【艦これ】暁「私の戦争は終わってない」 (3)

 幾つもの死を乗り越えてきた。戦友は沈み、姉妹も海の藻屑となり、提督は……大好きだった提督は肉片となったわ。

 しかし、悲しみに暮れる暇はない。私は、皆の戦った意味を証明しなけれならないのから。私は皆の悲願を叶えるまで戦い続ける。


 ………その筈だったのに。









「終戦だ! 戦争が終わったぞ!」


「戦争は終わったんだ!」


「やったー! 終戦、終戦だよぉ!!」


暁「終戦……」


 突如、戦争は終わった。深海棲艦との講和条約が締結した。


暁「まさか……そんな」


 そういう動きがある……というのは知っていた。だけど前線で戦っている私にとっては、内地の日和った馬鹿の世迷い事だと思えなかった。それなのに本当に停戦だなんて……。


「も、もう戦わなくていいんだ。平和になったんだね!」


暁「……違う」


 平和になったから戦わなくていい。違う。それでは、私の終戦理由になり得ない。


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 艤装を外され、軍属を解かれた。だけど、私は納得できない。



暁「違う、まだ戦争は終わってないわ!」


「もう大丈夫だよ」


「平和になったんだよ」


暁「違う、違うったら……」


 深海棲艦を滅ぼさなくては、平和は訪れない。ほんの前までは常識だったことが、ガラリと変わってしまった。今ではすっかり私が異端者だ。


「私たちは分かり合えるんだよ」


「戦う必要はないんだ」


暁「ふざけないでよっ!!」


 そんな言葉は聞きたくない。分かり合える? 何を言ってるの。私の大事な人達を殺した奴らと分かり合え? ふざけた事、言ってんじゃないわよ。

「暁ちゃん……」


「暁…」


 暁「みんな…みんなどうしちゃったのよ」


 艤装を外されて腑抜けになってしまったのか。それとも、上の奴らに何かされたのか。


 そういえば艤装を外す時、検査だと称して薬や、よくわからない機械で弄られた。けれども、私のギラギラした憎しみは決して消える事はなかった。


 皆はもう、当てにならない。私は、私だけで戦争を続ける。


ーーーー
ーーーー


「あ、このテレビに出てる人が深海棲艦の偉い人かー。なんか白いね」


暁「あはは……そうね」


 半年後、私は施設にいた。ここは元艦娘達が集まる児童院。艦娘が社会に出るのを助ける施設……だそうよ。


「あー、私もいつか向こうに遊びに行って見たいな」


「そうね……」


 一先ず私は、憎しみをしまい込んだ。交流が盛んになったこの世界で、憎悪を剥き出していては居場所がない。


 もちろん一日足りとも忘れた事はない。チャンスを待つの。いつか必ずその時は来るわ。


 ……だが、私にとってこの場所は生き地獄だ。

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