男「許嫁との間に愛なんて無い」(61)

男「はぁ?」

父「お前も良い歳だろう。悪くない話だろう?」

男「許嫁なんて聞いてないぞ。いつからそんなの居たんだ。第一、いい歳って俺はまだ…」

父「それが居たんだよ。まぁ、俺と向こうの親が決めた事だ。驚くのも無理もない」

父「安心しろ。器量良し、容姿端麗で今時こんな嫁を貰える奴なんて居ないぞ。」


男「親父…。まさか借金の仇とかじゃねえだろうな?」

父「…。俺の何が気に食わないのかは分からんが、お前はこの家を継いで貰わなければ非常に困るんだ。」

父「俺がどんな思いをしてこの企業を大きくしたか分かるだろう。こんな小さなお前を食わせる為に、そして俺を貶し、笑い、裏切った奴らを見返す為に俺は…」


男「俺は継ぐつもりなんて毛頭ねえぞ。ふざけた事言うなよ。親父が危篤だって言うから来たって言うのによ…許嫁だ?」

父「お前な…誰がここまで育ててやったと思ってるんだ?…」

男「親父…いつからこんな金の亡者になったんだ…?」

父「ふっ…お前には分かるか?…金の力って奴が…」

男「それがこの豪邸か?女をはべらせるのも力か?」


男「……。とにかく俺は継ぐつもりもかみさん貰うつもりもねえ。じゃあな」

スッ


バタン

父「まったく…」

父「まぁ、あいつが帰る頃には着いてるだろう」

黒服「お車を」

男「いい。電車で帰る。」

黒服「お父様のご命令です。」

男「はぁ…。危篤だって聞いたから来ただけだぞ。もう俺は縁を切ったんだ。ただの他人だ。」

黒服「しかし…」

男「ご苦労様。では失礼しました。」






ガタンゴトン ガタンゴトン

男(まったく…電車賃も馬鹿になんねえんだぞ!)

男(仕事もあるってのに…)

居酒屋 アリガトウゴザイマシター!!!!


男「う~。少し飲み過ぎたな…」 フラフラ

男「帰って寝るか…」フラフラ





自宅前

男「…」フラフラ



男「…」ピタッ

? 「……」

男(誰だこの女…俺の部屋の前で何を…)

男「あの、失礼。俺の部屋に何かご用で?こんな夜遅くに」

?「……」 ジッ

?「あなたがこの部屋の方なんですね。初めまして」

?「不束者ですがよろしくお願いいたします」ペコリ

男「…?誰ですかあなたは?」

許嫁「許嫁です。あなたの妻です。お話は聞いておられないのですか?」

男「はあ?」

男「それじゃ、あんたが親父が言っていた…俺の許嫁って…」

許嫁「そうです。外に居ると風邪を引きますよ。中へ早く入ってください」

男「ちょっと待った。俺はたった今、俺の親父に妻を貰い受ける話を断って来たんだ。」

男「だから安心して帰りな。」


許嫁「それは困ります。書類上はですがもう私達は正式な夫婦ですので」

男「!?…。待て、誰が籍を…」

許嫁「…? あなただと思いますが…」

男「待て待て待て」

男「俺があんたと夫婦??」

許嫁「そうです。今日からここが私達の住まいなのですね。」

男「ちょっと待て、ふざけたこと言ってるんじゃ…」


許嫁「ふざけていません。私は小さい頃から旦那様になる人が居ると聞かされ育って来たのです。そして待ちに待った今日が来ました。」

男「……。俺は聞かされてなかったぞ?」

許嫁「私は聞かされました」


男「…。じゃ、離婚しよう。離婚して実家に帰ってだな」

許嫁「帰る家はありません。私には家族が無いのですから。」

許嫁「無責任です。」

男「おいおい…。それはこっちの…。」

許嫁「…」ジワッ ポロポロ


男「っ!? な、泣くな! わかった! 悪かった!」


許嫁「ご、ごめんなさい…」

男「いや…。そのだな…。」






男「……」

許嫁「……」

男「た、タバコの煙は嫌か?嫌なら…」

許嫁「構いません」

男「そうか…」

男「…」スパーッ

男「あんた。昔っから自分が嫁に行くの決まってて嫌じゃなかったのか?」

許嫁「わかりません。でも、決まってたことですので」

男「俺は全く知らなかったから悪いんだが…。あんたの両親と親父の関係は分かるのか?」

許嫁「仕事でしょうか」

許嫁「申し訳ないのですが私の両親はあなたのお父様に多額の借金をしていました。」

男「……」

許嫁「ですから私は人質と言ったところでしょうか」

男「……。歳は?」

許嫁「18です。」

男「18だぁ? あんた学校は、大学は…」

許嫁「諦めました」

許嫁「両親は色々とあってもう居ません。借金もある。ですが婚約者としてあなたが居ました。ですからそれで幸せなのかもしれないです。」

許嫁「あなたの婚約者でなければ、今頃はどこかに連れてかれてました。気を悪くしないでくださいね。私は」


許嫁「あなたを愛してるとか、好きだとか、そういう感情が分かりません。でも妻として出来ることはします。お父様にもお世話になりました。ですから恩返しだと思ってください。」


許嫁「ご飯もできるだけ好みに合うようにします。どこでもお供します。抱きたいなら抱かれます。」

許嫁「これからよろしくお願いします。」

男「今日の所は寝ろ。」

許嫁「いえ、晩御飯を」

男「俺は食ってきた。俺はもう寝る。明日も早いんだ。お休み。」

許嫁「あっ…。」

パタン

許嫁「……。」


許嫁(アレが私の夫…)

スーッ

男「? どうした。 ああ、布団か。奥の部屋の押入れに入ってる。」

許嫁「…」 スッ

男「なんだ?」

許嫁「ここで寝ます。」

男「は!?? 」

許嫁「夫婦は一緒に寝るものだと」

男「あんた、俺たちは今日初対面で…」

許嫁「でも」

男「あんたなぁ…。俺が悪い男だったらどうすんだ。」

許嫁「悪い男の前に夫です。」

許嫁「言ったでしょう。何でもします。」


男「はぁ…。勝手にしろ…。」

許嫁「お仕事の用意ですか。」

男「…そんな所だ。 俺は教師でな。」

男「今年で2年目だ。 中々大変だよ。」

許嫁「そうですか。」

夜中

男(しかし参ったなぁ…。)

男(親父は相変わらず…。それにどこから出てきたか許嫁が…。)

男(親父…どこまで暴走するんだ……)

男(どこで…間違っ…)

男「zzz」


許嫁「…」

翌朝

チュンチュン  

男「zzz・・・。 んん・・・! ふぁ・・・」 ガバッ

男「ふぁーぁ・・・。朝か・・・」

ガララッ

許嫁「! おはようございます」

男「あっ、ああ。おはよう」

許嫁「朝ごはんできてますよ」

男「うおっ。随分と豪勢だな・・・」


男(どうやら本当にかみさんを貰ったらしいな・・・)

男「ではでは・・・。いただきます」

カチャ モグ  ズズズ

許嫁「・・・」 ジッ

男「なんか俺の顔についてるか?」

許嫁「!っ、あっ、いえ・・・」

男「おいしいよ。特にこの味噌汁。人に料理を作ってもらったなんていつぶりだろな・・・」

男「抜群だな」 ズズズ

許嫁「それは・・・。良かったです・・・」

男「それよりあんたも食べなよ。冷めるぜ」

許嫁「・・・はい」 スッ

男「さて・・・。今日は3組からか・・・」 シュルッ クイ

男「よし。じゃ、俺は行く。あんたは・・・。まぁ、好きにしてくれよ」

許嫁「これを」スッ

男「? 弁当か! あんた・・・そんな事までしなくても」

許嫁「私は妻です」

男「・・・ありがたく食べさてもらうぜ。 じゃあな」

許嫁「あっ、ちょっと。ネクタイが・・・」 キュッ

男「!・・・。あ、ありがとう。 じゃな・・・」

ガチャン バタン



許嫁「・・・はぁ。 好きにしろ・・・ですか・・・」

学校 昼休み

キーンコーンカーンコーン   ワイワイガヤガヤ

男「さてと」 スッ

同僚「あらっ。あらっ?あらららっ?」

男「なんだよ」

同僚「なんだよって・・・。先生、弁当なんて・・・」

男「あー、ああ・・・気まぐれでな!ほら自炊したほうがやすあがr」 パカッ

男「」

同僚「ほー・・・。自炊でそのハートマークのそぼろ弁当ですか・・・?」

同僚「いつのまにできたんですか良い人」

男「は、はははは。まぁ。いい年ですから?」

同僚「僕の嫁にもこんなの作ってもらったことないですよ。ははははは」


男(あ、あいつ少し夫婦ってやつを勘違いしてねえか?)

教室

キリーツ  キョウツケー レイ!

男「はいはい。じゃ、今日最後の授業だから頑張ってきいてください・・・。前回!二次世界大戦ドイツn」

女子生徒「せんせー!」

男「ん?なんだ!」

女子生徒「先生いつのまに彼女さん出来たんですか?」

男「ブッ」

エー!! ホントカヨ!! マジデ?

ザワザワ

男「お前どこでそれを!!」

女子生徒「えー?同僚先生が言いふらしてますよー!隣のクラスから聞きました!」


男「あんの阿保・・・。はい!先生の彼女の話は終わり!!授業!」

エエエエエ

男「ええじゃないよ!」

放課後

同僚「ふんふふーん♪」

男「おいこの野郎」ヌッ

同僚「あっお疲れ様です!」

男「お疲れじゃねえよ!!おめえ何言いふらしてんだ!!」

同僚「えー、だって本当のことじゃないですかー」

男「まぁ間違ってはねえけどさ・・・」


同僚「どうです?この後一杯?話聞きますよ」 クイッ

男「・・・はぁ。まったくこの男は・・・」

居酒屋

同僚「ブーッ!!!!!」 ブッシャー

男「ぐあああ!!きったねえ!!」

同僚「ごほっ!!ごほごほ!!だって嫁さん貰ったって・・・、結婚したって先生・・・」

同僚「今までどんだけ上手く隠してきたんですか!!!!」 キシャァァ

男「隠してきたわけじゃねえよ。そして彼女が居たわけでもねえ」スパーッ

同僚「???? どういうことですか? 彼女いなかったのに結婚??」

男「・・・。昨日帰ってきたら居た」

同僚「先生・・・。とうとう拗らせすぎて妄想を現実と・・・」

男「ははっ、俺も夢見てんのかと思ってるよ・・・」

同僚「・・・。先生のお父さんて確かあの今急成長中の大企業の」

男「いつの間にか・・・。婚約者が決められてたらしい」

男「俺はとっくに縁を切ったつもりだったが、どうやら向こうはそう思ってなくてな」

男「危篤だって嘘こかれて呼び出されてみたら・・・あの弁当ってことよ・・・」スパーッ

同僚「っへー・・・。そんな結婚もあるんですねー・・・。僕なんて今の嫁落とすのに何年掛ったか・・・」

男「はっはっはっは!!」

同僚「笑いごとじゃないですよぉ。最初なんて目も合わせてくれなかったんですから・・・」

男「ほぉ・・・」

同僚「愛が通じたんでしょうね!愛が!」

男「愛ねぇ・・」

男(俺たちの間には・・・)

男「ヒック うう・・・。酔っちまった・・・」

ガチャッ

男「ただいま・・・」

許嫁「おかえりなさい」

男「おお・・。ただいま。寝てなかったのか」

許嫁「ええ。晩御飯をと」

男「ああ。そういや連絡してなかったな・・。」

許嫁「晩御飯、下げますか?・・」

男「いや、いただくよ」

男「うん、んまいな」 モグモグ

許嫁「・・・」

男「今日は・・」

許嫁「はい」

男「何かいいことはあったか?」

許嫁「えっ・・・んー。ありました」

男「そうか・・・。そいつは良かった・・・」モグモグ


許嫁(ごはんが美味しいって・・・)

許嫁「私、先に寝室に居ます」

男「ああ、俺ももう寝るよ・・てかやっぱり一緒に寝るのか?」

許嫁「夫婦はそういうものだと」

男「確かにそうだけどさ・・・。 その・・・なぁ?」

許嫁「私は構いません」

ガラッ

男「」

許嫁「??」

男「おい」

許嫁「はい」

男「なんだこの枕」

許嫁「yes noと書かれた枕です」

男「意味、わかるか」

許嫁「さぁ?」

男「ならよかった。とりあえず明日から普通の枕にしろ」 ドコデカッテキタンダ・・・

許嫁「でも夫婦にはこれが・・・」

男「お前は何を教えてもらったんだ!!」

週末

カチャカチャ

男「うん、おいしい」モグモグ

許嫁「ありがとうございます」

男「土日か・・・」

許嫁「普段はどう過ごされてるんでしょうか」

男「うん?そうさな・・・。散歩して、居酒屋で一杯ひっかけて、寝るだけよ」

許嫁「そうですか」

男「ああ・・・。散歩だ・・・。あんたも来るか?」

許嫁「・・・」

男「あんたの自由だけどな」

許嫁「・・・行きます」

男「そうか。ならこの町少し案内するか」

公園  ベンチ

男「とまぁ、ここが暮らしてる町だよ。」

許嫁「生徒たちに好かれてるんですね」

男「ふふっ、まぁな・・」

男「まだ18だったよな・・・高校時代は楽しかったか」

許嫁「・・・いいえ」

男「・・・」

許嫁「私が高校に上がるころには家は貧乏でした。家計を助ける為にアルバイトの日々でした。
家には借金取りが・・・」

許嫁「思い出して楽しかったことは・・・ありません・・・」

男「そうか」

許嫁「でも・・。まだ嫁いで1週間ほどですけど・・。今が生きてきて・・・一番平穏です」

許嫁「正直言って不安でした。とても嫌な人だったらどうしようって。でも男さんは」

男「さぁ、どうだかな」 スッ

男「俺は親父の息子だぞ?借金を仇に勝手に婚約させられて、人生をつぶされたもんだろう」

男「少しは恨んだ方がいいんじゃねえか・・・」

男「ま、俺と居れば金の心配はねえか」

許嫁「・・!」ウルッ

許嫁「私は・・・。そんなお金を目的で・・!」


男「分かってるよ。あんたの環境じゃ、行くも地獄行かぬも地獄だったろう。覚悟決めて来たんだろう」

男「ただ、俺はな・・。そんなによ・・。自分を殺すな・・。俺に全部合わせて人形みたいにだ・・」

許嫁「・・・」

男「あんたが覚悟決めてきた以上、俺にも責任がある。あんたは俺が面倒みるよ」

男「前に言ったな・・無責任だって」

男「その責任は果たすぜ」

許嫁「・・・ありがとうございます」

許嫁「もっとも・・・お義父様からは男さんから絶対に離れるなと言伝を貰ってます・・・」

許嫁「男さんなら・・・私を絶対に守ってくれると・・・」


男「・・・」

テクテク

許嫁「教会?」

男「ああ。ま、キリスト教って訳じゃないんだが。ここはいつでも空いていてな。考え事するときによく来る」

男「こんな静かな所はあまりないだろう?」

男「それに・・・」


神父「やあ!また来たかねって、おやおや?」

男「どうもこんばんわ」

許嫁「・・・」ペコリ

神父「ほう君もやることやっとるんだな!」ハッハッハ

神父「こんな可愛い娘、どこで捕まえてきたんだね?」

男「ふふっ、ある日家に帰ったらいたんだよ」

神父「何?面白い冗談だな!」ハッハッハ

許嫁「妻です」ペコリ

神父「はっはっ、はぁぁぁぁ!!??」 ハーン

男「本当に家に帰ったらいたんだよ」


神父「な、な、なんと・・・」

男「許嫁なんだよ」


神父「び、びっくりしたぞぉ・・・」

男「先週嫁いできてな、休日の散歩がてら町紹介してたんだ」

神父「ほう。それはそれは。さしずめこの教会に来たのは結婚式を挙げに来たのかね?」ハッハッハ

男「ふふっ、まぁそんなところよ」

許嫁「・・・」ジーッ


神父「・・・。あれは十字架に架けられたイエス様だ。私たち人間の罪の全てを背負って下さった」

神父「この通りこの教会はいつでも開いているから、何か困った時、辛い時はここへ来なさい」

男「どうやら神様とやらが救ってくれるらしいからな」

神父「それは違うぞ男君。神は・・・」

男「あー、あー、あんたの話は長くなる!」

神父「神は求める者にこそ手を差し伸べるのだよ。向こうから来るものじゃぁない」

男「・・・らしいぞ?」

許嫁「・・・はぁ」

神父「ま、とにかく気が向いたら来なさい!では、私は仕事があるのでな!」


男「もう夜だってのに、神父って仕事も楽じゃないらしい」

許嫁「・・・お腹空きましたね」


男「ああ・・・。なにか食って帰るか」

許嫁「はい」

中華料理屋

テレビ ナゾノフシンシアイツグ! ヒガイシャハシャク・・・

ギョウザイッチョウ!! ラーメンリャン!!

男「おお来た来た」

許嫁「・・おいしそうですね」

男「五目やきそばは俺の大好物でな」

許嫁「今度作りましょうか」

男「本当か?嬉しいね」

カチャカチャ モグモグ

男「よくガキの頃・・・俺たちが貧乏だったころに親父とこういう中華料理屋にくるのがたまの贅沢でな」

許嫁「・・・」

?「仕事の依頼だ」

「報酬は?」

?「これでどうだ」ドサッ

「んん??これはちと多過ぎはしないですかな?」

?「重大な依頼だからな」

?「金さえ積めば消してくれるんだろう?」



神父「内容にも寄るがね」

?「消してほしいのは許嫁の旦那だというこの地区で教師をしてる男って奴だ」

神父「…」

?「こいつはかの○○財閥の御曹司でな。○○財閥はこっちの方で色々と対立していてるもんでね」

?「○○財閥トップはもう歳だ。どうやら聞く話だとそろそろ跡継ぎを立てたいみたいでな。」

?「あの若造がトップに据えられるとこっちも都合が悪いんだよ…。」

?「まさかポッと出の弱小企業がこんな大きくなるとはな…。それが財閥となって今や弱小企業の駆け込み寺みてえになっちまいやがった…。」

神父「…」

?「あとこの許嫁の両親は色々とこちらにも借りがあるんでね。彼女の誘拐も請け負って欲しい。」

神父「ふむ。私は拐いはやらない。どうやら大企業同士の争いじゃないか。それにたかが妻をそんな大企業がさらってどうするというのだね」

?「ふふっ。大企業ってのは違うかな?それにあんたには関係無い話だ。まあこの俺が大層にお熱って所かな」

神父「ふーむ…。帰ってくれ。私は仕事を選ぶでな」


?「…。断るってのか?」

?「晴らせぬ恨みを晴らし、許せぬ人でなしを消すってのかか?ふ、とんだ正義のヒーローがいたもんだな?え?」

ヒュッ

タンッ

神父「帰るといい。帰路には気をつけて。神のご加護があらんことを」

?「っ…!!!!」(なんちゅう精度のナイフ投げだ…!!頚動脈を狙いやがったのか!?)

?「こ、後悔するぞ!!」


神父「……」

邸宅

父「ゴホッゴホッ…」

メイド「大丈夫ですか?」

父「ああ、心配ない…」

メイド「…最近お疲れのようですね」

父「…なんとしてでも息子を次のこの財閥の長に据えなければならんのだ」

父「この財閥は…いわば君達のような…借金に追われた者達の最後の砦みたいなものだ…」

父「悪どい取り立ての果てに首を吊った者もいる…カタとして泣く泣く娘を売った者もいる…苦しむなら家族を巻き添えに…俺はそういう家族を…企業を見てきた…」

父「俺も首を吊る側だったんだ…だがチャンスを貰った。それが…ゴホッゴホッ!!」

父「ここは追われてる者達の隠れ蓑だ…。潰される訳には…。特に…奴等には…」ヨロッ

メイド「会長!」

父「ふふっ、息子や周りからみれば女を囲うロクデナシにみえるらしいな」

メイド「……」

父「さて、どうしたものか……」

男「うー。食った食った!」

許嫁「…」

男「なんでそう一歩後ろを歩くんだ?」

許嫁「妻は夫の半歩後ろをと習いましたので」

男「どうも歩きにくいな…」

許嫁「では…」キュッ

男「えっ、あっ、て、手繋ぐのは早いんじゃ?」

許嫁「そうでしょうか?」

男「ま、まあ一応夫婦だからいっか…」

許嫁「ええ」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年02月27日 (火) 17:17:57   ID: Meeqk7HI

借金の肩にされて来たのに許嫁でも何でもねぇだろ( •́ฅ•̀ )クッサ

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