前川みく「起きたら水の入ったペットボトルに囲まれてたにゃ」 (18)

みく「……いや、なんで? というか、壁みたいになってるから出られないんだけど……」

みく「もしかして、猫チャンが水の入ったペットボトルが嫌いだとかそういう話?」

??「その通りよ、みく」


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みく「あ、のあにゃん。これ、のあにゃんの仕業? だったら早く出してほしいんだけど」

のあ「……その前に、聞きたいことがあるわ」

みく「何? 助けてくれないんだったらさっさと崩して出るけど、危なそうだから助ける方法があるなら助けてほしいにゃ」

のあ「どうして、怯えてないの?」

みく「起きていきなりこんな状況だったことには驚いたし怯えないでもないけど、ネコミミアイドルだからって水の入ったペットボトルで怯えないにゃ」

のあ「ハァ……」ヤレヤレ

みく「何その反応」

のあ「がっかりよ、みく。そんなことでにゃんにゃんにゃんのリーダーが務まると思っているの」

みく「関係ないし……あと猫チャンが水の入ったペットボトルが苦手っていうの、ただの迷信だからね?」

のあ「……」

みく「……知らなかったの?」

のあ「……だとしても、有名な話でしょう? なら、猫アイドルらしく怯えるような反応をするべきだとは思わない?」

みく「思わないけど……ねぇ、早く出してくれない? それか崩してもいい?」

のあ「ダメよ。それを作るのにどれだけ苦労したと思っているの」

みく「のあにゃんがつくったの?」

のあ「私とアナスタシアの二人で、ね」

みく「アーニャンまで何してるの……」

アナスタシア「呼びましたか? みく」

みく「アーニャンいたんだ……アーニャン、アーニャン。ここから出してくれない?」

アナスタシア「ニェット。みくにはにゃんにゃんにゃんのリーダーらしく、怯える振りをしてもらわなきゃいけませんね? 撮れ高、です」

みく「撮れ高とかいう単語ここで使わないでほしいんだけど……」

アナスタシア「この言葉は、みくから教わりましたね?」

みく「そう言えばそうだった……なんで教えちゃったんだろ……」

のあ「それで、みく。どうするの? もう一度起きたところからやり直してもいいのだけれど」

みく「みく的にドッキリでやり直すのは信条に反するからできればやりたくないにゃ」

のあ「大丈夫。これはドッキリではないから」

みく「え? じゃあどうしてこんなことやってるの?」

のあ「Pの趣味よ」

みく「ちょっとPチャン!? みくも怒るよ! あとで覚えてろにゃ!」

アナスタシア「私たちと反応が違いますね、みく」

のあ「これが信頼の証、なんでしょうね」フッ

アナスタシア「そうですか……プロデューサーとみくの信頼は深いんですね」

みく「いい話っぽくまとめようとしないで! というかもし信頼なんてものがあったとしても今この瞬間に崩れたにゃ! あとPチャン! 見てるなら早くここから出して! 今なら罰も軽くしてあげるから!」

のあ「……ん、了解」

みく「……のあにゃん、それ」

のあ「Pと繋がっているわ。怯える姿を見るまではダメ、だそうよ」

みく「Pチャン趣味悪くない?」

のあ「でも……私にも、気持ちはわかるわ」

アナスタシア「ダー。……私も、少しわかります」

みく「わからないでほしいにゃ……えーと、で、怯える振り、だっけ?」

のあ「ええ」

アナスタシア「名演、期待してます」

みく「ハードル上げないでほしいんだけど……えーと、寝て起きるところから、だっけ?」

のあ「そうね。……それじゃあ、私たちは一度外に出るから、お願いするわ」

アナスタシア「みく、ファイトです」

みく「……あんまり気は乗らないけど、まあ、頑張るにゃ」

みく「……」ゴロン(寝転がり)

みく「……」(寝る振り)

みく「……ふわぁ。よく寝たにゃ」ゴシゴシ

みく「……あれ? ここ、どこ――ひゃっ! な、なんで、ペットボトルがあるの? ひ、光が反射してこわいにゃ……だ、誰か、誰か、助けて……!」

??「わかったわ」

??「ダー」

みく「そ、その声は――」

のあ「私たちが」

アナスタシア「助けます」

みく「のあにゃん! アーニャン! ……いや、このノリ何?」

のあ「アナスタシア。あれを」

アナスタシア「ダー。……持ってきました」(踏み台)

のあ「感謝するわ。それじゃあ、撤去開始よ」

みく「あ、助けてくれるんだ。……何かギミックとかあるのかな。ちょっとだけ、ワクワクしてきたかも」

のあ「……」ヒョイ(ペットボトルを一本ずつアナスタシアに渡す)

アナスタシア「……」ヒョイ(受け取って床に置く)

のあ「……」ヒョイ(ペットボトルを渡す)

アナスタシア「……」ヒョイ(受け取って床に置く)

のあ「……」ヒョイ

アナスタシア「……」ヒョイ

みく「……地味! 手作業! 手作業なんだ!」

のあ「……ここまで撤去すれば、みくも出れるんじゃないかしら」

みく「あ、そうだね。……うん、出れた」

アナスタシア「おめでとうございます、みく。無事でよかったです」

みく「べつに何の危険もないからね……」

のあ「何を言っているの。あの壁が崩れてみくの身に何かが起こったらどうしようかと私たちはヒヤヒヤしてたのよ? こんなことを企画したのは失敗だったかもしれない……そう思っていたわ」

みく「なら最初からしないで! ……でも、まあ、出れたからよかったにゃ。あとの片付けはPチャンに任せて、猫カフェでも行ってのんびりしたいにゃ」

アナスタシア「それなら、今から行きましょうか?」

のあ「そうね。……P、聞こえた? あとは任せたわ。それでは、行きましょうか」

みく「うん。のあにゃんのおごりでもいい? こんなことしたんだし」

のあ「……仕方ないわね。二人とも、今日は私のおごりよ。好きなものを頼みなさい」

アナスタシア「私もいい、ですか?」

のあ「もちろんよ」

みく「やったー。お腹も減ってきたし、お昼ごはんを食べてもいいかもしれないにゃ……ハンバーグ、あるかなー」

のあ「それは私に食べろ、という意味?」

みく「違うにゃ」

アナスタシア「ふふっ……二人とも、本当に仲が良い、ですね?」

みく「これを仲が良いって言われるのは複雑なんだけど……仲が良いのは確かだね。でも、アーニャンも、だよ?」

アナスタシア「……ダー♪」

みく「それじゃあ、行くにゃー!」


――数週間後・楽屋

みく「のあにゃん! アーニャン! 前にあったこと、放送されてたんだけど!?」

のあ「ドッキリだったもの」

アナスタシア「ドッキリでしたから」

みく「放送されるまで知らなかったんだけど!?」

のあ「あれがドッキリじゃないわけがないでしょう」

アナスタシア「ダー」

みく「うーるーさーいー! いいからそこになおれにゃ! Pチャンと一緒に、今からお説教だからね!」

のあ「その前に一言いいかしら?」

みく「……なに?」

のあ「ハンバーグ、おいしかったわ」

みく「もおおおおおおおおおおおおおおにゃあああああああああああああ!」




終わりです。ありがとうございました。

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