アスナ「キリトくんが風邪をひいた?」 (12)

ALO内


アスナ「キリト君が風邪?」


リーファ「はい。でも明日はお母さんは泊まり込みで帰ってこないし、あたしも明日から剣道の合宿があって家にいれなくて……」


リズ「でもアイツが風邪引いてるならアンタここにきて平気なの?」


リーファ「お兄ちゃんなら今寝てるので大丈夫です。なのでアスナさん!明日お兄ちゃんの看病してあげてください!こんなの頼めるのアスナさんしかいないんです!」


アスナ「分かったわリーファちゃん!明日は何時に家をでるの?」


リーファ「明日は9時から開始なのでできれば8:30に……」


アスナ「分かった!明日は私に任せて!」


リーファ「ありがとうございます!では、まだ明日の準備が残ってるのであたしはこれで!」


そう言い残しリーファがログアウトする。


リズ「しかしキリトが風邪ひくなんて珍しいわね」


ユイ「どうしてなんですかリズさん?」


リズ「昔からよく言うじゃない!馬鹿は風邪をひかないって!」


シノン「そんなことはおいといて、もう今日はお開きにしといたほうがいいかもね」


リズ「ま、そうかもね。アスナが心配して集中出来ないだろうし」ニヤッ


アスナ「もう!リズ!///」カアッ


リズ「照れない照れない。じゃ!またね!」


そう言ってリズがログアウトする。


アスナ「もう!リズったら!」

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次の日


ピンポーン


ハーイ


ガチャ


直葉「あ!明日奈さん!おはようございます!」


明日奈が桐ケ谷家を訪れ、インターフォンを押すと、慌てた素振りの直葉が出てきた。


明日奈「おはよう直葉ちゃん」


直葉「すいません!あたし急いでるんで!お兄ちゃんは二階の自室で寝てるので!あと台所と冷蔵庫のものは勝手に使ってください!それじゃあよろしくお願いしますね!!」


それだけ言い残し、足早に去っていく。


明日奈「お邪魔しまーす」


明日奈が恐る恐る入る。桐ケ谷家からは人の気配がしない。


明日奈「(ホントに今日一人なんだ。てことは和人君と二人きり//)」テクテクテク


そんなことを考えながら、二階に上がり、和人の部屋に入る。


明日奈「失礼しまーす」ソーッ


和人「zzZ」スヤスヤ


明日奈が部屋に入ると、和人はベッドの上でぐっすり眠っていた。


明日奈「(きゃー//和人君の寝顔可愛い//)」


思わず写メをとりそうになるが、それをこらえる。


明日奈「(ってダメダメ!今日は看病しに来たんだから!!)ユイちゃん」


ユイ「はいママ。おはようございます」

明日奈「おはようユイちゃん。今の和人君の体温ってどのくらい?」


ユイを呼び出し、体温の確認をする。


ユイ「只今のパパの体温は37.4°Cです」


明日奈「37度……どうやら微熱のようね」


和人「んん……あれ?明日奈?どうして…」ムニャ


どうやら和人が目を覚ましたようだ。


明日奈「おはよう和人君。昨日直葉ちゃんに頼まれたのよ。和人君の看病お願いって。」


和人「スグが?どうして?」


明日奈「翠さんはお仕事が忙しくて帰れなくて、直葉ちゃんは剣道の合宿があるからって」


和人「なるほどな。おはよう明日奈」フワァ


欠伸をしながら、和人が言う。

明日奈「調子はどう?」


和人「昨日よりは楽だけど、まだ少し頭がボーッとするな。体温は……」


体温を計ろうと、体温計を探す和人だが、明日奈が体温を教える。


明日奈「37.4°Cよ」


和人「…………なんで知ってる?」


明日奈「ユイちゃんに計ってもらったの」


和人「へー。37.4°Cか…これくらいなら平気だ」グイッ


和人は立とうとするが、明日奈に止められる。


明日奈「ダメよ!まだ寝てなくちゃ!微熱とはいえまだ本調子じゃないんだし!」


和人「はいはいわかりました」


明日奈にそういわれ、渋々ベッドに戻る。


明日奈「朝ごはん作ってくるけどお粥でいいよね?」


和人「明日奈の料理ならなんだっていいさ」


明日奈「じゃあ作ってくるね」ガチャ


明日奈が部屋から出ていく。

部屋には静寂が訪れる。


和人「(……暇だ…)なあユイ」


ユイ「はい!なんですかパパ?」


和人「どうして俺の体温とか分かった?」


ユイ「忘れたんですか?この間パパとママが購入したブレスレットの機能です。体温、心拍数、呼吸などをよみとり、専用のアプリが受信するものです。お互いの体調が分かるように設定されたのはパパのはずですが?」


和人「そういえばそんなことをしたな…」


思わず頭を抱えてしまう。


ユイ「そういえば里香さんからメールが届いてます」


和人「里香から?内容は?」


ユイ「えっとですね……昼過ぎにお見舞いに行くから待ってなさい!とのことです。返事はどうしますか?」


和人「あーそうだな……着いたら勝手に上がってくればいい。って返事しといてくれ」


ユイ「了解です。パパ」

ガチャ


明日奈「和人君出来たよ」


明日奈が部屋に土鍋ごと持ってくる。


和人「おう!そこの机の上に置いてくれ」


明日奈がそれを机の上に置くと、蓋を開ける。


ブワッ


たくさんの蒸気と共に、美味しそうな匂いが部屋に広がる。


明日奈「和人君の調子もよさそうだし、卵とじの雑炊にしてみたんだけどどうかな?」


ユイ「美味しそうですねパパ!」


和人「ああそうだな。それじゃあ早速!いただきます!!」


和人が一口目をほうばろうとするが、思いの外熱かった。


和人「あちっ!!」


明日奈「出来立てだから気をつけてね?」クスクス


和人「言うのが遅いよ明日奈……」フーフー


充分に冷まし、今度こそほうばる。


和人「モグモグ…!!これはうまい!今まで食べたどの雑炊よりもおいしい!!」


明日奈「ありがと和人君」ニコッ


美味しそうに食べる和人を見て、自然と笑みがこぼれる。


ユイ「ママ!私も食べたいです!」


和人の端末から光景を見ていたユイが、明日奈にお願いする。


明日奈「ふふふ…わかったよユイちゃん。今度ALOで作ってあげるね」


ユイ「本当ですか!?ありがとうございますママ!」

和人「ところで明日奈。朝飯は食ったのか?」


明日奈「い、一応食べたよ。パン一枚だけ…」


和人「それで平気なのか?」


明日奈「平気だy」グー


明日奈「あっ///」カアッ


和人「へー。平気なんだな」ニヤニヤ


和人がニヤつきながら明日奈に聞く。


明日奈「もう!和人君の意地悪!」プクーッ


明日奈が頬を膨らませる。


和人「なら少しやるよ。ほら、アーン」


明日奈「い、いいよ!風邪がうつっちゃうかもしれないし!」


和人「その時は俺が看病してやるからさ。ほら!アーン」


和人が雑炊を一杯掬い、明日奈に差し出す。


明日奈「あ、アーン//」パクッ


明日奈が折れ、それをほおばる。


明日奈「んー!おいしい!」


和人「顔が真っ赤なのは?」


明日奈「それは和人君がこんなことするから…もう!和人君のイジワル!//」


ユイ「(どうしましょう……この二人は私が見ているということを忘れてますね……)」


どこであろうといちゃつけるバカップルの鑑である。

しばらくして


和人「ふー、食った食った。ごちそうさまでした!」


明日奈「お粗末さまでした。さ、和人君は寝ててね。洗い物とか洗濯は私がするから」


明日奈が土鍋を運びながら言う。


和人「そんないいよ明日奈!洗濯なんて...」


和人が戸惑いながら言う。


明日奈「別に良いでしょう!私がやりたくてやるんだから!」


和人「明日奈がそこまで言うなら...」


ここで自分が折れないと明日奈は聞かないと判断した和人は、しぶしぶ了承した。


明日奈「じゃあまず今来てるパジャマ脱いで!」


和人「へ?」


突拍子すぎて言葉を失う。


明日奈「昨日からなら汗かいてるでしょ?だから早く!」


和人「はいはい....って明日奈!部屋から出てくれよ!」


明日奈「?なんで?」


和人「いやだから恥ずかしいというかなんというか…とりあえず!着替えたらちゃんと渡すから!」カアッ


明日奈「はーい」クスクス


照れて赤くなっている和人をよそに、明日奈は笑いながら部屋を出ていく。

その後、着替えを終え、明日奈に洗濯物を渡した和人は、ベッドの上で退屈していた。


和人「(ああ!どうしてこんな時に風邪なんて引いちまうんだ!これじゃあ明日奈と二人っきりでも退屈じゃないか!ユイはさっきから呼んでも反応しないし。反抗期かあいつ?ってそんなことより!もう寝るか…)」


諦めて、不貞寝をするが、その30秒後、和人は夢の中だった。
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ガチャ


明日奈「和人君!お昼はうどんにしたけど…って寝ちゃってる」


和人「zZZ」スピー


明日奈が昼ご飯を持ってくるが、和人は爆睡していた。


明日奈「(あーもー何この可愛い寝顔!普段の格好いい顔と違ってこういう無防備な感じもたまらない!!い、一枚だけならいいよね?)」


携帯を取りだし、和人の寝顔を撮影する。


明日奈「(絶対これ待ち受けにするわ!!ってこんなことやってる場合じゃないや)和人君。起きて!お昼だよ!」ユサユサ


寝ている和人をゆすって起こす。


和人「んあ?もうそんな時間か……」


和人が起き上がり、体を伸ばす。


明日奈「そうだよ。ちなみにお昼は明日奈ちゃんとくせいのうどんなんだからね!」


和人「どれどれ...お!これもうまそうだ!いただきます!!」


今度は熱さに気をつけて食べる。


明日奈「クスクス」


その光景を見て、明日奈が笑みをもらす。


和人「ん?ほうひはあふな?(どうした明日奈?)」


和人がうどんを食べながら聞く。


明日奈「ちゃんと食べてから話してよ!…和人君は何でも美味しそうに食べるなあって」ニコニコ


和人「それは明日奈の料理が上手いからだよ。っとごちそうさま」


明日奈「熱のほうはどう?」


和人「うーん…36.7°Cだからもう平熱だな」


和人が自分のスマフォを見て答える。


明日奈「でも無理しちゃダメよ!君はいつも無茶するんだから」


明日奈が部屋を出ながら和人に言う。

和人「…………」


また部屋に一人残される。


和人「………寝るか…」


グカー


僅か三秒で夢の中におちていった和人であった。


のび太かおのれは。





ガチャ


明日奈「和人君起きてる?」


その他の家事を済ませた明日奈が和人の部屋を訪れる。


和人「zzZ」グガー


明日奈「寝ちゃったんだ」フワー


そういって明日奈も欠伸をする。


明日奈「そういえば昨日はあまり寝てないな……ちょっとだけならいいよね?」


そう呟いて、和人のベッドにもたれるようにして、明日奈も眠りにつく。


明日奈「zzZ」スヤスヤ

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ガチャ


里香「おーい!お見舞いにきてやったよ!」


勝手に桐ケ谷家にあがりこんだ里香が和人の部屋を開ける。


里香「ってあり?」


和人「ムニャムニャ……アスナ……スキダ……」zzZ


明日奈「キリトクン……ダイスキ……」zzZ


そこには和人のベッドにもたれるようにして寝ている明日奈と、明日奈の手を握りながら眠りこけている和人の姿だった。


珪子「ちょっと里香さん!急に止まらないでくださいよ!」


入口で里香が急に止まったため、珪子が文句を言う。


里香「シーッ、どうやら私らはお邪魔みたいだわね…」


珪子「へ?なんのことですか?」


里香「まぁ私らは退散しときましょ!」


そういって、いまいちわかっていない珪子を里香が連れて部屋を出ていく。


この後、二人が目を覚ました時にはもう夜の7:30だったとか。


ーーおしまいーー

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