王「ええい、我が軍は一体何をしておるのだ!」 (46)



王「一方的にやられてばかりではないか!」

側近「畏れながら・・・」



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側近「わが軍と敵軍の戦力は互角。しかし、ここまで圧倒されるのは」

王「何だというのだ」

側近「やはり、采配による所が大きいのではと」

王「ぐ・・・!」



王「ええい、貴様たちがしっかり戦わないからこうなるのだ!」

王「どうせ采配のせいにして、手を抜いておるのだろう!」

側近「いえ、皆のもの一堂死力のかぎりを尽して戦っております」

王「嘘をつくな!明らかに敵軍の方が動きがよいであろうが!」

側近「王、お言葉ですがそれは焦りのあまり冷静さを失っておいでです」



王「くそっ・・・。もはや、ここもいつ攻め込まれるかわからぬ・・・」

側近「ええ。防衛線はすでに突破されております。時間の問題かと・・・」

王「・・・こうなった以上は」

側近「王?」

王「予は、ここを捨てて逃げる。お前たちは、敵軍をその命を持って食い止めい!」

側近「お、王!私たちを見捨てるつもりですか?」



王「こうなったのは、そちらがまともに働かなかったからだ。それに」

王「そちらの代わりなど、いくらでもおる」

側近「・・・」



王様「しかし、予の代わりなどいない。予が討たれるという事は、
   国そのものが無くなるという事と同じことなのだ」

側近「し、しかし、今まで王様に仕えて来た我々の立場は・・・」

王様「ええい、立場が何だというのだ!そちらの代わりなどいくらでもおると言ったろう!」

側近「・・・」



ウォォォー・・・

王「・・・むっ、そろそろ逃げねば。それでは」

王「くれぐれも、その命の限り敵を食い止めるのだぞ。わかったな!」

側近「・・・ハッ!」



側近「・・・」

側近「・・・王様。これから、体を張ってあなたの盾となる者達に」

側近「せめて、優しい言葉の一つもかけて欲しかった・・・」


ワァァァー・・・












王「はぁ・・・はぁ・・・。全く、無能どもめ・・・」

王「予と、そこらにいる者の命が同等のわけがないだろう!」

王「予に仕えるものは、その命を投げ出すのは当然のこと!」

王「少しでも、時間稼ぎになればよいが・・・。見てろ、逃げ延びた先で体制を整えてまた・・・」

歩兵「・・・やぁ、どうも」

王「・・・ん?」



王「なっ、何者だ貴様!」

歩兵「私は、あなたの軍の歩兵ですよ」

王「何だ、わが軍のものか・・・。驚かしよって」

歩兵「すいませんね。へっへっへ・・・」

王「こんな所で何をしておるのだ。早く前線に向かい、敵を一人でも多く食い止めよ」

歩兵「いやぁ、そいつはちょっと・・・」

王「なに?」



歩兵「ああ、そうそう。ちゃんと言わないとですね。正確に言うと、私は」

歩兵「あなたの軍『だった』、んですよ」

王「何だと・・・?」



歩兵「・・・つまり」

歩兵「今は、向こうの方が雇い主ってわけでねぇ・・・」

王「きっ・・・。貴様ァー、寝返ったというのか?」



歩兵「私たちの命を、何とも思わないアンタのやり方に・・・」

歩兵「つくづく、嫌気が差しちまってまってねぇ・・・」

王「だから、寝返ったというのか・・・?」

王「ハッ、愚かな」



王「そちは、利用されているだけに過ぎぬ」

王「歩兵の扱いなど、どこであろうと変わろうものか」

王「予であろうが、向こうの王であろうが同じ事よ」

歩兵「黙れっ!アンタに、前線で真っ先に敵に突っ込まさせられる
   俺らの気持ちがわかるか!」



王「黙らぬなら、どうするというのだ?」

王「たかだか、歩兵一人に予が倒されるとでも・・・」

歩兵「へっへっへ、それが寝返ったのは一人や二人じゃあないんですよ」

王「何・・・?」

歩兵「見て驚かないで下さいよ、へっへっへ・・・」



側近「・・・」

王「・・・側近」



王「まさか、そちまでが・・・?」

側近「・・・」



側近「嫌だなぁ、私はもうあなたの側近じゃあないんですよ」

側近「ちゃんとした名前で呼んでくださいよ」

金将「金将、ってね」

王「キサマ・・・!」



金将「私だけじゃなくて、桂馬や香車も・・・」

金将「みぃーんな、今では向こうの味方ですよ」

香車「クックック・・・」

桂馬「へっへっへ・・・」

王「ぐっ・・・!」



金将「さーて、今までさんざんこき使ってくれたお礼をしませんとねぇ・・・」

香車「クックック・・・」

桂馬「へっへっへ・・・」

歩兵「ふっふっふ・・・」

王「きっ、キサマらぁー!」



香車「さぁて、行くぞ!」

王「くっ、鋭い動き!かわすのが精一杯だ!」


桂馬「あらよっと!」

王「ぬぅっ、トリッキーな動きが場を翻弄する!」


歩兵「おっと、逃がしませんよ!」

王「ぐっ、歩兵一人では大した事もないのに・・・」

王「他の者と連動した動きが、想像以上にやっかいだ!」



香車「クックック・・・」

桂馬「へっへっへ・・・」

歩兵「ふっふっふ・・・」

王「くそっ、囲まれた!」



歩兵「さぁて、金将さん!」

歩兵「ズバッと、やっちゃってください!」

金将「ええ。では、頭からバッサリ行かせて貰いましょうか」

王(・・・もはや、これまでか)



王(・・・思えば、予は皆を無下に扱いすぎた)

王(歩兵ひとりの命、何ほどのものがあろうかと・・・)

王(今その報いが、来たのやも知れん)

王(もし生まれ変わったなら、皆をもっと大切に・・・)



『諦めてはイカン』

王「な、なに?誰だ?」

『後ろじゃ。後ろに下がってかわすんじゃ』

王「う、後ろ?」

金将「覚悟ぉ!」

王「うおっ!」



金将「チッ、かわされたか」

金将「だが、これならどうだ!」

『左じゃ。左によけるんじゃ』

王「くっ・・・!」

金将「ヤロウ、ちょこまかと・・・!」



歩兵「なぁに、もう逃げ場はありませんよ」

歩兵「ゆっくりと、追い詰めてやればいいんです」

金将「それもそうだな・・・」

香車「クックック・・・」

桂馬「へっへっへ・・・」

王(どうする、いくら逃げ回ったとしてもこのままでは・・・!)



『もう少しじゃ。もう少し辛抱すれば・・・』

王(辛抱すれば、何だというのだ?)

歩兵「さーて、それじゃあみんなで取り囲んでジワジワと・・・」

「まてぇーい!」

金将「なに・・・!?」



飛車「王!ご無事でしたか?」

王「そ、そちは!」

金将「ひ、飛車!」

飛車「私が来たからには、もう安心です」

飛車「お前達、覚悟はいいな!」

金将「くっ・・・!」



金将「な、なぁに、たかだか飛車一人に何ができる!」

金将「こっちは、4人・・・」

「飛車一人に、いいカッコはさせないぜ!」

金将「だ、誰だっ!」



角「お前達、まとめてボコボコにしてやる!」

金将「か、角・・・!」

「それだけじゃありません」



銀将「金将。見損ないましたよ」

金将「銀将・・・!」

王「皆・・・!」



飛車「さぁ、行かせてもらうぞ・・・!」

角「ちょいとばかりキツく行くぜ?」

銀将「あなた達の目を覚まさせてあげましょう」

金将「く、く・・・」



金将「・・・ナメるな、やっちまえっ!」

香車「行くぞオラー!」

桂馬「やったらぁ!」

歩兵「うおおーっ!」












王「・・・そちらの、今回の裏切りは不問に処す」

金将「イテテ・・・」

歩兵「つ、強すぎる・・・」



王「また予の配下として働いてもらおう」

香車「全く、手も足も出なかった・・・」

桂馬「あ、ありえねぇ・・・」


王(頭に響く不思議な声の通りに行動したが・・・)

王(恐ろしいほどに的確な指示であった)



『あとは、自分で頑張るのじゃぞ』

王(おお、誰かは知らぬが助かった)



王(せめて、名前を教えてもらえぬか?)

『ワシか?ワシの名前は・・・』


『棋神と呼ばれておる』





将棋ウォーズで負けそうになって棋神使ったのをSSにして見ました。
依頼出してきます

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