サシャ・ブラウス「人類の歴史!!」(6)

・捏造、転載禁止



――― 調査兵団・会議室


エルヴィン「まずは巨人の恐怖と己の力の限界を既に知りながら、勇気を出し私に心臓を捧げてくれた104期の新兵に礼を言う」

エルヴィン「例年であれば兵団をあげた新兵大歓迎会を催すべき所だが、現状を考えればそういうわけにもいくまい」

エルヴィン「まぁ、とりあえずそれはシガンシナの地下室に辿り着いてから、兵団どころか全壁内をあげてのお祭り騒ぎで勘弁して貰うとしてだ」

エルヴィン「君達も訓練所を出たばかりで不安も多いことだろう。 何か質問や悩みでもあれば是非話してくれ」

エルヴィン「あまり大人数だと発言もしづらかろう。 ここには104期である君達と、僅かな幹部しかおらん」

エルヴィン「そうだな…… ケツ毛が濃いとかケツがかゆいとか、ケツの骨が尖りすぎて困っているとか何でも構わん。 是非とも忌憚ない意見を述べて欲しい」


ユミル(そんないきなり言われてもなぁ……)

ライナー(俺のケツ毛はさほど濃い方ではないし、今はかゆくもない上に骨も尖ってない)

アルミン(団長が何を見据えているのかを尋ねたところで、この場では濁されそうだし……)

クリスタ(なんだか緊張しちゃって言葉が出てこないよ……)



エルヴィン「フム… そこの長身の君、何かないかね?」

ベルトルト「僕!? イ、イエその…… 別にありません……」

エルヴィン「そっちの坊主の君は?」

コニー「オレですか? ウ~ン…… 今のトコ、特にないです」

エルヴィン「ハテ…… 困ったな」


  ……シィィーーーーン


アルミン(うわぁ… なんだかイヤな空気が……)

ジャン(ベルトルトの野郎… 最初に当てられた時、適当になんか喋ってりゃ良かったものを……)


リヴァイ「……誰も喋らねぇのか? これじゃ俺がわざわざこっちに戻って来た意味がねぇだろうが。 オイ、そこの小娘、なんか言え」

サシャ「私が? それでは失礼して……」コホン



シャ「……人は何ゆえに芋を食べるのでしょうか」

エルヴィン「えっ?」

サシャ「104期の皆さんももうとっくに忘れてしまったことかと思いますが、これは
訓練兵団・入団式の折、私が教官に対して発言した言葉です」

ジャン「………忘れたヤツなんていやしねぇよ」ボソ

ハンジ「単純に言えば捕食・被食の関係…… 食う側か食われる側かということだけど、もしかしてそれは哲学的な質問なのかな?」

サシャ「自分でもよくわからないんですけど…… でもあらゆる生物は、常に何かを犠牲にして生きていますよね?」

リヴァイ「巨人に関しちゃ、犠牲は人間に限られるがな」

サシャ「では他の生き物と人間との違いはなんでしょうか?」

ハンジ「人を人たらしめているもの?」

エルヴィン「一言では言えんが…… 道徳・倫理・秩序・調和…… 或いは生きてゆくこと以外に目的を見出せるかといったところか」

サシャ「仰る通りです」



コニー「サシャ…… お前、入団式ン時にそんなコト考えてたのか?」

ジャン「いいや、あの時は絶対何も考えてなかった」

リヴァイ「黙ってろ。 ……で?」

サシャ「私はその他にも、歴史や宗教を持つことが人間の特徴ではないかと思ったんです」

ハンジ「まぁそうだね。 魚も獣も遺伝子情報としてそれを備えてはいるだろうけど、歴史そのものを学ぶワケではないし、宗教にいたっては人間が創り出した概念だ」

エルヴィン「私も今の人類の歴史については色々考えてきたものだが…… 実に興味深い」

サシャ「そうなんですよ。 私達が習ったものは 『今の』 人類の歴史なんです」

アルミン「およそ110年前、突如として現れた巨人によって人類は食い尽くされ、残った人間が壁を築いて今に至る…… か」

ミカサ「確かにそうとしか習ってない」

ジャン「兵器の開発史なんかは、また別の話だしな」

ハンジ「ウォール教もそれ以降に発生した宗教だね」

サシャ「でも言ってみればたかだか110年かそこらの話でしょう? 歴史というには短か過ぎますし、それなら実家の隣に住んでるオエコモアさんだってそれくらいの年
でしたよ。 多分」

サシャ「それ以前にも人類は存在していたし、違う神様を信仰していたハズです」

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom