祖父「わしの人生……一つだけ心残りがある……」孫「おじいちゃん!」 (19)


祖父「うう……わしはもう駄目じゃ……」

孫「おじいちゃん、死なないで!」

祖父「ふふ……ありがとうよ。だが、そうもいかんらしい……」

祖父「しかし、わしは自分の人生に……何一つ悔いはない……満足じゃ……」

孫「ううっ……」

祖父「いや……そういえば……」

祖父「わしの人生……一つだけ心残りがある……」

孫「おじいちゃん!」

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孫「もしかして、おばあちゃんのこと!?」

孫「大丈夫だよ、おばあちゃんはぼくらが責任持って、世話をするよ!」

祖父「いや……そうではない……」


孫「お父さんやお母さんのことかい!?」

孫「平気だよ! 仲がいい……とはいえないけど悪くもないから!」

祖父「いいや……それも違うんじゃ……」


孫「あ、ポチのことだね!?」

孫「心配しないで! ちゃんと散歩するし、狂犬病注射もさせるよ!」

祖父「ポチでもないんじゃ……」


孫「そうか、老人会の仲間たちのことだね!?」

孫「安心して! おじいちゃんが死んだら、すみやかに伝えるから!」

祖父「いや……彼らのことでもないんじゃ……」


孫「分かった! ぼくのことでしょ!」

祖父「違う」

孫「即答かよ!」


孫「だったら……盆栽のこと?」

孫「ぼくも植物好きだし、ちゃんと世話するから大丈夫だって!」

祖父「いや……違うんじゃ……」


孫「あ、あれだ。おじいちゃん、本好きだったから、書斎の本のことでしょ?」

孫「大丈夫! 全部ブックオフに売るから! 多分300円ぐらいにはなるでしょ」

祖父「本でもない……」


孫「それなら、ずっとカツラしてたこと?」

孫「バレバレだから、みんな気づいてるって! 気にしないで!」
 
祖父「バレとらんと思っとったが、それも違うんじゃ……」


孫「えーと……だったら葬式のこと?」

孫「ちゃんと希望通りハゲワシによる鳥葬にするから! 任せといて!」

祖父「それでもない……」

孫「ええっ、じゃあなんなのさ!?」

祖父「そう……わしの心残りはただひとつ……」


祖父「Tポイントカードに貯まったポイント……一度も使ったことなかった……」ガクッ

孫「おじいちゃーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!!」





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