花丸「夜の営み」 (24)

花丸「愛してるよ、善子ちゃん」

そう言ってマルは善子ちゃんに唇を重ねた。

善子「ん…………ふっ……」

善子ちゃんの唇のやわらかさを、息を凝らして一切の動きを止めて味わう。
しばらくそうしていたが、やがてゆっくりと鼻腔から呼気を抜き、触れ合わせた唇をさらに押し付けると、マルの裸の腕を掴んでいた善子ちゃんの手に力が篭るのが分かった。

花丸「んふっ……………」

薄く目を開いて、口付けしたまま善子ちゃんを見る。
完全に成熟に至っていない顔を、マルの吐息が頬をくすぐるたびに睫を震えさせる様子を、善子ちゃんが目を閉じているのをいいことに至近距離から眺めた。
瞼を閉じた善子ちゃんは美しく、それでいながら誰もが可愛らしいと思える様子をとどめていた。
少女と大人の女の境目に、今善子ちゃんはいる。


両側から善子ちゃんの頬を挟み込むようにしていた手の平を、一方は頭の後ろへと廻し、もう一方を顎に添える形にして、触れるだけだった唇で啄んでやる。

花丸「ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ」

善子「んっ、ふ……」

二、三度啄んで離すと、善子ちゃんが目を開いた。
鼻先同士が触れるほどの近さで目が合うと照れたように視線を逸らす。
それが可愛くて、啄んでは放しを繰り返す。
おかしなことに善子ちゃんは唇が遠ざかるごとに目を開き、そのたびに目と目同士が合ってしまって恥ずかしがっている。

羞恥で善子ちゃんの体に熱が入ったのを確認し、次のステップへと進むことにした。
鼻先を触れ合わせたまま、啄むことりキスを繰り返しながら、耳の後ろをくすぐる。
襟足を中心に指先を震えさせて、首元から顎のラインを往復させていく。

善子「ふぅん、ん……、ん……、んっ」

くすぐったいのかマルの指が毛の生え際にかかるたびに、首をすくめ、肩を震わせる。
キスをしているせいで、唇を通して善子ちゃんが抑えようとしているのに漏れる声が振動として伝わり、マルを愛撫する。


いとおしくてたまらない、唾液を纏わり付かせた舌で善子ちゃんの顔を舐め回したい。
口を開かせて上から唾を垂らしたい。
それでもここは我慢して沸き立つような下半身のうずきを堰き止め慎重な動きを続ける。

善子「ふっ、うんっ、あ……、あ……、あんぅ、 ん……」

二の腕を掃くように指先で触れながら、善子ちゃんをベッドに横たわらせて愛撫を続ける。

腕の外側を手の平に向かって下ろしていく。
焦ってはいけない、指先を軽く曲げ手型を作り、動かす時も速度はゆっくりと、触れるか触れないかを維持する。
言うなれば産毛を逆立てる程度の接触で、触られることを常に意識させる。
動きを遅くしているのは、早く滑らすようにだと、せいぜいが皮膚表面の摩擦だけしか感じ取れない。
しかし刺激をことさらに微弱にすることで、善子ちゃんの体の側に存在する肌の下の感覚に訴えるために。

善子「ふっ、あんぅ、あんっ」

手の平を上向かせる。
普段は内側にあり毛も薄く白い前腕を撫でていくだけで善子ちゃんは声を上げる。
肌と肌を接触させることで、善子ちゃんの体温は高まってるのだろう、発汗作用と血管拡張により緩やかなむず痒さを感じてる。
圧し掛かるように善子ちゃんの肌に胸を乗せる、愛撫をするごとに自然を姿勢が変わり、滑らかな体同士が擦れ合う。

善子「あっ、あっ、あっ、あぁ、あっ」

手で腕を這い昇り、肩を撫で、鎖骨と首元を通過し、脇腹を撫でる頃には善子ちゃんは完全に出来上がって、指先が触れるだけで身をくねらすようになっていた。

善子「あんっ、あぅん、あんぅ、あっ、あっ、ああぁ」

マルの手先は腕の付け根の窪み、腋と言われる部分へと到達した。
汗が溜まり、匂いを発する箇所だけに、触れられるだけで羞恥がきついはずだ。案の定、善子ちゃんの顔は真っ赤に染まりだした。
しかしマルはそれに構うことなく、しばらくの間舌を這わせてその薄い塩味とかぐわしい匂いを堪能し、満足してから次の箇所へと進んだ。

あばら骨。
胸郭を取り巻く骨の畝も、脇の一部分。
ここも逃すことなく、指先で触れていく。

あばら自体はあまり感度が良くはない、けど胸のなだらかな隆起が終わる箇所では、乳房を直接責めるのとはまた違ったうずきが、胸に発するはず。特に入念に刺激を与える。

善子「うっ、ふぅん、んぅ、あんっ、あぅ、はぁ」

へそを中心に平な腹筋を皮下脂肪の下に感じながら、手の平でゆっくりと擦る。
まさか善子ちゃんは、お腹が性感帯になるとは考えたこともないのだろう、腹を撫で擦られるだけで、自分が喘ぎをあげてしまう不思議に、戸惑うような色をにじませながらも息を荒げている。

お腹に触れながらも責める手は緩めない。
乳房の付け根と肋骨をひとまとめに触れた後、いよいよ本格的に善子ちゃんの肉体を味わうべく、刺激を一段強めることとした。
善子ちゃんのお腹の中心部を、円を描いて手で擦る動きはそのままに、片手で脇の背中と体の前面を割るラインを指を立て気味に動かす。
子供がくすぐり合いっこした時に、誰が触れられても身悶える場所と言えばいいのだろうか。そこを、じっくりとくすぐる。

善子「あぅ、あっ、あっ、ああぁ、はぅ、あぅ、 あっ、あっ、あっ」

ざりりりっと善子ちゃんの踵がシーツを乱す音が大きくなった。
手の平で汗ばみ始めた善子ちゃんの皮膚の感触を感じ取とり、体に口を付ける。
腰骨のすぐ上にある、ぽっこりと膨らんだ肉を、唇を使って軽く吸う。

善子「んぅ、あんぅ、んぅ」

さっきキスした時に使った啄む動きで、腹の肉を、唇を使って感じさせていく。

善子「んあぅ、ん、ふぁん、あん、ん、ふぁ」

善子ちゃんの体は全身が筋肉質で細身だが、さすがに思春期の女の子である以上は自然と肉が付いてしまうことは避けられない。
シルエット自体は締まってはいるものの、下腹部と脇腹にだけは脂肪がついており、やや膨らんだ按配になっている。
唇をやわらかな部分に押し当て、そんな善子ちゃんの肉体がいとおしく、体に跡が残るほど強く吸ってしまう。

指先で皮膚下の神経を掻かれる刺激か、それとも舌のぬめる軟体生物のような感覚の与える快感のせいか、膝が立ち上がってくる。
呼吸をますます荒げ、足でマルを振り払おうとする善子ちゃんだが、そうはさせまいと膝に、ふくらはぎに、脛に、口を付け、吸い、あるいは歯をほんのり軽く立て、甘噛みをする。
性感など生まれるはずのない足に触れられてすら、善子ちゃんは喘ぐようになっている。

善子「あぁ、あっ、やっ、やぁ、どうして…………、どうして? うんぅ、くすぐったい……」

その声には、脛などが交わる際に触れられ、感じさせられる場所などと、想像もしたことないと言う驚きに満ちている。

善子「ふくらはぎが、ふぅ、あぁ、変よぉ、膝にキスされて……、わたし、感じてる……、はぁぅ」

戸惑う喘ぎを肴に、足の先端まで達すると、踵を包むように手で支えながら、足を座ったままの自分の口元に届くほど持ち上げ、親指を口に含んだ。

花丸「れろっ、んふっ、れろれろっ、ぷちゅっっ」

善子「えっ…………」

足の親指を、いきなりしゃぶりだしたマルに、善子ちゃんは言葉もない。

花丸「んふっ、んふっ」

口内で親指を転がしながら、うれしくて思わず笑ってしまう。
じゅぶじゅぶになるまで口に含んで、足指をしゃぶり尽くした後吐き出すと、舌先からの親指に渡って唾液が糸を引いた。

花丸「んふ、ぷちゅっ、んふふっ」

善子ちゃんの若干戸惑うような表情に、マルは目を細めて視線を合わせてる。
マルと善子ちゃんは既に何度も愛を重ねていた。

体を交わらせることをマルとともに知った善子ちゃんは、女子であって少女ではない存在になっている。
首筋、耳の裏、髪の生え際、腋の窪みといった箇所は清潔に保たれ、匂いが薄かった。

子供なら面倒がって洗うのに手抜きしがちとなる箇所だが、一旦性交を知ってしまうと、体を沿わせるだけでも匂いが気になり、特に風呂に入った時に念入りに手入れするようになる。
性器もまたしかりである。

花丸「はぶっ、ん、じゅる、ふ、あふっ、れろれろっ」

指の股に舌を差し入れ、擦りあげると、酸っぱい味が口の中に広がる。
さすがに、善子ちゃんは足の指までは舐められることを想定していなかったようだ。

土踏まずをくすぐられて、肩を揺すって身を捩る善子ちゃんを眺めながら、足裏をそれこそ唾液に塗れていないところが無くなるまで、舐め続けた。

足の裏の皮がふやけるほどしゃぶり尽くしたあと性器に向かう。


力が抜け去り、だらりとした善子ちゃんの股の間に、体を割り入らせる。
膝で内腿を押すようにしながら、前へと進んでいくと、股関節を中心に自然と足は開いていった。
顔を徐々に善子ちゃんの秘部へと近づけ……。

花丸「……っ!?」

……突如、目の前の光景が歪み始めた。
強い目眩がする。どうしたんだろう。異様に目蓋が想い。このままじゃ倒れ……。
どうやらマルはここで意識を失ったようだ。恥ずかしいやら情けないやらの感情を抱く間もなく、マルの上半身は前のめりに善子ちゃんの股の方と倒れ込む……。


善子「おっと……危ない危ない」

私は花丸のぼんやりした表情を事前に読み取り、咄嗟に両腕を前に突き出して倒れてきた花丸を受け止め、そのままずるずると移動させて私の横へと寝かせた。

善子「やっと睡眠薬が効いたのね……」

私はほっと一息つく。ここからは私のターンよ……。頑張るのよ、私……。
……夜の営みはいつもアンタからだった。というか、キスすらいつも花丸に任せていた。私からはほとんど何もできなかった。
いつもアンタばかり私を攻めててずるいと思っていた。でも、それは花丸が悪いのではなく、私自身が駄目だった。
本当は攻めたくても、肝心の攻める勇気が出なかった。今日こそ……今度こそは、私の番。眠らせて、卑怯だと思われても……慣れるための第一歩なんだから。

善子「愛してるわ、花丸」

そう言って私は緊張しながらもなんとか彼女の両頬にキスをし。

善子「ちゅっ、ちゅっ、……んっ……ちゅ……、ちゅっ……」

その後、やっとの思いで花丸の唇にキスをすることができた。こんな調子じゃ先が思いやられる……。
しかし、チラッとひどい欲望が脳裏をよぎる。

安らかに眠っている、可愛くて綺麗な天使のような寝顔の花丸。
その愛おしい顔に……私の恥部を擦り付けたい。

数十秒逡巡してから、性行為どころかキスすら自分からする勇気の無かった私の脳内は、狂った決断を下した。

善子「あっ、あっ、はぁっ、ぅああっ、はぅっ、はっ、はな、まるぅ……っ」

眠っている花丸の顔に自身の性器を擦り付ける私。花丸の唇や鼻が私の局部と擦り合わさり、心地良い刺激となる。
こんなことをしばらくし続けても、花丸は目を覚まさなかった。薬の効き目は抜群だった。

安らかに寝息を立てて無抵抗な花丸に対する、倒錯した欲望をぶつけている背徳感やら、自分の恥部で花丸の顔を汚しているという罪悪感やら。
湧き出るそれらの感情は、私をネガティブにするどころか、却って私の心を興奮へと駆り立てた。

私の愛液でじっとりと濡れた花丸の顔を見て、私の気持ちはさらに昂る。どこか吹っ切れた私は、勢いと興奮に身を任せ、愛おしい花丸の身体へと顔を近づける。
唇で、舌で、じっくりと愛撫を。薬の力で熟睡している花丸に、私からの愛を。たっぷりと、注ぐのだ――
 

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