モバP「風香が光明を得るにはユーチューバーになるしかないと思う」 (12)

※ここに警告文のあるものとする


事務所




つかさ「は?」

風香「い、いきなりなんですか…?」

P「思わん?」

つかさ「思わねぇよ」

P「いやさ、ぶっちゃけ風香ってクソ地味じゃん?」

つかさ「言葉を選んでから発言しようって学校でならわなかったか?」

P「乳はデカイが巨乳なんて腐るほどいるし、眼鏡っ娘だって死ぬほどいる。それでいて内気だから発言力もない。突出した個性がないから、みんなの中に埋もれちゃいがちなんだよな」

つかさ「いや、風香の魅力は胸とか眼鏡だけじゃねぇから。いつも謝ってばっかりな内気なヤツだけど、そこから勇気出して一歩踏み込んだアイドルの世界で頑張って必死でやってるパネェヤツだから。この一歩死ぬほどデケェから。それでいて自分のことよりも他人のことによく目がいく心優しいヤツだから。髪がちょっとボサボサなのもポイント高ぇから。イメチェンしようとしたけど勇気がでなくてほんのちょっぴりだけ髪型変えてきたのもキャワタンだから。ナメんな」

風香「わ、私なんかそんなっ、ごめんなさい…」

P「世間から注目されないのであれば、こちらからアピールするしかない……そこで、手っ取り早く注目を集める手段として、風香のユーチューバーデビューを企画した」

つかさ「ウケんだけど」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1478403375


風香「ユーチューバーってなんですか?」

つかさ「ユーチューブって動画サイトに自分で撮った動画を投稿して、広告収入得ようとしてるヤツのこと」

風香「は、はぁ……」

つかさ「つか、ユーチューバー目指すには時期最悪じゃね?運営の奴等、掛けた梯子外しにかかってるっしょ」

P「広告収入目当てならそうかもしれん。だが、本件の目的は浅野風香というアイドルのアピールがメインだ」

P「動画サイトで現役アイドルの専門チャンネル……テレビ離れの激しい若者世代には最適なのではないだろうか」

つかさ「プラン組んであんの?」

P「あんまり考えてないけど、つかさとセットでやっていこうと思う」

風香「つかささんと一緒なのは心強いですけど、どうしてつかささんなんですか?」

P「名前で選んだ。つかさしゃちょー。ユーチューバーっぽい」

つかさ「バカにしてんの?」


風香「どういうことをやっていくんですか?」

P「うーん……定番は商品のレビューとかゲーム実況とか中学生が夏休みにやりそうなことやったりとか…」

風香「中学生が夏休みにやりそうなこと………自転車を金色に塗装するとかですか?」

つかさ「今時そんなガキいねぇよ」

風香「す、すみません…」

つかさ「せっかくアタシと組むんだし、ウチの商品も使ってくれると嬉しい」

風香「おしゃれに関してははあんまり自信がないですけど、頑張りますっ」

つかさ「あとは風香のやりたいことをやるべきだよな」

風香「私のやりたいこと……い、いいんですか?」

つかさ「お前がメイン張るんだ。やっぱり風香のやりたいことをやるべきだと思う」

風香「わ、私、あの、趣味で小説を書いてるんですけど……それを活かしてなにかやってみたいですっ!」

つかさ「小説か…」

風香「ごめんなさい!やっぱりやめたほうがいいですよね…」

つかさ「いいわけねぇだろ。やるぞ、風香の小説で何かをやるぞ、やるか」

風香「あ、ありがとうございますっ!」

つかさ「予算はどれくらい下りるわけ?」

P「えっ……そんなの考えてなかった……」

つかさ「バカ野郎、何につけても先立つものは必要だろうが。アタシが会社立ち上げた時だってなぁ、高校生なんかに銀行が金を貸してくれるわけもないから親を説得したりなぁ……」

P「わ、わかったわかった、ちひろさんに土下座キメて予算を工面してくるから……」

風香「わ、私も一緒にお願いしにいきます」

P「風香は優しいなぁ……でも、その気持ちだけ受け取っておくよ」

ちひろ室



ちひろ「風香ちゃんのユーチューバーデビューですか……」

P「ちひろ様、慈悲深きその御心を持って、日の目の当たらぬアイドルをお救いください…!」

ちひろ「数が多ければ順列が生じるのは仕方のないことですからねぇ。事務所としてはみんな平等に売り出してるつもりですけど」

P「嘘つけ!平等主義なら人気投票なんかやめろ!全員同じ数だけSR化させろ!あとボイスもつけろ!ソロCDも早くだせ!」

ちひろ「こちらも商売なのでねぇ~~アイドル売るのもお金と手間がかかりますしぃ~~~儲かる娘には積極的に投資しますけどぉ~~~人気のない娘はプロデューサーさんが頑張ってプロデュースして人気アイドルにしていただくしかないんじゃないですかねェ~~~~~~」

P「チクショウ!!!みんな揃ってアイドルマスターじゃねぇのかよ!!!」

ちひろ「まあまあ、こっちも世評とか技術とか社員の労働環境とかお金とかお金とかお金とか色々考えながら頑張ってやってますから。あと十年待ってくださいよ」

P「わーい、もう十年アイマスできるぞー!清い!泣いた!」

ちひろ「そうそう、知能レベルと語彙力はどんどん下げていきましょうね~」


ちひろ「で、風香ちゃんの件ですけど」

P「はい」

ちひろ「いいですよ、予算出しましょう」

P「やったー!ちひろさんだいしゅき!」

ちひろ「ただし、ウチの子会社であるチッヒバンクとつかさちゃんの会社の共同制作商品を動画内に出すこと、すべての責任はプロデューサーさんにあること、を条件とします」

P「ちゃっかりしてんなあ、このコガネムシ女は」

ちひろ「じゃあさっさと書類作って持ってきてくださいね、鈴虫野郎」

事務所


P「動画の内容は、風香とつかさのトークを基本に、風香のオススメする本のレビュー、風香の書いた短編をつかさと風香で読み上げるミニ小説朗読劇、つかさのぬか床レビュー。これを共同制作した服を着て行う。最後にはその服の販売情報も紹介する」

P「こんなんでどう?」

つかさ「いいんじゃね?」

風香「わ、私の小説の朗読劇ですかっ!?」

つかさ「よかったな、風香」

P「よーし、さっそく動画とるぞー!風香の魅力を世に知らしめてやる!」

しかし、ことはそう上手く進まなかった……


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風香「短編書いてきました。ど、どうでしょうか…」

つかさ「なになに……」



『雨に打たれると、途端に自分は惨めな人間なんだと思い出す。クソ。ファックファックファック。バーに入ろう。バーに入ると、バーカウンターにはでかいネズミが座っていた。邪魔だったので、腹に一発拳を叩き込んでやった。ざまあみやがれ! 

「おい、ラム&コークをくれ」

「マザーファッカー」

「なんだお前、黒人か?マザーファッカーなんて黒人しか使わねぇぜ」

するとバーテンの生意気なガキは紫色の光を放ち、毛むくじゃらで全身目玉だらけの化け物に変身した。
なるほどヤツが俺の探していた宇宙人か…!』



つかさ「え、なにこれ…」

風香「あのぉ~、ブコウスキーを意識してみたんですけどぉ…」テレテレ

P「書き直してこい」

風香「す、すみません……」


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つかさ「共同制作の見本が届いたから風香に着せてみたぜ」

風香「ちょ、ちょっと私には派手すぎますよね…」

つかさ「いやいや、似合う似合う。な?」

P「おう。地味っ娘眼鏡キャラがギャル系ファッション着るとあれだな。なんとかランドを思い出してめっちゃ興奮する」

風香「なんとかランド…?」

つかさ「……ちょっと修正だしてくる」

P「俺はいいと思うけどなあ。一定層には需要あるぞ?」

つかさ「風香をそんな目で見るな」

P「ジュビロさんかな?」

つかさ「ジュビロさんじゃねぇよ」

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三ヶ月後




風香「あの、プロデューサーさん…」

つかさ「あれから何も進んでねぇけど」

P「あ~、あれね……飽きた」

つかさ「はぁ?」

P「なんかもうやる気なくなっちゃった。やっぱり慣れないことをするもんじゃないね」

風香「えぇ……」


P「ということで今回の話しは無かったということで!今度また新しい企画を立ててやるから、しばらく待ってろ!ガッハッハ!」

ちひろ「無かったで済む話じゃないんですよねぇ」

P「げぇっ!?関羽!?」

ちひろ「共同制作商品の費用、必要経費諸々、撮影の為に割いたスケージュール分の損失、この無駄なお話しに付き合わされた人々の時間。これ、どうするおつもりで?」

P「自分の時間くらい自分で管理しろ、バ~~~~~~~~~~~カ」

ちひろ「バカはテメェだろ」

ちひろ「さあ、損失分は身体で払ってもらいますよ。腎臓ってなんで二つあるか知ってますか?一つは売り飛ばす用にお金の神様が授けてくれたのですよ」

P「みんな、ごめんな」ズルズルズル



風香「つかささん…」

つかさ「ん?」

風香「私、今回の件で学びました。焦って人気を得ようとしたり、急に慣れないことを始めたりするのは良くないって」

風香「これからもゆっくりと焦らず、ファンの皆さんと一緒に、一歩ずつ歩んでいこうと思います」

つかさ「ああ、そのほうが風香に合ってるよ。風香は風香らしくてっぺんとっていけ」

風香「はいっ!」




終劇

これにて終了ですー
ちんちーん

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