ロジャー・スミス「これが……『スタンド』というものか」 (17)

私が以前居た街について話そう。
『パラダイムシティ』……通称『記憶喪失の街』。
街の住民は皆『40年前の記憶』を失っている。
しかし人々は、まるでそんな事がないかのように過ごしている。
時折思い出す、誰かの『40年前の記憶』に怯えながら。

しかしこの話は全く別の街が舞台となっている。
この街の名は『杜王町』。
これと言った珍しい特徴のない、ありふれたごく普通の街である。
ここの人々は皆それなりに平和に暮らしている。いや、暮らしていた……と言うべきだろう。
ここ数年の間に、この街の行方不明者が全国平均の約5倍以上報告されているそうだ。

何故私がこの街にいるのか。
それは私にも分からない。気がついたらここにいたのだ。
その上私は、この街で『ネゴシエイター』として名を知られているらしい。
しかし私にはその記憶が全くない。
記憶を失った……のかどうかすら定かではない。
とにかく、私は『記憶喪失の街』に戻るため、日々奮闘している。
もっとも、その『記憶喪失の街』が、記憶を失う前の私の妄想なのかもしれない可能性は否めないが。

ロジャー「……………--」

私の記憶では、この街に来る以前は執事がいたはずなのだが。

ロジャー「………不味い」

執事はついてきてはくれなかったようだ。
おかげで毎朝自炊をしなければならない。


ロジャー「ふぅ………」

朝食をとり、身だしなみを整えて、事務所を開けて一息つく。

ロジャー「………薄い!」

自分ひとりではコーヒーひとつまともに淹れられないのか、と情けなくなってくる。


承太郎「ロジャー・スミス氏ですか?」


ロジャー「む」

客人か……日本人にしては大きいな。
200cmはあるだろうか。


承太郎「ロジャー氏と交渉してもらいたい相手がいるのですが」

ロジャー「……聞きましょう」

本来なら女性しか入れないのだが……仕方ない。
ここはパラダイムシティではない。


ロジャー「それで?誰と交渉したらよろしいのかな?」


承太郎「私の祖父に、ジョセフ・ジョースターという人物がいます。そいつに、とある事情があってこの街に来てもらいたいんですが………」


ロジャー「どうかなされましたか」


承太郎「恥ずかしい話、ヤツは隠し子を作っていまして。その隠し子がこの街にいるんです」


ロジャー「なるほど……」


承太郎「合わせる顔がないと、来るのを渋っているんです」


ロジャー「それで私に」


承太郎「ええ。一刻も早く呼び込んで頂きたい」


ロジャー「引き受けました。……これは興味本位なのですが、なぜそんなにも早急に呼び出すんです?」


承太郎「いや……色々と事情があるんです」


ロジャー「わかりました。話せない事情があるなら無理には聞きません。では、報酬の話ですが―――」

結果はさして重要ではないので要約するが、結果的には交渉は成功した。
ジョセフ氏は杜王町にやって来るそうだ。
しかし、話はここで終わらない。

どうにも興味が湧いてしまった私は、迎え入れに同行させてもらった。
しかしそこで『奇妙な出来事』が多数起きたのだ。
そして、その『奇妙な出来事』は、私自身にも降りかかる。

ロジャー「無理を言って申し訳ない」


承太郎「いや、こっちはわざわざ交渉してもらったんだ。これぐらいどうってことはない。しかし……なぜあんなジジイに興味をもったんです?」


ロジャー「私は職業柄、相手の性格や特徴などを瞬時につかみ取れる。しかし、ジョセフ氏はどうにも掴みどころが無かった。どんな顔をしているのか、興味が湧いてしまって」


承太郎「大した顔じゃあないですよ。年の割には体がデカイくらいしか特徴のない老いぼれだからな」


康一「お~い!承太郎さ~ん!!」


億泰「おっ!その人がロジャー・スミスか!」


仗助「………………」


ロジャー「彼らは?」


康一「えっと、承太郎さんの友人……でいいのかな。広瀬康一っていいます」


億泰「同じく、虹村億泰!ヨロシク!!」


ロジャー「あ、あぁ、よろしく」


仗助「えっと………承太郎さんの叔父?になります……その………………東方仗助です」


ロジャー「叔父……か。聞いてはいたがどうにも奇妙だな」


仗助「あは……俺もそー思います」

とりあえず立てた感じだからすげぇアレだ
寝る

4部読み直してみたら全然展開が違うじゃねーかクソったれ

ロジャー「まぁそれはさておきだ。空条氏。なぜこんな何もない場所で待ち合わせなんかを?」


億泰「言われて見りゃそうだな。港からも結構離れてるしよォ~~」


承太郎「………『レッド・ホット・チリ・ペッパー』を警戒してな」


仗助「!」


康一「あ………」


億泰「ッ!!」


ロジャー「……?」


承太郎「昨日伝えたように、もうすぐ仗助の親父…………『ジョセフ・ジョースター』が港につく。そいつのスタンド能力は『念写』だ。つまり、『チリ・ペッパー』の『本体』を見つけ出すことが出来る」


康一「『レッド・ホット・チリ・ペッパー』の………」


億泰「『本体』………ッ!!」バキ


承太郎「しかし………『チリ・ペッパー』がこのことを知ったら、ヤツは確実にジジイを殺しにくるだろう。だからお前達を呼んだ………『チリ・ペッパー』からジジイを守るためにな」


仗助「なるほど……だから極力ヤツの射程距離………『電気』がない所に集まったんスね」


ロジャー「…………水を差すようで申し訳ないが、一体何の話を………」

バリバリッ!!


ロジャー「ッ!?」


承太郎「なんだ!?」


バチッ!バチバチバチ……ッ!!


ズボォッ!!


RHCP「…………」
ドドドドドドドドドド


ロジャー「!?なんだあれは!?」


承太郎「なにっ?あんた………『アレ』が見えるのか!?」


RHCP「『俺の正体』を………『探せる』ヤツだとォ~~?」


ロジャー「っ!喋ったぞ!あいつは一体何なんだ!」


RHCP「しかもそいつは………もうすぐ『港』に着くみてーだなァ~~………」


康一「はっ!あ、あの穴から見えるのはッ!!」


仗助「『地下ケーブル』ッ!!!」


承太郎「抜かった……!!」

RHCP「そいつはッ!『ジョセフ・ジョースター』はッ!!『港』に到着と同時に必ず殺す!!」


億泰「させるかよォ!!」ガオンッ!


ロジャー「!?」


RHCP「おっとォ!!残念だったな億泰ッ!!今の俺は……『フル充電』!街の電気が味方みてーなもんだ……てめーの『ザ・ハンド』が勝てる見込みは……」


RHCP「万に一つもねぇんだよォ~~~!!!!」ドグォォン!!!


億泰「………がっ」
ボト

億泰「うっ………うわああああああ!!!!腕がああああああああ!!!!!」


康一「億泰くーーーんッ!!」


ロジャー(なんだ……!?私の目の前で………何が起きている!?)


ロジャー(億泰の背後から謎の……『人型』の『なにか』が出てきて……そいつの腕がまた別の『なにか』に切断されて……かと思ったら切断されているのは億泰も同じで……)


RHCP「今日のところはよォ~~~………『ジョセフ・ジョースター』を仕留めなきゃいけねぇからよ。見逃してやるよ億泰ッ!あばよっ!!」バチバチッ!!


承太郎「待てッ!………クソっ!」


仗助「………『クレイジー・D』!」ビシィィッ!!


億泰「がっ……ハァ、ハァ」


ロジャー「………もう何も言うまいよ」

承太郎「ロジャー……あんた、この『スタンド』が見えるのか」


ロジャー「その……『なにか』は『スタンド』と呼ぶのか」


承太郎「そうだな……『スタンド』一つにつき『能力』が一つ備わっている。仗助の場合、『傷を治す』スタンド能力だ」


ロジャー「これは……誰でも出せるのか?」


承太郎「いやちがう。少々複雑だが……使える人間は限られている。それとロジャー。あんたは『スタンド』が見える。つまり、『スタンド使い』になりかけているという事だ」


ロジャー「………私が?」


承太郎「なにか心当たりはないのか?」


ロジャー「……………」


億泰「オイ!呑気におしゃべりしてる場合じゃねぇだろ!?港に急ぐぞ!!」


ロジャー「……ということらしい」


承太郎「やれやれ……話はこの件にケリをつけてからだな」

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