一方通行「『こころ』かァ...」 (130)

一応断っておきますが、鰤とは無関係です。書き溜めがないので、とりあえずスレ建てだけ。






私の一日は一般的な人々とは異なり、時計の針が12の文字を指し示すあたりで始まります。私の年齢は16と、その多くが学校へと通う義務を持つのですが、その道から外れてしまっている私には関係のないことです。

堕落した身、それは自分が一番よく理解していることです。肉体的にも精神的にも成長のない私は、周りからして馬鹿らしい存在なのでしょう。手が届く範囲に、誰一人として存在している者はいません。

この時間まで布団に潜っていられるということは、言い換えれば起こしてくれる身近な人物がいないことの証明にもなります。誰もいないという認識が、私の中に巣食っている劣等感を増幅させているのかもしれません。



ですが、劣等感では腹は膨れません。私は空腹を感じていました。昨日の今頃から、何も口にしていません。怠惰を患った自分には料理をするという選択肢はなく、外で食べる必要があります。

私は、扉のない廃墟から街へと歩き出しました。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1361286911

めでたしめでたし

自己紹介なのかもう始まってるのか一瞬迷った



この街は、私の苦手な『現代』で溢れかえっています。多くの人は便利な街だと胸を張るのですが、人工物が散りばめられている為なのか、窮屈な感じばかりがします。

これは、物心がつく頃からこの街で過ごしてきた、にも関わらずです。生まれ持った気質というものが、『現代』の受け入れるを拒んでいるのかもしれません。



さて、窮屈とは言いましたが、この街が便利であることを否定するつもりはありません。カードをかざすだけで何もかもが手に入れられますし、こんな堕落者でも十分に暮らしていけるのはきっとこの場所だけでしょう。

私は、コンビニでサンドイッチとコーシーを手に入れました。腹の虫が暴れ回っていることですし、歩きながら食べることにしましょう。



レタスとハム、そしてスクランブルエッグに舌鼓を打っていると、何やら道を塞ぐ者たちがいます。全員が髪の毛に手を加えていたり、派手な和柄が目についたりと、不良者に間違いないでしょう。

彼らはいやらしい笑みを浮かべながら、
「お前を倒せば俺が最強だ! 」
と、喚き散らしています。手には金属バットや鉄パイプが握られており、私にはその手を止めることが出来ません。






私の中にいる、未来人の手を借りなければ。




このようなことは、今日に限ったことではありません。無い日があればいい方かもしれません。ですが、彼らの攻撃が私に届くことはないでしょう。


この街に住む学生の数割の中には、大きさこそ様々ですが未来人が存在しています。そして、皆がそれを大きくさせようと躍起になっている...それがここ、学園都市です。


ここでは、未来人の大きさによってランク付けがされています。一番下の0から、最高の5にまで。5のランクとなると、一人で軍隊と同等の力を有しているとも言われます。


そして、レベル5内での序列で第1位の座に居座っているのが一方通行、つまり私のことです。




今日はここまで


見てるよー

掴みは上出来。パチパチパチ。

地の文のSS好きだから期待。
最近安価スレばっかだからねー。

再翻訳したような文だな


夏目先生?

ライブアライブじゃないのか

夏目漱石のこころかな?


暫く散歩をした後部屋へ辿り着いた私は、新たに加えられた落書きを眺めていました。殺人鬼やら悪魔やらと、蛍光色の塗料が自己主張をしています。先程の連中が仲間に連絡してやらせたのでしょう。


こんなことなら散歩などせずに帰ってこればよかったと後悔が湧い出てきましたが、元から落書きだらけの部屋なこともあり、終わった今となればもうどうでもいいことです。

それに、いくら倒せるとはいえ、あんな連中とはそう関わり合いになりたいとは思いません。己の未来人に固執し、周りが見えなくなっている愚か共に付き合っていては、落ちぶれるのは目に見えています。


先程、私は堕落していると言いましたが、そんな私にも譲れない一線というものがあるのです。未来人に溺れない理性、こればかりは決して失わないようにしています。


そんな私の態度が気に入らないのか、2ヶ月前、上の人々はある課題を与えてきました。『絶対能力進化実験』それが、課せられたものの名称です。


内容は至って単純で、第3位のクローン20000体の殺害、たったそれだけのことです。それをこなせば、私の中の未来人はめでたくレベル6になるということらしいです。


私は最初、その話を断りました。己の信念に背く結果となるのが目に見えているという理由で。しかし、研究者はかぶりを振り、こう言い返して来ました。

「もし君が辞退するとして、クローンが残されたとしよう。彼女達は忠実であり、生身の人間であり、そして何より替えが効く存在なのだ。当然、非道な人体実験のモルモットにされるだろう。

そうなると、彼女達は永遠の苦しみを味わうこととなる。忠実であるとはいえ、痛みを感じぬ訳がない、辛くない訳がない。だがクローンであるために、ひと思いに殺してくれと嘆願することも出来ない。ただ、役割を全うするだけだ。

一方通行、残酷な話だが、彼女達は殺される為に生まれた存在だ。どう転んでも、生きていけるような道は現れない。それならば、お前が苦痛を感じる間もなく役割を全うさせてやってくれ。それが...最善の道なのだ...」

言い終わると、目の前の白衣は地に頭を擦り付けていました。今の言葉に偽りはない、その時の私にはそう言っているようにしか感じられました。

>>11でも出ていますが、一応夏目先生ちっくな感じでいくつもりです。

あと、>>12の最後の『ました』は、『ませんでした』の間違いです。

ついでに、>>4の『受け入れる』を『受け入れ』にしておいてください。


私は、暫く考えさせてくれと言ってその場を離れました。部屋まではかなりの距離がある筈なのですが、気が付くと目の前には見慣れたマンションが現れていました。歩いてきたのでしょうが、その間の記憶がすっぽりと抜け落ちてしまったかのようです。


その間、私の頭の中ではクローンの彼女達とあの研究者の言葉がグルグルと渦を巻いていました。いえ、それだけではないでしょう。私の過去も関係してくるのです。


そもそも、これまで積み上げてきたものが無ければ、返事はすぐにでも出せました。勿論、実験参加に承知をするというものです。しかし今まで能力使用に消極的だった私が、積極的に未来人へ身体を貸し渡すようになったとしたらどうなるのでしょうか。


恐れていたこと、つまり理性の消失が起こりうるのです。それも、高い確率で。己に酔いしれ、他人を攻撃し、快感を感じる...不良者の姿そのままです。堕落者の私でさえ、その姿には吐き気を催します。


しかし、断ると彼女達が生き地獄に晒されます。こんな未来人が住み着いたばかりに、私はこの街の闇を目にすることが多かったのですが、その中でも人体実験だけは別物だと声を大にして言うことが出来ます。目にするのもおぞましく、見かけた後の一週間は何一つ口に入りませんでした。この悲惨さは、言葉では表すことが出来ません。ですが、私がひと思いに殺してしまえば、そんな目に合わずに済みます。


そう、全てが私次第なのです。本当に上手く考えられている計画だと思いました。強制ではないのです、自分で決めるのです。責任から逃れることは出来ません。


上の人間は、私が必ず参加すると踏んで準備に取り掛かったのでしょう。20000人を[ピーーー]という大層な計画も、上手く誘導すれば実行に移せるのです。


私は、この実験に参加することに決めました。理性の崩壊も、努力次第ではどうにかなるかもしれません。道に拘るあまり、罪のない他人を苦痛に追いやるというのは心苦しいことです。


ですが、心に誓ったことがあります。それを達成するには、莫大な時を要するかもしれません。命すらも投げ出さなくてはならない可能性もあります。しかし、私は必ずやり遂げるつもりです。






この街の悪しき流れを止め、滅ぼす。それが、私のたったひとつの決意です。

面白いよ!
sagaってメ欄に入れると文字が消えなくなるよ?
「ここまで」とか「投下します」とかは区切ってレスしたほうがいいかっも!
乙!



あれから2ヶ月が経った今でも、あの時の誓いが薄れることはありません。むしろ、この街の頂点である統括理事達への憎悪は膨れ上がるばかりです。


ですが、まだ此方には圧倒的に情報が足りていません。あちらが私の情報の全てを有していることを考えると、ことを起こすのは時期尚早かもしれません。


そのような訳で、今はただ上からの命令に従ってクローン達の殺害を行っているのです。この実験が始まってからまだ2ヶ月なのですが、既に半数を全うさせました。方法としては、未来人を使ってそこらの石ころを弾丸に変えて延髄に撃ち込んだり、相手に触れて重量ベクトルを増幅させることで首の骨を折ったりすることでしょうか。これなら、苦しまずに一瞬で逝ける筈です。


そんな私の戦い方を上は気に入らないようで、一撃で確実に殺させないように1000体とまとめて戦うことを強いられたこともあります。私が殺しきれなかった個体が苦しむ様でも見たかったのでしょうか。


しかし、私は屈しませんでした。皮肉なことに、私の未来人はこの実験で確実に成長していました。能力の使い方を覚えただけかもしれませんが、この変化には目を見張るものがありました。


一撃で1000人をまっとうさせる、これを成し遂げるには精密なコントロールが必要となります。私は、頭に浮かぶ無限にも及ぶかのような数式を解き続けました。実験開始の数秒前に漸く解が見つかり、開始と同時に発動をしました。

...................

............

.......

...

.


確かに1000人居たはずの彼女達は其処にはおらず、代わりに地に空いた大穴があるだけでした。その規模は100m四方にも及び、この実験の為に用意した新学区はいとも容易く壊滅したのです。


この時、私の頭は優越感で満たされていました。極悪人の思惑に反して彼女達を救い出したのだという、正義のヒーローにでもなったつもりでした。事実、彼女達は苦しまずに一瞬で逝けたことでしょう。


しかし、この実験の元々の目的を思い出した時、彼女達に向けられていた視線があるべき方向を向いた時、優越感などは大きく空いた穴の中に吸い込まれていきました。急に全身が冷たくなったようで、一ミリたりとも動かせなくなったのです。



















『絶対能力者、レベル6の誕生』





この崩壊を引き起こすことは、レベル5では不可能でした。

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今日はここまでということでお願いします。

一方先生……

ホモサピエンスは猿を食べていたのだから不思議はないが…


そうです、上の人間は目的を達成したのです。あまたの実験の中でも強制されない限り未来人を行使しないという私(モルモット)が、自ら積極的に調整を行い始めるよう、彼女達を『おとりの鮎』として使ったのです。


いえ、ただ単に彼女らが殺される為だけに生まれたのなら、その役割を果たすことは出来ないでしょう。しかし、研究者はこう言いました。人体実験に使用すると。


この研究者が私の過去を知っているとは思いませんが、その言葉を聞いたとき、脳裏にはあの情景が浮かび上がってきました。上がる炎、それによって怪しく光る青銅の模型、そしてそれから発せられた鳴き声が。


その光景から目を離せなかった幼き日の私の側で、この部屋に連れてきた悪人面がこう呟きました。
「小僧、これが学園都市だ」
その言葉からは、普段全くと言っていい程感情を外に出さない彼にしては珍しく、嫌悪というものが感じられました。


恐ろしかったのです。彼に感情を持たせる程の光景が、人体実験という言葉が。この記憶が、私の人生に多大な影響を与えたのは言うまでもありません。


ですが、この記憶でさえも実験の為の布石だとしたらどうでしょう。人体実験という言葉を鍵刺激とし、それを防ぐ方向にだけ照準を向けさせる。事実、獲物は簡単に釣れました。














人体実験に回させるなら、俺がコロス。
お前らの思い通りにはさせない。


こう、理想を語りながら。

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今日は休みなので、ちょくちょく投下していきます。


思い通りにさせないも何も、私を参加させて未来人の扱い方を覚えさせるのが目的なのですから、いかに恐怖や怒りと言った感情が正常な思考判断を妨げるのかがお分かりになるでしょう。学園都市第一位の頭脳など、聞いて呆れます。


さて、ここまでうだうだと突っ立っていた私ですが、爆発の騒ぎを聞きつけて殺到するであろうアンチスキルに絡まれるのは御免と、退散することにしました。長時間の思考も、身体の硬直を解くのには役立ったようです。


思考は、部屋に戻ってから続けるましょうか。私は未来人の力を借りて姿を隠し、この場から飛び去りました。抵抗を無くせば、部屋まではあっという間です。

書き溜めが消え去りました...

今日はここまでで。

おつ

深い闇にしか見えない。

展開待っている。

それにしても、上から見下ろす街はなかなかオツなものです。下から見上げる分には窮屈さしか感じられないのですが、上空からの印象はそれとかけ離れています。


あくまでも自然が中心であって、人間は何とか己の存在を誇示しようと躍起になっている...その象徴がこの街であると感じられるのです。


こういった印象を持つのは、私以外にそうは沢山いないでしょう。私が変わり者だということは、とうの昔に自覚しているつもりです。


さて、楽しい空中遊泳も終わりが近づいてきました。部屋に着いたら、また重苦しい思考に乗り込まなくてはいけません。人間、誰しも考えたくないこと持つものですが、自分のそれは他人のものよりも大きい筈と自意識過剰に陥りやすいのも事実で、見方を変えればどうって事のないものになることも多々あります。


しかし、傲慢と言われることになっても敢えて言いましょうか。私のそれは、未来人の大きさ等しく、他人のものよりもずっと巨大なのです。出来る事なら考えずにいたいですし、向き合いたくもありません。見方など、変えようもありません。ですが、逃げ出すことは出来ません。


こうして、部屋にたどり着きました。

部屋の中は殺風景といえばいいのでしょうか、本当に何もありません。必要最低限のものでさえ、です。それだけでなく、壁紙が破られていたり落書きをされていたりと、最悪な住宅環境とも言えましょうか。


高級感溢れる快適生活が送れるというキャッチコピーも形無しな荒廃ぶりです。事実、このマンションには私以外一人も居住者がいません。ただ、一人です。


さて、思考を開始するとしましょうか。このように劣悪な環境であっても、今からのことを考えれば、思考を手助けしてくれるかもしれません。暗い事を考えるには、暗い場所が一番です。




「あいつらは、本当に拷問みてェな人体実験に回されンのか...? 」



.................................

.........................

.................

.........

..


私は、購入したコーシーの蓋を開けました。パッケージには『深煎り』と宣伝がされていますが、コクがイマイチで正直名前負けしており、次からは別のものを買おうと決めました。


1000人を一撃で葬ったあの日も、思考の後にコーシーを買いに行きました。そして、その時のものも口当たりが悪かったことを覚えています。結局、あの日は不完全なままに終わりました。結論は、今も出せていません。


「実験開始時刻になっても現れないので、自宅の方にまでお邪魔させて頂きました、とミサカは部屋の惨状を目にしながらも淡々と用件を述べます」


その結果が、これです。

ちょっと休憩。

ところで、見返したところ時系列が分かりにくいかもしれないので、説明を一応。

古い順にいくと、


・人体実験という名の拷問を見せられる

・実験について話を聞く、そして参加する

・1000人の妹達を一撃で葬る

・部屋で色々考えるも、結論出ず

・数日たって、昼頃に起きた(>>1のとこ)

・ご飯を買ってきて、不良に絡まれる

・実験についての事を思い出している

・妹の一人が呼びにくる、実験は続行中







こんな感じできています。分かりにくくて申し訳なかったです。


「なンかやる気でねェからパス」


「それは無理です、とミサカは樹形樹の設計者がしている時間まであと15分だということに焦りながら答えます」


部屋に入ってきた彼女の手には、その可愛らしい容姿とは対を成すような重火器が握られており、薄暗いこの場所では一層不気味さを表しています。相変わらず瞳には色が無く、生気を吸い取られているかのようですが、今日の彼女は昨日の彼女と少し違うのです。


言葉では焦っていると言っていてもそうは見えなかった以前とは違い、焦りというものがその様子から感じ取ることが出来ました。時々脚を動かすのは、焦りのなかに苛立ちも含まれている事を表しているのでしょうか。

何はともあれ、彼女の感情が多彩になっていることは確かなようです。この実験が始まってから2ヶ月しか経っていないことを考えれば、あり得ない速度の進歩だと言えます。


と、考えるのは後にしましょう。感情が多彩になってきたということは、恐怖も感じやすくなっている筈で、こうして私が黙り込んでいる今この間にも恐怖心が彼女を貪っているかもしれません。


彼女を恐怖から救い出す、それが私の使命です。結論の出ない今の私には、この選択肢しか選べなかったのです。


空となったカンをゴミ箱に捨てると、行くぞと声をかけました。分かりましたという返事と隠せない内心を受け取った後、本日の実験場に向かいました。


彼女は、実験開始の合図をするその時までずっと無表情でした。実験開始が己に向けた拳銃の引き金を引くことと同義であると理解している筈なのに、今まで通り無表情でした。それが、彼女の浮かべた最後の顔でした。


私の一撃で、彼女の頭部と胴体は永遠の別れを交わしました。10030番目の彼女は、こうして役割を全うしたのです。

結局...彼女は...


私は後から遺体回収に来た彼女達に尋ねてみることにしました。死に対する恐怖はないのか、痛みに対して抵抗はないのかと。しかし、皆がまるで私の存在など眼中に無いかのように、黙々と現場を片付けて行きます。


ある者はバラバラになった彼女を袋に詰め、またある者は特殊な液体で血を洗い流していきます。十分もすると、この場所で虐殺が起こった事など関係した者以外分からない程、この裏路地は復元されました。


役目を果たしたからか、彼女達はぞろぞろと歩き始めました。このままでは、こちらの問いかけに答えることなく消えてしまいそうです。私は、仕方なく一人の彼女の肩を掴みました。


そして、思わず手を引っ込めてしまいました。


「おや、まだいたのですか一方通行、とミサカは気が付かなかった無礼を詫びます」


「ところで、一体どう言ったご用件でしょうか、とミサカは尋ねます」











「本当に、どう言ったご用件でしょうか、とミサカは何も言わない一方通行に対して怪訝さを感じます」


ふと我に返ると、彼女は相変わらずの無表情でそこに立っています。私はこう尋ねました。


死に対する恐怖はないのか。


彼女はこう答えました。ない、と。


また私は尋ねました。


痛みや、それに対する恐怖、抵抗感はないのかと。


今度はこう返してきました。


痛みはある、抵抗感もある、だが恐怖はない、と。


最後は、逆に質問をされました。



あなたには、痛みを感じられるのですか




その時、私にはある副音声が聞こえました。恐らくそれは幻聴だったと思います。しかし、それは私の『こころ』を抉る刃物だったのです。




あなたは、私達を殺しても痛くないのですか、恐ろしくないのですか











本日はここまでということでお願いします。


どうにも地の文は難しいですね。



漱石風だとまた斬新ですなぁ

心理描写はとことんほりさげて
やってほしい


楽しみにしてる


しかしたまにある一通の発言と内心の深さが噛み合ってなくて笑える
こんな考えてても喋るとァィゥェォンなんだな

心理深くしすぎると迷宮入りしやすい。

浅くしすぎるとツマラナイ。

上手くこの間を書く>>1に期待。

>>31-34
レスありがとうございます。相当ハードルが上がっていて、恐ろしいですね(笑

ところで、>>18の意味が分からないのですが、分かる人はいらっしゃいますか?


さて、今日ものんびりと投下していきます。

気が付くと、その場に残されたのは私一人となっていました。同じ顔をした人間がバラバラになった分身を片付けているという奇妙な光景も消え去り、ここは何の変哲もない裏路地として認識される筈です。


裏路地というものは、光の当たらない細道の事を指します。単に建物と建物の間の隙間が狭いだけの空間でなく、この場所は人々にある種の圧迫感を与えます。それは、長年の刷り込みによって生じたものなのでしょうか。それとも、本能的に暗く狭いこの空間を拒絶するのでしょうか。


私は、どちらも正しいのだと思います。幼い頃から不良者の住処と教え込まれれば拒絶するのは当然ですし、暗く狭い空間は人間を発狂させるという事実も挙がっています。ようは、そういうことなのでしょう。


ですから、分からないのです。私の胸に広がる痛みは、彼女の言葉があったからなのか、ここが裏路地だからなのかが、です。


彼女の言葉は、確かにナイフの形をしていました。そんなものが心に突き刺ったのなら、当然の如く痛みを感じる筈です。ですが、ナイフが投げられたこの場所が、もし明るい広場であったのならどうだったでしょうか。







私は、痛みを感じなかったのでしょうか。

私の心は、何も感じなかったのでしょうか。




終わった今となっては、確かめることは出来ません。





私は、彼女達を殺すことにあまり抵抗感を持ちませんでした。殺される為だけに生まれたという言葉を真に受けて、人体実験に回されるよりは一瞬で死ぬ方がいいだろうと、勝手な見切りをつけていました。


そして、少なからず能力の進化に喜びを感じていました。彼女達は痛みを感じぬまま役割を全う出来る、私の能力は成長する、まさに一石二鳥だという考えすら浮かんだことがあります。


何と傲慢なことでしょうか。力に溺れているのでしょうか。これでは、理性など無いも等しいです。歩いてきた道から大きく外れ、ただ不良者への悪道を突き進んでいるだけなのです。


私は、漸く気がつきました。



道に従うなら、彼女達を殺すことが救いではなく、彼女達を守ることが救いなのだと。





















しかし、私は10031番目の彼女も殺しました。


『守る』その二文字を実行するには、もう手遅れだったのです。私には分かりませんでした。


どうやって彼女達を守ればいいのかが...

休憩。


夜に来ます。



ここの1なら

スフィンクスで吾輩は猫であるもいけそうだな



期待しています

>>40一言、自演乙

ということで、投下


そして...


次の日の夜、私は初めて出会いました。これまで散々殺して来た彼女達を作り出したオリジナル、第三位の超電磁砲に。


研究者が言っていたことなのですが、元々別の理由で提供されたオリジナルのDNAマップを、今回の実験に使用したとのことです。従って、決して第三位に気付かれてはいけないのだとも。


彼女の目には涙が浮かんでいます。睡眠も余り取れていないのでしょうか、目の下の隈が何とも痛々しく感じられます。勿論、それが無くても見分けはつきましたが。


「どうしてアンタはこんなに残酷なことが出来るの!! 」


彼女はそう叫びました。精神系の能力者ではない私にさえ、彼女の心の内は容易に想像出来ます。お前が許せない、研究者が許せないと。感情を読み解けなかったこれまでの10000人とは大違いです。


彼女達は、何も言いませんでした。無表情のまま、死んで行きました。ですが、私には彼女達の方がよっぽど恐ろしいと思うのです。


彼女達の一人の肩に手を置いたあの時、私の中で一筋の電撃が走りました。悪寒、とでもいいましょうか。全身の毛が逆立つかのようで、思わず手を引っ込める羽目になりました。









人間だったのです。紛れもない、一人の人間だったのです。




私が殺していた彼女達は...



「何で何も言わないの! 何とか言いなさいよ!! 」


第三位の方は今にも飛びかかってきそうな程、猛り狂っています。何も知らない彼女にしてみれば、自分の分身である彼女達を殺す私は憎き存在なのでしょう。


怒りで能力を制御しきれなくなっているのか、彼女の身体からは時折放電が起きています。その都度、憎らしい程小気味良い音が響くのです。バチン、バチンといった具合に。こう思うのは失礼かもしれませんが、滑稽さを感じてしまいました。



一方、10032番目の彼女達はただその場で突っ立っています。一応彼女がオリジナルであるということを認識しているようで、邪魔をしない為なのか微動だにしません。物騒な銃器は腕に抱えられたまま、月明りに照らされています。相変わらずの無表情、ですが、美しいと思いました。恐ろしくも、嫉妬を覚える美しさなのです。






「もういいわ、私がアンタを殺してこの実験を止める!! 」


遂に我慢の限界を迎えた彼女からは、フラッシュが焚かれたかのように光が放たれました。電撃、素晴らしい一撃だと思います。第三位という順位も納得の一撃でした。


ただ、私の未来人には遠く及びませんでした。


電撃とはエネルギーを持った電子の塊であり、当然のことベクトルが存在しています。どれだけ彼女が素晴らしい一撃を放ったとしても、ベクトルさえ解析出来れば何のことはありません。辺りに漂う電子のベクトルを未来人で行使して、それと同じ大きさのもので相殺すればいいのです。



その後も、がむしゃらに電撃が放たれ、その度に相殺されていきました。懐から取り出したコインに電子的な力を加えることで発射する、超電磁砲。彼女の代名詞とも言えるその一撃も、同じです。


いつの間にか、彼女の顔からは怒りよりも恐怖の感情が見受けられるようになりました。どうやら、私には精神感知系の能力が発現されたようです。それによれば、彼女の中からは怒りや希望といった上向きの感情が尽きかけており、怯えが大半を占めているとのことでした。



もう、限界でしょう。彼女は、攻撃を辞めました。一人の男が、手を肩に乗せた事をきっかけにして。

今日はここまで

一応、上条さんが登場しました。

>>35  超能力者の怖いたとえ話

猫の群れに変異種のトラが生まれた、トラにとっては猫はえさでしかない。

>>45
成る程そういうことでしたか。

何だか似たような話を最近、ニューワールド的な場所で聞いたことがあるような、ないような。

投稿は、明日でお願いします。

もうこないの?

生存

そろそろ書きます

その男は、見るからにボロボロでした。煤けた衣服の隙間からはみ出す傷跡が生々しく光っており、つい先程まで喧嘩でもしていたのかと思わされます。


それ以外の特徴としては、髪型がやや変わっているということでしょうか。髪の先を尖らせるというものが現代のファッションなのかもしれません。


目に着くのはそこだけで、あとは普通の男子学生と何の変わりもありません。そんな男がどうやってここに辿り着いたのか、何故ここに来たのか、私の中では思考が渦を巻き始めました。


肩に手を置かれた彼女は、そのまま地面へと崩れ落ちました。満身創痍、その四文字が見事に当てはまりそうな様子です。体と同様に目を伏せてしまったので表情が伺えなくなったのですが、微かに聞こえるしゃくり声からして、気持ちを抑えられなくなったのでしょう。


彼女はまだ14歳、こんな状況で自分を制御しきるというのは余りにも無茶な話です。この反応は至極当然のものであり幸せに育ってきた彼女であればなおのことでしょうか。


「......なんで、なんであんたが......」


「御坂、お前を助けに来た。文句は言わせない」


ここで、男の方が初めて声を発しました。それは、何とも透き通るようでありまして、それでありながら力強さというものが感じられます。いや、それ以上に感じたのは優しさです。傷ついた彼女のことを抱きしめる、暖かく、純粋な、優しさです。


彼女はもう何も言えないでしょう。一旦恐怖という鉄の鎖で縛られた心は、暖かさというものへの耐性を失うのです。付けられた鍵を外されたところで、何かが変わるという訳ではありません。


ただ、何も出来ないままなのです。

あれ、ここまで…?

そんな彼女とは打って変わり、男は此方に歩を進めて来ます。あたりは静寂に包まれており、そこにあるのは彼の足音と彼女のすすり泣く声だけでした。ザッザという小気味の良い音と、時折挟まるズッという鼻をすする音が、何とも言えない良さを表しているのです。


そして、彼はその歩みを止め、そのまま、こう呟きました。


「......おい、一方通行」


呟きを聞き取った私は『何だァ』とでも返答しようとしましたが、それを待つことなく彼はもう一度言いました。


「一方通行! 」


今度は呟きなどではなく、それによってはっきりとしたものが私に伝わって来ました。言葉ではなく、その奥に込められた感情です。それがどういったものなのかは、わざわざ言う必要もないでしょう。


その時、訳などは知りませんが私の脳裏には10030番目の彼女達の顔が浮かびました。勿論、いつもと変わらぬ無表情面です。思い違いかもしれませんが、私の名前、一方通行と呟いていました。


一方通行、これは私の中の未来人に付けられた名称です。元々は私の名前ではありませんでした。しかし、現在の私は一方通行なのです。


少なくとも、2ヶ月より最近であれば、私は一方通行と名乗るべきでしょうか。この実験が、私を一方通行に変えたのです。己の誓いはいとも簡単に崩れ去っていました。そう、気づかぬままに......


「一方通行かァ......」


気づけば、その名前は口をついて外に出ていました。

うまく纏められないので、休息

わたし待っているわ

舞ってる

私待つわ いつまでも待つわ

     _
              //.|
             //./|
           //./| |

          //./ /|. |
        //./|/::/| |          _______________
        □/ / // | |.          |
        | |/.;;;;//.  | ||.         | じゃあ、>>1は死刑という事で・・・。
        | | ;;;;;;//   | |||         |_
        | |.;;;//    | |.||     ∧ ∧  |/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        | |//..    | | ||.    ( ・∀・)
        | |/.     | |. ||    (    )           ワイワイ  ガヤガヤ
 ______.| |___//| ||__ / | | |__

        | |   //  |. ̄∠/(__(__) /.|          ∧_∧ ∧_∧ ∧ ∧.
..∧_∧   (| |⌒/. ∧ ∧⊃イヤァァァ.     //|         (´-`;)(@・ )(;´∀)(
( ・∀・).(⌒| |//(;´Д`) ←>>1   //  |        ∧∧ ∧ ∧  ∧_∧. ∧∧
(    )  ̄| |/ (⊃ /  ⊂.⊃.   //   |       (∀・ )( ´,_ゝ)(   )(´∀`
| | |.   | |    /   └─┘ //   /.      ∧_∧ ∧ ∧ ∧ ∧. ∧_∧
(__)_)   | |  /         //   /       <_`  )(´・ω)(д゚` )(
        | |/         //   /.       ∧_∧ ∧ ∧ ∧_∧. ∧_∧ ∧
        ~~         //   /        (   )( ゚∀゚)(`   )(   )(゚д
.                //   /        ∧_∧ ∧_∧  ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
.               //   /         (д- )(   )( ´,_ゝ)(TдT)(∀` )

生存報告

すみません

気長にまつわ~

        
        心
        か

完結してくれれば十分

書きます

「......ひとつ聞きたい、どうしてお前はこんな実験を行えるんだ? 」


実験。


男の口からその単語が出てくることは想像出来ていました。今の光景を見て、何も知らない個人ならば一方に加担することはあり得ないと思われます。攻撃が止んでいることも踏まえ、まずは両者に状況の確認をするのが正しい態度と言えましょうか。


ですが、彼が行ったのは私への糾弾でした。ついで、僅かに残された誠意で私に言い訳をさせようとしているのかもしれません。


しかし、彼の目論みは外れることとなります。


「目的......か。何なンだろうなァ」


私自身、目的を見失ったままなのですから。


「お前は......理由もなく"妹達"を殺したのか!! 」


抑え込んでいた感情が爆発するかのように、ここへきて初めて彼は声を荒げました。私からあと4、5メートル辺りで踏みとどめている身体も、私の態度次第では一瞬にして解き放たれるのは確実でしょう。その相手がこの街で最上位に指定されている未来人ということも忘れて。


莨第?

>>62 精神が壊れたか…

訂正


「......ひとつ聞きたい、どうしてお前はこんな実験を行えるんだ? 」


実験。


男の口からその単語が出てくることは想像出来ていました。今の光景を見て、何も知らない個人ならば一方に加担することはあり得ないと思われます。攻撃が止んでいることも踏まえ、まずは両者に状況の確認をするのが正しい態度と言えましょうか。


ですが、彼が行ったのは私への糾弾でした。ついで、僅かに残された誠意で私に言い訳をさせようとしているのかもしれません。


しかし、彼の目論みは外れることとなります。


「......さァ、分かンねェ」


そう、気付いてしまったのですから。本当の意味で、彼女達が人間であるということを......


「お前は......理由もなく"妹達"を殺したのか!! 」


抑え込んでいた感情が爆発するかのように、ここへきて初めて彼は声を荒げました。私からあと4、5メートル辺りで踏みとどめている身体も、私のとる態度次第では一瞬にして解き放たれるのは確実でしょう。その相手がこの街で最上位に指定されている未来人ということも忘れて。

いや......そんな筈はないでしょう。


彼は理解している筈です。目の前に立つ男がどういった存在であるかを。第三位の力を持ってしても足下にも及ばない、悪魔のような未来人であると。


......ならば、何故向かって来ることが出来るのでしょうか。


一見、彼の中でのたうちまわる怒りの獣の力は大きく、それが彼を突き動かしているだけで、冷静になれば恐怖で竦みあがってしまうかと思われるかもしれません。


しかし、私にはそれだけとは思えないのです。


攻撃が届かず、クローン体であるとはいえ自身の妹である者たちを救えなかったと絶望する第三位。そんな彼女に見せた優しさは、激昂するだけしか能がない男には出来ない芸当でした。


つまり......


「......分かった、そンなに聞きてェンなら実験の全てを教えてやる」


「明日、この場所に7:00だ。一人で来ねェンなら話さねェ。いいな」


確かめてみましょう。彼が、本物なのかを。怒りに頼らずとも、強敵に立ち向かうことの出来る勇者なのかを。


返事を受ける前に、私は光のベクトルを操って姿を消し、そのままその場を離れました。少し上空から見下ろしてみると、第三位の放った電撃の所為で元々崩れかけていた鉄骨の枠組みは見るも無残に崩壊していました。


それ程に威力を持った攻撃ですら、苦もなく跳ね返してしまう未来人。過ぎた能力だと思いました。

これだけ

.......................
翌日、私は苦悩の中にありました。理由は勿論、昨日の出来事に関してのものです。


昨日は直感的に何かを感じ取り、彼が只者ではないと判断したからこそ一対一で向かい合う機会を設けたのですが、今にして思えばそれは逃げの選択であったとつくづく身に染みて感じられるのです。


ただ話をするだけならば、昨日でも良かったでしょう。手段を選ばなければ、彼はただ私の話に耳を傾けることしか出来なかった筈です。しかし、私にはそれが出来ませんでした。


......何故、彼処で彼を試すなどといって己を誤魔化し、一対一の対面を望んだのか。


それは......











短針が7を指す数分前、彼は約束通り一人で現れました。昨日のように怒りを前面に押し出しているという様子ではありませんが、その目には闘気が宿されています。


見込み通り、彼は本物でした。


「......聞かせてもらうぞ、一方通行」


"この実験の全てをな! "

内容が浮かばないので休憩

この一方通行好きだ、期待



しかし中2要素のかけらもない
一方さんwwww

実験の全て、ですか。


「あァ、分かってる。だがな、その前に少し俺の話を聞いちゃくれねェか」


「俺の、生い立ちについてな」


...............................................


.........................
私の生い立ちは、まるで冴えない小説の主人公が辿るかのように、画一的で、不幸なものでした。


まず、私には親がいません。白い髪と赤い瞳の胎児を授かった者たちは親であるということを放棄し、退院したその足で私を保護施設の前に棄てていきました。ただ、その施設の管理人、私達は園長先生と呼んでいましたが、彼がすぐさま発見してくれたお陰で大事に至ることはありませんでしたが。


私の親になり損なった下衆達でしたが、生き残ることが出来た分だけあの場所に捨ててくれたことを感謝したいですね。


実際、施設での暮らしは快適でした。余りにも幼かった頃の記憶は曖昧ですが、園長先生の暖かい腕の感触といつも可愛がってくれた兄貴分の存在は決して忘れることはないでしょう。


私は幸せでした。段々と大きくなるにつれて親がいないことに気付き始めましたが、それでも幸せでした。多分、これから生きていく先、これ以上幸福な時間を過ごすことは不可能だと思います。














ただ、そんな時間も線香花火のように虚しく散ってしまったのです。


端的に、理由だけを言えば、それは借金でした。


これは、執務室の戸棚に身を隠していた時に偶然耳に入ったものですが、施設の経営は基本的に寄付金で賄われ、足りない分だけ借金をするという形で成り立っていたそうです。しかし、以前までは多額の寄付をよせてくれていた団体が、突然様変わりしたかのように寄付金の返還を求めてきたのです。


それが、他の団体にも根回しが行われていたようで、寄付を募っても帰ってくるのは罵声と怪しい洋装をした下衆共だけとなってしまいました。


一方的に叩きつけられる罵声と、園児達の啜り泣く声、日に日にやつれていく園長先生。あの暖かかった場所は、もう、何処にもありませんでした。


そして......


「......見つけたのは俺だった」


長年園児を見守り続けたであろう執務室で、彼は私達を裏切りました。哀しみが無かったといえば嘘になりますが、それ以上に安堵の気持ちで一杯になりました。


彼は、解放されたのだと。

ダメだ、休憩



口調と地の文のギャップが
やっぱすげぇな


すごいです。面白い


いいねェ

乙です!

しかしスレタイを見てウルキオラを思い出したのは俺だけか?

>>72 ナニ金を思い出すような善意を装った悪意に満ちた話… 

訂正


72:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]2013/05/19(日) 18:17:52.68 ID:hes8r83x0
実験の全て、ですか。


「あァ、分かってる。だがな、その前に少し俺の話を聞いちゃくれねェか」


「俺の、生い立ちについてな」


...............................................


.........................
私の生い立ちは、まるで冴えない小説の主人公が辿るかのような、画一的で、不幸なものでした。


まず、私には親がいません。白い髪と赤い瞳の胎児を授かった者たちは親であるということを放棄し、退院したその足で私を保護施設の前に棄てていきました。ただ、その施設の管理人、私達は園長先生と呼んでいましたが、彼がすぐさま発見してくれたお陰で大事に至らずに済みましたが。


私の親になり損なった下衆共でしたが、生き残ることが出来た分、あの場所に捨ててくれたことを感謝したいくらいです。


実際、施設での暮らしは快適でした。余りにも幼かった頃の記憶は曖昧ですが、園長先生の暖かい腕の感触といつも可愛がってくれた兄貴分の存在は、決して忘れないでしょう。


私は幸せでした。段々と大きくなるにつれて親がいないことに気付き始めましたが、それでも幸せでした。多分、これから生きていく先、これ以上幸福な時間を過ごすことはないと思います。














ただ、消え去るのは一瞬でした。まるで、線香花火が散るかのように。


端的に、理由だけを言えば、それは借金でした。


これは、執務室の戸棚に身を隠していた時に偶然耳に入ったものですが、施設の経営は基本的に寄付金で賄われ、足りない分だけ借金をするという形で成り立っていたそうです。しかし、以前までは多額の寄付をよせてくれていた団体が、突然様変わりしたかのように寄付金の返還を求めてきたのです。


それが、他の団体にも根回しが行われていたようで、寄付を募っても帰ってくるのは冷ややかな目と怪しい洋装をした下衆共だけとなってしまいました。


一方的に叩きつけられる罵声と、園児達の啜り泣く声、日に日にやつれていく園長先生。あの暖かかった場所は、もう、何処にもありませんでした。


そして......


「......見つけたのは俺だった」


長年園児を見守り続けたであろう執務室で、彼は私達を裏切りました。哀しみが無かったといえば嘘になりますが、それ以上に安堵の気持ちで一杯になりました。


彼は、解放されたのだと。

その後、身寄りのない私達はそのまま黒服共によって学園都市へと連れて行かれることとなりました。今になって思えば、施設への攻撃はこの為であったのでしょう。どこでどう調べたのかは分かりませんが、類いまれなる素質を持った子供が二人も手に入るかと思えば、手段など選ぶ筈もなかったのです。













私の所為で、園長先生の"心"は殺されました。


この一件が、その後の私を形作ったと言っても過言ではありません。


彼は生前、こんなことを言っていました。
『百合子、人間の生死というものは心臓が動いているだけでは分かりません。心ですよ、生き死にを決めるのは」


その話を聞いた幼き日の私は、胸打つ心臓のように、心も身体のどこかにあるのだと信じて疑いませんでした。ですが、どんな文献を眺めても心という臓器は見つけられません。たまらなくなって尋ねても、先生はそっと笑って
「いつか、分かる日が来るよ」
と、私の頭をなでるだけでした。


心。


私はついぞ見つけられなかったのです。心の在り処を。


休憩します。

百合子だと…

百合子キタ??(゜∀゜)??!!


相変わらず面白い

素質を持った子供が『二人』…?
一人は一方さんとして、あれ…?

文学っぽい文体で書いてみる的な実験的SSかと思ってたんだけど
ひょっとして台詞と地の文の乖離も伏線だったりしたのか
なんか急に面白くなってきた

お?
おもしろくなってきたあ

>>80なるほど★が支配する学園都市ならやりかねんな、神回乙

>>80の訂正

その後、身寄りのない私達はそのまま黒服共によって学園都市へと連れて行かれることとなりました。今になって思えば、施設への攻撃はこの為であったのでしょう。どこでどう調べたのかは分かりませんが、類いまれなる素質を持った子供が二人も手に入るかと思えば、手段など選ぶ筈もなかったのです。













私の所為で、園長先生の"心"は殺されました。


この一件が、その後の私を形作ったと言っても過言ではありません。


彼は生前、こんなことを言っていました。
『百合子、人間の生死というものは心臓が動いているだけでは分かりません。心ですよ、生き死にを決めるのは』


その話を聞いた幼き日の私は、胸打つ心臓のように、心も身体のどこかにあるのだと信じて疑いませんでした。ですが、どんな文献を眺めても心という臓器は見つけられません。たまらなくなって尋ねても、先生はそっと笑って
『いつか、きっと分かりますよ』
と、私の頭をなでるだけでした。


心。


私はついぞ見つけられなかったのです。心の在り処を。

..............................

.............

「そんなことが......」


今はまだ冒頭部分を話したのみですが、彼の纏う雰囲気は先ほどまでのものから大きく変化しました。闘気よりも、哀れみの方が大きくなっていたのです。何故、あのように悲しそうな顔をするのか、私には理解できませんでした。


「......続けるぞォ」


............................


..............


崩壊した施設では、様々な種類の子供たちが暮らしていました。先生の言いつけを必ず守る良い子も多かったのですが、私の兄貴分のように、いたずらばかりして先生を困らせるような子もいましたね。


そして、親と離れ離れになったことで塞ぎ込み、誰にも心を開かず、ただ部屋の隅でうずくまっている子も。


そんな子でも、暫くすれば先生や周りの子供たちによって慰めされ、話の輪に加わることが出来ました。


ただ、ある一人を除いては。


その子供は、私と同い年で、6歳の時に施設にやってきました。


私のように物心がつく前に捨てられたのなら、園長先生や他の園児たちをそのまま家族として容易に受け入れることが出来るのでしょうが、彼は違います。


彼は、血の繋がった家族を知っているのです。その温かさを感じていたかどうかまでは分かりませんが、少なくとも、血は繋がっていなくても心が通じ合っていればそれは家族だという先生の言葉に対し、素直に頷くことは出来なかった筈です。


しかし、それだけならば彼が孤立することは無かったでしょう。家族として接することは出来なくても、友達という形で付き合っていくことは可能でした。人と人との繋がりに明確な正解は存在しませんので、本人たちの納得のいく形で関わっていけたかもしれません。















あの、奇妙な力さえ存在していなければ......

ちょい休憩

結局肝心なところは分からない過去回です。過去回は、もう暫く続きます。

上条さんの出番は、もう少し先ですね。鰤の破面篇でも読んで説教を考えていてください。

こういう文体良いな
面白い

この文体での説明で上条さんは理解できるのだろうか

>>93
上条さんは勉強ができないだけだよ、多分・・・・・・

>>93
上条さんへの説明は多分いつもの一方さん口調と表現なんじゃね

基本的には>>96で正しいと思ってもらって構いません。

彼がやってきたその日、私は同い年の気安さから早速声を掛けました。背格好が近かったという点も、私の背中を後押ししたのかもしれません。


しかし、ファーストコンタクトは失敗に終わります。他人との会話はよく目から始まると言いますが、此方が近寄っても目を伏せたまま微動だにしないのです。彼は虚構に生きて自分を見失っていた訳ではありません。ただ、明確に自分の意思をもって目を合わせないように、合わせないようにとする様子がありありと感じられました。


誰もが羨むような透き通る肌、シルク調に整えられた白い髪、そして、笑顔。園長先生や年長の園児達に褒められて育ってきた私からすれば、彼の態度は予想だにしなかったところです。甘やかされて育った結果とも言いましょうか、自分の思い通りにならないことが許せなかったのです。


次の日も、そのまた翌日も、私はありとあらゆる手段をもって彼への接触を試みました。しかしながら、弱冠6歳の子供が用いることの出来る手段など限られており、交換条件として差し出すお菓子の種類程度にしか存在しておらず、強情な彼の牙城を崩すには些か不十分なものでありました。


ならば、一体どうやって殻に閉じ籠った彼を引っ張り出すのか。当時は、一日中そのことについて考えていたかと思います。


そして閃きました。彼の怒りを利用すれば良いのだと。


私は一日中彼の側を離れませんでした。食事の際は常に真向かいの席に位置どり、部屋の隅で蹲っているときは同じように蹲り、消灯時は彼のベッドの中に潜り込んだりもしました。極端な事を言ってしまえば、お手洗いの時でさえ追随していたかもしれません。


それくらいに、私は彼を追い詰めました。そうすれば、怒りのままに自分から壁を壊してくれると信じていたからです。


ですが、そこにはあるものが立ちはだかりました。そう、彼の持つ奇妙な能力です。

今回から酉をつけます

なるほど、この時点では、男児女児の二人能力者候補が存在し、

男児は捨てられたこと、及び捨てられた理由を理解している…

乙。

なんか複雑になってきたな

続きが異様に気になってしまう期待

彼の能力を初めて目にしたのは、本格的に彼を追従し始めてから十日ほど経った夜のことでした。いつものように彼のベッドの中に潜り込もうとしていた私でしたが、これまで狸の寝入りをきめていた筈の彼が、身体を起こしてじっと私がやってくるであろう部屋の入り口を見つめているのです。


ですので、入った瞬間、いつもと様子の違う眼をした彼に気づきました。


彼の顔は、明確な意思を持って他人を拒絶する挑戦的なものではありませんでした。ただただ、哀愁の漂う、悲しそうな眼をしていたのです。まるで、保健所に連れて来られた野犬であるかのように。


私が口を開く前に、彼から場所を移そうと提案がありました。彼のベッドが置いてあったのは五人部屋でしたので、他の園児に聞き耳を立てられることが憚られたのでしょう。口止めの為に取ってあったお菓子を起きている園児に渡すと、私を連れだって園の屋上へと向かいました。


勿論、道中の扉は施錠されており、普通なら屋上に行くことなど出来やしません。しかし彼はまるで魔法でも使うかのように針金を操り、易々とこじ開けてしまったのです。どこで身につけたのかは知りませんが、見事な手つきだと子供心に感心したのを覚えています。


そして屋上に辿り着いた私たちでしたが、私が色々と尋ねても彼は中々口を開きません。連れてくるまでは良かったのでしょうが、すんでのところで迷っているようにも見えます。


何か大きな秘密を打ち明けようとしているが、その為の踏ん切りがつかないのだと察した私は、その背中を押してあげることにしました。彼にとっても、私にとってもタブーな質問をもって。


貴方は何故、親に捨てられたのかと。

休憩します



舞ってる

>>103 他者の心に踏み込むか… 親子でも難しいことを 

百合子ちゃんさりげなく鬼畜じゃないですか、ヤダー

>>103 訂正

普通なら屋上に行くことなど出来やしません。



屋上には行けないようにされています。

勿論、これを尋ねることによって彼の逆鱗に触れる可能性があるというのは分かっていました。それによって、今後一切の接触を拒まれることも有り得るとも。しかし、それ以上に思ったのです。


彼が話そうとしているのは、他人を避ける理由。つまり、親に捨てられることとなった直接的な原因であると。


お互いの姿もおぼろげな暗闇の中、私は彼の返事を待ち続けました。風の強い夜でしたので、身体を冷やさないように小さく丸まりなりながら。それでも、私の方が彼よりも大きかった筈です。私の押した背中は、ひどく、小さなものだったのですから。


屋上に来てからずっと夜空を見上げていた彼は、ようやくこちらに目を向けました。僅かに照らす月明かりによって、その目はうっすらと輝いてみえます。








泣いているのでしょうか。彼は。






すみません、上手く表現できないので今日はここまでで

乙。

出来れば一回の投下量を増やしてほしい

おい、あくしろよ

良スレ発見

おい…まだか…?
ニート脱却しちゃうだろ……

保守

一ヶ月ルール用の生存報告

生存報告だけかよ

終ってしまうのかとおもいきゃじわじわ進んでるので期待

続き

はよはよ

507 :Now_loading...774KB :03/10/01 13:33 ID:HACmQu8S
何かよく分かりませんが、
ここにティッシュ置いときますね。


                           ト-、___
                     _,,-‐‐‐‐‐‐t-:、_ `‐、、_
                __,,,-‐'´     .:. ,,:.:``‐、;:;:;ヽ_

  ,,,_____,,..、_,,,,,-‐‐‐-、、_,,-'´    ............:.:/: .:.     ````ヽ、_
 〈=__,,,,__,,,,,,,,,,,,..::::::::::...  ;.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,;ノ::.            `‐、、

/ .._____.. .. . `````ヽ- '--‐‐'''''~~~'`::::ヽ:.:.:.....        、     ヽ、
ヒ;-'´  ````:‐:‐:-:-.:__,,、、、、、  ....:.:.:.:.:.:.`:.:.:.:,;,;,;,;.:.:.;,;...........ヽ、ヽT   ◎ ヽ、
                 ````‐--:-:‐:':´:`:`´:: :::``:..、_:.:.:.:.:.:.:.ヽ、__ ,-==,

                                 ````‐‐:-:-:-:-:‐"
508 :Now_loading...774KB :03/10/01 16:35 ID:???
>>507
それはどうやって使うティッシュなのですか?
509 :Now_loading...774KB :03/10/01 16:41 ID:???
>>508
                             ↓

                           ト-、___
                     _,,-‐‐‐‐‐‐t-:、_ `‐、、_
                __,,,-‐'´     .:. ,,:.:``‐、;:;:;ヽ_

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 〈=__,,,,__,,,,,,,,,,,,..::::::::::...  ;.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,;ノ::.            `‐、、

/ .._____.. .. . `````ヽ- '--‐‐'''''~~~'`::::ヽ:.:.:.....        、     ヽ、
ヒ;-'´  ````:‐:‐:-:-.:__,,、、、、、  ....:.:.:.:.:.:.`:.:.:.:,;,;,;,;.:.:.;,;...........ヽ、ヽT   ◎ ヽ、
                 ````‐--:-:‐:':´:`:`´:: :::``:..、_:.:.:.:.:.:.:.ヽ、__ ,-==,

                                 ````‐‐:-:-:-:-:‐"


こねーな

こねーな

>>1です。

再開の目処がたたないので、落とさせて頂きます。

申し訳ありません

>>126
面白かったから期待してたんだけどな
また戻ってくるのを待ってるよ

>>126
面白くなりそうな様子だったから残念だ。
いつか再開してくれるのを期待してる。

落とさないのか

落としてしまうのか…残念
もしできれば構想というかオチだけでいいから教えてほしいなあ

二人の能力者が気になる
一方通行(男)と百合子の生き別れた双子設定なのか、全く別の男児(垣根とか?)なのか…

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