ばれたのだと…)

サラ「ただ、やる気のない者や気の進まない者に参加させるほど、予算的な余裕があるわけじゃないわ」

サラ「それと、本来所属するクラスよりもハードなカリキュラムになるはずよ」

サラ「それを覚悟してもらった上で、Ⅶ組に参加するかどうか…」

サラ「改めて聞かせてもらいましょうか?」

クローバー(一通りの説明を終えると、最後にサラ教官はそう締めくくった)

クローバー(参加するか否かは、あくまで私たちの意思次第というわけね…)

「「「………………」」」

クローバー(みんなが戸惑っている間、私はⅦ組について考える…)

クローバー(確かにサラ教官の言うとおり、戦術リンクは戦場において革命ともいえる機能かもしれない…)

クローバー(でも次世代の軍の核となり得る機能なのに…)

クローバー(リベール軍に所属していた私を、ただ適正が高いからという理由でⅦ組に選ぶとは考えにくい…)

クローバー(だとすれば、何か別の狙いがあると考えた方が自然…)

クローバー(いや、先生が学院となにかしらの交渉をした…というのも考えられるわね…)

クローバー「………………」

クローバー(どうするべきなのかしら…)

クローバー(どうにも判断材料が不足しているわね…)

リィン「リィン・シュバルツァー。参加させてもらいます」

クローバー「………!」

アリサ「え…」

エリオット「リ、リィン…!?」

サラ「一番乗りは君か。何か事情があるみたいね?」

リィン「いえ…我侭を言って、行かせてもらった学院です」

リィン「自分を高められるのであれば、どんなクラスでも構いません」

クローバー(自分を…高める…)

クローバー「………………」

ラウラ「そういう事ならば、私も参加させてもらおう」

ラウラ「元より修行中の身…。此度のような試練は望むところだ」

ガイウス「オレも同じく。異郷の地から訪れた以上、やり甲斐がある道を選びたい」

クローバー(リィンの言葉をきっかけに、みんな次々とⅦ組への参加を決めていく…)

クローバー(フィーも、マキアスとユーシスも参加を決めて、あっという間に残るは私一人だけになった…)

サラ「さて、これで後は君一人だけよ」

サラ「どうするの?」

クローバー「私は…」

クローバー(私は…)




クローバー「留学、ですか…?」

カシウス「そうだ。お前にとっては、里帰りと言うべきなのかもしれんがな」

カシウス「トールズ士官学院という、帝国にある学院だ」

カシウス「俺の知り合いが、そこの卒業生で学院長とも仲が良いらしくてな」

カシウス「勝手だとは思ったが、話を通してもらった」

クローバー「…私は、もうお払い箱ということですか…?」

カシウス「誰もそうは言っていない。だが、俺は最初にお前にこう言ったはずだ」

カシウス「お前にとって軍は、あくまで一時的な場所にすぎないと」

カシウス「本当なら、もっと落ち着いた環境でお前のことを見てやりたかったんだが…」

カシウス「俺の我が侭に付き合わせてしまったからな…」

クローバー「そんなこと…。私は先生に感謝しています」

カシウス「だが、常に晴れぬ想いを抱えている」

カシウス「それに、俺のことを心から信じているわけではない。そうだろう?」

クローバー「それ、は…」

カシウス「別に責めているわけじゃない。むしろ、当然だといえるだろう」

カシウス「お前は、これまで随分と辛い想いをして生きてきたのだからな」

カシウス「エステルたちも、あのレンという子を中々捕まえてやれずにいるそうだ」

クローバー「私は…そのレンという子に比べれば…」

カシウス「心の傷というものは、比較するようなものではないだろう?」

クローバー「……………」

カシウス「クローバー。これだけは言っておく。過去や自分を否定するなよ」

クローバー「…どういう、意味ですか…?」

カシウス「逃げ出してもなにも解決はしない」

カシウス「自分と向き合わなければ、本当の意味で前を見ることはできない」

カシウス「これは…俺自身が学び、そしてヨシュアからも教えてもらったことだ」

カシウス「お前が自分を変えたいと思うなら、生きる意味を見つけたいと思うなら…」

カシウス「きっと、その場所での経験が、お前に良い影響を与えてくれるはずだ」

カシウス「どうだ、行ってみる気は無いか?」

クローバー「……………」

クローバー「もし、嫌だと言ったら…?」

カシウス「もちろん、それでも構わない。お前が決めたことだからな」

カシウス「むしろ今すぐ俺の養子になりたいだとか…」

カシウス「俺の副官になって、俺を楽させたいだとか、そういう要望があるなら大歓迎だ」

クローバー「……………」

クローバー「…言えません。私には、まだ…」

クローバー「でも…。いつかちゃんと答えは出したいと、ずっとそう思っていました…」

クローバー「だから、その答えを出せる私になるためにも…」

クローバー「留学の話、受けさせて下さい。先生」

カシウス「フ、そうか…」


クローバー(そう…。学院の狙いなんて関係ない…)

クローバー(大切なのは、私の意思なんだから…)

クローバー「クローバー。特化クラスⅦ組に…参加させて下さい」

サラ「随分と悩んでたみたいだけど…。一応、理由を聞かせてもらってもいい?」

クローバー「自分を…変えたいから、です」

サラ「へえ…?」

クローバー「私は、自分を見つめ直す為に、学院への入学を決めました…」

クローバー「Ⅶ組は、きっと私にとって良い経験になると思ったから…」

クローバー「だから、参加させて下さい…!」

クローバー(自分にできる精一杯のお辞儀と一緒に…私はⅦ組への参加を決めた)

サラ「…よろしい。これで10名、全員参加ってことね」

サラ「それでは、この場を持って特化クラスⅦ組の発足を宣言する」

サラ「この一年ビシバシしごいて、他のクラスじゃ絶対できない経験をさせてあげるから、楽しみにしておきなさい!」

クローバー「……………」

クローバー(変われるかもしれない…)

クローバー(変われないかもしれない…)

クローバー(でも、もし、変わることができたのなら…)

クローバー(私は…)

ヴァンダイク学院長「やれやれ、まさかここまで異色の顔ぶれが揃うとはのう」

ヴァンダイク学院長「これは色々と大変かもしれんな」

金髪の青年「フフ、確かに」

金髪の青年「ですが、これも女神の巡り合わせというものでしょう」

ヴァンダイク学院長「ほう…?」

金髪の青年「ひょっとしたら、彼らこそが光となるかもしれません」

金髪の青年「動乱の足音が聞こえる帝国において、対立を乗り越えられる…唯一の光に」

ヴァンダイク学院長「うむ。彼らが良き学院生活を送れるよう、我々も気を引き締めねばならんな」

金髪の青年「よろしくお願いします。学院長」

金髪の青年(それにしても…クローバー君だったか)

金髪の青年(カシウス殿から聞いてはいたが、彼女も随分大きな何かを抱えているようだ)

金髪の青年(願わくば、この学院での生活が、彼女の道を見出す糧となればいいんだが…)



~序章 トールズ士官学院 END~

好感度一覧

リィン 0
アリサ 10
エリオット 0
ラウラ 7
ユーシス 0
マキアス 10
フィー 8
エマ 5
ガイウス 2

人物ノート

クローバー 1年Ⅶ組

口数の少ない大人しい少女
カシウス・ブライトの弟子であり、リーベル軍に所属していた過去を持つ
自分を変えたいという願いから、特化クラスⅦ組に参加した

①???
②???
③???

今日はこれで以上です

ようやく序章終了

【安価コンマ】が飾りにならないように頑張ります

加速ならシェラ姉のベブンズキスが欲しいです

サラ「さあ、ここが今日から君たちと私が暮らす場所。第三学生寮よ」

クローバー(無事オリエンテーリングも終わり、日が沈み始めた頃)

クローバー(私たちは、サラ教官に連れられて、駅の隣にある建物に来ていた)

クローバー(朝に見た時は特に気にしてなかったけど、ここがⅦ組の寮だったのね)

サラ「男子が二階、女子は三階よ。あ、そうそう。お年頃の男子たちに一応注意しておくけど」

サラ「いくら可愛い女の子たちと、美人で綺麗なお姉さんとの共同生活だからって不埒なことしちゃだめよ♡」

マキアス「す、するわけ無いでしょう!そんなこと!」

エリオット「あはは…」

クローバー(少しむきになって否定するマキアスと、苦笑いする男子たち…)

クローバー(そして…)

リィン「………………」

アリサ「~~~っ!」

クローバー「意識、しちゃうわよね。あんなこと言われたら…」

ラウラ「ふむ。俗に言う、地雷を踏むと言うやつか」

フィー「地雷原にいるのはリィンだと思うけど」

クローバー(やるせないわね…)

エマ「そ、そういえば、サラ教官。食事や洗濯などの、日々の生活については…」

サラ「もちろん、自分たちでやってもらうわよ」

サラ「例えば食事だけど…学食を使うなり、当番を決めるなり、各自自炊するなり、君たちで話し合って決めなさい」

サラ「そういうルールを決めていくのも、共同生活の楽しみだと思うわよ」

クローバー(食事…)

クローバー(一応、家事はできるし、料理も自信がある)

クローバー(私にとって、唯一の取り柄と言えるものだし…)

ユーシス「つまり…。仮に当番制にするなら、当然教官にも負担してもらえるわけだな」

サラ「えっ…」

アリサ「確かに、そうなるよね。だって共同生活なんだから。ですよね?教官」

サラ「い、いや~…。私は仕事が忙しいから…」

マキアス「忙しいのを理由に、責任を放棄するのはどうかと思いますが?」

サラ「うっ…。わ、わかったわよ!」

サラ「もう…絶対さっきの仕返しのつもりでしょ?」

クローバー(観念したのか、がっくりと肩を落とす教官…)

クローバー(なんというか、あまり威厳の無い人よね…。良く言えば、接しやすいということなんでしょうけど)

リィン「とりあえず、今日はもう遅いし、細かいことはまた明日決めないか?」

エマ「そうですね。今から夕食を作るとなると、買い出しにも行く必要がありますから」

ガイウス「そうなると、今日は全員で学食か?」

リィン「それが無難だな。まだ荷解きも終わってないし」

エリオット「うわぁ…そうだった。そういえば、それもしなくちゃいけないんだよね…」

フィー「めんどい」

クローバー(結局、その日の夕食は学食で済ませることに決まった)

クローバー(食事中…。アリサは、終始リィンのことをちらちら見ていてたり)

クローバー(リィンは、そんなアリサの視線に全く気付かなかったり)

クローバー(ふとしたことでユーシスがマキアスを煽って、喧嘩しそうになったり)

クローバー(帰り道、いつの間にかサラ教官がお酒の瓶を握ってたり)

クローバー(色んなことがあったけど、とても賑やかな食事だった)

クローバー(そして、その日の夜…)

クローバー(私は街の外で、日課である棒術の鍛錬をしていた)

クローバー(もともと、私の荷物は多くない)

クローバー(制服と私服をクローゼットに収めて、学院指定の教科書や参考書を机に並べるだけで終わってしまったし…)

クローバー(なにより、なんとなく体を動かしたくて仕方がなかった)

クローバー(今日は色んなことがあったから、気分が高揚していたのかもしれない…)

クローバー「私らしくないわね…」

クローバー(そう思いながらも、ただひたすらに棍を振り続ける)

クローバー(一通りの型の反復を終わらせた時、ふと背後から人の気配を感じた)

クローバー(誰かしら…?こんな時間に)



誰がきた? 

リィン・アリサ・エリオット・ラウラ・ユーシス
マキアス・フィー・エマ・ガイウス・サラ

↓1

クローバー「誰?」

クローバー(少しだけ警戒しながら振り返る。そこにいたのは…)

エリオット「あっ」

クローバー(エリオット…)

エリオット「ごめん。修行してたんだよね、邪魔しちゃったかな?」

クローバー「…気にしなくて良いわ。ちょうど終わったところだったから」

クローバー「エリオットは、どうしてここに?」

エリオット「荷解きが終わったら、ちょっと外の空気が吸いたくなって」

エリオット「そしたら、街道の方で人影が見えたから、気になって見に来たんだ」

クローバー「そう…」

エリオット「でもなんだかすごい動きだったね」

エリオット「いつもあんな風に修行してるの?」

クローバー「ええ。一応、毎日やってるわ」

エリオット「へえ、毎日かあ。だからクローバーはあんなに強いんだね」

クローバー「別に…私は強くないわ」

エリオット「そうかなあ。魔獣の攻撃を受けてもへっちゃらだったし、やっぱりすごいと思うよ」

エリオット「僕なんか、ダンジョンの途中ですでに疲れちゃってたし…」

クローバー「本当に…強くないわ。私は全然、強くなんてない」

エリオット「……………」

クローバー「……………」

クローバー(空気が重たくなったのを感じる…)

クローバー(本当に…。どうしてこんな冷たい言い方しかできないのかしら…私…)

クローバー「その、ごめんなさい…エリオット」

エリオット「えっ…?」

クローバー「私…口下手だから。こういうおしゃべりとか、あまり得意じゃないの…」

クローバー「だから、ごめんなさい…」

エリオット「……………」

エリオット「ねえ、クローバー。僕はね、音楽が好きなんだ」

クローバー「えっ?」

クローバー(ふとなにかを思いついたように…エリオットはそう口にした)

エリオット「亡くなった母さんが、結構有名なピアニストでさ」

エリオット「僕と姉さんは、小さい頃から母さんのピアノを聞いて育ったんだ」

クローバー「……………」

クローバー(エリオットは、色んなことを話してくれた)

クローバー(お姉さんも、実家でピアノ教室を開いていること)

クローバー(友達もたくさんいて、その子たちと一緒に色んな曲の練習をしたこと)

クローバー(そして、その友達と小さな演奏会を開いた時のことも)

クローバー(エリオットは、どの話も笑顔でとても楽しそうに話すから)

クローバー(聞いている私まで、自然と楽しいと感じるほどだった)

クローバー「それは、きっと素敵な演奏会だったんでしょうね」

エリオット「うん。父さんや姉さん、それに近所のみんなまで聴きに来てくれたからね」

エリオット「その分すごく緊張したんだけど、なんとか練習の成果を出せて、結果は大成功だったんだ」

エリオット「あの時はすごく嬉しかったなあ」

エリオット「僕たちの演奏でこんなにもたくさんの人に喜んでもらえたんだって思うと、なんか感動しちゃって…」

エリオット「あっ…ごめんね。すっかり話し込んじゃって」

クローバー「良いわ。聞いててすごく楽しかったから」

クローバー「そういえば、エリオット。どうして私に音楽の話を?」

エリオット「うん。こういう時って、好きな事を話せば盛り上がるかなあって思ったんだ」

エリオット「まあ、僕はちょっと話し過ぎちゃったけど」

エリオット「でもその間、クローバーはすごく熱心に僕の話を聞いてくれたよね?」

エリオット「だから今度は、僕にクローバーの話を聞かせてくれないかな?」

クローバー「私の…話?」

エリオット「うん、なんでもいいよ。僕みたいに好きなこととか、趣味の話でもいいし」

エリオット「クローバーが話しやすい話題ならなんでも」

クローバー「エリオット…」

クローバー(きっと、私が口下手だって言ったからね…)

クローバー(そう思うと、なんだか心が和らいだ気がした)

クローバー「…そうね。棒術の鍛錬を重ねるのは、好きだと思うわ」

クローバー「あとは…趣味と言えるほどのことじゃないけど、料理には自信があるわね」

エリオット「そうなんだ。じゃあ得意な料理とかってある?」

クローバー「これって言うものは無いけど、レパートリーはそれなりに多いわ」

クローバー「お菓子作りとか美味しいお茶の淹れ方とか、そういう事も一通り覚えてるから」

エリオット「うわあ。食べてみたいな、クローバーの料理」

エリオット「あっ!もし寮の食事が当番制になったら、クローバーが作ってくれる日もあるよね」

エリオット「うーん、今から楽しみだなあ」

クローバー「えっ、あの、エリオット…。ちょっと待って…」

エリオット「あはは、やっぱりちょっと気が早いかな」

クローバー「いや、そうじゃなくて…」

クローバー「自信がある、とは言ったけど、あまり期待されると、その…」

クローバー「しばらくちゃんとした料理は作ってなかったし…」

クローバー「みんなの口に合わないかもしれないし…」

エリオット「大丈夫だよ、きっと。みんな喜んで食べてくれると思うよ」

クローバー「…そうかしら?」

エリオット「うん。会ったばかりだから、まだちょっとぎこちない空気もあるけど」

エリオット「でも、みんなすごく優しくて良い人たちだなあって、今日一日を通して感じたから」

エリオット「だから、きっと大丈夫だよ」

クローバー(そう言うと、エリオットは優しく微笑んだ)

クローバー(気休めなんかじゃない…)

クローバー(まるで心から信じて疑っていないような、そんな瞳で…)

クローバー(本当に…。見た目だけじゃなくて中身まで優しいのね。あなたは…)

クローバー「エリオットは…?」

エリオット「えっ?」

クローバー「エリオットは、私が料理を作ったら…喜んでくれる?」

エリオット「うん、もちろんだよ!」

クローバー「そう…」

クローバー「わかったわ。エリオットや、みんなに喜んでもらえるよう頑張るから…」

クローバー「楽しみにしてて」



好感度判定 コンマ一桁
↓1 エリオット

好感度一覧

リィン 0
アリサ 10
エリオット 9←NEW!
ラウラ 7
ユーシス 0
マキアス 10
フィー 8
エマ 5
ガイウス 2
サラ 0

今日は以上です、と言おうと思ったらすでに日を跨いでいましたね

絆だけでは物足りなかったのでサモンナイトの夜会話的なものも採用してみました

ちょくちょくゲームでは無かった日常パートを足しながら話を進めていく予定です

ティゼル「あの~一人で運ぶのは大変じゃないですか?なんなら寮まで運びますけど」

クローバー「大丈夫よ。これくらいなら一人で運べるから」

クローバー(翌日。私は早朝から「ブランドン商店」という食品・雑貨屋を訪れていた)

クローバー(兵は拙速を尊ぶ、思い立ったたが吉日…という言葉もある)

クローバー(行動するなら早い方がいい)

クローバー(結局のところ、私が料理を作りたくなっただけなのかもしれないけど…)

クローバー「それじゃあ、また。見送ってくれてありがとう」

ティゼル「いえ、それは良いんですけど…。本当に大丈夫ですか?」

クローバー「心配性ね。見ての通り大丈夫よ。これでも鍛えてるから」

クローバー(ティゼルちゃんーこの店の看板娘らしいーが心配するのもわかる)

クローバー(このお店は新鮮で質の良い食材が多かったから、ついつい買いすぎてしまったし…)

クローバー(でもこれくらいの荷物なら、私一人でも問題なく運べる)

クローバー(私はティゼルちゃんに別れを告げて、寮への道を歩き始めた)

ティゼル「う~ん…。絶対後で困ると思うんだけどなぁ」

クローバー(数分後…。私は困っていた)

クローバー(両手一杯に荷物を抱えているせいで、寮のドアを開けないからだ…)

クローバー(そういえば…。さっき店を出る時はティゼルちゃんがドアを開けてくれたものね…)

クローバー「迂闊だったわ…」

クローバー(なにが兵は拙速を尊ぶよ。こんな初歩的なミスをして…)

クローバー(「何事も先の先まで見据えて行動するように」と先生からいつも言われてたのに…)

クローバー「はぁ…」

クローバー(やっぱり、らしくないわ…)

クローバー(どうやら私は自分で思っている以上に、新生活の始まりに浮かれているらしい…)

クローバー(とにかく…こんな些細なミスは犯さないよう、気を引き締めなければならないわね)

クローバー(でも、どうしたものかしら…)

クローバー(いくら包みに入っているからといって、食材を足元に置いたりしたくないし…)

ブロロロロロロロロ…

クローバー(この音…エンジン音?)

クローバー(振り返ると、見慣れない乗物に跨った女性が私に笑いかけていた)

黒いツナギの女性「やあ、お困りのようだね。可愛いお嬢さん?」

クローバー「……………」

クローバー(その人は親切にも、寮の中まで荷物を運ぶのを手伝ってくれた)

クローバー「あの…ご親切にありがとうございました。とても助かりました」

黒いツナギの女性「なに、困った時はお互い様と言うだろう?」

黒いツナギの女性「それも相手が可愛い後輩なら尚更だ」

クローバー「あ…。先輩だったんですね。申し遅れました、私は1年Ⅶ組のクローバーといいます」

クローバー「以後、よろしくお願いします」

黒いツナギの女性「フフ、丁寧な挨拶どうもありがとう」

アンゼリカ「私はアンゼリカ。アンゼリカ・ログナーだ」

アンゼリカ「そんなに畏まらず、君にはぜひ親しみを込めてアン先輩と呼んで欲しいな♡」

クローバー(ログナー。ユーシスと同じ四大名門の…)

クローバー「…はい、わかりました。アン先輩」

アンゼリカ「う~ん。まだちょっと固いな」

アンゼリカ「いっその事、愛しい人を呼ぶように呼んでくれたらもっと嬉しいんだが」

クローバー「い、愛しい人…ですか?」

クローバー(ウインクをしながら、アン先輩はそう言った)

クローバー(そんなこと言われても、どう呼べばいいのかわからないのだけど…)

クローバー(いや、でも…。先輩の言うことだし、従わないといけないわよね…)

クローバー「……………」

アンゼリカ「なんて、ちょっとした冗談だよ。そんなに真剣に悩まなくても…」

クローバー「ア、アン先輩…♡」

アンゼリカ「なっ…!?」

クローバー(こ、これは…。なんと言うか…ものすごく恥ずかしいわね…)

アンゼリカ「ク、クローバー君…!もう一度言ってくれないか!?」

クローバー「い、いえ…。すみません、これ以上は…」

アンゼリカ「そこをなんとか頼む!今のはかなりの破壊力だった…!」

クローバー(あまりの食いつきように、少し背筋が寒くなる…)

クローバー(まさか…そういう趣味の人なのかしら…)

クローバー「すみません…ご容赦ください…。本当にその、恥ずかしかったので…」

アンゼリカ「……………」

アンゼリカ「…そうか。仕方ない、そこまで言うなら諦めよう」

アンゼリカ「無念だが…本当に無念だが潔く諦めよう」

アンゼリカ「また次の機会に頼んでみるか…」

クローバー(潔くないです、先輩…。今、思いっきり心の声が漏れてました…)

クローバー「と、ところで、さっきアン先輩が跨っていたあの乗物は…」

アンゼリカ「ふむ、わかりやすく話題を変えてきたな。まあいい」

アンゼリカ「あれは導力バイクと言って、導力仕掛けの自転車のようなものだ」

アンゼリカ「あれに乗って風を切るのが、中々に気持ち良くてね」

アンゼリカ「よく朝に軽くドライブしているんだが、その帰りにちょうど君を見かけたというわけなんだ」

クローバー「そうだったんですか。あまり見かけない物なので少し気になって…」

クローバー「一般に普及している物ではないですよね?」

アンゼリカ「ああ。もともとはルーレ工科大学で試作されていた物でね」

アンゼリカ「それを私と友人たちで一応は完成させたんだが」

アンゼリカ「まだ形になっただけで、色々と課題が残っているというのが現状かな」

クローバー「なるほど…」

クローバー(導力バイク…。確かに、自転車をそのまま導力器にしたような形ね)

クローバー「…導力エンジンを使用しているとなると、馬よりは速いでしょうし、利便性は高いでしょうね」

クローバー「ただ見た感じ多くのパーツがほぼ剥き出しですから、頻繁に整備する必要がありそうですね」

クローバー「搭乗者の安全についても考慮しないといけないでしょうし…」

アンゼリカ「へえ…。なかなか良いところに気がつくじゃないか」

クローバー「あっ…。すみません、偉そうな事を言ってしまって…」

アンゼリカ「いいさ、むしろ感心していたんだ」

アンゼリカ「もしかして君も、機械いじりが好きな口なのかな?」

クローバー「いえ、そういうわけではないんですが…」

クローバー「ただ導力車の整備などは、定期的にしていた事があるので」

クローバー(導力車と言っても、戦車や装甲車だけど…)

アンゼリカ「それはいい!」

クローバー「えっ…あの、アン先輩…?」

クローバー(いきなり両手を握られてしまった)

クローバー(なぜかアン先輩の瞳がキラキラ輝いている…)

アンゼリカ「そんな経験があるのなら心強い!」

アンゼリカ「唐突だが、ぜひ私達の導力バイク制作に協力してくれないか?」

クローバー「えっ…。いえ、私は整備した事があるだけで、制作となると…」

アンゼリカ「構わないさ。私なんか、最初は本当になにも知らない素人だったんだからな」

アンゼリカ「友人の一人が忙しくなってしまってから、人手不足なのもあってね」

アンゼリカ「少しでも良いから、制作に協力してもらえる人材を探していたところなんだ」

クローバー「…そうなんですか?」

アンゼリカ「ああ。なによりあのむさ苦しい技術棟に華が増える」

アンゼリカ「それだけで、私のやる気も上がるというものだよ」

クローバー「は、はぁ…」

クローバー(ど、どうしたらいいのかしら…)

クローバー(なんだか後半の方が本音のように聞こえるのだけど…)

サラ「こら、そこの不良少女!いたいけな新入生に何をしているのかしら?」

アンゼリカ「おっと…。怖い教官殿に見つかってしまったか」

クローバー(いつの間にか、私達の背後にはサラ教官が立っていた)

クローバー(顔は笑っているけど、眉間にしわが寄っているわね…)

サラ「まさかこんなに早く手を出しに来るとは、さすがに私も思ってなかったわよ」

サラ「しかも直接寮まで押し掛けてくるなんて、良い度胸してるじゃない?」

アンゼリカ「フッ。お近づきになりたいとは思っていましたが、今日彼女と出会ったのは偶然ですよ」

アンゼリカ「そう、まさにこの出会いは、女神の巡り合わせ…」

サラ「なーにが女神よ!色ボケたこと言ってないで、さっさと帰んなさい!」

サラ「あんまり居座るようなら、きつ~いお仕置きしてあげるわよ」

アンゼリカ「ふぅ、仕方ない。今日のところは引き下がるしか無さそうだ」

アンゼリカ「それじゃあ、クローバー君。さっきの話、ぜひ前向きに考えてくれると嬉しいな」

アンゼリカ「その気があるなら、暇な時にでも技術棟に顔を出してくれ」

アンゼリカ「アデュー♪」

クローバー「……………」

クローバー(バイクに跨って颯爽と去っていくアン先輩…)

クローバー(なんだか、嵐のような人だったわね…)

サラ「全く、あいつは…。君も気をつけなさい」

サラ「あの子は見境なく女子を口説いてまわってる、2年の問題児なんだから」

クローバー「そうだったんですか…。でも、荷物を運ぶのを手伝って頂いたんです」

クローバー「だから、もしアン先輩を叱るつもりなのでしたら…」

サラ「別にそこまでする気は無いわよ、安心しなさい」

サラ「まあ、言ったところで聞くような子じゃないしね…」

クローバー(確かに…そんな印象を受けたわね)

クローバー(導力バイクの制作…。私に手伝えるようなことなのかしら?)

サラ「そういえば、テーブルにあった大量の食材。あれ、君が買ってきたの?」

クローバー「あ、はい…。たまたま早起きしたので、せっかくだから朝食の準備くらいはしようかと思って…」

サラ「ふ~ん。たまたま早起き、ね」

クローバー「あの…すみません。やっぱりいけませんでしたか?勝手にこういうことをするのは…」

サラ「フフッ。いいえ、大歓迎よ。じゃあ、私がみんなを起こしてきてあげるわ」

サラ「その間においしい朝ごはんよろしくね。食材に使ったミラは後で払ってあげるから」

クローバー「あっ…教官!」

クローバー(最後ににっこり笑うと、サラ教官は階段を駆け上がっていった…)

クローバー(気が向いた人にだけ食べてもらえれば、それで良かったんだけど…)

クローバー「よし…!」

クローバー(ここまで来たら後には引けない…)

クローバー(なんとしてでも、みんなに喜んでもらえる朝食を作らないと…!)



好感度判定 コンマ一桁
↓1アンゼリカ

好感度一覧

リィン 0
アリサ 10
エリオット 9
ラウラ 7
ユーシス 0
マキアス 10
フィー 8
エマ 5
ガイウス 2
サラ 0
アンゼリカ 5←NEW!

エリオット「ふぅ、おいしかったあ!」

リィン「ああ、本当に美味かったよ。クローバー、ご馳走さま」

クローバー「ええ、お粗末さま」

クローバー(幸いなことに私の作った朝食は、みんなに気に入ってもらえた)

クローバー(と言っても作ったものは色んな種類のサンドイッチと、オニオンスープ。それと野菜ジュース)

クローバー(簡単なメニューだからまず失敗することは無いし、誰が作っても大きく差が出る物じゃないと思うけど)

クローバー(まあ…とりあえずは一安心ね)

クローバー「あ…。ガイウスはどうだった?」

クローバー「帝国風の味付けだから、あなたの口に合うか少し心配だったんだけど…」

ガイウス「とても美味かったぞ。一見簡単そうな料理に見えたが、実はかなり手が込んでいるんじゃないか?」

クローバー「そうでもないわ。ただ、美味しく作るにはそれなりにコツがあるわね」

クローバー「たかがサンドイッチといえど、料理というのはほんの一手間で全然味が変わるものだから」

ラウラ「なるほど…。料理の道も奥が深いんだな」

ラウラ「しかし、そなたがこれほど料理上手だったとはな…」

フィー「ちょっと私たちのハードルが上がっちゃったかもね…」

エマ「ふふっ、そうかもしれませんね」

クローバー(まさか、ここまで喜んでもらえるなんて…)

クローバー(嬉しいけど…なんだか照れくさいわね)

うーん、一応特殊な選択肢で選ばれた場合に好感度上げようと思ってたんですけど

今回ゼリカは会っただけで好感度上げちゃいましたもんね

すみません、またちょっと考えます

サラ「こんなに美味しいんなら、毎日でもクローバーの料理が食べたいところね♪」

アリサ「サラ教官?しれっと料理当番をクローバー一人に押し付けようとしてませんか?」

サラ「そ、そんなとこないわよ~。本当に心からそうおもっただけで…」

クローバー「…良いわ」

サラ「へ?」

マキアス「なっ…!?」

クローバー「みんなが構わないなら、私が毎日作るけど」

アリサ「ちょっと、クローバー。本当に良いの?」

クローバー「ええ、大丈夫」

クローバー(こんなに喜んでもらえるなら、毎日だってみんなに料理を作ってあげたい)

クローバー(自然と…私はそう思ってしまった)

マキアス「いや、良くないだろう!?学生の本分は勉強だ!」

マキアス「毎日作るとなると君も大変だろうし、こういう事はちゃんと分担して…」

クローバー「大変じゃないわ。慣れてるから」

マキアス「だ、だが…!」

ユーシス「本人が良いと言っているんだ。任せればいいだろう」

クローバー(…ユーシス)

マキアス「な、何を言ってるんだ!君は彼女一人に負担を押し付ける気か!?」

ユーシス「フン。少なくとも俺が作る物より、クローバーが作った物の方が皆も喜ぶだろう」

ユーシス「もっともサンドイッチしか作れないというなら、話は別だが」

クローバー「…そんなことないわ。レパートリーの豊富さには自信があるもの」

クローバー「次もユーシスを…みんなを満足させてみせるわ」

ユーシス「面白い。期待させてもらうぞ」

クローバー「ええ、任せてちょうだい」

マキアス「……………」

アリサ(な、なんか燃えてるわね…。クローバー)

ラウラ(うん、どうやら料理には並々ならぬ拘りがあるみたいだな)

エマ(少し意外な一面ですね)

サラ「…じゃあクローバー。悪いけど頼んでもいい?」

サラ「もちろん、大変だと感じたり、なにか用事がある時は遠慮なく言ってもらえればいいから」

クローバー「はい、任せてください」

リィン「じゃあ、せめてそれ以外の事は俺たちが分担しないとな」

リィン「皿洗いとか掃除とか洗濯とか、やらないといけないことはたくさんあるし」

クローバー「リィン、皿洗いは料理の一部よ。なんなら掃除とか洗濯も私が…」

リィン「いや、さすがにそれは駄目だ。クローバー一人に何もかも任せるわけにもいかないだろう」

クローバー「でも…」

アリサ「そうよ、気持ちは嬉しいけど。それくらいは私たちに任せなさい」

クローバー「……………」

クローバー「…わかったわ」

クローバー(結局、料理当番とは別に皿洗いの当番も設けられることになった)

クローバー(最初の当番に決まったのは…)

エリオット「空にこだまする明日への鼓動~♪」カチャカチャ

クローバー「…………」ジーッ

エリオット「…………」

クローバー「…………」ジーッ

エリオット「ねえ、クローバー?どうしてそんな離れたところから、じっと僕のこと見てるの?」

クローバー「なんだか、後片付けを人に任せるのが落ち着かなくて…」

クローバー「だけど、みんなで決めたことだから…」

エリオット「あはは、クローバーは働き者なんだね」

エリオット「そうだ。今朝はありがとう、クローバー。朝ご飯すごく美味しかったよ」

エリオット「まさか、こんなにすぐ作ってもらえるなんて思ってなかったよ」

クローバー「…お礼を言うのは私の方」

クローバー「昨日、エリオットがああ言ってくれなかったら…」

クローバー「自分から料理をしようとは思わなかったはずだから」

クローバー「だから…ありがとう」

エリオット「う~ん。僕はなにもしてないと思うんだけど」

エリオット「でも力になれたなら良かったよ」

エリオット「これからも、もし何か困ったことがあったらいつでも声かけてね」

エリオット「料理当番のことでも、それ以外のことでもさ」

クローバー「ええ…。その時はお願い」

クローバー(きっと…。今の私が、誰かに助けを求めることはない)

クローバー(いや…助けを求めようとは思えない)

クローバー(でも、少しずつなら変われるかもしれない)

クローバー(エリオットに背中を押してもらったけど…)

クローバー(自分の唯一の得意なことではあるけど…)

クローバー(今日、私は自分の意思で、みんなのために料理を作ろうと思えたのだから…)

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